JP2012158116A - 抗菌性転写シート、及び抗菌性加飾成形品 - Google Patents

抗菌性転写シート、及び抗菌性加飾成形品 Download PDF

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慎太郎 土井
Takahiro Aoki
高弘 青木
Yuki Yasuzumi
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Abstract

【課題】抗菌性転写シートにおいて、ハードコート層が抗菌作用して要求される機能を十分に発揮できるとともに、2H以上の鉛筆硬度を備える抗菌性転写シートを提供することにある。
【解決手段】基体シートと、前記基体シートの片面に形成され、(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数nが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを、重量比でそれぞれ60〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成されるハードコート層とを備える抗菌性転写シートを提供する。
【選択図】図1

Description

本発明は、オーディオ、パソコンなどの家電製品や家具などに使用される抗菌性転写製品に用いられる転写シートに関する。
より詳しくは抗菌作用を備える転写シート、および転写製品の表面に優れた抗菌性、耐擦傷性、鉛筆硬度を付与する転写シートに関する。
転写シートを用いて、プラスチック部品や外装品のような物品の表面を保護又は装飾する方法は従来から知られている。例えば、特許文献1には支持体である基体シートの面上に転写層が形成された転写シート、及びその転写シートを射出成形金型内に挿入し、インモールド射出成形して、装飾された射出成形体を得ること(射出成形同時転写)が記載されている。
転写シートは、支持体である基体シート上に転写層が設けられた構成からなり、この転写層が被装飾物品の表面に転写される。被装飾物品の表面に転写された転写層は樹脂や絵柄が層状に積層された積層体であり、物品表面に保護被覆や装飾被覆を形成する。
装飾品に対する保護機能が重視される場合がある。この保護機能が重視される場合には、転写シートの最外側にハードコート層が設けられる(例えば特許文献1)。更に用途によっては、ハードコート層が抗菌作用を備えることが求められる。この場合には、ハードコート層に抗菌剤が添加された抗菌性転写シートが使用される(例えば特許文献2、特許文献3)。
特許文献2、3には、ハードコート層に無機系抗菌剤を抗菌剤として添加することが記載されている。
しかし、上記の場合、無機系抗菌剤のほとんどがハードコート層中に埋没してしまい、ハードコート層表面に露出する無機系抗菌剤の割合が非常に少なかった。その結果、無機系抗菌剤が添加されたハードコート層は抗菌作用を持っているものの、抗菌作用として要求される機能を十分に発揮できないという問題があった。また無機系抗菌剤をハードコート層中に添加しすぎると、ハードコート層の透明性が失われたり、転写シートを使用する場合において、ハードコート層にクラックが生じるという問題がある。
そこで、上記問題を解決するために、ハードコート層の中に無機系抗菌剤とともにワックスを添加したハードコート層が開発されている(例えば特許文献4)
特許文献4には、ハードコート層の中にワックスを添加することによって、無機系抗菌剤がワックスとともにハードコート層表面に滲み出し、高い抗菌作用を備えるハードコート層を作成できることが記載されている。
しかし、上記の場合、ハードコート層に上記ワックスを添加することによって、ハードコート層の鉛筆硬度が2H未満に低下するという問題があった。
特開平4−109811 特開平6−263611 特開平11−139009773 特開平9−58196
本発明は上記従来の問題を解決するものであり、抗菌性転写シートにおいて、大腸菌などの細菌を含む皮脂がハードコート層表面に付着した場合、ハードコート層が上記皮脂に含まれる細菌に対して十分な抗菌作用を示すとともに、2H以上の鉛筆硬度を備え、且つハードコート層の透明性が失われず、使用する際にハードコート層にクラックが生じない抗菌性転写シートを提供することにある。
本発明の抗菌性転写シートは、成形樹脂又は金属板に抗菌作用を有するハードコート層を転写するために用いられる抗菌性転写シートであって、基体シートと、前記基体シートの片面に形成され、(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数nが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを重量比でそれぞれ60〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成されるハードコート層とを備える抗菌性転写シートを提供する。
[式中、Polyetherはポリエステル骨格を示し、RはHまたはCHを示す]
ある一形態においては、前記無機系抗菌剤のイオン交換体の平均粒子径が、0.1〜5μmである。
ある一形態においては、前記ハードコート層の水滴接触角が80°以下、且つオレイン酸接触角が15°以下である。
ある一形態においては、前記ハードコート層の厚みが0.5〜30μmである。
ある一形態においては、前記ハードコート層の前記基体シートと接する面の表面粗さが0.1〜5μmである。
ある一形態においては、前記ハードコート層の上に接着層が形成されている。
また、本発明は筐体に使用される転写成形品であって、
基材と、
前記基材の上に形成された接着層と、
