JP2012165527A - 無線電力供給システム - Google Patents

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Abstract

【課題】従来とは全く異なる視点に立った磁界共鳴状態を利用した無線電力供給システムを提供する。
【解決手段】無線電力供給システム101において、給電共振器102と受電共振器103とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる給電共振器102と受電共振器103との位置関係(距離C)を電力供給範囲Fとしている。こうすることで、上記位置関係を保持した電力供給範囲Fだけに所定の有効電力を送電することができる。一方、受電共振器103が当該電力供給範囲Fを外れた場合には、電力は送電されない。
【選択図】図1

Description

本発明は、磁界共鳴状態を創出することにより非接触で電力を送電する無線電力供給システムに関する。
従来、無線による電力供給技術としては、電磁誘導を利用した技術、電波を利用した技術が知られている。これに加えて、近年、磁界共鳴状態を利用した無線電力供給技術が提案されている。
この磁界共鳴状態(磁気共鳴、磁場共鳴、磁界共振とも言われる)を利用した電力供給技術は、共振する2つの共振器間で磁場を結合させることにより、エネルギー(電力)の送電を可能とする技術である。このような磁界共鳴状態を利用した無線電力供給技術によれば、電磁誘導を利用した無線電力供給技術に比べて、エネルギー(電力)の送電距離を長くすることができる。
例えば、特許文献1には、送電共振コイルと受電共振コイルとの間の距離が変動した場合でも、送電共振コイルの共振周波数及び受電共振コイルの共振周波数を変更することにより、送電共振コイルと受電共振コイルとの間の結合強度を逐次変更して共鳴状態を維持することで送電装置から受電装置への電力の送電効率の低下を防止することができる無線電力供給システムが開示されている。また、特許文献2には、送電コイルと受電コイルとの結合強度を変化させることによって、装置全体の送電効率を高めることができる無線電力装置が開示されている。さらに、特許文献3には、給電コイルと給電コイルの間に給電側共鳴コイルと受電側共鳴コイルとを設けて非接触で電力を供給する給電システムにおいて、給電側共鳴コイルと受電側共鳴コイルの距離が変化しても電力供給効率を維持あるいは向上できる給電システムが開示されている。
特開2010−239769 特開2010−239777 特開2010−124522
このように、近年において、各文献1〜3においても開示されているように、磁界共鳴状態を利用した無線電力供給技術が注目されており、この磁界共鳴状態を利用したさらなる電力供給システムが要望されている。
そこで、本発明の目的は、従来とは全く異なる視点に立った磁界共鳴状態を利用した無線電力供給システムを提供することにある。
上記課題を解決するための発明の一つは、給電共振器と受電共振器とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係を電力供給範囲としたことを特徴とする無線電力供給システムである。
上記の構成によれば、給電共振器と受電共振器との位置関係を、給電共振器と受電共振器とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となるように設定することにより、給電共振器と受電共振器とが上記位置関係に置かれたときにだけ、電力供給範囲として所定の有効電力を送電することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、電力を供給する電力供給部と、前記電力供給部から供給された前記電力を、磁界エネルギーとして送電する給電共振器と、前記給電共振器と同一の共振周波数を有し、前記給電共振器から送電された前記磁界エネルギーを電力として受電する受電共振器と、前記受電共振器が受電した前記電力が出力され、当該電力が所定の有効電力以上であるときに作動する電力受給部と、を備えた無線電力供給システムであって、前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係は、前記共振周波数の帯域において、前記給電共振器に供給される電力に対する前記電力受給部に出力される電力の比率が前記有効電力以上となるように設定されていることを特徴としている。
上記の構成によれば、給電共振器及び受電共振器を共振周波数において同調させて、給電共振器と受電共振器との間に磁界共鳴状態を創出することによって、電力供給部から供給された電力を磁界エネルギーとして給電共振器から受電共振器へ無線により送電することができる。そして、電力受給部は、その送電された電力が所定の有効電力以上であるときに作動することができる。
そして、給電共振器と受電共振器との位置関係を、共振周波数の帯域において、給電共振器に供給される電力に対する電力受給部に出力される電力の比率が有効電力以上となるように設定することにより、当該位置関係では受電共振器は高効率で有効電力を受電することができる。一方で、受電共振器が当該位置関係を外れた位置に置かれた場合、受電共振器の受電効率は低下して所定の有効電力を受電することができない。こうすることにより、給電共振器と受電共振器とが上記位置関係に置かれたときにだけ、電力受給部が作動するのに必要な有効電力が当該電力受給部に出力されることになる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記無線電力供給システムにおいて、前記給電共振器は、前記電力供給部に接続された給電コイルと給電共振コイルとを有し、前記受電共振器は、前記電力受給部に接続された受電コイルと受電共振コイルとを有することを特徴としている。
上記の構成によれば、給電コイルと給電共振コイルとの間において、磁界共鳴状態を創出することなく電磁誘導を用いることにより、給電コイルから給電共振コイルに電力を送電することができる。また、同様に、受電共振コイルと受電コイルとの間において、磁界共鳴状態を創出することなく電磁誘導を用いることにより、受電共振コイルから受電コイルに電力を送電することができる。これにより、給電コイルと給電共振コイルとの間、及び、受電共振コイルと受電コイルとの間において共振周波数で同調させる必要がなくなるので設計の簡易化が図れる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、上記無線電力供給システムにおいて、前記給電コイルと前記給電共振コイルとの間の第1距離、及び、前記受電共振コイルと前記受電コイルとの間の第2距離の少なくとも一つを自由に設定可能なことを特徴としている。
