JP2012160903A - 通信装置、通信方法及び通信プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】呼制御においてSIPを利用するNGN網と接続された回線終端装置と、他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、NGN網の先の端末装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、呼確立後に呼接続宛先IPアドレスと異なるメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータ送信する場合であっても、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行う通信装置等を提供すること。
【解決手段】本発明に係る通信装置は、デフォルトゲートウェイをルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶した記憶手段と、呼確立後、メディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを回線終端装置とした第2エントリを、第1エントリに優先してルーティングテーブルに追加するエントリ追加手段と、メディアデータ送信完了後、第2エントリをルーティングテーブルから削除するエントリ削除手段とを有する。
【選択図】図8

Description

本発明は、通信装置、通信方法及び通信プログラムの分野に関する。
近年、これまでのアナログ電話回線を利用していたFAXをIP化することにより、IP網を経由してFAXデータを送受信するIP−FAXが普及している。さて2010年6月より日本電信電話株式会社(NTT)は、NGN(Next Generation Network)を利用したデータコネクトサービスをスタートさせた(例えば特許文献1参照)。このNGNサービスは、QoSやセキュリティを向上させた統合IP網を構築し、電話網を代替できる次世代の通信インフラとして、音声/映像/画像(IP-FAXなど)のようなリアルタイム指向のデータをNGN網の公衆回線で転送するサービスである。
従来のIP−FAXでは、不特定多数者が利用するインターネットを利用することによるセキュリティの問題から、特に企業ではこれまでIP−FAXの利用をイントラネットだけに限定して使用されることも多かった。しかしこのNGNにIP−FAXを接続することで、従来のアナログ電話回線と同様、安全に公衆回線(NGN網)上の任意のIP−FAX同士を接続できるようになった。NGNサービスの利用には加入が必要であり、装置毎にNGN番号(電話番号のようなもの)が与えられるので、網内に接続される装置は身元が明らかであるからである。またNGN網を介した通信では、多くの制御がSIP(Session Initiation Protocol)で実現されるが、そのSIPの基本的な機能としてまずあげられるのは、2以上のクライアント間で電話やFAXの通信(セッション)をつないだり切ったりするための呼制御がある。
図1は、IP−FAXシステム構成例1を示す。図に示されるように、IP−FAX(装置)はNGN網で相互に接続されており、IP−FAXはNGN網を介しFAXデータをパケットとして送受信する。具体的にNGNを利用するに際しては、上述の如く装置毎にNGN番号が与えられているので、送信元のIP−FAX11はFAXを送信するときには、送信先のIP−FAX21のNGN番号に対して発呼する。呼確立のためのSIPメッセージ(SIP INVITE)は、回線終端装置(NGN homegateway)12を介してNGN網内のSIPプロキシサーバ31に転送され、最終的に送信先のIP−FAX21に転送される。送信元のIP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)を受信することにより送信先のIP−FAX21と呼を確立すると、そのIP−FAX11に対し実際のメディアデータ(例えばFAXデータを送信する。メディアデータは、回線終端装置12を介し、今度はNGN網内のメディアゲートウェイ32に転送され、最終的にIP−FAX21に転送されることによりIP−FAXが実現される。
呼確立の際、送信先のIP−FAX21からのSIPメッセージ(SIP 200 OK)がIP−FAX11に転送されてくるが、このときメディアデータの転送先はNGN網内の所定のメディアゲートウェイ32に転送するよう通知・指定されてくる(NGN仕様)。従って送信元のIP−FAX11はメディアデータを送信する際、その送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のアドレスをセット(IPヘッダ内)してメディアデータ・パケットを送信する。
しかしながら、上述の如くNGN網を介してIP−FAXが相互を通信するに際し、そのシステム構成によっては以下のような問題がある。
図2は、IP−FAXシステム構成例2を示す。図に示されるように、IP−FAXはNGN網で相互に接続されており、また送信元のIP−FAX11は同一セグメント(ブロードキャスト到達内;例えば192.168.1.0/24)内において、回線終端装置のほかに異なるルータA13が接続されている。そしてこのルータA13のその先には、社内LANやWANを含む他のネットワーク・セグメントと接続されている。つまり本システム構成下においては、本セグメント(192.168.1.0/24)において2以上の出口(ゲートウェイ)が存在する。
本システム構成下において具体的にNGNを利用するに際し、送信元のIP−FAX11はFAXを送信するときには、送信先のIP−FAX21の電話番号(NGN番号)に対して発呼する。SIPメッセージ(SIP INVITE)の呼接続宛先IPアドレスは回線終端装置12のIPアドレスに設定されているので、IP−FAX11はこのSIPメッセージを回線終端装置12に転送する。回線終端装置12はSIPメッセージを中継する装置であるので、SIPメッセージ内(IPヘッダ)の呼接続宛先IPアドレスを回線終端装置12のIPアドレスからNGN網内のSIPプロキシサーバ31に変更し、SIPメッセージをSIPプロキシサーバ31に転送する。そしてこのSIPメッセージは、最終的に送信先のIP−FAX21に転送される。送信元のIP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)を受信することにより送信先のIP−FAX21と呼を確立すると、そのSIPメッセージに含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得する。そしてその送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータのIPヘッダ内にセットしてメディアデータ・パケットをルータA13に転送する(転送してしまう)。IP−FAX11において、パケットデータの'デフォルト'ゲートウェイは、社内LANやWAN用としてのルータA13(192.168.1.1)と設定されているためである。
