JP2012170411A - 魚類の粉末製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】魚類の粉末乾燥物は、風味を高く有する調味料として用いられるが、従来技術においては、乾燥時に高温加熱や凍結処理によって、風味またはうまみ成分の変性や消失が生じる。そのため、風味がよくうまみ成分を保持する乾燥方法が必要である。
【解決手段】魚類を粉末乾燥する方法であって、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む粉末状乾燥物の生産方法。
【選択図】図1
【解決手段】魚類を粉末乾燥する方法であって、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む粉末状乾燥物の生産方法。
【選択図】図1
Description
本発明は、魚類の粉末製造方法に関する。
魚類の粉末は、乾燥物である鰹節、鯖節、鰺節といった魚節またはにぼしなどを粉砕しダシとして、料理に風味を与える調味料として使われている。また、魚類性のダシには、イノシン酸、グルタミン酸、アラニンなどのうまみ成分が含まれており、料理のうまみを増す効果を持つ。
これまでに、早く乾燥処理をするなどの目的で、魚類を粉末にするために様々な工夫が試みられている。例えば、特許文献1には、稚魚用初期飼料としてゲル化した魚肉成分を乾燥粉末にする製造法について記載されている。
また、魚類以外のものでも乾燥粉砕をするための工夫が試みられている。例えば、特許文献2には、エビをミンチ状にして凍結乾燥により粉砕する技術が記載されている。また特許文献3には、醤油、味噌、醸造物等の調味料を、真空ドラムドライヤーにより、減圧、低温下にて乾燥する技術が記載されている。また特許文献4には、白甘藷を、裁断、乾燥及び窒素ガス注入、粉砕、液状添加スプレー、再乾燥、分散混合操作の各工程を連続して行うことにより、乾燥粉末を製造する方法について記載されている。
さらに、特許文献5には、油廃水について真空乾燥装置を用いて乾燥する技術が記載されている。また、特許文献6には、生ごみや汚泥について真空乾燥装置を用いて乾燥する技術が記載されている。
しかしながら、上記文献記載の従来技術は、以下の点で改善の余地を有していた。
第一に、魚類の粉末乾燥物は、風味を高く有する調味料として用いられるが、上記文献1記載の従来技術においては、真空乾燥処理しているが、粉末乾燥物が食用ではなく飼料であり、そのため、食用可能な魚類の粉末乾燥物をうまく製造できるかは不明である。また実際の実験データに、風味またはうま味成分について示されておらず、風味がよくうま味成分を保持することができるか不明である。
第一に、魚類の粉末乾燥物は、風味を高く有する調味料として用いられるが、上記文献1記載の従来技術においては、真空乾燥処理しているが、粉末乾燥物が食用ではなく飼料であり、そのため、食用可能な魚類の粉末乾燥物をうまく製造できるかは不明である。また実際の実験データに、風味またはうま味成分について示されておらず、風味がよくうま味成分を保持することができるか不明である。
第二に、上記文献2、3記載の従来技術においては、原材料を加工したものを乾燥しており、原材料をそのまま用いて粉末乾燥した場合に、風味がよくうまみ成分を保持することができるか不明である。またこれら従来方法では、原材料が魚類ではないので、魚類を短時間で乾燥することができるか不明である。
第三に、上記文献4に記載の従来技術においては、原材料のうち実際に実験データが示されているのは、根菜類について粉末乾燥したものであり、またその粉末乾燥物については無機成分やビタミンがよく保持されていることが示されているだけである。そのため魚類について、この従来方法では、粉末乾燥した場合に、風味またはうま味成分を保持することができるか不明である。さらに、根菜類に比べて、水分含有量または水分活性が高い魚類のような原料を乾燥するには特に多くの時間を要する。そのため、この従来方法では、魚類を短時間で乾燥することができるか不明である。また、ものを乾燥するに当たり、乾燥している部分との接地面積が大きければ大きいほど、乾燥が早くなる。この従来方法では、攪拌羽根が垂直を軸に回転するものであり、原材料の上部だけが乾燥している部分と接地し、その面積は小さい。そのため、この従来方法では原材料が乾燥する速度が充分でないと予測される。
第四に、上記文献5、6に記載の従来技術においては、真空乾燥処理しているが、原料を廃油水、生ゴミ、汚泥などとし、得られた粉末乾燥物が食用ではない。そのため、食用可能な魚類の粉末乾燥物をうまく製造できるかは不明である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、風味よくうまみ成分をよく保持している魚類粉末を生産する技術を提供することを目的とする。
本発明によれば、魚類の粉末製造方法であって、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む、生産方法が提供される。
この生産方法によれば、後述する実施例で、風味がよくうまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が生産できることが実証されている。
また、本発明によれば、上記の生産方法によって、得られうる魚類の粉末が提供される。
この、魚類の粉末は後述する実施例で、風味がよくうまみ成分をよく保持していることが実証されている。
また、本発明によれば、上記の生産方法による、魚類を粉末乾燥するための乾燥装置が提供される。
この、乾燥装置は後述する実施例で、風味がよくうまみ成分をよく保持している魚類の粉末を製造することが実証されている。
本発明によれば、原料となる魚類は、丸ごとまたは前処理したものを使用することができ、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥することによって、原料成分を損なわずに、自然な色または風味に仕上り、うまみ成分をよく保持している粉末乾燥物を短時間で得られるという効果を奏する。
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
<実施形態1:魚類の粉末の生産の方法>
