JP2012163794A - 反射抑止膜およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】より優れた反射抑止効果と散乱防止効果を兼ね備えた反射抑止膜の提供。
【解決手段】光透過性支持体1と、表面に略一定の間隔を保った状態で配置された略球状の微小粒子を有する微小粒子層20とを備えた反射抑止膜。さらに、微小粒子3の直径が0.2〜0.275μmであり、隣り合う前記略球状の微小粒子の間隔が0.025〜0.05μmとする反射抑止膜。光透過性を有する複数の第1の球状粒子を、前記光透過性支持体に接し、かつ、隣り合う第1の球状粒子同士が互いに接した状態で固定する第1ステップと、光透過性を有する複数の第2の球状粒子を、前記第1の球状粒子上に接した状態で配置し、配置された前記第2の球状粒子の前記第1の球状粒子側を部分的に光透過性材料中に埋包固定する第2ステップとを備え、前記第1の球状粒子の直径は前記第2の球状粒子の直径とは異なる、反射抑止膜の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、太陽光集熱管のガラス面などに利用される反射抑止膜およびその製造方法に関する。
太陽光集熱管は、太陽光を高熱エネルギーに変換するためのものである。変換されたエネルギーは、最終的に家庭用や業務用の給湯器、冷凍機の熱源、発電機(水蒸気にしてタービンを回す)などに利用される。したがって、太陽光集熱管には、照射される太陽光を効率良く、広い波長帯域で吸収し、かつ、極力反射を抑えて太陽光エネルギーが外へ逃げないような特性が求められる。
太陽光を熱源として利用する場合、光を熱に変換する部分(光熱変換部)からの熱の放散を抑えるため、通常は、光熱変換部をガラス管の中に入れて封止し、管内を真空にして使用する。そのため、太陽光は光熱変換部に達するまでにガラスと空気あるいは真空との界面を2回通過しなければならず、何の対策も施さなければ各界面でおよそ4%の反射が起こる。
このような反射を抑止する方法として、ガラス管に単層あるいは多層の反射抑止膜を設けたり、ノングレア処理を施したりする技術が知られている。なお、かかる反射抑止膜は、長時間にわたって太陽光に暴露されるため、材料面での制約(無機系材料か、ポリカーボネートやフッ素系樹脂など一部の樹脂材料でないと耐久できない)がある。
単層の反射抑止膜は、反射を抑止できる帯域が狭く、また、ガラスの屈折率(1.46〜1.49)の1/2乗に相当するような低屈折率(1.21〜1.22)の無機系材料が存在しない。屈折率の低い無機系材料であるMgFを用いても、反射率を1.5%より小さくはできない。
多層の反射抑止膜の反射率は、抑止帯域内では1%未満と小さいが、その帯域幅は材料で制限され(せいぜい0.3〜1.1μm)、また、その帯域以外では反射率がかなり大きくなるため、太陽光のようにスペクトル幅の広い場合(0.3〜2.5μm以上)に対しては、むしろ効果がない。
したがって、MgF2などからなる単層の反射抑止膜に比べて反射抑止効果性能が高く、低コストで作製できる反射抑止膜が求められていた。
ノングレア処理の場合は広い帯域で反射を抑止できるが、加工した凹凸寸法程度よりも短い波長の光は進行方向が変化してしまう(散乱される)。ガラスと光熱変換部は距離を離して使うので、散乱を避けるには凹凸寸法を太陽光の最短波長程度以下とし、かつ、形状を同じように整える必要がある。それを実現する方法としては、例えば、特許文献1に開示された方法や、特許文献2に開示された技術を応用した方法が挙げられる。
特許文献1には、エッチングによりそのような凹凸形状を形成する方法が記述されている。ここで、直径0.01μmのポリスチレン球の入ったエッチング液にガラスを押しつけてエッチングすることで、反射率が低くなった旨が記載されている。これは、ポリスチレン球がガラス面に当たっているかどうかでエッチング速度に差ができ、凹凸形状が形成されたことによるものと推測されるが、その凹凸の大きさや深さ、形状のばらつきなどについては開示されていない。また、反射率は抑制されているが、透過した光は同じ方向に進む光なのか散乱された光なのかは記述されていない。ウェットエッチングでこのレベルの寸法の形状を制御することは非常に難しいことから、凹凸形状のばらつきは大きかったと考えるのが自然であり、よって透過光の多くは散乱されていたと考えられる。
