JP2012158722A - アクリル系熱可塑性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】メタクリル系樹脂、ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドとでアセタール化して得られた特定のポリビニルアセタール樹脂、及び6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンなどの亜リン酸エステル化合物を含有する樹脂組成物であって、少なくともメタクリル系樹脂が当該樹脂組成物中にて連続相を形成しており、しかも当該樹脂組成物におけるメタクリル系樹脂に起因する主分散ピーク温度TαAPが、メタクリル系樹脂単独での主分散ピーク温度(TαA)とポリビニルアセタール樹脂単独での主分散ピーク温度(TαB)との間の値を示す、アクリル系熱可塑性樹脂組成物。
【選択図】なし
Description
その改善のために、例えば、特許文献1において、メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物が提案されている。
しかし、上記メタクリル系樹脂とポリビニルアセタール樹脂とからなる熱可塑性樹脂組成物は、溶融成形時の安定性がメタクリル系樹脂に比べ劣り、特に、溶融成形時に着色しやすく、成形体の色相が悪化しやすかった。
アルキルアクリレートとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ミリスチルアクリレート、パルミチルアクリレート、ステアリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、シクロヘキシルアクリレートなどが挙げられる。これらのうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるアルキルアクリレートが好ましい。これらのアルキルアクリレートは1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に用いられるメタクリル系樹脂(A)としては、一本の線状構造を成しているもの、分岐構造を有するもの、環状構造を有するものなどを挙げることができる。
ポリビニルアルコール樹脂は、その製法によって特に限定されず、例えば、ポリ酢酸ビニルなどをアルカリ、酸、アンモニア水などを用いてけん化することによって製造することができる。好適なポリビニルアルコール樹脂は、そのけん化度が、好ましくは80mol%以上、より好ましくは97モル%以上、さらに好ましくは99.5モル%以上である。また、上記ポリビニルアルコール樹脂として、エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂、部分けん化エチレン−ビニルアルコール共重合体樹脂などの、ビニルアルコールとビニルアルコールと共重合可能なモノマーとの共重合体を用いることができる。さらに、一部にカルボン酸などが導入された変性ポリビニルアルコール樹脂を用いることができる。これらポリビニルアルコール樹脂は、1種単独で若しくは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記で用いられる酸触媒は特に限定されず、例えば、酢酸、p−トルエンスルホン酸などの有機酸類;硝酸、硫酸、塩酸などの無機酸類;炭酸ガスなどの水溶液にした際に酸性を示す気体;陽イオン交換体や金属酸化物などの固体酸触媒などが挙げられる。
水媒法若しくは溶媒法において生成したスラリーは、通常、酸触媒によって酸性を呈している。酸触媒を除去する方法として、該スラリーの水洗を繰り返し、pHを通常5〜9、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8に調整する方法;該スラリーに中和剤を添加して、pHを通常5〜9、好ましくは6〜9、さらに好ましくは6〜8に調整する方法;アルキレンオキサイド類などを添加する方法などが挙げられる。
上記酸触媒除去のために用いる化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウムなどのアルカリ金属化合物やアンモニア、アンモニア水溶液が挙げられる。また、アルキレンオキサイド類としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド;エチレングリコールジグリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル類が挙げられる。
次に中和によって生成した塩、アルデヒドの反応残渣などを除去する。除去方法は特に制限されず、脱水と水洗を繰り返すなどの方法が通常用いられる。