本実施形態に係わる魚類の粉末の生産は、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む生産方法である。この生産方法によると、後述する実施例で実施されているように風味がよく、うまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。すなわち、市販の粉末物と比較して非常に優れた性質を有している魚類の粉末物を得ることができる。
本実施形態に係わる魚類の粉末の生産は、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む生産方法である。この生産方法によると、後述する実施例で実施されているように風味がよく、うまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。すなわち、市販の粉末物と比較して非常に優れた性質を有している魚類の粉末物を得ることができる。
(i)原料について
ここで、魚類の粉末の生産方法で使用する原料の魚類は、いずれの魚類でも良く、鰯、鰺、鯖、鰹、鮪、鯛、メチカ、河豚、鮫、スケトウダラ、鱒、鮎、トビウオ、鰻、穴子などいずれも使用可能である。その理由として、一般的に魚類はいずれも水分を多く含み、またうま味成分を有している。すなわち、乾燥することで凝縮され、風味がよくうまみ成分を保持している粉末状乾燥物を得ることができる。
ここで、魚類の粉末の生産方法で使用する原料の魚類は、いずれの魚類でも良く、鰯、鰺、鯖、鰹、鮪、鯛、メチカ、河豚、鮫、スケトウダラ、鱒、鮎、トビウオ、鰻、穴子などいずれも使用可能である。その理由として、一般的に魚類はいずれも水分を多く含み、またうま味成分を有している。すなわち、乾燥することで凝縮され、風味がよくうまみ成分を保持している粉末状乾燥物を得ることができる。
原料の大きさは、特に限定しないが150cm以下が好ましく、原料の量は原料を投入する容器の容積の半分以下が好ましく、原料の水分含量は、95%以下のものが好ましい。原料の魚類の形状は、いずれでも良く、丸ごと、切り身、ぶつ切り、頭部、尾部、頭部と尾部を切り取ったもの、皮、骨、あら、ひれ、内臓、内臓を除去したものといった魚類を処理したものなどいずれも使用可能である。これらのものを用いる場合には、作業工程の短縮や乾燥効率が上がる、かつ/またはより豊かな風味または味の雑味のない粉末乾燥物が得られる。さらに乾燥粉末化する部位を選択した場合は、粉末化の時間の短縮の利点が保たれ、任意の部位の粉末を得ることができる。
原料の魚類の状態はいずれでも良く、生、半生、冷凍、解凍したもの、氷漬け、乾燥物、加工物などいずれも使用可能である。これらのものを用いる場合には、作業工程の短縮や乾燥効率が上がるかつ/またはより豊かな風味または味の雑味のない粉末乾燥物が得られる。
(ii)運転条件について
原料を装置の容器に投入後は、例えば、加熱処理工程、冷却工程、真空または減圧条件下にて攪拌および切断しながら乾燥する工程の順で行うことが好ましく、より好ましいのは、原料を装置の容器に投入後、加熱処理工程、冷却工程、酵素処理工程、酵素失活する工程、真空または減圧条件下にて攪拌および切断しながら乾燥する工程の順に行うことである。最も好ましいのは、原料を装置の容器に投入後、撹拌および切断を同時に行いながら、加熱処理工程、冷却工程、酵素処理工程、酵素失活する処理工程、冷却工程の順で行った後に、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を行うことである。また、真空および減圧条件下にて乾燥する工程に遠赤外線乾燥工程を含んでも良い。なぜならば、撹拌および切断を同時に行うことで、原料の表面積が増え、原料全体として熱伝導効率がよくなるまたは、酵素がまんべんなく原料に広がり酵素処理効率がよくなるからである。
原料を装置の容器に投入後は、例えば、加熱処理工程、冷却工程、真空または減圧条件下にて攪拌および切断しながら乾燥する工程の順で行うことが好ましく、より好ましいのは、原料を装置の容器に投入後、加熱処理工程、冷却工程、酵素処理工程、酵素失活する工程、真空または減圧条件下にて攪拌および切断しながら乾燥する工程の順に行うことである。最も好ましいのは、原料を装置の容器に投入後、撹拌および切断を同時に行いながら、加熱処理工程、冷却工程、酵素処理工程、酵素失活する処理工程、冷却工程の順で行った後に、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を行うことである。また、真空および減圧条件下にて乾燥する工程に遠赤外線乾燥工程を含んでも良い。なぜならば、撹拌および切断を同時に行うことで、原料の表面積が増え、原料全体として熱伝導効率がよくなるまたは、酵素がまんべんなく原料に広がり酵素処理効率がよくなるからである。
上記加熱処理する工程は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や旨味成分含有量などによって、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、加熱の温度について好ましいのは、70℃以上120℃以下で加熱処理をすることである。より好ましいのは、80℃以上95℃以下で加熱処理をすることである。加熱時間は好ましくは5分以上5時間未満、より好ましくは30分以上2時間未満である。また圧力は大気圧が好ましい。なぜならば、加熱することによって、魚類特有の生臭みが軽減されるからである。また、原料自体に含まれる核酸分解酵素などのうま味成分分解酵素が失活するために、旨味成分が損なわれるのを防ぐことが可能である。さらに、加熱することによって殺菌効果を得られ、後に殺菌工程の必要が不要になるためである。また、添加した酵素についても失活することができ、過剰な酵素処理を抑えることができるためである。
上記冷却工程は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や旨味成分含有量などによって、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、容器内温度が80℃以下に冷却することが好ましく、より好ましいのは、容器内温度が60℃以下に冷却することである。最も好ましいのは、減圧しながら容器内温度が60℃以下に冷却することである。また冷却工程は、例えば、減圧または真空にすることによって容器内温度を下げる方法でも良い。冷却することで、被処理物に余分な熱を加えることの防止になり、風味がよくうまみ成分を保持している粉末状乾燥物を得ることができる。
