JP2012158843A - ポリエステル繊維およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れたポリエステル繊維であって、特にシートベルト用ウェビングに好適なポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維であって、強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%であるポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業資材用のポリエステル繊維に関する。さらに詳しくは、安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れ、特に、シートベルト用ウェビング等に好適なポリエステル繊維に関する。
産業資材用の高強度ポリエステル繊維は、シートベルト用ウェビング、ラッシングベルト、スリング、紐・テープ等の細幅織物、およびテント、ターポリン、重布、バッグ用基布等の広幅織物に広く用いられている。かかる用途においては、高強度、高タフネス、耐摩耗性等の機械的特性が要求され、同時に、高速で製織するために毛羽の少ない高品位の原糸が要求される。さらに、シートベルトのように染色して商品とする用途では、染色の均一性、特にスポット状の染色欠点を含む染め斑の発生防止が重要な課題である。かかる用途で問題となる染め斑とは、染浴中に生成した染料凝集物が基布に付着したり、あるいは非染性物質が基布に付着してその部分への染料の染み込みが阻害されたりすることにより基布に濃染部あるいは不染部が生じ、斑点状あるいは浸み状の染め斑となるものである。特にシートベルト用ウェビング等の高強度ベルトの染色に用いられる、染液へのベルトの浸漬/乾燥のみで発色させるサーモゾル染色法においては、これら凝集物による染色斑が生じやすく、染色斑の回避が重要な課題になっている。このような染料凝集物の付着あるいは染色を阻害する非染性凝集物の基布への付着は、染浴中で直接生ずる場合、および凝集物が一旦ロールやガイド等に付着し、その後凝集物が蓄積したロールやガイドから基布に転移付着する場合がある。
上記染め斑は、染料の選択・調整濃度等の染液レシピ、染液に添加する染色助剤およびph調整剤等の染液の組成と染色機の条件に主に左右されるが、染色時に繊維表面から脱落した紡糸処理剤(油剤)の影響を受けることもある。特に細幅織物の染色においては、精練による油剤除去なしに直接生機を染液にディップして乾燥発色させるケースも多く、このようなケースでは繊維に付着している紡糸処理剤が染色の安定性に少なからぬ影響を与える。このことから、従来より染料レシピの選択、染浴の調整とともに繊維処理剤の選択も合わせて検討が図られてきた。
しかしながら、近年の各製造工程における効率化、例えば、染色工程では、精練の省略、高速短時間染色および高温短時間乾燥の採用、また、製織工程では、整径および製織の高速化等が図られてきたことを受け、原糸の毛羽品位と染色安定性はさらに格段に高いレベルで両立することが求められている。
すなわち、特に染色用途に供される高強度ポリエステル繊維が優れた製糸時・高次加工時の工程通過性・毛羽品位と優れた染色安定性を具備するためには、使用される処理剤は以下の特性a〜gを満足することが必要であるとされていた。
a.平滑性に優れていること、即ち、動摩擦係数が低いこと、
b.極圧性に優れていること、即ち油膜強度が高いこと、
c.処理剤の安定性に優れていること、
d.耐熱性に優れていること、即ち、200〜250℃の高温ロール上でも熱酸化し難く、かつ熱酸化劣化しても固化し難いこと、
e.糸−糸間摩擦が比較的高く、単糸間交絡がかかり易く、集束性に優れていること、
f.製糸工程の高温熱履歴を経ても糸条に付着している処理剤が組成として安定なこと、
g.染浴中に処理剤の成分が溶解・脱落しても、染浴のバランスを崩さないこと、即ち、染料の一部を凝集させたり、処理剤自身が非水溶性凝集物を生成して、凝集染料の付着または非染性凝集物の付着等が生じないこと。
シートベルト等のような製織および染色して製品とされる用途を想定した産業用ポリエステル繊維であって、原糸の毛羽が少なく、かつ染色時の強力低下や染め斑防止に有効な特定の処理剤の適用に言及した具体的な従来例としては、例えば「常温で液状を呈し分子量が550〜750の脂肪族一価エステル化合物(A)を主成分とし、水酸基を有するグリセライドのアルキレンオキシド付加物と二塩基酸成分との反応生成物(B)を1〜10重量%含有する油剤組成物が、繊維重量に対して0.3〜1重量%付着しており、且つ該油剤の水中脱落率が30〜60重量%である合成繊維。」(例えば、特許文献1参照)が知られており、この合成繊維によれば、「品位に優れ且つ液浴加工を施しても強力低下の少ない織物が得られ、産業資材織物用として好適である。」という効果が得られるとされている。すなわち、当該技術は、処理剤の設計・選択により毛羽品位の改善および染色時の染め斑の発生を防止するという課題を解決しているものであるが、同技術において唯一非含水処理剤を用いた実験結果(比較例:実験No.12)では、原糸毛羽、織り毛羽とも○(他の良好な含水処理剤と同レベル)となっているものの、染斑の評価が×、総合判定も×となっていることから、非含水処理剤を用いる場合の染め斑および均染性の改善については言及していない。ようするに、当該技術はあくまで水系エマルジョンを前提に油剤組成を特定し、最適な処方を提案しているものに過ぎず、非含水処理剤を用いて更に改善された毛羽品位を達成するための方法、および非含水処理剤を用いてシートベルトの染め斑を回避するための方法については、開示も示唆もしていない。