前記接着層と接触するように前記接着層の上に形成され、
(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数mが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを、重量比でそれぞれ60〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成され、その表面の水滴接触角とオレイン酸接触角が、それぞれ80°以下、15°以下である転写成形品を提供する。
[式中、Polyetherはポリエステル骨格を示し、RはHまたはCHを示す]
また、本発明は成形用金型内に外側が金型キャビティ面に接するような向きに上記抗菌性転写シートを送り込む工程;
金型を閉じ、溶融樹脂が抗菌性転写シートの内側(即ち、ハードコート層側)の面に接するように、溶融樹脂を金型内に充満させる工程;
樹脂を冷却し、金型を開いて射出成形体を取り出す工程;及び
基体シートを剥離する工程;
を包含する射出成形体の表面を装飾する方法を提供する。
本発明の抗菌性転写シートは、成形樹脂又は金属板に抗菌作用を有するハードコート層を転写するために用いられる抗菌性転写シートであって、
基体シートと、
前記基体シートの片面に形成され、(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数nが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを、重量比でそれぞれ60〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成されるハードコート層とを備えるので、本発明の抗菌性転写シートは、大腸菌などの細菌を含む皮脂がハードコート層表面に付着した場合、ハードコート層が上記皮脂に含まれる細菌に対して十分な抗菌作用を示すとともに、2H以上の鉛筆硬度と透明性を備え、且つ使用する際にハードコート層にクラックが生じない抗菌性転写シートを提供できる。
[式中、Polyetherはポリエステル骨格を示し、RはHまたはCHを示す]
本発明の抗菌性転写シートの構成を模式的に示す断面図である。
下記で、本発明に係る実施形態を図面に基づいてさらに詳細に説明する。なお、本発明の実施例に記載した部位や部分の寸法、材質、形状、その相対位置などは、とくに特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は、この発明の第1実施形態に係る抗菌性転写シートを示した図である。図1を参照して、本発明の抗菌性転写シート100は、基体シート1と、その上に形成されるハードコート層2と、その上に形成される、絵柄層3、及び接着層4とを備えている。
基体シート
基体シートは、ハードコート層をシート上に保持するためのベースフィルムであり、合成樹脂などから構成される。基体シートの材質としては、例えば、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などの樹脂シート、アルミニウム箔、銅箔などの金属箔、グラシン紙、コート紙、セロハンなどのセルロース系シート、あるいは以上の各シートの複合体など、基体シートとして離型性を有するものを使用することができる。
ハードコート層
ハードコート層は、基体シートの上に形成される層である。ハードコート層は、被装飾物品の表面に転写される層であり、物品を保護する層である。
活性エネルギー線硬化組成物
ハードコート層は、活性エネルギー線硬化組成物から構成される。活性エネルギー線硬化性組成物は、光硬化性化合物、表面エネルギー活性剤、無機系抗菌剤から構成される。光硬化性化合物は、光を照射したときに硬化収縮し、ハードコート層に一定の硬度を与える化合物である。表面エネルギー活性剤は、大腸菌などの細菌を含む皮脂がハードコート層に付着した場合に、皮脂とハードコート層との接触面積が広くなるよう皮脂に作用する化合物である。無機系抗菌剤は、ハードコート層に付着した皮脂に含まれる細菌に対して抗菌作用を付与する化合物である。以下で、これら化合物について詳細に説明する。
光硬化性化合物
光硬化性化合物は、ハードコート層の光硬化性を向上させるという観点から、(メタ)アクリロイル基を有する樹脂から構成される。
具体的には、光硬化性化合物は、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備え、その(メタ)アクリル当量は100〜300g/eqであり、重量平均分子量は1000〜10000である。
光硬化性化合物は、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を有する。光硬化性化合物が2以上の(メタ)アクリロイル基を有さないと、光照射しても光硬化性化合物が硬化収縮しきれずハードコート層の鉛筆硬度(JIS K5400)が、2Hに満たなくなってしまうという問題が生じる。また反対に光硬化性化合物が6以上の(メタ)アクリロイル基を備えると、光照射によって光硬化性化合物が硬化収縮しすぎるので、ハードコート層が硬くなりすぎ、加工しづらくなるといった問題が生じるためである。
光硬化性化合物は、そのアクリル当量が100〜300g/eqである。光硬化性化合物のアクリル当量が100g/eq未満の化合物は非常に高価であるため、このような化合物を用いると製造コストがかかるという問題が生じる。これに対し、(メタ)アクリル当量が300g/eqを越える光硬化性化合物を用いると、光照射後のハードコート層の耐磨耗性が低下するという問題が生じるためである。
