JP2012160482A - 回路遮断器 - Google Patents

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Abstract

【課題】反発形の回路遮断器を対象に、電流遮断動作の過程で開極位置に反発移動した第2可動接触子が閉極位置に逆戻りするのを抑えて高い限流遮断性能を発揮できるようにする。
【解決手段】開閉機構に連繋した第1可動接触子3と、第1可動接触子3に対向し、かつ接触ばね8により閉極位置に付勢される第2可動接触子4とを備えた回路遮断器で、第1および第2可動接触子3,4はその先端に設けた接点3a,4aを突き合わせて上下に対峙し、かつ可動接触子の後端に可撓リード線6,7を接続した上で、各可動接触子が支軸3b,4bの周りで回動可能に枢支されているものにおいて、第2可動接触子4の後端部に対向して、該第2可動接触子4が開極位置に向けて移動した際にその後端部が進入する逆U字形の磁気ヨーク10を配備し、各可動接触子の後端部に作用して接触子を閉極方向に付勢する電磁反発力の発生を抑制する。
【選択図】図2

Description

この発明は、開閉機構に連繋した第1の可動接触子と、該可動接触子に対向して電磁反発力により第1可動接触子から開離する第2の可動接触子を備えた回路遮断器に関する。
配線用遮断器などを対象に、短絡電流などの過電流が流れた際に、平行2導体間に発生する電磁反発力を利用して第1可動接触子とこれに対向する第2可動接触子を急速開離させて電流を限流遮断する反発形の回路遮断器が公知である(例えば、特許文献1参照)。
この反発形の回路遮断器は、第1可動接触子が開閉機構に連繋して開閉駆動され、これに対向する第2可動接触子は接触ばねにより常時は閉極位置に向けてばね付勢されており、各可動接触子は先端に設けた接点を突き合わせて上下に対峙し、かつそれぞれの可動接触子が支軸の周りで回動可能に軸支されている。
次に、反発形の回路遮断器における接点機構周辺の従来構造を図9(a),(b)に、また遮断器投入時の閉極状態(ON),電流遮断時の開極状態(TRIP)を図10(a),(b)に示す。まず、図9において、1は回路遮断器のケース、2は電源側の端子導体、3は第1可動接触子、4は第2可動接触子、5は消弧装置、6は電源側の端子導体2と第2可動接触子4との間を接続する可撓リード線、7は第1可動接触子3に接続した可撓リード線、8は第2可動接触子4を閉極位置に向けて付勢する接触ばねである。
ここで、第1可動接触子3は先端に接点3aを固着し、該接点3aと反対側の後端に可撓リード線7を接続した上で、支軸3bを回動支点として可動接触子ホルダ3cに軸支され、該可動接触子ホルダ3cを介して図示していない開閉機構に連繋されている。一方、第2可動接触子4は第1可動接触子3の下側に対向位置し、先端に固着した接点4aを第1可動接触子3の接点3aに突き合わせるようにして接触子支持フレ-ム4cに支軸4bを介して軸支した上で、該支軸4bを挟んで接点4aと反対側の後端にロウ付けした可撓リード線6を介して電源側の端子導体2に接続し、さらに可動接触子支持フレーム4cとの間に接触ばね(捩じりコイルばね)8を張架して第2可動接触子4を閉極位置にばね付勢している。また、消弧装置5は上下段に並ぶ複数枚のグリッド消弧板5aを備え、第1可動接触子3の開極移動経路に沿ってその前方に配置されている。
上記の構成で、図9(a),図10(a)に示す閉極状態では、接触ばね8のばね力fにより第2可動接触子4の接点4aを第1可動接触子3の接点3aに押圧して接点間に接触圧を加えている。また、通電電流iは電源側の端子導体2から可撓リード線6,第2可動接触子4,第1可動接触子3を経由して図示矢印の方向に流れる。