残渣などが除去された含水状態のポリビニルアセタール樹脂は、必要に応じて乾燥され、必要に応じてパウダー状、顆粒状あるいはペレット状に加工される。パウダー状、顆粒状あるいはペレット状に加工される際に、減圧状態で脱気することによってアルデヒドの反応残渣や水分などを低減しておくことが好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の総アセタール化度は、次のようにして求めることができる。まず、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則ってビニルアルコール単位の質量割合(l0)およびビニルアセテート単位の質量割合(m0)を滴定によって求める。ビニルアセタール単位の質量割合(k0)をk0=1−l0−m0によって求める。これらの質量割合から、ビニルアルコール単位のモル割合(l)およびビニルアセテート単位のモル割合(m)を算出し、k=1−l−mの計算式によってビニルアセタール単位のモル割合(k)を算出する。そして、総アセタール化度(mol%)を、{k}/{k+l+m}×100によって算出する。
本発明に好適なポリビニルアセタール樹脂は、ビニルアルコール単位を好ましくは15〜35モル%、より好ましくは17〜30モル%含み、ビニルアセテート単位を好ましくは0〜5モル%、より好ましくは0〜3モル%含む。
式(I)中のR1およびR4はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示し、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基を示し、より好ましくはt−アルキル基、シクロヘキシル基または1−メチルシクロヘキシル基を示す。
式(I)中のR2は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示し、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基または炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基を示し、より好ましくは炭素数1〜5のアルキル基を示し、さらに好ましくはメチル基、t−ブチル基またはt−ペンチル基を示す。
式(I)中のR5は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示し、好ましくは水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示し、より好ましくは水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を示す。
R3が示す炭素数1〜8のアルキル基としては、前記と同じものを例示することができる。
式(II)中のR6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示し、好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基またはt−ブチル基を示す。
R6が示す炭素数1〜8のアルキル基および炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、それぞれ前記と同じのものを例示することができる。
Aが示す炭素数2〜8のアルキレン基としては、例えばエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。
式(III)中、R7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、好ましくは単結合またはエチレン基を示す。式(III)中の+は酸素原子に結合していることを示す。
R7が示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基などが挙げられる。
YまたはZが示す炭素数1〜8のアルキル基としては、前記と同じのものを例示することができ、炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基、t−ペンチルオキシ基、i−オクチルオキシ基、t−オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基などが挙げられ、炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基などが挙げられる。
熱可塑性樹脂組成物において主分散ピーク温度が一つしか観測できない場合、すなわちTαAP=TαBPとなる場合は、熱可塑性樹脂組成物中のメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とが完全な相溶状態になっていることを示している。
なお、本発明に係るアクリル系熱可塑性樹脂組成物に含有されるメタクリル系樹脂(A)が二種以上のメタクリル系樹脂の組み合わせである場合は、その組み合わせたもののうちのいずれか一つの主分散ピーク温度をTαAとし、また、本発明に係るアクリル系熱可塑性樹脂組成物に含有されるポリビニルアセタール樹脂(B)が二種以上のポリビニルアセタール樹脂の組み合わせである場合は、その組み合わせたもののうちのいずれか一つの主分散ピーク温度をTαBとし、それらが上記関係、すなわちTαB<TαAP<TαAまたはTαA<TαAP<TαBの関係を満たすようにする。
