JP2012163685A - 凸版印刷版の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】凸版印刷版構成体から凸版印刷版を製版する凸版印刷版の製造方法であって、簡便な手法で、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを有する凸版印刷版を製造する方法を提供すること。
【解決手段】(1)紫外線露光製版が可能な樹脂層3にネガ型マスク5を形成する工程、(2)前記ネガ型マスクを有する構成体に酸素遮断性層6を形成する工程、(3)前記樹脂層に前記酸素遮断性層側から紫外線露光する工程、及び、(4)前記樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程を含む、凸版印刷版の製造方法。
【選択図】図4

Description

本発明は、凸版印刷版の製造方法に関する。また、本発明は、積層体に関する。
凸版印刷方式における印刷版としては、ゴムや熱可塑性エラストマーなど常温領域にゴム弾性を有する樹脂製版が一般に用いられ、多くは、その柔軟性を特徴とするフレキソ印刷向けに使用されている。フレキソ印刷方式は、段ボールのような表面粗度が高く剛性の低い材料や、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンなど張力で伸長しやすい薄いフィルム材料へのパターン形成に好適に用いられる印刷方式である。
フレキソ印刷に用いられる樹脂製版には、シート状で感光性の熱可塑性エラストマーからなるものが多く用いられており、また、該樹脂製版は、紫外線などを照射して光硬化させた感光性樹脂を現像処理することにより製版されている。
特許文献1及び2などには、赤外線レーザー光による切除が可能で、かつ感光性樹脂を硬化させる活性光線を遮蔽する性質を有する赤外線感受性層を感光性樹脂表面に直接付与したフレキソCTP印刷版構成体を用いる製版技術が開示され、該技術により凸型レリーフの高精細な再現が得られ、フレキソ印刷は、より高品質な用途に使用されるようになっている。
しかしながら、斯かるフレキソCTP印刷版構成体を用いる技術においては、赤外線感受性層のアブレージョンされた部位の感光性樹脂表層が空気中の酸素の影響により、紫外線露光した際に感光性樹脂が十分に重合しないことが知られている。また、斯かる技術においては、ネガフィルムを通して紫外線露光される感光性樹脂版に比べて網点再現性などが改善される一方、マイクロ文字や極細線の印刷レリーフのエッジ部分が重合不足のため丸みを帯びた形状となる。それにより、これらの部分に印刷インクが多く溜まることで、印刷イメージのハードエッジ再現が強くなり、マイクロ文字などの可読性を損なう欠点があった。
このため近年、これらの欠点を解消するために、新たな技術が提案されている。
例えば、特許文献3には、感光性樹脂層とマスク層を有するCTP構成体より凸型印刷レリーフを形成する工程において、感光性樹脂層とマスク層の界面に酸素遮断性の樹脂層を設ける技術が開示されている。
また、特許文献4には、低酸素濃度に調整されたチャンバ内に感光性樹脂層とマスク層とを有するCTP版構成体を密閉することなど、露光時に感光性樹脂層に対する空気中の酸素の影響を低減し、より紫外線重合度の高い印刷レリーフを得ることができるフレキソCTP印刷版構成体や、その製版方法が開示されている。
特開平8−305030号公報 特開平9−166875号公報 特開2009−058902号公報 特開2010−175964号公報
しかしながら、特許文献3において開示されている技術の実施に当たっては、感光性樹脂層とマスク層の界面に酸素遮断性の樹脂層が存在するため、紫外線露光時に感光性樹脂層に対するマスク精度が低下するといった問題点がある。
また、特許文献4において開示されている製版方法の実施に当たっても、露光雰囲気を密閉系に変更する必要があり、装置が煩雑にあるといった問題があった。
本発明が解決しようとする課題は、既存の凸版印刷版構成体および製版設備を変更する必要なく利用可能な製版方法であって、簡便な手法で、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを有する凸版印刷版を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは凸版印刷版の製造方法において、紫外線露光して樹脂層に印刷レリーフを形成させる工程において、事前に酸素遮断性層を設けることで、スリーブ形状で紫外線露光するスリーブ版を含め、樹脂層に対する空気中の酸素の影響を十分低減し、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを得ることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は以下の通りである。
1.
(1)紫外線露光製版が可能な樹脂層にネガ型マスクを形成する工程、
(2)前記ネガ型マスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する工程、
(3)前記樹脂層に前記酸素遮断性層側から紫外線露光する工程、及び、
(4)前記樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程を含む、凸版印刷版の製造方法。
2.
前記ネガ型マスクを形成する工程が、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して、ネガ型マスクとなるアブレージョンマスクを形成するか、又は、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成して、ネガ型マスクを形成する工程、である、1.記載の凸版印刷版の製造方法。
3.
前記酸素遮断性層が高分子膜である、1.又は2.に記載の凸版印刷版の製造方法。
4.
前記酸素遮断性層の酸素透過度が20cc/m2・24hr・atm以下である、1.〜3.のいずれかに記載の凸版印刷版の製造方法。
5.
工程(4)の前に、
(5)前記酸素遮断性層を除去する工程をさらに含む、1.〜4.のいずれかに記載の凸版印刷版の製造方法。
6.
工程(5)において、前記酸素遮断性層を剥離することにより除去する、5.に記載の凸版印刷版の製造方法。
7.
工程(4)において、前記樹脂層の現像と同時に前記酸素遮断性層を除去する、1.〜4.のいずれかに記載の凸版印刷版の製造方法。
8.
(6)凸版印刷版構成体をコアスリーブに巻き付ける工程をさらに含む、1.〜7.のいずれかに記載の凸版印刷版の製造方法。
9.
ネガ型マスクを有する構成体と、
前記構成体に積層される酸素遮断性層と、を備え、
前記ネガ型マスクが、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して形成されるか、又は、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成されたものである積層体。
10.
前記樹脂層に前記酸素遮断性層が積層される、9.に記載の積層体。
11.
前記ネガ型マスクに前記酸素遮断性層が積層される、9.又は10.に記載の積層体。
12.
前記酸素遮断性層が高分子膜である、9.〜11.のいずれかに記載の積層体。
13.
