JP2012166157A - 導電性の流動層反応用触媒及びその製造方法並びにプロピレンの製造方法 - Google Patents

導電性の流動層反応用触媒及びその製造方法並びにプロピレンの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ゼオライトとシリカを含む触媒を流動層で反応する際に発生する触媒粒子の帯電を軽減し、流動層反応器壁への触媒の帯電付着を軽減することができる流動層反応用触媒を提供する。
【解決手段】ゼオライトとシリカを含む触媒に、導電性を有する無機化合物を混合して触媒に導電性を付与することにより、触媒の帯電による流動層反応器内壁への付着を軽減することができる。この触媒は、流動層反応により、エチレンを含有する炭化水素原料からプロピレンを製造する触媒として、好適に用いることができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、ゼオライトを含む流動層反応用触媒及びその製造方法、並びにその触媒を用いたプロピレンの製造方法に関する。
従来、オレフィン濃度の高い炭化水素原料を、ゼオライト触媒に接触させてプロピレン等の低級オレフィンを製造する方法が多数知られている。
例えば、特許文献1には、ゼオライトとシリカを含有する触媒の製造方法及びその触媒を用いたプロピレンの製造方法が記載されている。
国際公開2010−016338号パンフレット
しかしながら、本発明者らが、特許文献1に記載されたようなゼオライトとシリカを含有する触媒を使って流動層反応でプロピレンを製造したところ、小規模なスケールではあまり問題にならないものの、工業的な規模にスケールアップした場合には反応器内部に触媒が付着してしまう現象が起こる課題がある事が分かった。この理由について本発明者らが検討した結果、ゼオライトとシリカを含有する触媒のように電気抵抗率の高い構成要素を主成分とする触媒を流動層で使用すると、触媒が乾燥する過程や、触媒同士、又は触媒と反応管壁との摩擦により静電気が発生し、帯電した触媒が反応管壁に付着する事が分かった。触媒の帯電により、反応器内壁に触媒が付着すると、触媒層高を一定に保つ事が困難となり、反応成績も悪化する傾向にある。
上記事情に鑑み、本発明は、ゼオライトとシリカを含む触媒を流動層で反応する際に発生する触媒粒子の帯電を軽減し、流動層反応器壁への触媒の帯電付着を軽減することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ゼオライトとシリカを含む触媒に導電性の化合物を含ませ、触媒に導電性を付与することにより、触媒の帯電による反応器内壁への付着を軽減できることを見出し、本発明を完成させた。
[1]
ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含む流動層反応用触媒。
[2]
前記シリカの含有量が触媒全体に対して30質量%以上80質量%以下である、上記[1]記載の流動層反応用触媒。
[3]
前記導電性無機化合物の含有量が触媒全体に対して5〜15質量%である、上記[1]又は[2]記載の流動層反応用触媒。
[4]
前記導電性無機化合物の平均粒子径が5μm以下である、上記[1]〜[3]のいずれか記載の流動層反応用触媒。
[5]
前記導電性無機化合物の真比重が5g/cm3以下である、上記[1]〜[4]のいずれか記載の流動層反応用触媒。
[6]
上記[1]〜[5]のいずれか記載の流動層反応用触媒を用いてプロピレンを製造する方法。
[7]
ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含むスラリーを噴霧乾燥する工程と、得られた乾燥粉末を焼成する工程と、を有する流動層反応用触媒の製造方法。
本発明のゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含む触媒は、流動層での反応において発生する帯電を軽減し、触媒が流動層反応器の内壁に付着することを軽減できる。
実施例8の触媒Hの粉末X線回折図を示す。 実施例8の触媒Hの原料ゼオライトの粉末X線回折図を示す。 実施例8の触媒Hの原料炭化ケイ素の粉末X線回折図を示す。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。なお、本発明は、下記の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
なお、本実施形態において「シリカ」とは、流動層反応用触媒の製造に用いられるシリカゾル由来の成分であるシリカを指し、特に断りのある場合を除き、ゼオライトを構成する成分中のシリカを意味しない。
[1]流動層反応用触媒
本実施形態の流動層反応用触媒について、以下に説明する。
(1)触媒の組成
本実施形態の流動層反応用触媒は、ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含む。ゼオライトは反応活性成分であり、シリカは流動層触媒としての強度を付与するための成分(バインダー)であり、導電性無機化合物は触媒に導電性を与える成分である。
本実施形態の流動層反応用触媒は、反応性能、水熱安定性、コーキング劣化性、触媒強度改善等の観点から、遷移金属やリン化合物などの上記に挙げた成分以外の構成成分を含有してもよい。また、FCC(Fluid Catalytic Cracking)反応触媒に常用されるカオリン、アルミナを含む事もできる。
本実施形態の流動層反応用触媒に含まれる成分やゼオライトの構造タイプは、粉末X線解析装置を使って確認できる。粉末X線装置としては、例えば、Rigaku社製RINTを用い、以下の条件で測定することができる。
線源 :Cu陰極 (Kα線を用いて測定する)
管電圧 :40.0 kV
管電流 :30 mA
データ範囲 :5〜60 deg
スキャン速度 :1.00 deg/min
(2)触媒の組成比
流動層反応用触媒を反応に用いる場合、反応活性と触媒強度が重要な因子となる。触媒の強度が高いと反応中の粉化及び粉化に伴う反応器からの触媒流出を抑制できる傾向にある。触媒の強度を示す指標には、粒子同士及び粒子と反応器との間での粒子表面の磨耗に対する耐性をあらわす耐磨耗強度と、衝突による破壊に対する耐性をあらわす圧壊強度がある。
流動層反応用触媒の触媒構成成分の内、ゼオライトの組成比は反応活性及び強度の観点から10〜90質量%(触媒全体を100質量%とする。以下、特に断りのある場合を除き同じ。)が好ましく、20〜80質量%がより好ましく、30〜70質量%が更に好ましい。ゼオライトが10質量%未満であると触媒の反応活性が低くなる傾向にあり、90質量%を超えると触媒の強度が低くなる傾向にある。
シリカの組成比は反応活性及び強度のバランスの観点から30〜80質量%が好ましく、35〜75質量%がより好ましく、40〜70質量%が更に好ましい。シリカが30質量%未満であると触媒の強度が低くなる傾向にあり、80質量%を超えると触媒の反応活性が低くなる傾向にある。