上記の構成によれば、給電コイルと給電共振コイルとの間の第1距離、及び、受電共振コイルと受電コイルとの間の第2距離の少なくとも一つを所望の値に設定することにより、共振周波数の帯域において、給電共振コイルに供給される電力に対する電力受給部に出力される電力の比率が有効電力以上となる位置を自由に設定することができる。
また、上記課題を解決するための発明の一つは、給電共振器と受電共振器とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係を電力供給範囲としたことを特徴とする無線電力供給方法である。
上記の方法によれば、給電共振器と受電共振器との位置関係を、給電共振器と受電共振器とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となるように設定することにより、給電共振器と受電共振器とが上記位置関係に置かれたときにだけ、電力供給範囲として所定の有効電力を送電することができる。
従来とは全く異なる視点に立った磁界共鳴状態を利用した無線電力供給システムを提供することができる。
本発明に係る無線電力供給システムの説明図である。 実施例1に係る無線電力供給システムの概略構成図である。 給電共振コイルと受電共振コイルとの間の距離Cを変動させた場合における挿入損失の測定結果を示した図である。 給電共振コイルと受電共振コイルとの間の距離Cを変動させた場合の送電効率を、青色LEDの発光具合により説明した説明図である。 実施形態1に係る無線電力供給システムの説明図である。 実施例2に係る無線電力供給システムの概略構成図である。 給電コイルと給電共振コイルとの間の距離A、及び、受電共振コイルと受電コイルとの間の距離Bを変えた場合における送電効率が最大となる距離Cについて説明した説明図である。 実施形態2に係る無線電力供給システムの説明図である。 実施形態3に係る無線電力供給システムの説明図である。
まず、以下に本発明に係る無線電力供給システム及び無線電力供給方法の概要を図1に基づいて説明する。
本発明に係る無線電力供給システム101は、図1に示すように、給電共振器102と受電共振器103とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる前記給電共振器102と前記受電共振器103との位置関係(距離C)を電力供給範囲Fとしている。
ここで、給電共振器102及び受電共振器103とは、例えば、コイルを使用した共振器で、スパイラル型やソレノイド型やループ型などのコイルが挙げられる。共振とは、給電共振器102及び受電共振器103が共振周波数において同調することをいう(例えば、交流電源106から、給電共振器102及び受電共振器103が有する共振周波数と同一の周波数の電力が出力されることにより実現される)。所定の有効電力とは、受電共振器103側で必要な電力のことをいい、要望の電力によって設定される値である(例えば、電力受給部109の可動に必要な電力)。給電共振器102と受電共振器103との位置関係とは、給電共振器102に使用されたコイルのコイル面と受電共振器103に使用されたコイルのコイル面同士が直交しないように対向配置した場合のコイル面同士の間の直線距離のことをいう(図1では、距離Cで表記)。電力供給範囲Fとは、所定の有効電力以上の電力が送電される範囲である(図1では、距離CがY〜Y´を満たす範囲)。
これにより、給電共振器102と受電共振器103との位置関係を、給電共振器102と受電共振器103とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となるように設定することにより、上記位置関係を保持した電力供給範囲Fだけに所定の有効電力を送電することができる。一方、受電共振器103が当該電力供給範囲Fを外れた場合には、電力は送電されない。
(実施例1)
次に、上記で説明した無線電力供給システム101を簡易な構成で実現した無線電力供給システム1について説明する。図2に示した無線電力供給システム1は、給電共振器2と受電共振器3とを含むシステムであり、給電共振器2から受電共振器3に電力を磁界エネルギーとして送電する。給電共振器2は、図2に示すように、その内部に給電コイル4と、給電共振コイル5とを有する。そして、給電コイル4は交流電源6(電力供給部)に接続されている。また、受電共振器3は、その内部に受電コイル7と、受電共振コイル8とを有する。そして、受電コイル7は青色LED9(電力受給部)に接続されている。
交流電源6は、給電共振コイル5及び受電共振コイル8の共振周波数と同一の周波数である16MHzで電力を出力する。そのため、給電共振コイル5及び受電共振コイル8は、共振周波数である16MHzで共振する。なお、本実施形態では、交流電源6から0.5Wの電力を出力する。
青色LED9は、主に窒化ガリウムを材料とする、青色の光を発光するダイオードである。この青色LED9は、発光に必要な有効電力である0.35W以上の電力が入力された場合に青色に発光する。一方で、この青色LED9は、有効電力0.35Wよりも少ない電力が入力された場合には発光しないように構成されている。
給電コイル4は、交流電源6から得られた電力を電磁誘導によって給電共振コイル5に供給する役割を果たす。この給電コイル4は、一辺2mmの角形タイプの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にしたコイル径80mmφのコイルによって形成されている。
このように、給電コイル4を介し、電磁誘導によって給電共振コイル5に電力を送電させることにより、給電共振コイル5と他の回路との電気的な接続が不要となり、給電共振コイル5を任意に、かつ、高精度に設計することができるようになる。
受電コイル7は、給電共振コイル5から受電共振コイル8に磁界エネルギーとして送電された電力を電磁誘導によって青色LED9に出力する役割を果たす。この受電コイル7は、給電コイル4と同様に、一辺2mmの角形タイプの銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にしたコイル径80mmφのコイルによって形成されている。
そして、磁界共鳴状態下で受電共振コイル8に送電された電力は、受電共振コイル8から受電コイル7に電磁誘導によってエネルギーが移動する。受電コイル7は、青色LED9に電気的に接続されており、電磁誘導によって受電コイル7に移動したエネルギーは電力として青色LED9に出力される。
このように受電コイル7を介し、電磁誘導によって受電共振コイル8から青色LED9に電力を送電することで、受電共振コイル8と他の回路との電気的な接続が不要となり、受電共振コイル8を任意に、かつ、高精度に設計することができるようになる。