一方、特許文献2には、光透過性支持体の上に、複数の光透過性の微小球状粒子が光透過性樹脂中に部分的に埋包されてなる微小粒子層を設けたマイクロレンズシートが開示されている。特許文献2に記載されるマイクロレンズシートは、集光用のものであるが、マイクロレンズのサイズを光の波長よりも小さくすれば反射抑止膜として応用できる。粒子サイズの揃ったものを使用すれば凹凸形状のばらつきは小さくできるので、ある程度の反射抑止効果と散乱防止効果は期待できる。
しかしながら、特許文献2に開示されるような従来のマイクロレンズシート(図10(a)、(b)参照)は、光透過性支持体1の上に、マイクロレンズ3が互いに接触した状態で光透過性材料2に埋包固定されてなるマイクロレンズ層20が形成されたものであり、このようなマイクロレンズシートでは、あまり大きな反射抑止効果が得られないことが、本発明者らの検討で明らかになった。
特開平1−100501号公報 特開2004−21215号公報
本発明は上記の事情に鑑み、より優れた反射抑止効果と散乱防止効果を兼ね備えた反射抑止膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、微小粒子同士を密着させた場合よりも、間隔を設けて微小粒子を配列する方が、反射抑止効果が高くなることを見出し、また、微小粒子の直径とその間隔を特定範囲に設定することにより、最も反射率が低くなることを見出した。
すなわち、本発明は、光透過性支持体と、表面に略一定の間隔を保った状態で配置された略球状の微小粒子を有する微小粒子層とを備えた反射抑止膜である。
上記略球状の微小粒子の直径が0.2〜0.275μmであり、
隣り合う上記略球状の微小粒子の間隔が0.025〜0.05μmであることが好ましい。
また、本発明は、上記反射抑止膜の製造方法であって、
上記光透過性支持体の上に、光透過性を有する複数の第1の球状粒子を、上記光透過性支持体に接し、かつ、隣り合う第1の球状粒子同士が互いに接した状態で固定する第1ステップと、
光透過性を有する複数の第2の球状粒子を、上記第1の球状粒子上に接した状態で配置し、配置された上記第2の球状粒子の上記第1の球状粒子側を部分的に光透過性材料中に埋包固定する第2ステップとを備え、
上記第1の球状粒子の直径は上記第2の球状粒子の直径とは異なる、反射抑止膜の製造方法にも関する。
上記第1の球状粒子の直径をA、上記第2の球状粒子の直径をB、隣り合う上記第2の球状粒子同士の間隔をCとした時、
Bは0.2〜0.275μmであり、
Cは0.025〜0.05μmであり、
A=(B+C)/N (ただし、Nは自然数)、かつ、
A>C
であることが好ましい。
本発明の反射抑止膜は、その表面に略一定の間隔を保った状態で配置された略球状の微小粒子を有することにより、優れた反射抑止効果と散乱防止効果を兼ね備える。
また、本発明の反射抑止膜の製造方法によれば、所望の間隙を設けて微小粒子を配列することができるため、優れた反射抑止効果を有する反射抑止膜を精度良く、低コストで製造することが可能となる。また、粒子の自己組織的な配列現象を利用した形成方法であることから、面積の大きな反射抑止膜を比較的安価に作製することができる。
本発明の反射抑止膜を示す模式図である。(a)は側面図、(b)は上面図である。 実施例1の反射抑止膜を示す模式的な側面図である。 実施例1の反射抑止膜を示す模式的な上面図である。 実施例1の反射抑止膜の製造工程を示す模式図である。 実施例2の反射抑止膜を示す模式的な側面図である。 実施例2の反射抑止膜を示す模式的な上面図である。 実施例2の反射抑止膜の製造工程を示す模式図である。 本発明の反射抑止膜の透過率の周波数特性を示すグラフである。 従来の反射抑止膜の透過率の周波数特性を示すグラフである。 従来の反射抑止膜を示す模式図である。(a)は側面図、(b)は上面図である。