上記酵素処理工程は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や旨味成分含有量などによって、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、酵素の種類は核酸分解を起こさない酵素であるのが好ましく、例えば、5'−リン酸生成型ヌクレアーゼ、デアミナーゼおよびプロテアーゼを必須構成酵素とする酵素類を使用してもよい。また、放線菌産生酵素類でもよい。例えば、放線菌産生酵素類として、ストレプトミセス属に属する菌株を自体公知の方法により培養し、5'−リン酸生成型ヌクレアーゼ、デアミナーゼおよびプロテアーゼを含有する培養物をそのまま、または、培養ろ液、菌体、菌体破砕物、これらの抽出液、その濃縮物や乾燥物等を使用できることができ、あるいは公知の方法により5'−リン酸生成型ヌクレアーゼ、デアミナーゼおよびプロテアーゼを必須構成酵素とする酵素類を採取し、粗製または精製酵素として用いることができる。また、酵素は、乾燥酵素であるのが好ましく、より好ましいのは、酵素力価を落とさず粉末化した酵素である。また酵素の乾燥方法は、品温が80℃以下で酵素を失活させない乾燥方法であれば公知の方法で良い。このようにすることで、腐敗防止のための冷凍保存等の対策が要らなくからである。さらに、放線菌産生酵素類として特に限定しないが、培養液の水溶性部分を乾燥した乾燥物を使用する場合、魚の原料に対して、0.1〜3.0重量%程度使用するのが好ましい。より好ましいのは、この乾燥物換算の力価を基準として、培養液の水溶性部分を乾燥したものを適宜、水で希釈して使用することである、また、培養液そのものとして使用する場合は、通常、魚の原料に対して5.0〜50.0重量%程度の割合で使用するのが好ましい。pH、処理時間および処理温度は酵素の最適温度または最適時間によって異なるので、特に限定はしないが、好ましくはpH5.0以上9.0以下、処理時間を40分以上80分以下で、処理温度を40℃以上70℃以下でおこなうことであり、より好ましくは、pH6.0以上8.0以下処理時間を45分以上65分以下で、処理温度を55℃以上65℃以下で行うことである。また圧力は大気圧が好ましい。なぜならば、酵素処理をすることによって、イノシン酸のような核酸系うま味成分または、遊離アミノ酸のようなアミノ酸系うま味成分をより多く含有できることで、より一層風味がよく、うまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。また、核酸系うま味成分とアミノ酸系うま味成分が共存することにより、相乗効果でうま味が増幅されるのは当業者では周知である。そこで酵素処理をすることで後の工程にて化学調味料等の添加を省くことができ、さらに、原料由来だけの天然の核酸系うま味成分とアミノ酸系うま味成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。
上記真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程における条件は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や水分含有量などによって、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、真空度は−70kPa以下が好ましく、より好ましいのは、真空度が−85kPa以下である。最も好ましいのは、真空度が−95kPa以下である。真空度が良いほど乾燥工程で被処理物と酸素との接触が低減され、被処理物の酸化を防止することができる。また、真空度が良いほど、原料の水分が気化しやくなり乾燥が早くなるため、乾燥時間を短縮することができる。さらに、真空度が良いほど、多くの微生物が死滅するため、後の殺菌工程が不要になるためコストが安価になる。乾燥処理温度については4℃以上80℃以下が好ましく、より好ましいのは、乾燥処理温度が30℃以上65℃以下である。乾燥処理時間は24時間以下が好ましく、より好ましいのは、12時間以下である。乾燥工程の被処理物の温度を低く保つことで、熱変性を抑制することができる。
上記遠赤外線照射処理工程は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や旨味成分含有量やなどによって、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、真空度は−70kPa以下が好ましく、より好ましいのは、真空度が−85kPa以下であり、最も好ましいのは、真空度が−95kPa以下である。上記容器内の温度は4℃以上80℃以下が好ましく、より好ましいのは、上記容器内の温度が20℃以上40℃以下である。遠赤外線照射処理時間は、原料の種類、量、水分含有量や、乾燥した粉末物の粒径や旨味成分含有量や粉末状乾燥物の使用目的などに応じて、個別に最適な設定で行うのが好ましいので特に限定しないが、例えば、遠赤外線照射処理時間は、1分以上が好ましく、より好ましいのは、遠赤外線照射処理時間が1時間以上であり、最も好ましいのは、遠赤外線照射処理時間が6時間以上である。
赤外線照射処理を行うことで、風味(特に香ばしさ)を増強と生臭みのマスキングをすることができ、さらに風味がよく、うまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。
赤外線照射処理を行うことで、風味(特に香ばしさ)を増強と生臭みのマスキングをすることができ、さらに風味がよく、うまみ成分をよく保持している粉末状乾燥物が得られる。
(iii)装置構成について
図1は、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を行う装置構成図である。
図1は、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を行う装置構成図である。