光硬化性化合物の重量平均分子量は、1000〜10000である。光硬化性化合物の重量平均分子量が1000未満であると、光照射によっても光硬化性化合物は硬化しきれず半硬化の状態で存在する。そのためハードコート層の耐溶剤性が低下するといった問題が生じる。反対に重量平均分子量が、10000を越えると光硬化性化合物の粘度が高くなり過ぎ、その結果、基体シートの上にハードコート層を形成する際に、印刷法でハードコート層を形成できなくなるといった問題が生じるためである。
なお、光硬化性化合物が、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備え、そのアクリル当量が100〜300g/eqであり、重量平均分子量が1000〜10000の範囲内であれば、光硬化性化合物は、モノマーであっても、オリゴマーであっても、ポリマーであってもよい。
光硬化性化合物を構成するモノマーとしては、アルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、低分子量ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはそのアルキレンオキシド変成体、ポリオールポリ(メタ)アクリレートまたはそのアルキレンオキサイド変成体、イソシアヌル酸アルキレンオキシド変成体のジまたはトリ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。アルキレングリコールジ(メタ)アクリレートとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。低分子量ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートまたはそのアルキレンオキシド変成体としては、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。ポリオールポリ(メタ)アクリレートまたはそのアルキレンオキサイド変成体としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジまたはトリまたはテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタまたはヘキサ(メタ)アクリレートなどを用いることができる。
光硬化性化合物を構成するオリゴマーとしては、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポシキ(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレートなどのオリゴマーを用いることができる。
光硬化性化合物を構成するポリマーとしては、グリシジル基を有するポリマーにアクリル酸などのα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られたものを用いることができる。グリシジル基を有するポリマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体、およびグリシジル(メタ)アクリレートとカルボキシル基を含有しないα,β−不飽和単量体との共重合体などが挙げられる。このカルボキシル基を含有しないα,β−不飽和単量体としては、各種の(メタ)アクリル酸エステル、スチレン、酢酸ビニル、アクリロニトリルなどが挙げられる。
表面エネルギー活性剤
表面エネルギー活性剤は、大腸菌などの細菌を含んだ皮脂とハードコート層との接触面積をできるだけ大きくするという観点からウレタン変性ポリエーテル樹脂から構成される。
表面エネルギー活性剤を構成するウレタン変性ポリエーテル樹脂は、下記式で示される構造を有する樹脂である。下記式において、ポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、平均分子量が1000〜10000以下であり、重合数nが10〜100である。これによって、皮脂と表面エネルギー活性剤との親和性が良くなるので、大腸菌などの細菌を含む皮脂が、上記表面エネルギー活性剤を備えるハードコート層に付着した場合に、ハードコート層上に広がりやすくなる。そうすると、ハードコート層と皮脂の接触面積が増える分だけ、ハードコート層中に含まれる無機系抗菌剤と皮脂中に含まれる細菌との接触面積も増えるので、細菌に対するハードコート層の見かけ上の抗菌作用は向上する。
表面エネルギー活性剤として使用されるウレタン変性ポリエーテル樹脂について説明する。
表面エネルギー活性剤としては、上記式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂が用いられる。式中の「Polyether」はポリエーテル骨格を示し、「R」はHまたはCHを示す。「Polyether」で示されるポリエーテル骨格として、炭素数3以上であるアルキレンオキシドが挙げられる。
