JP2012161938A - 平版印刷版の裁断方法及び裁断装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】中抜き裁断された帯状の中抜き屑を蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑を適切な保持力でニップ搬送できる。
【解決手段】走行する帯状の平版印刷版12を、所定距離を置いて配置された2つの中抜下刃36と1つの中抜き上刃52とで中抜き裁断すると共に、中抜き裁断された帯状の中抜き屑12Bを幅方向断面が山形になるように折り曲げる中抜き裁断手段と、該中抜き裁断手段で発生した帯状の中抜き屑12Bを、山形の凸側に配置された押し付けローラ102と凹側に配置された駆動ローラ104とでニップ搬送する搬送ローラと、を少なくとも備えた平版印刷版の裁断装置10において、押し付けローラ102として、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラを使用する。
【選択図】図12
【解決手段】走行する帯状の平版印刷版12を、所定距離を置いて配置された2つの中抜下刃36と1つの中抜き上刃52とで中抜き裁断すると共に、中抜き裁断された帯状の中抜き屑12Bを幅方向断面が山形になるように折り曲げる中抜き裁断手段と、該中抜き裁断手段で発生した帯状の中抜き屑12Bを、山形の凸側に配置された押し付けローラ102と凹側に配置された駆動ローラ104とでニップ搬送する搬送ローラと、を少なくとも備えた平版印刷版の裁断装置10において、押し付けローラ102として、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラを使用する。
【選択図】図12
Description
本発明は、平版印刷版の裁断方法及び裁断装置に係り、特に、裁断装置の中抜き裁断手段で中抜き裁断された山形の中抜き屑を、押し付けローラと駆動ローラとからなる搬送ローラでニップ搬送する際に中抜き屑が曲がって搬送されないようにする技術に関する。
感光性の平版印刷版(以下「PS版」という)は、一般にシート状或いはコイル状のアルミニウム版に、例えば、砂目立て、陽極酸化、シリケート処理、その他化成処理等の表面処理を単独又は適宜組み合わせて行い、次いで、感光液の塗布、乾燥処理を行った後、所望のサイズに裁断することで製造される。
このPS版は、画像感光、現像処理、ガム引き等の製版処理が行われ、印刷機にセットされ、インクが塗布されることで、紙面に現像された画像を印刷する。
ところで、裁断される前の帯状のPS版(以下「ウエブ」と呼ぶ)は、上刃と下刃で構成されるスリッタで耳部が裁断される。また、広幅サイズから狭幅サイズへのサイズ変更により、ウエブを例えば2枚のウエブとする場合、耳部の裁断と同時に、所定距離を置いて配置された2つの刃先を有する中抜下刃と2つの刃先を有する中抜き上刃とでウエブ中央部を中抜き裁断する。そして、発生した中抜き屑の上面側を平板なガイド部材で押さえ込みながら、該中抜き屑の斜め下方への搬送をガイドし、筒状のシューター内に導く。シューターを出た中抜き屑は、押し付けローラと駆動ローラとからなる搬送ローラでニップ搬送され、チョッパー装置に運ばれて細かく粉砕される。あるいは、搬送ローラを通過した後に巻取り装置に巻き取られる場合もある。
かかる中抜き裁断において、裁断された帯状の中抜き屑が中抜下刃同士の間に挟まって、抜けなくなることがあり、トラブルの原因となっていた。
このことから、本出願人は特許出願1において、中抜き下刃同士の間に山形の中抜きホルダを設けることで、中抜き裁断する際に中抜き屑を山形に折り曲げることを提案した。これにより、中抜下刃同士の幅よりも中抜き屑の幅が小さくなるので、中抜き屑が中抜下刃同士の間に挟まって、抜けなくなるというトラブルを解消することができた。
しかしながら、図23(A)に示すように、従来は金属製の押し付けローラ3のローラ表面周方向に凹凸を形成して、中抜き屑1がローラ搬送でスリップしないようにしていた。
ローラ表面周方向に凹凸を形成した押し付けローラ3の場合、図23(B)の山形の中抜き屑1aのように、中抜き屑1aの両端部がローラ表面の凸部に均等にニップされている場合には、中抜き屑1aの左右が均等に伸び変形する。
これにより、中抜き屑1aは、図23(C)に記載するように曲がることがなく、直進搬送性良くニップ搬送される。
しかしながら、図23(B)の中抜き屑1bのように、中抜き屑1bの両端部のうちの一方端部がローラ表面の凸部にニップされ、他方端部がニップされていない場合には、中抜き屑1bの片側だけが伸び変形する。
これにより、中抜き屑1bは、図23(C)のようにニップされた反対側に向かって曲がってニップ搬送されてしまう。
なお、図23(B)では、2つの事例を示すために、搬送ローラで2本の中抜き屑1a,1bが搬送されるように描いてある。
そして、中抜き屑1bが曲がって搬送されて中抜き屑1bが蛇行すると、図24に示すように、チョッパー装置へのガイド通路5において、中抜き屑12Bが折り重なったり絡まったりすることによって詰まりを生じるというトラブルが発生する。符号6は、チョッパー装置の下刃である。
このように、従来の押し付けローラでは搬送蛇行し易い理由として次の2点が考えられる。