給電共振コイル5及び受電共振コイル8は、図2に示すように、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。なお、本実施形態では、LC共振回路のコンデンサ成分については素子によって実現しているが、コイルの両端を開放し、浮遊容量によって実現してもよい。このLC共振回路では、インダクタンスをL、コンデンサ容量をCとすると、(式1)によって定まるfが共振周波数となる。
f=1/(2π√(LC))・・・(式1)
また、給電共振コイル5及び受電共振コイル8は、双方とも一辺2mmの角形タイプの銅線材(絶縁被膜付)を3回巻にしたコイル内径100mmφ、コイル外径124mmφのコイルによって形成されている。また、給電共振コイル5及び受電共振コイル8は、(式1)によって定まる共振周波数fを同一とする必要があるため、共振周波数を16MHzとしている。なお、共振周波数を同一とするためには、必ずしも同一の形状である必要はない。
そして、本実施形態では、図2に示すように、給電コイル4の内径と給電共振コイル5の内径との間の距離を10mmとしたうえで同一の平面基板に給電共振器2としてプリント配置しているが、給電コイル4と給電共振コイル5との配置は、電磁誘導が発生可能な距離および配置であればよい。また、同様に、受電コイル7の内径と受電共振コイル8の内径との間の距離を10mmとしたうえで同一の平面基板に受電共振器3としてプリント配置しているが、受電コイル7と受電共振コイル8との配置は、電磁誘導が発生可能な距離および配置であればよい。
上記のように、給電共振コイル5の共振周波数と受電共振コイル8の共振周波数とを同一値とした場合、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間に磁界共鳴状態を創出することができる。給電共振コイル5が共振した状態で磁界共鳴状態が創出されると、給電共振コイル5から受電共振コイル8に電力を磁界エネルギーとして送電することができる。
また、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離をCとして、給電共振器2の給電共振コイル5と受電共振器3の受電共振コイル8との位置関係を、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cが、100mmとなるように配置している。
ここで、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを、100mmとしている理由を以下に説明する。まず、図3及び図4を参照して、無線電力供給システム1において、給電コイル4と給電共振コイル5とを同一基板に固定し、受電共振コイル8と受電コイル7とを同一基板に固定したうえで、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cが変動した場合における送電効率の変化について説明する。なお、送電効率を計測するにあたって、給電コイル4には、交流電源6の代わりにネットワークアナライザ(アジレント・テクノロジー株式会社製)の出力端子を接続し、受電コイル7には、青色LED9の代わりにネットワークアナライザの入力端子を接続して、図3では、横軸を伝送周波数とし、縦軸を挿入損失『S21』として測定した。また、図4では、グラフの横軸を距離Cとし、縦軸を送電効率として説明する。
ここで、送電効率とは、給電共振器に供給される電力に対する電力受給部に出力される電力の比率のことをいう。即ち、電力が、給電共振器から受電共振器に電送される際のエネルギー転送効率のことである。挿入損失『S21』とは、出力端子から信号を入力したときの入力端子を通過する信号を表しており、デシベル表示され、数値が大きいほど送電効率が高いことを表す。即ち、挿入損失『S21』が高いほど、給電共振器2に供給される電力に対する電力受給部としての青色LED9に出力される電力の比率(送電効率)が高くなることを意味する。
以下に、図3及び図4を参照して、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを変動させた場合における挿入損失『S21』及び送電効率の測定結果について説明する。図3(a)は、距離C=37mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。図3(b)は、距離C=50mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。図3(c)は、距離C=70mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。図3(d)は、距離C=100mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。図3(e)は、距離C=150mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。図3(f)は、距離C=200mmとした場合の挿入損失『S21』の測定結果である。
給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の磁界共鳴状態において、伝送される磁界エネルギーがピークとなる伝送周波数(送電効率が最大となる伝送周波数)は、共振周波数近傍(本実施形態では16MHz)である。しかしながら、図3の(a)〜(c)が示すように、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cがある程度近くなると(C=37mm、50mm、70mm)、『S21』の値が最大となる伝送周波数に分離が確認され、共振周波数近傍では『S21』の値が低くなる。即ち、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cがある程度近くなると、図4に示すように、共振周波数帯域では、送電効率が低下することがわかる。
一方、図3の(d)が示すように、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを100mmに設定すると(本実施形態)、共振周波数近傍で『S21』の値が最大となる。即ち、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを100mmに設定すると、図4に示すように、共振周波数(16MHz)帯域で、送電効率が最大となることがわかる(送電効率74%)。
また、図3の(e)(f)が示すように、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cがある程度遠くなると(C=150mm、200mm)、『S21』の値が最大となる伝送周波数に分離こそ見られないが、共振周波数近傍では『S21』の値が低くなる。即ち、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cがある程度遠くなると、図4に示すように、共振周波数帯域では、送電効率が低下することがわかる。
