JP2018183749A - ゼオライト成型体及び低級オレフィンの製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
流動層反応プロセスにおいて、触媒の流動に伴い、触媒粒子間、触媒粒子と反応器、触媒粒子と反応ガスとの衝突や接触による触媒粒子の摩耗や破砕が発生すると、触媒粒子の流動性低下や破砕粒子の飛散が発生するため、流動層反応触媒の性状としては、摩耗や破砕に耐えうるのに充分な機械的強度も求められる。
上記状況に鑑み、本発明は、流動層反応の触媒として、衝突耐久性に優れ、プロピレンの製造における選択性が向上し、且つ該選択性が長時間安定的に継続するゼオライト成型体及びその製造方法を提供することを目的とする。
[1]8員環構造ゼオライトとアルミナを含有するゼオライト成型体。
[2]前記8員環構造ゼオライト質量に対するアルミナの質量比が、10以下である[1]に記載のゼオライト成型体。
[3]蒸気圧相当量の水分を含む空気を5.0L/50秒で2時間送風してゼオライト触媒を金属板に衝突させた際に粉砕されるゼオライト成型体の割合が、3質量%以下であることを特徴とする[1]又は[2]に記載のゼオライト成型体。
[4]前記8員環構造ゼオライトがCHA型ゼオライトである[1]〜[3]のいずれかに記載のゼオライト成型体。
[5]前記8員環構造ゼオライトの少なくとも一部がシリル化処理されていることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載のゼオライト成型体。
[6]前記8員環構造ゼオライトの平均粒子径が0.1〜50μmのゼオライトであることを特徴とする[1]〜[5]のいずれかに記載のゼオライト成型体。
[7]安息角が20〜35°である、[1]〜[6]のいずれかに記載のゼオライト成型体。
[8]嵩密度が0.5〜1.3g/cm3である、[1]〜[7]のいずれかに記載のゼオライト成型体。
[9][1]〜[8]のいずれかに記載のゼオライト成型体と、エチレン、エタノール、メタノール、及びジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する炭化水素原料とを接触させる工程を含む、低級オレフィンの製造方法。
なお、本明細書中でアルミナは、ゼオライトと共にゼオライト成型体を構成する構成要素である。
本発明のゼオライト成型体は、8員環構造ゼオライト(酸素8員環構造ゼオライト)と、アルミナと、を含有する。
一方、シリカは極性が低く、ゼオライト粒子を結合させる力が弱く、得られるゼオライト成型体の触媒強度は弱くなる傾向がある。そのため、公知の特許文献1又は特許文献4に記載されるように、リン酸などの鉱酸類を添加し、成型体の触媒強度を高める必要があ
る。しかしながら、本発明者らの検討によると、特許文献1又は特許文献4に記載される、リン酸等を添加したゼオライト成型体は、該成型体の強度は高くなる一方で、触媒性能が低下してしまう場合があることが判明した。
しかしながら、アルミナバインダー中のアルミナは多くの場合、ベーマイトとして存在し、アルミニウム元素は酸性質を有する。そのため、これらのアルミニウム元素が、ゼオライト骨格内のアルミニウムサイトに移動し、強い酸性質を示すようになる。このため、ゼオライト成型体を触媒としてプロピレンを製造する際には、アルミニウム元素の移動により生じた新たな酸性質により、コーク生成が加速され触媒寿命が短くなる、或いはプロピレン収率を下げるような悪影響を及ぼす副反応が起きると考えられている。そのため、MFI等の0.55nm程度の中間細孔径ゼオライト、又はFAU等の0.7nmを超える大細孔径ゼオライトにアルミナバインダーを使用したゼオライト成型体は、プロピレン製造反応に使用する前にスチーミング処理等の前処理を行い、アルミニウムの酸性質を抑える必要があった。
ここで、ゼオライト成型体のSiO2/Al2O3モル比は、ゼオライト成型体をアルカリ水溶液に溶解し、得られた溶液をプラズマ発光分光分析法により分析することにより求めることができる。
細孔径を上記範囲とすることにより、副反応が抑えられプロピレンの選択率を高くすることができる。