この閉極状態で短絡電流などの過電流が流れると、図9(b),図10(b)で示すように、電流が逆方向に流れる第1可動接触子3と第2可動接触子4との間に大きな電磁反発力が発生し、この電磁反発力を受けて第1可動接触子3の接点3aと第2可動接触子4の接点4aが急速に開離して接点間にアークarcが発生し、続く開閉機構の引外し動作により第1可動接触子3が開極位置に向け上方に移動してアークをさらに引き延ばし、アークを消弧装置5(図9参照)に押し込んで電流が限流遮断される。
ところで、上記反発形の回路遮断器においては、第1/第2可動接触子間の電磁反発力を受けて第2可動接触子4が閉極位置から開極位置に開離すると接触ばね8の撓みが増してばね抗力が増大する。これに対して可動接触子に作用する電磁反発力は接点間の開離距離に反比例して減少する。そのために、可動接触子間の開離距離が拡大する限流遮断動作の後半では、接触ばね8のばね力fが可動接触子間に作用する電磁反発力に打ち勝って第2可動接触子4が開極位置から逆戻りして接点間の開離距離が減少し、その結果として反発形回路遮断器の限流遮断性能が充分に発揮できなくなる問題がある。
かかる問題に対して前記の特許文献1では、接触ばね8と第2可動接触子4との間の係合構造を変更し、第2可動接触子4の開離が進んだ状態でも接触ばね8の抗力が増大しないようにして第2可動接触子4の逆戻りを防ぐような工夫がなされている。
また、上記の問題とは別に、電流遮断時に接点間に発生したアークの発弧点が第2可動接触子4の接点4aの上に止まったままでいると、アーク熱による接点の損耗が進んで閉極状態での電流通電性能を低下させる問題がある。そこで、この問題に対しては可動接触子の前方に配置した消弧装置にアークランナーを追加付設し、このアークランナーの先端を第2可動接触子の接点と近傍対峙させるように延在配置してアークを接点からアークランナーに転移させるようにした構成の反発形の回路遮断器も知られている(例えば、特許文献2参照)。

特開平3−11518号公報 特開平11−213846号公報
ところで、前記した反発形の回路遮断器の第1可動接触子3,第2可動接触子4について、図10で示したように第1/第2可動接触子3,4の後端を支軸3b,4bの位置よりもさらに背後に突き出してここにリード線6,7を接続した構造では、開極動作に伴って次記のような問題が生じる。すなわち、図10(a)の閉極状態では、第1可動接触子3の後端部と第2可動接触子4の後端部の間の距離がL1であるのに対して、可動接触子が図10(b)の開極位置に移動すると、第1可動接触子3の後端部と第2可動接触子4の後端部とが互いに近づいて前記距離がL2に減少し、このために可動接触子3,4の後端部の相互間に作用する電磁反発力が大きくなる。これに対して、可動接触子3,4が開極位置に向けて移動すると、接点3aと4aの間の開離距離が拡大するので、支軸3b,4bから先の接点側で可動接触子3と4の間に作用する電磁反発力は逆に減少する。
しかも、可動接触子3,4の後端部に作用する電磁反発力は、支軸3b,4bを支点に可動接触子3,4を閉極方向に付勢する向きであり、特に第2可動接触子4に対しては後端部に作用する電磁反発力Fは接触ばね8のばね力fと偶力の関係になる。このために、先記特許文献1のように接触ばね8の抗力増加を抑えるような手段を講じていても、限流遮断動作の後半で通電電流が低下すると、第2可動接触子4が開極位置から閉極位置に向け逆戻りし、このために接点間のアーク長が減少して限流遮断性能を低下させる。
この発明は上記の点に鑑みなされたものであり、その第1の目的は電流遮断動作の過程で第1可動接触子と第2可動接触子との間で相互に干渉し合う電流磁界,およびこの磁界による電磁反発力を巧みに制御して第2可動接触子を開極位置に保持させるようにし、また第2の目的は、前記第1の目的と併せて第1,第2可動接触子の接点間に生じたアークを消弧装置に素早く駆動して高い限流遮断性能を発揮できるように改良した反発形の回路遮断器を提供することを目的とする。