また、「分子量400〜1000のエステル化合物からなる平滑剤成分(A)40〜90重量%および分子量500〜10000の非イオン活性剤からなる乳化剤成分(B)10〜60重量%の混合物を主たる油剤成分とし、高速液流微粒子により乳化された合成繊維用処理剤であって、前記処理剤成分の平均粒径が1μm以下の水系エマルジョンであることを特徴とする合成繊維処理剤、およびかかる合成繊維処理剤が付与されてなる合成繊維。」(例えば、特許文献2参照)が知られており、この合成繊維によれば、「水系エマルジョンとして合成繊維に対する付与量を減少しても繊維表面上に均一に付与することができ、安定性と、製糸時の平滑性、延伸性と後加工時の工程通過性とがすぐれた合成繊維用処理剤、および品位にすぐれ、製織時や染色加工時などに脱落した油剤により基布汚れや染め斑を起こすことがなく、特にシートベルトや重布などの産業資材織物に適した合成繊維が得られる。」という効果が記載されている。すなわち、当該技術は、毛羽品位の改善と染め斑を起こさない油剤組成およびそれを付与してなる合成繊維について開示するものであるが、上記特許文献1に記載の技術と同様に、水エマルジョン型の処理剤についてその改善の方法を述べているに留まるものであり、達成し得る毛羽品位・染色安定性レベルは近年の要求に対しては不十分であるとともに、非含水処理剤の使用については言及がない。
一方、非含水処理剤という手段を用いて上記a〜gの特性を高めようとする試み(例えば、特許文献3参照)については既に提案されており、製織性および製品品位に優れ、かつ染め斑が発生せず染色均一性に優れ、特にシートベルト用ウェビング等に好適な高強度ポリエステル繊維を得る技術は確立することが可能になった。しかし、特許文献3に記載の実験結果(実施例)の条件では、生産当初においては毛羽が少なく、かつ高強度のポリエステル繊維が得られるものの、従来の油剤に比べ延伸ロールの摩耗が早いために、長期生産においては却って毛羽の発生を増加させてしまうといった問題があった。また、長期生産中の毛羽の発生を抑制すべく延伸ロールの交換を頻繁に行うと、安価な糸を製造することは困難になるといった問題があった。
特開平5−339875号公報 特開2000−17573号公報 特開2006−207054号公報
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果達成されたものであり、安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れ、かつ染め斑が発生せず染色均一性に優れ、特にシートベルト用ウェビング等に好適なポリエステル繊維の提供を目的とするものである。
上記目的を達成するため本発明によれば、希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維であって、強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%であることを特徴とするポリエステル繊維が提供される。
なお、本発明の高強度ポリエステル繊維においては、希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、
前記非含水処理剤が、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外に45〜80重量部の脂肪族カルボン酸アルキルエステル(A)と、15〜50重量部のポリアルキレングリコール型非イオン性界面活性剤(B)と、1〜4重量部のアニオン性界面活性剤(C)とからなる油剤成分と、有機溶剤からなる希釈剤成分を含有し、前記油剤成分の濃度が20〜80重量%であり、かつ25℃における粘度が5〜90センチポイズであること、
前記有機溶剤が、140〜240の数平均分子量を有する鉱物油であること、
前記非含水処理剤が、繊維重量に対して油剤成分として0.3〜0.8重量%付与されていることがいずれも好ましい条件として挙げられる。
ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤を規定範囲付与して延伸することが、ポリエステル繊維の好ましい製造方法として挙げられる。
また、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与して強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維を製造することを特徴とするポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維の製造方法。
シートベルト用ウェビング、スリング、ラッシングベルト、紐・テープ等の細幅ベルト、およびテント、ターポリン、重布、バッグ用基布等の広幅織物に用いることが、いずれも好ましい形態として挙げられる。
