JP2012167012A - 光ファイバ紡糸装置及びその方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】タワーの高さを高くすることなく、紡糸した光ファイバに対して連続して複数の樹脂被覆を施すことを可能とする。
【解決手段】光ファイバ紡糸装置1は、光ファイバ母材5を加熱して光ファイバ7に紡糸する紡糸炉9と紡糸された光ファイバに樹脂を被覆する樹脂被覆装置25と樹脂硬化装置27とを上方向から下方向へ順次垂直方向に配置した被覆・硬化装置と、光ファイバを再び垂直の上方向へ搬送する垂直搬送部47とこの垂直搬送部47の光ファイバを光ファイバの送り速度と同じ速度で引き取る垂直上部引取部49とで構成される垂直搬送装置45と、からなるメインタワー3と、光ファイバに樹脂を被覆する樹脂被覆装置57と樹脂硬化装置59とを上方向から下方向へ順次垂直方向に配置した補助タワー51と、光ファイバを巻き取る巻取装置71と、で構成されている。
【選択図】図1

Description

この発明は、光ファイバ紡糸装置及びその方法に関し、特に光ファイバ母材を加熱して紡糸した光ファイバに多層の樹脂被覆を行う光ファイバ紡糸装置及びその方法に関する。
従来の光ファイバ紡糸装置では、例えば、特許文献1に示されているように、光ファイバ母材を加熱して光ファイバに紡糸する紡糸炉と、この紡糸炉で紡糸された光ファイバに樹脂液を塗布する複数個の樹脂液塗布装置と、この光ファイバに塗布された複数の樹脂液を樹脂液塗布装置毎に硬化させる硬化装置と、この光ファイバ心線を巻き取る巻き取り機が、直列に順次上方向から下方向へ向けて配置されている。
特開平2−64041号公報
ところで、従来の光ファイバ紡糸装置においては、例えば、特許文献1に示されているように、紡糸される光ファイバは線径を一定にすることが求められるので、重力の影響を受けない垂直方向で紡糸されている。このとき、紡糸炉で加熱して紡糸された光ファイバは冷却する必要があり、そのためには冷却空間の間隔をあける必要がある。したがって、光ファイバの線速を上げて生産効率を向上する場合は、さらに冷却空間の間隔をあける必要がある。そのためには、紡糸装置のタワーをさらに高くする必要が生じてくる。すなわち、次に示すような問題点があった。
(1)光ファイバに被覆する被覆層の数が多くなると、樹脂被覆装置をタワーに設置するためのスペースが無い。
(2)生産効率をアップするために紡糸線速を速くすると、光ファイバを冷却する部分の長さが長くなるが、タワーの高さには限界がある。
(3)光ファイバ素線そのものに加工を行なう装置を導入する場合、タワーの高さが不足するために、必要な樹脂被覆をすることができないという問題があった。すなわち、オンラインファイバ加工機と組み合わせることが難しい。
(4)光ファイバに樹脂被覆を被覆するには、樹脂被覆層地のダイスに光ファイバを通してから樹脂の供給を行なうので、光ファイバの搬送時に光ファイバに傷をつけない工夫が必要である。
(5)線がけを行った後の紡糸工程では、余分な装置が接触しないパスラインが必要となる。
(6)紡糸線速を高速化するためには高い紡糸タワーを設置するしかなく、タワー本体の価格だけでなく、周囲の建築物の価格も高くなる。
(7)光ファイバケーブルでは樹脂の押出しによる横向きに設置した被覆装置を導入することが可能であるが、紡糸した光ファイバに連続して樹脂を被覆するには、被覆樹脂の偏肉特性が厳しいために、横向きに被覆装置を設置することができない。
この発明は、タワーの高さを高くすることなく、紡糸した光ファイバに対して連続して複数の樹脂被覆を施すことを可能とすることを目的とする。
上記の課題を解決するために、この発明の光ファイバ紡糸装置は、光ファイバ母材を加熱して光ファイバに紡糸する紡糸炉と、この紡糸炉で紡糸された光ファイバに樹脂を被覆する樹脂被覆装置と前記光ファイバに被覆された樹脂を硬化させる樹脂硬化装置とを上方向から下方向へ順次垂直方向に配置した被覆・硬化装置と、前記光ファイバを再び垂直の上方向へ搬送する垂直搬送部とこの垂直搬送部の光ファイバを前記光ファイバの送り速度と同じ速度で引き取る垂直上部引取部とで構成される垂直搬送装置と、からなるメインタワーと、