ルータA13はメディアデータ・パケット受信時、次のように動作する。ルータA13のルーティングテーブルに宛先「118.xxx.160.22」のルートが存在しない場合には、ICMP Net Unreachableを応答して受信したパケットを破棄する。ルーティングテーブルに宛先「118.xxx.160.22」のルートが存在する場合には、その宛先へパケットを転送する。但し転送先が回線終端装置12(192.168.1.10)でない場合、ルータB14先の例えばWANに対して転送されるので、やはりパケットは破棄される可能性が大きい。
そのため、送信元のIP−FAX11が属するセグメントに回線終端装置12以外のルータA13が存在した場合、メディアデータをどちらのルータに送信するのか解決する必要があるが、一般にはルータ同士で動的にルーティング情報をやりとりしたり、ルータA13において宛先「118.xxx.160.22」への静的ルートの設定を行うことで解決する。具体的にはルータAのルーティングテーブルにおいて、「Destination」18.xxx.160.22、「Netmask」を255.255.255.255、「Gateway(Nexthop)」を回線終端装置12のIPアドレス192.168.1.10とするルートが動的又は静的に設定されれば、ルータA13は受信したメディアデータ・パケットを回線終端装置12へ転送できる。
しかしながら、メディアデータの転送先は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)に含まれ、NGN網内の所定のメディアゲートウェイ32に転送するよう通知・指定されてくる(NGN仕様)ものであるので必ずしも既知情報ではなく、この場合ルータに予め静的にルーティングの設定をすることができなかったり、仮に既知情報であったとしても、NGN網側の事情等により流動的である可能性もあり(メディアゲートウェイ32は地域毎に使い分けられている)、その設定作業は非常に手間である。またルータ(特に回線終端装置12)によってはそもそも動的にルーティング情報をやりとりする機能がないものも見られる。
図1のシステム構成例のように、外部セグメントへの出口が1つであるため、常に1のデフォルトゲートウェイに対しパケットデータを転送すればよい。一方、図2のシステム構成例のように外部セグメントへの出口が複数の場合、NGN網を介してIP−FAXが通信するに際し、呼接続先のIPアドレス(回線終端装置12:192.168.1.10)と、メディアデータの送信先(メディアゲートウェイ32:118.xxx.160.22)のIPアドレスが異なるため、呼確立後、送信元のIP−FAX11がメディアデータをいずれに転送すべきかが問題となる。即ち、同一セグメント内に一以上のルータA13と回線終端装置とが存在し、回線終端装置12を中継してNGN網の先の端末装置と交信する際、呼接続宛先IPアドレス(回線終端装置12のIPアドレス)と、メディアデータ送信宛先IPアドレス(NGN網内のメディアゲートウェイ32のIPアドレス)とが異なるため、メディアデータ内のIPヘッダにはメディアゲートウェイ32のIPアドレスがセットされる。従ってメディアデータは、本来回線終端装置12に転送されるべきところ、社内LANやWAN用として設けられているデフォルトゲートウェイ(ルータA13)に転送されてしまい、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行うことができないという問題があった。
本発明は上記のような問題に鑑み提案されたものであり、呼制御においてSIPを利用するNGN網と接続された回線終端装置と、他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、NGN網の先の端末装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、呼確立後に呼接続宛先IPアドレスと異なるメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータ送信する場合であっても、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを本発明により提供する。
そこで上記課題を解決するため、本発明に係る通信装置は、公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置であって、デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶した記憶手段と、前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手段と、前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手段とを有することを特徴とする。
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスが、自装置が属するサブネットに属さないIPアドレスであるか否か、自装置が属するサブネットに属する前記回線終端装置を中継して呼が確立されたか否か、前記デフォルトゲートウェイと、前記回線終端装置とが一致するか否かを判定し、該判定が全て肯定された場合に、前記エントリ追加手段は、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルに追加することを特徴とする。
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスからメディアデータを受信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置であって、デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶した記憶手段と、前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対し、トランスポート層プロトコルにUDPを使用してメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手段と、前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手段とを有することを特徴とする。
また上記課題を解決するため、上記通信装置は、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスが、自装置が属するサブネットに属さないIPアドレスであるか否か、自装置が属するサブネットに属する前記回線終端装置を中継して呼が確立されたか否か、前記デフォルトゲートウェイと、前記回線終端装置とが一致するか否かを判定し、該判定が全て肯定された場合に、前記エントリ追加手段は、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルに追加することを特徴とする。