前記酸素遮断性層が水溶性高分子により形成される、9.〜12.のいずれかに記載の積層体。
本発明により、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを有する凸版印刷版を製造する方法を提供することができる。
凸版印刷版構成体1の断面図の模式図を示す。 凸版印刷版構成体1に赤外線露光する態様の模式図を示す。 ネガ型マスク5を有する構成体の模式図を示す。 ネガ型マスク5を有する構成体に酸素遮断性層6が積層された積層体の模式図を示す。 ネガ型マスク5を有する構成体に酸素遮断性層6が積層された積層体の模式図を示す。 ネガ型マスク5を有する構成体に酸素遮断性層6が積層された積層体の模式図を示す。 ネガ型マスク5を有する構成体に酸素遮断性層6が積層された積層体の模式図を示す。 樹脂層に前記酸素遮断性層側から紫外線露光する態様の模式図を示す。版面側から紫外線露光し、支持体側からバック露光する。 紫外線露光による露光部7と未露光部8の模式図を示す。 酸素遮断性層6、ネガ型マスク5、及び未露光部8を現像する態様の模式図を示す。 酸素遮断性層6を剥離する態様の模式図を示す。 従来技術における紫外線露光する態様の模式図を示す。版面側から紫外線露光し、支持体側からバック露光する。 従来技術における紫外線露光による露光部7と未露光部8の模式図を示す。 従来技術におけるネガ型マスク5、及び未露光部8を現像する態様の模式図を示す。 実施例及び比較例の凸版印刷版の模式図を示す。
以下、本発明について、好ましい実施態様を中心に、詳細に説明する。
本実施形態の凸版印刷版の製造方法は、
(1)紫外線露光製版が可能な樹脂層にネガ型マスクを形成する工程、
(2)前記ネガ型マスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する工程、
(3)前記樹脂層に前記酸素遮断性層側から紫外線露光する工程、及び、
(4)前記樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程を含む、凸版印刷版の製造方法である。
本実施形態に用いられる凸版印刷版構成体について説明する。
凸版印刷版構成体は、少なくとも紫外線露光製版が可能な樹脂層表面に紫外線遮断性物質からなるネガ型マスクを積層した構成体である。
より好ましくは、凸版印刷版構成体は、紫外線露光製版が可能な樹脂層と、該樹脂層に積層される赤外線感受性層と、を少なくとも備える積層体である。
<紫外線露光製版が可能な樹脂層>
紫外線露光製版が可能な樹脂層は、バインダーポリマー、エチレン性不飽和モノマー、及び光開始剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて形成される。感光性樹脂組成物は、必要に応じて可塑剤、熱重合安定剤、増感剤、及び着色剤などの添加剤を含んでいてもよい。
本実施形態で用いられるバインダーポリマーは、単一の重合体、共重合体、又はそれらの混合物であって、かつ水性現像液又は有機溶剤の現像液に可溶であるか、膨潤又は分散することにより、洗浄除去可能なポリマーである。バインダーポリマーとしては、好ましくはエラストマー性を有するポリマーである。
バインダーポリマーとしては、例えば、ポリジオレフィン、例えば、ポリブタジエンや、ポリイソプレン、ビニル芳香族化合物/ジオレフィン共重合体、例えば、スチレン/ブタジエン共重合体や、スチレン/イソプレン共重合体、ジオレフィン/アクリロニトリル共重合体、エチレン/プロピレン共重合体、エチレン/プロピレン/ジオレフィン共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ジオレフィン/(メタ)アクリル酸共重合体、ジオレフィン/(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸/(メタ)アクリレート共重合体、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコール共重合体、両性インターポリマー、セルロース類、例えば、アルキルセルロースや、ヒドロキシアルキルセルロースや、セルロースアセテートブチレートや、ニトロセルロース、エチレン/ビニルアセテート共重合体、ポリブチラール、環状ゴム、スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/ビニルアセテート共重合体などが挙げられる。共重合体は、ブロック共重合体であってもよく、グラフト共重合体であってもよい。
本実施形態において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸とメタアクリル酸を意味し、(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタアクリレートを意味する。
バインダーポリマーとしては、好ましくはビニル芳香族化合物/ジオレフィン共重合体である。
モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーとしては、例えば、スチレン、α―メチルスチレン、p−メトキシスチレンなどが挙げられる。
共役ジエンモノマーとしては、例えば、ブタジエン、イソプレンなどが挙げられる。
当該熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン/ブタジエンブロック共重合体や、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体などが挙げられる。
本実施形態において用いられるエチレン性不飽和モノマーは、分子内に不飽和エチレン構造を有するモノマーであって、かつバインダーポリマーと相溶性のあるモノマーである。
エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、t−ブチルアルコール又はラウリルアルコール等のモノアルコールやヘキサンジオール等の多価アルコールとの(メタ)アクリル酸エステル;ラウリルマレイミド及びシクロヘキシルマレイミド等のマレイミド誘導体;ジオクチルフマレート等のアルコールとフマル酸のエステルなどが挙げられる。
エチレン性不飽和モノマーは、感光性樹脂組成物に、1種類以上含むことが好適である。
エチレン性不飽和モノマーの含有量は、紫外線露光された樹脂層の耐摩耗性や耐薬品性の観点から、感光性樹脂組成物中のバインダーポリマー100質量部に対して、好ましくは5〜30質量部の範囲であり、より好ましくは10〜20質量部の範囲である。
本実施形態において用いられる光開始剤は、紫外線に感応する光開始剤として公知の化合物である。
光開始剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、例えば、ベンゾフェノン等の芳香族ケトン類、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、α−メチロールベンゾインメチルエーテル、α−メトキシベンゾインメチルエーテル、及び2,2−ジエトキシフェニルアセトフェノン等のベンゾインエーテル類などが挙げられる。
光開始剤の含有量は、凸版印刷版の感度及び解像度の観点から、感光性樹脂組成物の全質量に対して、好ましくは0.001〜10質量%の範囲である。
本実施形態において用いられる可塑剤は、バインダーポリマーに可塑性を与え、感光性樹脂組成物中の他の成分の分散性を改善するとともに成型時の流動性や皮膜形成特性を調節するために用いられる任意の成分である。
可塑剤としては、例えば、ナフテン酸及びパラフィン油等の脂肪族炭化水素油、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、ポリテルペン樹脂などが挙げられる。
感光性樹脂組成物に含まれる成分である、バインダーポリマー、エチレン性不飽和モノマー、光開始剤、必要に応じて加えられる添加剤は、それぞれ、単独で用いてもよく、それぞれ複数種を用いてもよい。
紫外線露光製版が可能な樹脂層(以下、単に「樹脂層」と記載する場合がある。)は、感光性樹脂組成物を、例えば、クロロホルム、テトラクロルエチレン、メチルエチルケトン、トルエンなどの適当な溶媒に溶解又は分散させ、得られた溶液を型枠の中に流し込んだ後、溶媒を蒸発させて得ることができ、また、支持体上にシート状の樹脂層として形成することができる。
樹脂層としては、溶剤を用いずに、ニーダー又はロールミルで感光性樹脂組成物を混練し、押し出し機、射出成型機、プレスなどにより所望の厚さのシートに成型して得てもよい。
樹脂層の支持体としては、用いる印刷条件に必要とされる機械的強度などの物理性能を満たす、通常の凸版印刷版に用いられる公知の金属、プラスチック、紙及びこれらの複合化されたシート状又はフィルム状あるいはスリーブ状のすべての支持体を用いることができる。