光ファイバに樹脂を被覆する樹脂被覆装置と前記光ファイバに被覆された樹脂を硬化させる樹脂硬化装置とを上方向から下方向へ順次垂直方向に配置した補助タワーと、
前記光ファイバを巻き取る巻取装置と、で構成されていることを特徴とするものである。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、 前記メインタワーと、補助タワーとの間に、前記垂直搬送装置と補助タワーとからなる副補助タワーを複数備えていることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記光ファイバの走行方向で前記垂直搬送装置の後方側に、前記光ファイバを引き取る第1引取装置を設けると共に、この第1引取装置による光ファイバのクランプ力が前記垂直搬送装置の垂直上部引取部による光ファイバのクランプ力より小さくし、かつ、前記第1引取装置による光ファイバの線速が前記垂直搬送装置の垂直上部引取部による光ファイバの線速より遅くした構成であることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記垂直搬送部がベルトコンベアであると共に、前記垂直上部引取部が前記ベルトコンベアの上部で光ファイバを挟み込むように設けたピンチローラであることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記ピンチローラは、光ファイバをベルトコンベアのベルトと挟んだまま前記光ファイバの線速と連動して上方へ移動した後に前記ベルトコンベアの上部で光ファイバを引き取る垂直上部引取部となることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記垂直搬送部が、前記光ファイバを両側から挟み込むベルトコンベアで構成されていることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記ベルトコンベアは、光ファイバのパスラインと待避位置との間を移動自在に設けられていることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記ベルトコンベア及び前記ピンチローラは、カムクラッチ機構を内蔵していることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、
前記ベルトコンベアのベルトがクッション性を有する材料でなることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記垂直搬送部が、垂直方向に延伸して設けたダクト内を上方に向けて流れるエアで前記光ファイバを搬送するエアダクトであることが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸装置は、前記光ファイバ紡糸装置において、前記垂直搬送装置と巻取装置との間に、光ファイバの張力を測定する光ファイバ張力測定装置を設け、この光ファイバ張力測定装置により前記光ファイバに予め設定した設定値以上の張力がかかったことを測定した時に前記垂直搬送装置が光ファイバを開放する機構を有することが好ましい。
この発明の光ファイバ紡糸方法は、光ファイバ母材を加熱して光ファイバに紡糸すると共に前記光ファイバを垂直の下方向に搬送しながら複数の樹脂被覆を施す光ファイバ紡糸方法において、
前記光ファイバを途中から変向せしめて再び垂直の上方向へ搬送する垂直搬送工程と、前記光ファイバをその適宜位置で変向せしめて再び垂直の下方向へ搬送しながら樹脂被覆を施す樹脂被覆工程と、を行い、
前記垂直搬送工程と樹脂被覆工程を少なくとも1回以上を繰り返すことを特徴とするものである。
また、この発明の光ファイバ紡糸方法は、前記光ファイバ紡糸方法において、前記垂直搬送工程は、その上部で垂直上部引取部により前記光ファイバを一定速度で引き取りながら前記光ファイバを再び垂直の下方向へ変向する線がけを行うことが好ましい。
また、この発明の光ファイバ紡糸方法は、前記光ファイバ紡糸方法において、前記垂直搬送工程より前記光ファイバの走行方向の後方側で、第1引取装置により前記光ファイバを引き取ると共に、前記第1引取装置による光ファイバのクランプ力を前記垂直搬送工程の垂直上部引取部による光ファイバのクランプ力より小さくし、かつ、前記第1引取装置による光ファイバの線速を前記垂直搬送装置の垂直上部引取部による光ファイバの線速より遅くしていることが好ましい。