本発明によれば、以下に説明するとおり、安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れ、特に、シートベルト用ウェビング等に好適なポリエステル繊維を得ることができる。すなわち、本発明のポリエステル繊維は、特に、毛羽が少ないため、高速での製織が可能であり、かつ合理化された効率的な染色処方を適用しても染め斑が発生せず均一で高品位の製品が得られる。
また、本発明のポリエステル繊維は、シートベルト用ウェビング、スリング、ラッシングベルト、紐・テープ等の細幅ベルト、およびテント、ターポリン、重布、バッグ用基布等の広幅織物にも好ましく適用することができる。
図1は、本発明のポリエステル繊維を製造する方法の一例を示す概略図である。
本発明のポリエステル繊維は、希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維であって、強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%であることが必須である。
本発明で用いるポリエステルポリマは、ポリエチレンテレフタレートを主成分とし、5重量%未満の共重合成分または異種ポリマとのブレンドポリマを用いることができる。本発明の高強度ポリエステル繊維を製造するためには、高分子量ポリマを用いることが必要であり、固有粘度(IV)0.90〜1.50の高粘度ポリマを用いる。
高粘度ポリマの製造は、液相重合のフィニシャー工程で高粘度化したり、一旦低粘度ポリマのままチップ化し、次いで固相重合することによって行われる。
ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分が0.01重量部未満であると、染色で混合された脱落油剤成分の分散安定性が不十分となり、その結果染色浴に脱落した油剤成分が染料と相互作用し、染め斑を引き起こすことがある。一方、ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分が2重量部を越えると、延伸工程において油剤に不純物として含まれる水分が蒸発することによって系内に均一に溶解していたラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分が一部析出し、アブレーシブ摩耗によってロール表面を摩耗させるため毛羽の発生を増大させる。
ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド(以下、EOと略記)付加物のホスフェート成分の具体例としては、ラウリルアルコールEO3〜20モル付加物リン酸エステル塩、オクチルアルコールEO3〜20モル付加物リン酸エステル塩など、好ましいのはラウリルアルコールEO3モル付加物リン酸エステルカリウム塩およびラウリルアルコールEO5モル付加物リン酸エステルカリウム塩である。
本発明のポリエステル繊維は、強度が6.0〜10.0cN/dtexであり、好ましくは6.5〜9.5cN/dtexである。強度が6.0cN/dtex未満の場合は、本発明の方法に依らずとも十分達成できるレベルであり、例えば、水系エマルジョン処理剤を用い公知の方法により慎重に製糸をおこなえば良好な品位のものが得られるように、本発明が意図する目的とは相違がある。強度が10.0cN/dtexを越える場合は、かつ毛羽が少なく品位の優れた原糸を安定に工業的に生産することは、現状本技術を持ってしても困難である。また、本発明のポリエステル繊維は、伸度が8〜30%であり、好ましくは10〜25%である。伸度が8%未満の場合は、毛羽が少なく品位の優れた繊維を安定して得ることは難しく、一方、伸度が30%を越える場合は6.0cN/dtex以上の強度を得ることが困難である。
本発明で用いるポリエステル繊維用非含水処理剤は、有機溶剤からなる希釈剤成分を有し、油剤成分の濃度が20〜80重量%であることが好ましく、また25℃における粘度が5〜90センチポイズであることが好ましい。
非含水処理剤中での油剤成分の濃度が80重量%を超える場合、あるいは粘度が90センチポイズを超える場合には、給油ローラあるいは給油ノズルを用いて処理剤を付与する際に糸が処理剤にとられて製糸が不安定になりやすく、製糸性改善の効果が得られにくいという好ましくない傾向が招かれることがある。逆に、油剤成分の濃度が20重量%未満の場合、あるいは動粘度が5センチポイズ未満の場合には、処理剤の延伸前ローラ(フィードローラ)上で処理剤が飛散しやすい傾向となり、油剤付着効率、防災上の両面から好ましくない。
非含水処理剤の希釈濃度、粘度を上記のように調整することにより、従来の含水処理剤では得られなかった顕著に改善された製糸性、毛羽品位の向上を達成することができる。なお、油剤粘度は、例えば(株)東京計器製B8L型粘度計を用いて測定することで得られる値である。
さらに、製糸性に優れた特長を保持しつつ、かつ染め斑を生じない非含水処理剤としては、希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外に脂肪族カルボン酸アルキルエステル(A)45〜80重量部、ポリアルキレングリコール型非イオン性界面活性剤(B)15〜50重量部およびアニオン性界面活性剤(C)1〜4重量部を含む油剤組成とすることが望ましい。
特に、シートベルトの染色に用いられるようなサーモゾル染色を行う場合には、上記(C)成分の選定と配合量の特定が重要である。
上記(A)成分は、通常、平滑性を付与する成分であり、脂肪族カルボン酸もしくはそのエステル形成性誘導体[酸ハロゲン化物、酸無水物または低級(炭素数1〜4)アルコールエステル]と炭素数8〜32の高級アルコールから得られるエステルである。