<反射抑止膜>
本発明の反射抑止膜は、その表面に略球状の微小粒子が配置されており、該微小粒子は互いに密着するように配置されている(最密充填されている)のではなく、間隔を開けて配置されていることを特徴としている。
本発明の反射抑止膜を、図1を用いて説明する。本発明の反射抑止膜は、光透過性支持体1の表面に、略球状の微小粒子3および光透過性材料2からなる微小粒子層20によって形成されている。微小粒子3は、光透過性支持体1の表面に略一定の間隔を保った状態で配置されている。ここで、微小粒子3は、完全に一定の間隔を保った状態で配置されている必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲で部分的に間隔が異なること等は許容される。
「略球状の微小粒子」とは、光透過性を有する材料からなる略球状の微小粒子である。また、「略球状の」とは、完全な球状である必要はなく、本発明の効果を損なわない範囲の僅かな変形は許容される。図1に示す微小粒子3は球状のものであるが、それに近い形状であってもよい。該微小粒子は部分的に光透過性材料に埋包された状態で配置されている。
微小粒子3の直径は、が0.2〜0.275μmであり、好ましくは0.225〜0.25μmである。微小粒子の直径は、通常は後述の第2の球状粒子の直径と等しい。
隣り合う略球状の微小粒子3の間隔は、0.025〜0.05μmである。ここで、「隣り合う略球状の微小粒子の間隔」とは、隣り合う微小粒子の中心間を結ぶ直線上における間隙の長さである。すなわち、通常は、後述の第2の球状粒子が第1の球状粒子上に配列された際における隣り合う第2の球状粒子間の間隔に等しい。
微小粒子の材質は後述の第2の球状粒子と同様であり、光透過性支持体の材質や光透過性材料については、後述のとおりである。
<製造方法>
本発明の反射抑止膜の製造方法は、上記光透過性支持体の上に、光透過性を有する複数の第1の球状粒子を、上記光透過性支持体に接し、かつ、隣り合う第1の球状粒子同士が互いに接した状態で固定する第1ステップと、
光透過性を有する複数の第2の球状粒子を、上記第1の球状粒子上に接した状態で配置し、配置された上記第2の球状粒子の上記第1の球状粒子側の一部を光透過性材料中に埋包固定する第2ステップとを備えており、
上記第1の球状粒子の直径と上記第2の球状粒子の直径とが異なることを特徴とする。
この特徴により、第1の球状粒子上に所望の間隙を設けて第2の球状粒子を配置することができ、この第2の球状粒子を部分的に光透過性材料に埋包することで、所望の間隙を設けて微小粒子を配列することができる。
光透過性支持体は、光透過性(通常は透明)や支持体としての機械的強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、石英ガラスシートなどのガラスシートや、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アラミド樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂材料からなるシートなどが挙げられる。光透過性支持体の厚さは、特に限定されないが、通常は3μm〜10mmである。
第1の球状粒子および第2の球状粒子を構成する材料は、光透過性のものであれば特に限定されないが、例えば、シリカ、光透過性樹脂などが挙げられ、好ましくはシリカである。
第1の球状粒子の直径をA、第2の球状粒子の直径をB、隣り合う上記第2の球状粒子同士の間隔をCとした時(図2参照)、
Bは0.2〜0.275μmであり、
Cは0.025〜0.05μmであり、
A=(B+C)/N (ただし、Nは自然数)、かつ、
A>C
であることが好ましい。