この装置は、原料を投入する容器に、攪拌羽根11と内壁に固定刃9と加熱部12を設けている。攪拌羽根11は、側壁から底部を経て投入口へ回転する。この攪拌羽根11には、羽根体7、8が設けられている。羽根体7、8は、内壁の接線方向に対し、その先端側が回転中心側よりも羽根体7、8の回転動作において先行するような傾斜を備える。さらに、内壁の接線方向に対する羽根体7、8の傾斜角度は、回転中の羽根体7、8の上昇途中の過程において羽根体に載る被処理物が落下する角度に設定される。また攪拌羽根11は、固定刃9との間で被処理物を切断する可動刃7b、8bとを備えている。この可動刃7b、8bの先端は羽根体に載る被処理物が落下したときに、側壁斜面の下端部にある。以上のような装置構成であることが好ましい。
ものを乾燥するに当たり、乾燥している部分との接地面積が広ければ広いほど、乾燥が早くなる。このように構成することで、被処理物を切断して細かくし、被処理物の表面積を大きくすることができ、より迅速に乾燥を行うことができる。
また、被処理物は、攪拌羽根11が最上部に至る前の途中の高さの段階で羽根体7、8にそって下方にすべり落ちるので、被処理物を最上部またはその近傍まで上げて落下させる場合に比較し、攪拌羽根11の回動力が小さくてすむ上、被処理物が練られることがなく、後の処理が円滑に行なわれる。また、可動刃7b、8bから落下して滑り落ちる円筒部内面に固定刃9が存在する構成とすれば、切断、粉砕が促進される。また、原材料がより乾燥している部分との接地面積が大きくなり、乾燥を迅速に行うことができる。
ものを乾燥するに当たり、乾燥している部分との接地面積が広ければ広いほど、乾燥が早くなる。このように構成することで、被処理物を切断して細かくし、被処理物の表面積を大きくすることができ、より迅速に乾燥を行うことができる。
また、被処理物は、攪拌羽根11が最上部に至る前の途中の高さの段階で羽根体7、8にそって下方にすべり落ちるので、被処理物を最上部またはその近傍まで上げて落下させる場合に比較し、攪拌羽根11の回動力が小さくてすむ上、被処理物が練られることがなく、後の処理が円滑に行なわれる。また、可動刃7b、8bから落下して滑り落ちる円筒部内面に固定刃9が存在する構成とすれば、切断、粉砕が促進される。また、原材料がより乾燥している部分との接地面積が大きくなり、乾燥を迅速に行うことができる。
また、攪拌羽根11は、端板5、6の回転中心より離れた位置に羽根体の両端が取付けられ、中心軸を有しない構造とすることにより、長い被処理物等が中心に巻き付く等により、留まることがなく、必ず下に落ちるので、攪拌羽根11による作用、すなわち掻き取り、掻き寄せ、切断、攪拌、排出等の作用が促進される。
図1の攪拌羽根11は、容器の外部に設けられた不図示のモータにより回転されるものであり、容器の端壁3、4に回転可能に支承される左右の端板5、6と、その先端間に両端が固定されたほぼくの字形をなす羽根体7、8とによって構成することにより、中心軸を有しない構造に構成する。固定刃9は、容器の内面に固着された複数の固定刃であり、羽根体7、8における固定刃9に対応する箇所には、羽根体7、8には固定刃9の部分を通過するための溝7a、8aが形成される。溝7a、8aは、両側に、固定刃9との間で被切断物を切断するための可動刃7b、8bが形成される。固定刃9と可動刃7b、8bは、噛み合いが時間をずらして順次行なわれるように、周方向に位置をずらして配設し、これにより攪拌羽根6の駆動モータの動力の瞬間的増大が起こらないようにしている。
上記装置に、原料を加熱する加熱部12を備えることで、加熱することで容器内の飽和蒸気圧が低くなり乾燥時間が早くなる。さらに、真空または減圧条件において、原料は、飽和蒸気圧以下になった液体が気化することによって冷却される。原料を加熱する加熱部を設けることにより、原料の冷却を防ぐことができ、さらに、ある一定の温度で処理することができる。
また、上記装置に、さらに遠赤外線を用いた加熱装置を構成すことが好ましい。なぜならば、原料を効率的に乾燥することができ、さらに、遠赤外線によって、被処理物の風味を増強し、生臭みを抑えることができ、原料または得られる魚類の粉末に合った、風味のよいまたは、うま味がある魚類の粉末の提供を可能にすることができる。
<実施形態2:粉末状乾燥物>
粉末状乾燥物の粒径は、特に限定しないが、例えば、料理に風味またはうま味を添加するために、2メッシュを通過する粒子サイズであることが好ましく、より好ましいのは、20メッシュを通過する粒子サイズである。特に好ましいのは、60メッシュを通過する粒子サイズである。
粉末状乾燥物の粒径は、特に限定しないが、例えば、料理に風味またはうま味を添加するために、2メッシュを通過する粒子サイズであることが好ましく、より好ましいのは、20メッシュを通過する粒子サイズである。特に好ましいのは、60メッシュを通過する粒子サイズである。
また、粉末状乾燥物の水分含有量は、特に限定しないが、保存する利便性から、好ましくは、水分活性が0.9以下もしくは、それに対応する水分含量である。より好ましいのは0.8以下もしくはそれに対応する水分含量である。
また、粉末状乾燥物中のうまみ成分は、特に限定しないが、料理などにうま味を加える利便性から、好ましいのはイノシン酸、アラニン、グリシン、グルタミン酸などのいずれか一つを有していること。より好ましいのは、うま味成分を複数有していることである。最も好ましいのは、イノシン酸およびアラニン、グリシン、グルタミン酸などのいずれか一つを有していることを有していることである。
また、粉末状乾燥物は、特に限定しないが、微生物が少ない粉末状乾燥物が好ましい。なぜなら微生物によって得られた粉末状乾燥物の成分の分解が少なくなり、品質を長期保持することが可能になる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
例えば、上記実施の形態では原料を単一魚類で使用したが、他種類の魚類を加えて一緒に処理してもよい。このようにすれば、他種類の味や風味が加わり、より一段と風味や味が豊かな粉末乾燥物を得ることができる。