なお、本発明の構成要素、表現または構成要素の任意の組合せを、方法、装置、システム、コンピュータプログラム、記録媒体、などに適用したものも本発明の態様として有効である。
本発明によれば、呼制御においてSIPを利用するNGN網と接続された回線終端装置と、他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、NGN網の先の端末装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、呼確立後に呼接続宛先IPアドレスと異なるメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータ送信する場合であっても、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行う通信装置、通信方法及び通信プログラムを提供することができる。
IP−FAXシステム構成例1を示す。 IP−FAXシステム構成例2を示す。 呼制御を説明するIP−FAXシステム構成図である。 メディアデータ送信を説明するIP−FAXシステム構成図である。 従来例に係るIP−FAX11のルーティングテーブル例である。 呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス図である。 本実施形態に係るシステム構成図である。 本実施形態に係るIP−FAX11及びIP−FAX21のルーティングテーブル例である。 呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス図である。 発呼機側のエントリの追加・削除の処理を説明するフローチャートである。 着呼機側のエントリの追加・削除の処理を説明するフローチャートである。 本実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。 本実施形態に係るIP−FAX12(及び21)の主要機能構成を示す機能ブロック図である。
以下、本発明を実施するための形態を各実施形態において図面を用いて説明する。なお本実施形態においては、本発明に係る通信装置の一例としてIP−FAX(装置)に本発明を適用した例を以下に示す。
[従来例]
はじめに、具体的な発明の内容を説明する前に、従来例について説明する。
(呼制御)
図3は、呼制御を説明したIP−FAXシステム構成図(図2と同様図)である。図に示されるように、IP−FAXはNGN網で相互に接続されており、また送信元のIP−FAX11は同一セグメント(ブロードキャスト到達内;例えば192.168.1.0/24)内において、回線終端装置12のほかに異なるルータA13(デフォルトゲートウェイ)が接続されている。そしてこのルータA13のその先には、社内LANやWANを含む他のネットワークセグメントと接続されている。つまり本システム構成下においては、本セグメント(192.168.1.0/24)において2以上の出口(ゲートウェイ)が存在する。以下、従来例によるデータ通信例を示す。
本システム構成下において、送信元のIP−FAX11はFAXを送信するときには、送信先のIP−FAX21の電話番号(NGN番号)に対して発呼する。SIPメッセージ(SIP INVITE)の呼接続宛先IPアドレスは回線終端装置12のIPアドレス(192.168.1.10)に設定されているので、図に示されるようにSIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」に192.168.1.10をセットし、IP−FAX11はこのSIPメッセージを回線終端装置12に転送する。なお回線終端装置12(192.168.1.10)は、IP−FAX11と同一セグメント(192.168.1.0/24)に存在する。つまりブロードキャスト到達範囲内であるので、ARP(Address Resolution Protocol)によって回線終端装置12のMACアドレスを特定し、直接アクセスできる。
回線終端装置12はSIPメッセージを中継する装置であるので、SIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」をNGN網内のSIPプロキシサーバ31のIPアドレス188.xxx.140.11に変更、また「送信元IPアドレス」を回線終端装置12のIPアドレス188.xxx.150.146(NGN網側)に変更し、SIPメッセージをSIPプロキシサーバ31に転送する。
SIPプロキシサーバ31(代理サーバ)は、SIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」を宅内の回線終端装置13のIPアドレス188.xxx.160.146(NGN網側)に変更、また「送信元IPアドレス」をSIPプロキシサーバ31のIPアドレス188.xxx.140.11に変更し、SIPメッセージを宅内の回線終端装置13に転送する。
宅内の回線終端装置13は、SIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」をIP−FAX21のIPアドレス192.168.1.2に変更し、SIPメッセージをIP−FAX21に転送する。
送信先のIP−FAX21は、送信元のIP−FAX11に対し、逆ルートでSIPメッセージ(SIP 200 OK)を応答する。IP−FAX11はこのSIPメッセージ(SIP 200 OK)を受信することにより送信先のIP−FAX21と呼を確立する。
(メディアデータ送信)
図4は、メディアデータ送信を説明するIP−FAXシステム構成図である。送信元のIP−FAX11は呼確立後、続いてIP−FAX21に対しメディアデータ(例えばFAXデータを送信する。IP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)に含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得し、その送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータ・パケットのIPヘッダ内にセットする。そしてルーティングテーブルに基づいてそのメディアデータ・パケットを転送する。なおメディアゲートウェイ32(118.xxx.160.22)は、IP−FAX11と同一セグメント(192.168.1.0/24)に存在しないため、回線終端装置12とは異なり、IP−FAX11はメディアゲートウェイ32に対し、直接アクセスできない。
図5は、従来例に係るIP−FAX11のルーティングテーブル例である。図に示されるように、IP−FAX11のルーティングテーブルでは、デフォルトゲートウェイは、社内LANやWAN用のルータA13(192.168.1.1)となっている。本ルーティングテーブルによれば、全てのパケットはルータA13に転送するよう規定されている。従ってIP−FAX11は、「宛先IPアドレス」が118.xxx.160.22であるメディアデータ・パケットをルータA13に転送する。ルータA13のルーティングテーブルに宛先118.xxx.160.22へのルートが存在しない場合、メディアデータ・パケットはルータB14、さらには先のWANへ転送されるが、結局宛先は存在しないとして破棄される可能性が大きい。
(呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス)
図6は、呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス図である。即ち上述の呼制御及びメディアデータ送信の過程をシーケンス図で示したものである。
図に示されるように、IP−FAX11は、IP−FAX21とのSIPによる呼接続には成功する。上述したように、IP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP INVITE)の呼接続宛先IPアドレスは回線終端装置12のIPアドレス(192.168.1.10)に設定されているので、SIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」に192.168.1.10をセットし、IP−FAX11はこのSIPメッセージを同一セグメント内の回線終端装置12に転送するからである。
しかしながら、IP−FAX11は、メディアデータ・パケット送信時においてIP−FAX21とのTCPコネクションを接続することができない。上述したように、IP−FAX11は、メディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータ・パケットのIPヘッダ内にセットすると、ルーティングテーブルに基づいてそのメディアデータ・パケットをデフォルトゲートウェイであるルータA13に転送してしまうからである。
結局、IP−FAX11は、規定回数だけ再送するも成功せずTCPコネクション接続に失敗する。IP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP BYE)をそのSIPメッセージのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」に192.168.1.10をセットして生成し、このSIPメッセージを回線終端装置12に転送する。そしてSIPによる呼接続を切断する。
以上、図3、4の従来例に係るシステム構成例のように、同一セグメント内に一以上のルータA13と回線終端装置とが存在し、回線終端装置12を中継してNGN網の先の端末装置と交信する際、呼接続宛先IPアドレス(回線終端装置12のIPアドレス)と、メディアデータ送信宛先IPアドレス(NGN網内のメディアゲートウェイ32のIPアドレス)とが異なるため、メディアデータ内のIPヘッダにはメディアゲートウェイ32のIPアドレスがセットされる。従ってメディアデータ・パケットは、本来回線終端装置12に転送されるべきところ、社内LANやWAN用として設けられているデフォルトゲートウェイ(ルータA13)に転送されてしまい、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行うことができないという問題があった。
なお、図6では、トランスポート層のプロトコルとして高信頼なTCPを使用する例を示したが、SIPにおいてはUDPのような比較的信頼性の低いプロトコルを使用することも可能である。しかしながらUDPを使用した場合であっても、結果は同様である。即ち先の端末装置に対しメディアデータ・パケットは到達できない。
[実施形態]
次に本実施形態に係るIP−FAXについて説明する。なおシステム構成としては、上述の図3、4のシステム構成例と同様である。但し以下説明するように、本実施形態に係るIP−FAX11は、ルーティングテーブルにおいて従来例のものとは異なっている。
(呼制御)
本実施形態に係るIP−FAXについても、呼制御は従来例の呼制御と同様である。図3を用いて説明した過程を経て、送信元のIP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)を受信することにより送信先のIP−FAX21との呼を確立することができる。
(メディアデータ送信)
図7は、本実施形態に係るシステム構成図である。送信元のIP−FAX11は呼確立後、続いてIP−FAX21に対しメディアデータ(例えばFAXデータ)を送信する。IP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)に含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得し、その送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータ・パケットのIPヘッダ内にセットする。宛先のIPアドレス(118.xxx.160.22)はIP−FAX11と同一セグメント内に存在しないので、ルーティングテーブルに基づいてそのメディアデータ・パケットを転送することになる。
図8は、本実施形態に係るIP−FAX11及びIP−FAX21のルーティングテーブル例である。図に示されるルーティングテーブルは、呼接続後、メディアデータ・パケット送受信前におけるエントリ状態を示す。IP−FAX11は、呼接続後、SIPメッセージ(SIP 200 OK)に含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得し、その送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータ・パケットのIPヘッダ内にセットするが、このとき併せてルーティングテーブルのエントリを1行(最上位行)追加する処理を行う。具体的には、「Destination」をメディアゲートウェイ32のIPアドレス118.xxx.160.22、「Netmask」を255.255.255.255、「Gateway(Nexthop)」を回線終端装置12のIPアドレス192.168.1.10、「Flag」をUGHとしたエントリをルーティングテーブル内に追加する。なおエントリを1行(最上位行)追加するのは、一般にルートの照合は上位行から優先して適用されていくためである。
同様に、IP−FAX21は、呼接続中、SIPプロキシサーバ31経由のSIPメッセージ(SIP INVITE)に含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得できるが、このとき併せてルーティングテーブルのエントリを1行(最上位行)追加する処理を行う(但しUDP使用の場合;詳細後述)。具体的には、「Destination」をメディアゲートウェイ32のIPアドレス118.xxx.160.22、「Netmask」を255.255.255.255、「Gateway(Nexthop)」を宅内の回線終端装置22のIPアドレス192.168.1.50、「Flag」をUGHとしたエントリをルーティングテーブル内に追加する。
なお「Flag」欄において「U」、「G」、「H」の意味はそれぞれ次の通りである。
「U」・・・経路が有効になっていることを示す。