以上のごとき課題を解決するための手段から理解されるように、この発明の光ファイバ紡糸装置及びその方法によれば、垂直搬送装置を設けたので、タワーの高さを高くすることなく、紡糸した光ファイバに対して連続して複数の樹脂被覆を施すことができる。
また、光ファイバを冷却するための長さを長くできるので、紡糸の線速を上げることができる。
また、垂直搬送装置の垂直搬送部から隣り合うラインへ線がけ作業を行うときに光ファイバが破断したとしても、垂直搬送部の上部に光ファイバを引取る機能を導入することで、線がけ作業が容易になる。
この発明の実施の形態の光ファイバ紡糸装置の概略的な説明図である。 第1の実施の形態の垂直搬送装置を示す斜視図である。 光ファイバ紡糸装置により製造される光ファイバ心線の断面図である。 第2の実施の形態の垂直搬送装置を示す斜視図である。 第3の実施の形態の垂直搬送装置を示す側面図である。 第4の実施の形態の垂直搬送装置を示す側面図である。 第5の実施の形態の垂直搬送装置を示す側面図である。 第6の実施の形態の垂直搬送装置を示す側面図である。 (A)は第6の実施の形態の垂直搬送装置を示す平面図で、(B)は(A)の一部断面図である。 この発明の他の実施の形態の光ファイバ紡糸装置の概略的な斜視図である。
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1を参照するに、この実施の形態に係る光ファイバ紡糸装置1は、例えば約6m(メートル)の高さのメインタワー3が設けられており、このメインタワー3の上部には光ファイバ母材5を加熱して光ファイバ7に紡糸する紡糸炉9が設けられている。なお、光ファイバ母材5の外径は、最大で例えばφ50mmである。
紡糸炉9は、炉内を約2300°Cにする加熱装置11としての例えばカーボンヒータと、溶融した光ファイバ7を例えば冷却水等で強制的に冷却する冷却装置13を有している。
前記光ファイバ母材5は、メインタワー3に設けた母材送り出し装置15により保持されており、前記紡糸炉9で加熱溶融されながら紡糸されて光ファイバ7となる。なお、母材送り出し装置15は、例えば、光ファイバ母材5を保持する保持部材17と、この保持部材17に螺合して昇降するためのボールネジ19と、このボールネジ19を回転駆動するモータ21とで構成される。したがって、前記モータ21によりボールネジ19が正逆回転し、保持部材17で保持されている光ファイバ母材5が上下動される。
前記紡糸炉9の下方には、紡糸された直後の光ファイバ7の外径を測定する光ファイバ外径測定器としての例えば第1レーザ外径測定器23が設けられている。
この第1レーザ外径測定器23の垂直方向の下方には、順に、前記光ファイバ7に1層目の樹脂を被覆する第1樹脂被覆装置25と、この第1樹脂被覆装置25で被覆された1層目樹脂を硬化させるUVランプ/ヒータの第1樹脂硬化装置27と、前記光ファイバ7に2層目の樹脂を被覆する第2樹脂被覆装置29と、この第2樹脂被覆装置29で被覆された2層目樹脂を硬化させるUVランプ/ヒータの第2樹脂硬化装置31と、前記光ファイバ7の外径を測定する光ファイバ外径測定器としての例えば第2レーザ外径測定器33が設けられている。
なお、第1,第2樹脂被覆装置25,29は、光ファイバ7が通過する図示しないダイス孔を有するダイス35と、このダイス35に樹脂を配管で供給する樹脂タンク37を有している。前記第1,第2樹脂被覆装置27,29と第1,第2樹脂硬化装置27,31とを被覆・硬化装置と呼ぶ。
さらに、第2レーザ外径測定器33の垂直方向の下方には、光ファイバ7を一定の速度で引き取るための第1引取装置としての例えば第1引取キャタピラ39が設けられている。
第1引取キャタピラ39で引き取られた光ファイバ7は、光ファイバ7にかかる張力を測定する光ファイバ張力測定装置としての例えばテンションプーリ41と、ターンプーリ43を経て垂直に持ち上げられる構成である。
すなわち、前記メインタワー3には、前記光ファイバ7を再び垂直の上方向へ搬送する垂直搬送装置45が設けられている。
