JP2012169124A - 端子金具付き電線 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】端子金具20の底板部22において電線11が載置される凹状面23のうち芯線12の先端の前方に嵌め込まれ接着された止水壁30と、加熱による収縮で一方側が止水壁30と凸状面26とを包囲しつつ止水壁30を押さえつけて止水壁30及び凸状面26に密着するとともに他方側が絶縁被覆を取り囲むように密着する筒状の熱収縮チューブ33と、を備え、止水壁30が嵌め込まれた部分の凹状面23には、熱収縮チューブ33の収縮で止水壁30が押さえつけられることにより凹状面23に付着した液体Liを止水壁30が押しのけて逃がす第1逃がし凹部25が形成されている。
【選択図】図4
Description
特許文献1に記載の端子金具付き電線において、接続部分に被せられた熱収縮チューブの先側は、口が開いた状態になっている。そのため、熱収縮チューブの先側から、水が入り得る状態になっており、問題となっている。
本構成によれば、止水壁により熱収縮チューブの先端側からの水の浸入を防止することができるため、端子金具付き電線を防水性(止水性)に優れたものとすることができる。
一方、本構成によれば、止水壁が嵌め込まれた部分の凹状面には、熱収縮チューブの収縮で止水壁が押さえつけられることにより凹状面に付着した液体を止水壁が押しのけて逃がす第1逃がし凹部が形成されているため、凹状面に付着した油等の液体を、第1逃がし凹部内に逃がすことができる。よって、第1逃がし凹部の外における凹状面の表面に付着する油等の液体を少なくできるため、止水壁と凹状面との間の接着性を良好にすることができる。よって、端子金具に付着した油等の液体による止水壁と端子金具との間のシール性の低下を防止することができる。
(1)前記熱収縮チューブは前記凸状面に接着されるものであり、前記凸状面には、前記熱収縮チューブの収縮の際に押しのけられた前記凸状面に付着した液体を逃がす第2逃がし凹部が形成されている。
熱収縮チューブを接着層を介して凸状面に隙間なく密着させることができ、熱収縮チューブと凸状面との間のシール性を向上させることができる。
本構成によれば、熱収縮チューブが密着する凸状面には、凸状面に付着した液体を熱収縮チューブが収縮の際に押しのけて逃がす第2逃がし凹部が形成されているため、凸状面に付着した油等の液体を、第2逃がし凹部内に逃がすことができる。よって、第2逃がし凹部の外における凸状面の表面に付着する油等の液体を少なくできるため、熱収縮チューブと凸状面との間の接着性を良好にすることができる。よって、端子金具に付着した油等の液体による熱収縮チューブと端子金具との間のシール性の低下を防止することができる。
このようにすれば、油等を逃がし凹部に導きやすくなる。
(3)前記逃がし凹部は、前記底板部の周方向に沿った方向に延びている。
軸方向に延びる場合等と比較して電線側に油等が移動しにくいため、シール性を向上させることができる。
より確実にシール性を発揮させることができる。
(5)前記逃がし凹部は、点状であって、複数形成されている。
本発明の実施形態1に係る端子金具付き電線10を、図1ないし図12を参照しつつ説明する。
端子金具付き電線10は、図2に示すように、電線11と、この電線11の端末に取り付けられる端子金具20と、この端子金具20に取り付けられる止水壁30と、この止水壁30と共に、電線11と端子金具20との接続部分を包囲するように被せられる筒状の熱収縮チューブ33とを備える。以下では、上下方向については図2を基準とし、図2の左方を前方、右方を後方として説明する。
電線11は、複数本の金属細線を撚り合せてなる芯線12と、この芯線12の外周を被覆する合成樹脂製の絶縁被覆13(絶縁層)と、を備える。芯線12を構成する材料としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等が挙げられ、必要に応じて任意の金属材料の中から適宜選択される。電線11の端末部分の絶縁被覆13は除去され、芯線12が露出している。なお、芯線12は単芯線を用いてもよい。
端子金具20は、例えば、金属板材を所定形状にプレス加工することによって得られ、雌型であり、図示しない相手側の雄型端子と接続される。
この端子金具20は、図5に示すように、相手側の雄型の端子金具20(図示しない)と接続される接続部21と、接続部21における側壁21B及び底板21Cの後方に連なり電線11が載置される底板部22と、この底板部22の両側縁部から立ち上がり電線11をかしめて圧着するバレル部28とを備える。
底板部22は、前後方向(電線11の軸方向)に長い形状であって、幅方向に略U字状(左右方向の断面が略U字状)に湾曲した形状であり、これにより内面側(電線11が載置される側)に凹状に湾曲した凹状面23が設けられ、凹状面23の裏側に凸状に湾曲した凸状面26が設けられている。
ここで、図6に示すように、凹状面23のうち芯線12の先端の前方は、前後方向に所定寸法(止水壁30の厚み寸法。図6のAの範囲)に亘って止水壁30が嵌め込まれる部分(領域)である装着部24とされている。