「G」・・・経路はゲートウェイ(ルータ)に向かっていることを示す。このフラグが設定されていなければ宛先IPアドレスは当該機器とゲートウェイ(ルータ)を介さずに直接接続されている。
「H」・・・経路はホストに向かっており、宛先IPアドレスは完全なホストアドレスであることを示す。宛先IPアドレスはIPアドレスの集合(ネットマスクのようなもの)ではないことを示す。
さて、再び図7を参照する。送信元のIP−FAX11は呼確立後、続いてIP−FAX21に対しメディアデータ(例えばFAXデータを送信する。IP−FAX11は、SIPメッセージ(SIP 200 OK)に含まれるメディアゲートウェイ32のIPアドレスを取得し、その送信先に指定されたメディアゲートウェイ32のIPアドレス(118.xxx.160.22)をメディアデータ・パケットのIPヘッダ内にセットする。
次いでIP−FAX11はルーティングテーブル(図8)を参照し、宛先118.xxx.160.2であるメディアデータ・パケットの転送先を確認する。ルーティングテーブルでは、「Destination」118.xxx.160.2、「Netmask」255.255.255.255のパケットは、「Gateway(Nexthop)」192.168.1.10に転送するように規定されているので、IP−FAX11は、ルーティングテーブルに従ってこのメディアデータ・パケットを回線終端装置12(192.168.1.10)に転送する。
なお、ルーティングテーブルで「Destination」118.xxx.160.2のエントリが存在しない場合には、ルーティングテーブルでは、「Destination」0.0.0.0、「Netmask」0.0.0.0のパケット、つまり全てのパケットは、「Gateway(Nexthop)」192.168.1.1に転送するように規定されているので、IP−FAX11は、ルーティングテーブルに従ってこのメディアデータ・パケットをルータA13(192.168.1.1)に転送してしまうことになる。
次いで回線終端装置12は、メディアデータ・パケットのIPヘッダ内「送信元IPアドレス」を回線終端装置12のIPアドレス188.xxx.150.146(NGN網側)に変更し、メディアデータ・パケットをメディアゲートウェイ32に転送する。
メディアゲートウェイ32は、メディアデータ・パケットのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」を宅内の回線終端装置13のIPアドレス188.xxx.160.146(NGN網側)に変更、また「送信元IPアドレス」をメディアゲートウェイ32のIPアドレス188.xxx.160.22に変更し、メディアデータ・パケットを宅内の回線終端装置13に転送する。
宅内の回線終端装置13は、メディアデータ・パケットのIPヘッダ内「宛先IPアドレス」をIP−FAX21のIPアドレス192.168.1.2に変更し、メディアデータ・パケットをIP−FAX21に転送する。
送信先のIP−FAX21は、送信元のIP−FAX11に対し、逆ルートでメディアデータ・パケットに応答する。結局IP−FAX11はこのメディアデータ・パケット(例えばFAXデータを送信先のIP−FAX21に対し送信することができる。
なお、メディアデータ・パケットの送受信が終了すると、IP−FAX11及びIP−FAX21は、追加したルーティングテーブル内のエントリをそれぞれ削除する。即ち図8の1行目のエントリ(「Destination」118.xxx.160.22・・・)を削除する。削除後は、デフォルトゲートウェイに関する設定が2行分のみが残ることになる。
(呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス)
図9は、呼確立及びメディアデータ送信のシーケンス図である。即ち上述の本実施形態に係る呼制御及びメディアデータ送信の過程をシーケンス図で示したものである。
図に示されるように、IP−FAX11は、IP−FAX21に対しSIP呼の開始信号であるSIPメッセージ(SIP INVITE)を送信し、またIP−FAX21からSIPメッセージ(SIP 200 OK)を受信することにより呼を確立する。
次にIP−FAX11及は、呼確立後、上述したようにルーティングテーブル内のエントリを追加する。具体的には、「Destination」をメディアゲートウェイ32のIPアドレス118.xxx.160.22、「Netmask」を255.255.255.255、「Gateway(Nexthop)」を自セグメント内の回線終端装置12のIPアドレス192.168.1.10、「Flag」をUGHとしたエントリをルーティングテーブル内に追加する(図8)。
ルーティングテーブル内にエントリ追加後、IP−FAX11はメディアデータ・パケットの送信を開始する。即ちまず例えばTCPコネクションの接続を開始する。ここで、IP−FAX11は「TCP SYN」を自身のルーティングテーブル(追加エントリ)に従ってデフォルトデートウェイである回線終端装置12へ転送する。一方IP−FAX21は「TCP SYN」を受信するが、発呼機側で指定されたトランスポート層プロトコルが'TCP'の場合には、着呼機側としては、発呼機側から接続されたTCPの機能でパケットの送信先を制御してくれるため、ルーティングテーブルにおいて、回線終端端末22をゲートウェイとする追加エントリは必要ではない。よってIP−FAX21はTCP制御により応答の「TCP SYN ACK」を回線終端装置22へ転送する。
そしてTCPコネクションの接続に成功すると、IP−FAX11は実際のメディアデータ・パケット(TCPデータフレーム)を自身のルーティングテーブルに従ってデートウェイである回線終端装置12へ転送する。そして全て転送が完了すると、図の通りTCPコネクションの接続を切断する。
次にIP−FAX11は、TCPコネクションを切断しメディアデータ・パケットの転送を完了すると、上述したようにルーティングテーブル内の追加エントリを削除する。具体的には、「Destination」をメディアゲートウェイ32のIPアドレス118.xxx.160.22、「Netmask」を255.255.255.255、「Gateway(Nexthop)」を自セグメント内の回線終端装置12のIPアドレス192.168.1.10、「Flag」をUGHとしたエントリをルーティングテーブル内から削除する(図8)。
最後に、確立していたSIP呼を切断することにより、IP−FAX11とIP−FAX21の通信を終了する。
なお、図9では、トランスポート層のプロトコルとしてTCPを使用する例を示したが、UDPを使用することも可能である。この場合TCPコネクションの接続等は行われなくとともに、TCP制御はきかなくなるので、発呼機側(IP−FAX11)のみならず着呼機側(IP−FAX21)でもルーティングテーブルにおいても回線終端端末22をゲートウェイとする追加エントリは必要となる。
(エントリの追加・削除の処理)