垂直搬送装置45は、前記ターンプーリ43を経て走行方向が変更された光ファイバ7を、垂直の上方向へ搬送する垂直搬送部47と、この垂直搬送部47の光ファイバ7を前記光ファイバ7の送り速度と同じ速度で引き取る垂直上部引取部49と、で構成される。
なお、上記のメインタワー3の隣りには、例えば約4m(メートル)程度の補助タワー51が設けられている。
図2を併せて参照するに、上記の垂直搬送装置45の垂直搬送部47としてはベルトコンベア53が縦向きに配置された構造となっており、ベルトコンベア53はメインタワー3の光ファイバ7のパスラインよりも補助タワー51の側に近い場所に設置されている。
前記垂直上部引取部49としては、ピンチローラ55がベルトコンベア53の上部で光ファイバ7を挟み込むように設けられている。ピンチローラ55はベルトコンベア53との接触摩擦により常にベルトコンベア53のベルト速度と同期して回転している。なお、この実施の形態では、ピンチローラ55としては2本のローラにベルトを無端状に掛け回しているが、単なるローラでも良い。
したがって、光ファイバ7はベルトコンベア53で垂直の上方向へ搬送されてから垂直上部引取部49、すなわちピンチローラ55とベルトコンベア53に挟まれて引き取られる。
再び図1を参照するに、上記の垂直上部引取部49で引き取られた光ファイバ7は、ベルトコンベア53の上方に設けたターンプーリ43と、補助タワー51の上部に設けたターンプーリ43によって再び垂直の下方向へ変更されることになる。
上記の補助タワー51には、前記ターンプーリ43の垂直方向の下方に、順に、前記光ファイバ7に3層目の樹脂を被覆する第3樹脂被覆装置57と、この第3樹脂被覆装置57で被覆された3層目樹脂を硬化させるUVランプ/ヒータの第3樹脂硬化装置59と、前記光ファイバ7に4層目の樹脂を被覆する第4樹脂被覆装置61と、この第4樹脂被覆装置61で被覆された4層目樹脂を硬化させるUVランプ/ヒータの第4樹脂硬化装置63と、前記光ファイバ7の外径を測定する光ファイバ外径測定器としての例えば第3レーザ外径測定器65が設けられている。
なお、第3,第4樹脂被覆装置59,63は、光ファイバ7が通過する図示しないダイス孔を有するダイス35と、このダイス35に樹脂を配管で供給する樹脂タンク37を有している。
上記の第3レーザ外径測定器65を通過した光ファイバ7は、第3レーザ外径測定器65の下方に位置するターンプーリ43によって変向されて最終の引取装置としての例えばキャプスタン67により引き取られる。次いで、光ファイバ7の送り量を調整するダンサー69を経て巻取装置71の巻取ドラムに巻き取られることとなる。
上記構成により、まず、紡糸炉9で加熱溶融されながら紡糸された光ファイバ7は、メインタワー3を垂直の下方向に向けて第1引取キャタピラ39(第1引取装置)により一定速度で引き取られる。この光ファイバ7は、図3(A)に示されているように、中心のコア層7Aとその外周に設けられたクラッド層7Bからなるもので、光ファイバ7の外径は例えばφ0.125mmである。
この光ファイバ7は、テンションプーリ41とターンプーリ43で向きを垂直の上方向に変えた後、図2に示されているように、光ファイバ7の先端が垂直搬送装置45のベルトコンベア53に粘着テープ73で貼り付けられる。
ベルトコンベア53の上部にはピンチローラ55がベルトコンベア53との接触摩擦により常にベルトコンベア53のベルト速度と同期して回転しているので、光ファイバ7の先端はベルトコンベア53のベルトとピンチローラ55の間に挟み込まれて一定の速度で上方へ引き取られる。その結果、光ファイバ7の先端がベルトコンベア53によって補助タワー51の上部の位置、例えば中2階に搬送される。
中2階では、ベルトコンベア53の上方に位置する別のターンプーリ43でラインの方向をほぼ90°ほど変更した後に、補助タワー51の上部のターンプーリ43に光ファイバ7を線がけする。この線がけ作業を行なう際に、誤って光ファイバ7を切断してしまってもピンチローラ55で光ファイバ7を一定速度で引き取っているので、紡糸される光ファイバ7の線径に影響を及ぼすことなく、再び、容易に線がけ作業を行なうことが可能である。
なお、光ファイバ7の線がけ作業が終了した後に、光ファイバ7が正規のパスラインを通るときには、光ファイバ7とベルトコンベア53は接触しない位置関係となっている。