亜リン酸エステル化合物(I)は、メタクリル系樹脂(A)を重合で製造する段階、例えば原料であるメタクリル酸メチルを含有する単量体混合物にまたは重合反応の進行途上における該単量体混合物に添加することができ;重合によって得られたメタクリル系樹脂(A)に添加混練することができ;ポリビニルアルコール樹脂をアセタール化しポリビニルアセタール樹脂(B)を合成する段階で配合することができ;合成されたポリビニルアセタール樹脂(B)に添加混練することができ;またはメタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)とを一軸混練機、二軸混練機などの混練機によって溶融混練する段階で配合することができる。
溶融混練する際の最大せん断速度が100sec-1以上であることが好ましく、200sec-1以上であることがより好ましい。
さらに、耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤の種類は特に限定されないが、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、または、トリアジン系のものが好ましい。紫外線吸収剤の添加量は、アクリル系熱可塑性樹脂組成物に対して、通常0.1〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%、より好ましくは0.1〜2質量%である。
なお、本発明のアクリル系熱可塑性樹脂組成物に添加される上記添加剤は、当該樹脂組成物を製造する際に添加してもよいし、後述する成形の直前に添加してもよい。
(1)熱安定性
TAインスツルメント社製「SDTQ600」を用いて、窒素流量100ml/分の条件下で30℃から260℃まで昇温速度10℃/分で熱可塑性樹脂組成物を加熱し、260℃で60分間保持した。260℃に達した直後の熱可塑性樹脂組成物の質量に対する260℃で60分間保持した後の熱可塑性樹脂組成物の質量の減少比率(質量%)を測定した。この減少比率(質量%)の値が小さいほど熱安定性に優れていることを示す。
熱可塑性樹脂組成物を、100mm×100mm×厚さ2mmの両面鏡面を持つ平板の金型を用いて射出成形し、厚さ2mmの試験片を得た。この試験片を日立ハイテクノロジーズ社製の分光光度計「U−4100」を用いて、波長380〜780nmの範囲で透過率を測定した。透過率の測定値からJIS Z−8722記載の方法に従ってXYZ値を導出した。次いでJIS K−7105記載の方法に従って黄色度(YI)を求めた。黄色度(YI)の値が小さいほど、溶融成形時の着色が少ないことを示す。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(昭和電工社製、Shodex(商標)GPCSYSTEM11)に、カラム(昭和電工社製、Shodex(商標)KF−806L)を繋ぎ、示差屈折率検出器(昭和電工社製、Shodex(商標)RI−101)を用いて測定した。テトラヒドロフランを溶媒に用いた。試料溶液は、重合体3mgを精秤し、これを3mlのテトラヒドロフランに溶解し、0.45μmのメンブランフィルターでろ過することによって調製した。測定の際の流量は、1.0ml/分とし、ポリマーラボラトリーズ社製の標準ポリメタクリル酸メチルを用いて作成した検量線に基づいて、ポリメタクリル酸メチル換算分子量として重量平均分子量(Mw)を算出した。
損失正接(tanδ)の主分散のピーク温度(Tα)は、レオロジ社製DVE RHEOSPECTOLER DVE−V4に、長さ20mm×幅3mm×厚さ200μmの試験片をセットして、正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/分にて測定した。
射出成形で得られた試験片をウルトラミクロトーム(RICA社製ReichertULTRACUT−S)で切断し超薄切片を得た。該超薄切片を四酸化ルテニウムの蒸気で電子染色し、試料を作製した。熱可塑性樹脂組成物中のポリビニルアセタール樹脂の部分が染色された。このようにして作成した試料を日立製作所社製透過電子顕微鏡H−800NAを用いて観察した。観察されたモルフォロジーにおいて非染色部(メタクリル系樹脂(A))が連続相を形成していたものをC、メタクリル系樹脂(A)が不連続であったものをDとして評価した。
熱可塑性樹脂組成物を280℃で1時間熱プレスした。熱プレス後の熱可塑性樹脂組成物から小片を切り出し、該小片をテトラヒドロフランに溶解させた。得られた溶液を0.45μmのメンブランフィルターを用いてろ過した。ろ過後のメンブランフィルターを乾燥させて溶媒のテトラヒドロフランを除去し、質量を測定した。ろ過後のメンブランフィルターの乾燥質量とろ過前のメンブランフィルターの乾燥質量とを比較し、増加した質量をゲル質量と看做した。テトラヒドロフランに溶解させた小片の質量に対するゲル質量の割合を算出し、それをゲル分率とした。
バルク重合法によって、メタクリル酸メチル単位97.6質量%およびアクリル酸メチル単位2.4質量%を有するメタクリル系樹脂を得た。当該メタクリル系樹脂の重量平均分子量(Mw)および主分散ピーク温度(TαA)を表1に示す。