上記第1の目的を達成するために、この発明によれば、開閉機構に連繋して開閉駆動される第1可動接触子と、該第1可動接触子に対向し、かつ接触ばねにより閉極位置に付勢される第2可動接触子と、第1可動接触子の開極移動経路に沿ってその前方に消弧装置を備えた回路遮断器で、前記第1可動接触子および第2可動接触子は先端に設けた接点を突き合わせて上下に対峙し、かつ前記第1可動接触子および第2可動接触子の可動接触子の後端に可撓リード線を接続した上で、それぞれの可動接触子が支軸の周りで回動可能に枢支されているものにおいて、
(1)前記第2可動接触子の後端部に対向して、該第2可動接触子が開極位置に向けて移動した際に後端部が進入する逆U字形の磁気ヨークを配備する(請求項1)。
(2)前項(1)において、逆U字形の磁気ヨークの開口端面に対向して第2可動接触子の背面に接極片を設ける(請求項2)。
一方、第2の目的を達成するために、前記第1および第2可動接触子の開極移動経路に沿って、各可動接触子の接点側端部を左右から包囲して起立するU字形の磁気ヨークを消弧装置のアーク入口側に配置するとともに、該磁気ヨークにはその底部から前方に突き出して消弧装置の内方に延在するアークランナーを設ける(請求項3)。また、前記U字形の磁気ヨークに連結片を設け、該連結片を第2可動接触子と電気的に接続される端子導体に直接結合して一体に組み立てる(請求項4)。
上記構成によれば、次記の効果を奏する。
(1)第2可動接触子の後端部に対向して、該第2可動接触子が開極位置に向けて移動した際にその後端部が進入する逆U字形の磁気ヨークを配備することにより、電流遮断時に第1,第2可動接触子が開極位置に移動して両可動接触子の後端部が互いに接近しても、前記磁気ヨークの遮蔽効果により各可動接触子の後端部に作用する電磁反発力の発生が抑えられて可動接触子を閉極位置に戻そうとする力が低減する。これにより、第2可動接触子が開極位置から逆戻りして、接点間に生じたアークのアーク長を縮小するような挙動を抑えて高い限流遮断性能を確保できる。
また、第2可動接触子の後端部を通る電流の磁界が磁気ヨークに集中して可動接触子の後端部を逆U字形の磁気ヨークの奥部に引き込むような力が発生する。この力は第2可動接触子を閉極位置に向けて付勢する接触ばねによるトルクとは逆方向で、第2可動接触子を開極位置に保持するように働く。さらに、逆U字形の磁気ヨークの開口端側に対向して第2可動接触子に接極片を設けることにより、磁気ヨークと接極片の間に磁気吸引力が作用して第2可動接触子を開極位置に保持しようとする力が増大する。これにより、高い限流遮断性能を確保できる。
一方、第1および第2可動接触子の開極移動経路に沿って、各可動接触子の接点側端部を左右から包囲して起立するU字形の磁気ヨークを消弧装置のアーク入口側に配置するとともに、該磁気ヨークには消弧装置の内方に延在するアークランナーを設けることにより、第2可動接触子に流れる電流の磁界が磁気ヨークに集中して該可動接触子をU字形の底部に向けて引き込む力が発生する。この力は接触ばねのばね力に抗して第2可動接触子を開極位置に保持する方向に働き、これにより第2可動接触子が閉極位置に向けて逆戻りするのを抑制できる。また、可動接触子に流れる電流の磁界を磁気ヨークに集中させることで接点間に発生したアークを消弧装置に向けて駆動する電磁力が増強されるとともに、同時にアークの発弧点を速やかに第2可動接触子の接点上からアークランナーに転移させて接点の早期損耗を防ぐことができる。
ここで、前記U字形の磁気ヨークの底部に連結片を設け、該連結片を第2可動接触子と電気的に接続される端子導体に直接結合することにより、限流遮断動作の後半で電流経路を第2可動接触子からアークランナーへ確実に転移させることができる。