上述したように、本実施形態に係るIP−FAX11は、SIP呼確立後にルーティングテーブル内のエントリを追加し、メディアデータ・パケットの転送(送信)を完了後にルーティングテーブル内の追加エントリを削除するものである。既に説明した内容と重複する点もあるが、ルーティングテーブル内のエントリの追加・削除の処理を中心に以下フローチャート形式により詳しく説明する。
図10は、発呼機側のエントリの追加・削除の処理を説明するフローチャートである。なおここでいう発呼機側はIP−FAX11に相当する。
S1:発呼機(例えばIP−FAX11)は、SIP呼の開始信号(SIP INVITE)を着呼機(例えばIP−FAX21)に対し送信する。
S2:発呼機は、着呼機からSIP呼の確立信号(SIP 200 OK)を受信したかどうかを判定する。受信した場合、S3へ進む。なおSIP 200 OKを一定時間以内に受信しない場合にはタイムアウトとして呼の確立に失敗したものと判定すればよい。
S3:発呼機は、SIP 200 OKメッセージ中のメッセージボディ(SDP:Session Discription Protocol)をデコードし、メディアデータ送信先のIPアドレスを取得する。
S4:発呼機は、取得したメディアデータ送信先のIPアドレスが、自機が属するサブネットに属さないIPアドレスかどうかを判定する。いいかえるとメディアデータ送信先のIPアドレスが、自機と同一のネットワーク・セグメントに属さないIPアドレスかどうかを判定する。自機が属するサブネットに属さないIPアドレスである場合、S5へ進む。なお自機が属するサブネットに属するIPアドレスである場合には、ブロードキャスト到達範囲内であるので、ARPによってメディアデータ送信先のMACアドレスを特定し、直接アクセスできる(S14)。
S5:発呼機は、同一サブネット(セグメント)にある回線終端端末を経由した発呼であるかどうかを判定する。SIP呼接続時、回線終端端末が同一サブネット(セグメント)にあるかどうか判定可能である。
S6:発呼機は、ルーティングテーブルを参照し、デフォルトゲートウェイのIPアドレスと、回線終端端末のIPアドレスとが一致するかどうかを判定する。一致しない場合は、上述の如く同一サブネット(セグメント)には、回線終端端末のほか、異なるルータが存在していることになる。
S7:発呼機は、ルーティングテーブルにルーティング情報を追加する。即ちメディアデータの送信先のIPアドレスの宛先のゲートウェイを回線終端端末のIPアドレスとして、ルーティングテーブルに新たなエントリを追加する。
S8:発呼機は、メディアデータの送信先のIPアドレスに対し、メディアデータ送信用のコネクション・パケット(例えばTCPコネクション/TCP SYN)を送信し、コネクションを接続する。このとき、ルーティングテーブルが参照され、このコネクション・パケットはゲートウェイである回線終端端末に転送される。
S9:発呼機は、メディアデータの送信先のIPアドレスに対し、メディアデータ・パケットを送信する。このとき、ルーティングテーブルが参照され、このメディアデータ・パケットはゲートウェイである回線終端端末に転送される。
S10:発呼機は、メディアデータの送信を完了したかを判定する。
S11:発呼機は、メディアデータの送信を完了すると、メディアデータの送信先のIPアドレスに対し、コネクション切断・パケット(例えばTCPコネクション/TCP FIN)を送信し、コネクションを切断する。
S12:発呼機は、ルーティングテーブルにルーティング情報を削除する。即ちS7において追加した新たなエントリを削除する。
S13:発呼機は、SIP呼の終了信号(SIP BYE)を着呼機に対し送信し、確立していたSIP呼を切断する。
(補足:UDPのケース)
図11は、着呼機側のエントリの追加・削除の処理を説明するフローチャートである。なおここでいう発呼機側はIP−FAX21に相当する。図10の発呼機側で使用するトランスポート層プロトコルはTCPであるとして説明した。一方、トランスポート層プロトコルがUDPである場合、事情が少し異なる。つまり発呼機側で指定されたトランスポート層プロトコルがTCPの場合、着呼機側としては、発呼機側から接続されたTCPの機能でパケットの送信先を制御してくれるため、ルーティングテーブルにおいて、回線終端端末22をゲートウェイとする追加エントリは必ずしも必要ではない。しかし発呼機側で使用するトランスポート層プロトコルはUDPである場合、TCP制御がきかなくなるので、着呼機側もまた同一サブネット(セグメント)に、回線終端端末のほか、異なるルータが存在している場合、ルーティングテーブルに新たなエントリを追加する必要がある。発呼機側に対し応答パケット(例えばACK)を返答できないからである。以下UDPのケースを補足説明する。
S11:着呼機(IP−FAX21)は、発呼機(IP−FAX11)から、SIP呼の開始信号(SIP INVITE)を受信する。受信した場合、次へ進む。
S12:着呼機は、SIP INVITEメッセージ中のメッセージボディ(SDP)をデコードし、メディアデータ送信先のIPアドレスを取得する。
S13:着呼機は、取得したメディアデータ送信先のIPアドレスが、自機が属するサブネットに属さないIPアドレスかどうかを判定する。いいかえるとメディアデータ送信先のIPアドレスが、自機と同一のネットワーク・セグメントに属さないIPアドレスかどうかを判定する。自機が属するサブネットに属さないIPアドレスである場合、S23へ進む。なお自機が属するサブネットに属するIPアドレスである場合には、ブロードキャスト到達範囲内であるので、ARPによってメディアデータ送信先のMACアドレスを特定し、直接アクセスできる(S23)。
S14:着呼機は、同一サブネット(セグメント)にある回線終端端末を経由した着呼であるかどうかを判定する。SIP着呼時、回線終端端末が同一サブネット(セグメント)にあるかどうか判定可能である。
S15:着呼機は、SIP INVITEメッセージ中のメッセージボディ(SDP)をデコードし、トランスポート層プロトコルがUDPであるかどうかを判定する。トランスポート層プロトコルがTCPの場合、発呼機側から接続されたTCPの機能でパケットの送信先を制御してくれるため、ルーティングテーブルにおいて、回線終端端末22をゲートウェイとする追加エントリは必ずしも必要とならない。逆にUDPの場合、着呼機側においても追加エントリは必要である。
S16:着呼機は、ルーティングテーブルを参照し、デフォルトゲートウェイのIPアドレスと、回線終端端末のIPアドレスとが一致するかどうかを判定する。一致しない場合は、上述の如く同一サブネット(セグメント)には、回線終端端末のほか、異なるルータが存在していることになる。
S17:着呼機は、ルーティングテーブルにルーティング情報を追加する。即ちメディアデータの送信先のIPアドレスの宛先のゲートウェイを回線終端端末のIPアドレスとして、ルーティングテーブルに新たなエントリを追加する。
S18:着呼機は、SIP呼を接続する。即ちSIP 200 OKを応答する。
S19:着呼機は、発呼機からメディアデータ・パケットが送信されてくので、の送信先のIPアドレスに対し、応答データ・パケットを送信する。このとき、ルーティングテーブルが参照され、この応答データ・パケットはゲートウェイである回線終端端末に転送される。なおUDPの場合、メディアデータ・パケット送信に先立ってTCPコネクションの確立は不要である。