該ゼオライトの平均粒子径が大きすぎると、ゼオライト成型体の衝突耐久性が低下する傾向がある。該ゼオライトの平均粒子径が小さすぎると、ゼオライトの結晶性が低下し、ゼオライト成型体の触媒活性が低下する傾向となる。平均粒子径は、レーザー回折・散乱式粒度分布計により測定することができる。なお、ここでいう平均粒子径とは、上記分析計により紛体状のゼオライトの粒度分布(一定粒度区間内にある粒子の割合)を測定し、その全体積を100%として粒度分布の累積を求め、累積が50%となる点の粒径、すなわち、累積平均径(中心径、Median径)を意味する。
アルミナ成型体を構成するゼオライトの質量に対するリンとホウ素の合計質量は特段の制限はないが、好ましくは0質量%〜7.5質量%であり、さらに好ましくは0質量%〜5.0質量%であり、特に好ましくは0質量%〜3.0質量%である。前記質量比が大きすぎると流動性が低下し、また触媒の活性、触媒寿命が低下する傾向がある。
前記質量比はゼオライト成型体をアルカリ水溶液に溶解し、得られた溶液をプラズマ発光分光分析法により、ケイ素、アルミニウム、リン及びホウ素それぞれを定量分析するこ
とにより求めることができる。
本発明のゼオライト成型体は、特段の制限はないが、(i)原料混合物の調製工程と、(ii)乾燥工程と、により製造することができる。
原料調製工程では、原材料として固体成分である、8員環構造のゼオライトと、アルミナ粉末又はアルミナゾルと、を液状媒体中で混合し、固体成分が分散したスラリーを製造する。なお、液状媒体は、水が好ましい。なお、助剤類を含有するゼオライト成型体を製造する場合、上述の原材料に助剤類を加えて、液状媒体中で分散又は溶解させてスラリーを形成すればよい。同様に、ゼオライト成型体中に、リン及び/又はホウ素を含有するゼオライト成型体を製造する場合、上述の原材料に、リン化合物及び/又はホウ素化合物を加えて、液状媒体中で分散又は混合させてスラリーを形成すればよい。
固体成分であるアルミナは、アルミナ粉体である場合は水に分散させたアルミナゾルとして取り扱うことが混合性も良好となり好ましい。固体成分である8員環構造ゼオライトは、粉体のままでも、水又はアルミナゾルの一部に分散・懸濁させたスラリーとして用いても構わない。更に、原材料として、助剤類、リン化合物、ホウ素化合物等を追加する場
合、これらはそのまま用いても、予め水などに溶解・分散させた上で用いてもよい。
上記の濃度範囲とすることで、混合・撹拌を適切に行うことができ、またスラリーの取扱い性も良くなる。
また、ゼオライト成型体の形状をより真球状にする目的で、原料混合物の表面張力を調整する界面活性剤を加えてもよい。
乾燥工程は、上記原料混合物の調製工程で製造したスラリーを噴霧乾燥して乾燥粉体を得る工程である。
原料調製工程で製造されたスラリーは調製後直ちに噴霧乾燥しても、あるいは調製後に8員環構造ゼオライトへの助剤等の吸着量を制御するために所定時間混合・撹拌を行った後に噴霧乾燥してもよい。
噴霧乾燥工程におけるスラリーの噴霧は、回転円盤方式、二流体ノズル方式又は高圧ノズル方式等の方法を採用することができるが、回転円盤方式又は二流体ノズル方式で行うことが好ましい。
乾燥気流の流通方式は並流(パラレルフロー)方式でも、向流(カウンターフロー)方式でもよいが、乾燥効率や乾燥機内壁への付着防止等の観点から、並流(パラレルフロー)方式が好ましい。
乾燥機入口温度又は出口温度が上記範囲よりも低い場合は、乾燥が不十分となって乾燥機内壁に付着物ができたり、あるいは粒子が相互に融着したような異形粒子が生成したり、あるいは得られる粒子の強度が不十分となって、使用時に粉化が著しくなることがある。一方、上記範囲を超えて乾燥機の入口温度又は出口温度が上記範囲を超えて高い場合は、エネルギー的に不利となる。
滴内部の液体の圧が高くなり、突沸するような形での蒸発が起こって粉体粒子の破壊(割れ、欠け)や粉体粒子表面の開孔が生じたり、粉体粒子の表面が陥没したりするためであると考えられている。
本発明においては、特定の原材料及び組成のスラリーを所定の条件で噴霧乾燥を行うため、8員環構造ゼオライトとアルミナゾル中のアルミナ粒子とが緊密に接触して噴霧乾燥された触媒粒子全体の強度が向上するため、上記のような問題が起きにくくなる。