1つは、昨今におけるPS版の歩留りアップのために、中抜き屑1の幅を細く、例えば従来の10mm程度から4mm以下にしており、進行方向に対する剛性が小さくなっている点である。
2つめは、上記したように、中抜き屑の両端部が凹凸を有する従来の押し付けローラによってアンバランスにニップされ、これによってローラ左右に圧力差が生じ易いためである。
このような背景から、4mm程度の幅狭な中抜き屑であっても蛇行搬送することがなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じない搬送速度を確保するために中抜き屑を適切な保持力でニップできる搬送ローラを備えた裁断装置が所望されている。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑を適切な保持力でニップ搬送できる搬送ローラを備えた平版印刷版の裁断方法及び裁断装置を提供することを目的とする。
本発明の平版印刷版の裁断方法は、前記目的を達成するために、走行する帯状の平版印刷版を、所定距離を置いて配置された2つの刃先を有する中抜下刃と2つの刃先を有する中抜き上刃とで中抜き裁断する裁断工程と、前記中抜き裁断された帯状の中抜き屑を幅方向断面が山形になるように折り曲げる折り曲げ工程と、前記中抜き裁断で発生した帯状の中抜き屑を、前記山形の凸側に配置された押し付けローラと凹側に配置された駆動ローラとでニップ搬送する搬送工程と、を備え、前記搬送工程では、前記中抜き屑の山形を維持したままで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ搬送することを特徴とする。
また、本発明の平版印刷版の裁断装置は、前記目的を達成するために、走行する帯状の平版印刷版を、所定距離を置いて配置された2つの刃先を有する中抜下刃と2つの刃先を有する中抜き上刃とで中抜き裁断すると共に、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を幅方向断面が山形になるように折り曲げる中抜き裁断手段と、該中抜き裁断手段で発生した帯状の中抜き屑を、前記山形の凸側に配置された押し付けローラと凹側に配置された駆動ローラとでニップ搬送する搬送ローラと、を少なくとも備えた平版印刷版の裁断装置において、前記押し付けローラは、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ可能な構造を有することを特徴とする。
本発明の平版印刷版の裁断方法及び裁断装置によれば、中抜き裁断により発生した山形の中抜き屑を、押し付けローラと駆動ローラとでニップ搬送する際に、中抜き屑の山形を維持したままで且つ20N以上300N以下の保持力でニップしながら搬送するようにした。このような搬送を達成する押し付けローラとしては、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラを使用できる。
これにより、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑を適切な保持力でニップ搬送できる。
ゴムローラのゴム硬度は、70〜90度の範囲であることがより好ましい。このゴム硬度範囲のゴムローラは、中抜き屑をニップした際にゴム表面が弾性変形し、中抜き屑の山形を維持しながら中抜き屑を20N以上300N以下の保持力で確実に保持するので、中抜き屑の直進搬送性が良くなると共に搬送弛みが発生しない。
また、押し付けローラを幅方向にスライドさせるスライド手段を有することが一層好ましい。
押し付けローラとしてゴムローラを使用した場合には、ニップ搬送の経年変化によって次第に磨耗しニップ力が変化する。しかし、スライド手段によってゴムローラを幅方向にシフトすれば、ニップする位置を変えることができるので、ニップ圧の変化を抑制し、安定したニップ搬送を行うことができる。
また、保持力を20N以上300N以下に制御するための制御手段としてはエアシリンダーを好適に使用できるが、押し付けローラの高さ、即ち押し付けローラと駆動ローラとのクリアランスを調整するクリアランス調整手段を使用することもできる。
また、本発明においてニップ搬送される中抜き屑としては、山形の中抜き屑の幅が4mm以下であることが好ましい。このような幅狭な中抜き屑は搬送曲がりを起こし易く、本発明が特に有効だからである。
また、中抜き屑の山形の折り曲げ角度は、折り曲げる前の水平面に対して18〜38度の角度θであることが好ましい。
このような折り曲げ角度の中抜き屑は、ニップ力に対する反力が大きくなり、押し付けローラと駆動ローラとに保持され易くなるので、搬送直進性を一層向上できる。
本発明の平版印刷版の裁断装置によれば、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑を適切な保持力でニップ搬送できる搬送ローラを備えた。
これにより、チョッパー装置へのガイド通路において、中抜き屑が折り重なったり絡まったりすることによって詰まりを生じることがなくなる。
以下、添付図面に従って、本発明に係る平版印刷版の裁断装置の好ましい実施の形態について説明する。
[平版印刷版の裁断ライン]
図1は、本発明の裁断装置が組み込まれた裁断ラインの全体構成図である。
図1は、本発明の裁断装置が組み込まれた裁断ラインの全体構成図である。