支持体としては、例えば、付加重合ポリマー及び線状縮合ポリマーにより形成されるポリマー性フィルム、透明なフォーム、ガラス繊維織物等の織物、不織布、スチール、鉄、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、銅、真鍮、及びステンレス等の金属などが挙げられる。
支持体はバック露光が容易なように紫外線に対して透明であることが好ましく、スリーブ状の支持体は、印刷シリンダへの装着の面から、圧縮空気圧でスリーブ内径が膨張拡大でき、当該圧縮空気が開放されると元の内径に戻るような特性を有していることが望ましい。
フィルム状又はシート状の支持体としては、具体的には、ポリエチレンテレフタラート(PET)、ナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アクリル樹脂、又はポリエステルなどをフィルム状又はシート状に成形したものが挙げられ、好ましくはポリエチレンテレフタラートフィルムである。
支持体の厚さは、好ましくは50〜300μmの範囲であり、より好ましくは75〜200μmの範囲である。
スリーブ状の支持体としては、ニッケルなどからなる薄い金属基材や、少なくとも1つの繊維強化プラスチック基材を使用することができる。これらの厚みは薄いものでは0.1mmから、厚いものでは5mm以上のものが用いられるが、特に5mm以上のものに対しては、軽量化の面から、その内部にポリエチレンやポリウレタンなどの発泡体層を設け、その表面層を硬質のポリウレタンやポリエチレン基材でコーティングした多層構造を有するものを用いることができる。
支持体と樹脂層との間に、必要に応じて、例えば、ポリカーボネートと、フェノキシ樹脂と、多価イソシアネートの混合物からなる粘着促進層を有していてもよい。
前記ネガ型マスクを形成する工程としては、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して、ネガ型マスクとなるアブレージョンマスクを形成するか、又は、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成して、ネガ型マスクを形成する工程、がある。
まず、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して、ネガ型マスクとなるアブレージョンマスクを形成する方法について説明する。
赤外線感受性層は、赤外線によりアブレージョン可能であり、かつ紫外線に対して実質的に不透明な樹脂層である。
赤外線感受性層は、バインダーポリマー、赤外線吸収性物質、及び紫外線遮蔽性物質を含む赤外線感受性組成物を用いて形成される。
赤外線感受性組成物に用いられるバインダーポリマーとしては、例えば、ポリアミド、ポリビニルアルコール、両性インターポリマー、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロース、及びニトロセルロース等のセルロース類、エチレン/ビニルアセテート共重合体、ポリブチラール、環状ゴム、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/イソプレン共重合体等のビニル芳香族化合物/ジオレフィン共重合体などが挙げられる。
バインダーポリマーの含有量は、赤外線感受性組成物の全質量に対して、好ましくは20〜90質量%の範囲である。
赤外線感受性組成物に用いられる赤外線吸収性物質は、750〜2000nmの範囲で強い吸収を持つ物質である。
赤外線吸収物質としては、例えば、カーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、及び酸化クロム等の無機顔料、ポリフタロシアニン化合物、シアニン色素、クロコニウム色素、及び金属チオレート色素等の色素類などが挙げられる。
赤外線吸収性物質は、使用する赤外線レーザー光線で切除可能な感度を付与する範囲で添加される。赤外線吸収性物質の含有量は、赤外線感受性組成物の全質量に対して、好ましくは10〜80質量%の範囲である。
赤外線感受性組成物に用いられる紫外線遮蔽性物質は、紫外線を反射又は吸収する物質である。
紫外線遮蔽性物質としては、例えば、紫外線吸収剤、カーボンブラック、グラファイトなどが挙げられる。
紫外線遮蔽性物質の含有量は、所望の紫外線透過率が達成できるように添加量を設定する。一般的には、赤外線感受性層となった場合の紫外線透過率が1%以下、好ましくは0.1%以上となるように添加される。赤外線吸収性物質と紫外線遮蔽性物質との双方に該当する物質として、カーボンブラックやグラファイトを用いてもよい。
紫外線透過率の測定方法については後述する。
赤外線感受性組成物に含まれる成分である、バインダーポリマー、赤外線吸収性物質、紫外線遮蔽性物質は、それぞれ、単独で用いてもよく、それぞれ複数種を用いてもよい。また、赤外線吸収性物質と、紫外線遮蔽性物質が同一である場合には、赤外線吸収性物質を所定量含むことで、紫外線遮蔽性物質として求められる性質も、赤外線感受性層において発揮される。
赤外線感受性層は、赤外線感受性組成物を、適切な溶剤や水に均一に溶解又は分散させて赤外線感受性塗工液とし、これを層状に塗工して得ることができる。
赤外線感受性塗工液は、バインダーポリマー、赤外線吸収性物質、及び紫外線遮蔽性物質に溶剤を加え、撹拌羽根による強制撹拌、ボールミルを用いた撹拌、超音波を利用した撹拌、又はそれらを併用して赤外線感受性塗工液を調製することができる。バインダーポリマー、赤外線吸収性物質、及び紫外線遮蔽性物質を、溶剤を用いずに押し出し機やニーダーを用いて予備混練してから、溶剤に溶解して赤外線感受性塗工液を調製することができる。
赤外線感受性塗工液には、添加剤として界面活性剤、消泡剤などを添加してもよい。
続いて、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成して、ネガ型マスクを形成する工程(以下、「インクジェット法」)について説明する。
インクジェット法に用いる紫外線遮断性のインクとしては、紫外線を吸収又は反射する紫外線遮蔽性物質を溶媒に溶解または分散した油性または水性インクを用いることができる。
紫外線遮蔽性物質としては、カーボンブラック、グラファイト、亜クロム酸銅、酸化クロームおよびアルミン酸クロム−コバルトのような無機顔料、シアニン色素、スクアリーリウム色素、カルコゲノピリロアリーリデン色素、ビス(カルコゲノピリロ)−ポリメチン色素、オキシインドリジン色素、ビス(アミノアリール)−ポリメチン色素、メロシアニン色素、クロコニウム色素、金属チオレート色素およびキノイド色素などを挙げることができる。
油性インクの溶媒としては、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、または芳香族炭化水素、およびこれらの炭化水素のハロゲン置換体がある。例えばヘキサン、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、デカン、イソデカン、デカリン、ノナン、ドデカン、イソドデカン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロデカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、シリコンオイル等を単独あるいは混合して用いられる。
水性インクの溶媒としては、水および水と水溶性有機溶剤の混合溶媒が用いられる。水としては、イオン交換水、蒸留水などを使用するのが好ましい。また、溶解または分散させる材料により中性、アルカリ性、酸性で使用される。また、水性混合溶媒に使用される水溶性有機溶剤としては、従来公知の水溶性有機溶剤、例えばアルコール類、グリコール類、グリセリン、エーテル、多価アルコールなどが挙げられる。
紫外線遮蔽性物質の含有量は、所要の光学的濃度に達するように設定される。一般的には、得られるネガ型マスクの紫外線透過率が1%以下、好ましくは0.1%以下となるように添加される。
特に限定して解釈されるものではないが、図面を例示して説明すると、
図1は、樹脂層3に積層された赤外線感受性層2を形成することにより得られる凸版印刷版構成体1の断面図の模式図(部分)を示す(以下、図1〜図14において同様である。)。図1に示す、凸版印刷版構成体1は、支持体4に積層されている。
樹脂層に積層された赤外線感受性層を形成するための方法としては、例えば、赤外線感受性塗工液をリングコーター、スプレーコーターなどによって樹脂層の表面に直接塗工する方法、ポリエステルやポリプロピレンなどのフィルムに塗工した後、樹脂層の表面にラミネートして転写する方法などが挙げられる。
樹脂層が予めスリーブ状に加工されたものである場合には、樹脂層に直接塗工する方法が好適である。
赤外線感受性層の厚みは、赤外線レーザーによる切除の感度と紫外線の遮蔽効果を考慮して決定されるが、好ましくは0.1〜20g/m2の範囲であり、より好ましくは1〜5g/m2の範囲である。
凸版印刷版構成体は、スリーブ状又はシート状であってもよく、スリーブ状の凸版印刷版構成体である場合には、スリーブ状の樹脂層に、赤外線感受性層を積層してもよく、シート状の凸版印刷版構成体としてから、スリーブ状にしてもよい。