また、上記実施の形態では原料を魚類単独で使用したが、砂糖、味噌、醤油、油、酢、塩、酒、みりんまたは香辛料といった調味料または調味エキスを加えて一緒に処理してもよい。このようにすれば、調味料の味や風味が加わり、より一段と風味や味が豊かな粉末乾燥物を得ることができる。
また、上記実施の形態では原料を魚類単独で使用したが、魚類以外のものを加えて一緒に処理してもよい。例えば、貝、海老、蟹、烏賊または、蛸などの水生生物やその肉または加工品といった水生生物由来のもの。また、牛、豚、鶏、羊、馬または猪といった動物やその肉または加工品といった動物由来のものや、植物やその加工品などの植物由来といったものである。このようにすれば、他種類の味や風味が加わり、よりいっそうと風味や味が豊かな粉末乾燥物を得ることができる。
また、上記実施の形態では原料を魚類で使用したが、魚類以外のもの例えば、貝、海老、蟹、烏賊または、蛸などの水生生物やその肉または加工品といった水生生物由来のものや、牛、豚、鶏、羊、馬または猪といった動物やその肉または加工品といった動物由来のものや、植物やその加工品などの植物由来といったものを処理してもよい。生物全般的に水分含有率が高くまた、タンパク質を多く含んでいる。このようにすれば、遊離アミノ酸等を含んだ他の生物由来の風味や味が豊かな粉末乾燥物を得ることができる。
また、上記実施の形態で得られた魚類の粉末は、水溶液中でうま味エキスを抽出することによって、ダシといった食用として用いても良い。このようにすることで、風味のよいまたはうま味がある料理の提供を可能にすることができる。
また、上記実施の形態で得られた魚類の粉末は、鰹節などの加工品と混ぜた食品として用いても良い。このようにすることで、より一層風味のよいまたはうま味がある食品の提供を可能にすることができる。
また、上記実施の形態で得られた魚類の粉末は、香料として用いても良い。このようにすることで、風味のよい魚類の粉末であるため、独特な香りを有しているので、香料の提供を可能にすることができる。
また、上記実施の形態で得られた魚類の粉末は、顆粒状やタブレット状の固形物にしてもよい。このようにすることで、容積が少なくなり、輸送が便利になるからである。また、空気との接触面積が減ることで酸化を軽減することができ、風味のよいまたはうま味がある魚類の粉末の品質を長く保つことができる。
また、上記実施の形態で得られた魚類の粉末は、飼料として用いても良い。このようにすることで、風味のよいまたはうま味成分が多い飼料であるため、飼料を与えられた家畜が、飼料をたくさん食べるうえに、栄養源が多いため、より質の良い家畜由来の食用肉などを得ることができる。
また、上記実施の形態では装置に加熱部を設置しているが、加熱部に冷却機能があっても良い、なぜなら、原料または、原料を投入する容器内の温度管理がより容易になるからである。また、加熱部の装置は伝熱線、オイルヒーター、蒸気、遠赤外線、マイクロ波を用いた加熱装置といった原料または、原料を投入する容器内の温度を上げる装置を用いても良い。このようにすることで、原料または得られる魚類の粉末に合った、風味のよいまたは、うま味がある魚類の粉末の提供を可能にすることができる。
また、上記実施の形態では真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程は、コーティング剤をいれて乾燥を行っても良い。このようにすることで、得られる魚粉末がコーティングされ、水分や酸素を防ぐことにより、湿気ることまたは酸化を軽減し、風味のよいまたはうま味がある魚類の粉末の品質を長く保つことができる。
また、上記実施の形態では真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程は、真空または減圧条件下から大気圧に戻すときに、窒素、ヘリウム、二酸化炭素などの不活性ガスを噴入してもよい。このようにすることで、得られた魚粉末が酸素に触れることが少なくなることで酸化されにくくなり、魚類の粉末の風味のよいまたはうま味が低減されるのを防ぐことができる。
また、上記実施の形態では酵素処理する工程は、イノシン酸を分解するフォスファターゼを阻害するクエン酸等のキレート剤などの、うま味成分分解酵素阻害剤を加えてもよい。このようにすることで、得られた魚粉末の含有するイノシン酸などのうま味成分の分解を防止することで、また風味のよいまたはうま味がある魚類の粉末の品質を低減されるのを防ぐことができる。
また、上記実施の形態では酵素処理する工程は、酵素類を用いたが、複数でなくても一種類の酵素を使用してもよい。例えば、デアミナーゼやタンパク質分解酵素だけであってもよい。このようにすることで、魚類のタンパク質が分解され、グルタミン酸などのアミノ酸系うま味成分の含有量を特に増加するため、より一層風味のよいまたはうま味がある魚類の粉末の提供を可能にすることができる。また、酵素は液体、粉末状などの固体状態であってもよい。さらに、粗製または精製のものであっても良い。攪拌および切断しながら酵素処理をしているので、酵素が液体状でなくとも、固体状ならば粉砕され、粉状ものはそのまま撹拌され混ぜることができるためである。
以下、本発明を実施例によりさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1:鰯の粉末の調製>
水分含有74.9%の鰯を13.15kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有74.9%の鰯を13.15kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて乾燥時間3時間30分間の処理によって、前記工程で得られた鰯粉末は、3.67kgであった。また鰯粉末の水分含有は、10.1%であった。
<実施例2:鰹の内臓の粉末の調製>
水分含有62.7%の鰹の内臓を18.5kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有62.7%の鰹の内臓を18.5kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて乾燥時間5時間の処理によって、前記工程で得られた鰹の内臓粉末は、7.48kgであった。また鰹の内臓粉末の水分含有は、7.8%であった。
<実施例3:鯖の粉末の調製>