S20:着呼機は、メディアデータの送信を完了したかを判定する。
S21:着呼機は、メディアデータの送信を完了すると、ルーティングテーブルにルーティング情報を削除する。即ちS17において追加した新たなエントリを削除する。
S22:着呼機は、発呼機から、SIP呼の終了信号(SIP BYE)を受信するので、終了信号(SIP BYE ACK)を発呼機に対し送信し、確立していたSIP呼を切断する。
[IP−FAX装置]
これまで本実施形態に係るIP−FAX12(及び21)の情報処理を中心説明してきたが、ここで本実施形態に係るIP−FAX12(及び21)のハードウェア構成及び機能ブロックについて以下説明しておく。
(ハードウェア構成)
本実施形態に係るIP−FAXのハードウェアは、具体的にはIP−FAXは複合機によって実現することが可能である。複合機は、コピー、スキャナ、プリンタ、ファックス(アナログFAX及びIP−FAX)などの複数の機能を一つの筐体内に収納した画像形成装置である。
図12は、本実施形態に係る複合機のハードウェア構成の一例を示す図である。本実施形態に係る複合機は、操作パネル11と、記憶メディアI/F12と、コントローラ13と、データ通信I/F14と、スキャナ15と、プロッタ16と、HDD(Hard Disk Drive)17とから構成され、それぞれ相互に接続されている。
操作パネル11は、入力装置11aと表示装置11bとを有しており、入力装置11aは、ハードキーなどで構成され、複合機に各操作信号を入力するのに用いられる。また、表示装置11bは、LCD(液晶ディスプレイ)などで構成され、例えば画像形成動作に関する各種情報を表示する。データ通信I/F14は、インタフェース装置14aを有しており、複合機をネットワークやファックスなどのデータ伝送路に接続するインタフェースである。HDD17は、複合機で取り扱われる受信文書データや読み取り画像データなどの各種データを格納している。また、HDD17は、これらの各種データを、所定のファイルシステムやDB(Data Base)により管理している。
HDD17に格納される各種データの中には、記録媒体12bから入力されるデータを含む。記録媒体12bは、記憶メディアI/F12が有するドライブ装置12aにセットされ各種データが記録媒体12bからドライブ装置12aを介してHDD17に格納される。
コントローラ13は、ROM(Read Only Memory)13a、RAM(Random Access Memory)13b、及びCPU(Central Processing Unit)13cとを有しており、ROM13aは、複合機が起動されるときに実行されるプログラムや各種データを格納している。また、RAM13bは、ROM13aやHDD17から読み出された各種プログラムやデータを一時保持する。更に、CPU13cは、RAM13bが一時保持しているプログラムを実行する。コントローラ13は、例えば、データ通信I/F14を介して印刷データを受信した場合に、ROM13aからRAM13b上に読み出された、PDL(Page Description Language)を解釈可能なプログラム(PDLパーサ)をCPU13cにより実行し、印刷データを解釈してビットマップイメージを生成する。
スキャナ15は、画像読取装置15aを有しており、読み取り面に配置された原稿を光学的に読み取り画像データを生成する。プロッタ16は、印刷装置16aを有しており、例えば、電子写真プロセス方式によってビットマップイメージを記録紙に印刷する。
このように、本実施形態に係る複合機では、上記ハードウェア構成により、コピー、プリンタ、ファクシミリ(アナログFAX、IP−FAX)、スキャナなどの複数の機能を実現している。
(機能ブロック)
図13は、本実施形態に係るIP−FAX12(及び21)の主要機能構成を示す機能ブロック図である。IP−FAX12は、記憶部101、通信制御部102、ルーティングテーブル更新部103、判定部104を含み構成される。
記憶部101は、ルーティングテーブル101aを記憶する記憶手段である。HDD117やRAM113b等によって実現される。
通信制御部102は、SIP呼制御、パケット送受信を含む通信に係る制御を行う機能部である。上述の如く例えば、NGN網の先の通信装置(例えばIP−FAX22)と回線終端装置を中継して通信を行う場合、まずSIP呼の確立・切断、TCPコネクション接続・切断、メディアデータ・パケット送受信を行うことができる。
ルーティングテーブル更新部103は、エントリ追加部103a、エントリ削除部104bを含む。このうちエントリ追加部103aは、SIP呼確立後、メディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを回線終端装置としたエントリを、デフォルトゲートウェイを示すエントリに優先してルーティングテーブル101aに追加する。またエントリ削除部104bは、メディアデータ送信完了後、追加したエントリをルーティングテーブル101aから削除する。
判定部104は、エントリ追加部103aによりエントリを追加するかどうかの前提となる条件判定を行う。ここで条件とは、IP−FAX12は、NGN網と接続された回線終端装置と、NGN網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在していること、NGN網の先の通信装置(例えばIP−FAX22)と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なるNGN網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信すること等である。このため具体的には、判定部104は、メディアデータ送信宛先IPアドレスが、自装置が属するサブネットに属さないIPアドレスであるか否か、自装置が属するサブネットに属する回線終端装置を中継して呼が確立されたか否か、デフォルトゲートウェイと、回線終端装置とが一致するか否かを判定する。
以上、IP−FAX12(及び21)の主要機能構成である。なおこれらの機能は、実際には装置のCPU113cが実行するプログラムによりコンピュータに実現させるものである。
[総括]
以上のように、同一セグメント内に一以上のルータと回線終端装置との複数の出口(デートウェイ)が存在し、回線終端装置を中継してNGN網の先の端末装置と交信する際、呼接続宛先IPアドレス(回線終端装置のIPアドレス)と、メディアデータ送信宛先IPアドレス(NGN網内のメディアゲートウェイのIPアドレス)とが異なるため、メディアデータ内のIPヘッダにはメディアゲートウェイのIPアドレスがセットされる。このとき本実施形態に係るIP−FAXは、ルーティングテーブル内に新たなエントリを追加し、このエントリによってメディアデータ転送先のゲートウェイとして回線終端装置に転送されるようにする。これにより、従来社内LANやWAN用として設けられているデフォルトゲートウェイ(ルータA13)にメディアデータが転送されてしまい、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行うことができないという問題を解決することが可能となる。