本発明のゼオライト成型体の製造方法においては、より衝突耐久性の高いゼオライト成型体を得ることを目的として、必要に応じて、前記乾燥粉体を焼成する工程をさらに含んでもよい。
焼成工程は上記噴霧乾燥工程で得られた乾燥粉体を加熱して、ゼオラオイト成型体を賦活したり、また粒子の硬度を向上して衝突耐久性を付与したりする工程である。
焼成温度は400℃〜900℃であり、好ましくは450℃〜800℃、より好ましくは500℃〜700℃である。焼成温度が上記範囲未満では触媒の活性化が不十分となって、プロピレンの選択率が不足したり、エチレンの転化率が低下したりすることがある。焼成温度が上記範囲を超えて高くなると、賦活効果の向上は見られず、一方でゼオライト結晶の崩壊等が起きて、触媒性能が低下してしまうことがある。
焼成工程は、酸素雰囲気下、大気雰囲気下、イナート雰囲気下、及び真空下等のいずれの条件下でも実施することができる。
焼成工程は反復して実施してもよい。
また、製造されたゼオライト成型体におけるアルミナ/8員環ゼオライト質量比率及びSiO2/Al2O3モル比は、いずれも概ね仕込みの組成を維持する。
本発明のゼオライト成型体の製造方法においては、プロピレンの製造における選択性の向上を目的として8員環構造ゼオライトを予め、シリル化処理する工程をさらに含んでもよい。
シリル化処理はアルコキシシランを用いる液相シリル化やクロロシランを用いる気相シリル化があるが、いずれも常法に従って行えばよい。
また気相シリル化はテトラクロロシラン等を用いて、20℃〜400℃程度の条件で8員環構造ゼオライトに対して蒸着シリカ量が1質量%〜20質量%程度となるように行い、シリル化処理された8員環構造ゼオライトとすることができる。
は0.25〜50である。ここで、シリル化処理された8員環構造ゼオライトのSiO2/Al2O3モル比は、シリル化処理された8員環構造ゼオライトをアルカリ水溶液に溶解し、得られた溶液をプラズマ発光分光分析法により分析することにより求めることができる。
上記製造方法で製造したゼオライト成型体は、本質的に、種々の炭素数2〜4の低級オレフィンから炭素数の異なる低級オレフィンを製造するに適した触媒となる。よって、特に限定はされないが、本発明方法で製造したゼオライト成型体を触媒として用いて、顕著な効果が発現した触媒反応例として、エチレン及び/又はエタノール、メタノール、ジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する炭化水素原料からプロピレンを製造する方法について、エチレンを主原料とした例を以下に簡単に説明する。
上記の通り、本発明のゼオライト成型体を触媒として用いてプロピレンを製造するための原料としてエチレンが挙げられる。
触媒に供給される仕込原料中の炭化水素化合物を基準としたエチレン換算含有率は特に限定されないが、生産性の観点から、エチレン換算含有率が20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上である。
上記仕込み原料中には、エチレンの他に、メタン、エタン、プロパン等のアルカン類及びプロピレン、ブテン、ヘキセン等のオレフィン類等が含まれていてもよく、この他にもアセチレン等のアルキン類、エタノール、メタノール等のアルコール類、ジメチルエーテル等のエーテル類等が含まれていてもよい。
その他、水(水蒸気)、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素等も、本発明の触媒の性能を阻害しない限り、含まれていてもよい。
本発明のゼオライト成型体を使用してプロピレンを製造するに際しては、該ゼオライト成型体を装入した流動床反応器に上記のエチレン又はエチレンを含有する原料混合物を供給して、接触的にエチレンをプロピレンに転化する方法を用いるのが好ましい。
以下に本ゼオライト成型体を用いたプロピレンの製造方法について説明する。
エチレンの供給を開始する前に、例えば、本発明のゼオライト成型体を300℃〜900℃の温度で水蒸気分圧0.01気圧以上の条件で水蒸気処理することができる。この水蒸気の存在下での加熱処理では、水蒸気以外のガス成分として窒素及び/又は酸素等を含んでいてもよい。