鯖中型サイズ6匹を原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
鯖中型サイズ6匹を原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて、約乾燥時間4時間の処理によって、前記工程で得られた鯖粉末の粒度は米粒程度であった。
<実施例4:鰹のあらの粉末の調製>
鰹のあらを20分間煮沸し、水分含有68.4%の原料を原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
鰹のあらを20分間煮沸し、水分含有68.4%の原料を原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて、乾燥時間2時間の処理にて、前記工程で得られた鰹のあらの粉末は1.15kgであった。また、鰹のあらの粉末の水分含有は、4.1%であった。
<実施例5:鰹ダシ抽出後のものの粉末の調製>
水分含有59.1%の鰹ダシ抽出後のものを3.0kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有59.1%の鰹ダシ抽出後のものを3.0kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95.5kPa以下にて、乾燥時間1時間30分の処理にて、前記工程で得られた鰹ダシ抽出後の粉末は、1.25kgであった。また、鰹ダシ抽出後の粉末の水分含有は、2.0%であった。
<実施例6:焼鮭の皮の粉末の調製>
水分含有13.6%の焼鮭の皮を1.65kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有13.6%の焼鮭の皮を1.65kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-96.2kPa以下にて、乾燥時間1時間の処理にて、前記工程で得られた焼鮭の皮の粉末は1.45kgであった。焼鮭の皮の粉末の水分含有は、1.7%であった。
<実施例7:マメアジの粉末の調製>
水分含有82.4%のマメアジを20.0kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、30分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有82.4%のマメアジを20.0kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、30分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて、乾燥時間4時間の処理にて、前記工程で得られたマメアジの粉末は3.9kgであった。マメアジの粉末の水分含有は、9.8%であった。
<実施例8:鯖の粉末の調製>
水分含有75.8%の冷凍鯖を17.2kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、40分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有75.8%の冷凍鯖を17.2kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、40分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、平均真空度約-95kPa以下にて、乾燥時間3時間20分の処理によって、前記工程で得られた鯖の粉末は4.3kgであった。鯖の粉末の水分含有は、3.4%であった。
<実施例9:メチカの粉末の調製>
水分含有77.7%のメチカ(不定形、大きさ不揃い)を19.5kg氷漬けのまま装置に投入し、30分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
水分含有77.7%のメチカ(不定形、大きさ不揃い)を19.5kg氷漬けのまま装置に投入し、30分間煮沸後、攪拌、切断および乾燥を真空下で行った。
上記の結果、真空度約-95kPa以下にて、乾燥時間4時間の処理にて、前記工程で得られたメチカの粉末は4.6kgであった。メチカの粉末の水分含有は、5.7%であった。
<実施例10:小アジの粉末の調製>
水分含有約80%の冷凍小アジ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、加熱煮沸後、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
水分含有約80%の冷凍小アジ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、加熱煮沸後、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
上記の結果、乾燥時間5時間の処理にて、前記工程で得られた小アジの粉末は55kgであった。小アジの粉末の水分含有は、27.4%であった。
<実施例11:小アジの粉末の調製>
水分含有約80%の冷凍小アジ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、約90℃にて加熱煮熟後、60℃まで真空冷却し、放線菌生産生酵素類を投入し温度50℃〜60℃にて約1時間酵素反応を行った。その後約90℃まで加熱し酵素を失活させた後に、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
水分含有約80%の冷凍小アジ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、約90℃にて加熱煮熟後、60℃まで真空冷却し、放線菌生産生酵素類を投入し温度50℃〜60℃にて約1時間酵素反応を行った。その後約90℃まで加熱し酵素を失活させた後に、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
上記の結果、乾燥時間6時間の処理にて、前記工程で得られた小アジの粉末は46kgであった。小アジの粉末の水分含有は、12.4%であった。
<実施例12:ウルメイワシの粉末の調製>
