まず、遊技機の一例であるパチンコ遊技機1の全体の構成について説明する。図1はパチンコ遊技機1を正面からみた正面図である。図2は、パチンコ遊技機を示す背面図である。図3は、主基板における回路構成の一例を示すブロック図である。
パチンコ遊技機1は、図1及び図2に示すように、縦長の方形枠状に形成された外枠100と、外枠100に開閉可能に取り付けられた前面枠101と、で主に構成されている。前面枠101の前面には、ガラス扉枠102及び下扉枠103がそれぞれ左側辺を中心に開閉可能に設けられている。
下扉枠103の下部表面には打球供給皿(上皿)3がある。打球供給皿3の下部には、打球供給皿3に収容しきれない遊技球を貯留する余剰球受皿4(下皿)や、打球を発射する打球操作ハンドル(操作ノブ)5が設けられている。また、ガラス扉枠102の背面には、遊技盤6が前面枠101に対して着脱可能に取り付けられている。
遊技盤6は、遊技領域7が前面に形成された合成樹脂製の盤面板(図示略)と、所定の厚み幅寸法を有し、盤面板を取り付ける取付面が前面に設けられたスペーサ部材(図示略)と、から構成され、該遊技盤6の背面側には、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニット(図示略)等の遊技に関連する遊技用部品が組み付けられる遊技用部品ユニット(図示略)が一体的に組み付けられている(図2参照)。
遊技盤ユニット310は、遊技盤6と、該遊技盤6の背面側に配置され、遊技盤6を背面側から装飾する装飾体(図示略)と、該装飾体の背面に取り付けられ、演出表示装置9及び演出制御基板80等を含む変動表示制御ユニットと、から主に構成され、遊技盤6に対して着脱可能に取り付けられる。
図1に戻って、遊技領域7の中央付近には、それぞれが演出用の飾り図柄(演出図柄)を可変表示する複数の可変表示部を含む演出表示装置(飾り図柄表示装置)9が設けられている。演出表示装置9には、例えば「左」、「中」、「右」の3つの可変表示部(図柄表示エリア)がある。演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aまたは第2特別図柄表示器8bによる特別図柄の可変表示期間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄の可変表示を行う。演出図柄の可変表示を行う演出表示装置9は、演出制御基板80に搭載されている演出制御用マイクロコンピュータによって制御される。
遊技盤6における右側下部位置には、第1識別情報としての第1特別図柄を可変表示する第1特別図柄表示器(第1可変表示手段)8aが設けられている。この実施例では、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第1特別図柄表示器8aは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。また、第1特別図柄表示器8aの上方位置には、第2識別情報としての第2特別図柄を可変表示する第2特別図柄表示器(第2可変表示手段)8bが設けられている。第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字を可変表示可能な簡易で小型の表示器(例えば7セグメントLED)で実現されている。すなわち、第2特別図柄表示器8bは、0〜9の数字(または、記号)を可変表示するように構成されている。
この実施例では、第1特別図柄の種類と第2特別図柄の種類とは同じ(例えば、ともに0〜9の数字)であるが、種類が異なっていてもよい。また、第1特別図柄表示器8aおよび第2特別図柄表示器8bは、それぞれ、例えば2つの7セグメントLED等を用いて00〜99の数字(または、2桁の記号)を可変表示するように構成されていてもよい。
以下、第1特別図柄と第2特別図柄とを特別図柄と総称することがあり、第1特別図柄表示器8aと第2特別図柄表示器8bとを特別図柄表示器と総称することがある。
第1特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第1始動条件が成立(例えば、遊技球が第1始動入賞口13aに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第1特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。また、第2特別図柄の可変表示は、可変表示の実行条件である第2始動条件が成立(例えば、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞したこと)した後、可変表示の開始条件(例えば、保留記憶数が0でない場合であって、第2特別図柄の可変表示が実行されていない状態であり、かつ、大当り遊技が実行されていない状態)が成立したことにもとづいて開始され、可変表示時間(変動時間)が経過すると表示結果(停止図柄)を導出表示する。なお、入賞とは、入賞口などのあらかじめ入賞領域として定められている領域に遊技球が入ったことである。また、表示結果を導出表示するとは、図柄(識別情報の例)を最終的に停止表示させることである。
演出表示装置9は、第1特別図柄表示器8aでの第1特別図柄の可変表示時間中、および第2特別図柄表示器8bでの第2特別図柄の可変表示時間中に、装飾用(演出用)の図柄としての演出図柄(飾り図柄ともいう)の可変表示を行う。第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。また、第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示と、演出表示装置9における演出図柄の可変表示とは同期している。同期とは、可変表示の開始時点および終了時点がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であって、可変表示の期間がほぼ同じ(全く同じでもよい。)であることをいう。また、第1特別図柄表示器8aにおいて大当り図柄が停止表示されるときと、第2特別図柄表示器8bにおいて大当り図柄が停止表示されるときには、演出表示装置9において大当りを想起させるような演出図柄の組み合せが停止表示される。
演出表示装置9の下方には、第1始動入賞口13aを有する入賞装置が設けられている。第1始動入賞口13aに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第1始動口スイッチ14a(例えば、近接スイッチ)及び第1入賞確認スイッチ14b(例えば、フォトセンサ)によって検出される。
また、第1始動入賞口(第1始動口)13aを有する入賞装置の下側には、遊技球が入賞可能な第2始動入賞口13bを有する可変入賞球装置15が設けられている。第2始動入賞口(第2始動口)13bに入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、第2始動口スイッチ15a及び入賞確認スイッチ15bによって検出される。可変入賞球装置15は、ソレノイド16によって開状態とされる。可変入賞球装置15が開状態になることによって、遊技球が第2始動入賞口13bに入賞可能になり(始動入賞し易くなり)、遊技者にとって有利な状態になる。可変入賞球装置15が開状態になっている状態では、第1始動入賞口13aよりも、第2始動入賞口13bに遊技球が入賞しやすい。また、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態では、遊技球は第2始動入賞口13bに入賞しない。なお、可変入賞球装置15が閉状態になっている状態において、入賞はしづらいものの、入賞することは可能である(すなわち、遊技球が入賞しにくい)ように構成されていてもよい。
また、第1始動口スイッチ14aと第1入賞確認スイッチ14bの検出結果及び第2始動口スイッチ15aと第2入賞確認スイッチ15bの検出結果にもとづいて異常入賞の発生の有無が判定され、異常入賞の発生を検出したことにもとづいてセキュリティ信号が外部出力される。
以下、第1始動入賞口13aと第2始動入賞口13bとを総称して始動入賞口または始動口ということがある。
可変入賞球装置15が開放状態に制御されているときには可変入賞球装置15に向かう遊技球は第2始動入賞口13bに極めて入賞しやすい。そして、第1始動入賞口13aは演出表示装置9の直下に設けられているが、演出表示装置9の下端と第1始動入賞口13aとの間の間隔をさらに狭めたり、第1始動入賞口13aの周辺で釘を密に配置したり、第1始動入賞口13aの周辺での釘配列を、遊技球を第1始動入賞口13aに導きづらくして、第2始動入賞口13bの入賞率の方を第1始動入賞口13aの入賞率よりもより高くするようにしてもよい。
第2特別図柄表示器8bの上部には、第1始動入賞口13aに入った有効入賞球数すなわち第1保留記憶数(保留記憶を、始動記憶または始動入賞記憶ともいう。)を表示する第1特別図柄保留記憶表示部と、該第1特別図柄保留記憶表示部とは別個に設けられ、第2始動入賞口13bに入った有効入賞球数すなわち第2保留記憶数を表示する第2特別図柄保留記憶表示部と、が設けられた例えば7セグメントLEDからなる特別図柄保留記憶表示器18が設けられている。第1特別図柄保留記憶表示部は、第1保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第1特別図柄表示器8aでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。また、第2特別図柄保留記憶表示部は、第2保留記憶数を入賞順に4個まで表示し、有効始動入賞がある毎に、点灯する表示器の数を1増やす。そして、第2特別図柄表示器8bでの可変表示が開始される毎に、点灯する表示器の数を1減らす。なお、この例では、第1始動入賞口13aへの入賞による始動記憶数及び第2始動入賞口13bへの入賞による始動記憶数に上限数(4個まで)が設けられているが、上限数を4個以上にしてもよい。
また、演出表示装置9の表示画面には、第1保留記憶数を表示する第1保留記憶表示部9aと、第2保留記憶数を表示する第2保留記憶表示部9bとが設けられている。なお、第1保留記憶数と第2保留記憶数との合計である合計数(合算保留記憶数)を表示する領域(合算保留記憶表示部)が設けられるようにしてもよい。そのように、合計数を表示する合算保留記憶表示部が設けられているようにすれば、可変表示の開始条件が成立していない実行条件の成立数の合計を把握しやすくすることができる。
なお、この実施例では、図1に示すように、第2始動入賞口13bに対してのみ開閉動作を行う可変入賞球装置15が設けられているが、第1始動入賞口13aおよび第2始動入賞口13bのいずれについても開閉動作を行う可変入賞球装置が設けられている構成であってもよい。
また、図1に示すように、可変入賞球装置15の下方には、特別可変入賞球装置20が設けられている。特別可変入賞球装置20は大入賞口扉を備え、第1特別図柄表示器8aに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたとき、および第2特別図柄表示器8bに特定表示結果(大当り図柄)が導出表示されたときに生起する特定遊技状態(大当り遊技状態)においてソレノイド21によって大入賞口扉が開放状態に制御されることによって、入賞領域となる大入賞口が開放状態になる。