水蒸気処理を行うことにより、本発明のゼオライト成型体を用いたプロピレンの製造において、ゼオライト成型体への炭素質成分の沈着(コーキング)によるゼオライト成型体の劣化を抑制することができ、プロピレン収率・収量が向上する場合がある。
本発明のゼオライト成型体を用いるプロピレンの製造方法における反応温度は、好ましくは300℃〜500℃の範囲で、300℃〜400℃の範囲であることがより好ましい。また反応圧力は、好ましくは、0.01MPa〜1MPa(絶対圧)の範囲で、0.1MPa〜0.7MPa(絶対圧)の範囲であることがより好ましい。
上記の条件で、流動床反応器におけるガスの流通速度を、0.1m/秒〜1.5m/秒、好ましくは0.1m/秒〜1.0m/秒、より好ましくは0.2m/秒〜1.0m/秒の範囲とすることにより、プロピレンを効率よく安定に製造することができる。
本発明のゼオライト成型体を用いるプロピレンの製造方法においては、反応器として流動床反応器を用いることが好ましい。
流動床反応器としてはフルードベッド型反応器とライザー型反応器とがあり、そのいずれも用いることができるが、ゼオライト成型体の分離・回収やプロピレンを効率よく安定に製造する観点から、フルードベッド型反応器を用いることが好ましい。
本発明のゼオライト成型体を用いるプロピレンの製造方法におけるエチレンの転化率はガスクロマトグラフィーを用いて生成物を分析し、下記式(1)によって求めることができる。
エチレン転化率(%)=〔[反応器入口エチレン(モル)−反応器出口エチレン(モ
ル)]/反応器入口エチレン(モル)〕×100 (1)
本発明のゼオライト成型体を用いるプロピレンの製造方法において、プロピレンの選択率はガスクロマトグラフィーを用いて分析し、下記式(2)によって求めることができる。
プロピレン選択率(%)=〔反応器出口プロピレン由来カーボン(モル)/[反応器出口総カーボン(モル)−反応器出口エチレン由来カーボン(モル)]〕×100 (2)
プロピレンの収率は、前記エチレン転化率と、生成したプロピレンの選択率との積により求められ、次の式(3)により算出できる。
プロピレン収率(%)=
(エチレン転化率(%)×プロピレン選択率(%))/100 (3)
本発明のゼオライト成型体を用いるプロピレンの製造方法においては、反応器からの流
出ガスからプロピレンを分離した後のガス流は一部の高沸点成分を除去した上で、反応器に循環して再使用することが好ましい。
流動床反応器の流出ガスからプロピレンを分離する方法としては、蒸留分離等を用いればよく、またプロピレンを分離した後のガス流はエチレン等の低沸成分及びブテン等の高沸成分を含んでいるので、これらは一部の更に沸点の高い成分を除去した上で原料ガスの一部として上記流動床反応器に循環・再使用することが効率的である。
なお、再使用する量や比率については特に限定されず、プロピレンの生産量に応じて調整すれば十分である。
各種物性の測定方法は下記の通りである。
(1)ゼオライト成型体の摩耗損失
ゼオライト成形体の耐摩耗性の指標である摩耗損失は、噴霧式流動装置を用いて測定した。噴霧式流動装置は、ガス導入口に0.7mm孔一個を有するオリフィスを設置した内径37.1mm長さ700mmの「粉体上昇部」、内径133.8mm長さ580mmの「粉体分離部」、「微粉末捕集部」とからなる。「粉体上昇部」にはオリフィスから10mmの位置に20mm径で60°に開いたコーン状の「金属遮蔽部」を設置する。「粉体分離部」に140℃で乾燥させたゼオライト成型体25cc(仕込み重量(A))を投入し、次いで「ガス導入口」より蒸気圧相当量の水分を含む空気を5.0L/50秒で2時
間送風し、ゼオライト成型体を流動させる。流動したゼオライト成型体は「金属遮蔽部」に衝突し、その一部は破砕され微粉となる。微粉となったゼオライト成型体は「微粉末捕集部」に回収される。回収された微粉末ゼオライト成型体重量(B)を測定し、下式に従って、摩耗損失を求めた。
摩耗損失(質量%)=B/A×100
尚、摩耗損失が小さいほど衝突耐久性が良好である。