本実施形態の触媒はゼオライト及びシリカを構成成分として含み、これらの成分は電気抵抗率が高い(電気導電性が低い)。これらの成分の組成比が高いと、上述のように触媒粒子は帯電し易い傾向にあるが、本実施形態の流動層反応用触媒は、導電性無機化合物を含有する事により帯電を軽減する事ができる。導電性無機化合物の組成比は導電性の観点から5質量%以上が好ましく、反応活性及び強度の観点から15質量%以下が好ましい。
ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物以外の成分は、反応性及び強度を考慮して適切な量比とする。
(3)触媒の粒子径
本実施形態の流動層反応用触媒は、触媒の流動性の観点から、安息角が20°〜30°が好ましく、平均粒子径が20〜300μmが好ましく、より好ましくは40〜100μmであり、更に好ましくは40〜80μmであり、特に好ましくは40〜60μmである。触媒の平均粒子径が20μm未満の場合は、流動性が低下する傾向にあり、300μmを超える場合は、触媒粒子中心部が有効に利用されず、反応活性が低くなる傾向にある。また、全体の80質量%以上の粒子の粒子径が、平均粒子径の2倍〜0.2倍の粒子径範囲に入るような粒度分布を有する事が好ましい。
ここでいう「粒子径」及び「粒度分布」とは、レーザー回折・散乱式粒度分析計により測定した値を意味する。また、「平均粒子径」とは、上記分析計により触媒の粒度分布(一定粒度区間内にある粒子の割合)を測定し、その全体積を100%として粒度分布の累積を求め、累積が50%となる点の粒径、すなわち、累積平均径(中心径、Median径)を意味する。
(4)触媒の形状
本実施形態の流動層反応用触媒は流動層で使用するため、流動性及び強度の観点から、球形であることが好ましい。本実施形態において触媒の形状として用いる用語である「球形」は、必ずしも真球やそれに近い形状であることを要せず、中央付近に形成した空洞が破裂したような形状でなく、目立った突起や凹みを有しないという意味である。ただし、触媒の形状が、一見して真球に近いほど好ましいのは言うまでもない。球形の触媒は、流動層反応器内で円滑に流動する上、強度が大きい傾向を示すので、耐久性の上でも有利である。
以下に本実施形態の触媒に係る物性の測定方法について説明する。
(i)触媒の摩擦による反応管付着量の測定方法
本実施形態の流動層反応用触媒の摩擦による反応管付着量は、以下に示す摩擦帯電付着試験により測定される。
摩擦帯電付着試験は試験装置として噴流式流動装置を用い、ガス導入口に1000メッシュの金網を設置した、内径28mm、長さ465mmの触媒流動部と、内径83mm、長さ345mmの触媒分離部(触媒流動部と触媒分離部の間は長さ190mmの傾斜管により接続)と、触媒捕集部とを備えるものを用いる。なお、試験装置の材質はSUS304である。触媒粉末の壁面への付着量は触媒流動部の差圧の変化から求める。予め、触媒を一定量毎に導入した際の差圧を測定し、検量線を作成する事により、差圧の低下量から付着量を求める。差圧の測定法は、触媒流動部底部と、触媒分離部上部の差圧を測定する。差圧計は横河電機株式会社製EJA110−DMS2A−20DC/K1形の差圧伝送器を用いる。触媒126.5gを予め120℃の乾燥し、噴流式流動装置内に投入後、乾燥空気を3.6NL/分でガス導入口から導入し、差圧を測定後、6℃/分の昇温速度で触媒流動部を250℃まで加熱し、昇温開始から0.8Hr後までの差圧を測定する。その差圧変化より上述の検量線を用いて、試験管内壁への触媒付着量を求める。
本実施形態の流動層反応用触媒の摩擦帯電付着試験による0.8Hr後の帯電付着量は、20g以下である事が好ましく、10g以下である事がより好ましい。
(ii)耐磨耗強度の測定方法
耐磨耗強度測定装置として、ガス導入口に0.4mm孔三個を有するオリフィスを設置した、内径35mm、長さ700mmの粉体上昇部と、内径110mm、長さ600mmの粉体分離部と、微粉末捕集部とを備える噴流式流動装置を用いる。室温で水分2.5gを含む流動層触媒52.5gを噴流式流動装置内に投入後、蒸気圧相当量の水分を含む空気を5.8NL/分でガス導入口から流通し、測定開始後0〜5時間及び5〜20時間に微粉末捕集部に回収された流動層触媒が磨耗により破壊された微粉末の質量を測定する。ここで水分を含む蒸気圧相当量の水分を含ませた理由は、上記試験中に触媒粒子が反応管壁に付着するのを防止する目的である。摩耗損失は下式に従って求める。
摩耗損失(質量%)=A/(B−C)×100
ここで、上記式中、Aは測定開始後5〜20時間に回収された流動層触媒の微粉末の質量(g)を示し、Cは測定開始後0〜5時間に回収され流動層触媒の微粉末の質量(g)を示し、Bは試験に供した流動層触媒の全質量(g)を示す。
本実施形態の流動層反応用触媒の磨耗損失は3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましい。
(iii)圧壊強度の測定方法
本実施形態の流動層反応用触媒の圧壊強度は島津製作所製「微小圧縮試験機MCT−W500」を用い、下記の条件で測定し、その平均値をその触媒における圧壊強度[単位:MPa]として測定できる。
圧子:上部加圧圧子ダイヤモンド製200μm平面圧子
下部加圧板:SUS板
負荷速度:19.4mN/sec
測定粒子数:20〜40粒子
測定粒子は平均粒子径±10%の範囲の粒子を選択する。
本実施形態の流動層反応用触媒の圧壊強度は10MPa以上が好ましく、15MPa以上がより好ましく、25MPa以上が更に好ましい。
(iv)触媒の嵩密度の測定方法
本実施形態の流動層反応用触媒の嵩密度は、触媒の構成要素と組成比に大きく影響される。触媒の嵩密度は高過ぎても低過ぎても流動層内での触媒流動層状態に悪影響を与える。嵩密度が低すぎると、流動層を形成せずに反応器系外へと流出する触媒の割合が増えてしまう。一方、嵩密度が高すぎると、触媒粒子の流動性が低下する。本実施形態の流動層反応用触媒における嵩密度は筒井理化化学器械株式会社製のカサ比重測定器Z−2504を用いて常法で測定することができる。
本実施形態の流動層反応用触媒の嵩密度は、0.7〜1.1g/cm3が好ましく、0.8〜1.0g/cm3がより好ましい。
(v)触媒の安息角の測定方法
本実施形態の流動層反応用触媒の安息角は、円筒回転法安息角測定器(筒井理化学器械社製)を用いて測定する。500ccのガラス製試料容器(円筒形測定瓶)に触媒を250cc充填し、それを測定器のローラー部上に円筒形測定瓶の側面とローラーとが接するように、かつ円筒形測定瓶の中心軸が水平になるように置く。次いで、ローラー部を2.4rpmで、回転させて円筒形測定瓶の中心軸を中心に回転させながら、円筒形測定瓶内部の触媒層の表面が水平面となす角度を測定する。
本実施形態の流動層反応用触媒の安息角は、好適な流動性を示す観点で20〜30°が好ましい。
[2]触媒の製造方法
本実施形態の流動層反応用触媒の製造方法の好ましい一例について説明する。
本実施形態の流動層反応用触媒の製造方法としては、特に限定されないが、ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含むスラリーを噴霧乾燥する工程と、得られた乾燥粉末を焼成する工程と、を有する方法により得ることができる。