この発明の実施例1に係わる接点機構の構造,機能の説明図で、(a),(b)はそれぞれ閉極,開極状態における可動接触子周辺の側視図 この発明の実施例2に係わる接点機構の構造,機能の説明図で、(a),(b)はそれぞれ閉極,開極状態における可動接触子周辺の側視図、(c)は(b)の矢視X−X断面拡大図 この発明の実施例3に係わる接点機構の構造,機能の説明図で、(a),(b)はそれぞれ閉極,開極状態における可動接触子周辺の側視図、(c)は(b)の矢視X−X断面拡大図 この発明の実施例4に係わる接点機構の組立構造を表す外形斜視図 図4におけるU字形の磁気ヨークと電源側の端子導体との分解斜視図 図4の機能説明図で、(a)は閉極状態における可動接触子の側視図、(b)は(a)におけるU字形の磁気ヨーク部分の模式断面図 図4の機能説明図で、(a)は開極初期の状態における可動接触子の側視図、(b)は(a)におけるU字形の磁気ヨーク部分の模式断面図 実施例4の機能説明図で、(a)は開極終期の状態における可動接触子の側視図、(b)は(a)におけるU字形の磁気ヨーク部分の模式断面図 従来における反発形回路遮断器の接点機構部周辺の構成図で、(a),(b)はそれぞれ可動接触子の閉極状態,開極状態での側視断面図 図9の構成による電流遮断動作の説明図で、(a),(b)はそれぞれ可動接触子の閉極状態,開極状態を表す図
以下、この発明の実施の形態を図1〜図8に示す実施例に基づいて説明する。なお、図1,図2,図3はそれぞれ実施例1,実施例2,実施例3に対応した構造,機能の説明図、図4〜図8は実施例4に対応する構造,機能の説明図であり、各実施例の図中において図9,図10に対応する部位には同じ符号を付してその説明は省略する。
まず、この発明の実施例1を図1(a),(b)で説明する。なお、(a)図は可動接触子の閉極状態(ON)、(b)図は電流遮断時の開極状態(TRIP)を表している。そして、この実施例においては、第1可動接触子3の後端部とこれに対峙する第2可動接触子4の後端部の中間に磁性材で作られた磁気遮蔽板9を介装配置して可動接触子3と4の後端部相互間を磁気遮蔽するようにしている。
上記構成により、電流遮断時に第1可動接触子3,第2可動接触子4が開極位置に移動して可動接触子3,4の後端部が互いに接近するようになっても(図1(b)参照)、前記磁気遮蔽板9の遮蔽効果により各可動接触子の後端部相互間に作用する電磁反発力の発生が抑えられて可動接触子を閉極位置に戻そうとする力を低減できる。これにより、第2可動接触子4が開極位置から閉極位置(図1(a)参照)に逆戻りして接点3aと4aの間に生じたアークarcのアーク長を縮小するような挙動を抑制して限流遮断性能が低下するのを防ぐことができる。
次に、この発明の実施例2を図2(a)〜(c)で説明する。なお、(a)図,(b)図はそれぞれ可動接触子の閉極状態,電流遮断時における開極状態を、また(c)図は(b)図における矢視X−Xの拡大断面図である。
すなわち、この実施例においては第2可動接触子4の後端部に対向してその上方に逆U字形の磁気ヨーク10を配置し、第2可動接触子4が開極位置に向け移動した際に可動接触子の後端部が磁気ヨーク10の中に進入するようにしている。この磁気ヨーク10は磁性板を“コ”の字形に屈曲した形状で、その左右側壁の先端を下に向けて図示のように第2可動接触子4の後端部を上方から挟み込むようにして第1可動接触子3との中間位置に配置している。
上記構成により、図2(a)に示す閉極状態では第2可動接触子4の後端部が磁気ヨーク10から下方に抜け出している。一方、短絡電流が流れて可動接触子3,4が開極位置に反発移動すると、図2(b)のように第2可動接触子4の後端部が下方から逆U字形の磁気ヨーク10の中に進入するようになる。