(A)を構成する脂肪族カルボン酸としては、以下のものが挙げられる。
(a1)炭素数8〜24の脂肪族モノカルボン酸[脂肪族飽和モノカルボン酸(ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、イソアラキン酸など)、脂肪族不飽和モノカルボン酸(オレイン酸、エルシン酸など)];
(a2)炭素数4〜24の脂肪族ジカルボン酸[脂肪族炭化水素系飽和ジカルボン酸(アジピン酸、エライジン酸など)、硫黄原子を含有する脂肪族飽和ジカルボン酸(チオジプロピオン酸、チオジヘキサン酸など)]。
また、(A)成分を構成する炭素数8〜32の高級アルコールとしては以下のものが挙げられる。
(x1)炭素数8〜32の脂肪族1価アルコ−ル[脂肪族飽和1価アルコール(ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、イソステアリルアルコールなど)、脂肪族不飽和1価アルコール(オレイルアルコールなど)];
(x2)炭素数8〜24の脂肪族多価(2〜6価)アルコ−ル[脂肪族飽和2価アルコール(1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールなど)、脂肪族飽和3〜6価アルコール(トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど)]。
(A)成分の具体例としては(a1)と(x1)からなるエステル、例えば、イソステアリルオレート、イソエイコシルステアレート、イソエイコシルオレート、イソテトラコシルオレート、イソアラキジルオレート、イソステアリルパルミテート、オレイルオレート等;(a2)と(x1)からなるエステル、例えば、ジオレイルアジペート、ジイソステアリネルアジペート等のアジピン酸エステル、ジラウリルチオジプロピオネート、ジオレイルチオジプロピオネート、ジイソステアリルチオジプロピオネート等のチオジプロピオン酸エステル;が挙げられる。
(A)成分のうち、特に好ましいのは、イソエイコシルステアレート、炭素数16〜24のイソアルキルアルコールオレート[イソステアリルオレート、イソエイコシルオレートおよびイソテトラコシルオレートなど]、ジオレイルアジペート、ジイソステアリルアジペート、ジオレイルチオジプロピオネート、並びにジイソステアリルチオジプロピオネートなどである。
(A)成分の数平均分子量(以下において、Mnと略記する)は、好ましくは400〜1,000、さらに好ましくは500〜800の範囲である。Mnが400以上であると、平滑剤成分としての耐熱性または油膜強度が特に優れるため、十分な製糸性が得られ易く、一方、Mnが1,000以下であれば、繊維と金属間の動摩擦係数が低くなり製糸性が向上するため好ましい。
なお、本発明において、Mnは単一組成の化合物の場合は分子構造からの計算値であり、混合物の場合はゲルパーミュエーションクロマトグラフィー(GPC)による測定値である。なお、GPCによる測定値はポリメチルメタクリレートの分子量基準の相対値とする。
本発明の高強度ポリエステル繊維用非含水処理剤におけるポリアルキレングリコール型非イオン性界面活性剤(B)は、ポリアルキレングリコール鎖を有する非イオン性界面活性剤であり、ポリアルキレングリコール鎖は炭素数2〜4のアルキレンオキシド(以下、AOと略記)の付加により得られる。
AOとしては、EO、プロピレンオキシド(以下、POと略記)およびブチレンオキシドなどが挙げられる。
好ましいポリアルキレングリコール鎖は、EO単独、およびEOとPOの併用(ランダム付加またはブロック付加)の付加物であり、併用の場合はEOの割合が少なくとも50重量%であることが好ましい。
(B)成分の具体例としては、以下のものが挙げられる。
(b1)高級アルコールAO付加物:
炭素数8〜32の高級アルコール[上記の(x1)]のEO2〜100モルもしくはEO/PO付加物[例えばオレイルアルコールEO5〜25モル付加物およびステアリルアルコールEO/POランダム付加物など];
(b2)高級アルコールAO付加物のカルボン酸エステル:
上記の(b1)と(a1)から得られる脂肪族カルボン酸エーテルエステルであって、例えばイソステアリルアルコールEO2〜20モル付加物のオレイン酸エステルなど;
(b3)アルキルフェノールのAO付加物:
アルキル基の炭素数6〜24のアルキルフェノール(オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノールなど)のEO4〜100モル付加物;
(b4)脂肪酸のAO付加物:
炭素数8〜24の脂肪酸のEO5〜100モル付加物;
(b5)多価アルコール脂肪酸エステルAO付加物:
2〜8価の多価アルコール[上記の(x2)]の炭素数8〜24のモノカルボン酸[上記の(a1)]エステルのEO4〜100モル付加物、および2〜8価の多価アルコール[上記の(x2)]のEO4〜50モル付加物のモノカルボン酸[上記の(a1)]エステル、例えばトリメチロールプロパンEO15〜25モル付加物トリオレート、ソルビトールEO15〜40モル付加物トリオレート、ペンタエリスリトールEO15〜40モル付加物トリオレート、ペンタエリスリトールEO15〜40モル付加物トリオレート、ペンタエリスリトールEO15〜40モル付加物トリステアレートなど;