図1に示すように、本発明の形態に係る裁断装置10が配置された裁断ラインの上流側には、ロール状のウエブ12を送り出す送出機14が配設される。なお、裁断される前の帯状の平版印刷版(PS版)を以下「ウエブ」と称し符号12で示す。また、ウエブ12の板厚は、0.1〜0.5mmの範囲であり、一般的には0.3mmの厚みのものが使用されている。
送出機14から送り出されたウエブ12は、送りローラ16の位置で、合紙18が重ね合わされると共に帯電方法によって合紙18をウエブ12に密着させた後、ノッチャー20に搬送される。
ノッチャー20は、ウエブ12の耳部12Aを打ち抜き、裁断装置10のトリミング上刃22及びトリミング下刃24が(図2参照)、打ち抜き位置でウエブ12の幅方向へ移動できるようにする。これにより、合紙付きのウエブ12(以下、単にウエブという)を連続裁断しながら、ウエブ12のトリミング幅(幅サイズ)を変更することができる。
所定のトリミング幅とされたウエブ12は、測長装置26で送り長が検出され、指示されたタイミングで走間カッタ28がウエブ12を切断して、設定されたサイズのPS版30を製造する。
PS版30は、コンベア32で集積部34に送られ、所定枚数積み重ねられた後、ダンボール、スキッド等で梱包されて出荷される。なお、包装形態により、合紙18のない状態でスリットカットしてもよい。
また、PS版30の広幅サイズから狭幅サイズへのサイズ変更により、ウエブ12を例えば2枚のウエブ12C,12D(図3、図6、図8参照)とする場合、耳部12Aの裁断と同時に、所定距離を置いて配置された2つの中抜下刃36、36と1つの中抜上刃52とからなる中抜き裁断手段でウエブ中央部を中抜き裁断する(図2参照)。この場合にも、ノッチャー20は、中抜きする位置を打ち抜いて打抜孔を形成し、この打抜孔に中抜裁断手段を進入させる。
[裁断装置]
次に、図2によって裁断装置10を説明する。
次に、図2によって裁断装置10を説明する。
図2に示すように、裁断装置10には、中央部の基台42に設けられた一対の中抜下刃36,36、その外側にスペーサリング38、更にその外側にトリミング下刃24が配置される。そして、これらの中抜下刃36,36、スペーサリング38、及びトリミング下刃24の上をウエブ12が搬送される。
トリミング下刃24の上方には、皿状のトリミング上刃22が配置されており、トリミング下刃24と相反する方向に回転して、搬送されてくるウエブ12の幅方向の耳部12Aを裁断する。これらのトリミング上刃22とトリミング下刃24は材質SKH51で成形されており、レール44に沿ってウエブ12の幅方向へ移動する基台46に取付けられる。なお、刃には、粉末ハイス、超硬などの材質を用いてもよい。
また、トリミング上刃22とトリミング下刃24のクリアランスは、30μ〜100μに設定され、感光層(図2のウエブの上面側)にバリを発生させないため、トリミング上刃22は、トリミング下刃24がウエブ12を受ける位置より、12A側へ位置している。トリミング下刃24の外側には、同軸上に略同径の受けリング40が設けられており、トリミング下刃24と一体となって回転する。
一方、図2及び図3(A)に示すように、回転する一対の中抜下刃36,36(各中抜き下刃に1つの刃先を有する)同士の間には、中抜ホルダ48が配置され、中抜下刃36と共に回転する。この中抜ホルダ48は、算盤球の形状に形成される。また、中抜下刃36の上方には、梁材50から垂下された中抜上刃52が位置している。この中抜上刃52は、中央の環状溝を挟んだ両側に2つの刃先を有する1枚の回転刃であり、一対の中抜下刃36,36同士の間に入り込んで、ウエブ12の中央部を中抜きする。これにより、図3(A),(B)に示すように、中抜き屑12Bは山形に折れ曲がり、中抜下刃36の軸方向の間隔より短くなるので、中抜き屑12Bが中抜き下刃36、36同士の間に挟まれて抜けなくなることを解消できる。
なお、山形の中抜き屑12Bを形成する中抜上刃52は、図2の形状に特定される訳でなく、独立した2枚の固定刃を中抜上刃としてもよく、ゲーベルタイプの2枚固定刃でもよい。この固定刃は、皿バネで付勢されており、中抜下刃36,36とのクリアランスをゼロに近づけることができる。また、中抜ホルダ48の形状も図2及び図3(A)のように山形の頂部が尖った形状であることに特定される訳でなく、山形の頂部に平坦部分があって台形に近い山形や、山形が外側又は内側に湾曲しているようなものでもよく、略山形の形状をしていればよい。
[中抜き屑処理装置]
次に、図4によって、中抜き裁断手段によって発生した中抜き屑12Bを処理する中抜き屑処理装置25について説明する。図4は、中抜き屑12Bを処理する中抜き屑処理装置25の装置構成を説明する説明図である。
次に、図4によって、中抜き裁断手段によって発生した中抜き屑12Bを処理する中抜き屑処理装置25について説明する。図4は、中抜き屑12Bを処理する中抜き屑処理装置25の装置構成を説明する説明図である。
図4に示すように、中抜下刃36の下流側には、斜め下方を向いて筒状のシューター72が設けられ、シューター72の外周面にエアシリンダー74が取付けられる。そして、エアシリンダー74のロッド76には、下端部がシューター72内に位置し、上端部が湾曲したガイド部材78がブラケット81を介して固定されている。したがって、エアシリンダー74を駆動すると、ガイド部材78が斜め上方へスライドし、中抜き裁断されて形成される中抜き隙間からウエブ12の上方に突出する。これにより、中抜き裁断を行うタイミングで中抜き隙間からガイド部材78を上方に突出させることができる。そして、中抜き隙間から突出したガイド部材78は、中抜き裁断で発生した帯状の中抜き屑12Bの上面側を押さえ込みながら該中抜き屑12Bの斜め下方への搬送をガイドし、筒状のシューター72内に導く。