大入賞口内には、大入賞口内に入賞した遊技球を検出可能な2つのスイッチ(カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23a)が設けられている。この実施例では、大入賞口内で、カウントスイッチ23と第3入賞確認スイッチ23aとが配置されている(本例では、カウントスイッチ23が上側に配置され、第3入賞確認スイッチ23aが下側に配置されている)。従って、この実施例では、大入賞口内に入賞した遊技球は、遊技盤6の背面に導かれ、まずカウントスイッチ23で検出され、次いで第3入賞確認スイッチ23aで検出される。
カウントスイッチ23によって遊技球が検出されたことに基づき、所定個数(例えば15個)の遊技球が賞球として払い出される。こうして、特別可変入賞球装置20において開放状態となった大入賞口を遊技球が通過(進入)したときには、例えば第1始動入賞口13aや第2始動入賞口13bといった、他の入賞口を遊技球が通過(進入)したときよりも多くの賞球が払い出される。したがって、特別可変入賞球装置20において大入賞口が開放状態となれば、遊技者にとって有利な第1状態となる。その一方で、特別可変入賞球装置20において大入賞口が閉鎖状態となれば、大入賞口に遊技球を通過(進入)させて賞球を得ることができないため、遊技者にとって不利な第2状態となる。
第1特別図柄表示器8aの右側には、普通図柄表示器10が設けられている。普通図柄表示器10は、例えば2つのランプからなる。遊技球がゲート32を通過しゲートスイッチ32aで検出されると、普通図柄表示器10の表示の可変表示が開始される。この実施例では、上下のランプ(点灯時に図柄が視認可能になる)が交互に点灯することによって可変表示が行われ、例えば、可変表示の終了時に下側のランプが点灯すれば当りとなる。そして、普通図柄表示器10の下側のランプが点灯して当りである場合に、可変入賞球装置15が所定回数、所定時間だけ開状態になる。すなわち、可変入賞球装置15の状態は、下側のランプが点灯して当りである場合に、遊技者にとって不利な状態から有利な状態(第2始動入賞口13bに遊技球が入賞可能な状態)に変化する。特別図柄保留記憶表示器18の上部には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(例えば、7セグメントLEDのうち4つのセグメント)を有する普通図柄保留記憶表示器41が設けられている。ゲート32への遊技球の通過がある毎に、すなわちゲートスイッチ32aによって遊技球が検出される毎に、普通図柄保留記憶表示器41は点灯する表示部を1増やす。そして、普通図柄表示器10の可変表示が開始される毎に、点灯する表示部を1減らす。
なお、7セグメントLEDからなる普通図柄保留記憶表示器41には、ゲート32を通過した入賞球数を表示する4つの表示部(セグメント)とともに、例えば大当り時における特別可変入賞球装置20の開放回数(大当りラウンド数)を示す2つの表示部(セグメント)、及び遊技状態を示す2つの表示部(セグメント)が設けられているが、これら表示部を普通図柄保留記憶表示部とは別個の表示器にて構成してもよい。また、普通図柄表示器10は、普通図柄と呼ばれる複数種類の識別情報(例えば、「○」および「×」)を可変表示可能なセグメントLED等にて構成してもよい。
特別可変入賞球装置20の周辺には普通入賞装置の入賞口29a〜29dが設けられ、入賞口29a,29cに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30aによって検出され、入賞口29b,29dに入賞した遊技球は入賞口スイッチ30bによって検出される。各入賞口29a〜29dは、遊技球を受け入れて入賞を許容する領域として遊技盤6に設けられる入賞領域を構成している。なお、第1始動入賞口13a、第2始動入賞口13bや大入賞口も、遊技球を受け入れて入賞を許容する入賞領域を構成する。
遊技領域7の左側には、遊技中に点滅表示される装飾LED25aを有する装飾部材25が設けられ、下部には、入賞しなかった遊技球を吸収するアウト口26がある。また、遊技領域7の外側の左右上下部には、効果音を発する4つのスピーカ27が設けられている。遊技領域7の外周には、天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cが設けられている。天枠ランプ28a、左枠ランプ28bおよび右枠ランプ28cおよび装飾LED25aは、遊技機に設けられている装飾発光体の一例である。
図1および図2では、図示を省略しているが、左枠ランプ28bの近傍に、賞球払出中に点灯する賞球ランプが設けられ、天枠ランプ28aの近傍に、補給球が切れたときに点灯する球切れランプが設けられている。なお、賞球ランプおよび球切れランプは、賞球の払出中である場合や球切れが検出された場合に、演出制御基板に搭載された演出制御用マイクロコンピュータによって点灯制御される。さらに、特に図示はしないが、プリペイドカードが挿入されることによって球貸しを可能にするプリペイドカードユニット(以下、「カードユニット」という。)50が、パチンコ遊技機1に隣接して設置されている。
遊技者の操作により、後述する打球発射装置から発射された遊技球は、発射球案内通路(図示略)を通って遊技領域7に入り、その後、遊技領域7を下りてくる。遊技球が第1始動入賞口13aに入り第1始動口スイッチ14aで検出されると、第1特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第1の開始条件が成立したこと)、第1特別図柄表示器8aにおいて第1特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第1特別図柄および演出図柄の可変表示は、第1始動入賞口13aへの入賞に対応する。第1特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第1保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第1保留記憶数を1増やす。
遊技球が第2始動入賞口13bに入り第2始動口スイッチ15aで検出されると、第2特別図柄の可変表示を開始できる状態であれば(例えば、特別図柄の可変表示が終了し、第2の開始条件が成立したこと)、第2特別図柄表示器8bにおいて第2特別図柄の可変表示(変動)が開始されるとともに、演出表示装置9において演出図柄(飾り図柄)の可変表示が開始される。すなわち、第2特別図柄および演出図柄の可変表示は、第2始動入賞口13bへの入賞に対応する。第2特別図柄の可変表示を開始できる状態でなければ、第2保留記憶数が上限値に達していないことを条件として、第2保留記憶数を1増やす。
第1特別図柄表示器8aにおける第1特別図柄の可変表示及び第2特別図柄表示器8bにおける第2特別図柄の可変表示は、一定時間が経過したときに停止する。停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄(特定表示結果)であると「大当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄とは異なる所定の小当り図柄(所定表示結果)であると「小当り」となり、停止時の特別図柄(停止図柄)が大当り図柄及び小当り図柄とは異なる特別図柄が停止表示されれば「ハズレ」となる。
特図ゲームでの可変表示結果が「大当り」になった後には、遊技者にとって有利なラウンド(「ラウンド遊技」ともいう)を所定回数実行する特定遊技状態としての大当り遊技状態に制御される。また、特図ゲームでの可変表示結果が「小当り」になった後には、大当り遊技状態とは異なる小当り遊技状態に制御される。
演出表示装置9に設けられた「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアでは、第1特別図柄表示器8aにおける第1特図を用いた特図ゲームと、第2特別図柄表示器8bにおける第2特図を用いた特図ゲームとのうち、いずれかの特図ゲームが開始されることに対応して、飾り図柄の可変表示(変動表示)が開始される。そして、飾り図柄の可変表示が開始されてから「左」、「中」、「右」の各飾り図柄表示エリアにおける確定飾り図柄の停止表示により可変表示が終了するまでの期間では、飾り図柄の可変表示状態が所定のリーチ状態となることがある。ここで、リーチ状態とは、演出表示装置9の表示領域にて仮停止表示された飾り図柄が大当り組み合せの一部を構成しているときに未だ仮停止表示もされていない飾り図柄(「リーチ変動図柄」ともいう)については変動が継続している表示状態、あるいは、全部又は一部の飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態のことである。具体的には、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける一部(例えば「左」及び「右」の飾り図柄表示エリアなど)では予め定められた大当り組み合せを構成する飾り図柄(例えば「7」の英数字を示す飾り図柄)が仮停止表示されているときに未だ仮停止表示もしていない残りの飾り図柄表示エリア(例えば「中」の飾り図柄表示エリアなど)では飾り図柄が変動している表示状態、あるいは、「左」、「中」、「右」の飾り図柄表示エリアにおける全部又は一部で飾り図柄が大当り組み合せの全部又は一部を構成しながら同期して変動している表示状態である。
次に、パチンコ遊技機1の背面の構造について図2を参照して説明する。図2は、遊技機を背面から見た背面図である。図2に示すように、パチンコ遊技機1の背面側では、演出表示装置9を制御する演出制御用マイクロコンピュータが搭載された演出制御基板80を含む変動表示制御ユニット49、遊技制御用マイクロコンピュータ等が搭載された遊技制御基板(主基板)31、音声制御基板70、ランプドライバ基板35、および球払出制御を行なう払出制御用マイクロコンピュータ等が搭載された払出制御基板37等の各種基板が設置されている。なお、遊技制御基板31は基板収納ケース150に収納されている。
さらに、パチンコ遊技機1背面側には、DC30V、DC21V、DC12VおよびDC5V等の各種電源電圧を作成する電源回路が搭載された電源基板90やタッチセンサ基板(図示略)が設けられている。電源基板90には、パチンコ遊技機1における遊技制御基板31および各電気部品制御基板(演出制御基板80および払出制御基板37)やパチンコ遊技機1に設けられている各電気部品(電力が供給されることによって動作する部品)への電力供給を実行あるいは遮断するための電力供給許可手段としての電源スイッチ、遊技制御基板31の遊技制御用マイクロコンピュータ156のRAM55をクリアするためのクリアスイッチが設けられている。さらに、電源スイッチの内側(基板内部側)には、交換可能なヒューズが設けられている。
なお、この実施例では、主基板31は遊技盤側に設けられ、払出制御基板37は遊技枠側に設けられている。このような構成であっても、後述するように、主基板31と払出制御基板37との間の通信をシリアル通信で行うことによって、遊技盤を交換する際の配線の取り回しを容易にしている。
なお、各制御基板には、制御用マイクロコンピュータを含む制御手段が搭載されている。制御手段は、遊技制御手段等からのコマンドとしての指令信号(制御信号)に従って遊技機に設けられている電気部品(遊技用装置:球払出装置97、演出表示装置9、ランプやLEDなどの発光体、スピーカ27等)を制御する。以下、主基板31を制御基板に含めて説明を行うことがある。その場合には、制御基板に搭載される制御手段は、遊技制御手段と、遊技制御手段等からの指令信号に従って遊技機に設けられている電気部品を制御する手段とのそれぞれを指す。また、主基板31以外のマイクロコンピュータが搭載された基板をサブ基板ということがある。なお、球払出装置97は、遊技球を誘導する通路とステッピングモータ等により駆動されるスプロケット等によって誘導された遊技球を上皿や下皿に払い出すための装置であって、払い出された賞球や貸し球をカウントする払出個数カウントスイッチ等もユニットの一部として構成されている。なお、この実施例では、払出検出手段は、払出個数カウントスイッチによって実現され、球払出装置97から実際に賞球や貸し球が払い出されたことを検出する機能を備える。この場合、払出個数カウントスイッチは、賞球や貸し球の払い出しを1球検出するごとに検出信号を出力する。