即ち本実施形態に係るIP−FAXによれば、呼制御においてSIPを利用するNGN網と接続された回線終端装置と、他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、NGN網の先の端末装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、呼確立後に呼接続宛先IPアドレスと異なるメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータ送信する場合であっても、正常に先の端末装置とメディアデータのやり取りを行う通信装置等を提供できる。
なお本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば本実施形態においては通信装置の一例として、複合機に対して本発明を適用しFAX通信を通じて説明したものであるが、例えばその他の装置においても広く適用され得る。
11、21 IP−FAX
12、22 回線終端端末
13、14、23 ルータ
31 SIPプロキシサーバ
32 メディアゲートウェイ
101 記憶部
101a ルーティングテーブル
102 通信制御部102
103 ルーティングテーブル更新部
103a エントリ追加部
103b エントリ削除部
104 判定部
111 操作部(操作パネル)
111a 入力装置
111b 表示装置
112 記憶メディアI/F
112a ドライブ装置
112b 記録媒体
113 コントローラ(部)
113a ROM
113b RAM
113c CPU
114 データ通信I/F
114a インタフェース装置
115 スキャナ
115a 画像読取装置
116 プロッタ
116a 印刷装置
117 HDD
特開2010−219656号公報

Claims (7)

  1. 公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置であって、
    デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶した記憶手段と、
    前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手段と、
    前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手段と、
    を有することを特徴とする通信装置。
  2. 前記メディアデータ送信宛先IPアドレスが、自装置が属するサブネットに属さないIPアドレスであるか否か、自装置が属するサブネットに属する前記回線終端装置を中継して呼が確立されたか否か、前記デフォルトゲートウェイと、前記回線終端装置とが一致するか否かを判定し、該判定が全て肯定された場合に、
    前記エントリ追加手段は、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルに追加すること、
    を特徴とする請求項1記載の通信装置。
  3. 公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の請求項1又は2記載の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスからメディアデータを受信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置であって、
    デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶した記憶手段と、
    前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対し、トランスポート層プロトコルにUDPを使用してメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手段と、
    前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手段と、
    を有することを特徴とする通信装置。
  4. 前記メディアデータ送信宛先IPアドレスが、自装置が属するサブネットに属さないIPアドレスであるか否か、自装置が属するサブネットに属する前記回線終端装置を中継して呼が確立されたか否か、前記デフォルトゲートウェイと、前記回線終端装置とが一致するか否かを判定し、該判定が全て肯定された場合に、
    前記エントリ追加手段は、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルに追加すること、
    を特徴とする請求項3記載の通信装置。
  5. 公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置における通信方法であって、
    デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶する記憶手順と、
    前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対しメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手順と、
    前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手順と、
    を有することを特徴とする通信方法。
  6. 公衆網と接続された回線終端装置と、前記公衆網とは異なる他のネットワークと接続された一以上のルータとが同一セグメント内に存在し、前記公衆網の先の請求項5記載の通信装置と回線終端装置を中継して呼を確立し、該呼確立後、呼接続宛先IPアドレスと異なる前記公衆網内のメディアデータ送信宛先IPアドレスからメディアデータを受信することにより前記通信装置と前記メディアデータの送受信を行う通信装置における通信方法であって、
    デフォルトゲートウェイを前記ルータとした第1エントリを保持するルーティングテーブルを記憶する記憶手順と、
    前記呼確立後、前記メディアデータ送信宛先IPアドレスに対し、トランスポート層プロトコルにUDPを使用してメディアデータを送信するとき、該メディアデータを転送するゲートウェイを前記回線終端装置とした第2エントリを、前記第1エントリに優先して前記ルーティングテーブルに追加するエントリ追加手順と、
    前記メディアデータ送信完了後、前記第2エントリを前記ルーティングテーブルから削除するエントリ削除手順と、
    を有することを特徴とする通信方法。
  7. 請求項5又は6記載の通信方法をコンピュータに実行させるための通信プログラム。
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