炭素数が3以上であるアルキレンオキシドを含むウレタン変性ポリエーテル樹脂において、このポリエーテル骨格部分の平均分子量は1000〜10000以下である。但し、ウレタン変性ポリエーテル樹脂が、ポリエーテル骨格部分を分子中に複数有する場合は、この平均分子量は、それら複数のポリエーテル骨格部分を合計した平均分子量であってよい。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂は、イソシアネートに炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールを付加反応させることによって調製することができる。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂の調製に用いられるイソシアネートは、分子内にNCO基を1つ有するモノイソシアネートであってもよく、分子内にNCO基を2つ以上有するポリイソシアネートであってもよいが、ハードコート層の硬度を向上させるという観点から、分子内に2以上の不飽和結合が組み込まれた不飽和結合含有イソシアネートを用いることが好ましい。分子内に2以上の不飽和結合が組み込まれた不飽和結合含有イソシアネートを用いてウレタン変性ポリエーテル樹脂を調製すると、構造の一部に不飽和結合を2以上備えたウレタン変性ポリエーテル樹脂を調製することができる。そうすると、活性エネルギー線硬化性組成物に光照射したときに、光硬化性化合物の(メタ)アクリロイル基と上記不飽和結合が光反応し、ウレタン変性ポリエーテル樹脂が架橋剤のような役割をも果たすので、結果として鉛筆硬度の高いハードコート層を作成することができるためである。
モノイソシアネートとしては、メチルイソシアネート、エチルイソシアネート、プロピルイソシアネート、フェニルイソシアネートなどを用いることができる。
ポリイソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、及びナフタレンジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサンジイソシアネート、及びリジンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネートなどを用いることができる。
不飽和結合含有イソシアネートとしては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1,1−ビス(アクリロイルオキシメチル)エチルイソシアネート、ジメチルメタ−イソプロペニルベンジルイソシアネートなどを用いることができる。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂の調製に用いられる炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールは、ポリエーテル骨格を有する多価アルコールである。そしてこのポリエーテルポリオールは、ポリエーテル骨格中として、炭素数3以上であるアルキレンオキシドが含まれる。この「炭素数3以上であるアルキレンオキシド」として、例えば、−O−CH−CH(CH)−で示されるプロピレンオキシド、−O−(CH−で示されるテトラメチレンオキシド、−O−CH−CH(CHCl)−で示される3−クロロプロピレンオキシド、など、炭素数3〜4のアルキレンオキシドなどが挙げられる。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂は、ポリエーテル骨格部分の平均分子量が1000以上10000以下である。すなわち、ウレタン変性ポリエーテル樹脂は、平均分子量が1000以上であって、炭素数が3以上のアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールを用いて調製される。平均分子量が1000以上であるポリエーテルポリオールを用いてウレタン変性ポリエーテル樹脂を調製すると、大腸菌などの細菌を含む皮脂と親和性が良い表面エネルギー活性剤が得られる。そのため、上記表面エネルギー活性剤を含むハードコート層に皮脂が接触した場合、皮脂は、ハードコート層上に広がりやすくなる。なお、ポリエーテルポリオールの平均分子量が1000未満であると、ハードコート層の親油性が低下し、反対にポリエーテルポリオールの平均分子量が10000を越えると、ハードコート層の親水性が低下する。つまり、いずれの場合においても表面エネルギー活性剤と皮脂との親和性が悪くなるので、皮脂がハードコート層に付着した場合、ハードコート層上に広がりにくくなるため好ましくない。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂の調製に用いられる炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールは、炭素数3以上であるアルキレンオキシドの繰り返し数が12〜52であるポリエーテルポリオールを用いるのが好ましく、この繰り返し数が15〜35であるポリエーテルポリオールを用いるのがより好ましい。上記繰り返し数を有するポリエーテルポリオールを用いることによって、ウレタン変性ポリエーテル樹脂と皮脂との親和性が向上し、より優れた抗菌作用を得ることができる。
なお、上記炭素数が3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールは、炭素数が3以上であるアルキレンオキシド単位を含む多価アルコールであればよい。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂の調製において、イソシアネートおよび炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールは、遊離のNCO基が残存しない状態となるように、イソシアネートが有するNCO基が、炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールのOH基と全て反応するようなモル当量比で用いられる。ウレタン変性ポリエーテル樹脂の調製において、イソシアネートおよび炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオールのみを用いる場合は、イソシアネート1〜50重量%および炭素数3以上であるアルキレンオキシドを含むポリエーテルポリオール99〜50重量%を重合させるのが好ましい。
無機系抗菌剤