パチンコ遊技機1の背面には、各種情報をパチンコ遊技機1の外部に出力するための各端子を備えたターミナル基板91が設置されている。ターミナル基板91には、例えば、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号(始動口信号、図柄確定回数1信号、大当り1信号、大当り2信号、大当り3信号、時短信号、セキュリティ信号、賞球信号1、遊技機エラー状態信号)を外部出力するための情報出力端子が設けられている。なお、遊技機エラー状態信号に関しては必ずしもパチンコ遊技機1の外部に出力しなくてもよく、該情報出力端子から、この遊技機エラー状態信号の替わりに遊技枠が開放状態であることを示すドア開放信号等を出力するようにしてもよい。
貯留タンク38に貯留された遊技球は誘導レールを通り、カーブ樋を経て払出ケース97aで覆われた球払出装置97に至る。球払出装置97の上方には、遊技媒体切れ検出手段としての球切れスイッチ43が設けられている。球切れスイッチ43が球切れを検出すると、球払出装置97の払出動作が停止する。球切れスイッチ43が遊技球の不足を検知すると、遊技機設置島に設けられている補給機構からパチンコ遊技機1に対して遊技球の補給が行なわれる。
入賞にもとづく景品としての遊技球や球貸し要求にもとづく遊技球が多数払出されて打球供給皿3が満杯になると、遊技球は、余剰球誘導通路を経て余剰球受皿4に導かれる。さらに遊技球が払出されると、感知レバー(図示略)が貯留状態検出手段としての満タンスイッチ(図示略)を押圧して、貯留状態検出手段としての満タンスイッチがオンする。その状態では、球払出装置内の払出モータの回転が停止して球払出装置の動作が停止するとともに打球発射装置の駆動も停止する。
図3は、主基板(遊技制御基板)31における回路構成の一例を示すブロック図である。なお、図3には、払出制御基板37および演出制御基板80等も示されている。主基板31には、プログラムに従ってパチンコ遊技機1を制御する遊技制御用マイクロコンピュータ(遊技制御手段に相当)156が搭載されている。遊技制御用マイクロコンピュータ156は、ゲーム制御(遊技進行制御)用のプログラム等を記憶するROM54、ワークメモリとして使用される記憶手段としてのRAM55、プログラムに従って制御動作を行うCPU56およびI/Oポート部57を含む。この実施例では、ROM54およびRAM55は遊技制御用マイクロコンピュータ156に内蔵されている。すなわち、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、1チップマイクロコンピュータである。1チップマイクロコンピュータには、少なくともRAM55が内蔵されていればよく、ROM54は外付けであっても内蔵されていてもよい。また、I/Oポート部57は、外付けであってもよい。遊技制御用マイクロコンピュータ156には、さらに、ハードウェア乱数(ハードウェア回路が発生する乱数)を発生する乱数回路60が内蔵されている。
なお、遊技制御用マイクロコンピュータ156においてCPU56がROM54に格納されているプログラムに従って制御を実行するので、以下、遊技制御用マイクロコンピュータ156(またはCPU56)が実行する(または、処理を行う)ということは、具体的には、CPU56がプログラムに従って制御を実行することである。このことは、主基板31以外の他の基板に搭載されているマイクロコンピュータについても同様である。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、乱数回路60が内蔵されている。乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、特別図柄の可変表示の表示結果により大当りとするか否か判定するための判定用の乱数を発生するために用いられるハードウェア回路である。乱数回路60は、初期値(例えば、0)と上限値(例えば、65535)とが設定された数値範囲内で、数値データを、設定された更新規則に従って更新し、ランダムなタイミングで発生する始動入賞時が数値データの読出(抽出)時であることにもとづいて、読出される数値データが乱数値となる乱数発生機能を有する。
乱数回路60は、数値データの更新範囲の選択設定機能(初期値の選択設定機能、および、上限値の選択設定機能)、数値データの更新規則の選択設定機能、および数値データの更新規則の選択切換え機能等の各種の機能を有する。このような機能によって、生成する乱数のランダム性を向上させることができる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156は、乱数回路60が更新する数値データの初期値を設定する機能を有している。例えば、ROM54等の所定の記憶領域に記憶された遊技制御用マイクロコンピュータ156のIDナンバ(遊技制御用マイクロコンピュータ156の各製品ごとに異なる数値で付与されたIDナンバ)を用いて所定の演算を行って得られた数値データを、乱数回路60が更新する数値データの初期値として設定する。そのような処理を行うことによって、乱数回路60が発生する乱数のランダム性をより向上させることができる。
遊技制御用マイクロコンピュータ156は、第1始動口スイッチ14aまたは第2始動口スイッチ15aへの始動入賞が生じたときに乱数回路60から数値データをランダムRとして読み出し、特別図柄および演出図柄の変動開始時にランダムRにもとづいて特定の表示結果としての大当り表示結果にするか否か、すなわち、大当りとするか否かを決定する。そして、大当りとすると決定したときに、遊技状態を遊技者にとって有利な特定遊技状態としての大当り遊技状態に移行させる。
また、遊技制御用マイクロコンピュータ156には、払出制御基板37(の払出制御用マイクロコンピュータ)や演出制御基板80(の演出制御用マイクロコンピュータ)とシリアル通信で信号を入出力(送受信)するためのシリアル通信回路61が内蔵されている。なお、払出制御用マイクロコンピュータや演出制御用マイクロコンピュータにも、遊技制御用マイクロコンピュータ156とシリアル通信で信号を入出力するためのシリアル通信回路が内蔵されている(図示略)。
また、RAM55は、その一部または全部が電源基板において作成されるバックアップ電源によってバックアップされている不揮発性記憶手段としてのバックアップRAMである。すなわち、遊技機に対する電力供給が停止しても、所定期間(バックアップ電源としてのコンデンサが放電してバックアップ電源が電力供給不能になるまで)は、RAM55の一部または全部の内容は保存される。特に、少なくとも、遊技状態すなわち遊技制御手段の制御状態に応じたデータ(特別図柄プロセスフラグや保留記憶数カウンタの値など)と未払出賞球数を示すデータ(具体的には、後述する賞球コマンド出力カウンタの値)は、バックアップRAMに保存される。遊技制御手段の制御状態に応じたデータとは、停電等が生じた後に復旧した場合に、そのデータにもとづいて、制御状態を停電等の発生前に復旧させるために必要なデータである。また、制御状態に応じたデータと未払出賞球数を示すデータとを遊技の進行状態を示すデータと定義する。なお、この実施例では、RAM55の全部が、電源バックアップされているとする。
遊技制御用マイクロコンピュータ156のリセット端子には、電源基板からのリセット信号が入力される。電源基板には、遊技制御用マイクロコンピュータ156等に供給されるリセット信号を生成するリセット回路が搭載されている。なお、リセット信号がハイレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作可能状態になり、リセット信号がローレベルになると遊技制御用マイクロコンピュータ156等は動作停止状態になる。従って、リセット信号がハイレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を許容する許容信号が出力されていることになり、リセット信号がローレベルである期間は、遊技制御用マイクロコンピュータ156等の動作を停止させる動作停止信号が出力されていることになる。なお、リセット回路をそれぞれの電気部品制御基板(電気部品を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されている基板)に搭載してもよい。
さらに、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、電源基板からの電源電圧が所定値以下に低下したことを示す電源断信号が入力される。すなわち、電源基板には、遊技機において使用される所定電圧(例えば、DC30VやDC5Vなど)の電圧値を監視して、電圧値があらかじめ定められた所定値にまで低下すると(電源電圧の低下を検出すると)、その旨を示す電源断信号を出力する電源監視回路が搭載されている。なお、電源監視回路を電源基板に搭載するのではなく、バックアップ電源によって電源バックアップされる基板(例えば、主基板31)に搭載するようにしてもよい。また、遊技制御用マイクロコンピュータ156の入力ポートには、RAMの内容をクリアすることを指示するためのクリアスイッチが操作されたことを示すクリア信号が入力される。
また、ゲートスイッチ32a、第1始動口スイッチ14a、第1入賞確認スイッチ14b、第2始動口スイッチ15a、第2入賞確認スイッチ15b、カウントスイッチ23、第3入賞確認スイッチ23aおよび各入賞口スイッチ30a,30bからの検出信号を基本回路に与える入力ドライバ回路58も主基板31に搭載され、可変入賞球装置15を開閉するソレノイド16、特別可変入賞球装置20を開閉するソレノイド21と、基本回路からの指令に従って駆動する出力回路59も主基板31に搭載され、電源投入時に遊技制御用マイクロコンピュータ156をリセットするためのシステムリセット回路(図示せず)や、大当り遊技状態の発生を示す大当り情報等の情報出力信号を、ターミナル基板91を介して、ホールコンピュータ等の外部装置に対して出力する情報出力回路64も主基板31に搭載されている。
この実施例では、演出制御基板80に搭載されている演出制御手段(演出制御用マイクロコンピュータで構成される。)が、中継基板77を介して遊技制御用マイクロコンピュータ156から演出内容を指示する演出制御コマンドを受信し、演出図柄を可変表示する演出表示装置9との表示制御を行う。
演出制御基板80は、演出制御用CPUおよびRAMを含む演出制御用マイクロコンピュータ(図示略)を搭載している。なお、RAMは外付けであってもよい。演出制御基板80において、演出制御用CPU(図示略)は、内蔵または外付けのROM(図示略)に格納されたプログラムに従って動作し、中継基板77を介して入力される主基板31からの取込信号(演出制御INT信号)に応じて、入力ドライバおよび入力ポートを介して演出制御コマンドを受信する。また、演出制御用CPU(図示略)は、演出制御コマンドにもとづいて、VDP(ビデオディスプレイプロセッサ)に演出表示装置9の表示制御を行わせる。