筒状のシューター72内の下流側には、押しつけローラ80Aと駆動ローラ80Bとからなる搬送ローラ80が設けられる。そして、中抜き屑12Bは搬送ローラ80によってニップ搬送されて、固定下刃82Aと回転上刃82Bとからなるチョッパー装置82に送られ、ここで細かく切断される。細かく裁断された中抜き屑12Bは、収納箱84に貯留される。
かかる中抜き屑処理装置25において、図5に示すように、従来のガイド部材78’は、平板状であった。しかし、図5(A)のように、山形の中抜き屑12Bの幅も10mmと幅広であり、進行方向の剛性が大きかったために搬送される中抜き屑12Bをガイドする際の直進ガイド性が良かった。これにより、平板なガイド部材78’で中抜き屑12Bをガイドしても中抜き屑12Bが蛇行しにくかった。
しかし、上述したように、PS版30の歩留りアップの観点から中抜き屑12Bの幅がますます細くなってきており、図5(B)のように4mm幅以下になってきている。このような細幅な帯状の中抜き屑12Bは、山形形状であっても進行方向の剛性が10mm幅のときよりも顕著に低下する。これによりガイド部材78’の直進ガイド性が悪いために、図6に示すように、中抜き裁断された中抜き屑12Bがガイド部材78’の横をすり抜けて、裁断された両側のウエブ12C,12Dと一緒に下流側に流れ、下流側で集積されたウエブ12C,12Dの製品内に混入するという問題が発生する。
そこで、発明者は、中抜下刃36、36同士の間に中抜き屑12Bが挟まることを防止する目的で、中抜き屑12Bを山形にしたこと着目し、中抜き屑12Bの山形形状を蛇行防止のために利用するようにした。
(ガイド部材)
即ち、ガイド部材78に、中抜き屑12Bの山形が係合して中抜き屑12Bの搬送に直進性を付与する係合手段79を備えるようにした。
即ち、ガイド部材78に、中抜き屑12Bの山形が係合して中抜き屑12Bの搬送に直進性を付与する係合手段79を備えるようにした。
図7は、係合手段79の一態様であり、ガイド部材78の長手方向に形成され、中抜き屑12Bの山形面に係合する長溝79Aである。これにより、図7から分かるように、矢印方向に搬送される中抜き屑12Bの山形がガイド部材78の長溝79Aに係合した状態になるので、中抜き屑12Bはガイド部材78の長溝79Aにガイドされながら直進性良く搬送される。したがって、図8(A)に示すように、搬送される中抜き屑12Bは、ガイド部材78の長手方向に延びる長溝79Aにガイドされながら筒状のシューター72内に導かれる。これにより、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を蛇行することなくガイド部材でガイドして直進性良く搬送させることができる。この結果、中抜き裁断された中抜き屑12Bがガイド部材78’の横をすり抜けて、裁断された両側のウエブ12C,12Dと一緒に下流側に流れ、下流側で集積されたウエブ12C,12Dの製品内に混入することがない。
この場合、ガイド部材78に形成する長溝79Aは、図8(B)のように、中抜き屑12Bの幅と比べて同等以上の場合と、図8(C)のように小さい場合とがあるが、図8(C)の方がより好ましい。
図8(B)のように、長溝79Aの幅が中抜き屑12Bの幅と比べて同等以上の場合には、直進ガイド性は良いが、ガイド部材78が中抜き裁断された両側のウエブ12C,12Dの側縁に接触し易くなり、感光層を傷つける恐れがある。
一方、図7及び図8(C)のように、長溝79Aの幅が中抜き屑12Bの幅よりも小さいと、中抜き屑12Bの山形の稜線Pを挟んだ両側2箇所をガイド部材78の両足部78A,78Aで係合支持することができる。この場合、両足部78A、78Aの先端を鋭角なブレード状に形成することが好ましい(図7参照)。
また、図8(A)に示すように、ガイド部材78は、中抜き屑12Bを上から押さえ込むようにして斜め下方にガイドする。これにより、図7及び図8(C)のように、中抜き屑12Bの山形稜線Pを挟んだ両側2箇所を両足部78A,78Aで係合支持することになるので、山形の頂角αを狭める方向の左右一対の押さえ込み力Fが中抜き屑12Bに作用する。この左右一対の押さえ込み力Fに対して中抜き屑12Bには、山形の頂角αを広げる方向の左右一対の反力Rが生じる。この結果、山形の中抜き屑12Bの稜線Pを挟んだ両側2箇所を係合支持すると、一対の押さえ込み力Fと一対の反力Rとがバランスを取ろうとするので、中抜き屑12Bはガイド部材78の係合した2箇所にバランスよく反力Rが分配された状態で係合支持される。これにより、中抜き屑12Bを係合支持する山形左右の圧力バランスが良くなるので、中抜き屑12Bのガイド中における直線性を一層高めることができる。この場合、中抜き屑12Bの山形稜線Pが長溝79Aに接触しないように、中抜き屑12Bの山形高さとガイド部材78の長溝深さを予め設定することが好ましい。