すなわち、下層に、第2の球状粒子を配列する際の所望のピッチと同じ、あるいは、その1/n(n≧2かつ整数)の直径(すなわち、B+Cの1/N(Nは自然数)の直径)を有する第1の球状粒子を並べ、次に、その上層に所望の直径の第2の球状粒子を並べる手順で、微小粒子を製造することが好ましい。ここで、ピッチ(P)は、隣り合う第2の球状粒子の中心間の距離であり、間隙と所望の第2の球状粒子の直径(B)とその間隔(C)の和である。ピッチ(P)は、0.225〜0.325μmであることが好ましい。
所望の反射防止膜のBおよびCを上記の範囲に設定し、A=(B+C)/Nとすることで、第2の球状粒子は第1の球状粒子の窪みに位置することを条件に、最も近接するように配置され、所望の間隙Cを設けて第1の球状粒子上に配列される。ただし、A≦Cとなると、Cよりも狭い間隔で第1の球状粒子間の窪みが存在することになり、第1の球状粒子上に配列される第2の球状粒子の間隙は所望のCより狭いものとなってしまうため、A>Cであることが条件となる。
また、AとBの大小関係はA=Bでなければどちらでもよい。A<Bである場合(nを大きく設定し、第1の球状粒子として径の小さいものを選択した場合)は、それだけ反射抑止膜内での光の吸収量が減少する効果がある。但し、径が小さくて粒度分布の少ない粒子は製造が難しく、コストも高くなる傾向にある。A>Bである場合は、径の小さな粒子を準備しなくても作製できるので、コスト的には有利である。
以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、図2、図3に示されるように第1の球状粒子4の直径が第2の球状粒子3よりも大きい場合の実施例である。反射抑止膜の製造工程を、図4を用いて以下に説明する。
<第1ステップ>
石英ガラスからなるガラス基板(光透過性支持体)1上に、低融点の石英ガラスからなる厚さ0.059μmのガラス膜(光透過性材料)2を形成した(図4(a))。そのガラス基板を、直径が0.3μmの光透過性を有する第1の球状粒子4(球状シリカ粒子)を10wt%含んだ分散液(分散媒は水で、pHを8〜10に調整したもの)中に浸漬し、0.5mm/secで引き上げて、ガラス膜2の表面に第1の球状粒子4を析出させ、乾燥することにより第1の球状粒子4を含む単層膜を形成した(図4(b))。
次に、第1の球状粒子4を含む単層膜側が上側となるようにガラス基板を設置し、周囲の温度をガラス膜2の融点以上の温度で上昇させた。なお、この温度は、ガラス基板1の融点よりは低い温度である。この工程で、自重により第1の球状粒子はガラス膜2中に粒子の下半分が部分的に埋包され、ガラス基板1に接した状態となり、かつ、隣り合う第1の球状粒子同士が互いに接した状態(最密充填の状態)となる。その状態で、周囲の温度を降下させることで、第1の球状粒子4はガラス膜2中に粒子の下半分が部分的に埋包された状態で固定される(図4(c))。この状態では、第1の球状粒子4が沈み込んだことにより、ガラス膜2の厚さは0.15μmになっている。なお、第1の球状粒子に対して、その自重ではなく、外部から押圧することで、ガラス膜2中に埋包させてもよい。
<第2ステップ>
次に、ガラス膜2の上に、さらに、ガラス基板1の表面からの厚さ(ガラス膜2およびガラス膜5の合計の厚さの平均値)が0.311μmとなるように、低融点の石英ガラス(光透過性材料)からなるガラス膜5を形成した(図4(d))。この厚さは第1の球状粒子の直径を超えているが、ガラス膜5の表面は平坦ではなく、第1の球状粒子の配列による凹凸を反映した形状となっている。なお、ガラス膜5の融点は、ガラス膜2の融点よりも低い。
図4(d)に示す状態の積層体を、今度は、直径が0.25μmの光透過性を有する第2の球状粒子(球状シリカ粒子)3を10wt%含んだ分散液(分散媒は水で、pHを8〜10に調整したもの)中に浸漬し、0.5mm/secで引き上げて、ガラス膜5の表面上の、第1の球状粒子4の配列を反映して形成された凹部に第2の球状粒子3を析出させ、乾燥することにより第2の球状粒子3をガラス膜5上に仮固定した(図4(e))。