演出制御用CPU(図示略)は、受信した演出制御コマンドに従ってキャラクタROM(図示せず)から必要なデータを読み出す。キャラクタROMは、演出表示装置9に表示されるキャラクタ画像データ、具体的には、人物、文字、図形または記号等(演出図柄を含む)をあらかじめ格納しておくためのものである。演出制御用CPU(図示略)は、キャラクタROMから読み出したデータをVDPに出力する。VDPは、演出制御用CPUから入力されたデータにもとづいて表示制御を実行する。
演出制御コマンドおよび演出制御INT信号は、演出制御基板80において、まず、入力ドライバに入力する。入力ドライバは、中継基板77から入力された信号を演出制御基板80の内部に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80の内部から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路でもある。
中継基板77には、主基板31から入力された信号を演出制御基板80に向かう方向にしか通過させない(演出制御基板80から中継基板77への方向には信号を通過させない)信号方向規制手段としての単方向性回路(図示略)が搭載されている。単方向性回路として、例えばダイオードやトランジスタが使用される。さらに、単方向性回路であるI/Oポート部を介して主基板31から演出制御コマンドおよび演出制御INT信号が出力されるので、中継基板77から主基板31の内部に向かう信号が規制される。すなわち、中継基板77からの信号は主基板31の内部(遊技制御用マイクロコンピュータ156側)に入り込まない。
さらに、演出制御用CPU(図示略)は、出力ポート(図示略)を介してランプドライバ基板35に対してLEDを駆動する信号を出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して音声制御基板70に対して音番号データを出力する。また、演出制御用CPUは、出力ポートを介して駆動モータ503a,503b、装飾用ソレノイド553に対して駆動信号を出力する。また、演出制御用CPUは、入力ポートを介して可動センサ507a,507bからの検出信号を取得する。
ランプドライバ基板35において、LEDを駆動する信号は、入力ドライバ(図示略)を介してLEDドライバに入力される。LEDドライバは、駆動信号を天枠LED28a、左枠LED28b、右枠LED28c、導光板LED330などの枠側に設けられている各LEDに供給する。また、遊技盤側に設けられている装飾LED25a、可動LED530a〜530c、サイドLED555、装飾LED557,557aに駆動信号を供給する。なお、LED以外の発光体が設けられている場合には、それを駆動する駆動回路(ドライバ)がランプドライバ基板35に搭載される。
音声制御基板70において、音番号データは、入力ドライバ(図示略)を介して音声合成用IC(図示略)に入力される。音声合成用ICは、音番号データに応じた音声や効果音を発生し増幅回路(図示略)に出力する。増幅回路は、音声合成用ICの出力レベルを、ボリュームで設定されている音量に応じたレベルに増幅した音声信号をスピーカ27に出力する。音声データROM(図示略)には、音番号データに応じた制御データが格納されている。音番号データに応じた制御データは、所定期間(例えば演出図柄の変動期間)における効果音または音声の出力態様を時系列的に示すデータの集まりである。
次に、本発明が適用された演出装置500について、図面にもとづいて説明する。図4は、(a)は可動部材が隠蔽位置にある状態を示す正面図、(b)は可動部材が現出位置に位置した状態を示す図である。図5は、演出装置を示す斜視図である。図6は、演出装置の構造を示す分解斜視図である。図7は、図6の要部拡大図である。図8は、装飾ユニットの構造を示す分解斜視図である。図9は、(a)は装飾部材が起立した状態、(b)は傾倒した状態を示す駆動機構図である。図10は、図4のA−A断面図である。図11は、(a)はトーションバネを示す斜視図、(b)はバネ部材を示す斜視図である。図12は、図4のB−B断面図である。図13は、(a)は隠蔽位置、(b)は解除位置、(c)は現出位置にあるときのトーションバネの状態を示す図である。図14は、駆動モータのトルクとバネの付勢力との関係を示す概略説明図である。図15は、(a)は発光部と装飾部材と可動部材との前後位置関係、(b)は装飾部材と可動部材との前後位置関係を示す図である。図16は、演出装置の発光態様の一例を示す図である。図17は、同じく演出装置の発光態様の一例を示す図である。図18は、同じく演出装置の発光態様の一例を示す図である。図19は、駆動モータと各種LEDとの駆動状況を示すタイミングチャートである。図20は、変形例1としての演出装置の構成を示す概略図である。図21は、変形例2としての演出装置の構成を示す概略図である。図22は、装飾LEDの配置位置の変形例を示す概略図である。図23は、(a)は変形例3としての演出装置の構成を示す概略正面図、(b)は(a)のC−C断面図である。図24は、変形例4としての演出装置の構成を示す概略図である。
図4〜図6に示すように、演出装置500は、ベース部を構成する左右のベース部材501a,501bと、ベース部材501a,501bに対して移動可能に設けられた可動部を構成する可動部材502a,502bと、可動部材502a,502bを駆動させる駆動手段としての駆動モータ503a,503bと、右側の可動部材502bの前面側に該可動部材502bを隠蔽するように配設される装飾ユニット504(図6参照、図4,5では図示略)と、から主に構成される。
ベース部材501a,501bは、合成樹脂材により互いに対向方向に開口する正面視コ字形をなす板状部材に形成され、互いに連結されることにより、中央に演出表示装置9を視認可能とする長方形状の開口を有する四角枠状に形成される。そして、遊技盤6とその背面側に配設される演出表示装置9との間に、該演出表示装置9の周囲を覆うように遊技盤6または該遊技盤6の背面側に配設される部材等に固設される。
ベース部材501a,501bは、特に図6に示すように、可動部材502a,502bが回動可能に軸支される基板部505aと、基板部505aの上部外側から上方に向けて延設される垂直板部505bと、垂直板部505bの上端から反対側のベース部材501a,501bに向けて略水平に延設される水平板部505cと、から構成される。
基板部505aの前面には、可動部材502a,502bを回動可能に軸支する回動軸506a,506bが前方に向けて突設されているとともに、その近傍位置には、可動部材502a,502bが初期位置(後述する隠蔽位置)に位置していることを検出するための可動センサ507a,507bが取り付けられている。
また、回動軸506a,506bの近傍位置には、可動部材502a,502bの回動範囲を規制するための回転規制軸512a,512bが前方に向けて突設されているとともに、後述するトーションバネ522a,522bの一端を支持(係止)する柱状の第1バネ支持部513a,513bが前方に向けて突設されている。さらに周囲には取付穴508が複数個所に形成されており、各取付穴508には、駆動モータ503a,503bの取付板509a,509bがネジN1,N2によりそれぞれ取り付けられている。
取付板509a,509bは、基板部505aの前面に対し離間して配置されており、取付板509a,509bと基板部505aとの間には可動部材502a,502bの下部が移動可能に配置される。取付板509a,509bの背面側には、駆動モータ503a,503bが駆動軸503cを前面側に突出させるようにして取り付けられており、取付板509a,509bの前面側に突出された駆動軸503cの先端にはピニオンギヤ510a,510bが固着されている。
水平板部505cは、左右のベース部材501a,501bのうちいずれか一方の垂直板部505bの上端に一端が接続され、他方の垂直板部505bの上端に他端が接続される。前後の水平板部505cには、各々の回動軸506a,506bを中心とする円弧形状に形成されたガイド溝511a,511bが左右方向に形成されている。ガイド溝511a,511bは、特に図10に示すように縦断面下向きコ字形に形成され、可動部材502a,502bの上端を移動案内する案内部を構成している。
左右のベース部材501a,501bは、図6に示すように、左側のベース部材501aの基板部505aの右端部と右側のベース部材501bの基板部505aの左端部とをネジ(図示略)で接続するとともに、左側のベース部材501aの水平板部505cの右端部を右側のベース部材501bの水平板部505cの右端部に、また、右側のベース部材501bの水平板部505cの左端部を左側のベース部材501aの水平板部505cの左端部にネジ(図示略)にて接続することにより一体化される。また、一体化され四角枠状に形成された状態において、左側のベース部材501aの水平板部505cの前面側に右側のベース部材501bの水平板部505cが前後に重畳して配設される(図10参照)。
このように、ガイド溝511a,511bが形成される前後一対の水平板部505cは、それぞれ左右方向の中央位置にて分割されることなく、他方のベース部材501a,501bまで延設されてガイド溝511a,511bの途中に継ぎ目が形成されないので、組み付け精度等により溝内に段差等が生じて可動部材502a,502bが引っ掛かかりやすくなることがないので、可動部材502a,502bをスムーズに移動案内することができる。
また、ベース部材501a,501bと可動部材502a,502bとを左右のユニットに分けることで製造が容易になるとともに、左右のベース部材501a,501bの水平板部505cを前後に重畳させて組み付けることで、左右の水平板部505cの端部同士を左右方向の中央位置で接続する場合に比べて、ベース部材501a,501b同士が組み付けられたときの強度が向上する。
図7に示すように、可動部材502a,502bは、正面視略扇形状に形成される軸受部520aと、軸受部520aの周縁上端から上方に延設される可動演出部520bと、から構成されている。軸受部520aには、回動軸506a,506bが挿通される軸受孔521a,521bが形成されており、可動部材502a,502bが回動軸506a,506bを中心として回動可能に軸支される。
軸受孔521a,521bの近傍位置には、トーションバネ522a,522bの第2端部522dを離脱不能に支持(係止)する第2バネ支持部523a,523bが形成されている。トーションバネ522a,522bは、図11に示すように、通常時、つまり変形していない非変形時において一端側の第1端部522cと他端側の第2端部522dとが約120度の角度をなして略くの字形に維持され、巻回部522eを軸受孔521a,521bに合致させるようにして装着される。
また、トーションバネ522a,522bは、合成樹脂材からなるバネカバー525a,525bが装着された状態で回動軸506a,506bに装着される。バネカバー525a,525bは、巻回部522eをカバーする巻回カバー部524aと第1端部522cをカバーする帯板状の第1カバー部524bとを有する。巻回カバー部524a及び第1カバー部524bは、板状部とその周縁から立設される側壁とからトーションバネ522a,522bの一部を収容可能な凹状に形成されている。
巻回部522eの中心には、回動軸506a,506bの先端が嵌合可能な貫通孔524dが形成されている。また、第1カバー部524bの開口には第1端部522cの逸脱を防止するストッパ片524cが形成されている。そして、貫通孔524dに挿通した回動軸506a,506bの先端に止めネジN3を取り付けることで、可動部材502a,502bおよびトーションバネ522a,522bとバネカバー525a,525bとからなるバネ部材のベース部材501a,501bからの逸脱が防止される。