上記のように補助タワー51の上部のターンプーリ43に線がけされた光ファイバ7は、補助タワー51の下部のターンプーリ43を経てキャプスタン67により引き取られ、次いで、ダンサー69を経て巻取装置71の巻取ドラムに巻き取られる。
なお、紡糸された直後の光ファイバ7は第1レーザ外径測定器23で測定され、メインタワー3の下部では第2レーザ外径測定器33で測定され、補助タワー51の下部では第3レーザ外径測定器65で測定されることにより、光ファイバ7の線径が一定であることが確認される。
上述したように、まず、紡糸炉9で紡糸された光ファイバ7を巻取装置71に巻き取る作業が完成した後に、メインタワー3の第1樹脂被覆装置25によって、図3(B)に示されているように、前記光ファイバ7に1層目の樹脂75が被覆された後に、この1層目の樹脂75は第1樹脂硬化装置27のUVランプ/ヒータによって硬化される。この時の光ファイバ心線の外径は例えばφ0.135mmである。
次いで、第2樹脂被覆装置29によって、図3(C)に示されているように、前記光ファイバ心線の1層目の樹脂75の外周に2層目の樹脂77が被覆された後に、この2層目の樹脂77は第2樹脂硬化装置31のUVランプ/ヒータによって硬化される。この時の光ファイバ心線の外径は例えばφ0.145mmであり、第2レーザ外径測定器33で測定される。
その後、2層目の樹脂77が被覆された光ファイバ心線はテンションプーリ41とターンプーリ43を経て垂直搬送装置45を通過して垂直に持ち上げられ、垂直搬送装置45の上方位置のターンプーリ43と、補助タワー51の上部に設けたターンプーリ43によって再び垂直の下方向へ走行する。
補助タワー51では、第3樹脂被覆装置57によって、図3(D)に示されているように、前記光ファイバ心線に2層目の樹脂77の外周に3層目の樹脂79が被覆された後に、この3層目の樹脂79は第3樹脂硬化装置59のUVランプ/ヒータによって硬化される。この時の光ファイバ心線の外径は例えばφ0.155mmである。
その後、第4樹脂被覆装置61によって、図3(E)に示されているように、前記光ファイバ心線の3層目の樹脂79の外周に4層目の樹脂81が被覆された後に、この4層目の樹脂81は第4樹脂硬化装置63のUVランプ/ヒータによって硬化される。この時の光ファイバ心線の外径は例えばφ0.165mmであり、第3レーザ外径測定器65で測定される。
4層目の樹脂81が被覆された光ファイバ心線は、第3レーザ外径測定器65の下方に位置するターンプーリ43によって変向されてキャプスタン67により引き取られ、ダンサー69を経て巻取装置71の巻取ドラムに巻き取られる。
以上のように、補助タワー51には複数の例えば第3,第4樹脂被覆装置57,61が設置されているので、ターンプーリ43によって送られてきた光ファイバ心線に再び樹脂被覆を繰り返して行なうことが可能である。したがって、メインタワー3の高さを高くしなくても、樹脂の多層被覆が可能となる。
なお、補助タワー51には、樹脂硬化装置のみを設置することも可能である。すなわち、光ファイバ7の線速が速いためにメインタワー3で樹脂被覆の硬化が不十分であった場合に、補助タワー51によって完全硬化させることが可能となる。
また、補助タワー51を用いることで、光ファイバ7に被覆を行なうための樹脂被覆装置を垂直方向に設置することが可能となるので、光ファイバ7における被覆樹脂の偏肉特性を良好に保つことが可能となる。つまり、光ファイバ7が重力を受けない垂直方向で樹脂被覆が行われるので、被覆樹脂の偏肉特性が良好となる。
また、紡糸炉9で加熱溶融されながら紡糸された光ファイバ7は冷却する必要があるので、冷却空間の間隔をあける必要がある。このとき、生産効率をアップするために光ファイバ7の線速を速くしても、補助タワー51を用いることにより、メインタワー3の高さを高くしなくても、冷却空間の間隔をあけることが可能となる。
また、メインタワー3に設置されている第1引取キャタピラ39(第1引取装置)のクランプ力が、垂直搬送装置45の上部に設置された垂直上部引取部49のクランプ力に比べてわずかに滑るようにし、垂直搬送装置45の線速が第1引取キャタピラ39の線速に比べてわずかに速くすることにより、第1引取キャタピラ39と垂直搬送装置45の垂直上部引取部49との二つの引取装置の線速が完全に同調していなくても、光ファイバ7が切れることなく引き取ることが可能となる。