本実施形態に用いられるコアスリーブは、中空円筒状の基材であって、好ましくは、圧縮空気圧でスリーブ内径が膨張拡大でき、圧縮空気圧が開放されると元の内径に戻るような特性を有している。コアスリーブとしては、具体的には、6バール程度の圧縮空気圧を印刷機のエアシリンダなどからコアスリーブ内面に供給することでスリーブ内径を膨張拡大し、シリンダ上をスライドさせ、圧縮空気圧を開放するとコアスリーブが元の内径に戻ってシリンダ上に固定される。
コアスリーブの厚みは、薄いものでは0.1mm以上であり、厚いものでは5mm以上である。
コアスリーブと樹脂層との間に、クッション層を有することが、マイクロ文字や極細線などの印刷再現性及び版面再現性の観点から好ましい。また、クッション層と樹脂層の間に接着層を有してもよい。
コアスリーブの表面に形成されるクッション層は、例えば、ウレタン樹脂、オレフィン樹脂、エチレン、プロピレンゴムなどの連続または単独の微細な気泡を有する弾性発泡体からなり、好ましくは、接着層を介してコアスリーブ表面に均一な厚みで形成される。
クッション層の厚みや硬度は印刷レリーフを形成する樹脂層の材質特性、印刷品質、印刷時の胴径調整などの目的によって必要に応じて選択される。一般的には、厚みは0.3mmから1mm程度であることが好ましく、密度は0.1〜0.6g/cm3の範囲であることが好ましく、ショアA硬度は10〜60度の範囲であることが好ましい。印刷シリンダに凸版印刷版を貼り込む際に使われるクッション材の両面に粘着剤が設けられたクッションテープなどが好適に使用できる。
クッション層の密度やショアA硬度は、公知の方法により測定することができる。
本実施形態においては、紫外線遮蔽性に優れた赤外線感受性層を有するフレキソ印刷版構成体を、アブレージョンマスクを形成する工程の前に、コアスリーブに巻きつけてもよい。具体的な方法としては、コアスリーブに両面粘着テープなどで貼り付けル方法や、シート状の樹脂層をコアスリーブに巻きつけ、樹脂層の端部を軟化点以上に加熱して融着させ、研削装置でつなぎ目なく研削成形して、スリーブ状の樹脂層とした後、その外周面に赤外線感受性塗工液を円周方向につなぎ目なく塗工する方法などが挙げられる。マイクロ文字や極細線再現の安定性の観点から後者の方法が好ましい。
赤外線感受性層を赤外線露光してアブレージョンマスクを形成する工程は、赤外線感受性層に、公知のレーザー描画装置、これにより微小なスポットレーザ光を用いて凸版印刷版用のネガ型マスクを作ることができる、を用いて、レイアウトされた印刷画像様にレーザー描画することによって行われる。レーザー照射された赤外線感受性層は焼き飛ばされて当該部の樹脂層が露出するため、残存する赤外線感受性層をネガ型マスクとして形成させることができる。
レーザー描画装置としては、特開平08−300600号公報に開示されているような長手方向軸線を有する回転可能な円筒面に凸版印刷版構成体をバキューム等によって取り付け、円筒面を回転させながら赤外線感受性層に対してレーザースポットを相対移動させながらレーザー描画するものを挙げることができる。赤外線レーザーの発生ユニットは、駆動系ユニットと共にコンピューターで制御されており、赤外線感受性層を選択的に切除していくことにより、デジタル化された画像情報をアブレージョンマスクとして付与することができる。
このレーザー描画工程で使用される赤外線レーザーとしては、波長が750〜2000nmのものを用いることができる。このタイプの赤外線レーザーとしては750〜880nmの半導体レーザーや1064nmのNd―YAGレーザーなどが一般的である。
該工程により、樹脂層に積層される赤外線感受性層に、画像情報が付与されたアブレージョンマスクが形成され、アブレージョンマスクを有する構成体が製造される。
特に限定して解釈されるものではないが、図面を例示して説明すると、図2は、樹脂層3に赤外線感受性層2が積層された凸版印刷版構成体1に赤外線露光する態様の模式図を示す。図3は、樹脂層3に積層された赤外線感受性層に、アブレージョンマスクが形成された構成体を示す。
図3はまた、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層してネガ型マスクが形成された構成体を示す。
<アブレージョンマスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する工程>
酸素遮断性層に要求される酸素遮断性とは、図8に示すネガ型マスクを積層した凸版印刷版構成体に紫外線露光する工程において、露光雰囲気面に露出している樹脂層部位と露光雰囲気中に存在する酸素との物理的な接触を遮断する特性を指し、酸素遮断性層には紫外線露光の間、露出する樹脂の表面を一定時間物理的に覆う特性、即ち樹脂層より低い表面張力、形成した層内が紫外線を通過させやすい特性、即ち高い紫外線透過率、層内が酸素を通過させにくい特性、即ち低い酸素透過度または低い溶存酸素量である必要がある。
酸素遮断性層の形成方法としては、PVAやナイロン、ポリエチレンテレフタレートなど表面張力が低く、酸素透過度の低い結晶構造を有する透明なフィルム状材料を樹脂部にラミネートして形成する方法、これらの高分子結晶構造を形成する高分子材料を溶解させたコーティング液を樹脂層に塗布し、乾燥させることによって高分子膜を樹脂層表面に形成させる方法、溶存酸素を除いた脱酸素水等に紫外線透過性の高分子材料や界面活性剤、湿潤剤等を溶解させて低表面張力としたコーティング剤をコーティングする方法などを挙げることができる。露出する樹脂層に密着して、樹脂層の表面を一定時間物理的に覆うことは、本発明の好ましい実施形態であるため、樹脂層との密着性の観点から、コーティングによって形成させる方法が好ましい。
酸素遮断性層の表面張力は、凸版印刷版構成体の樹脂層の表面より低いことが好ましく、その表面張力は50dyne/cm以下、より好ましくは40dyne/cm以下である。フィルム等の固体の表面張力は濡れ張力試験法(JIS K6768)に規定されているように、濡れ張力試験用指示薬が撥水することなく表面に濡れる試験用混合液の濡れ性指数として容易に求めることができる。また液体の表面張力は、懸滴法(ペンダント・ドロップ法)など鉛直方向に向けた細管の先端から液体を押し出し、細管の先端にぶら下がった液滴の形状の解析によって求めることができる。
酸素遮断性層の紫外線透過性は、紫外線露光の際の感度の観点から、好ましくは70%以上であり、より好ましくは90%以上である。紫外線透過率は透過濃度計などを用いてUVフィルタの透過率として測定することができる。
酸素遮断性層の酸素透過度は、乾燥膜として形成させた状態で、好ましくは20cc/m2,24hr・atm以下であり、より好ましくは10cc/m2,24hr・atm以下、5cc/m2,24hr・atm以下、1cc/m2,24hr・atm以下である。また液状として形成させた場合には、その液の20℃、1気圧における溶存酸素量が10mg/L以下、好ましく5mg/L以下である。酸素透過度は、JISK7126B(同圧法)などにより測定することができる。また、液体の溶存酸素量は隔膜電極法などを用いて測定することができる。
写真やポスターのUVカットフィルムのラミネートなどに用いられているロール式ラミネート加工のように、フィルムと被ラミネート対象物を金属ロール等で加圧しながらラミネートする方法を挙げることができる。
低溶存酸素量のコーティング剤のコーティング、コーティング液のコーティングと乾燥によって酸素遮断性層を形成する場合の高分子材料は、有機溶剤溶解性の材料であって良いが、溶媒の難酸素溶解性および接触する溶媒の樹脂層や赤外線遮断層へ影響の観点から、水溶液として利用できる水溶解性にも優れた材料がより好ましい。
特に限定して解釈されるものではないが、図面を例示して説明すると、図4〜図7は、ネガ型マスク5を有する構成体に酸素遮断性層6が積層された積層体の模式図を示す。
酸素遮断性層の態様としては、特に限定されるものではないが、例えば、図4〜図7に酸素遮断性層6として例示するような態様が挙げられる。
本実施形態において、特に限定されるものではないが、アブレージョンマスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する工程により、樹脂層に対する空気中の酸素の影響を低減でき、紫外線重合度の高い印刷レリーフを有する凸版印刷版を得ることができる。
水溶解性の高い高分子としては、例えば、アラビアゴム、デンプン、及びゼラチン等の天然由来の高分子、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びメチルセルロース(MC)等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコール(PVA)等のビニル樹脂、(メタ)アクリル酸重合体、ポリアクリルアミド(PAM))、ポリエチレンオキシド(PEO)等の合成由来の高分子などが挙げられる。