ポリビニルアルコール樹脂の水溶液に、表2に示すアルデヒド化合物ならびに酸触媒(塩酸)を添加し、攪拌することによって、アセタール化反応を行った。該反応の進行に伴って樹脂が析出した。公知の方法に従ってpH6になるまで洗浄し、次いでアルカリ性にした水性媒体中に懸濁させて攪拌した。次いでpH7になるまで洗浄した。その後、揮発分が1.0%になるまで乾燥させることによって、表2に示す物性を有するポリビニルアセタール樹脂(B-1)および(B-2)を得た。
まず、JIS K6728(1977年)に記載の方法に則って、ビニルアルコール単位の質量割合(l0)およびビニルアセテート単位の質量割合(m0)を後記の方法によって求め、さらに、ビニルアセタール単位の質量割合(k0)をk0=1−l0−m0によって求めた。 次に、l=(l0/44.1)/(l0/44.1+m0/86.1+k0/Mw(acetal))およびm=(m0/86.1)/(l0/44.1+m0/86.1+k0/Mw(acetal))を計算によって求め、k=1−l−mの計算式によってビニルアセタール単位の割合(k)を計算し、最後に、総アセタール化度(mol%)={k}/{k+l+m}×100によって求めた。ここで、Mw(acetal)はアセタール化ユニットひとつあたりの分子量である。例えば、ポリビニルアセトアセタール樹脂のとき、Mw(acetal)=Mw(acetoacetal)=115である。ポリビニルブチラール樹脂のとき、Mw(acetal)=Mw(butyral)=142.2である。
また、13C−NMRによって、炭素数4以上のアルデヒドでアセタール化された繰返し単位の全繰返し単位に対するモル%(k(BA))、炭素数3以下のアルデヒドでアセタール化された繰返し単位の全繰返し単位に対するモル%(k(AA))、アセタールユニット1つあたりの平均分子量(Mw(acetal))、ビニルアルコール単位の全繰返し単位に対するモル%(l)、およびビニルアセテート単位の全繰返し単位に対するモル%(m)を算出した。
ポリビニルアセタール樹脂約0.4gを共せん付き三角フラスコに正確に量りとり、ピリジン/無水酢酸(体積比92/8)の混合液10mlをピペットで加えて、該樹脂を溶解し、温度50℃の水浴上で120分間加熱した。室温に冷ました後、ジクロロエタン20mlを加えて混ぜ合わせ、さらに水50mlを加え、栓をして激しく振り混ぜた。その後、30分間放置した。フェノールフタレイン指示薬にて微紅色を呈するまでN/2水酸化ナトリウム溶液で生成酢酸を滴定した。このときに要したN/2水酸化ナトリウム溶液の滴定量をa(ml)とした。別にブランク試験を行った。これに要したN/2水酸化ナトリウム溶液の滴定量をb(ml)とした。ビニルアルコール単位の質量割合(l0)を次式で算出した。
l0=2.2×(b−a)×Fl/(sl×Pl)
式中の、s1:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pl:純分(%)、Fl:N/2水酸化ナトリウム溶液の力価である。
m0=0.86×(c−d)×Fm/(sm×Pm)
式中の、sm:ポリビニルアセタール樹脂の質量、Pm:純分(%)、Fm:N/10水酸化ナトリウム溶液の力価である。
化合物(i):6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン
この化合物(i)は、式(I)におけるR1、R2およびR4がそれぞれt−ブチル基であり、R3が水素原子であり、R5がメチル基であり、Xが単結合であり、Aがプロピレン基であり、Yがヒドロキシル基であり、Zが水素原子である化合物である。化合物(i)は、亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を同一分子内に有する化合物である。
化合物(ii)は、亜リン酸エステル構造のみを有する化合物である。
化合物(iii)は、亜リン酸エステル構造のみを有する化合物である。
化合物(iv)は一般的なヒンダードフェノール化合物である。
化合物(v)は、ヒンダードフェノール構造のみを有する化合物である。
メタクリル系樹脂(A-1)75質量部、ポリビニルアセタール樹脂(B-1)25質量部および化合物(i)0.2質量部を、東洋精機社製二軸押出し機LABO PLASTOMILL 2D30W2を用いて、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数100rpmで混練し、アクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
化合物(i)の添加量を0.05質量部に変更した以外は実施例1と同じ手法にてアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
化合物(i)の添加量を0.5質量部に変更した以外は実施例1と同じ手法にてアクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
メタクリル系樹脂(A-1)90質量部、ポリビニルアセタール樹脂(B-1)10質量部および化合物(i)0.2質量部を、東洋精機社製二軸押出し機LABO PLASTOMILL 2D30W2を用いて、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数100rpmで混練し、アクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