図7に戻って、軸受孔521a,521bの近傍位置には、回動軸506a,506bを中心とする円弧形状のセンサ凹溝526a,526bが形成され、可動センサ507a,507bが挿通可能に配設されている。センサ凹溝526a,526b内には、後述する隠蔽位置以外において可動センサ507a,507bにより検出される検出片526c(図13参照)が形成されている。
さらに外側には、回動軸506a,506bを中心とする円弧形状の回転規制溝527a,527bが形成されており、この回転規制溝527a,527b内に回転規制軸512a,512bが挿通されることで、可動部材502a,502bの回動範囲が規制されている。
軸受部520aの周縁は、回動軸506a,506bを中心とする円弧形状をなし、ピニオンギヤ510a,510bが噛合される従動ギヤ528a,528bが形成されている。よって、駆動モータ503a,503bによりピニオンギヤ510a,510bと従動ギヤ528a,528bとを介して可動部材502a,502bが回動する。
可動演出部520bは、「刀」を模した形状をなし、前面には透光性を有する合成樹脂材からなり、発光部を構成する略円形状のレンズ部材532a〜532cが上、中、下段にそれぞれ設けられている。内部には、各レンズ部材532a〜532cそれぞれに対応する位置に複数の可動LED530a〜530c(図12参照)が設けられた可動LED基板531が配設されており、各レンズ部材532a〜532cを通して前方に向けて光を出射可能に構成されている。また、可動演出部520bの上端には、板状のガイド片533a,533bが上方に向けて突設されており、前述したガイド溝511a,511bに下方から遊挿されることにより、可動演出部520bの上端が長手方向に移動案内されるようになっている。
このように可動演出部520bは、軸受部520aの外側端部から、つまり軸受孔521a,521bから外側に偏心した位置において上方に延設されていることで、可動部材502a,502bは正面視略L字形をなしている。
次に、装飾ユニット504について、図8及び図9にもとづいて説明する。装飾ユニット504は、透明な合成樹脂材からなる透光ベース550と、非透光性の合成樹脂材からなり、透光ベース550に対し上下動可能に設けられる駆動伝達部材551と、駆動伝達部材551に連係され、透光性を有するとともに所定色に着色された合成樹脂材により炎を模した形状に形成された上・中・下段の装飾部材552a〜552cと、装飾部材552a〜552cを駆動するための装飾用ソレノイド553と、装飾部材552a〜552cを右側方から照らすためのサイドLED555が設けられたサイドLED基板554と、遊技盤6に形成された開口周縁に設けられるセンター枠飾り11の一部に形成された枠側装飾部11a(図1参照)を背面側から照らすための装飾LED557,557aが複数設けられた装飾LED基板556と、から構成されている。
尚、装飾部材552a〜552cは、透光性を有する合成樹脂材により前面側に膨出する湾曲形状に形成され、所定色(例えばオレンジ色)に着色されることにより背面側の可動演出部520bを前方から視認し難くされているが、必ずしも着色される色の濃淡等により背面側の可動演出部520bを前方から視認し難くするものでなくてもよい。例えば盤面板200の透光性を低下させるために、裏面にサンドブラスト加工を施して粗面としてもよいし、例えば板厚を増大させてもよいし、素材に対する顔料等の異物の添加や、表面の塗装によって着色してもよいし、素材の発泡等の成形方法を変えてもよいし、成形された部材の表面形状や向きによって屈折角を異ならせることで、所定の方向から入射した光の遊技者側に対する透過性を低下させてもよく、このような加工等により背面側の可動演出部520bを前方から視認し難く隠蔽可能、かつ、透光性を有する部材であればよい。
透光ベース550は、可動演出部520bにおける各レンズ部材532a〜532cの前面側を被覆可能な大きさを有する帯板状の隠蔽部550aと、隠蔽部550aの上下端に突設された上下の取付部550b,550cと、から構成され、上下の取付部550b,550cがネジN4を介してベース部材501a,501bに止着される。隠蔽部550aの左側辺には、各装飾部材552a〜552cの背面下端に突設された前後方向を向く枢軸560a〜560cを軸支する軸受部561a〜561cが形成されている。各枢軸560a〜560cは、ブッシュ562a〜562cを介して軸受部561a〜561cに挿通され、その後端面にワッシャ563a〜563cを介して取り付けられるネジN5により軸受部561a〜561cからの逸脱が規制される。
隠蔽部550aの左側には、駆動伝達部材551を上下方向に移動案内するガイド支柱564a,564bが上下に突設されているとともに、上・中・下段には、各軸受部561a〜561cを中心とする円弧形状をなす第1長孔566a〜566c及び第2長孔566a〜566cが形成されている。
駆動伝達部材551は、上下方向に延びる帯板部材からなり、上端・中央・下端には左右方向を向く連結長孔570a〜570cが形成されているとともに、連結長孔570aと連結長孔570bとの間および連結長孔570cと連結長孔570bとの間には、上下方向を向くガイド長孔571a,571bが形成されており、ガイド長孔571a,571b内にガイド支柱564a,564bが挿通されることで、透光ベース550に対し駆動伝達部材551が上下方向に移動案内される。
また、下側のガイド長孔571bの左側には、装飾用ソレノイド553のプランジャ553aが挿通される連結孔572を有する連結片551aが突設されている。このように装飾用ソレノイド553に連結された駆動伝達部材551は、装飾用ソレノイド553の励磁が解除されているときは下方位置(初期位置)に位置し、励磁されたときはプランジャ553aが収縮して上方位置に移動されるようになっている。
装飾部材552a〜552cは、前述したようにそれぞれ背面下端に枢軸560a〜560cが突設されているとともに、枢軸560a〜560cの近傍位置における連結長孔570a〜570cに対応する位置には連結軸573a〜573cが突設され、さらにその近傍位置にはガイド軸574a〜574cが突設されている。そして、連結軸573a〜573cは連結長孔570a〜570cに挿通され、ガイド軸574a〜574cは直接第2長孔566a〜566cに挿通されている。
よって、装飾用ソレノイド553が非励磁状態で駆動伝達部材551が下方位置にある状態では、各装飾部材552a〜552cは上方に起立した起立姿勢に保持され(図9(a)参照)、装飾用ソレノイド553が励磁されて駆動伝達部材551が上方位置まで上昇すると、各装飾部材552a〜552cの連結軸573a〜573cが枢軸560a〜560cを中心として上方に回転することにより、各装飾部材552a〜552cは上端がやや左方に傾倒した傾倒姿勢に保持される(図9(b)参照)。尚、傾倒姿勢になると、隠蔽部550aの左縁辺よりも各装飾部材552a〜552cが左側に突出するように設けられるため、その背面側に配置される可動演出部520bをより確実に隠蔽することが可能となる。
サイドLED基板554は、上段及び中段の装飾部材552a,552bの右側方に、サイドLED555が各装飾部材552a〜552c側を向くように隠蔽部550aに対して略直交するように配置され、各装飾部材552a〜552cを側方から照らすようになっている。
図12に示すように、装飾LED基板556は、前面に装飾LED557が複数配設されるとともに、背面にも装飾LED557aが複数配設されている。そして隠蔽部550aに対して離間して配置され、サイドLED基板554や装飾用ソレノイド553の前方を覆うようにこれらの前面側に取り付けられる。取り付けられた状態において、前面側の装飾LED557がセンター枠飾り11の一部に形成された枠側装飾部11a(図1参照)の背面側に配置され、該枠側装飾部11aに向けて光を出射可能となるとともに、背面側の装飾LED557aが装飾部材552a〜552cの前面側に配置され、該装飾部材552a〜552cに向けて光を出射可能となる。また、装飾LED557の前面は、透明な合成樹脂材からなるカバー部材558が取り付けられて被覆される。
次に、このように構成された演出装置500の作用を、図面にもとづいて説明する。
図4に示すように、可動部材502a,502bは、可動演出部520bが垂直板部505bの前面側に重畳するように起立姿勢で配置され、開口内に配置される演出表示装置9の表示画面(図示略)から側方の装飾部材552a〜552cの背面側に退避して該装飾部材552a〜552cにより遊技者側から視認し難くまたは視認不能に隠蔽される隠蔽位置と(図4(a)参照)、可動演出部520bが開口内に配置される演出表示装置9の表示画面(図示略)側に突出して現出され、該表示画面に重畳するように配置される現出位置(図4(b)参照)との間で、回動軸506a,506bを中心として往復回動可能に設けられている。
そして、駆動モータ503a,503bによりピニオンギヤ510a,510bが回転駆動されることにより、従動ギヤ528bを介して可動部材502a,502bが回動する。尚、各可動部材502a,502bに対応して駆動モータ503a,503bが別個に設けられているので、いずれか一方の駆動モータ503a,503bにより一方の可動部材502a,502bのみ駆動したり、双方の駆動モータ503a,503bにより双方の可動部材502a,502bを連動することも可能である。
また、現出位置において、左右の可動部材502a,502bは前後に配置され、互いの可動演出部520bが演出表示装置9の前面側で正面視略X状に交差するため、左右の可動部材502a,502bが別個に可動するだけのものに比べて演出効果が向上される。
次に、可動部材502a,502bの回動に伴うトーションバネ522a,522bの変形状況を図13にもとづいて説明する。尚、左右の可動部材502a,502bの駆動機構は形状が異なるものの駆動原理は同様であるため、図13においては、右側の可動部材502bの回動に伴うトーションバネ522bの状況のみを説明し、左側の可動部材502aの回動に伴うトーションバネ522aの状況については省略する。
まず、可動部材502bが隠蔽位置にあるときは、ベース部材側の第1バネ支持部513bに対して、可動部側の第2バネ支持部523bが近傍位置にあり、第1バネ支持部513bに対しトーションバネ522bの第1端部522cが係止されるとともに、第2バネ支持部523bに対しトーションバネ522bの第2端部522dが係止されることで、トーションバネ522bは、第1端部522cと他端側の第2端部522dとが約90度の角度をなすように圧縮変形状態となる。つまり、可動部材502bは、隠蔽位置においてトーションバネ522bの弾性復帰力により現出位置に向けて付勢されている。
また、可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて回転するに従い、第1バネ支持部513bから第2バネ支持部523bが次第に遠ざかっていくので、トーションバネ522bは漸次伸長されていく。そして、隠蔽位置から約30度回転した解除位置において、トーションバネ522bは完全に伸長して、第1端部522cと他端側の第2端部522dとが約120度の角度をなす非変形状態となる。つまり、第1バネ支持部513bに対し第1端部522cが係止され、第2バネ支持部523bに対し第2端部522dが係止されているが、可動部材502bに対しトーションバネ522bの付勢力は付与されない。