水溶解性の高い高分子としては、現像の観点から、好ましくはポリビニルアルコールである。
水溶解性の高い高分子を溶解させる溶媒としては、水が挙げられるが、より好ましくは脱酸素化した水であり、溶液の保存性安定性やコーティング性などの観点から、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類などの水溶性有機溶媒との混合溶媒であってもよい。
また、コーティング液には、水酸化ナトリウム及び炭酸カルシウム等のアルカリ、シリコンオイル及びグリセリン等の改質剤などを添加してもよい。
ネガ型マスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する方法としては、スプレー方式、バーコーター方式、ロールコーター方式、リングコーター方式、ガムコーター方式、インクジェット方式などが挙げられる。
スプレー方式としては、エアゾールに代表されるような、缶などの容器に液化ガスとともに封入した液状や微粉末の薬品などを、ガスの圧力で霧状に吹き出させて、被塗工媒体に塗りつける方式、主にペンキ・ラッカーなどの塗装用途に用いられるピストルのような形状の吹き付け塗装用器具を用いて、圧縮空気を使って加圧した薬品などを噴霧して被塗工媒体に塗りつける方式などが挙げられる。
軟質で、かつ傷つきやすい表面を有するに直接又は間接的にも触れないで塗工する方法として、スプレーコーター方式を用いてもよい。
バーコーター方式としては、被塗工媒体上に薬品を帯状に広げ、その上からワイヤー状やブレード状の金属製のコーティングロッドを手前に均等な速さで引くことで塗りつけるような一般的な方式のほか、コーティング液にディッピングし、液面に対して、同様に均等な速さで引き上げることで塗りつける方式なども挙げられる。
ロールコーター方式は、LSコーター(商品名:シンクラボラトリー社)などを用いて高分子水溶液を塗工する方式である。
LSコーターにおいては、塗工面に対し直交する位置に小径の発泡ポリウレタンローラーが自転可能に配置され、スリーブ状のアブレージョンマスクを有する構成体を回転させながら、塗工面に接触又は非接触下、コーティング液を小径のコーティングローラーを回転させながら構成体表面を移動し、螺旋状に塗工する方法である。
ロールコーター方式としては、具体的には、特開2002−28548号公報に開示される方法などが挙げられる。
リングコーター方式は、垂直に置かれたスリーブ状のネガ型マスクを有する構成体に、リング状にくり抜いた軟質のスケージゴムをセットしたリング状の塗工容器を取り付け、構成体表面に嵌め合わされたスケージゴムとの間に作られた空間にコーティング液を満たした後、塗工容器をスケージゴムと一緒に引き下ろすことで構成体表面にコーティング液を膜状に塗工する方法である。塗工した後、乾燥することによっても酸素遮断性層を形成することができる。
ガムコーター方式は、シート状のアブレージョンマスクを有する構成体に、ノズル部よりコーティング液を噴霧した後、上下の軟質製のゴムロールの間隙部を通すことで、塗工量を一定量とする方法である。
ガムコーター方式に用いられる市販の塗工装置には、熱風ヒーターによる乾燥機を備える装置があり、本実施形態において乾燥機を備える装置は好適に用いられる。
インクジェット方式としては、被塗工媒体に対してインクやジェル状の薬液を微滴化して直接に吹き付けるインキングヘッドが、平面上にバキューム等で固定された被塗工媒体上を入力された位置データをもとに移動しながら、または固定されたインクングヘッドの下を被塗工媒体が移動しながら塗りつける方式が挙げられる。この方式では、アブレージョンマスクデータをもとにアブレージョンされたマスク部分のみを選択的に塗工することができる(図7態様)。
高分子及び溶媒を含むコーティング組成物をコーティング後に乾燥させる工程においては、例えば、熱風ヒーターやブローヒーターなどから100℃〜140℃の熱風をコーティングした表面に直接的に吹き付けたり、炉内が連続的に換気されている50℃〜60℃の乾燥炉中にコーティングされた構成体全体を5〜15分間投入することで乾燥させることができる。
酸素遮断性層の厚みは、紫外線露光後に樹脂表面から剥離除去する観点から、好ましくは10μm以下であり、より好ましくは3〜6μmの範囲である。
酸素遮断性層の厚みは、コーティング液の塗工量を調整することにより制御することができる。
酸素遮断性層の酸素透過度は、乾燥膜となった状態で、好ましくは20cc/m2,24hr・atm以下であり、より好ましくは10cc/m2,24hr・atm以下、5cc/m2,24hr・atm以下、1cc/m2,24hr・atm以下である。
また、更なる印刷再現性の観点から、0.1cc/m2,24hr・atm以上であることが好ましい。
酸素遮断性層の酸素透過度の測定方法については後述する。
酸素遮断性層の紫外線透過率は、紫外線露光の際の感度の観点から、好ましくは70%以上であり、より好ましくは90%以上である。
酸素遮断性層の紫外線透過率は、PETフィルム上に30g/m2でコーティング液を塗工・乾燥させたものをサンプルとして、透過濃度計(GRETAG D200−II(商品名)/グレタグマクベス社)を用いてUV373フィルタの透過率として測定し、同様に測定された無垢PETの紫外線透過率との差異として算出することができる。
ネガ型マスクを有する構成体に、酸素遮断性層を形成することにより、該構成体と、酸素遮断性層を備える積層体が得られる。
積層体としては、特に限定されるものではないが、図面を例示して説明すると、樹脂層上に酸素遮断性層が積層される積層体としては、図7に示すような態様が挙げられ、樹脂層上とネガ型マスク上の双方に酸素遮断性層が積層される積層体としては、図4に示すような態様が挙げられ、ネガ型マスク上に酸素遮断性層が積層される積層体としては、図5又は図6に示すような態様が挙げられる。
図5及び図6に示される態様においては、酸素遮断性層は、ネガ型マスク上に形成されるものの、樹脂層上には形成されず、ネガ型マスク5、樹脂層3、酸素遮断性層6によって画定される空間には空気が残存することになる。本実施形態の製造方法によれば、図5及び図6に示される態様においても、樹脂層上方に酸素遮断性層が形成されているため、樹脂層に対する空気中の酸素の影響を十分低減し、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを得ることができる。
<樹脂層に酸素遮断性層側から紫外線露光する工程>
続いて、樹脂層を紫外線露光により光硬化させるために、酸素遮断性層側から、樹脂層への紫外線露光(以下、「露光工程」という)を行う。紫外線露光する際に用いられる紫外線は、赤外線や、アルゴンレーザー光及びYAG第2次高調波レーザー光付近の可視領域の光より波長が短い電磁波である。
紫外線としては、好ましくはアルゴンレーザー光の波長488nmよりも短波長域の可視光線と紫外線領域の電磁波であり、より好ましくは300〜450nmの範囲に波長ピークを持つ電磁波であり、さらに好ましくは350〜400nmの範囲に波長ピークを持つ電磁波である。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、及びキセノンランプなどが挙げられる。
次の現像工程における現像時の未硬化部の洗い出しに対して、露光された印刷レリーフの安定性をより向上させるために、支持体の側からも上記と同様の条件で全面露光(以下、「バック露光」ともいう)を行ってもよい。このバック露光は、ネガ型マスクを形成する工程の前の工程から、現像工程までの間のいずれの工程において行ってもよい。
<樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程>
樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程は、樹脂層の未露光部を現像して除去することにより印刷レリーフを形成する工程である。
現像して除去する際には、樹脂層を現像液に浸漬、現像液のノズルからの噴射、現像液を用いてブラシによるブラッシングなどの方法を用いることができる。
現像処理で用いられる現像液としては、樹脂層を可溶であるか、膨潤又は分散する性質を有するものであれば特に限定されないが、例えば、水性現像液又は有機溶剤の現像液が挙げられる。
水性現像液としては、水、水性溶液、半水性溶液のいずれであってもよく、現像液の選択は、除去されるべき樹脂の化学的性質に依存する。
半水性現像液としては、水に混和し得る有機溶媒又はアルカリを含有する水溶液である。
該有機溶媒としては、例えば、ヘプチルアセテート及び3−メトキシブチルアセテート等のエステル類、石油留分、トルエン及びデカリン等の炭化水素類、テトラクロルエチレン等のハロゲン化炭化水素、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等のアミン類などが挙げられ、アルカリとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、及びアンモニアなどが挙げられる。