無機系抗菌剤は、金属イオンをイオン交換体に担持させたものである。また、この無機系抗菌剤はイオン交換体から金属イオンがハードコート層中に遊離可能なように構成されている。
金属イオンとしては、銀イオン、銅イオン(II)、亜鉛イオンが挙げられるが、抗菌効果が高く安全性が高いことから銀イオンが最も好ましい。
イオン交換体としては、ゼオライト(結晶性アルミノケイ酸塩)、シリカゲル、粘土鉱物などのケイ酸塩系担体、リン酸ジルコニウム、リン酸カルシウムなどのリン酸塩系担体、およびその他として、溶解性ガラス、活性炭、金属担体、有機金属などが挙げられるが、ハードコート層の耐擦傷性の機能を向上させるという観点からシリカゲルを用いることが好ましい。金属イオンをイオン交換体に担持させる方法としては、イオン交換体を金属イオンの水溶液に、所定のpH条件、所定温度、所定時間浸漬してイオン交換体中のイオン交換可能なイオンの一部または全部を金属イオンで置換させ、イオン交換終了後、水洗し、加熱乾燥する方法が挙げられる。
無機系抗菌剤の光硬化性化合物に対する比重は特に限定されないが、1.1以上であることが好ましい。比重が1.1以上であると、基体シートに無機系抗菌剤を含む活性エネルギー線硬化組成物を塗工した際、無機系抗菌剤が基体シート側に沈み込む。ハードコート層の基体シート側の面は、抗菌性転写シートを用いて製品を作成したときに製品の最表面に配置される面であるため、その面に無機系抗菌剤が多数存在していると、当該製品の抗菌作用や耐擦性が向上するためである。
光開始剤
活性エネルギー線硬化組成物は、光開始剤を備えていてもよい。活性エネルギー線硬化組成物が光開始剤を備えることにより、光硬化性化合物のアクリル基の光反応を促進させることができる。光重合開始剤の種類としては、開裂することによりラジカル重合させるものや、水素を引き抜くことによりラジカル重合させるもの、あるいはイオンを発生させることによりカチオン重合させるものがある。
光開始剤としては、適宜選択できる。例えば、ベンゾインエーテル系、ケタール系、アセトフェノン系、チオキサントン系等のラジカル型光重合開始剤、ジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等や複合系のカチオン型光重合開始剤が挙げられ、これらの1種あるいは2種以上が使用できる。
活性エネルギー線硬化組成物の調整方法
活性エネルギー線硬化組成物は、上記成分を混合することによって調製することができる。活性エネルギー線硬化組成物の調整方法は、光硬化性化合物、表面エネルギー活性剤、無機系抗菌剤、そして必要に応じて添加剤等を混合することによって、調製することができる。
活性エネルギー線硬化組成物は、光硬化性化合物、表面エネルギー活性剤、無機系抗菌剤を重量比で
(1)光硬化性化合物:60〜90W%
(2)表面エネルギー活性剤:9〜40W%
(3)無機系抗菌剤:0.06〜5W%
からなるよう構成されることが好ましい。
上記割合で光硬化性化合物が活性エネルギー線硬化組成物中に含まれることにより、光照射後、当該活性エネルギー線硬化組成物からなるハードコート層は、鉛筆硬度(JIS K5400)で2H以上の硬度を備えることができる。なお、光硬化性化合物の割合が60W%未満であると、活性エネルギー線硬化組成物からなるハードコート層は、2H以上の硬度を備えることができないという問題が生じる。反対に光硬化性化合物の割合が、90W%を越えると、当該活性エネルギー線硬化組成物からなるハードコート層は抗菌作用が発揮しにくいという問題が生じるため好ましくない。
また、上記割合で表面エネルギー活性剤が活性エネルギー線硬化組成物に含まれていることにより、光照射後のハードコート層は、十分な抗菌作用と透明性を備えつつも、使用する際にクラックが発生しにくいものとなる。これは、上記割合で表面エネルギー活性剤が活性エネルギー線硬化組成物に含まれていることにより、光照射後のハードコート層と皮脂との水滴接触角が80°以下、且つオレイン酸接触角が15°以下となる。ハードコート層と皮脂との接触角が上記範囲内にあると、大腸菌などの細菌を含む皮脂がハードコート層に付着した時に、ハードコート層上に皮脂が広がりやすくなるので、ハードコート層と皮脂の接触面積が増える。そうすると、ハードコート層中に含まれる無機系抗菌剤と皮脂中に含まれる細菌との接触面積も増えるので、ハードコート層の細菌に対する見かけ上の抗菌作用は向上し、活性エネルギー硬化組成物に多量の無機系抗菌剤を入れなくとも十分な抗菌作用を備えるハードコート層を形成できるようになる。その結果、十分な抗菌作用、透明性を備えつつも、使用する際にクラックが発生しにくいハードコート層を形成できるようになるためである。なお、表面エネルギー活性剤の割合が10W%未満であると、皮脂がハードコート層に付着した時のハードコート層と皮脂との接触角が水滴接触角で80°以上、オレイン酸接触角で15°以上となる。この場合、大腸菌などの細菌を含む皮脂がハードコート層に付着した時に、ハードコート層上に広がりにくくなる。そうすると、ハードコート層と皮脂の接触面積が減る分だけ、ハードコート層中に含まれる無機系抗菌剤と皮脂中に含まれる細菌との接触面積も減るので、ハードコート層の細菌に対する見かけ上の抗菌作用は低下し、多量に無機系抗菌剤を活性エネルギー線硬化組成物に添加しなければならなくなる。その結果、かかる活性エネルギー線硬化組成物を使用した抗菌性転写シートはクラックを誘発するという問題や、ハードコート層の透明性が失われるという問題が生じる。反対に表面エネルギー活性剤の割合が、40W%を越えると表面エネルギー活性剤が光硬化化合物の光硬化を阻害し、ハードコート層の硬度が低下するという問題が生じるため好ましくない。