(1)原料
本実施形態の流動層反応用触媒の原料成分について説明する。
(i)ゼオライト
ここでいう「ゼオライト」とは、結晶性多孔質アルミノケイ酸塩、又はメタロケイ酸塩(結晶性多孔質アルミノケイ酸塩の骨格を構成するアルミニウム原子の一部又は全部がGa、Fe、B、Cr、Ti等の置換可能な元素で置換されたゼオライト)であり、それらと同様、又は類似の構造を有するリン酸塩系多孔質結晶も含まれる。
具体的には、小細孔径(酸素8員環以下の構造)のゼオライトとして、チャバザイト(国際ゼオライト学会が定めるゼオライトを構造により分類するコードによる表記でCHA。以下同様。)、エリオナイト(ERI)、A型(LHA)が挙げられる。中間細孔径(酸素10員環構造)のゼオライトとして、フェリエライト(FER)、ZSM−11(MEL)、ZSM−5(MFI)、AlPO4−11(AEL)が挙げられる。また、大細孔径(酸素12員環構造)のゼオライトとして、X型(FAU)、Y型(FAU)、ホージャサイト(FAU)、β型(BEA)、モルデナイト(MOR)、ZSM−12(MTW)、ALPO4−5(AFI)が挙げられる。更に、超大細孔径(酸素14員環以上の構造)のゼオライトとして、UTD−1(DON)、CIT−5(CFI)、VPI−5(VFI)が挙げられる。
これらのうち、好ましくは酸素10員環を有する中間細孔径のゼオライトであり、より好ましくはMFI型ゼオライトであり、更に好ましくはZSM−5である。このような中間細孔径を有するゼオライトを含有する触媒を、接触分解(FCC)反応のような気相で実施される炭化水素の転化反応に供した場合、大細孔径のゼオライトを用いた場合に比べて反応に伴い生成するコーク分が少なくなる傾向にあり、それにより、コークによる細孔閉塞が起こり難く、触媒寿命を延長できる。また、中間細孔径を有するゼオライトは、小細孔径を有するゼオライトと比較して、炭化水素やアルコールなどの反応分子が細孔内に侵入しやすく、触媒上の活性点を有効に活用できるため好ましい。また、小細孔径を有するゼオライトは、反応に伴い生成するコークにより活性劣化する割合が中間細孔径を有するゼオライトよりも大きい傾向にある。
中間細孔径を有するゼオライトの中でも、MFI型構造を有するゼオライト(MFI型ゼオライト;特にZSM−5)は、耐熱性が高く、形状選択性や強い固体酸性により特徴的な触媒活性を有するため、特に好ましい。
ゼオライトのSiO2/Al23比(シリカ/アルミナ比)は反応活性の観点で、モル比で20〜1000であると好ましく、より好ましくは20〜300である。なお、ゼオライトがメタロケイ酸塩の場合、Ga、Fe、B、Cr、Ti等の置換可能な元素と置換されたアルミニウム原子を含むアルミナのモル数も、メタロケイ酸塩中に存在するアルミナのモル数として、SiO2/Al23比(シリカ/アルミナ比)を算出する。
ゼオライトのカチオンタイプは、特に制限されない。原料のゼオライトがナトリウム型であっても、成形後のイオン交換によりプロトン型のゼオライト成形体を得る事ができる。また、必要に応じ、プロトンの一部又は全部を金属カチオンに置換したものであってもよい。
プロトンの一部又は全部を金属カチオンに置換する場合、周期律表第IB族に属する金属、すなわち、銅、銀及び金よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含有することが好ましく、より好ましくは銅及び/又は銀を含有し、特に好ましくは銀を含有する。なお、本実施形態において、「周期律表」とは、CRC Handbook of Chemistry and Physics, 75th edition David R. Lideら著、CRC Press Inc.発行(1994−1995年)、1−15頁に記載の周期律表を示すものとする。また、上記金属は、対応する陽イオンの状態で触媒中のゼオライトに含まれるか、又は、触媒に担持される。
原料のゼオライトは、ゼオライトの一次粒子が分散している状態であることが好ましい。ゼオライトは一般に、0.05〜10μm程度のゼオライトの一次粒子が互いに部分的に結合し、二次凝集を構成している場合が多い。二次凝集を構成したままのゼオライトをシリカ等のバインダーと共に成形した場合、成形粒子の表面が粗くなり、また、粒子内部に空孔部が生じやすく機械的強度が低くなりやすい傾向にある。そのため、ゼオライトが二次凝集している場合には、ジェットミル等を用いて機械的に粉砕して、ゼオライトを解凝集して用いることが好ましい。ゼオライトの粉砕方法は、簡便なボールミルよりも、高圧空気を超高速ジェット化して粉砕処理を行うジェットミルを用いる方が好ましい。その際、ゼオライトの平均粒子径が0.05〜5μmの範囲になるまで解凝集することが特に好ましい。なお、ゼオライトの凝集形態は、電子顕微鏡により観察することができる。また、ゼオライトの平均粒子径は、上述のレーザー回折・散乱式粒度分析計により測定される。
ゼオライトの脱アルミニウムを抑制できるという観点から、リン化合物で修飾したゼオライトを用いることも好ましい。リン化合物としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ピ口リン酸、ポリリン酸、リン酸一水素アンモニウム、リン酸二水素アンモニウム、リン酸アンモニウム、リン酸アルミニウムが挙げられる。これらのリン化合物のゼオライトに対する量は、リン元素として0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜3質量%がより好ましい。リン化合物が0.01質量%未満であると、リン化合物の影響がゼオライトに反映され難くなる傾向にあり、5質量%を超えると、リン化合物による反応器材質の腐食が懸念される。リン化合物のゼオライトへの修飾は、吸着又は含浸などの公知の方法によって行うことができる。
(ii)シリカ
触媒原料に用いるシリカゾルについては特に制限はなく、市販のシリカゾルを用いることができ、中でも、イオン交換法により調製されたものが好ましい。一般に流動層触媒の製造原料には、水ガラス(ケイ酸ナトリウム)が多く用いられる。しかしながら、本発明者らが検討したところ、水ガラスをバインダーシリカの主成分として用いた場合、触媒の粒子表面の形状が悪化する傾向にあるばかりか、触媒性能の点でも問題があることが判明した。つまり、バインダーシリカの原料にケイ酸ナトリウムを用いると、固体酸触媒にとって触媒毒であるナトリウムが、触媒中に多量に含まれることになる。バインダーに含まれるナトリウムの濃度を低減することは可能ではあるものの、触媒反応に悪影響を与えない低濃度にまで触媒からナトリウムを除去するには、複数回の熱水洗浄、粒子の破壊を防ぐために特別の装置を用いたイオン交換といった、極めて煩雑な操作が必要となる。
これに対し、イオン交換法により調製されたシリカゾルを主成分とした場合、触媒粒子の表面が滑らかになる。本実施形態において「(粒子の)表面が滑らか」とは、150倍の顕微鏡写真で観察した場合に、一見して粒子の表面に凹凸がないことを示す。さらに、シリカゾルを主成分とする場合、原料に含まれるナトリウム含有量が少ないため、必ずしもイオン交換工程が必要でなく、簡便な操作でナトリウムを除去できる。