以上のように、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを100mmに設定しているのは、共振周波数(16MHz)の帯域において、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間を青色LED9の発光に必要な有効電力が十分に送電されるように、送電効率を最大にするためである。
なお、本実施例では、距離Cを100mmに設定しているが、青色LED9の発光に必要な有効電力が0.35Wであるため、距離Cは送電効率が70%以上となる距離であればよい。具体的には、図4に示すように、距離Cが88mm〜105mmの間に設定されれば、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率が70%以上となり青色LED9の発光に必要な0.35W以上の有効電力が送電される。ここで、距離Cが88mm〜105mmの間を、青色LED9の発光に必要な0.35W以上の有効電力が送電可能な電力供給範囲という。
(動作)
このように構成された無線電力供給システム1では、交流電源6から給電コイル4に供給された電力(0.5W)は、給電コイル4と給電共振コイル5との間の電磁誘導を経て、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の磁界共鳴状態を利用して送電効率74%で送電されて、受電共振コイル8と受電コイル7との間の電磁誘導を経て、青色LED9の発光に必要な有効電力0.35W以上の値で出力される。そして、有効電力を得た青色LED9は青色に発光する。
次に、図4を参照して、無線電力供給システム1において、給電共振コイル5と受電共振コイル8との間の距離Cを変動させた場合の送電効率の変化を、青色LED9の発光具合(動作)により比較して説明する。
なお、本実施例では、交流電源6は、給電共振コイル5及び受電共振コイル8の共振周波数と同一の周波数である16MHzで0.5Wの電力を出力する。また、交流電源6から出力される電力が0.5Wであるため、有効電力0.35W以上の青色LED9が青色に発光するためには、送電効率が70%以上であることが必要であり、送電効率が70%よりも少ない場合には発光しない。
(比較例1)
図4(a)に示すように、距離Cを20mmとすると、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率は約4%となり極めて低く、青色LED9は発光しない。
(比較例2)
次に、図4(b)に示すように、距離Cを50mmとすると、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率は約39%となるが、青色LED9の発光に必要な有効電力には達しないため発光しない。
(本実施例)
次に、図4(c)に示すように、距離Cを100mmとすると、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率は約74%と高くなり、青色LED9の発光に必要な有効電力に達したため、青色LED9が発光する。
(比較例3)
次に、図4(d)に示すように、距離Cを150mmとすると、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率は約27%と低下して、青色LED9は発光しない。
このように図4のグラフを参照すると、距離Cが88mm〜105mmの間に設定された場合には(電力供給範囲)、共振周波数(16MHz)帯域において、送電効率が70%以上(有効電力0.35W以上)となり青色LED9が発光し、それ以外の値に距離Cが設定された場合には、送電効率が70%未満(有効電力0.35W未満)となり青色LED9は発光しないことがわかる。即ち、所定の有効電力以上の電力が送電される範囲である電力供給範囲が現実に存在し、その電力供給範囲の存在により本発明が十分に実現できることがわかる。
上記の無線電力供給システム1(無線電力供給方法)によれば、給電共振器2及び受電共振器3を共振周波数16MHzにおいて同調させて、給電共振器2と受電共振器3との間に磁界共鳴状態を創出することによって、交流電源6から供給された電力(0.5W)を磁界エネルギーとして給電共振器2から受電共振器3へ無線により送電することができる。そして、青色LED9は、発光に必要な有効電力である0.35W以上の電力が入力された場合に青色に発光し、有効電力0.35Wよりも少ない電力が入力された場合には発光しないように構成されている。
そして、給電共振器2の給電共振コイル5と受電共振器3の受電共振コイル8との間の距離Cを、共振周波数16MHzの帯域において、給電共振器2に供給される電力に対する青色LED9に出力される電力の比率(送電効率)が70%以上、即ち、青色LED9の発光に必要な有効電力である0.35W以上が出力される状態になるように、88mm〜105mmの間である100mmに設定している。こうすることにより、距離Cが約88mm〜約105mmの間に設定されている場合には、受電共振器3は有効電力0.35W以上を受電して青色LED9に有効電力を出力して発光させることができる。一方で、距離Cが88mm〜105mmの間を外れた場合には、受電共振器3が受電する電力の送電効率は低下して青色LED9の発光に必要な有効電力を受電することができなくなる。このため、給電共振器2の給電共振コイル5と受電共振器3の受電共振コイル8とが位置関係、即ち、距離Cが88mm〜105mmの間に設定されたときにだけ、青色LED9が発光するのに必要な有効電力を出力させて青色LED9を発光させることができる。
即ち、給電共振器2の給電共振コイル5と受電共振器3の受電共振コイル8との位置関係を距離Cが88mm〜105mmの間に設定されるように配置することにより、給電共振コイル5と受電共振コイル8とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電される電力を有効電力(0.35W)以上とすることができる。このため、給電共振器2と受電共振器3とが上記位置関係に置かれたときにだけ、電力供給範囲として有効電力を送電することができる。
また、上記の構成によれば、給電コイル4と給電共振コイル5との間において、磁界共鳴状態を創出することなく電磁誘導を用いることにより、給電コイル4から給電共振コイル5に電力を送電することができる。また、同様に、受電共振コイル8と受電コイル7との間において、磁界共鳴状態を創出することなく電磁誘導を用いることにより、受電共振コイル8から受電コイル7に電力を送電することができる。これにより、給電コイル4と給電共振コイル5との間、及び、受電共振コイル8と受電コイル7との間において共振周波数で同調させる必要がなくなるので設計の簡易化が図れる。