この実施の形態の光ファイバ紡糸装置1は、以下に示す効果を奏する。
(1)垂直搬送装置45を導入することで、以下の効果がある。
(1-1) 多層被覆の光ファイバの製造が可能になる。例えば、ポリイミド被覆光ファイバ、プラスチッククラッド光ファイバ(PCF)がある。また、イメージ光ファイバ、バンドルファイバのように通信用光ファイバ以外で、被覆厚に規格の無い光ファイバがある。また、UV被覆光ファイバで被覆総数を多くしたい場合がある。
(1-2) 光ファイバ7の紡糸の線速を上げることができる。例えば、通信用光ファイバを製造する際に、紡糸の線速を上げるために光ファイバを冷却するための長さを長くした光ファイバ紡糸装置とすることができる。
(1-3) 光ファイバの加工装置を導入しても、それに対応する必要な層数の被覆を行うことができる。例えば、タワーの一部にカーボンコート装置などの光ファイバの加工装置を設置する場合、従来の光ファイバ紡糸装置ではタワーの高さが不足するが、この実施の形態の光ファイバ紡糸装置1では可能である。
(2)垂直搬送装置45にベルトコンベア53を用いることで、光ファイバ7を上方に搬送する機能と、引取装置の機能を兼ねることができる。ちなみに、樹脂被覆を被覆する前の光ファイバは傷がつきやすく、傷が付くと破断の原因となるが、ベルトコンベアはこの問題を解消する。
(3)垂直搬送装置45の上部に光ファイバ7を引取る機能を導入することで、以下の効果がある。
(3-1) 補助タワー51に線がけ作業を行うときに光ファイバ7が破断したとしても、上部(例えば中2階)に光ファイバ7を引き取る機能があるために、光ファイバ7が下部(例えば1階)まで落下しないので、線がけ作業が容易になる。
(3-2) 補助タワー51ヘの光ファイバ7の線がけ作業時に、光ファイバ7を緩ませずに線がけを行なうことができるため、線がけ作業が容易になる。
ちなみに、線がけ作業に光ファイバ7が緩むと、樹脂硬化装置内に光ファイバが張り付いてしまうことや、被覆に発泡が生じて樹脂被覆装置のダイスが詰まることや、光ファイバ径が太くなってダイスに引っかかることなどの問題点が生じる。
(4)垂直搬送装置45の垂直上部引取部49のクランプ力に比べて、メインタワー3の第1引取キャタピラ39がわずかに光ファイバ7を滑らせるクランプ力であることによって、以下の効果がある。
(4-1) 線がけ作業時に二つの引取装置の線速が完全に同調しなくても光ファイバ7が切れずに引き取ることができる。
(4-2) 線がけ作業時に、設備の連動をとって自動的に第1引取キャタピラ39のクランプを外す機能が必要とならず、安価に設備を導入することができる。
(5)ベルトコンベアにやわらかい素材を用いることで、被覆を行なっていない光ファイバ7の搬送が可能となる。これにより、線がけを行なった後の紡糸工程では、余分な装置が接触しないパスラインが必要となるが、この要求を満たすことができる。
(6)補助タワー51(マルチタワー)を設置することによって、以下の効果がある。
(6-1) 紡糸装置のタワーを高層化するために周囲の建築物が高層化したり、エレベータ等の付帯設備を設置することなく、安価にタワーを設置することができる。
(6-2) 紡糸装置のタワーの高さが低いと、タワーの強度を落せるため、低価格でタワー本体を製作することができる。
(6-3) 被覆の偏肉を小さくするための縦型被覆装置を設置することができる。
(6-4) タワーの高さの制限を受けることがなくなるため、被覆層数に制限が無くなり、多層被覆が可能となる。
(6-5) 被覆の硬化・乾燥工程の機能を補助タワー51で捕捉ことができるので、紡糸線速を高速化することができる。
(7) マルチタワー化と垂直搬送装置45により、紡糸工程のみではなく、着色工程も導入することが可能であり、設備の設置面積を小さくすることで省スペース化、家屋の低コスト化が可能となる。
次に、この発明の他の実施の形態の垂直搬送装置の幾つかについて説明する。なお、前述した第1の実施の形態の垂直搬送装置45と同様の部材は同符号を付し、特に異なる点のみを説明する。
図4を参照するに、第2の実施の形態の垂直搬送装置83は、垂直搬送部47が、前記光ファイバ7を両側からベルトコンベア85で挟み込む方式である。すなわち、光ファイバ7を両側から挟み込むように縦向きに配置した2つのベルトコンベア85で構成されている。