(b6)油脂のAO付加物:
ヒマシ油および硬化ヒマシ油のEO5〜50モル付加物など;
(b7)油脂のAO付加物の脂肪酸エステル:
上記(b6)を、さらに炭素数8〜24の脂肪酸[上記の(a1)]でエステル化したもの、例えば、硬化ヒマシ油EO5〜25モル付加物トリオレート、硬化ヒマシ油EO5〜25モル付加物ジオレート、ヒマシ油EO5〜25モル付加物ジステアリート、ヒマシ油EO5〜25モル付加物トリスステアレート、硬化ヒマシ油EO5〜25モル付加物マレイン酸ステアリン酸エステルなど。
(B)成分のうち、特に好ましいのは(b1)、特にオレイルアルコールEO5〜25モル付加物およびステアリルアルコールEO/POランダム付加物、とりわけオレイルアルコールEO7モル付加物およびステアリルアルコールEO/POランダム付加物でMn=1,400のもの、(b5)、特にトリメチロールプロパンEO15〜25モル付加物ジステアレートおよびソルビトールEO30〜40モル付加物ペンタオレート、並びに(b6)、特に硬化ヒマシ油EO5〜25モル付加物、とりわけ硬化ひまし油EO10モル付加物である。
(B)成分のMnは、好ましくは500〜10,000、さらに好ましくは600〜8,000の範囲である。Mnが500以上であれば、延伸時の繊維の集束性が良好で、単糸が分離する現象が少なく、延伸性が向上する傾向にある。一方、Mnが10,000以下であれば、処理剤の安定性に優れ、均一な溶液が得られ易い。
本発明の処理剤の主成分は、希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、(A)成分が45〜80重量部、および(B)成分が15〜50重量部からなることが好ましい。(A)成分が45重量部未満では十分な平滑性が得られず、一方、80重量部を越えると染色性に問題を生じやすくなる。同様に、(B)成分が15重量部未満では染色性に問題を生じやすく、50重量部を越えると平滑性が不十分となる。好ましい使用比率は(A)成分が55〜75重量部、(B)成分が25〜45重量部である。
上記(A)成分と(B)成分とを適切に選び、かつ両成分の配合比率を適切に選ぶことによって、前記高強度ポリエステル繊維用処理剤に求められる要求特性のa〜g迄を概ね満足させることができる。しかし、b、f項を更に向上させ、かつg項の効果を十分に得るために、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外にアニオン性界面活性剤(C)を処理剤全体の1〜4重量部加えることが好ましい。ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外の(C)成分が1重量部未満であると、染液と混合された脱落油剤成分の分散安定性が不十分となり、その結果染色浴に脱落した油剤成分が染料と相互作用し、染め斑を引き起こすことがある。ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外の(C)成分が4重量部を超える場合には油剤成分の分散安定性が低下し、長時間連続して均一に分散された非含水処理剤を製糸工程に供給することが困難になる。
本発明のポリエステル繊維用非含水処理剤に用いられる(C)成分としては以下のものが挙げられる。
(c1)脂肪酸石鹸:
炭素数8〜24の脂肪酸[上記の(a1)]石鹸(オレイン酸塩、エルシン酸塩等)であり、塩としてはアルカリ金属(K、Naなど)、アルカノールアミンおよびアルキルアミンEO付加物等が挙げられる。好ましいのはオレイン酸カリウムである。
(c2)高級アルコールのリン酸エステル塩:
炭素数8〜24の高級アルコール[上記の(x1)など]のリン酸エステル塩;
例えば、オレイルアルコールリン酸エステル塩、イソステアリルアルコールリン酸エステル塩およびイソセチルアルコールリン酸エステル塩など、好ましいのはオレイルアルコールリン酸エステルカリウム塩およびイソステアリルアルコールリン酸エステルナトリウム塩である。
(c3)アルキルフェノールのリン酸エステル塩:
上記の(b2)で挙げたアルキルフェノールのリン酸エステル塩などが挙げられる。
(c4)アルキルスルホン酸エステル塩:
炭素数8〜24のアルキル基を有するスルホン酸塩(ラウリルスルホン酸塩など)が挙げられる。
本発明のポリエステル繊維用非含水処理剤は、上記ラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有することが必要であり、通常さらに(A)、(B)および(C)の各成分を含有し、その配合割合で含有することが好ましいが、油剤の効果を損ねない範囲で下記の添加剤を5重量部未満の範囲で適宜配合してもよい。
(1)脂肪酸(炭素数10〜24)アルカノールアミド(ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等)、
(2)脂肪族アミン(炭素数10〜24)EO付加物系カチオン性界面活性剤(ラウリルアミンEO付加物、オレイルアミンEO付加物等)、
(3)酸化防止剤:フェノール系酸化防止剤、リン酸系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤および硫黄系酸化防止剤、
(4)シリコーン化合物:ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性シリコーンおよびポリエステル変性シリコーン、