(実施形態1)
具体例として、上記実施例1で説明した本発明に係る無線電力供給システムを実施形態1に係る無線電力供給システム201にあてはめて説明する。
図1及び図4に示すグラフより、給電共振器及び受電共振器を共振周波数において同調させて給電共振器と受電共振器との間が磁界共鳴状態にある場合において、給電共振器と受電共振器との間の距離を変化させた場合の送電効率を測定した場合、ピーク点を有する山なりの線を描くことがわかっている。即ち、給電共振器と受電共振器との間の距離をピーク点の位置に配置すると、送電効率が最大となる。また、給電共振器と受電共振器との間の距離がピーク点よりも近くなると、送電効率が低下することがわかる。また、給電共振器と受電共振器との間の距離がピーク点よりも離れると、送電効率が低下することがわかる。ここで、送電効率とは、給電共振器に供給される電力に対する受電共振器から出力される電力の比率のことをいう。
そして、実施形態1に係る無線電力供給システム201は、給電共振器と受電共振器との位置関係を変化させた場合に送電効率が変化することを利用した無線電力供給システムである。
(無線電力供給システム201の構成)
図5は、実施形態1に係る無線電力供給システム201の説明図である。図5に示した無線電力供給システム201は、オフィス220の壁に掛けられた送電装置210と、机221に置かれた携帯電話212などの受電装置から構成される。送電装置210は、交流電源206と給電共振器202を備え、給電共振器202は、交流電源206に接続された給電コイル204と給電共振コイル205から構成されている。また、携帯電話212などの受電装置は、電力受給部209と受電共振器203を備え、受電共振器203は電力受給部209に接続された受電コイル207と受電共振コイル208から構成されている。なお、図5に示すように、携帯電話212は、送電装置210から距離X”分離れて人間226が所持した状態から、送電装置210から距離X´分離れて机221の上に置かれた状態に移動されるものとして説明する。
給電コイル204は、交流電源206から得られた電力を電磁誘導によって給電共振コイル205に供給する役割を果たす。ここで、給電コイル204と給電共振コイル205との間の距離をAとする。なお、給電コイル204と給電共振コイル205との配置は、電磁誘導が発生可能な距離および配置であればよい。
このように、給電コイル204を介し、電磁誘導によって給電共振コイル205に電力を送電させることにより、給電共振コイル205と他の回路との電気的な接続が不要となり、給電共振コイル205を任意に、かつ、高精度に設計することができるようになる。
受電コイル207は、給電共振コイル205から受電共振コイル208に磁界エネルギーとして送電された電力を電磁誘導によって電力受給部209に出力する役割を果たす。ここで、受電共振コイル208と受電コイル207との間の距離をBとする。なお、受電コイル207と受電共振コイル208との配置は、電磁誘導が発生可能な距離および配置であればよい。
そして、磁界共鳴状態下で受電共振コイル208に送電された電力は、受電共振コイル208から受電コイル207に電磁誘導によってエネルギーが移動する。受電コイル207は、電力受給部209に電気的に接続されており、電磁誘導によって受電コイル207に移動したエネルギーは電力として電力受給部209に出力される。
このように受電コイル207を介し、電磁誘導によって受電共振コイル208から電力受給部209に電力を送電することで、受電共振コイル208と他の回路との電気的な接続が不要となり、受電共振コイル208を任意に、かつ、高精度に設計することができるようになる。
給電共振コイル205及び受電共振コイル208は、それぞれLC共振回路であり、磁界共鳴状態を創出する役割を果たす。なお、本実施形態では、LC共振回路のコンデンサ成分については素子によって実現しているが、コイルの両端を開放し、浮遊容量によって実現してもよい。このLC共振回路では、インダクタンスをL、コンデンサ容量をCとすると、(式1)によって定まるfが共振周波数となる。
また、給電共振コイル205及び受電共振コイル208は、(式1)によって定まる共振周波数fを同一とする必要がある。なお、共振周波数fを同一とするためには、必ずしも同一の形状である必要はない。
上記のように、給電共振コイル205の共振周波数と受電共振コイル208の共振周波数とを同一値とした場合、給電共振コイル205と受電共振コイル208との間に磁界共鳴状態を創出することができる。給電共振コイル205が共振した状態で磁界共鳴状態が創出されると、給電共振コイル205から受電共振コイル208に電力を磁界エネルギーとして送電することができる。
また、送電装置210の給電共振コイル205と携帯電話212の受電共振コイル208との間の距離をCとして、図5に示すように、人間226が所持した携帯電話212(受電共振コイル208)は、送電装置210(給電共振コイル205)から距離X”分離れた位置にある。そして、机221の上に移動された携帯電話212(受電共振コイル208)は、送電装置210(給電共振コイル205)から距離X´分離れた位置にある。
交流電源206は、給電共振コイル205及び受電共振コイル208の共振周波数と同一の周波数で電力を出力する。
電力受給部209は、受電コイル207に接続された整流回路と、整流回路に接続された充電制御装置と、充電制御装置に接続されたバッテリを備えている。電力受給部209は、受電コイル207から送電された電力を整流回路及び充電制御装置を介してバッテリに蓄電する役割を果たす。なお、バッテリとしては、例えば、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池やその他の二次電池が挙げられる。また、充電制御装置は、バッテリの充電に必要な有効電力が入力された場合に充電するように制御する役割を果たす。故に、有効電力よりも少ない電力が入力された場合にはバッテリには充電されないように構成されている。なお、給電共振器202に供給される電力に対する受電共振器203から出力される電力の比率(送電効率)が70%以上であればバッテリの充電に必要な有効電力が入力されるものとする(図5参照)。
(動作)