また、図3(A)に示すように、中抜き屑12Bを山形に折り曲げる際の折り曲げ角度θは、折り曲げる前の水平面に対して18〜38°の折曲げ角度であることが好ましい。この折り曲げ角度θの範囲内に形成された中抜き屑12Bは、長溝79Aによる直進ガイド性が一層良くなる。この原因としては、この折り曲げ角度θの範囲内が、上記した押さえ込み力Fと反力Rとによって中抜き屑12B幅方向に加わる圧力バランスが取り易いものと考察される。
また、ガイド部材78自体の幅も中抜き屑12Bの幅よりも小さいことが好ましい。ガイド部材78自体の幅が中抜き屑12Bの幅よりも大きいと、中抜き屑12Bが中抜きされた両側のウエブ12C,12Dの側縁に接触して、ウエブ12C,12D面に形成された感光層を傷つける危険がある。この場合には、図9に示す構造のガイド部材78を用いるとよい。即ち、ガイド部材78における中抜き裁断手段側の端部に、中抜き隙間両側のウエブ12C,12Dを持ち上げる持ち上げ用ローラ90,90を設ける。これにより、ガイド部材78の幅が中抜き屑12Bの幅よりも大きくても、ガイド部材78が中抜き隙間から上方に突出したときに、持ち上げ用ローラ90,90が中抜きされた両側のウエブ12C,12Dを持ち上げる。したがって、中抜き屑12Bの折り曲げ角度θが前記した18〜38°の範囲外で直進ガイド性が多少低くなっても、中抜き屑12Bが中抜き裁断された両側のウエブ12C,12Dの側縁に接触することがない。これにより、中抜き屑12Bの折り曲げ角度θの許容範囲を広げることができる。
ガイド部材78に設ける別態様の係合手段79としては、中抜き屑12Bの山形面に係合して回転すると共に、ガイド部材78の長手方向に連設された複数の回転体を設けることもできる。
図10は、回転体として、鼓状ローラ92Aを設けた場合であり、平行な2枚の側板94、94に複数の鼓状ローラ92Aが従動回転自在に支持される。側板94、94は連結棒96で連結される。
図11は、回転体の別態様であり、山形の中抜き屑12Bの稜線Pを挟んだ両側2箇所を係合支持する一対の車輪92Bの場合であり、図10の鼓状ローラ92Aに替えて車輪92Bを設けたものである。
図10及び図11のように、ガイド部材78の係合手段79として回転体を設けることにより、中抜き屑12Bは連設された回転体に係合しながらガイドされるので、中抜き屑12Bが直進性良く搬送される。この場合も、長溝79Aを有するガイド部材78の場合と同様に、回転体の幅Dは山形の中抜き屑12Bの幅よりも狭い方が好ましい。
(搬送ローラ)
次に、本発明の実施の形態における搬送ローラ100について説明する。
次に、本発明の実施の形態における搬送ローラ100について説明する。
図12に示すように、搬送ローラ100は、主として、上側(中抜き屑12Bの凸面側)に配置された押し付けローラ102と下側(中抜き屑12Bの凹面側)に配置された駆動ローラ104と、搬送される中抜き屑12Bにニップ圧を付与するニップ手段106とで構成される。
駆動ローラ104は、金属製ローラとして形成されると共に、回転軸104Aの両端が一対の軸受部材104Bに回転自在に支持される。回転軸104Aの一方端は駆動モータ108に連結され、駆動ローラ104は駆動モータ108によって回転する。駆動ローラ104の回転速度としては、ウエブ12の搬送速度(20m/分)よりも高速回転することが好ましい。これにより、中抜き屑12Bの搬送弛みを防止し易くなる。
一方、押し付けローラ102は、回転軸102Aの両端が一対の軸受部材102Bに回転自在に支持される。また、押し付けローラ102は、中抜き屑12Bを山形のままで且つ中抜き屑12Bを20N以上300N以下の保持力でニップ可能な構造に形成される。
保持力が20N未満であると搬送弛みが発生する。一方、保持力が300Nを超えて大き過ぎると、上記のように駆動ローラ104の回転速度をウエブ12の搬送速度よりも高速回転させたときに中抜き屑12Bとローラ102、104とがスリップしなくなり、中抜き屑12Bが破断し易くなる。更には、保持力が300Nを超えて大き過ぎると中抜き裁断位置において中抜き屑12Bが強く引っ張られ過ぎるので、中抜き裁断にも悪影響がでる。
したがって、ニップ手段106は、一対のエアシリンダー106A,106Aによって押し付けローラ102を支持する一対の軸受部材102Bを駆動ローラ104側に移動させることにより、駆動ローラ104と押し付けローラ102との間に20N以上300N以下の保持力を発生させる。なお、押し付けローラ102を駆動ローラ104側に移動させる際のスライド機構については公知のものを使用でき、ここでの説明は省略する。
〈押し付けローラとしてのゴムローラ〉
中抜き屑12Bを山形のままで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ可能な押し付けローラ102の構造としては、図13に示すように、ゴム硬度が50〜90度の範囲のゴムローラを好適に使用することができる。より好ましいゴム硬度は70〜90度の範囲である。
中抜き屑12Bを山形のままで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ可能な押し付けローラ102の構造としては、図13に示すように、ゴム硬度が50〜90度の範囲のゴムローラを好適に使用することができる。より好ましいゴム硬度は70〜90度の範囲である。