(5)アルキルイミダゾリン系界面活性剤。
本発明の非含水処理剤では、希釈剤として有機溶剤を用いることが好ましく、Mn140〜240を有する鉱物油を用いることが好ましい。
鉱物油のMnが140以上である場合には揮発性が低いので、処理剤調合や製糸時の処理剤供給時、延伸前予備加熱時の蒸散が少なくなり、安定な製糸が容易になること、また、防災上からも好ましい。Mnが240以下であると、製糸の延伸、熱セット工程で完全に蒸散し易く、糸表面に残留することは少なく、染色性に問題を引き起こすことが少なくなるので好ましい。より好ましい鉱物油のMnは160〜200である。
上記油剤成分および添加剤は希釈剤中に均一に分散溶解し、濁りや沈殿物を生じず、実質的に透明な状態であることが好ましい。好ましい状態においては希釈剤として使用される鉱物油は製糸工程の高温加熱ローラに接触してほぼ全量揮発蒸散し、繊維表面には油剤成分のみが残る。
上記、本発明にかかる非含水処理剤を適用したポリエステル繊維は、本発明の非含水処理剤が、希釈剤としての有機溶剤又は鉱物油蒸散後の油剤成分として繊維重量に対し0.3〜0.8重量%付与されていることが好ましい。
油分付着量が0.3重量%未満の場合には、平滑性が十分に得られず製糸性が悪化するばかりか、染色条件によっては処理剤中のアニオンによる染色安定性の改善効果が十分に得られない場合があるので好ましくない。逆に、油分付着量が0.8%を超える場合には、処理剤中のアニオンによる染色安定性の改善効果は飽和し、逆に過剰な油分付着による製糸性の悪化、織機の汚れ等の不具合を生じることがある。
本発明におけるポリエステル繊維糸条中の毛羽の頻度は、長さ10万m当たり0.1〜50個である。毛羽が50個/10万mを越えると、高速製織での生産効率が低下し、かつ製品に毛羽が目立ち品位が低下する。毛羽は少ないほど好ましいが、ポリエステル繊維で0.1個/10万m未満とすることは現行技術では困難である。
上記優れた繊維特性および毛羽品位を有し、優れた製糸性と高速製織性が可能で、かつ染め斑を発生することのない非含水処理剤を適用した本発明のポリエステル繊維は、以下の方法で製造することができる。
以下に本発明のポリエステル繊維の製造方法について図1を参照して具体的に説明する。
ポリエステル繊維は窒素雰囲気中でホッパー(1)に充填されたポリエステルチップをエクストルーダー(2)にて溶融混練して紡糸パック(3)に導入し、口金(4)より吐出する方法で得ることができる。紡糸温度は通常260〜320℃であれば良い。
次に、口金直下には加熱筒および/または断熱筒(5)を配し、吐出糸条はこの加熱筒および/または断熱筒(5)内を通過させることが好ましい。この加熱筒は、一般に5〜100cmの長さで、150〜350℃で温度制御された加熱筒であれば良いが、その長さおよび温度条件は、得られる糸条の繊度やフィラメント数により最適化されれば良い。この加熱筒および/または断熱筒(5)の使用により、溶融ポリマの固化を遅らせ、繊維の高強度化を実現させることができる。
加熱筒および/または断熱筒(5)を通過した糸条は、次いで冷却装置(6)中で10〜100℃、好ましくは15〜75℃の風を吹きつけて冷却固化することが好ましい。冷却風が10℃未満の場合には通常装置とは別に大型の冷却装置が必要となるため好ましくない。また、冷却風が100℃を超える場合には紡糸時の単繊維揺れが大きくなるため、単繊維同士の衝突等が発生し製糸性良く繊維を製造することが困難となる。冷却装置は横吹き出しタイプでも良いし、環状型吹き出しタイプを用いても良い。また、モノフィラメントの様に高い冷却効果が求められる際には、水冷等の冷却方法を採用することができる。
冷却固化された未延伸糸条は、次いで給油装置(7)で油剤が付与される。油剤は、前記本発明で特定した非含水処理剤を用い、製糸工程を通過し、希釈剤が蒸散した後巻き取られた原糸の油分量として本発明で特定した範囲になるよう付与する。
油剤を付与された未延伸糸条は、引取りローラ(1FR)(8)に捲回して引き取る。1FRの表面速度、即ち引取り速度は300m/分以上が好ましく、さらに好ましくは500m/分以上である。300m/分未満の引取り速度でもポリエステル繊維は得られるが、生産効率が低いため採用し難い。引取り速度に特に上限は無いものの、工業的に安定して生産する場合には引取り速度は5000m/分以下が好ましく、より好ましくは3000m/分以下である。延伸は通常の熱延伸が採用されれば良く、その延伸倍率は、未延伸糸の複屈折、延伸温度、および多段延伸する際の延伸比率配分等によって変化させ得るが、2.5〜7.0倍が好ましく、3.5〜6.0倍であることがより好ましい。
上記引取り速度で引き取られた未延伸糸条は一旦巻き取った後、若しくは一旦巻き取ることなく連続して延伸する。1FRと同様に、2ケのローラを1ユニットとするネルソン型ローラを、引取ローラ(2FR)(9)、延伸ローラ(1DR)(11)、延伸ローラ(2DR)(12)および弛緩ローラ(RR)(14)と並べて配置し、順次糸条を捲回して延伸熱処理を行う。通常、1FRと2FR間では糸条を集束させるためにストレッチを行う。好ましいストレッチ率は0.5〜7%、さらに好ましくは1〜5%の範囲である。1FRは50〜80℃、好ましくは、60〜70℃に加熱して、引き取り糸条を予熱して次の延伸工程に送る。