このように構成された無線電力供給システム201では、交流電源206から供給される電力が、給電コイル204と給電共振コイル205との間の電磁誘導、給電共振コイル205と受電共振コイル208との間の磁界共鳴状態を利用した送電、受電共振コイル208と受電コイル207との間の電磁誘導を経て、送電装置210の給電共振コイル205と受電共振コイル208との間の距離CがX’となるように机221の上に置かれた携帯電話212の電力受給部209に供給される。一方、送電装置210の給電共振コイル205と受電共振コイル208との間の距離CがX”となるように人間226が所持している場合は、携帯電話212には電力は供給されない。
このように机221の上に置かれた携帯電話212の電力受給部209のバッテリに充電がなされるのは、送電装置210の給電共振コイル205と受電共振コイル208との間の距離Cが、共振周波数の帯域において、携帯電話212のバッテリの充電に必要な有効電力を確保できるように送電効率70%以上となる距離X’に設定されていることによるものである。なお、本実施形態では、距離C=X’としているが、距離Cは送電効率が70%以上となる距離であればよい。具体的には、図5に示すように、距離CがY〜Y’の間に設定されれば、共振周波数帯域において、送電効率が70%以上となり携帯電話のバッテリの充電に必要な有効電力が送電される。ここで、距離CがY〜Y’の間を、電力受給部209のバッテリの充電に必要な有効電力が送電可能な電力供給範囲Fという。
一方、人間226が携帯電話212を所持している場合に、携帯電話212の電力受給部209のバッテリに充電がなされないのは、送電装置210の給電共振コイル205と携帯電話212の受電共振コイル208との間の距離Cが、共振周波数の帯域において、携帯電話212の電力受給部209のバッテリの充電に必要な有効電力を確保できない(送電効率70%未満となる)距離X”に設定されていることによるものである。即ち、図5に示すように人間226が携帯電話212を所持している場合には、携帯電話212が電力供給範囲Fの外にあるので、携帯電話212のバッテリには充電がなされない。
これにより、携帯電話212が電力供給範囲F外にある場合は充電ができないが、携帯電話212が電力供給範囲F内に持ち込まれた場合には充電可能とすることができる。即ち、限られた範囲(電力供給範囲F)においてのみ携帯電話212のバッテリに充電ができることになる。
(無線電力供給方法)
これを、無線電力供給方法として説明すると、まず、送電装置210がオフィス220の壁に固定されているとして、電力供給範囲Fを、共振周波数の帯域において携帯電話212のバッテリの充電に必要な有効電力を確保できる送電効率70%以上となるように距離Y〜Y’の範囲に設定する。そして、携帯電話212を、送電装置210の給電共振コイル205と携帯電話212の受電共振コイル208との間の距離Cが距離Y〜Y’の範囲(電力供給範囲F)内に入るように机221の上に移動させる。すると、交流電源206から供給される電力が、給電コイル204と給電共振コイル205との間の電磁誘導、給電共振コイル205と受電共振コイル208との間の磁界共鳴状態を利用した送電、受電共振コイル208と受電コイル207との間の電磁誘導を経て、受電コイル207から送電された電力が電力受給部209が備える整流回路及び充電制御装置を介してバッテリの充電に必要な有効電力としてバッテリに蓄電される。
上記の構成によれば、図5に示す電力供給範囲Fに携帯電話212などの受電装置が置かれた場合にだけ、電力受給部209が備えるバッテリに充電ができる。
(実施例2)
以下に、図6及び図7を参照して、実施例2に係る無線電力供給システム301を説明する。
ここでは、図6及び図7を参照して、無線電力供給システム301において給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離A、及び、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bの少なくとも一つを変えることにより、送電効率が最大となる給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cを自由に設定することができることを説明する。
(無線電力供給システム301の構成)
図6に示した無線電力供給システム301は、給電共振器302と受電共振器303とを含むシステムであり、給電共振器302から受電共振器303に電力を磁界エネルギーとして送電する。給電共振器302は、図6に示すように、その内部に給電コイル304と、給電共振コイル305とを有する。また、受電共振器303は、その内部に受電コイル307と、受電共振コイル308とを有する。
給電コイル304及び受電コイル307は、線径1mmφの円形の銅線材(絶縁被膜付)を1回巻にしたコイル径100mmφのコイルによって形成している。そして、給電コイル304には、交流電源の代わりにネットワークアナライザ340(アジレント・テクノロジー株式会社製)の出力端子341を接続し、受電コイル307には、ネットワークアナライザの入力端子342を接続している。
ネットワークアナライザ340は、任意の周波数で交流電力を出力端子341から給電コイル304に出力可能としている。また、ネットワークアナライザ340は、受電コイル307から入力端子342に入力された電力を測定可能としている。更に、ネットワークアナライザ340は、図7に示すような送電効率を測定可能としている。
給電共振コイル305及び受電共振コイル308は、それぞれLC共振回路であり、給電共振コイル305及び受電共振コイル308は、線径1mmφの円形の銅線材(絶縁被膜付)をソレノイド状に3回巻にしたコイル径100mmφのコイルによって形成されている。また、給電共振コイル305及び受電共振コイル308は、(式1)によって定まる共振周波数fを同一とする必要があるため、共振周波数を15MHzとしている。
また、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離Aとは、給電コイル304のコイル面と給電共振コイル305のコイル面同士が直交しないように対向配置した場合のコイル面同士の間の直線距離のことをいう。同様に、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bとは、受電コイル307のコイル面と受電共振コイル308のコイル面同士が直交しないように対向配置した場合のコイル面同士の間の直線距離のことをいう。また、給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cとは、給電共振コイル305のコイル面と受電共振コイル308のコイル面同士が直交しないように対向配置した場合のコイル面同士の間の直線距離のことをいう