さらに、可動部材502bが解除位置から現出位置に向けて回転するに従い、第1バネ支持部513bから第2バネ支持部523bが遠ざかっていくので、完全に非変形状態となるとともに、トーションバネ522bの第1端部522cが第1バネ支持部513bから離脱され離れていく。つまり、解除位置から現出位置まで、トーションバネ522bの第1端部522cが第1バネ支持部513bから離脱されて付勢力が可動部材502bに伝達されなくなる。
このように、隠蔽位置から解除位置までの約30度の回転範囲においては、トーションバネ522bによる付勢力が可動部材502bに伝達されるとともに、隠蔽位置において圧縮変形量が最大となるため、隠蔽位置から回転させる際に駆動モータ503bにかかる負荷を低減することが可能となる。
また、解除位置から現出位置までの約30度の回転範囲においては、トーションバネ522bによる付勢力が可動部材502bに伝達されなくなり、圧縮変形量が0になる。よって、現出位置から逆回転させて隠蔽位置まで戻す際に、トーションバネ522bによる付勢力が付与されないため、駆動モータ503bにかかる負荷を低減することが可能となる。
すなわち、ベース側支持部である第1バネ支持部513b及び可動側支持部である第2バネ支持部523bは、可動部材502bが隠蔽位置にあるときに、トーションバネ522bの付勢力を伝達して可動部材502bを現出位置側に移動させるように、トーションバネ522bの第1端部522cと第2端部522dとを支持し(図13(a)(b)参照)、可動部材502bが隠蔽位置と現出位置との間の所定の解除位置にあるときに、トーションバネ522bの付勢力が可動部材502bに伝達されないように、トーションバネ522bの第1端部522cの支持を解除する(図13(c)参照)。
ここで、トーションバネ522bと可動部材502bの荷重と駆動モータ503bのトルクとの関係について、図14の原理図にもとづいて説明する。尚、可動部材502bの重心Gは、略L字形に形成されている可動部材502bの可動演出部520bの略中央位置にあると仮定するもとする。
可動部材502bは、可動部材502bの重心位置Gが回動軸506bの略鉛直上方に位置する解除位置(図14(b)参照)を回転の基準位置(角度θ=0度)とした場合、可動部材502bの重心位置Gが紙面右側方に約30度(θ1≒π/6=30度)回転した位置に配置される隠蔽位置と(図14(a)参照)、可動部材502bの重心位置Gが紙面左側方に約25度(θ2≒0.14π=−25度)回転した位置に配置される現出位置と(図14(c)参照)、の間で往復動可能に設けられている。
ここで、回動軸506bを中心に回動する可動部材502bに、該可動部材502bの自重によって生じるモーメント力は、回動軸506bと該回動軸506bを通過する水平な仮想線と重心位置Gを通過する垂線とが交差する位置G’との偏心距離l(回動軸506bと重心位置Gとの距離をLとすると、Lsinθ)に可動部材502bの質量mを乗算した値となるため、可動部材502bに自重により発生する自重回転モーメント力FはLmsinθの関係式にて表すことができる。
つまり、θ=0のときにsinθは0であるので、重心位置Gが回動軸506bの直上の基準位置にあるときには、回転モーメント力Fは0であるのに対し、θ=θ1≒π/6=30度となった時にLmsinπ/6で最大となる。
本実施例では、図14に示すように、可動部材502bには、上記した自重回転モーメント力Fと、トーションバネ522bによる付勢トルクH(トーションバネ522の角度バネレートをK、トーションバネ522と可動部材502bとの支持部523bにおける作用点Qと回動軸506bとの距離をSとすると、H=SKθ)と、駆動モータ503bによる回転トルクT(現出位置側への回転力をプラス、隠蔽位置側への回転力をマイナスとする)とが作用し、可動部材502bに作用する回転力(トルク)Rは、R=T+H−Fとなる。
よって、駆動モータ503bがoff、つまり、駆動モータ503bによる回転トルクTが0の場合には、R=H−Fとなり、トーションバネ522bの付勢トルクHよりも可動部材502bの自重回転モーメント力Fが大きくなる、つまり、Lmsinθ>SKθとなる角度バネレートをKのトーションバネ522bを使用することで、駆動モータ503bがoffになっても、トーションバネ522bによる付勢トルクにより可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて移動してしまうことがなく、隠蔽位置側に移動して安定停止される。
また、隠蔽位置においては、トーションバネ522bの変形による付勢トルクH=SKθ1が、θが最大となることで付勢トルクHが最大となり、これら付勢トルクHと自重回転モーメント力Fとがほぼ釣り合う、つまり、Lmsin(π/6)≒SK(π/6)となる角度バネレートKのトーションバネ522bを使用することで、駆動モータ503bにより可動部材502bを隠蔽位置から移動を開始させる際に、静摩擦に該当する回転トルクTを発生するのみで可動部材502bが回動を開始するようになるので、隠蔽位置近傍において駆動モータ503bにかかる負荷を軽減できる。
また、隠蔽位置から解除位置までの間は、重心位置Gが移動することにより偏心距離lが小さくなるため、駆動軸503cにかかるモーメントは漸次減少していくのに伴って、トーションバネ522bの変形量(変形角度)も小さくなって付勢トルクHも漸減する。
そして、図14(b)に示すように、重心位置Gが回動軸506bの鉛直上方の解除位置となったとき、上述したように、偏心距離lは0になるので駆動軸503cにかかるモーメントはほぼ0になるとともに、トーションバネ522bの変形量(変形角度)が0になる、つまり非変形状態になる。
さらに解除位置から現出位置までの間は、重心位置Gが回動軸506bの鉛直上方位置から向かって水平左方向に移動して偏心距離lが再び大きくなるとともに、θの値がマイナスとなることで自重回転モーメント力F=がマイナスの値となるために回転力Rにおける「−F」の項の値が正の値となる、つまり、現出位置側へ回転させる自重回転モーメント力F(隠蔽位置側とは逆方向のトルク)が働くため、小さな駆動力で可動部材502bを現出位置まで移動させることができる。
また、解除位置から現出位置までの間においては、トーションバネ522bと可動部材502bとの係合が解除位置において変形量が0となることにより解除されるため、付勢トルクHは付与されない。よって、駆動モータ503bが、可動部材502bを現出位置から隠蔽位置に逆移動させる際には、これら逆移動させるための駆動モータ503bの逆トルクに抗するトーションバネ522bによる付勢トルクHが存在しないので、駆動モータ503bにかかる負荷がこれら付勢トルクHによって大きくなってしまうことを回避できる。
本実施例では、上述したように、可動部材502bの移動(回動)に伴って、可動部材502bにかかる自重回転モーメント力Fが変化することで、駆動モータ503bの駆動軸503cにかかる力が変化する。このように、可動部材502bにかかる自重回転モーメント力Fが変化するものにおいては、隠蔽位置と現出位置との間において、自重回転モーメント力Fが0、または0に近い位置においてバネによる付勢トルクが解除されるように、バネを設ければよい。
以上説明したように、演出装置500にあっては、ベース側支持部である第1バネ支持部513a,513b及び可動側支持部である第2バネ支持部523a,523bは、可動部材502a,502bが隠蔽位置にあるときに、トーションバネ522a,522bの付勢力を伝達して可動部材502a,502bを現出位置側に移動させるように、トーションバネ522a,522bの第1端部522cと第2端部522dとを支持し(図13(a)(b)参照)、可動部材502a,502bが隠蔽位置と現出位置との間の所定の解除位置にあるときに、トーションバネ522a,522bの付勢力が可動部材502a,502bに伝達されないように、トーションバネ522a,522bの第1端部522cの支持を解除する(図13(c)参照)。
よって、駆動モータ503a,503bにより可動部材502a,502bを隠蔽位置から解除位置まで移動させる間は、トーションバネ522a,522bの第1端部522cと第2端部522dとが第1バネ支持部513a,513bと第2バネ支持部523a,523bとに支持されて、トーションバネ522a,522bによる付勢力が可動部材502a,502bに伝達されるので、駆動開始時における静止摩擦による駆動モータ503a,503bへの負荷が軽減されるとともに、解除位置を過ぎると、トーションバネ522a,522bの第1端部522cが第1バネ支持部513a,513bに支持されなくなり、トーションバネ522a,522bによる付勢力が可動部材502a,502bに伝達されなくなるため、可動部材502a,502bを現出位置から隠蔽位置に向けて折返し駆動させる際に、駆動モータ503a,503bにトーションバネ522a,522bの付勢力による負荷がかかることが防止される。
また、可動部材502a,502bは、ベース部材501a,501bに設けられた回動軸506a,506bを中心として、隠蔽位置と現出位置との間で重心位置Gが回動軸506a,506bの鉛直上方の基準位置(角度θ=0度)を通過するように回動可能に設けられ、第1バネ支持部513a,513bは、隠蔽位置と基準位置との間の所定位置である基準位置を解除位置として、第1端部522cの支持を解除することで、可動部材502a,502bを隠蔽位置から基準位置まで上昇駆動させるときには、トーションバネ522a,522bによる付勢力が可動部材502a,502bに伝達されることで駆動モータ503a,503bの負荷が軽減される一方、基準位置から現出位置まで下降駆動させるときには、トーションバネ522a,522bによる付勢力が可動部材502a,502bに伝達されないので、可動部材502a,502bを現出位置から隠蔽位置に向けて折返し駆動させる際に、駆動モータ503a,503bにトーションバネ522a,522bの付勢力による負荷がかかることが防止される。
また、可動演出部520bの鉛直下方に回動軸506a,506bを配置した場合、隠蔽位置から現出位置に向けて可動演出部520bを回転させる場合、下方に向けて傾倒する動作になるため、現出位置から隠蔽位置に戻す際に可動部材502a,502bの自重により生じるモーメント力が大きくなり、回転駆動時に駆動モータ503a,503bにかかる負荷が著しく増大するが、本実施例のように回動軸506a,506bが鉛直下方からずれた偏心位置にあることで、隠蔽位置と現出位置との間に重心が釣り合う回転基準位置が設けられ、該回転基準位置から隠蔽位置または現出位置までの回転角度が互いに分散されて小さくなり、いずれか一方の回転角度が極端に大きくなることを回避できるので、隠蔽位置または現出位置のいずれかにおいて回転駆動時に駆動モータ503a,503bにかかる負荷が著しく増大することを防止できる。これにより、付勢力が著しく大きいトーションバネ522a,522bを使用しなくても回転駆動を補助することができるので、製造コストを低減できる。
さらに、可動部材502a,502bは正面視略L字形に形成されていることで、図4(a)に示すように、可動演出部520bが演出表示装置9の左右側に起立姿勢で退避された状態において、回動軸506a,506bは可動演出部520bの鉛直下方から左右方向の中央位置側にずれた位置に設けられるため、可動演出部520bの鉛直下方に他の部材等があって回動軸506a,506bを配置できない場合に対応できる。