1段目の延伸は2FRと1DR間で行い、2FRの温度は80〜120℃、好ましくは90〜110℃とし、1DRの温度を90〜140℃、好ましくは100〜130℃とし、1段目の延伸倍率を総合延伸倍率の30〜90%、好ましくは50〜90%の範囲に設定する。
2段目の延伸は1DRと2DR間で行うが、2DRは160〜240℃、好ましくは180〜220℃である。2段延伸を終えた糸条はRRとの間で0〜7%、好ましくは0〜5%、さらに好ましくは0.5〜3%の弛緩処理を行い、熱延伸によって生じた歪みを取るだけで無く、延伸によって達成された高配向構造を固定したり、非晶領域の配向を緩和させ熱収縮率を下げたりすることができる。RRは非加熱ローラまたは、160℃以下に加熱したローラを用いる。
2FRと1DRの間には交絡処理装置(10)を、2DRとRRの間には交絡処理装置(13)を設置する。交絡処理装置のエアー圧力は、0.2〜0.5MPaの範囲に設定する。
さらに、この弛緩処理された糸条は、交絡処理装置(15)を通過した後、巻き取り機(16)によって巻き取られる。このとき、交絡処理装置のエアー圧力は、0.6〜0.9MPaの範囲に設定する。
かくして、特定の非含水処理剤を適当量付与されてなる、安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れた本発明のポリエステル繊維が得られる。
以下、実施例によって本発明の態様を更に詳しく説明する。明細書本文および実施例に用いた特性の定義および測定法は次の通りである。
(1)固有粘度(IV)
ポリマ量として8gの試料を、オルソクロロフェノール100mlに溶解し、25℃における溶液比粘度ηrをオストワルド粘度計を用いて測定し、次の近似式より極限粘度を算出した。
IV=0.0242ηr+0.2634
ここで、ηr=(t×d)/(t0×d0)
t:溶液の落下時間
t0:オルソクロロフェノールの落下時間
d:溶液の密度
d0:オルソクロロフェノールの密度
(2)油分付着量
糸10gにnヘキサン120mlを添加、室温で10分間振盪することにより油剤をnヘキサン中に抽出する。油剤抽出後のnヘキサン100mlを秤量後真空下で蒸発させ、不揮発分の重量から油剤付着量を求めた。
(3)油剤粘度
試料油剤200gを200mLビーカーに取り25℃で1時間温調後、(株)東京計器製B8L型粘度計にて25℃での粘度を測定する。但し、B8L型粘度計の回転数は6rpmとし、ローターは各測定において適正な粘度を示すローターを適宜選択し、測定を開始して1分後の値を読み取り油剤粘度とする。
(4)繊度
JIS L1013(1999) 8.3.1正量繊度 a)A法に従って、所定荷重として5mN/tex×表示テックス数、所定糸長としては90mで測定した。
(5)強度・伸度
試料をオリエンテック(株)社製“テンシロン”(TENSILON)UCT−100でJIS L1013(1999) 8.5.1標準時試験に示される定速伸長条件で測定した。この時の掴み間隔は25cm、引張り速度30cm/分、試験回数10回であった。なお、破断伸度はS−S曲線における最大強力を示した点の伸びから求めた。
(6)毛羽発生頻度
生産開始からローラの交換なしの状態で0〜24時間と720時間後の製糸によって得られた糸について200m/分の速度で解舒しつつ、大広(株)製光感知式毛羽検知装置で糸条に含まれる毛羽(単糸破断)を検知し、糸条の長さ10万m当たりの毛羽数から次の基準により評価した。
毛羽数(回/10万m)
0〜0.5 ◎ ( 優良 )
1〜5 ○ ( 良 )
5〜50 △ (やや良)
50以上 × ( 不良 )
(7)染色性
得られた繊維360本を経糸とし、緯糸として560dtex−96filのポリエステル糸を用いて緯糸密度21本/インチで51mm幅のシートベルト用生機を製織した。この生機を用い、精練することなしに以下の染液に浸漬させ、連続して220℃の発色槽で2分間の処理を行うことにより染色を行った。この時の染色欠点数から以下の基準により染色性を評価した。
・使用した染液(水1リットルに対する染料の添加量):
チバスペシャルティケミカル社Teratop Yellow HL−G :7g
住化ケムテックス社Sumikaron Red GX :5g
住化ケムテックス社Sumikaron Blue GX :9g
・染色性評価はシートベルト2,000m当たり染色欠点数を次の基準により評価した。
染色欠点数
0〜1 ◎ ( 優良 )
1〜3 ○ ( 良 )
3〜10 △ (やや良)
10以上 × ( 不良 )
[実施例1〜3、比較例1〜4]
固相重合によって得られた固有粘度1.35のポリエチレンテレフタレートポリマを、290℃の1軸エクストルーダー式押出機に連続的に供給し連続的に溶融した。溶融ポリマを290℃の配管を通じて8段のスタティックミキサーで混練し、ギヤポンプにて総繊度が1400dtexとなるように計量した後、290℃の紡糸パックに導き、パック内では15ミクロンカットのフィルターを通過させ、孔径0.5mm、孔長1.1mmの丸型単孔が192個開けられた口金より押し出し紡出した。
紡出糸条を口金下に設けた長さ40cm、雰囲気温度330℃の加熱筒を通過させた後、ユニフロー型チムニーを用いて18℃の冷風を30m/分の速度で吹き付け固化させた後、油剤ロールにて油剤を付与した。油剤を付与した糸条を424m/分の表面速度を有する1FR(70℃)で巻き取った後、連続して延伸工程に供した。