水分含有約80%の冷凍ウルメイワシ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、加熱煮熟後、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
水分含有約80%の冷凍ウルメイワシ200kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、加熱煮熟後、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
上記の結果、乾燥時間5時間30分の処理にて、前記工程で得られたウルメイワシの粉末は56kgであった。ウルメイワシの粉末の水分含有は、29%であった。
<実施例13:カタクチイワシの粉末の調製>
水分含有約80%の冷凍カタクチイワシ90kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、約90℃にて加熱煮熟後、60℃まで真空冷却し、放線菌生産生酵素類を投入し温度50℃〜60℃にて約1時間酵素反応を行った。その後約90℃まで加熱し酵素を失活させた後に、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
水分含有約80%の冷凍カタクチイワシ90kg原形(不定形、大きさ不揃い)のまま装置に投入し、約90℃にて加熱煮熟後、60℃まで真空冷却し、放線菌生産生酵素類を投入し温度50℃〜60℃にて約1時間酵素反応を行った。その後約90℃まで加熱し酵素を失活させた後に、攪拌、切断および乾燥を温度40℃〜60℃および真空度−90KPa以下の条件下で行った。
上記の結果、乾燥時間5時間の処理にて、前記工程で得られたカタクチイワシの粉末は20kgであった。カタクチイワシの粉末の水分含有は、8.5%であった。
<実施例14:鰯粉末の官能試験>
実施例1の方法で調製した鰯粉末の風味、先味、中味、後味、呈味を評価するために、官能検査を実施した。表中のAは従来方法による粉砕した鰯粉末を、Bは実施例1の方法で調製した鰯粉末を表す。評点を1、2、3、4、5の5段階に設定し、5名の専門パネラーにて実際に食べて評価した。なお、評点1は悪い、評点2はやや悪い、評点3はやや良い、評点4は良い、評点5は非常に良い、というように数字が大きくなるほど良い評価である。官能検査の結果は以下の表1に示す。また、AとBの結果の有意差を調べた。
実施例1の方法で調製した鰯粉末の風味、先味、中味、後味、呈味を評価するために、官能検査を実施した。表中のAは従来方法による粉砕した鰯粉末を、Bは実施例1の方法で調製した鰯粉末を表す。評点を1、2、3、4、5の5段階に設定し、5名の専門パネラーにて実際に食べて評価した。なお、評点1は悪い、評点2はやや悪い、評点3はやや良い、評点4は良い、評点5は非常に良い、というように数字が大きくなるほど良い評価である。官能検査の結果は以下の表1に示す。また、AとBの結果の有意差を調べた。
その結果、風味、先味、中味、後味、呈味のすべてにおいて本発明サンプルの方が従来法サンプルよりも諸点の平均点が高かった。また、その結果について有意差があった。ここでの風味は、香りや味わい、先味は食品を口に含んだ瞬間の味 中味は飲食中の味、中味は飲食中の味、後味は飲み込んだ後口の中に残る味、呈味は人が食品を食したときに感じる味を示す。
<実施例15:鰯粉末の成分分析>
前記工程で得られた鰯粉末(B、C)と、イリコダシ煮出品(A、D)をうまみ成分であるイノシン酸、アラニン、グリシン、グルタミン酸および遊離アミノ酸についての成分試験を実施した。その実施条件と結果を図3に示す。なお、イノシン酸の分析は、高速液体クロマトグラフィーによって定量し、遊離アミノ酸分析は、陽イオン交換樹脂によるカラムクロマトグラフィーにより各アミノ酸を分離したのち、ニンヒドリンにより発色させて吸光度測定を行なうニンヒドリン法を用いた。
前記工程で得られた鰯粉末(B、C)と、イリコダシ煮出品(A、D)をうまみ成分であるイノシン酸、アラニン、グリシン、グルタミン酸および遊離アミノ酸についての成分試験を実施した。その実施条件と結果を図3に示す。なお、イノシン酸の分析は、高速液体クロマトグラフィーによって定量し、遊離アミノ酸分析は、陽イオン交換樹脂によるカラムクロマトグラフィーにより各アミノ酸を分離したのち、ニンヒドリンにより発色させて吸光度測定を行なうニンヒドリン法を用いた。
その結果、総エキス分、IMP、遊離アミノ酸のすべてにおいて、十分に成分を保持していた。
<実施例16:魚粉末の成分および細菌試験>
実施例10〜12の方法および従来方法で調製した魚粉末の水分、脂質、総エキス分、IMP−Na、遊離アミノ酸、酸性アミノ酸、一般細菌数、耐熱性菌数、大腸菌群を評価するために、検査を実施した。その結果は、以下の表3に示す。
実施例10〜12の方法および従来方法で調製した魚粉末の水分、脂質、総エキス分、IMP−Na、遊離アミノ酸、酸性アミノ酸、一般細菌数、耐熱性菌数、大腸菌群を評価するために、検査を実施した。その結果は、以下の表3に示す。
<実施例17:カタクチイワシ粉末の成分および細菌試験>
実施例13の方法および従来方法で調製した魚粉末の水分、脂質、総エキス分、IMP−Na、遊離アミノ酸、酸性アミノ酸、一般細菌数、耐熱性菌数、大腸菌群を評価するために、検査を実施した。その結果は、以下の表4に示す。
実施例13の方法および従来方法で調製した魚粉末の水分、脂質、総エキス分、IMP−Na、遊離アミノ酸、酸性アミノ酸、一般細菌数、耐熱性菌数、大腸菌群を評価するために、検査を実施した。その結果は、以下の表4に示す。
その結果、今回開発した方法によるサンプルの方が従来法サンプルよりも水分は少なく、また総エキス分、IMP−Na、遊離アミノ酸または、酸性アミノ酸において含有量が高かった。さらに、今回開発した方法によるすべてのサンプルは、一般細菌数、耐熱性菌数または、大腸菌群のすべておいて、検出できない値または低い値であった。従来法では、管理が低レベルで細菌のコントロールが難しく、ロットによるばらつきが多かったが、今回開発した方法は、菌コントロールができているので、別途殺菌工程の必要がない。
また表中の酸性アミノ酸とはグルタミン酸および、アスパラギン酸である。
また表中の酸性アミノ酸とはグルタミン酸および、アスパラギン酸である。