アンモニア又はアミンによって安定化されたシリカゾルは、アルカリ金属含有量が少ないため特に好ましい。シリカゾル中のアルカリ金属の含有量は少ない程好ましく、より好ましくはアルカリ金属として1000ppm(シリカゾル全体を100%として)以下であり、更に好ましくは250ppm以下である。アルカリ金属の含有量の少ないシリカゾルをシリ力の主成分とすることにより、最終的に得られる触媒に含まれるアルカリ金属を少なくすることができる。アルカリ金属の含有量は、最終的に得られる触媒の全質量を基準として5000ppm以下が好ましく、より好ましくは10〜3000ppmの範囲であり、更に好ましくは10〜1000ppmの範囲であり、より更に好ましくは10〜300ppmの範囲であり、特に好ましくは10〜100ppmの範囲である。アルカリ金属の含有量が5000ppmを超えると、触媒活性が低下する傾向にある一方で、10ppm未満の場合は、触媒活性に有益な効果が得られない場合がある。触媒中に複数のアルカリ金属が含まれる場合には、それぞれのアルカリ金属の含有量を合計したものが上記範囲にあることが好ましい。
本実施形態の触媒に含まれるアルカリ金属の含有量を測定するには、まず、マイクロウェーブ(マイルストーン社製、型式ETOS PLUS)を用いて、210℃で、王水に触媒を溶解させ、微量の残分をろ過する。その後、そのろ液中のアルカリ金属量を、ICP発光分析法を用いて常法により測定する。ろ液に含まれるアルカリ金属量から触媒中のアルカリ金属の含有量を導出することができる。ICP発光分析の測定条件は、高周波パワー1kw、プラズマガス13L/min、シースガス0.15L/min、ネブライザーガス0.25L/minで行うことができる。
シリカゾルに含まれるシリカの平均粒子径は3〜50nmが好ましく、4〜25nmがより好ましい。シリカゾル中のシリカの平均粒子径が50nm以下であると、成形粒子の機械的強度が更に強くなる傾向にある。シリカの平均粒子径が3nm以上であると、シリカゾルの安定性が増し、ゲル化しにくい傾向にある。シリカの平均粒子径は、上述のレーザー式動的光散乱法粒度分布計により測定される。
(iii)導電性無機化合物
本実施形態において「導電性無機化合物」は、室温(20℃)下での電気抵抗率ρが1000×10-8Ωm以下である無機化合物を意味する。導電性無機化合物としては、化学便覧 基礎編II 改訂5版(丸善株式会社 2004年2月20日発行)第611頁に記載されているような、例えば、炭化物として炭化ホウ素、炭化モリブデン、炭化ニオブ、炭化ケイ素、炭化チタン、炭化タングステン、炭化ジルコニウム、ホウ化物として、二ホウ化クロム、ホウ化モリブデン、ホウ化ニオブ、二ホウ化チタン、二ホウ化マグネシウム、窒化物として、窒化ニオブ、窒化タンタル、窒化チタン、窒化バナジウム、窒化ジルコニウム、酸化物として、酸化クロム、四酸化三鉄、酸化イリジウム、二酸化マンガン、酸化ニオブ、二酸化ニオブ、二酸化オスミウム、二酸化プラチナ、二酸化レニウム、三酸化レニウム、二酸化ルテニウム、三酸化二チタン、五酸化三チタン、七酸化四チタン、九酸化五チタン、二酸化タングステン、三酸化二バナジウム、七酸化五バナジウム、九酸化五バナジウム、けい化物として、二けい化モリブデン、二けい化ニオブ、二けい化チタン、二けい化バナジウム、リン化物として、リン化ニッケル、二リン化けい素、リン化モリブデン、硫化物として、硫化チタン、二硫化銅、合金として、アルメル、インバー、インコネル、黄銅、カンタル、ケイ素鋼、コンスタンタン、青銅、炭素鋼、ニクロム、白金ロジウム、ハステロイC、ハステロイN、パーマロイ、マンガニン、ミュー合金、リン青銅などが挙げられる。
導電性無機化合物の形状としては特に制限はないが、流動層反応用触媒の強度の観点から、その平均粒子径が5μm以下である事が好ましい。導電性無機化合物の平均粒子径が5μm以下であると噴霧乾燥による成形性が向上し、触媒粒子の内部に空隙の少ない密な構造を有する触媒粒子に成形することができる傾向にある。
導電性無機化合物だけでなく、各構成成分の粒子径は触媒調製時の原料に依存し、触媒調製工程で原料の本質的な粒子径が変化する事はない。
さらに流動層反応用触媒の嵩密度の観点から、導電性無機化合物の真比重は5g/cm3以下である事が好ましい。導電性無機化合物の真比重が5g/cm3を超える場合、噴霧乾燥で生成する一粒子中で原料分布が生じる可能性がある。特にゼオライトやシリカと近い2g/cm3前後の導電性無機化合物を選択する事により、噴霧乾燥時に粒子中のゼオライトと導電性無機化合物が均一に分散される傾向にあり、噴霧乾燥で生成する一粒子中での原料分布が少なく、触媒の成形性が向上する。
(iv)その他の添加物
本実施形態の流動層反応用触媒を噴霧乾燥により成形する際の触媒原料スラリーには、硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩及び塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を添加する事が好ましい。触媒原料スラリー中にこれらの水溶性化合物を存在させることによって、耐摩耗性に優れ、触媒粒子の内部に空隙の少ない密な構造を有する触媒粒子に成形することができる傾向にある(以下、上記の硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩及び塩化物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の水溶性化合物を、総称して「成形助剤」とも言う。)
この成形助剤は、好ましくは、25℃において100gの水に対して1g以上の溶解度を有する化合物が好ましい。成形助剤としては、例えば、アンモニウム塩、アルミニウム塩、ナトリウム塩が挙げられる。より好ましくは、水溶性が高く、かつ、後述の焼成工程において触媒から分解除去できるアンモニウム塩であり、具体的には、硝酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、硫酸アンモニウム及び塩化アンモニウムが挙げられ、特に好ましくは、硝酸アンモニウムである。
原料スラリーにおける成形助剤の添加量は、シリ力ゾルに含まれるシリカに対する質量比(以下、「成形助剤/シリカゾル比」と記す。)で0.01〜5.0の範囲である。成形助剤の添加量は、より好ましくは0.03〜3.0の範囲であり、更に好ましくは0.05〜2.0の範囲であり、より更に好ましくは0.1〜1.0の範囲であり、特に好ましくは0.25〜0.5の範囲である。成形助剤の添加量が上記シリ力ゾルに含まれるシリカに対する質量比で0.01未満の場合、粒子の機械的強度が弱くなる傾向にある。成形助剤の添加量が上記シリ力に対する質量比で5.0を超える場合、添加した成形助剤が後述の触媒焼成時に分解する際、その量が多くなるため、粒子内部に余剰の細孔を形成し、粒子の機械的強度が弱くなる傾向にある。また、後述の噴霧乾燥時に液滴の乾燥性が低下し、噴霧乾燥機内部への原料スラリーの付着が増加する傾向にある。