次に、上記無線電力供給システム301を使用して、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離A、及び、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bを変えた場合における送電効率が最大となる給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cについてのネットワークアナライザ340での測定結果を、図7を参照して説明する。なお、図7のグラフでは、横軸を距離Cとし、縦軸を送電効率としている。
図7のグラフに示す設計Iの折れ線は、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離A、及び、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bをともに1mm(A=B=1mm)に設定した場合において、給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cを変動させた場合の送電効率をプロットしたものである。これによると、距離Cが20mmに設定された場合に送電効率が最大となることがわかる。
次に、設計IIの折れ線は、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離A、及び、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bをともに7mm(A=B=7mm)に設定した場合において、給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cを変動させた場合の送電効率をプロットしたものである。これによると、距離Cが50mmに設定された場合に送電効率が最大となることがわかる。
次に、設計IIIの折れ線は、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離A、及び、受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bをともに17mm(A=B=17mm)に設定した場合において、給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cを変動させた場合の送電効率をプロットしたものである。これによると、距離Cが100mmに設定された場合に送電効率が最大となることがわかる。
以上により、給電コイル304と給電共振コイル305との間の距離Aや受電共振コイル308と受電コイル307との間の距離Bを変えることにより、送電効率が最大となる給電共振コイル305と受電共振コイル308との間の距離Cが変わることがわかる。
(実施形態2)
上記実施例2に係る測定結果を踏まえて、実施形態2に係る無線電力供給システム401について説明する。実施形態2に係る無線電力供給システム401は、給電コイル404と給電共振コイル405との間の距離A、及び、受電共振コイル408と受電コイル407との間の距離Bの少なくとも一つを変えることにより、送電効率が最大となる給電共振コイル405と受電共振コイル408との間の距離Cを自由に設定することができることを利用した無線電力供給システムである。なお、実施形態1と同様の構成は説明を省略する。
(無線電力供給システム401の構成)
図8は、実施形態2に係る無線電力供給システム401の説明図である。図8に示した無線電力供給システム401は、実施形態1同様に、オフィス420の壁に掛けられた送電装置410と、机421に置かれた携帯電話412などの受電装置から構成される。送電装置410は、交流電源406と給電共振器402と調整器418とを備え、給電共振器402は、交流電源406と接続された給電コイル404と給電共振コイル405を備えている。調整器418は、給電コイル404と給電共振コイル405との間の距離Aを可変調整することが可能である。また、携帯電話412は、電力受給部409と受電共振器403を備え、受電共振器403は電力受給部409と接続された受電コイル407と受電共振コイル408から構成されている。
まず、図8(a)に示すように、給電共振器402と受電共振器403との位置関係を、調整器418により距離A=aに可変調整して(距離Bは一定の値に固定されている)、送電効率が最大となる距離C=cに設定した場合、図8に示す電力供給範囲Gでは、送電効率が携帯電話412の電力受給部409が備えるバッテリの充電に必要な有効電力以上となる。
上記の設定によれば、図8に示す電力供給範囲Gに携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電が実効される。一方で、図8に示す電力供給範囲G以外の領域に携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電は実行されない。
次に、図8(b)に示すように、給電共振器402と受電共振器403との位置関係を、調整器418により距離A=a´に可変調整して(距離Bは一定の値に固定されている)、送電効率が最大となる距離C=c´に設定した場合、図8に示す電力供給範囲Hでは、送電効率が携帯電話412の電力受給部409が備えるバッテリの充電に必要な有効電力以上となる。
上記の設定によれば、図8に示す電力供給範囲Hに携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電が実効される。一方で、図8に示す電力供給範囲H以外の領域に携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電は実行されない。
更に、図8(c)に示すように、給電共振器402と受電共振器403との位置関係を、調整器418により距離A=a”に可変調整して(距離Bは一定の値に固定されている)、送電効率が最大となる距離C=c”に設定した場合、図8に示す電力供給範囲Iでは、送電効率が携帯電話412の電力受給部409が備えるバッテリの充電に必要な有効電力以上となる。
上記の設定によれば、図8に示す電力供給範囲Iに携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電が実効される。一方で、図8に示す電力供給範囲I以外の領域に携帯電話412などの受電装置が置かれた場合には、バッテリの充電は実行されない。
上記の無線電力供給システム401を使用すれば、給電コイル404と給電共振コイル405との間の距離A、及び、受電共振コイル408と受電コイル407との間の距離Bの少なくとも一つを自由に設定することにより、共振周波数帯域において、送電効率がバッテリの充電に必要な有効電力以上となる電力供給範囲(例えば、電力供給範囲G、電力供給範囲H、電力供給範囲I)を自由に設定することができる。即ち、充電可能な電力供給範囲を自由に設定することができるようになる。
(実施形態3)