また、付勢部材としてトーションバネを使用することで、可動部材502a,502bの回動軸506a,506bを利用してトーションバネを支持することができるので、トーションバネの位置ずれを規制する部位や部品を別個に形成しなくて済むとともに、回転変形なのでコンパクトに設けることができる。
また、可動部材502a,502bの基準位置から隠蔽位置までの回転角度(θ1≒π/6=30度)は、基準位置から現出位置までの回転角度(θ2≒0.14π=−25度)よりも大きい(θ1>θ2)ことで、可動部材502a,502bの自重により生じるモーメント力Fが大きい隠蔽位置側において、トーションバネ522a,522bによる付勢力が可動部材502a,502bに伝達されるので、駆動モータ503a,503bの負荷が軽減される。
また、第2バネ支持部523a,523bは、可動部材502a,502bが解除位置と隠蔽位置との間にあるときでも、トーションバネ522a,522bの第2端部522dを離脱不能に支持することで、例えば演出装置500の組み付け時において、トーションバネ522a,522bを可動部材502a,502bとともにベース部材501a,501bに対して取り付けたり取り外したりすることができるため、作業性が向上する。
また、本実施例では、金属製の線材からなるトーションバネ522a,522bの第1端部522cが、合成樹脂材からなる第1カバー部524bによりカバーされ、該第1カバー部524bの平坦面状の側面が、円柱状の第1バネ支持部513a,513bの周面に対し線接触で支持される。よって、線材からなる第1端部522cを直接第1バネ支持部513a,513bに支持させる場合に比べて接触面積が増大することで、第1カバー部524bの当接(支持)及び離脱(支持解除)が繰り返されても双方の部材が磨耗しにくくなるため、耐用年数が長くなる。さらに、互いの接触面を摩擦抵抗の小さい平坦面としたり、摩擦抵抗の小さい素材にて構成すれば、双方の部材がより磨耗しにくくすることができる。
また、本実施例では、可動部材502a,502bを現出位置に向けて付勢する付勢部材の一例として、トーションバネ522a,522bが適用されていたが、少なくとも隠蔽位置において可動部材502a,502bを現出位置に向けて付勢することができるものであれば、トーションバネ以外のバネ部材も適用可能である。図20は、変形例1としての演出装置を示す概略説明図である。
図20に示すように、変形例1としての演出装置500Aは、ベース部600に対し一端が軸支され、第1位置Aと第2位置Bとの間で回動可能に設けられている可動部601が第1位置Aに位置したときに圧縮コイルバネ602により第2位置Bに向けて付勢する。圧縮コイルバネ602は、一端がベース部600に係止され、他端が可動部601における回動軸以外の箇所に対し離脱可能に係止されている。
圧縮コイルバネ602は、第1位置Aから該第1位置Aと第2位置Bとの間の第3位置Cまでの移動範囲内において変形し、可動部601に対し付勢力を付与するとともに、第3位置から第2位置までの移動範囲内において変形はせず、可動部601に対し付勢力を付与しない。
このように付勢部材は、トーションバネだけではなく圧縮コイルバネであってもよく、また、回動軸以外の箇所に設けられていてもよい。また、一端がベース部600のベース側支持部に対し離脱可能に支持され、他端が可動部601の可動側支持部における回動軸以外の箇所に支持されていてもよい。
さらに付勢部材は、ベース側支持部または可動側支持部のいずれかに対して一端または他端が離脱可能に支持されているものに限定されず、隠蔽位置と解除位置との間において付勢部材の付勢力を伝達して可動部を現出位置側に移動させるように付勢部材の一端と他端とを支持するように設けられていれば、ベース側支持部及び可動側支持部に対して一端及び他端が離脱可能に設けられていてもよい。
また、演出装置500は、可動部材502a,502bが一端を中心として揺動可能に設けられていたが、例えば、可動部が上下・前後・左右方向のいずれかに直線往復移動可能に設けられてもよい。図21は、本発明の変形例2としての演出装置を示す概略説明図である。
図21に示すように、変形例2としての演出装置500Bは、可動部611がベース部610に対し第1位置Aと第2位置Bとの間で直線往復動可能に設けられている。詳しくは、可動部611は、ベース部610に固定された上下方向を向くガイド棒614により昇降可能に案内された移動部材613に取り付けられている。一方、ベース部610には、可動部611の移動方向に向けて伸縮可能に設けられた引張りコイルバネ612の一端が係止されており、この引張りコイルバネ612の他端に設けられた係止片612aは、可動部611が第2位置Bから第3位置Cに移動してきたときに移動部材613の被係止片613aに係止され、可動部611の下降にともない、第3位置Cから第1位置Aに向けて押し下げられる。
つまり、可動部611が第3位置Cと第1位置Aとの間に位置するときには引張りコイルバネ612が伸長(変形)して該可動部第2位置Bに向けて付勢するため、第1位置Aにおいて上方に移動させる際における駆動モータ(図示略)の負荷が軽減される。また、引張りコイルバネ612の一端はベース部610に係止され、他端が可動部611に対し離脱可能に係止されるため、第2位置Bにおいて引張りコイルバネ612の付勢力に抗して下降させる必要がない。
また、本変形例2では可動部611が上下方向に往復動可能に設けられていたが、左右方向に往復動可能に設けられていてもよい。
また、バネ部材は、上記したトーションバネ、圧縮バネ、引張りバネに限定されるものではなく、種々に変形可能である。また、変形に応じて付勢力が変化するものだけでなく、変化しないものであってもよい。
また、付勢部材は、上記したようなバネ部材に限定されるものではなく、例えば可動部に復帰力(付勢力)を付与可能なものであれば、例えばゴム部材等の他の弾性部材であってもよいし、あるいはエアダンパー等も適用可能である。
また、付勢部材は、一の可動部に対し複数設けられていてもよい。さらに、本実施例及び変形例では、付勢部材は可動部を第1位置にて第2位置に向けて付勢するものであったが、第2位置にて第1位置に向けて付勢する第2付勢部材を別途設けてもよい。この場合、第2付勢部材による付勢も解除位置にて解除されればよい。
図15に戻って、本実施例における演出装置500の可動部材502bは、隠蔽位置に位置したときに、該可動部材502bの前面側に配設される装飾ユニット504及びセンター枠飾り11の一部である枠側装飾部11a(炎を模した形状をなす部材)により、遊技者側から視認不能に隠蔽されるようになっている。
図12及び図15に示すように、可動部材502bの可動演出部520bは、隠蔽位置に位置したときに装飾ユニット504の背面側に配置される。尚、装飾ユニット504は、枠側装飾部11aの背面側に配設される。そして、透光ベース550は、透明な合成樹脂材にて構成されているが、センター枠飾り11の枠側装飾部11a及び装飾部材552a〜552cは、透光性を有する合成樹脂材にて構成されているものの、所定色(例えば赤色)に着色されていることで、光は通すものの、背面側の可動部材502bを透視できるほどの透光性は有していない。さらに、枠側装飾部11aの背面には装飾LED基板556が配設されるため、背面側の可動部材502bを視認し難くなる。
そして、図15(a)に示すように、枠側装飾部11a及び装飾部材552a〜552cは互いに左右方向に僅かにずれた状態で配設されることで、透光ベース550の前面側は枠側装飾部11a及び装飾部材552a〜552c双方により左右幅方向にわたり被覆されている。すなわち、透光ベース550とその背面側に配設される装飾部材552a〜552cは遊技者側から殆ど見えないようになっている。
このように、可動部材502bが隠蔽位置に位置したときに、該可動部材502bの少なくとも発光部である各レンズ部材532a〜532cの前面側が枠側装飾部11a及び装飾部材552a〜552cにより遊技者側から視認不能に隠蔽されるとともに、透光ベース550に設けられる装飾部材552a〜552cからなる装飾部を、可動部材502bに設けられた可動LED530a〜530cの光により装飾することができるようになっている。
すなわち、図15(b)に示すように(図15(b)は枠側装飾部11aの図示を省略している)、可動部材502bは隠蔽位置に位置したときに、発光部である各レンズ部材532a〜532cが装飾部材552a〜552cの背面、つまり装飾部の光導入部に対向して配置されるため、隠蔽位置において隠蔽された状態においても、可動LED530a〜530cを発光させることにより、装飾部材552a〜552cを効果的に発光させることができる。
ここで、このように構成された演出装置500における発光態様の一例を、図19のタイミングチャートとにもとづいて、図16〜図18に示す概略図を参照しながら説明する。尚、図16〜図18では各部材が概略的に示されている。
まず、通常時においては、装飾LED557(557a)、サイドLED555、可動LED530a〜530cは消灯されており、特別図柄の変動表示が開始されたことにもとづいて、例えば装飾LED557が発光するようになっている(図16(a)参照)。
そして、変動表示が開始された後、リーチが成立した場合、装飾LED557が消灯した後(図16(b)参照)、これに替わり背面側の装飾LED557a(図示略)及びサイドLED555が点灯し(図16(c)参照)、さらに可動LED530a〜530cが点灯する。このように段階的に点灯していくことでスーパーリーチへ発展することに対する期待感を煽る(図17(d)参照)。尚、このとき可動LED530a〜530cは例えば単色が点灯される。
次いで、サイドLED555及び可動LED530a〜530cが消灯すると同時に駆動モータ503bがonになり、可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて駆動される(図17(e)参照)。そして現出位置に到達して駆動モータ503bがoffになると同時に、サイドLED555及び可動LED530a〜530cが再び点灯する(図17(f)参照)。このとき可動LED530a〜530cは例えば複数色が交互に点灯される。
また、ここでは左側の可動部材502aは図示されていないが、図4(b)にて説明したように、現出位置において左右の可動部材502a,502bが略X字状に交差するが、このとき中段のレンズ部材532b同士が前後に重畳されるため、前面側のレンズ部材532bに対応する可動LED530bを、上段や下段の可動LED530a,530bとは異なる発光態様にて発光させることで、前後の重畳状態を際立たせることができる。
現出位置に到達してから所定時間が経過したら、駆動モータ503bがonになって可動部材502bが現出位置から隠蔽位置に向けて駆動される(図18(g)参照)。そして、隠蔽位置に到達する直前で、サイドLED555及び可動LED530a〜530cが消灯され(図18(h)参照)、隠蔽位置に到達して駆動モータ503bがoffになると同時に、装飾LED557が点灯し、変動表示はスーパーリーチに発展する。
このように、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502bが隠蔽位置から現出位置に向けて移動を開始する直前や、隠蔽位置に到達する直前において、可動LED530a〜530cを消灯するので、可動LED530a〜530cが隠蔽位置から次第に遠ざかって装飾部材552a〜552cの光が徐々に弱まったり、可動LED530a〜530cが隠蔽位置に到達してないのに装飾部材552a〜552cが光ることにより、遊技者に違和感を与えることがない。