半水性溶液には、プロパノール、ブタノール、ペンタノール等のアルコール類を混合したものを用いてもよい。
有機溶媒の現像液としては、例えば、芳香族炭化水素、脂肪族炭化水素、又はそれらのハロゲン化された炭化水素などが挙げられ、該炭化水素と適当なアルコールとの混合物を用いることもできる。
樹脂層を現像して、未露光部を除去する際には、ネガ型マスクを同時に除去してもよく、現像処理を行う前に、酸素遮断性層を除去してから現像を行ってもよく、及び酸素遮断性層、アブレージョンマスク、樹脂層の未露光部を同時に除去してもよい。また、酸素遮断性層、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部に対して溶解性を有する別々の現像液を用いて現像して順次除去することもできる。酸素遮断性層、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部は、一度に現像することが工程上好ましい。
現像して印刷レリーフを形成した後、リンス洗浄を行い、乾燥後に後処理露光を行って、凸版印刷版とすることができる。
酸素遮断性層は、現像を行う際に除去してもよく、現像を行う前に、例えば、剥離することにより除去してもよい。
特に限定されるものではないが、図面を例示して説明すると、図10に示すように、酸素遮断性層、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部を同時に除去してもよく、図11に示すように、酸素遮断性層を除去してから、現像して、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部を除去してもよい。
なお、図10及び図11は、一態様として、図4に示される酸素遮断性層を有する構成体についての例示であり、その他の例示である図5〜図7に示される酸素遮断性層を有する構成体においても同様に、酸素遮断性層、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部を同時に除去したり、酸素遮断性層を除去してから、ネガ型マスク、樹脂層の未露光部を除去してもよい。
また、現像後に、印刷レリーフに対して後処理露光を実施してもよい。後処理露光の方法としては、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光などの活性光線源により処理する方法が挙げられる。後露光方法としては、例えば印刷レリーフの凹凸形状を持つ表面側を大気中で露光したり、水などの液体中で露光する方法等が挙げられ、版面汚れ持続性の点から、大気中で露光する方法が好ましい。露光の際の強度は特に制限はないが、例えば1〜50mW/cm2が挙げられる。このときの露光強度はオーク製作所製のUV照度計MO−2型機でUV−25フィルターを用いた数値である。後露光においては、少なくとも波長300nm以下の活性光線を、現像後の感光性樹脂版の版面に露光処理することが好ましい。必要に応じて、300nm以上の活性光線を併用しても構わない。これらの波長の異なる活性光線を併用する場合は、同時に露光処理しても、別々に露光処理しても構わない。
以下に本発明の実施形態を実施例に基づいて具体的に説明する。また、図面を参照して説明する。
<紫外線透過率の測定>
PETフィルム(コスモシャインA4100(商品名)/東洋紡社 100μm厚 片面易接着処理)上に30g/m2でコーティング液を塗工・乾燥させたものをサンプルとして、透過濃度計(GRETAG D200−II(商品名)/グレタグマクベス社)を用いてUV373フィルタの透過率として測定した。
同様にPETフィルムの透過率を測定し、差異として算出することができる。
<酸素透過度の測定>
PETフィルム(A4100(商品名)/東洋紡社 100μm厚 片面易接着処理)上に30g/m2でコーティング液を塗工・乾燥させたものから、PETフィルムを剥離したものをサンプルとして、酸素透過度測定装置(OX−TRAN(商品名)/日立ハイテク社)を用いてJISK7126B(同圧法)により20℃・ドライ雰囲気で測定した。
<実施例1>
乾燥粉末状のアラビアガム(アラビックコールSS(商品名)/三栄薬品貿易社)を、精製水に対して10質量%となるように溶解した。コーティング性を高めるため、シリコンオイル(変性オイルKF351(商品名)/信越シリコーン社)をアラビアガムが溶解した精製水に対して0.1質量%添加し、酸素遮断性層形成用のコーティング液とした。
図1に示すような、厚み1.14mmのフレキソCTP印刷版構成体(AWP DEF(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の支持体4側より、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、600mJ/cm2の紫外線を照射した(バック露光)。図2に示すように、赤外線感受性層2を備える厚み1.14mmのフレキソCTP印刷版構成体1に、YAGレーザーを光源とするレーザー照射装置(CDI Spark4260/ESKO graphics社)を用いて、線幅10μm、ピッチ250μmの極小格子線データを描画した。図3に示すように、赤外線感受性層にネガ型のアブレージョンマスク5を形成した。
アブレージョンマスクを有する構成体の表面に、バーコーターを用いて30g/m2の割合でコーティング液を塗工した。塗工面に120℃の熱風を吹きかけながら30秒間乾燥させた。図4に示すように、アブレージョンマスク5及び樹脂層3の表面に酸素遮断性層6を形成した。
酸素遮断性層の紫外線透過率は92%、酸素透過度は5cc/m2・24hr・atmであった。
図8に示すように、酸素遮断性層を備える積層体に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、図10に示すように、アルカリ洗浄剤(APR洗浄剤 W−300(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の6質量%水溶液で、洗浄装置(AWP−220W/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、酸素遮断性層6、アブレージョンマスク5、及び未露光部8をブラシにより現像し、構成体を50℃15分間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するために254nmの波長を有する殺菌線ランプ(PHILIPS社製、品番TUV75W)を用いて、照射面の紫外線強度2mW/cm2(UV25)として20分間、370nmに主波長を有する紫外線ランプ(PHILIPS社製、80W10R)を用いて、照射面の紫外線強度4mW/cm2(UV35)として5分間後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例2>
ポリビニルアルコール樹脂(ゴーセノールGL−05(商品名)/日本合成化学工業社、ケン化度88mol%)を、精製水に対して10質量%になるように溶解した。コーティング性を高めるため、湿潤剤(SNウエット126(商品名)/サンノプコ社)をポリビニルアルコール樹脂が溶解した精製水に対して0.1質量%添加し、酸素遮断性層の形成用のコーティング液とした。
実施例1と同様にして、支持体面よりバック露光したのち、ネガ型のアブレージョンマスクを形成して、アブレージョンマスクを有する構成体を作成した。
アブレージョンマスクを有する構成体を、コーティング液にディッピングし、液面に対して垂直に100mm/分の速度で引き上げた。構成体の支持体(PET)側についた液をウエスで拭き取った後、構成体の表面に120度の熱風を吹きかけながら30秒間乾燥させ、アブレージョンマスク表面に酸素遮断性層を形成した。
酸素遮断性層の紫外線透過率は92%、酸素透過度は1cc/m2・24hr・atm未満であった。
酸素遮断性層を備える積層体に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、アルカリ洗浄剤(APR洗浄剤 W−300(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の6質量%水溶液で、洗浄装置(AWP−220W/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、酸素遮断性層、アブレージョンマスク、未露光部をブラシにより現像し、構成体を50℃15時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するために、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例3>
ポリビニルアルコール樹脂(ゴーセランL−0301(商品名)/日本合成化学工業社、ケン化度36mol%)を、精製水に対して30質量%になるように溶解し、酸素遮断性層の形成用のコーティングジェルとした。