1FRを通過した糸条を、速度449m/分の2FR(100℃)、速度1822m/分の1DR(110℃)、速度2690m/分の2DR(235℃)、速度2650m/分のRR(非加熱)に連続して供すことにより延伸を行った。交絡処理装置は2DRとRRの間(東レ社製AL−11)および、RRと巻取ローラの間(ヘバーライン社製PolyJet−TG)に設置し、それぞれ0.3MPaおよび0.6MPaの高圧空気を噴射して、ポリエステル繊維を得た。表1に、強伸度、毛羽発生頻度、染色性、油剤付着量、処理剤組成、および処理剤特性を示した。
[実施例4]
1FRの速度を498m/分、2FRの速度を528m/分、1DRの速度を2141m/分に設定したこと以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例5]
1FRの速度を414m/分、2FRの速度を439m/分、1DRの速度を1780m/分に設定したこと以外は、実施例1と同様に行った。
[実施例6]
1FRの速度を441m/分、2FRの速度を467m/分、1DRの速度を1896m/分に設定したこと以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例5、6]
比較例5、6は、表1に記載の油剤組成にて、鉱物油で希釈する代わりに水中に乳化分散させ、濃度20重量%のエマルジョン処理剤を得た。処理剤以外は実施例1と同様に行った。
Figure 2012158843
表1の結果から明らかなように、本発明の条件を満足する実施例1〜6のポリエステル繊維は、長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れるポリエステル繊維である。
しかしながら、比較例1〜3では、生産開始直後は毛羽発生頻度も良好な状態であるが、長期生産においては毛羽を発生させてしまう結果となった。
また、比較例4では、長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持するものの、染め斑が発生する結果となった。
さらに、比較例5、6では、鉱物油希釈から水希釈エマルジョンの形態で付与することにより毛羽の発生頻度が大幅に悪化する結果となった。
本発明のポリエステル繊維は、安価で、かつ長期間の生産において毛羽が少ない状態を維持し、製織性および製品品位に優れると共に、染め斑が発生せず均染性に優れるため、特にシートベルト用ウェビング等に好適である。
また、本発明のポリエステル繊維は、シートベルト用ウェビングの他、スリング、ラッシングベルト、紐・テープ等の細幅ベルト、およびテント、ターポリン、重布、カバン時用基布等の広幅織物にも好ましく適用することができる。
1 ホッパー
2 エクストルーダー
3 紡糸パック
4 口金
5 加熱筒および/または断熱筒
6 冷却装置
7 給油装置
8 引取りローラ(1FR)
9 引取りローラ(2FR)
10 交絡処理装置
11 延伸ローラ(1DR)
12 延伸ローラ(2DR)
13 交絡処理装置
14 弛緩ローラ(RR)
15 交絡処理装置
16 巻き取り機

Claims (6)

  1. 希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与されたポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維であって、強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%であることを特徴とするポリエステル繊維。
  2. 希釈剤成分を除く油剤成分全体の重量を100重量部としたときに、
    前記非含水処理剤が、0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分以外に45〜80重量部の脂肪族カルボン酸アルキルエステル(A)と、15〜50重量部のポリアルキレングリコール型非イオン性界面活性剤(B)と、1〜4重量部のアニオン性界面活性剤(C)とからなる油剤成分と、有機溶剤からなる希釈剤成分を含有し、前記油剤成分の濃度が20〜80重量%であり、かつ25℃における粘度が5〜90センチポイズであることを特徴とする請求項1記載のポリエステル繊維。
  3. 前記有機溶剤が、140〜240の数平均分子量を有する鉱物油であることを特徴とする請求項2記載のポリエステル繊維。
  4. 前記非含水処理剤が、繊維重量に対して油剤成分として0.3〜0.8重量%付与されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリエステル繊維。
  5. 0.01〜2重量部のラウリルアルコールおよびエチレンオキシド付加物のホスフェート成分を含有する非含水処理剤が付与して強度が6.0〜10.0cN/dtex、伸度が8〜30%のポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維を製造することを特徴とするポリエチレンテレフタレート系ポリエステル繊維の製造方法。
  6. シートベルト用ウェビング、スリング、ラッシングベルト、紐・テープ等の細幅ベルト、およびテント、ターポリン、重布、バッグ用基布等の広幅織物に用いることを特徴とする請求項1〜4項いずれか1項記載のポリエステル繊維。
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