例えば、ゴム硬度が70度の押し付けローラ102を用いて、駆動ローラ104とのニップ力を160Nとしてローラ同士の隙間を略0mmとした場合に中抜き屑12Bが山形を維持できるかを調べた(以下「山形維持試験」という)。その結果、図13に示すように、幅が4mmで山形高さが0.80mmの中抜き屑12Bは0.56mmの高さまで潰されるが、山形を維持することができた。なお、中抜き屑12Bの高さhは、図14に示すように、中抜き屑12Bの底面から頂部までの高さをいう。
即ち、図15に示すように、エアシリンダー106Aによって付与されるニップ力で、ゴムローラである押し付けローラ102と駆動ローラ104とで中抜き屑12Bをニップすると、中抜き屑12Bが破線矢印方向Xに潰される。その一方で、ニップ力に対する反力によりゴムローラのゴム表面が実線矢印方向Yに弾性変形する。この弾性変形により、中抜き屑12Bを山形のままで搬送することができる。
図示しなかったが、ゴム硬度が90度までは、良好な搬送直進性を満足する中抜き屑12Bの山形高さを維持することができる。この場合、ゴム硬度が50度を下回ると、下記に説明する磨耗の点で問題がある。
図16は、押し付けローラ102をゴム硬度が70度のゴムローラで形成した場合に、搬送弛みを発生させないための保持力、即ちローラ102、104と中抜き屑12Bとが20N以上の保持力を達成できるかを調べた結果である(以下、「保持力維持試験」という)。中抜き屑は幅が4mmで山形高さが0.80mmのものを使用した。
保持力とは、押し付けローラ102と駆動ローラ104とで中抜き屑12Bをニップしたときに、中抜き屑12Bとローラ102、104とがスリップしないために必要な力を言い、図17に示す方法によって測定した。即ち、一方端に張力を測定するバネ式の張力計110を取り付けた中抜き屑12Bを、押し付けローラ102と駆動ローラ104とでニップした。そして、駆動ローラ104を手回しで矢印方向に回転させながら、中抜き屑12Bとローラ102、104とがスリップし始めたときの張力を測定した。この結果、保持力が20N以上であれば、中抜き屑12Bとローラ102、104とがスリップすることはなかった。
なお、押し付けローラ102がゴムローラの場合には、磨耗状態によって保持力が低下するので、搬送ローラ100により中抜き屑12Bを加工長250万メートルまでローラ搬送し、加工長の複数箇所における磨耗状態の異なる押し付けローラ102を用いて保持力測定を行った。ローラ搬送する前の保持力を中抜き屑12Bを120Nに設定した。
図16から分かるように、押し付けローラ102としてゴム硬度が70度のゴムローラを用いた場合、加工長が長くなるにつれてゴム磨耗量が増大し、これに伴って中抜き屑12Bに対する保持力が徐々に低下した。しかし、加工長が150万メートルの時点でゴム磨耗量の増大は略停止し、これに伴って保持力も安定した。このときのゴム磨耗量は約0.20mmであり、保持力は約80Nであった。この結果から、押し付けローラ102をゴムローラで形成して長い加工長までローラ搬送しても、ローラ102、104と中抜き屑12Bとが20N以上の保持力を達成する点で問題ないことが分かる。同様に、ゴム硬度が50度の場合と90度の場合とについてニップ圧維持試験を行ったが、ゴム硬度70度の場合と同様に問題ない結果となった。また、ゴム硬度が50度を下回ると、磨耗の増大速度が大きくなり、実用的ではないことが分かった。
図18は、押し付けローラ102としてゴムローラを使用する場合の好ましい態様であり、押し付けローラ102を幅方向にスライドさせるスライド手段を設けた場合である。この場合、図18に示すように、押し付けローラ102の幅W1は、駆動ローラ104の幅W2よりも小さくする。そして、一対の軸受部材102B及び一対のエアシリンダー106Aを支持するフレーム112を、天井面に114に敷設したレール116に、自走式の移動手段115(例えばモノレール方式)を介して吊設する。これにより、押し付けローラ102を幅方向に移動させることができる。これによりスライド手段111が構成されるが、スライド手段111は、この構成に限らない。
図19に示すように、スライド手段111を設けることによって、通常は、中抜き屑12Bを押し付けローラ102のローラ中央部でロール搬送する。そして、ローラ中央部の磨耗が進んだら、スライド手段111を駆動して、押し付けローラ102を幅方向の左側又は右側にシフトさせる。これにより、中抜き屑12Bをニップする保持力を安定化することができるので、中抜き屑12Bの直進搬送性を一層向上することができる。押し付けローラ102をシフトさせる距離としては、中抜き屑12Bの幅が最大でも10mm程度であることから、13mm以上シフトすることが好ましい。
また、20N以上300N以下の保持力を達成する方法としては、エアシリンダー106Aでニップ力を調整する以外に、駆動ローラ104に対する押し付けローラ102の高さ、即ち両ロール102、104のクリアランスを調整するクリアランス調整機構によっても達成できる。
図20に示すように、クリアランス調整機構は、押し付けローラ102を回転自在に支持する一対の軸受部材102B,102Bにそれぞれナット部材120,120(スライダー)が設けられ、このナット部材120,120に送りネジ122,122(例えばボールネジ)が螺合される。また、送りネジ122,122の基端部が正逆回転可能な送りモータ124,124(例えばサーボモータ)に結合されると共に、送りモータ124,124は図示しない機器本体のフレームに固定される。これにより、押し付けローラ102は、送りモータ124,124と送りネジ122,122によって駆動ローラ104に対して進退移動するので、駆動ローラ104に対する押し付けローラ102の高さ、即ち両ロール102、104のクリアランスを調整することができる。