さらに、上記割合で無機系抗菌剤が含まれることによって、抗菌性に加え、透明性、耐擦傷性に優れたハードコート層を作成することができる。なお、無機系抗菌剤の割合が0.06W%未満であるとハードコート層の抗菌性と耐擦傷性が不足するという問題が生じる。反対に5W%を越えると、ハードコート層の透明性が低下するという問題が生じるため好ましくない。
ハードコート層は、上記活性エネルギー線硬化組成物を基体シートの上に配置することによって形成されるが、その形成方法としては、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法などの印刷方法によって形成する方法などが挙げられる。
ハードコート層の形状など
なお、上記のようにして形成されたハードコート層の基体シートと接する側の表面粗さは、抗菌作用の観点から0.1〜5μmであることが好ましい。ハードコート層の表面粗さが0.1〜5μmの範囲にあると、ハードコート表面に皮脂が付着したとき、皮脂とハードコート層との接触面積が広くなり、ハードコート層における見かけ上の抗菌作用が向上するからである。なお、ハードコート層の表面粗さが、0.1μm未満であると、皮脂がハードコート層表面に付着しても、皮脂とハードコート層との接触面積は、ほとんど変わらない。その結果、ハードコート層の見かけ上の抗菌作用が向上しないという問題が生じる。反対に、ハードコート層の表面粗さが、5μmを超えると、剥離不良が発生するという問題が生じるため好ましくない。
ハードコート層の厚みは、抗菌機能と保護機能、生産性の観点から0.5〜30μmであることが好ましい。ハードコート層の厚さが0.5〜30μmの範囲にあると、十分な抗菌機能と保護機能を発揮でき、且つ、生産性にも優れるからである。なお、ハードコート層の厚さが、0.5μm未満であると、十分な抗菌機能と保護機能が発揮できないという問題が生じ、反対に30μmを超えると、コスト高という問題が生じるため好ましくない。
絵柄層
絵柄層3は、ハードコート層2の上に形成される層である。絵柄層の材質としては、ポリビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ポリエステルウレタン系樹脂、セルロースエステル系樹脂、アルキッド樹脂などの樹脂をバインダーとし、適切な色の顔料または染料を着色剤として含有する着色インキを用いるとよい。また、金属発色させる場合には、アルミニウム、チタン、ブロンズ等の金属粒子やマイカに酸化チタンをコーティングしたパール顔料を用いることもできる。また、絵柄層は透過性であっても、遮光性であってもよい。絵柄層の形成方法としては、オフセット印刷法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの通常の印刷法を挙げることができる。
絵柄層は、アルミニウム、スズ、銅などの金属薄膜から形成されていてもよい。この場合の形成方法としては、金属蒸着法、スパッタ法、イオンビーム法などを用いることができる。
接着層
接着層4は、成形品と抗菌性転写シート100とを接着するための層であり、抗菌性転写シートの基体シートとは反対の表面に形成される。接着層4は、樹脂部の種類に適した感熱性又は感圧性のある樹脂が使用される。樹脂部がPMMA系樹脂であれば、例えば、接着層もPMMA系樹脂を使用するとよい。樹脂部がPC、ポリスチレン(PS)系樹脂であれば、例えば、接着層は、これらの樹脂と親和性のある、PMMA、PS、PA系樹脂を使用するとよい。接着層は、グラビアコート法、ロールコート法、コンマコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法、オフセット印刷法等により抗菌性転写シート100上に形成される。
離型層
必要に応じて、離型層が基体シート1とハードコート層2との間に形成されていてもよい。離型層は、転写後、基体シート1を剥離した際に、基体シート1とともに装飾品から離型する層である。離型層の材質としては、メラミン樹脂系離型剤、シリコーン樹脂系離型剤、フッ素樹脂系離型剤、セルロース誘導体系離型剤、尿素樹脂系離型剤、ポリオレフィン樹脂系離型剤、パラフィン系離型剤およびこれらの複合型離型剤などを用いることができる。離型層の形成方法としては、ロールコート法、スプレーコート法などのコート法、グラビア印刷法、スクリーン印刷法などの印刷法があるが、ハードコート層の透明性を活かすためには、平滑性のあるコート法が好ましい。
転写成形品の製造方法
抗菌性転写シートを使用して熱ロール転写又はインモールド成形などにより、成形樹脂や金属板などにハードコート層、接着層が形成された転写成形品を作成することができる。その作成方法として、例えば熱ロール転写においては、まず、抗菌性転写シートに存在する絵柄の位置を考慮して、被装飾物の所望の位置に絵柄が配置されるように抗菌性転写シートの位置を決定する。次いで、抗菌性転写シートの内側(接着層側)の面を被装飾物の表面に重ね、ロール転写機、アップダウン転写機などの転写機を用いて、抗菌性転写シートの基体シート側から熱及び圧力をかける。こうすることにより、抗菌性転写シートが被装飾物の表面に接着し、物品の表面に接着層、ハードコート層が形成される。その後に基体シートが剥離される。なお、上記装飾方法に用いる抗菌性転写シートとして、ハードコート層、接着層以外の層、例えば絵柄層、離型層などを備えた抗菌性転写シートを用いてもよい。
また、インモールド射出成形においては、まず、成形用金型内に、抗菌性転写シートを送り込む。その際、抗菌性転写シートの向きは、外側が金型キャビティ面を向くように合わせ、抗菌性転写シートの位置は、抗菌性転写シートに存在する絵柄の位置を考慮して、被装飾物の所望の位置に絵柄が配置されるように決定する。