<実施例18:魚粉末の官能試験>
実施例10〜13の原料を、冷凍された原料を流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した魚粉末の香、風味、味、清澄性、増幅効果、他の組み合わせを評価するために、官能検査を実施した。表中のAは実施例10の原料を、冷凍された小アジを流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した小アジの粉末を表す。B、C、Dはそれぞれ実施例11、12、13の原料を、冷凍された魚を流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した魚粉末を表す。評点を、1、2、3、4の4段階に設定し、5名のパネラーにて実際に食べて評価した。なお、評点1は少し良い、評点2は良い、評点3は特に良い、評点4は非常に良い、というように数字が大きくなるほど良い評価である。官能検査の結果は以下の表5に示す。
実施例10〜13の原料を、冷凍された原料を流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した魚粉末の香、風味、味、清澄性、増幅効果、他の組み合わせを評価するために、官能検査を実施した。表中のAは実施例10の原料を、冷凍された小アジを流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した小アジの粉末を表す。B、C、Dはそれぞれ実施例11、12、13の原料を、冷凍された魚を流水にて解凍した原料に変えた方法で調製した魚粉末を表す。評点を、1、2、3、4の4段階に設定し、5名のパネラーにて実際に食べて評価した。なお、評点1は少し良い、評点2は良い、評点3は特に良い、評点4は非常に良い、というように数字が大きくなるほど良い評価である。官能検査の結果は以下の表5に示す。
その結果、今回開発した方法によるサンプルの香、風味、味、清澄性においては、原料や処理方法によって、味だけを良くしたり、清澄性が増したり、香、風味、味および清澄性を平均的に良くすることができた。さらに、サンプルBについては、他の魚類粉末のだしと合わせたときの香りの増幅効果および他の魚類粉末のだしと合わせたときの組み合わせ相性が非常に良かった。なお、表5の官能検査の結果については、今回開発した方法によるサンプルだけの相対的な結果であり、従来法と比較したものではない。従って評価が1または2というのは、悪いという意味ではないことに注意されたい。従来法サンプルと比べる場合は実施例14にも記載してある通り、今回開発した方法の方がより良い。
<結果の考察>
上記の実施例1〜18の実験結果から、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む粉末状乾燥物の生産方法によって、短い処理時間で従来法より、風味がよくうまみ成分を高く保持していることがわかる。また、本発明によって得られた魚粉末は、保存性に優れていることがわかる。
上記の実施例1〜18の実験結果から、魚類を原料とし、真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程を含む粉末状乾燥物の生産方法によって、短い処理時間で従来法より、風味がよくうまみ成分を高く保持していることがわかる。また、本発明によって得られた魚粉末は、保存性に優れていることがわかる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明した。この実施例はあくまで例示であり、種々の変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
1:下部半円筒部、2:上部角形部、3、4:端壁、5、6:端板、7、8:羽根体、7a、8a:溝、7b、8b:可動刃、9:固定刃、10:排出口、11:攪拌羽根、12:加熱部
Claims (13)
- 魚類を粉末乾燥する方法であって、
魚類を原料とし、
a)真空または減圧条件下にて、攪拌および切断しながら乾燥する工程
を含む粉末状乾燥物の生産方法。 - 請求項1に記載の粉末状乾燥物の生産方法であって、
前記a)の工程の前に、
b)魚類を加熱処理する工程
を含む、生産方法。 - 請求項2に記載の粉末状乾燥物の生産方法であって、
前記b)の工程後に、
c)魚類を酵素処理する工程と
d)酵素を失活させる工程と
を含む、生産方法。 - 請求項1乃至3いずれかに記載の粉末状乾燥物の生産方法であって、
前記a)は、
e)遠赤外線照射処理する工程
を含む、生産方法。 - 請求項3に記載の粉末状乾燥物の生産方法であって、
前記a)、前記b)、前記c)または前記d)の工程は、
f)冷却工程
を含む、生産方法。 - 請求項3または5に記載の粉末状乾燥物の生産方法であって、
前記c)または前記d)の工程は、
g)攪拌および切断する工程
を含む、生産方法。 - 請求項6に記載の生産方法であって、
前記a)、または前記g)の工程が
固定刃および可動刃を備えた真空乾燥装置にて、原料を攪拌および切断する過程を含む、生産方法。 - 請求項1乃至7いずれかに記載の生産方法により、得られる粉末状乾燥物
- 請求項8に記載の粉末状乾燥物であって、
うまみ成分として、イノシン酸、アラニン、グリシン、グルタミン酸の少なくとも一つを含む、粉末状乾燥物。 - 請求項9に記載の粉末状乾燥物であって、
うまみ成分として、イノシン酸と、
アラニン、グリシン、グルタミン酸の少なくとも一つと、
を含む、粉末状乾燥物。 - 請求項9又は10いずれかに記載の粉末状乾燥物であって、
食品、飼料、ペットフード、医薬品、または香料の少なくとも一つの用途に使う、添加物。 - 魚類を粉末乾燥するための装置であって、
魚類を収容可能な容器内に設けられた、魚類を破砕および攪拌するための可動刃および撹拌羽根と、
前記容器内で魚類を減圧するための減圧部と、
前記容器内で魚類を加熱するための加熱部と、
を備える、乾燥装置。 - 請求項12に記載の魚類を粉末乾燥するための装置であって、
前記容器の内壁に設けられた固定刃
をさらに備える、乾燥装置。
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