これにより、2つのベルトコンベア85で光ファイバ7を上方に搬送する際に、前述した実施の形態の垂直搬送装置45のように粘着テープ73などでベルトコンベア85のベルト表面に光ファイバ7を貼り付けることなく、光ファイバ7を両側からベルトコンベア85で挟み込むことによって光ファイバ7を上方へ搬送することが可能となる。
図5を参照するに、第3の実施の形態の垂直搬送装置87は、ピンチローラ追従方式である。すなわち、ベルトコンベア53が縦向きに配置された構造となっており、さらに、ピンチローラ89が、光ファイバ7をベルトコンベア53のベルトと挟んだまま前記光ファイバ7の線速と連動して上方へ移動して搬送する。さらに、前記ピンチローラ89は前記ベルトコンベア53の上部のストッパ91に当たって所定の位置で停止する。その後、前述した実施の形態のピンチローラ55と同様の引き取り動作を開始する構成である。つまり、ピンチローラ89とベルトコンベア53が光ファイバ7を引き取る垂直上部引取部49となる。
図6を参照するに、第4の実施の形態の垂直搬送装置93は、コンベアスライド方式であり、線がけ時の光ファイバ7の作業性を向上させる方法となる。すなわち、前述した実施の形態と同様に、垂直搬送部47はベルトコンベア95が縦向きに配置された構造となっており、ピンチローラ55がベルトコンベア95の上部で光ファイバ7を挟み込むように設けられている。さらに加えて、上記のベルトコンベア95は、光ファイバ7のパスラインと待避位置との間を移動可能に設けられている。
これにより、線がけ時にはベルトコンベア95は光ファイバ7のパスライン上に設置されており、線がけが終了した時にベルトコンベア95がパスラインから待避位置へ待避する。
図7を参照するに、第5の実施の形態の垂直搬送装置97は、線がけ時の光ファイバ7の作業性を向上させる方法となる。すなわち、前述した第1の実施の形態の垂直搬送装置45と同様に、垂直搬送部47はベルトコンベア53が縦向きに配置された構造となっており、ピンチローラ55がベルトコンベア53の上部で光ファイバ7を挟み込むように設けられている。さらに加えて、ベルトコンベア53及びピンチローラ55はカムクラッチ機構を内蔵している。
これにより、光ファイバ7を捕助タワー51に通した後に、キャプスタン67で引取りを開始した際に、キャプスタン67の線速が速くてもカムクラッチ機構によりベルトコンベア53とピンチローラ55が空回りし、光ファイバ7に余分な張力がかからないことになる。
図8を参照するに、第6の実施の形態の垂直搬送装置99は、自動開放機能付きベルトコンベア方式であり、線がけ時の光ファイバ7の作業性を向上させる方法となる。すなわち、前述した第1の実施の形態の垂直搬送装置45と同様に、垂直搬送部47はベルトコンベア101が縦向きに配置された構造となっており、ピンチローラ103がベルトコンベア101の上部で光ファイバ7を挟み込むように設けられている。さらに加えて、前記ピンチローラ103とベルトコンベア101がパスラインから待避位置へ待避可能に設けられている。
さらに、前記ベルトコンベア101とキャプスタン67との間に、光ファイバ7の張力を測定する光ファイバ張力測定装置としての例えばテンションプーリ41が設けられている。このテンションプーリ41により前記光ファイバ7に予め設定した設定値以上の張力がかかったことを測定した時に、前記ピンチローラ103とベルトコンベア101は待避位置へ待避して光ファイバ7を開放する機構を有している。
なお、前述した各実施の形態のベルトコンベア53、85、95、101は、そのベルトがクッション性を有する材料で構成されていることが、光ファイバ7を搬送する際に光ファイバ7を折れにくくするという点で望ましい。
図9を参照するに、第7の実施の形態の垂直搬送装置105は、光ファイバ7のエア搬送方式である。すなわち、垂直搬送部47が、垂直方向に延伸して設けたダクト107内を上方に向けて流れるエア109で前記光ファイバ7を搬送するエアダクトである。また、ダクト107としては例えば内径がφ20mmの透明性のパイプを用いることができる。エア109を噴射する機構としては、図9(B)に示されているように、ダクト107の途中にいくつものエア噴射ノズル111が設けられている。供給されるエア109を貯留するエア貯留室113がダクト107の外周に設けられており、このエア貯留室113とダクト107の内部に斜め前方へ向けて連通する6個のエア噴射ノズル111(孔部)がダクト107の外周に配置されている。