メタクリル系樹脂(A-1)60質量部、ポリビニルアセタール樹脂(B-1)40質量部および化合物(i)0.2質量部を、東洋精機社製二軸押出し機LABO PLASTOMILL 2D30W2を用いて、シリンダー温度240℃、スクリュー回転数100rpmで混練し、アクリル系熱可塑性樹脂組成物を得た。得られたアクリル系熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
化合物(i)を用いなかった以外は実施例1と同じ手法にて熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表3に示す。
ポリビニルアセタール樹脂(B-1)をポリビニルアセタール樹脂(B-2)に変更した以外は、実施例1〜3と同じ手法にて熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表4に示す。
化合物(i)を化合物(ii)に変えた以外は実施例1と同じ手法に従って熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表4に示した。
化合物(i)を化合物(iii)に変えた以外は実施例1と同じ手法に従って熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表4に示した。
化合物(i)を化合物(iv)に変えた以外は実施例1と同じ手法に従って熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表4に示した。
化合物(i)0.2質量部を、化合物(ii)0.1質量部および化合物(v)0.1質量部に変えた以外は実施例1と同じ手法に従って熱可塑性樹脂組成物を得た。得られた熱可塑性樹脂組成物の物性評価・モルフォロジー観察を行った。これらの結果を表4に示した。
また、亜リン酸エステル構造とヒンダードフェノール構造を同一分子内に有する化合物(i)に代表されるような、式(I)で示される亜リン酸エステル化合物を配合した樹脂組成物は、亜リン酸エステル構造のみを有する化合物(ii)を配合した樹脂組成物、亜リン酸エステル構造のみを有する化合物(iii)を配合した樹脂組成物、ヒンダードフェノール構造のみを有する化合物(iv)を配合した樹脂組成物、あるいは、亜リン酸エステル構造のみを有する化合物(ii)とヒンダードフェノール構造のみを有する化合物(v)とを併用した場合のいずれと比較しても溶融成形時の安定性に優れ、溶融成形時に着色しにくいことがわかる。
Claims (2)
- メタクリル系樹脂(A)、ポリビニルアセタール樹脂(B)、および式(I)で表される亜リン酸エステル化合物を含有するアクリル系熱可塑性樹脂組成物であって、
少なくともメタクリル系樹脂(A)は、当該樹脂組成物中にて連続相を形成しており、
ポリビニルアセタール樹脂(B)は、ポリビニルアルコール樹脂を炭素数4以上のアルデヒドと炭素数3以下のアルデヒドとによって総アセタール化度65〜85モル%でアセタール化して成るもので、且つ 炭素数4以上のアルデヒドでアセタール化された繰返し単位/炭素数3以下のアルデヒドでアセタール化された繰返し単位のモル比が90/10〜1/99であり、
しかも、正弦波振動10Hz、昇温速度3℃/分の条件下での動的粘弾性測定において、当該樹脂組成物におけるメタクリル系樹脂(A)に起因する主分散ピーク温度TαAPが、メタクリル系樹脂(A)単独での主分散ピーク温度(TαA)とポリビニルアセタール樹脂(B)単独での主分散ピーク温度(TαB)との間の値を示す、アクリル系熱可塑性樹脂組成物。
{式(I)中、R1、R2、R4およびR5はそれぞれ独立して水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基またはフェニル基を示し、R3は水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示し、Xは単結合、硫黄原子または式(II)で表される2価の基(式(II)中、R6は水素原子、炭素数1〜8のアルキル基または炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。)を示し、Aは炭素数2〜8のアルキレン基または式(III)で表される2価の基(式(III)中、R7は単結合または炭素数1〜8のアルキレン基を示し、+は酸素原子に結合していることを示す。)を示し、YおよびZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基または炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子または炭素数1〜8のアルキル基を示す。}
- メタクリル系樹脂(A)とポリビニルアセタール樹脂(B)との質量比(A)/(B)が99/1〜51/49である請求項1に記載のアクリル系熱可塑性樹脂組成物。
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