なお、図示しないが、ナット部材120,120は、送りネジ122,122と平行にフレームに敷設されたガイドレールにリニアガイドを介してスライドさせるようにすることが好ましい。
[実施例1]
次に、本発明の実施例を説明する。
次に、本発明の実施例を説明する。
[実施例A]
実施例Aでは、押し付けローラ102として市販のウレタンゴム製ゴムローラ(ミスミ製)を使用し、ゴム硬度とニップ力を変えたときに、幅4mm、山形高さ0.76mmの中抜き屑の潰れ度合いを調べた。合わせて搬送直進性を調べた。
実施例Aでは、押し付けローラ102として市販のウレタンゴム製ゴムローラ(ミスミ製)を使用し、ゴム硬度とニップ力を変えたときに、幅4mm、山形高さ0.76mmの中抜き屑の潰れ度合いを調べた。合わせて搬送直進性を調べた。
搬送直進性とは、搬送ローラの下流側において中抜き屑が真っ直ぐに搬送されるかを見たものである。
ゴム硬度は、50度、70度、90度の3水準で行い、ニップ力は45Nの場合と150Nの場合との2水準で行った。なお、ニップ力45Nは、エアシリンダーを用いずに押し付けローラ自身の自重によって発生させた。ゴム硬度は、テクロック製のデュロメータ形式GS−719G(置針型)で測定した(準拠規格…JIS K 6253、ISO7619、ASTMD2240)。
ゴムローラはステンレス製のローラ胴に厚み5mmのゴム層が形成されている。また、市販のゴムローラは、ゴム硬度が90度の場合と、70度及び50度の場合とではウレタンゴムの種類が異なり、90度ではエーテル系となり、70度及び50度の場合はエステル系となる。
一方、比較例として、押し付けローラとして鉄製ローラ(S45C)を用いて、ニップ力150Nで行った。
(試験結果)
その結果を図21の表図に示す。図21から分かるように、ゴム硬度が50度の場合には、ニップ力が45Nにおいて中抜き屑は全く潰れておらず、ニップ後においても元の0.76mmの山形高さを維持していた。また、ニップ力が150Nでは、ニップ後の山形高さは0.70mmであった。いずれの場合にもニップ後の中抜き屑の曲がりはなく、搬送直進性は良好であった。
その結果を図21の表図に示す。図21から分かるように、ゴム硬度が50度の場合には、ニップ力が45Nにおいて中抜き屑は全く潰れておらず、ニップ後においても元の0.76mmの山形高さを維持していた。また、ニップ力が150Nでは、ニップ後の山形高さは0.70mmであった。いずれの場合にもニップ後の中抜き屑の曲がりはなく、搬送直進性は良好であった。
ゴム硬度が70度の場合には、ニップ力が45Nで山形高さが0.73mmとなり、ニップ力が150Nで山形高さが0.53mmとなった。いずれの場合にもニップ後の中抜き屑の曲がりはなく、搬送直進性は良好であった。
ゴム硬度が90度の場合には、ニップ力が45Nで山形高さが0.57mmとなり、ニップ力が150Nで山形高さが0.36mmとなった。いずれの場合にもニップ後の中抜き屑の曲がりはなく、搬送直進性は良好であった。
一方、鉄製ローラ(S45C)を用いた場合には、ニップ力が150Nで山形高さが0.31mmとなり、搬送ローラによる搬送において中抜き屑の曲がりが発生した。
この結果から、ゴム硬度が50〜90度の範囲のゴムローラは、鉄製ローラに比べて中抜き屑の山形を高いままで搬送でき、ニップ後の中抜き屑の曲がりはなく、良好な搬送直進性を得ることを確認した。また、図20の結果から、中抜き屑のニップ後の山形高さは、少なくとも0.36mm以上ないと良好な搬送直進性が得られないことが考察される。
[実施例B]
上記実施例Aの結果から、押し付けローラとしてゴム硬度50〜90度の真ん中の70度のゴムローラ(実施例)を使用してロール搬送したときの「搬送弛みの有り無し」と「搬送直進性(搬送曲がりの有り無し)」について評価した。即ち、搬送直進性のみならず、搬送弛みが発生しないかについても調べた。
上記実施例Aの結果から、押し付けローラとしてゴム硬度50〜90度の真ん中の70度のゴムローラ(実施例)を使用してロール搬送したときの「搬送弛みの有り無し」と「搬送直進性(搬送曲がりの有り無し)」について評価した。即ち、搬送直進性のみならず、搬送弛みが発生しないかについても調べた。
搬送弛みとは、搬送ローラの上流側での中抜き屑の弛みを言い、十分な保持力が得られないためにローラと中抜き屑とが過度にスリップし搬送できないことにより発生する。なお、搬送直進性とは、実施例Aと同様である。
比較例としては、ローラ表面にハードクロムメッキして研磨したローラで、図23に示すようにローラ表面に凹凸を形成した鉄製ローラを使用した。
駆動ローラは、実施例及び比較例ともに、ローラ表面にハードクロムメッキして研磨した鉄製ローラを使用した。
エアシリンダーによるニップ力は、ゴムローラの場合には、160N、70N,50N、及び45Nの4水準で行い、鉄製ローラは160Nの1水準で行った。
また、押し付けローラと駆動ローラとの隙間(クリアランス)は、押し付けローラがゴムローラの場合及び金属ローラの場合ともに0mmで行った。