この場合、光ファイバ7が単体でもダクト107内をエア搬送で送ることが可能であるが、エア109の消費量を減らすために、光ファイバ7の先端には、例えばバルーンなどのように空気抵抗を増やす部材を設けることが望ましい。
次に、この発明の他の実施の形態の光ファイバ紡糸装置115について説明する。なお、前述した実施の形態の光ファイバ紡糸装置1と同様の部材は同符号を付し、特に異なる点のみを説明する。
図10を参照するに、基本的には前述した実施の形態の光ファイバ紡糸装置1と同様であり、異なる点は複数の副補助タワー51Aを設け、各副補助タワー51Aには樹脂被覆装置117や、図示してないが樹脂硬化装置や、前述した各実施の形態のいずれかの垂直搬送装置(図10では垂直搬送装置45)が設けられている。この方式は、製造する光ファイバ心線の樹脂被覆の層数に応じて必要な複数の副補助タワー51Aを適宜設けることが可能な「マルチレイアウト補助タワー方式」と称する。
1 光ファイバ紡糸装置
3 メインタワー
5 光ファイバ母材
7 光ファイバ
9 紡糸炉
11 加熱装置
13 冷却装置
15 母材送り出し装置
17 保持部材
23 第1レーザ外径測定器(光ファイバ外径測定器)
25 第1樹脂被覆装置
27 第1樹脂硬化装置
29 第2樹脂被覆装置
31 第2樹脂硬化装置
33 第2レーザ外径測定器(光ファイバ外径測定器)
39 第1引取キャタピラ(第1引取装置)
41 テンションプーリ(光ファイバ張力測定装置)
43 ターンプーリ
45 垂直搬送装置(第1の実施の形態の)
47 垂直搬送部
49 垂直上部引取部
51 補助タワー
51A 副補タワー
53 ベルトコンベア
55 ピンチローラ
57 第3樹脂被覆装置
59 第3樹脂硬化装置
61 第4樹脂被覆装置
63 第4樹脂硬化装置
65 第3レーザ外径測定器(光ファイバ外径測定器)
67 キャプスタン
69 ダンサー
71 巻取装置
73 粘着テープ
75 1層目の樹脂
77 2層目の樹脂
79 3層目の樹脂
81 4層目の樹脂
83 垂直搬送装置(第2の実施の形態の)
85 ベルトコンベア
87 垂直搬送装置(第3の実施の形態の)
89 ピンチローラ
91 ストッパ
93 垂直搬送装置(第4の実施の形態の)
95 ベルトコンベア
97 垂直搬送装置(第5の実施の形態の)
99 垂直搬送装置(第6の実施の形態の)
101 ベルトコンベア
103 ピンチローラ
105 垂直搬送装置(第7の実施の形態の)
107 ダクト
109 エア
111 エア噴射ノズル
113 エア貯留室
115 光ファイバ紡糸装置

Claims (3)

  1. 光ファイバ母材を加熱して光ファイバに紡糸すると共に前記光ファイバを垂直の下方向に搬送しながら複数の樹脂被覆を施す光ファイバ紡糸方法において、
    前記光ファイバを途中から変向せしめて再び垂直の上方向へ搬送する垂直搬送工程と、前記光ファイバをその適宜位置で変向せしめて再び垂直の下方向へ搬送しながら樹脂被覆を施す樹脂被覆工程と、を行い、
    前記垂直搬送工程と樹脂被覆工程を少なくとも1回以上を繰り返すことを特徴とする光ファイバ紡糸方法。
  2. 前記垂直搬送工程は、その上部で垂直上部引取部により前記光ファイバを一定速度で引き取りながら前記光ファイバを再び垂直の下方向へ変向する線がけを行うことを特徴とする請求項1記載の光ファイバ紡糸方法。
  3. 前記垂直搬送工程より前記光ファイバの走行方向の後方側で、第1引取装置により前記光ファイバを引き取ると共に、前記第1引取装置による光ファイバのクランプ力を前記垂直搬送工程の垂直上部引取部による光ファイバのクランプ力より小さくし、かつ、前記第1引取装置による光ファイバの線速を前記垂直搬送装置の垂直上部引取部による光ファイバの線速より遅くしていることを特徴とする請求項2記載の光ファイバ紡糸方法。
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