触媒原料スラリーには、酸性化合物を添加する事が好ましく、中でも、硝酸、硫酸、塩酸及びリン酸から選ばれる少なくとも1種の酸を添加する事がより好ましい。酸の添加により、原料シリカゾルを酸性にする事で、成形助剤の添加時にシリカゾルが不安定化し、ゲル化する傾向を抑制できる。ゲル化が生じると、ゼオライト粒子とシリカ粒子の接触面積が減少し、触媒の機械的強度を損なう事になる。
(2)原料スラリー
上述の各触媒原料を混合して触媒原料スラリーを調製する。原料スラリーの固形分濃度は、5〜60質量%が好ましく、より好ましくは15〜40質量%である。固形分濃度を調整するために原料スラリーに適宜水を加えてもよい。ここで、原料スラリーの固形分濃度は、原料スラリーの全質量に対して、原料スラリーを100℃で乾燥して得られる残渣の質量の割合である。
原料混合スラリーのpHは、好ましくは0.01〜3.0であり、より好ましくは0.1〜2.0であり、更に好ましくは0.1〜1.5である。原料混合スラリーのpHを上記範囲に調整する事で、上述したようなシリカゾルの不安定化によるゲル化を抑制する事ができる傾向にある。
原料スラリーを調合する際の温度は5〜95℃が好ましく、より好ましくは10〜70℃であり、更に好ましくは10〜40℃である。
原料スラリーの攪拌の際には、各原料成分が互いに十分混合する攪拌動力と攪拌時間とを選択する。攪拌時間は、好ましくは0.5〜48時間、より好ましくは1〜5時間である。
原料スラリーは、触媒粒子の機械的強度、嵩密度、形状、触媒性能等を調節する目的で、力オリン等の粘土鉱物、珪藻土、アルミナ、チタニア、ジルコニア、セリア等を含有してもよい。これらは、粉末、溶液又はゾルの状態で原料スラリーに添加することができる。更に、触媒粒子の形状を真球に近くする目的で、原料スラリーの表面張力を調整する界面活性剤を原料スラリーに加えてもよい。
シリカゾルをゲル化させないで原料スラリーを形成するには、原料スラリーを調製する際の各原料成分の添加及び混合を以下の(i)及び(ii)の方法により行うことが好ましい。
(i)シリ力ゾルにゼオライトを添加して得られるスラリーに、硝酸、硫酸、塩酸などの酸を添加してpHを予め酸性に調整した後、そこに水溶性化合物を添加して、酸性の原料スラリーを調製する方法。
(ii)シリ力ゾルに硝酸、硫酸、塩酸などの酸を添加してpHを予め酸性に調整した後、そこに水溶性化合物を添加して、その後にゼオライトを添加して酸性の原料スラリーを調製する方法。
(3)噴霧乾燥
本実施形態の流動層反応用触媒の製造においては、前記原料混合スラリーを噴霧乾燥する事により球状のスプレードライ成形体を調製する。噴霧乾燥の方法としては、特に限定されないが、工業的に用いられる噴霧乾燥機(スプレードライヤー)を用いて行うことが好ましい。原料スラリーの噴霧方法は、回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式等により行うことができる。これらの中で特に好ましい噴霧方法は、回転円盤方式である。噴霧乾燥は、スチーム、電気ヒーター等によって加熱された空気、又は窒素、ヘリウム等の不活性ガスなどの流体と共に原料スラリーを噴霧することにより行うことができる。
噴霧乾燥機入口の流体温度は、好ましくは100〜400℃、より好ましくは150〜300℃である。噴霧乾燥機出口の流体温度は、好ましくは80〜200℃、より好ましくは90〜150℃である。
回転円盤方式における円盤回転数、ノズル方式における噴霧ガス量、原料スラリーの供給量、加熱流体の供給量、それらの供給量の比等の噴霧乾燥条件については、噴霧乾燥機内部への原料スラリーの付着が少なく、焼成後の触媒粒子の平均粒子径が20〜300μmの範囲になるように、適宜調節することができる。
(4)焼成
噴霧乾燥により得られたスプレードライ成形体は、成形体としての強度を発現するために焼成する。焼成工程では、スプレードライ成形体を焼成して、焼成粉末を得る。スプレードライ成形体の焼成は、マッフル炉、回転炉、トンネル炉、管状炉、流動焼成炉、キルン炉等を用いて行うことができる。工業的に好ましい方法は、連続供給式ロータリーキルン炉を用いて焼成する方法である。焼成温度は、触媒粒子の強度を向上させる観点から、好ましくは400〜1000℃、より好ましくは500〜800℃である。焼成時間も、触媒粒子の強度の観点から、好ましくは0.5〜48時間、より好ましくは1〜24時間、更に好ましくは1〜10時間である。スプレードライ成形体の焼成は、空気、水蒸気、或いは、窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気下で行われることが好ましい。また、加圧下、減圧下で行われてもよい。焼成は繰り返し反復して行われてもよい。
この焼成工程において、原料成分として添加した硝酸塩、酢酸塩、炭酸塩、硫酸塩、塩化物の一部又は全部を、乾燥粉体から取り除き、焼成粉末を得ることができる。また、スプレードライ成形体の焼成によりシリカが焼結することにより、触媒粒子の機械的強度を飛躍的に向上させることができる。
(5)イオン交換
焼成粉末は、そのまま触媒として用いる事もできるが、得られた焼成粉末を、公知の方法により硝酸、硫酸、塩酸などの水溶液や金属塩含有溶液と接触させることにより、ゼオライトのカチオンタイプをH+や所望の金属陽イオンへ変換、又は金属成分を担持した後、触媒として用いる事が好ましい。
焼成粉末、又は上記のイオン交換後の触媒を500〜700℃でスチームを含有するガスと接触させてスチーミング処理する工程を有することも好ましい。スチーミング処理によって得られた触媒は、ゼオライトの酸性質を制御し、反応時の炭素質物質の生成(コーキング)による劣化が抑制される。また、スチーミング処理された触媒は、目的物質の収率を向上させることができる。さらに、触媒構成要素のシリカのシンタリングが進行するため、(条件により強度向上の度合いは異なるが)、触媒の強度が向上する傾向にある。
上述の本実施形態の触媒は、流動層反応用に調製されるものであるが、固定床反応用触媒として応用することもできる。
[3] プロピレンの製造方法
本実施形態のプロピレンの製造方法は、上記ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含む触媒を流動層反応器内で、炭化水素及び/又はアルコールと接触させる工程を含む。プロピレンを高収率で製造する観点から、原料である炭化水素及び/又はアルコールの炭素数は1〜12の範囲にあることが好ましい。同様の観点から、炭化水素はオレフィンを含有することが好ましい。
反応原料である炭化水素及び/又はアルコールは、必ずしも高純度である必要はなく、工業グレードのものであってもよい。