これにより、逆U字形の磁気ヨーク10は、先記実施例1の磁気遮蔽板9と同様な磁気遮蔽効果を発揮して第1可動接触子3を流れる電流磁界との相互干渉を抑制するとともに、可動接触子の開極状態では図2(c)で示すように第2可動接触子4の通流電流iで可動接触子の後端部の周囲に生じた磁界が磁気ヨーク10に集中して、磁束φが磁気ヨーク10のU字形磁路に沿って周回する。この磁界分布により、第2可動接触子4にはその後端部を磁気ヨーク10の奥に引き込むような方向の電磁力F1が作用し、この電磁力F1を受けて第2可動接触子4には支軸4bの周りで反時計方向のトルクが作用する。その結果、限流遮断動作の後半で第2可動接触子4が接触ばね8のばね力fにより閉極位置に逆戻りしようとするのを抑え、開極位置に保持し続けて高い限流遮断性能を確保できる。
次に、この発明の実施例3を図3(a)〜(c)に示す。この実施例は先記の実施例2をさらに発展させたもので、逆U字形の磁気ヨーク10の開口端(下端)に対向して、第2可動接触子4の後端部の背面には磁性材の接極片10aが追加装備されている。
この実施例による動作,機能は先記実施例2と基本的に同じであるが、前記接極片10aの追加により、電流遮断時に可動接触子3,4が図3(b)の開極位置に移動して第2可動接触子4の後端部が逆U字形の磁気ヨーク10の中に進入した状態になると、図3(c)で示すように磁気ヨーク10の開口端に接極片10aが接近して両者の間に磁気吸引力が加わるようになる。これにより、第2可動接触子4の後端部を逆U字形の磁気ヨーク10の奥部に引き込む電磁力F1が大きくなり、先記の実施例2と比べて第2可動接触子4を開極位置に保持する力を増強できる。
次に、この発明の実施例4を図4〜図8で説明する。なお、図4は接点機構周辺部の構成斜視図、図5は図4における磁気ヨークと電源側の端子導体との分解斜視図、図6〜図8はそれぞれ閉極(ON),電流遮断動作の初期,終期の各状態を表す図である。
この実施例においては、図9に示した従来構造と比べて、消弧装置5の内側にアークランナー付きのU字形の磁気ヨーク11を追加装備し、この磁気ヨーク11を電源側の端子導体2に連結している。ここで、磁気ヨーク11は第1および第2可動接触子3,4の開極移動経路に沿って各可動接触子の接点側端部を左右から包囲するように側壁が起立したU字形の形状を基体として、その底部から前方へ“くの字”状に突き出して消弧装置5の内方に延在するアークランナー11a、および電源側の端子導体2の後端に差し込み結合する連結片11bが一体形成されている(図5参照)。また、前記アークランナー11aは、その基部が開極位置に移動してきた第2可動接触子4の接点4aと近接するように位置決めし、かつその板面には第2可動接触子4の開極移動を阻害しないように凹状の逃げ溝が形成されている。そして、この逆U字形の磁気ヨーク11を電源側の端子導体2の二股状後端部2aに挿入して一体に結合し、前記連結片11bと端子導体2とをボルトで共締めして遮断器のケース1(図9参照)の底部に組み込む。
上記の構成で、可動接触子3,4の閉極状態では、図6(a),(b)で示すように第1可動接触子3の接点3aと第2可動接触子4の接点4aとが接触し、この状態で第2可動接触子4が接触ばね8のばね力fにより閉極位置に押圧付勢されている。