実施例1と同様にして、支持体面よりバック露光したのち、ネガ型のアブレージョンマスクを形成して、アブレージョンマスクを有する構成体を作成した。
アブレージョンマスクを有する構成体の表面に、バーコーターを用いて30g/m2の割合でコーティングジェルを塗工し、図4又は図6に示すように、アブレージョンマスク5及び樹脂層3の表面に酸素遮断性層6を形成した。
酸素遮断性層の紫外線透過率は77%、酸素透過度は1cc/m2・24hr・atm未満であった。
酸素遮断性層が積層された構成体に対してアブレージョンマスクを通して、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、アルカリ洗浄剤(APR洗浄剤 W−300(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の6質量%水溶液で、洗浄装置(AWP−220W/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、構成体を50℃15時間乾燥した。
表面の粘着性を除去するために、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例4>
厚み1.14mmのフレキソCTP印刷版構成体(AFP DSF(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の支持体4側より、実施例1と同様に支持体側より紫外線露光したのちネガ型のアブレージョンマスクを形成して、アブレージョンマスクを有する構成体を作成した。
アブレージョンマスクを有する構成体の四辺を0.3mm厚のアルミニウム板上に両面テープで固定し、PS版のガムコーター部及び乾燥部を備える自動現像機(KPW−850GT(商品名)/光陽化学社)を用いて、実施例1と同様のコーティング液を塗工し、乾燥することにより酸素遮断性層を形成した。
酸素遮断性層を備える積層体に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)で照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、酸素遮断性層の表面に50度の温水を流しかけ、柔らかなスポンジで表面を擦りながら、酸素遮断性層を溶解除去させた。
構成体の表面についた水滴を拭き取り、芳香族炭化水素系溶剤(SOLVIT(商品名)/エクソン化学社)で、洗浄装置(AFP−1321(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、構成体を乾燥機(AFP−1216D(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、60℃1時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するため、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例5>
実施例2と同様にして、支持体面よりバック露光したのち、ネガ型のアブレージョンマスクを形成して、アブレージョンマスクを有する構成体を作成した。
アブレージョンマスクを有する構成体の四辺を0.3mm厚のアルミニウム板上に四辺を両面テープで固定し、ガムコーター部及び乾燥部を備える自動現像機(KPW−850GT(商品名)/光陽化学社)を用いて、実施例2と同様のコーティング液を塗工し、乾燥することにより酸素遮断性層を形成した。
酸素遮断性層を備える積層体に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)で照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJの紫外線を照射した。
次いで、図12に示すように、酸素遮断性層6の端部をナイフの先端部で一部剥離させ、剥離部を指で摘み上げ、ゆっくりと表面から剥離させた。
その後、芳香族炭化水素系溶剤(SOLVIT(商品名)/エクソン化学社)で、洗浄装置(AFP−1321(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、構成体を乾燥機(AFP−1216D(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、60℃1時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するため、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例6>
実施例3と同様にして、ネガ型のアブレージョンマスクを形成して、ネガ型マスクを有する構成体を作成した。
ポリビニルアルコール樹脂(ゴーセランL−0301(商品名)/日本合成化学工業社、ケン化度36mol%)を、精製水に対して30質量%になるように溶解し、酸素遮断性層の形成用のコーティングジェルとした。
実施例3と同様にして、アブレージョンマスクを有する構成体の表面に、バーコーターを用いて30g/m2の割合でコーティングジェルを塗工し、酸素遮断性層を形成した。
酸素遮断性層の紫外線透過率は77%、酸素透過度は1cc/m2・24hr・atm未満であった。
酸素遮断性層が積層された構成体に対してアブレージョンマスクを通して、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、芳香族炭化水素系溶剤(SOLVIT(商品名)/エクソン化学社)で、洗浄装置(AFP−1321(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、酸素遮断性層、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、構成体を乾燥機(AFP−1216D(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、60℃1時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するため、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例7>
コアスリーブとしての内径213.384mm、厚み0.90mm、面長300mmのプラスチックスリーブ(ベーシックスリーブ(商品名)/POLYWEST社)を、ラッピング装置(ARC−110L(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)に装着した。スリーブ表面にクッション両面粘着テープ(3M−1020(商品名)/住友スリーエム社)で、実施例3と同様に支持体面からバック露光された赤外線感受性層を備える厚み1.14mmのフレキソCTP印刷版構成体(AFP DSF(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を巻きつけた。スリーブ状のフレキソCTP印刷版構成体に、YAGレーザーを光源とするレーザー照射装置(CDI classic/ESKO graphics社)を用いて、線幅10μm、ピッチ250μmの極小格子線データを描画し、赤外線感受性層にネガ型のアブレージョンマスクを形成させた。
軟質クロロプレン(厚さ1mm、硬度45度)をスケージゴムとする垂直式リングコーター(高木彫刻社製)に、アブレージョンマスクを有するスリーブ状の構成体及び実施例2と同様のコーティング液をセットした。100mm/分の速度でコーティング液の入ったコーター部を下降させることで、構成体の表面にコーティング液を均一に塗工した。構成体を50度のオーブンで15分間乾燥させ、酸素遮断性層を形成した。
酸素遮断性層を備える積層体に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの円筒露光装置(MAIN EXPOSURE/AVflexologic社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、酸素遮断性層の端部をナイフの先端部で一部剥離させ、剥離部を指で摘み上げ、ゆっくりと表面から剥離させた。
その後、芳香族炭化水素系溶剤(SOLVIT(商品名)/エクソン化学社)で、洗浄装置(AFS−1316IP/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、60℃1時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するため、254nmの波長を有する殺菌線ランプ(PHILIPS社製、品番TUV75W)を用いて、照射面の紫外線強度2mW/cm2(UV25)として20分間、370nmに主波長を有する紫外線ランプ(PHILIPS社製、80W10R)を用いて、照射面の紫外線強度4mW/cm2(UV35)として5分間、後処理露光を行い、スリーブ状フレキソCTP印刷版を得た。
<実施例8>