第1逃がし凹部25は、図7に示すように、一定の深さで凹状面23の全幅(略半円形の全幅)に亘って凹み形成されており、深くなるほど幅寸法が傾斜状に狭くなる側断面形状とされている。これら第1逃がし凹部25は、熱収縮チューブ33の収縮で止水壁30が押さえつけられた際に、凹状面23の表面(第1逃がし凹部25以外の部分)に付着した油等の液体Liを止水壁30が押しのけて逃がす領域を形成するために設けられている。
第2逃がし凹部27は、一定の深さで凸状面26の全幅(略半円形の全幅)に亘って凹み形成されており、深くなるほど幅寸法が傾斜状に狭くなる断面形状とされている。この第2逃がし凹部27は、熱収縮チューブ33の収縮の際に押しのけられた凸状面26に付着した液体Liを逃がす領域となるように設けられている。
ここで、第1逃がし凹部25と第2逃がし凹部27とは、互いの逃がし凹部25(27)が他方の凸部(凹状面又は凸状面の表面)となるように前後方向に位置をずらして(交互に)形成されている。
ワイヤーバレル28Aは板片状であり、端子金具20が電線11に取り付けられる前は、底板部22の両縁から立ち上がるように設けられている。このワイヤーバレル28Aは、端子金具20が電線11に取り付けられる際に、底板部22上の芯線12を抱きかかえるように芯線12に対して圧着される(かしめられる)。
ワイヤーバレル28Aが延設されている部分の凹状面23には、複数個の略四角形状(略平行四辺形状)に凹設されたセレーション29が形成されている。このセレーション29が圧着の際に芯線12の表面の酸化膜を破ることで、電気抵抗の低下を抑制しつつ、ワイヤーバレル28Aと芯線12との固着力を高めることができる。
止水壁30は、所定形状に加工された樹脂加工物を用いて製造される。本実施形態の止水壁30は、略円柱状であり、装着部24の内側に嵌るような形状に加工されている。この止水壁30に使用される樹脂材料としては、例えば、対金属良接着性エラストマー(商品名:ペルプレン(登録商標)、東洋紡績株式会社)が挙げられる。この樹脂材料は、適度な剛性(弾性)を備えると共に、加熱処理によって金属に対する接着性を発現する。この樹脂材料からなる止水壁30は、所定温度で加熱処理すると、全体としては形状(剛性)を維持しつつも、表面から溶融した液状の樹脂材料であり金属に対して接着性を有する熱可塑性接着剤31が滲み出してくる。例えば、樹脂材料における母材部分の融点は170℃程度であり、上記のように滲み出してくる熱可塑性接着剤31の融点は120℃程度である。なお、常温(室温)下では、止水壁30は、金属に対する接着性はなく、取り扱いやすい。このような止水壁30は、例えば、樹脂材料を、押出成形装置を利用して細長い円柱状の成形物に押出成形し、その成形物を所定形状(大きさ)に切り分けることによって得られる。
この止水壁30は適度な弾性を有しており、底板部22の内側から外側に向かって押し返すようにして、装着部24の内側表面に対して密着する。なお、止水壁30を端子金具20に取り付ける作業は、端子金具20に電線11を取り付ける前に行ってもよいし、端子金具20に電線11を取り付けた後に行ってもよい。
熱収縮チューブ33は、加熱処理によって収縮する合成樹脂材料からなる筒状の部材であって、図2に示すように、熱収縮チューブ33の先側の開口端部は、止水壁30とこの止水壁30を受け支える部分の底板部22とを取り囲むように、これらと密着している。これに対して、後側の開口端部は、芯線12の根元の絶縁被覆13を取り囲むように、絶縁被覆13と密着している。
本実施形態において、先側の開口端部と、後側の開口端部との間に存在している部分の熱収縮チューブ33は、端子金具20と電線11との接続部分を外側から締付けるように密着している。
次いで、本実施形態に係る端子金具付き電線10の製造工程の一例を示す。
先ず、プレス機により平板状の金属板材に対して展開形状に打ち抜く打ち抜き工程及び立体的な形状とする曲げ工程が施され、図10に示すような複数の端子金具20が連なって構成されてなる連鎖端子40が形成される。この打ち抜き工程の際に、底板部22の逃がし凹部25,27も形成される。なお、別工程において逃がし凹部25,27を形成することも可能である。
打ち抜き工程の際には、ワイヤーバレル28Aが延設されている部分の底板部22上に、複数個のセレーション29が形成される。
キャリア41には、長手方向に沿って略等間隔に並んだ送り孔42が形成されている。送り孔42としては、略円形状のものと、略矩形状のものとが交互に並べられている。この送り孔42は、図示しない加工機に設けられた送り爪が係合するように設定されている。
止水壁30が嵌め込まれた連鎖端子40は、加熱装置50により加熱処理工程が施される。この加熱処理工程において、図12に示すように、止水壁30から、金属に対して接着性を有する熱可塑性接着剤31が滲み出す。
上記のように、端子金具20の底板部22上に電線11の端末部分を載せた後、加工装置を利用して、端子金具20のワイヤーバレル28A及びインシュレーションバレル28Bをかしめ付ける(圧着する)。