この状態から、短絡電流が流れて第1/第2可動接触子3,4の間に電磁反発力が作用すると、図7(a),(b)で示すように第1可動接触子3,第2可動接触子4が開極位置に向けて移動し、接点3aと4aの間にアークarcが発生する。この場合に、図7(b)で示すように第1可動接触子3,第2可動接触子4に流れる電流iにより可動接触子の周囲に生じた磁界は磁気ヨーク11に集中し、そのヨークの磁路に沿って磁束φが図示のように周回する。この磁界の集中により第1可動接触子3と第2可動接触子4との間の電磁反発力は磁気ヨーク11を備えてない従来構造(図9参照)に比べて増大し、その分だけ可動接触子の開離速度が早くなる。同時に磁気ヨーク11の左右側壁間に集中分布する磁界が接点間に発弧したアークarcに作用して図示矢印方向の電磁力F2が発生し、この電磁力F2によりアークarcはアーチ状に引き延ばされて消弧装置5に向け駆動される。また、開極位置に移動した第2可動接触子4にはU字形の磁気ヨーク11の底部に押し込む電磁力F3が加わり、この電磁力F3が付勢ばね8のばね力fに抗して第2可動接触子4を開極位置に保持するように働く。
さらに、消弧装置5に向けて電磁駆動されたアークarcは図8(a),(b)で示すようにグリッド消弧板5aの間に素早く押し込まれて分断,冷却作用を受けて限流されるとともに、第2可動接触子4の接点4aに発弧したアークは、接点4aからその近傍に位置するアークランナー11aに転移する。この場合に、磁気ヨーク11は連結片11b(図5参照)を介して電源側の端子導体2に導電結合されているので、通電電流は第2可動接触子4を経由せずに電源側の端子導体2から直接磁気ヨーク11のアークランナー11bに流れるような経路を辿る。これにより、第2可動接触子4の接点損耗を低減して閉極時における接点間の通電性を良好な状態に維持できる。
2 電源側の端子導体
3 第1可動接触子
3a 接点
3b 支軸
4 第2可動接触子
4a 接点
4b 支軸
5 消弧装置
6 可撓リード線
7 可撓リード線
8 接触ばね
9 磁気遮蔽板
10 逆U字形の磁気ヨーク
10a 接極片
11 U字形の磁気ヨーク
11a アークランナー
11b 連結片

Claims (4)

  1. 開閉機構に連繋して開閉駆動される第1可動接触子と、該第1可動接触子に対向し、かつ接触ばねにより閉極位置に付勢される第2可動接触子と、第1可動接触子の開極移動経路に沿ってその前方に消弧装置を備えた回路遮断器であり、前記第1可動接触子および第2可動接触子は先端に固着した接点を突き合わせて上下に対峙し、かつ前記第1可動接触子および第2可動接触子の後端に可撓リード線を接続した上で、それぞれの可動接触子が支軸の周りで回動可能に枢支されているものにおいて、
    前記第2可動接触子の後端部に対向して、該第2可動接触子が開極位置に向けて移動した際にその後端部が進入する逆U字形の磁気ヨークを配備したことを特徴とする回路遮断器。
  2. 請求項1に記載の回路遮断器において、逆U字形の磁気ヨークの開口端側に対向して第2可動接触子に接極片を設けたことを特徴とする回路遮断器。
  3. 開閉機構に連繋して開閉駆動される第1可動接触子と、該第1可動接触子に対向し、かつ接触ばねにより閉極位置に付勢される第2可動接触子と、第1可動接触子の開極移動経路に沿ってその前方に消弧装置を備えた回路遮断器であり、前記第1可動接触子および第2可動接触子は先端に固着した接点を突き合わせて上下に対峙し、かつ前記第1可動接触子および第2可動接触子の後端に可撓リード線を接続した上で、それぞれの可動接触子が支軸の周りで回動可能に枢支されているものにおいて、
    前記第1および第2可動接触子の開極移動経路に沿って、各可動接触子の接点側端部を左右から包囲して起立するU字形の磁気ヨークを消弧装置のアーク入口側に配置するとともに、該磁気ヨークにはその底部から前方に突き出して消弧装置の内方に延在するアークランナーを設けたことを特徴とする回路遮断器。
  4. 請求項3に記載の回路遮断器において、U字形の磁気ヨークに連結片を設け、該連結片を第2可動接触子がと電気的に接続される端子導体に直接結合して組み立てたことを特徴とする回路遮断器。
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