搬送される中抜き屑は、ゴムローラの場合には、幅4mm、高さ0.80mmのものと、幅10mm、高さ0.68mmのものとの2種類で行い、金属ローラの場合には、幅4mm、高さ0.80mmの1種類で行った。
(試験結果)
実施例Bの結果を図22の表に示す。図22の表から分かるように、エアシリンダーによるニップ力を160N、70N、50N、45Nと順次小さくしていくと保持力も低下するが、保持力が20N(ニップ力50Nのとき)以上であれば、中抜き屑の幅が4mmと細くても、搬送弛み及び搬送曲がりは生じなかった。しかし、ニップ力を押し付けローラのローラ自重と同じ45Nにすると、保持力が18Nとなり、搬送曲がりは発生しなかったが、ローラと中抜き屑とのスリップが発生し、搬送弛みが生じた。これにより、保持力は20N以上必要であることが分かる。
実施例Bの結果を図22の表に示す。図22の表から分かるように、エアシリンダーによるニップ力を160N、70N、50N、45Nと順次小さくしていくと保持力も低下するが、保持力が20N(ニップ力50Nのとき)以上であれば、中抜き屑の幅が4mmと細くても、搬送弛み及び搬送曲がりは生じなかった。しかし、ニップ力を押し付けローラのローラ自重と同じ45Nにすると、保持力が18Nとなり、搬送曲がりは発生しなかったが、ローラと中抜き屑とのスリップが発生し、搬送弛みが生じた。これにより、保持力は20N以上必要であることが分かる。
また、中抜き屑の幅が10mmと広幅な場合には、4mm幅と同じニップ力160Nで行っても保持力が大きくなり、より安定した搬送が可能となる。
一方、押し付けローラとして凹凸付きの金属ローラを使用した場合には、ニップ力が160Nのときの保持力が47Nであり、搬送弛みは生じないが、山形の中抜き屑のニップ後の高さが0.31mmまで低くなり搬送直進性が悪くなった。
このために、中抜き屑が曲がって搬送され、搬送ローラとチョッパー装置との間のガイド通路において中抜き屑の詰まりが発生した。
[実施例A及び実施例Bのまとめ]
押し付けローラとして、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラを使用し、ローラ表面の弾性変形を利用することで、中抜き屑を山形の形状を維持したままで且つ20N以上の保持力で搬送することができる。これにより、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を曲げずに蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑をニップ搬送できる。
押し付けローラとして、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラを使用し、ローラ表面の弾性変形を利用することで、中抜き屑を山形の形状を維持したままで且つ20N以上の保持力で搬送することができる。これにより、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を曲げずに蛇行搬送させることなく、しかも中抜き屑に搬送弛みが生じないように中抜き屑をニップ搬送できる。
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Claims (6)
- 走行する帯状の平版印刷版を、所定距離を置いて配置された2つの刃先を有する中抜下刃と2つの刃先を有する中抜き上刃とで中抜き裁断する裁断工程と、
前記中抜き裁断された帯状の中抜き屑を幅方向断面が山形になるように折り曲げる折り曲げ工程と、
前記中抜き裁断で発生した帯状の中抜き屑を、前記山形の凸側に配置された押し付けローラと凹側に配置された駆動ローラとでニップ搬送する搬送工程と、を備え、
前記搬送工程では、前記中抜き屑の山形を維持したままで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ搬送することを特徴とする平版印刷版の裁断方法。 - 走行する帯状の平版印刷版を、所定距離を置いて配置された2つの刃先を有する中抜下刃と2つの刃先を有する中抜き上刃とで中抜き裁断すると共に、中抜き裁断された帯状の中抜き屑を幅方向断面が山形になるように折り曲げる中抜き裁断手段と、該中抜き裁断手段で発生した帯状の中抜き屑を、前記山形の凸側に配置された押し付けローラと凹側に配置された駆動ローラとでニップ搬送する搬送ローラと、を少なくとも備えた平版印刷版の裁断装置において、
前記押し付けローラは、ゴム硬度が50〜90度のゴムローラで且つ20N以上300N以下の保持力でニップ可能な構造を有することを特徴とする平版印刷版の裁断装置。 - 前記押し付けローラを幅方向にスライドさせるスライド手段を有することを特徴とする請求項2の平版印刷版の裁断装置。
- 前記山形の中抜き屑の幅は4mm以下であることを特徴とする請求項2又は3の何れか1に記載の平版印刷版の裁断装置。
- 前記中抜き屑の前記山形の折り曲げ角度は、折り曲げる前の水平面に対して18〜38度の角度θであることを特徴とする請求項2〜4の何れか1に記載の平版印刷版の裁断装置。
- 前記平版印刷版の厚みは0.1〜0.5mmの範囲であることを特徴とする請求項2〜5の何れか1に記載の平版印刷版の裁断装置。
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