本実施形態のプロピレンの製造方法に用いられる反応原料は、エチレンを20質量%以上含有することが好ましく、より好ましくはエチレンを25質量%以上含有する。また、エチレンを含有する反応原料と共に、水を反応器に供給することが好ましい。水の供給割合は、エチレンを含有する原料100質量部に対して1質量部以上であると好ましく、より好ましくは5〜10質量部、さらに好ましくは10〜80質量部である。なお、本実施形態のプロピレンの製造方法において、反応生成物からプロピレンを分離し、残りのエチレンを含む低沸成分及び/又はブテンを含む高沸成分の少なくとも一部を、流動層反応器に原料として供給してリサイクルすることは好ましい形態の一例である。
エチレンを含有する反応原料としては、エタンの熱分解、スチームクラッキング、酸化的脱水素反応、エタノールの脱水反応等により得られたものを用いることができる。この反応原料は、オレフィン及びパラフィンを含んでもよい。パラフィンとしては、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナンが挙げられる。また、オレフィンとしては、例えば、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネンが挙げられる。エチレンを含有する反応原料は、上記化合物に加えて、シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン等のシクロパラフィン;シクロペンテン、メチルシクロペンテン、シクロヘキセン等のシクロオレフィン;シクロヘキサジエン、ブタジエン、ペンタジエン、シクロペンタジエン等のジエン;及び/又は、アセチレン、メチルアセチレン等のアセチレンを含んでもよい。エチレンを含有する反応原料は、更に、tーブチルアルコール、メチル-tーブチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジメチルエーテル、エタノール、メタノール等の含酸素化合物を含んでもよい。また、エチレンを含有する反応原料は、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素を更に含んでもよい。
反応原料がエタノールを含有する場合、植物資源から得られるエタノール(バイオマスエタノール)を反応原料として用いることができる。そのようなエタノールとしては、具体的には、サトウキビやトウモロコシ等の発酵により得られるエタノール、廃材、間伐材、稲わら、農作物等の木質資源から得られるエタノールが挙げられる。
流動層反応における反応温度は、好ましくは300〜650℃であり、より好ましくは400〜600℃である。反応圧力は、好ましくは0.1〜30気圧であり、より好ましくは0.5〜10気圧である。
反応原料の供給速度は、触媒基準の重量時間空間速度(WHSV)で、0.1〜20hr-1が好ましく、より好ましくは0.5〜10hr-1である。
本実施形態のプロピレンの製造方法においては、上記反応条件を調節することにより、エチレンの転化率を45〜85%、好ましくは50〜80%となる範囲に制御することが好ましい。
本実施形態のプロピレンの製造方法においては、流動層反応触媒を長期間反応に用いると、触媒上に炭素質化合物(コーク)が生成し、触媒活性が低下することがある。その場合、流動層反応器から触媒の一部を連続的又は断続的に抜き出し、酸素を含むガスを用いて触媒に付着したコークを燃焼除去させてもよい。これによって触媒が再生され、再生後の触媒を流動層反応器に戻すことができる。通常、上記触媒の再生は、酸素を含むガスである空気中又は酸素含有ガス雰囲気中で、400〜700℃の温度にて行われる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例によって制限されるものではない。
以下の実施例において使用した触媒の原料は以下の通りである。
(ゼオライト)
実施例1〜8、13及び比較例:ズードケミー社製のZSM−5、商品名「MFI−27」
実施例10:ズードケミー社製のZSM−5、商品名「MFI−90」
実施例11、14:ズードケミー社製のZSM−5、商品名「MFI−190」
実施例12:ZEOLYST社製のZSM−5、商品名「MFI−280」
いずれもカチオンタイプはアンモニウム型で、SiO2/Al23比は商品名に記載されている数字の通りである(例えば、「MFI−27」の、SiO2/Al23比は27である)。
(シリカ)
実施例1〜12、14:Nalco社製、商品名「Nalco2326」、シリカ平均粒子径5nm、固形分含有量15質量%、Na含有量185ppm、pH=9
実施例13:Nalco社製、商品名「DVSZN006」、シリカ平均粒子径12nm、固形分含有量34質量%、pH=9
(導電性無機化合物)
各実施例及び比較例中に記載。
各導電性無機化合物の電気抵抗率は上述の化学便覧 基礎編II 改訂5版(丸善株式会社 2004年2月20日発行)第611頁に記載の数値を参考にした。
各導電性無機化合物の平均粒子径は上述のレーザー回折・散乱式粒度分析計により測定した。
各導電性無機化合物の真比重は、島津製マイクロメリティックス乾式自動密度計アキュピック1330を使い、常法で測定した。
また、実施例及び比較例における各物性の測定方法は以下のとおりである。
(1)触媒の摩擦による反応管付着量の測定方法
流動層反応用触媒の摩擦による反応管付着量は、以下に示す摩擦帯電付着試験により測定した。
摩擦帯電付着試験は試験装置として噴流式流動装置を用い、ガス導入口に1000メッシュの金網を設置した、内径28mm、長さ465mmの触媒流動部と、内径83mm、長さ345mmの触媒分離部(触媒流動部と触媒分離部の間は長さ190mmの傾斜管により接続)と、触媒捕集部とを備えるものを用いた。なお、試験装置の材質はSUS304である。触媒粉末の壁面への付着量は触媒流動部の差圧の変化から求めた。予め、触媒を一定量毎に導入した際の差圧を測定し、検量線を作成する事により、差圧の低下量から付着量を求めた。差圧の測定法は、触媒流動部底部と、触媒分離部上部の差圧を測定した。差圧計は横河電機株式会社製EJA110−DMS2A−20DC/K1形の差圧伝送器を用いた。触媒126.5gを予め120℃の乾燥し、噴流式流動装置内に投入後、乾燥空気を3.6NL/分でガス導入口から導入し、差圧を測定後、6℃/分の昇温速度で触媒流動部を250℃まで加熱し、昇温開始から0.8Hr後までの差圧を測定した。その差圧変化より上述の検量線を用いて、試験管内壁への触媒付着量を求めた。
(2)耐磨耗強度の測定方法
耐磨耗強度測定装置として、ガス導入口に0.4mm孔三個を有するオリフィスを設置した、内径35mm、長さ700mmの粉体上昇部と、内径110mm、長さ600mmの粉体分離部と、微粉末捕集部とを備える噴流式流動装置を用いた。室温で水分2.5gを含む流動層触媒52.5gを噴流式流動装置内に投入後、蒸気圧相当量の水分を含む空気を5.8NL/分でガス導入口から流通し、測定開始後0〜5時間及び5〜20時間に微粉末捕集部に回収された流動層触媒が磨耗により破壊された微粉末の質量を測定した。ここで水分を含む蒸気圧相当量の水分を含ませた理由は、上記試験中に触媒粒子が反応管壁に付着するのを防止する目的である。摩耗損失は下式に従って求めた。
摩耗損失(質量%)=A/(B−C)×100