次に、第2の球状粒子3を含む単層膜側が上側となるようにガラス基板1を設置し、周囲の温度をガラス膜5の融点以上の温度まで上昇させた。なお、この温度は、ガラス基板1の融点およびガラス膜2の融点よりは低い温度である。この工程で、自重により第2の球状粒子3が第1の球状粒子4の間のガラス膜5に沈み、第2の球状粒子3はガラス膜5中に粒子の下半分が部分的に埋包される(図4(f))。その結果、第2の球状粒子3は、下層の第1の球状粒子4によって形成された凹凸の凹部に、第1の球状粒子4に完全に接した状態で配置されるので、第2の球状粒子3は0.05μm間隔(0.3μmピッチ)で配列される。なお、上面からみると図3に示すような状態で配列されている。
その状態で、周囲の温度を降下させることで、第2の球状粒子3はガラス膜5中に粒子の下半分が部分的に埋包された状態で固定され、目的の反射抑止膜が得られる。
このように、本実施例によって得られた反射抑止膜は、第2の球状粒子によって形成される表面の略球状の微小粒子が略一定の粒子間隔を保って配置されているため、反射抑止効果と散乱防止効果に優れ、太陽光の透過量を多くすることができる。
(実施例2)
本実施例は、図5、図6に示されるように、第1の球状粒子4の直径が第2の球状粒子3よりも小さい場合の実施例である。本実施例では、第1の球状粒子の直径は0.15μmであり、第2の球状粒子の直径は0.25μmである。反射抑止膜の製造工程は、基本的に実施例1と同様であるが、図7を用いて詳細を説明する。
<第1ステップ>
図7(a)に示す最初にガラス基板1上に形成するガラス膜2の厚さは0.030μmである。実施例1と同様にして、第1の球状粒子4はガラス膜中に粒子の下半分が部分的に埋包された状態で固定される(図7(b)、図7(c))。この状態では、第1の球状粒子4が沈み込んだことにより、ガラス膜2の厚さは0.075μmになっている。
<第2ステップ>
次に、ガラス膜2の上に、さらに、ガラス基板1の表面からの厚さ(ガラス膜2およびガラス膜5の合計の厚さ)が0.203μmとなるように、低融点の石英ガラス(光透過性材料)からなるガラス膜5を形成した(図7(d))。この厚さは第1の球状粒子の直径を超えているが、ガラス膜5の表面は平坦ではなく、第1の球状粒子の配列による凹凸を反映した形状となっている。なお、ガラス膜5の融点は、ガラス膜2の融点よりも低い。
図7(d)に示す状態の積層体を、実施例1と同様に第2の球状粒子3を含んだ分散液に浸漬し、引き上げると、ガラス膜5の表面上の凹部に位置するように第1の球状粒子4が析出する。この積層体を乾燥することにより第2の球状粒子3をガラス膜5上に仮固定した(図7(e))。
次に、実施例1と同様に、周囲の温度をガラス膜5の融点以上の温度まで上昇させることで、第2の球状粒子3はガラス膜5中に粒子の下半分が部分的に埋包された状態となる(図7(f))。その結果、第2の球状粒子3は、下層の第1の球状粒子4によって形成された凹凸の凹部に、第1の球状粒子4に完全に接した状態で配置されるので、第2の球状粒子3は0.05μm間隔(0.3μmピッチ)で配列される。なお、上面からみると図6に示すような状態で配列されている。
本実施例においては、実施例1と同様の効果に加え、反射抑止膜の厚さが、実施例1の場合よりも薄くなるので、反射抑止膜中での太陽光の吸収が減る。
<本発明の反射抑止膜の透過率の周波数特性>
本発明の反射抑止膜について、FDTD法による透過率の周波数特性のシミュレーション計算を行った。シミュレーション計算において、照射される光は、偏波方向が最近接粒子方向あるいは第2近接粒子方向であり、進行方向が光透過性支持体の表面に垂直な方向である直線偏光とし、2つの偏波方向に対する計算結果の平均をその値とした。また、微小粒子の直径は0.20、0.25、0.30μmとし、該微小粒子の下半分が光透過性材料中に埋包されており、隣り合う微小粒子の間隔は0.05μmとした(すなわち、ピッチはそれぞれ0.25、0.30、0.35μmである)。比較として、単層の低反射膜(厚さ0.1μmのMgF2、屈折率n=1.38)についてもシミュレーション計算を実施した。結果を図8に示す。