JIS規格Z−2504かさ比重測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用い、付属のマニュアルに従い、ゼオライト成型体の嵩密度を測定した。
ゼオライト成型体の安息角は、三輪式円筒回転形流動表面角測定器(筒井理化学器械株式会社製)を用い、回転数10rpmで、造粒便覧(日本紛体工業協会編、オーム社)に記載されている傾斜角法を用いて測定した。
上述の方法により算出した。
(1)シリル化処理ゼオライト
米国特許第4,544,538号公報に記載の方法で合成したCHA構造を有するプロトン型のアルミノシリケート(SiO2/Al2O3=25、ゼオライト)5.0kgにトルエン43.0kgを加え、室温で1時間撹拌した。その後、テトラエトキシシラン2.97kgを加え、70℃で3時間加熱することでシリル化処理を行った。処理後、ろ過・洗浄を行い、得られたアルミノシリケートを80℃で減圧乾燥した。
前記「ゼオライト1」をアルミナバインダーとしてCataloid AP−1(日揮触媒化成社製、アルミ濃度 71.0質量%)を予め水に分散させたスラリーに添加してスラリーを調製し、プリス社製スプレードライヤー(TR160、噴霧方式:回転円盤式)を使用して入口ガス温度150℃、出口ガス温度90℃の条件で噴霧乾燥を行った後、550℃で8時間焼成を行い、ゼオライト成型体1を調製した。得られたゼオライト形成体1の摩耗損失、嵩密度及び安息角を上記の測定方法に従って測定した。得られた結果を表1に示す。
前記「ゼオライト1」をアルミナバインダーとしてアルミゾル−A2(川研ファインケミカル社製、アルミナ濃度 9.9質量%)に添加してスラリーを調製したこと以外は上記実施例1と同様にして噴霧乾燥及び焼成を行ってゼオライト成型体2を調製し、同様の測定を行った。得られた結果を表1に示す。
ゼオライト成型体1の代わりに、ゼオライト成型体2を用いた以外は、実施例1と同一の条件でプロピレン製造の反応・再生繰り返し評価を行った。反応積算時間が20時間に到達した時の生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチレン転化率は90.0%、プロピレン選択率は81.8%、収率は73.6%であった。反応積算時間が400時間に到達した時の生成物を分析したところ、エチレン転化率は84.9%、プロピレン選択率は84.4%、プロピレン収率は71.7%であった。
前記「ゼオライト1」にシリカゾルとしてスノーテックスNXS(日産化学工業株式会社製、スラリー濃度 14.5質量%)、リン酸(和光純薬工業株式会社、試薬特級)、及びホウ酸(和光純薬工業株式会社、試薬特級)を添加してスラリーを調製し、ニロアトマイザー社製モービルマイナー型スプレードライヤー(噴霧乾燥方式:回転円盤式)を使用して入口ガス温度250℃、出口ガス温度150℃の条件で噴霧乾燥を行った後、550℃で8時間焼成を行い、ゼオライト成型体3を調製した。得られたゼオライト形成体3の摩耗損失、嵩密度及び安息角を上記の測定方法に従って測定した。得られた結果を表1に示す。次いで、固定床流通反応装置を用い、ステンレス製反応管に前記ゼオライト成型体3を充填した。エチレンの空間速度がゼオライト質量基準で35mmol/(g−zeo・h)、水素の空間速度がゼオライト質量基準で35mmol/(g−zeo・h)になるように反応器に供給し反応・再生繰り返し評価を行った。反応積算時間が20時間に到達した時の生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチレン転化率は89.4%、プロピレン選択率は86.1%、プロピレン収率は77.0%であった。反応積算時間が400時間に到達した時の生成物を分析したところ、エチレン転化率は69.5%、プロピレン選択率は88.8%、プロピレン収率は61.7%であった。
前記「ゼオライト1」にシリカゾルとしてスノーテックスNXS(日産化学工業株式会社製、スラリー濃度 14.5質量%)、リン酸(和光純薬工業株式会社、試薬特級)、及びホウ酸(和光純薬工業株式会社、試薬特級)を添加してスラリーを調製し、ニロアトマイザー社製モービルマイナー型スプレードライヤー(噴霧乾燥方式:回転円盤式)を使用して入口ガス温度250℃、出口ガス温度150℃の条件で噴霧乾燥を行った後、550℃で8時間焼成を行い、ゼオライト成型体4を調製した。得られたゼオライト形成体4の摩耗損失、嵩密度及び安息角を上記の測定方法に従って測定した。得られた結果を表1に示す。