また、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置するとき(図17(d)参照)と現出位置に位置するとき(図17(f)参照)とで、可動LED530a〜530cを異なる発光態様で発光させることで、現出位置で発光する場合と隠蔽位置で発光する場合とで発光態様が変わるため、印象を異ならせることができる。
尚、演出制御用マイクロコンピュータは、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置するときと現出位置に位置するときとで、光の輝度、LEDの発光数、発光時間、発光間隔(点滅)、発光色、明度等のうち少なくともいずれか1つを異ならせることで印象が変わるようにしてもよい。
尚、ここでは特別図柄の変動表示に伴う装飾ユニット504及び枠側装飾部11aの発光状況の一例を説明したが、非変動表示中(待機状態も含む)や大当り遊技状態中等他の遊技状態においても、装飾ユニット504及び枠側装飾部11aは発光可能である。
以上説明したように、演出装置500にあっては、可動部材502bが隠蔽部である枠側装飾部11a及び装飾部材552a〜552cにより隠蔽されたときに、可動部材502bに設けられた可動LED530a〜530cからの光が装飾部材552a〜552cの背面である光導入部に入射可能となることで、可動LED530a〜530cにより装飾部材552a〜552cを発光させることができるため、可動部材502bが隠蔽されたときでも該可動部材502bの可動LED530a〜530cを有効に利用して装飾部材552a〜552cを発光させることができる。
また、装飾部材552a〜552cは、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置するときにレンズ部材532a〜532cを遊技者側から視認し難くまたは視認不能に隠蔽可能に設けられる透光性を有する部材(オレンジ色に着色された半透明の合成樹脂材)からなり、レンズ部材532a〜532cからの光を透過することにより発光されることで、装飾部材552a〜552cは、隠蔽位置においてレンズ部材532a〜532cを隠蔽できるとともに、該レンズ部材532a〜532cからの光が透過されることにより発光されるため、レンズ部材532a〜532cの隠蔽と装飾部材552a〜552cの発光とを装飾部材552a〜552cのみで行うことができる。
また、隠蔽位置において、装飾部としての装飾部材552a〜552cにより発光部としてのレンズ部材532a〜532cを隠蔽する場合、すなわち、隠蔽位置において装飾部材552a〜552cの背面側に可動部材502a,502b(発光部)が配置されるものにおいては、装飾部材552a〜552cと可動部材502a,502bとの間にLED基板等を配置すると、前後方向の寸法が大きくなり演出装置の厚みが増大してしまうため、隠蔽位置において装飾部により可動部(発光部)を隠蔽可能とし、かつ、可動部に設けられた発光部を利用して装飾部を発光できるようにすることで、遊技盤6の背面側に設けられる演出装置500の前後寸法を極力短寸に抑えることができる。
また、装飾部材552a〜552cは装飾用ソレノイド553により可動(揺動)可能に設けられていることで、装飾部材552a〜552cの発光態様を、発光制御ではなく動作態様により変化させることができるため、演出効果が向上する。さらに、発光態様と動作態様の変化を組み合わせることで、演出パターンを増加させることができる。
また、本実施例では、可動部材502a,502bが隠蔽位置に位置したときに可動演出部520bのほぼ全体が遊技者側から隠蔽されるようになっていたが、少なくとも発光部に相当するレンズ部材532a〜532cが隠蔽されるようになっていればよい。
また、枠側装飾部11aとレンズ部材532a〜532cとの間に、該枠側装飾部11aを発光させる発光装置としての装飾LED557が設けられていることで、可動部材502a,502bが隠蔽位置から移動してしまっても、装飾LED557により枠側装飾部11aを装飾することができるので、演出効果が高まる。
また、枠側装飾部11aも透光性を有しながらもレンズ部材532a〜532cを隠蔽可能に設けられており、これにより隠蔽壁などを隠蔽位置に別個に設けなくても隠蔽できるので、その分前後幅が薄くなるので、背面側に装飾LED557を配置して、現出位置においても枠側装飾部11aを発光させることができる。
また、装飾部材552a〜552cの右側方に配置されたサイドLED555でも、可動部材502a,502bが隠蔽位置から移動してしまったときに枠側装飾部11aを装飾することができる。
また、本実施例では、サイドLED555は装飾部材552a〜552cの右側方から光を照射可能に設けられていたが、例えば図22に示す概略図のように、装飾部材552a〜552cの背面側であって、隠蔽位置に位置した可動部材502a,502bよりもさらに背面側に配設されるようになっていてもよい。
また、本実施例では、可動部材502a,502bは隠蔽位置と現出位置との間で往復動可能に設けられていたが、例えば可動部を所定の回動軸を中心として360度回動可能に設けてもよい。さらに、移動領域内に複数の隠蔽位置と現出位置を設けてもよい。
また、本実施例では、隠蔽位置において可動部材502a,502bを隠蔽する隠蔽部としての装飾部材552a〜552cは、可動LED530a〜530cの光により発光される装飾部であった。すなわち、隠蔽部と装飾部とが同一部材にて同じ箇所に構成されていたが、装飾部は隠蔽部とは別箇所に設けられていてもよい。
図23に示すように、本発明の変形例3としての演出装置500Cは、ベース部700と可動部701とからなり、可動部701は、ベース部700の下面に形成された凹部703内に退避される上昇位置と該上昇位置から下降した下降位置との間で移動可能に設けられている。つまり、凹部703の前面側に存在する壁部により隠蔽部702が形成されている。
可動部701内には、下降位置において発光する第1可動LED704が前方に向けて照射可能に設けられているとともに、上昇位置において発光する第2可動LED705が右側方に向けて照射可能に設けられている。
また、隠蔽部702の右側には、透光性を有する合成樹脂材からなる導光部材707の前面により装飾部706が形成されている。そして、この導光部材707の左端面は凹部703の右内側面に露呈され、装飾部706を発光させるための光を導入可能とする光導入部708を構成している。光導入部708は、可動部701が凹部703内に退避されたときに、第2可動LED705に対して対向する対向位置に設けられているため、第2可動LED705が発光することによりその光が光導入部708から入射されるようになっている。
つまり、第2可動LED705の光は光導入部708から導光部材707内に入射され、内部を導光された後、装飾部706から出射される。よって、第2可動LED705からの光により、隠蔽部702とは異なる位置に設けられた装飾部706を発光させることができる。
尚、本変形例3では、第2可動LED705からの光を導光部材707を介して装飾部706に導光させるようになっていたが、凹部703内における右側方に装飾部材を配設し、第2可動LED705からの直接光により装飾部材を発光させてもよい。
また、変形例3では、装飾部706は隠蔽部702とは異なる位置に設けられていたが、隠蔽部702の前面側に第2可動LED705からの光により発光する装飾部材711が設けられていてもよい。
図24に示すように、本発明の変形例4としての演出装置500Dは、変形例3の演出装置500Cにおける隠蔽部702の前面に透光性部材からなる装飾部材711が設けられており、その背面側には、第2可動LED705からの光を装飾部材711に導光するための導光部材710が設けられている。導光部材710は、光導入部710aが凹部703の右内側面に露呈して設けられ、光出射部710bが装飾部材711の背面所定箇所に当接して設けられている。
よって、可動部701が凹部703内に退避されたときに、第2可動LED705の対向位置に光導入部710aが配置されることで、第2可動LED705からの光が導光部材710を介して装飾部材711に導光され、装飾部材711の背面に形成された反射部にて光が前面側に反射されて発光するようになる。
また、変形例3,4では、第2可動LED705からの光が導光部材を介して装飾部材に導光されるようになっていたが、凹部703内において反射部材等を介して反射された光を装飾部材に直接照射されるようにしてもよい。
図25に示すように、本発明の変形例5としての演出装置500Eは、隠蔽部702の右側に透光性を有する合成樹脂材からなる装飾部材720が配設されるとともに、その背面は凹部703に連通されている。また、第2可動LED705は、凹部703の背面における可動部701の右側方に設けられた反射鏡721に向けて照射可能に設けられており、該反射鏡721にて反射された光がその前方の装飾部材720の背面(光導入部)に照射されるようになっている。
このように、第2可動LED705からの光は、装飾部材720に直接照射されなくても、反射鏡721等を介して間接的に導光されるようになっていてもよい。
以上説明したように、変形例3の装飾部706と変形例5の装飾部材720は、可動部701が隠蔽位置に位置するときに可動部701において第1可動LED704により光る部分を遊技者側から視認不能に隠蔽する非透光性の隠蔽部702の側方(または上方であってもよい)に設けられることで、隠蔽部702にて発光部を完全に隠蔽できるとともに、隠蔽部702以外の箇所を装飾部により装飾することができる。
また、変形例3〜5において、可動部701が隠蔽位置に位置するときに、可動部701において第2可動LED705により光る部分(側面)からの光を装飾部706/装飾部材711/装飾部材720に導く導光手段(導光部材707/導光部材710/反射鏡721)を備えることで、発光部からの光を直接装飾部まで導くことができない場合でも、間接的に導光することができる。
このように導光手段は、発光部からの光を装飾部に導光可能な部材であれば、光を部材内部で導く透光性部材だけでなく、光を反射させて導く反射部材等であってもよい。
また、発光部は、可動部701が現出位置にあるときに発光される第1発光部(可動部701において第1可動LED704により光る部分(前面))および可動部701が隠蔽位置にあるときに発光される第2発光部(可動部701において第2可動LED705により光る部分(側面))を含むことで、装飾部が第1発光部の発光方向(前面方向)と異なる位置、つまり側方等に設けられている場合、現出位置と隠蔽位置とで第1発光部の向きを切り替えなくても、第2発光部により装飾部を発光させることができる。
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
また、前記実施例では、遊技媒体の一例として、球状のパチンコ球(遊技球)が適用されていたが、球状の遊技媒体に限定されるものではなく、例えばメダル等の非球状の遊技媒体であってもよい。
また、前記実施例では、遊技機の一例としてパチンコ遊技機が適用されていたが、例えば遊技用価値を用いて1ゲームに対して所定数の賭数を設定することによりゲームが開始可能となるとともに、各々が識別可能な複数種類の図柄を変動表示可能な可変表示装置に表示結果が導出されることにより1ゲームが終了し、該可変表示装置に導出された表示結果に応じて入賞が発生可能とされたスロットマシンにも適用可能である。