実施例1と同様にして、支持体側よりバック露光したのち、ネガ型のアブレージョンマスクを形成して、アブレージョンマスクを有する構成体を作成した。
アブレージョンマスクを有する構成体のアブレージョン面側に、酸素遮断性層として、厚さ0.1mmのPETフィルム(コスモシャインA4100(商品名)/東洋紡績社、100μm厚 片面易接着処理、紫外線透過率82%、酸素透過度72cc/m2・24hr・atm)をアブレージョンマスクが形成された構成体表面全体にラミネートした。
酸素遮断性層が積層された構成体に対してアブレージョンマスクを通して、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。
次いで、ラミネートしたPETフィルムを表面から剥がし取り、芳香族炭化水素系溶剤(SOLVIT(商品名)/エクソン化学社)で、洗浄装置(AFP−1321(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク及び未露光部をブラシにより現像し、構成体を乾燥機(AFP−1216D(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、60℃1時間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するため、実施例1と同様にして後処理露光を行い、フレキソCTP印刷版を得た。
<比較例1>
酸素遮断性層を形成せずにアブレージョンマスク側からの紫外線照射を行った以外は、実施例1と同様の操作を行って、印刷版を得た。
比較例1における印刷版の製造方法について、図面を例示しつつ説明する。
図2に示すように、赤外線感受性層2を備える厚み1.14mmのフレキソCTP印刷版構成体1(AWP DEF(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)に、YAGレーザーを光源とするレーザー照射装置(CDI Spark4260/ESKO graphics社)を用いて、線幅10μm、ピッチ250μmの極小格子線データを描画した。図3に示すように、赤外線感受性層にネガ型のアブレージョンマスク5を形成した。
図12に示すように、アブレージョンマスクを有する構成体1に、370nmに主波長を有する紫外線ランプの露光装置(AFP−1216E(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、照射面の紫外線強度を10mW/cm2(UV35)として、8000mJ/cm2の紫外線を照射した。図13に示すように、樹脂層を紫外線露光することにより、露光部7及び未露光部8を有する構成体を形成した。
次いで、図14に示すように、アルカリ洗浄剤(APR洗浄剤 W−300(商品名)/旭化成イーマテリアルズ社)の6質量%水溶液で、洗浄装置(AWP−220W/旭化成イーマテリアルズ社)を用いて、アブレージョンマスク5、及び未露光部8をブラシにより現像し、構成体を50℃15分間乾燥した。
構成体の表面の粘着性を除去するために254nmの波長を有する殺菌線ランプ(PHILIPS社製、品番TUV75W)を用いて、照射面の紫外線強度2mW/cm2(UV25)として20分間、370nmに主波長を有する紫外線ランプ(PHILIPS社製、80W10R)を用いて、照射面の紫外線強度4mW/cm2(UV35)として5分間、後処理露光を行い、印刷版を得た。
<比較例2>
酸素遮断性層を形成せずに紫外線照射を行った以外は、実施例3と同様の操作を行って、印刷版を得た。
実施例1〜8のフレキCTP印刷版と比較例1及び2の印刷版を用いて、印刷再現性及び版面再現性を評価した。
<印刷再現性>
ドクターチャンバー付きの800線/インチのアニロックスロールを装備したフレキソ印刷機で、溶剤インクを用いてポリエチレンフィルムへの印刷を行った。
印刷品質:ネガ型マスクの線幅と極小格子線の交点部分、独立部分の線幅が同等であれば、「良好」、ネガ型マスクの線幅より極小格子線の交点部分、独立部分の線幅が大きければ、「太り」、ネガ型マスクの線幅より極小格子線の交点部分、独立部分の線幅が小さければ「不均一」とした。
線幅:潰れていない最小ライン幅を示す。1um以下の場合は「測定不能」とした。
<版面再現性>
顕微鏡等を用いて得られた版面の再現性を評価した。
印刷レリーフの形状:線幅10μmの部位をスライスし、その断面形状を100倍の光学顕微鏡で拡大観察し、その形状角(両ショルダー接線の交点角)が90度未満の場合を鋭角、90度以上の場合を鈍角とした。
表面:電子顕微鏡にて観察し、線幅10μmの部位と格子交点部位が同一水平面上に観察される場合を「平坦」、それ以外を「凸凹」とした。
実施例1〜8並びに比較例1及び2について、表1、表2及び図15にまとめた。また、
実施例1〜7の凸版印刷版において、格子線の印刷再現は良好であり、その版面は表面頂部まで十分に硬化しており、平らな形状であることが分かった。また、酸素遮断性層を乾燥させた高分子膜としたものについては、酸素遮断性層での紫外線の散乱が少なく、そのレリーフ形状はよりシャープであった。
実施例8の凸版印刷版において、格子線の幅が全体的に太く印刷された。また、その版面は、実施例1に比較してPET層での紫外線の散乱により、そのレリーフ形状が鈍角形状になっていたものの、表面頂部までが十分に硬化しており、平坦な表面であった。
一方、比較例1及び2の印刷版において、格子線の交点だけが太く印刷され、印刷物は全体的に不均一に見えた。また、その版面は表面頂部までが十分に硬化しておらず、凸凹形状であることが分かった。
本発明の製造方法により得られるフレキソ印刷版は、印刷再現性及び版面再現性の高い印刷レリーフを有するため、印刷品質に優れる。したがって、本発明は、例えば、電子基板プリントのマスク形成、金券や証券等の偽造防止のためのマイクロパターン印刷など、微細な用途で好適に利用できる。
1 凸版印刷版構成体
2 赤外線感受性層
3 樹脂層
4 支持体
5 ネガ型マスク
6 酸素遮断性層
7 露光部
8 未露光部

Claims (13)

  1. (1)紫外線露光製版が可能な樹脂層にネガ型マスクを形成する工程、
    (2)前記ネガ型マスクを有する構成体に酸素遮断性層を形成する工程、
    (3)前記樹脂層に前記酸素遮断性層側から紫外線露光する工程、及び、
    (4)前記樹脂層を現像して印刷レリーフを形成する工程を含む、凸版印刷版の製造方法。
  2. 前記ネガ型マスクを形成する工程が、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して、ネガ型マスクとなるアブレージョンマスクを形成するか、又は、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成して、ネガ型マスクを形成する工程、である、請求項1記載の凸版印刷版の製造方法。
  3. 前記酸素遮断性層が高分子膜である、請求項1又は2に記載の凸版印刷版の製造方法。
  4. 前記酸素遮断性層の酸素透過度が20cc/m2・24hr・atm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の凸版印刷版の製造方法。
  5. 工程(4)の前に、
    (5)前記酸素遮断性層を除去する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載の凸版印刷版の製造方法。
  6. 工程(5)において、前記酸素遮断性層を剥離することにより除去する、請求項5に記載の凸版印刷版の製造方法。
  7. 工程(4)において、前記樹脂層の現像と同時に前記酸素遮断性層を除去する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の凸版印刷版の製造方法。
  8. (6)凸版印刷版構成体をコアスリーブに巻き付ける工程をさらに含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の凸版印刷版の製造方法。
  9. ネガ型マスクを有する構成体と、
    前記構成体に積層される酸素遮断性層と、を備え、
    前記ネガ型マスクが、紫外線露光製版が可能な樹脂層に赤外線感受性層が積層された凸版印刷版構成体の赤外線感受性層に赤外線露光して形成されるか、又は、紫外線露光製版が可能な樹脂層に紫外線遮断性のインクを該樹脂層表面に積層して形成されたものである積層体。
  10. 前記樹脂層に前記酸素遮断性層が積層される、請求項9に記載の積層体。
  11. 前記ネガ型マスクに前記酸素遮断性層が積層される、請求項9又は10に記載の積層体。
  12. 前記酸素遮断性層が高分子膜である、請求項9〜11のいずれか一項に記載の積層体。
  13. 前記酸素遮断性層が水溶性高分子により形成される、請求項9〜12のいずれか一項に記載の積層体。
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