ここで、上記式中、Aは測定開始後5〜20時間に回収された流動層触媒の微粉末の質量(g)を示し、Cは測定開始後0〜5時間に回収され流動層触媒の微粉末の質量(g)を示し、Bは試験に供した流動層触媒の全質量(g)を示す。
(3)圧壊強度の測定方法
本実施形態の流動層反応用触媒の圧壊強度は島津製作所製「微小圧縮試験機MCT−W500」を用い、下記の条件で測定し、その平均値をその触媒における圧壊強度[単位:MPa]として測定した。
圧子:上部加圧圧子ダイヤモンド製200μm平面圧子
下部加圧板:SUS板
負荷速度:19.4mN/sec
測定粒子数:20〜40粒子
測定粒子は平均粒子径±10%の範囲の粒子を選択した。
[実施例1]
シリカゾル1000gに硝酸(和光純薬製、硝酸60質量%含有試薬、以下同様。)20gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム(和光純薬製、特級試薬、0℃の水に対する溶解度118g/100g水、以下同様。)50gを添加した。次いで、ゼオライトを270g添加し、最後に二けい化モリブデン(和光純薬製、粒子径10μm、真比重6.31g/cm3、以下同様)を180g添加し、原料スラリーを調製した(原料スラリー調製工程)。
得られた原料スラリーを25℃で3時間攪拌した。原料スラリーはゾル状を呈しており、粘度は5cpであった(東京計器製、B型粘度計により測定。)。その後、原料スラリーを噴霧乾燥機で噴霧乾燥し乾燥粉末を得た(乾燥工程)。噴霧乾燥の条件としては、噴霧乾燥機入口の流体温度を230℃、噴霧乾燥機出口の流体温度を130℃に設定し、回転円盤方式で原料スラリーの噴霧乾燥を行った。
得られた乾燥粉末を、電気炉を用いて700℃で1時間、空気雰囲気下で焼成した(焼成工程)。
得られた焼成粉末を、0.1モル濃度の硝酸水溶液と混合して10質量%の固形分濃度に調節し、25℃で1時間、イオン交換処理を行った(イオン交換工程)。
その後、イオン交換工程を経たイオン交換体粉末を十分に水洗し、120℃で乾燥した。このようにして得られた触媒を『触媒A』とした。
続いて触媒Aにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Aにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を前述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例2]
シリカゾル1400gに硝酸28gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム70gを添加した。次いで、ゼオライトを270g添加し、最後に実施例1で使用したものと同じ二けい化モリブデンを70g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒B』を得た。
続いて触媒Bにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Bにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例3]
シリカゾル1920gに硝酸38gを添加し、pHを1.1に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム96gを添加した。次いで、ゼオライト288gを添加し、最後に実施例1及び2で使用したものと同じ二けい化モリブデンを24g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒C』を得た。
続いて触媒Cにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Cにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例4]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライト270gを添加し、最後に実施例1〜3で使用したものと同じ二けい化モリブデンを60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒D』を得た。
続いて触媒Dにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Dにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例5]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライト270gを添加し、最後に実施例1〜4で使用したものと粒子径の異なる二けい化モリブデン(和光純薬製、粒子径4μm、真比重6.31g/cm3、以下同様)を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒E』を得た。
続いて触媒Eにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Eにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例6]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライト270gを添加し、最後に窒化チタン(和光純薬製、粒子径1μm、真比重5.4g/cm3)を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒F』を得た。
続いて触媒Fにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Fにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例7]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライト270gを添加し、最後に炭化タングステン(和光純薬製、粒子径3μm、真比重15.6g/cm3)を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒G』を得た。
続いて触媒Gにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Gにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例8]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライトを270g添加し、最後に炭化ケイ素(SAINT−GOBAIN製JIS6000、粒子径2μm、真比重3.2g/cm3)を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒H』を得た。
触媒Hの結晶構造を前述の粉末X線回折装置、Rigaku社製RINTを用いて測定した。結果を図1に示す。また、本触媒の原料であるゼオライト及び炭化ケイ素の単独の結晶構造も同様に測定し、それぞれ図2、図3に示した。