以上の製造工程によって端子金具付き電線10が得られる。
(1) 電線11が載置される側に設けられた凹状面23のうち芯線12の先端の前方に嵌め込まれ凹状面23(の装着部24)に接着された止水壁30と、加熱による収縮で一方側が止水壁30と凸状面26とを包囲しつつ止水壁30を押さえつけて止水壁30及び凸状面26に密着するとともに他方側が絶縁被覆13を取り囲むように密着する筒状の熱収縮チューブ33と、を備える。
このようにすれば、止水壁30により熱収縮チューブ33の先端側からの水の浸入を防止することができるため、端子金具付き電線10を防水性(止水性)に優れたものとすることができる。
本実施形態によれば、熱収縮チューブ33が密着する凸状面26には、凸状面26に付着した液体Liを熱収縮チューブ33が収縮の際に押しのけて逃がす第2逃がし凹部27が形成されているため、凸状面26に付着した油等の液体Liを、第2逃がし凹部27内に逃がすことができる。よって、第2逃がし凹部27の外における凸状面26の表面に付着する油等の液体Liを少なくできるため、熱収縮チューブ33と凸状面26との間の接着性を良好にすることができる。よって、端子金具20に付着した油等の液体Liによる熱収縮チューブ33と端子金具20との間のシール性の低下を防止することができる。
(4)逃がし凹部25,27は、凹状面23(底板部22)の周方向に沿った方向に延びているため、軸方向に延びる場合等と比較して電線11側に油等が移動しにくいため、シール性を向上させることができる。
(5)逃がし凹部25,27は、複数条形成されているため、より確実にシール性を発揮させることができる。
次に、本発明の実施形態2を図13を参照して説明する。実施形態2では、逃がし凹部25,27は、溝状であったが、実施形態2は、逃がし凹部61を点状としたものである。以下では、上記実施形態と同一の構成については同一の符号と付して説明を省略する。
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、逃がし凹部25,27は、溝状又は点状(円形状)としたこれに限られない。例えば、多角形状でもよい。
(3)凸状面26側に設ける第2逃がし凹部27は、止水壁30の装着部24の裏側(装着部24に対応する位置)に限らず、凸状面26のうち、装着部24の裏側(装着部24に対応する位置)以外の位置であってもよい。
(6)上記実施形態においては、端子金具20が所謂、雌型であったが、これに限らず、雄型であってもよいし、丸型端子(所謂、LA端子)であってもよい。つまり、端子金具の形状は、目的に応じて適宜選択すればよい。
11…電線
12…芯線
13…絶縁被覆
20,60…端子金具
22…底板部
23…凹状面
24…装着部
25,61…第1逃がし凹部
26…凸状面
27,61…第2逃がし凹部
28…バレル部
30…止水壁
31…熱可塑性接着剤
33…熱収縮チューブ
34…接着層
40…連鎖端子
41…キャリア
Li…液体
Claims (6)
- 芯線とこの芯線の周囲を被覆する絶縁被覆とからなり端末部において前記絶縁被覆が剥ぎ取られ芯線が露出した電線と、
前記電線が載置される側に設けられた凹状面とこの凹状面の裏側に設けられた凸状面とを有する底板部とこの底板部の側縁から立ち上がり前記芯線を圧着するバレル部とを備えた端子金具と、を備える端子金具付き電線であって、
前記凹状面のうち前記芯線の先端の前方に嵌め込まれ前記凹状面に接着された止水壁と、
加熱による収縮で一方側が前記止水壁と前記凸状面とを包囲しつつ前記止水壁を押さえつけて前記止水壁及び前記凸状面に密着するとともに他方側が前記絶縁被覆を取り囲むように密着する筒状の熱収縮チューブと、を備え、
前記止水壁が嵌め込まれた部分の前記凹状面には、前記熱収縮チューブの収縮で前記止水壁が押さえつけられることにより前記凹状面に付着した液体を前記止水壁が押しのけて逃がす第1逃がし凹部が形成されている端子金具付き電線。 - 前記熱収縮チューブは前記凸状面に接着されるものであり、前記凸状面には、前記熱収縮チューブの収縮の際に押しのけられた前記凸状面に付着した液体を逃がす第2逃がし凹部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の端子金具付き電線。
- 前記逃がし凹部は、溝状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端子金具付き電線。
- 前記逃がし凹部は、前記底板部の周方向に沿った方向に延びていることを特徴とする請求項3に記載の端子金具付き電線。
- 前記逃がし凹部は、複数条形成されていることを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の端子金具付き電線。
- 前記逃がし凹部は、点状であって、複数形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の端子金具付き電線。
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