次いで、金型を閉じ、溶融樹脂が抗菌性転写シートの内側(即ち、接着層側)の面に接するように、即ち、抗菌性転写シートが溶融樹脂と金型キャビティ面に挟まれるように、溶融樹脂を金型のキャビティ内に充填させる。その結果、溶融樹脂は成形され、同時に抗菌性転写シートは射出成形体の表面に接着される。樹脂を冷却し、金型を開いて射出成形体を取り出すと、接着層、ハードコート層が射出成形体の表面に接着されて、射出成形体の表面が装飾される。最後に基体シートが剥離される。
被装飾物の材質は、従来から抗菌性転写シートによって装飾されてきたもの、又は接着層の成分を工夫して転写層をその表面に接着させることができるものであれば特に限定されない。各種合成樹脂、金属、ガラス、木、紙でなる部材、これらの塗装物及び装飾物は、被装飾物として用いられる。
転写成形品
上記転写成形品の製造方法によって、抗菌性を備えたハードコート層が形成された転写成形品が得られる。本発明の転写成形品は、基材と、その上に形成される接着層と、接着層の上に形成されるハードコート層とを備えている。
基材は、抗菌性転写シートを用いて転写可能な表面を有するものであれば、特に限定されない。ハードコート層の抗菌作用を発揮させる観点からは、通常の使用形態において、表面が人の手の触れる製品又は部品が好ましい。例えば冷蔵庫、洗濯機、テレビ等の家電製品や、携帯電話の本体のカバー、ノート型パソコンのカバー、メディアプレイヤーの本体カバーなどが挙げられる。
ハードコート層は、上記活性エネルギー線硬化組成物の光硬化性樹脂が光反応した化合物と、表面エネルギー活性剤と、無機系抗菌剤とから構成されている。これによって、ハードコート層表面には多数の無機系抗菌剤が存在し、且つその表面の水滴接触角は80°以下で、オレイン酸接触角が15°以下となる。その結果、ハードコート層表面に細菌が付着した場合に、細菌と抗菌作用を有するハードコート層との接触面積が増加するので、ハードコート層が備える無機系抗菌剤の量を増加させなくても、ハードコート層の見かけ上の抗菌作用を向上させることができる。
より好ましくは、ハードコート層は、上記活性エネルギー線硬化組成物の光硬化性樹脂と表面エネルギー活性剤が光反応したものと、無機系抗菌剤とから構成されている。ハードコート層が、光硬化性樹脂同士が光反応した化合物だけでなく、光硬化性樹脂と表面エネルギー活性剤とが光反応した化合物から構成されていると、表面エネルギー活性剤が光硬化性樹脂を架橋するので、結果としてハードコート層の鉛筆硬度が向上した製品となる。具体的には、JIS K5400で鉛筆硬度が2H以上の硬度を有するハードコート層を備えた製品となるので、耐久性に優れた製品を構成することができる。
実施例1
基体シートとして表面粗さ(Ra)が0.01μmのポリエステルテレフタラートを用いた。この基体シートの一方の面に、リバースコーティング法を用いて、ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレート(重量比60:40)とからなるアクリル樹脂と、下記ウレタン変性ポリエーテル樹脂と、銀イオン含有シリカ粒子からなる活性エネルギー線硬化組成物を印刷してハードコート層を形成した。ハードコート層の厚さは、乾燥時の厚さで5.5μmとした。活性エネルギー線硬化組成物の組成は表1の通りである。
ウレタン変性ポリエーテル樹脂は、以下のようにして作成した。反応容器に、イソホロンジシアネート200重量部、ポリプロピレングリコール1000重量部、溶媒としてメチルエチルケトンを加え、100℃で3時間混合してウレタン変性ポリエーテル樹脂を得た。
銀イオン含有シリカ粒子は、以下のようにして作成した。1μmのシリカ粒子を塩化銀水溶液に、pH3、温度40℃、30分間浸漬してシリカ粒子中の銀イオンを担持させ、銀イオン担持終了後、水洗し、100℃で10分間加熱乾燥して作成した。
次に、ハードコート層の上にグラビア印刷法を用いて、接着層を形成し、抗菌性転写シートを得た。接着層としてはポリオール樹脂を用い、接着層の厚さは、乾燥時の厚さで0.3μmとした。
実施例2〜6
使用する活性エネルギー線硬化物について、銀イオン含有シリカ粒子の粒子径、比重、及び量を変更したものを用いた以外は、実施例1と同様にして抗菌性転写シートを得た。
実施例7
使用する活性エネルギー線硬化物について、表面エネルギー活性剤のアクリル当量、銀イオン含有シリカの粒子径を変更した以外は、実施例1と同様にして抗菌性転写シートを得た。
比較例1〜2
使用する活性エネルギー線硬化物について、表面エネルギー活性剤のアクリル当量を変更した以外は、実施例1と同様にして抗菌性転写シートを得た。
比較例3〜6
使用する活性エネルギー線硬化物について、表面エネルギー活性剤の平均分子量、銀イオン含有シリカ粒子の比重、量、及び基体シートの表面粗さを変更した以外は、実施例1と同様にして抗菌性転写シートを得た。
比較例7
使用する活性エネルギー線硬化物について、表面エネルギー活性剤の平均分子量を変更し、光硬化性樹脂として(メタ)アクリレートを用いたこと以外は、実施例1と同様にして抗菌性転写シートを得た。
表面粗さ評価
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層の表面粗さについて得られた結果を示す。表面粗さ(Ra)の測定は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品の表面を、表面粗さ測定器(東京精密社製、商品名「1500SD,サーフコム」)を用いて測定することにより行った。
水滴接触角の評価