次いで、固定床流通反応装置を用い、ステンレス製反応管に前記ゼオライト成型体4を充填した。エチレンの空間速度がゼオライト質量基準で35mmol/(g−zeo・h)、水素の空間速度がゼオライト質量基準で35mmol/(g−zeo・h)になるように反応器に供給し反応・再生繰り返し評価を行った。反応積算時間が20時間に到達した時の生成物をガスクロマトグラフィーで分析したところ、エチレン転化率は92.5%、プロピレン選択率は74.5%、プロピレン収率は78.2%であった。反応積算時間が400時間に到達した時の生成物を分析したところ、エチレン転化率は85.9%、プロピレン選択率は78.9%、プロピレン収率は67.8%であった。
(1)本願に規定する要件を満たす実施例1、2のそれぞれのゼオライト成型体は摩耗損失が少ない。すなわち、衝突耐久性に優れる。更に、安息角は特定の範囲内であるので、流動性が良好であり、取り扱いやすい。加えて、嵩密度は特定の範囲内であるので、流動層反応における触媒として使用した場合には有効な性能を有する。実施例1、2のプロピレンの製造の結果をみても、高いプロピレン選択率、高い生産性を達成し、かつ長時間にわたって性能を維持しており、流動床型の反応器に好適に使用できる。
安定かつ高いプロプレン生産性が両立していない。すなわち、比較例1においては摩耗損失の値は小さいものの、プロピレンの製造においては含有する多量のリン酸が反応を阻害するため、触媒としての性能低下が起こり、長時間にわたる触媒性能の安定維持ができない。また、比較例2においては含有するリン酸、ホウ酸量が少なくプロピレン製造において反応の阻害の程度は少なく、かなり安定した触媒性能が得られる一方で、含有するリン酸、ホウ酸量が少ないため摩耗損失の値が大きく、衝突耐久性を有さない。それは流動床型反応器におけるプロピレン製造において、短時間でゼオライト成型体が微小化し、触媒としての性能低下を引き起こす、又は反応系外に排出されることが容易に予想される。従って、流動床型の反応器に使用することが困難であると考えられる。
Claims (9)
- 8員環構造ゼオライトとアルミナを含有するゼオライト成型体。
- 前記8員環構造ゼオライト質量に対するアルミナの質量比が、10以下である請求項1に記載のゼオライト成型体。
- 蒸気圧相当量の水分を含む空気を5.0L/50秒で2時間送風してゼオライト触媒を金属板に衝突させた際に粉砕されるゼオライト成型体の割合が、3質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のゼオライト成型体。
- 前記8員環構造ゼオライトがCHA型ゼオライトである請求項1〜3のいずれか1項に記載のゼオライト成型体。
- 前記8員環構造ゼオライトの少なくとも一部がシリル化処理されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼオライト成型体。
- 前記8員環構造ゼオライトの平均粒子径が0.1〜50μmのゼオライトであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のゼオライト成型体。
- 安息角が20〜35°である、請求項1〜6のいずれか1項に記載のゼオライト成型体。
- 嵩密度が0.5〜1.3g/cm3である、請求項1〜7のいずれか1項に記載のゼオライト成型体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のゼオライト成型体と、エチレン、エタノール、メタノール、及びジメチルエーテルよりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有する炭化水素原料とを接触させる工程を含む、低級オレフィンの製造方法。
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