図1、図2及び図3の比較により、触媒Hにはゼオライトとシリカと炭化ケイ素が原料として含まれていることがわかる。
続いて触媒Hにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Hにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例9]
実施例8で得られた触媒Hに対して、650℃、24時間、0.8気圧の水蒸気分圧、0.2気圧の窒素ガス分圧の条件でスチーミング処理を施した。その触媒23.0gを内径1インチのステンレス製流動層反応器に充填した。その後、エチレン9.9g/hr、水素0.7g/hr、水4.9g/hr、窒素5.3g/hrを、その流量で反応器に流通させ、反応温度550℃、反応圧力0.14MPa、WHSV0.43hr-1(触媒基準)の条件で54時間流動層反応を行った。反応中、触媒の粉化は全く認められなかった。反応生成物の分析は反応器と直結したガスクロマトグラフィ-(島津製作所製、GC−2010、TCD−FID直列連結型)で行った。エチレン転化率70%において、最大プロピレン収率24.5質量%を得た。
[実施例10]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライトMFI−90、270gを添加し、最後に実施例8で用いた炭化ケイ素を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒I』を得た。
続いて触媒Iにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Iにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例11]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライトMFI−190、270gを添加し、最後に実施例8及び10で用いた炭化ケイ素を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒J』を得た。
続いて触媒Jにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Iにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例12]
シリカゾル1800gに硝酸36gを添加し、pHを1.0に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライトMFI−280、270gを添加し、最後に実施例8、10及び11で用いた炭化ケイ素を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒K』を得た。
続いて触媒Kにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Kにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例13]
Nalco製シリカゾル、商品名「DVSZN006」794gにイオン交換水700gを加え、硝酸36gを添加し、pHを1.4に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム90gを添加した。次いで、ゼオライトMFI−27、270gを添加し、最後に実施例8で用いた炭化ケイ素を60g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒L』を得た。
続いて触媒Lにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Lにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[実施例14]
リン酸一水素二アンモニウムを含む水溶液を蒸発乾固によりMFI−190に担持させた後、600℃で焼成した。こうして得たリン化合物を含有するMFI−190を用いたこと以外は実施例11と同様の手法により、『触媒M』を得た。
触媒Mに含まれるリン元素の含有量は、蛍光X線分析装置(Rigaku製、商品名「RIX3000」)を用いて、常法により測定したところ、0.173質量%であった。測定条件は、P−Kα線を用い、管球電圧:50kV、管球電流:50mAで行った。
続いて触媒Mにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Mにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
[比較例1]
シリカゾル2000gに硝酸40gを添加し、pHを1.1に調整した。その後、成形助剤として、硝酸アンモニウム100gを添加した。次いで、ゼオライトを300g添加し、原料スラリーを調製した。
得られた原料スラリーを実施例1と同様の乾燥工程、焼成工程、イオン交換工程を得る事により、『触媒X』を得た。
続いて触媒Xにおける導電性を確認するため、上述の摩擦帯電試験により触媒の帯電付着量と、触媒付着による触媒質量の減少率を測定した。結果を表1に示す。
続いて触媒Xにおける耐磨耗強度及び圧壊強度を上述の方法により測定した。結果をそれぞれ表1に示す。
表1に示す結果から明らかなように、本実施形態の触媒(実施例1〜14)は、比較例1に示す触媒に比べて、触媒の摩擦帯電による付着が顕著に抑制されていた。
本発明の触媒は、流動層反応用として優れた物性を有し、工業上の使用において問題となる触媒摩擦による帯電付着量が少ないため、流動層反応により、エチレンを含有する炭化水素原料からプロピレンを製造する触媒として、好適に用いることができる。

Claims (7)

  1. ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含む流動層反応用触媒。
  2. 前記シリカの含有量が触媒全体に対して30質量%以上80質量%以下である、請求項1記載の流動層反応用触媒。
  3. 前記導電性無機化合物の含有量が触媒全体に対して5〜15質量%である、請求項1又は2記載の流動層反応用触媒。
  4. 前記導電性無機化合物の平均粒子径が5μm以下である、請求項1〜3のいずれか1項記載の流動層反応用触媒。
  5. 前記導電性無機化合物の真比重が5g/cm3以下である、請求項1〜4のいずれか1項記載の流動層反応用触媒。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項記載の流動層反応用触媒を用いてプロピレンを製造する方法。
  7. ゼオライト、シリカ及び導電性無機化合物を含むスラリーを噴霧乾燥する工程と、得られた乾燥粉末を焼成する工程と、を有する流動層反応用触媒の製造方法。
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