図8に示されるように、直径が0.20または0.25の微小粒子を0.05μmの間隔で配列した場合は、単層膜の低反射膜よりも可視域付近での透過率が高いことから、全体として太陽光の透過性に優れていると考えられる。微小粒子の直径が0.3μmの場合は、約0.5μm以下の波長の光の透過率が急激に減少するため、全体としての太陽光の透過性は単層膜よりも悪くなってしまうと考えられる。
<従来の反射抑止膜の透過率の周波数特性>
一方、従来の微小粒子が間隔を空けずに敷き詰められた反射抑止膜についても、微小粒子の間隔を0μmとした以外は上記と同様にして、透過率の周波数特性をシミュレーション計算により求めた。結果を図9に示す。
図9に示されるように、微小粒子の直径が0.20、0.25、0.30μmの場合のいずれにおいても、低波長側の透過率が若干高くなるだけなので、全体としては、単層膜の低反射膜よりも太陽光の透過性が悪くなると考えられる。
<太陽光垂直透過率>
図8、図9の結果を定量的に比較するために、下記表1に示す直径を有する微小粒子が同表に示す間隔で配列された反射抑止膜の各々について、太陽光垂直透過率を求めた。まず、図8、図9と同様に、各条件の反射抑止膜の垂直透過率をFDTD法によるシミュレーション計算で求めた。次に、この垂直透過率と、JIS C8911に準拠した太陽光スペクトルとの積を積分し、それを太陽光スペクトルの積分値で割った値を太陽光垂直透過率(%)とした。求めた太陽光垂直透過率の値を表1に示す。
Figure 2012163794
表1に示されるように、微小粒子の直径が0.2〜0.275μmであり、間隔が0.025〜0.05μmの場合において、太陽光垂直透過率が高くなる傾向にあることが分かる。なお、比較として上述の単層の反射抑止膜(厚さ0.1μmのMgF2、屈折率n=1.38)の太陽光垂直透過率は、97.8%であった。したがって、上記の場合の中でも、特に、微小粒子の直径が0.2〜0.25μmであり、間隔が0.025〜0.05μmの場合は、単層の反射抑止膜よりも太陽光垂直透過率が高くなっている。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 光透過性支持体(ガラス基板)、2,5 光透過性材料(ガラス膜)、20 微小粒子層、3 第2の球状粒子、4 第1の球状粒子。

Claims (4)

  1. 光透過性支持体と、表面に略一定の間隔を保った状態で配置された略球状の微小粒子を有する微小粒子層とを備えた反射抑止膜。
  2. 前記略球状の微小粒子の直径が0.2〜0.275μmであり、
    隣り合う前記略球状の微小粒子の間隔が0.025〜0.05μmである、請求項1に記載の反射抑止膜。
  3. 請求項1に記載の反射抑止膜の製造方法であって、
    前記光透過性支持体の上に、光透過性を有する複数の第1の球状粒子を、前記光透過性支持体に接し、かつ、隣り合う第1の球状粒子同士が互いに接した状態で固定する第1ステップと、
    光透過性を有する複数の第2の球状粒子を、前記第1の球状粒子上に接した状態で配置し、配置された前記第2の球状粒子の前記第1の球状粒子側を部分的に光透過性材料中に埋包固定する第2ステップとを備え、
    前記第1の球状粒子の直径は前記第2の球状粒子の直径とは異なる、反射抑止膜の製造方法。
  4. 前記第1の球状粒子の直径をA、前記第2の球状粒子の直径をB、隣り合う前記第2の球状粒子同士の間隔をCとした時、
    Bは0.2〜0.275μmであり、
    Cは0.025〜0.05μmであり、
    A=(B+C)/N (ただし、Nは自然数)、かつ、
    A>C
    である、請求項3に記載の反射抑止膜の製造方法。
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