また、図9に示すように、オフィスに入場するための非接触型ICカードに本発明に係る無線電力供給システム601を採用してもよい。具体的には、オフィス630のドア631の脇の壁にカードリーダ610(交流電源606に接続された給電共振器602を備える)を設置し、個人識別用のICチップ609に接続された受電共振器603を備えたICカード611を用意する。そして、図9に示すように、送電効率がICチップ609の読み取りに必要な有効電力以上となる電力供給範囲Pを、ドア631の手前付近に設定する。
上記構成によれば、ICカード611をポケット650に入れたままの人が、電力供給範囲Pを通過した場合、ICチップの読み取りが実効され、個人識別が完了したらドア631が自動的に開くようにすることができる。
(その他の実施形態)
また、例えば、本発明に係る無線電力供給システムは、作業ロボットや電気自動車等の電力供給装置に適用することも可能である。作業ロボットに適用した場合、当該作業ロボットの作動に必要な有効電力以上となる電力供給範囲を作業領域と定めることにより、作業ロボットが当該作業領域を外れた場合の動作をストップさせることができる。これにより、作業ロボットが何らかの理由により作業領域を外れたとしても作業ロボットへの給電を止めて動作をストップさせることができるため、作業ロボットの安全性を高めることができる。
また、実施形態1では、送電装置210側の給電共振コイル205の共振周波数と携帯電話212側の受電共振コイル208の共振周波数とを同一値とした場合に、給電共振コイル205から携帯電話212の受電共振コイル208に電力を磁界エネルギーとして送電することができるようにしているが、これに限らない。
例えば、携帯電話が備える受電共振コイルの共振周波数を15MHzとし、パーソナルコンピュータが備える受電共振コイルの共振周波数を16MHzとし、タブレット方PCが備える受電共振コイルの共振周波数を14MHzとしてそれぞれ電力供給範囲Fに置く。そして、送電装置側には共振周波数が14MHz、15MHz、16MHzの給電共振コイルを用意して、交流電源から給電共振コイルに送電される交流電源の送電周波数を14MHz、15MHz又は16MHzに自由に変換することで、それぞれ共振する給電共振コイル及び受電共振コイルを介して個別に電力を磁界エネルギーとして送電することができるようにしてもよい。即ち、交流電源の送電周波数を14MHzに設定して、共振周波数が14MHzの給電共振コイルに電力を供給することで、共振周波数が14MHzのタブレット方PCが備える受電共振コイルにだけ電力が送電されることになる(共振周波数が一致しない携帯電話が備える受電共振コイルやパーソナルコンピュータが備える受電共振コイルには電力が送電されない)。同様に、交流電源の送電周波数を15MHzに設定して、共振周波数が15MHzの給電共振コイルに電力を供給することで、共振周波数が15MHzの携帯電話が備える受電共振コイルにだけ電力が送電されることになる(共振周波数が一致しないパーソナルコンピュータが備える受電共振コイルやタブレットPCが備える受電共振コイルには電力が送電されない)。同様に、交流電源の送電周波数を16MHzに設定して、共振周波数が16MHzの給電共振コイルに電力を供給することで、共振周波数が16MHzのパーソナルコンピュータが備える受電共振コイルにだけ電力が送電されることになる(共振周波数が一致しない携帯電話が備える受電共振コイルやタブレットPCが備える受電共振コイルには電力が送電されない)。
この場合、送電装置側の送電周波数を変換することによって、電力供給範囲Fに置かれた携帯電話やパーソナルコンピュータやタブレットPCのうち所望のものに電力供給が可能となる。
以上の詳細な説明では、本発明をより容易に理解できるように、特徴的部分を中心に説明したが、本発明は、以上の詳細な説明に記載する実施形態に限定されず、その他の実施形態にも適用することができ、その適用範囲は可能な限り広く解釈されるべきである。また、本明細書において用いた用語及び語法は、本発明を的確に説明するために用いたものであり、本発明の解釈を制限するために用いたものではない。また、当業者であれば、本明細書に記載された発明の概念から、本発明の概念に含まれる他の構成、システム、方法等を推考することは容易であると思われる。従って、請求の範囲の記載は、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲で均等な構成を含むものであるとみなされるべきである。また、本発明の目的及び本発明の効果を充分に理解するために、すでに開示されている文献等を充分に参酌することが望まれる。
1 無線電力供給システム
2 給電共振器
3 受電共振器
4 給電コイル
5 給電共振コイル
6 交流電源
7 受電コイル
8 受電共振コイル
9 青色LED

Claims (5)

  1. 給電共振器と受電共振器とを共振させることにより磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係を電力供給範囲としたことを特徴とする無線電力供給システム。
  2. 電力を供給する電力供給部と、
    前記電力供給部から供給された前記電力を、磁界エネルギーとして送電する前記給電共振器と、
    前記給電共振器と同一の共振周波数を有し、前記給電共振器から送電された前記磁界エネルギーを電力として受電する前記受電共振器と、
    前記受電共振器が受電した前記電力が出力され、当該電力が所定の有効電力以上であるときに作動する電力受給部と、
    を備え、
    前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係は、前記共振周波数の帯域において、前記給電共振器に供給される電力に対する前記電力受給部に出力される電力の比率が前記有効電力以上となるように設定されていることを特徴とする請求項1に記載の無線電力供給システム。
  3. 前記給電共振器は、前記電力供給部に接続された給電コイルと給電共振コイルとを有し、
    前記受電共振器は、前記電力受給部に接続された受電コイルと受電共振コイルとを有することを特徴とする請求項2に記載の無線電力供給システム。
  4. 前記給電コイルと前記給電共振コイルとの間の第1距離、及び、前記受電共振コイルと前記受電コイルとの間の第2距離の少なくとも一つを自由に設定可能なことを特徴とする請求項3に記載の無線電力供給システム。
  5. 給電共振器と受電共振器とを共振させることにより電力を磁界エネルギーとして送電された電力が所定の有効電力以上となる前記給電共振器と前記受電共振器との位置関係を電力供給範囲とすることを特徴とする無線電力供給方法。
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