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層の水滴接触角について得られた結果を示す。ハードコート層の水滴接触角は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品の表面部分に蒸留水2μlを滴下し、滴下してから5秒後の水滴接触角を求めた。なお、測定機器は、接触角計(「全自動接触角計、協和界面科学社製)を用いた。
オレイン酸接触角の評価
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層のオレイン酸接触角について得られた結果を示す。ハードコート層のオレイン酸接触角は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品の表面部分にオレイン酸2μlを滴下し、滴下してから5秒後のオレイン酸接触角を求めた。なお、測定機器は、接触角計(全自動接触角計、協和界面科学社製)を用いて求めた。
抗菌性の評価
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層の大腸菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性について得られた結果を示す。ハードコート層の大腸菌、黄色ブドウ球菌に対する抗菌性は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品について、JIS Z2801法に準拠し、以下のように評価した。
○:抗菌活性値が2.0以上
×:抗菌活性値が2.0未満
鉛筆硬度の評価
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートの鉛筆硬度について得られた結果を示す。ハードコート層の鉛筆硬度は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品について、JIS K5400に準拠して求めた。
RCA摩耗試験
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのRCA磨耗試験について得られた結果を示す。ハードコート層のRCA摩耗試験は、基体シート、ハードコート層、黒色に着色された絵柄層からなる転写シートが成形品に転写された装飾品について、以下のように評価した。
○:磨耗部を白色光に照らし、目視で観察した際、光を全く通さない。
△:磨耗部を白色光に照らし、目視で観察した際、直径0.5mm以下の光を通す穴がある。
×:磨耗部を白色光に照らし、目視で観察した際、直径0.5mm以上の光を通す穴がある。
透明性試験
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層の透明性について得られた結果を示す。ハードコート層の透明性試験は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品について以下のように評価した。なお、測定機器は、ヘイズメーター(Haze Meter NDH2000、日本電色工業社製)を用いた。
○:Haze値が5以下
△:Haze値が5〜10
×:Haze値が10以上
ピンホール試験
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのピンホールについて得られた結果を示す。ピンホール試験は、抗菌性転写シートの表面を目視で観察し、以下のように評価した。
○:ピンホールは確認できなかった。
△:50cmの成形品中に1〜2箇所ピンホールが確認できた。
×:50cmの成形品中に3箇所以上ピンホールが確認できた。
クラック試験
表2に、実施例1〜比較例7の抗菌性転写シートのハードコート層のクラック性について得られた結果を示す。ハードコート層のクラック測定は、ハードコート層が成形品に転写された装飾品の表面を目視で観察し、以下のように評価した。
○:クラックが確認できなかった。
△:50cmの成形品中に1〜2箇所クラックが確認できた。
×:50cmの成形品中に3箇所以上クラックが確認できた。
1...基体シート、
2...ハードコート層、
3...絵柄層、
4...接着層、

Claims (8)

  1. 成形樹脂又は金属板に抗菌作用を有するハードコート層を転写するために用いられる抗菌性転写シートであって、
    基体シートと、
    前記基体シートの片面に形成され、(メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数nが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを重量比でそれぞれ60〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成されるハードコート層とを備える抗菌性転写シート
    [式中、Polyetherはポリエステル骨格を示し、RはHまたはCHを示す]
  2. 前記無機系抗菌剤のイオン交換体の平均粒子径が、0.1〜5μmである請求項1〜2の抗菌性転写シート。
  3. 前記ハードコート層の水滴接触角が80°以下、且つオレイン酸接触角が15°以下である請求項1〜3の抗菌性転写シート
  4. 前記ハードコート層の厚みが0.5〜30μmである請求項1〜4の抗菌性転写シート。
  5. 前記ハードコート層の前記基体シートと接する面の表面粗さが0.1〜5μmである請求項1〜5の抗菌性転写シート。
  6. 前記ハードコート層の上に接着層が形成されている請求項1〜6の抗菌性転写シート。
  7. 筐体に使用される転写成形品であって、
    基材と、
    前記基材の上に形成された接着層と、
    前記接着層と接触するように前記接着層の上に形成され、
    (メタ)アクリル当量100〜300g/eq、重量平均分子量1000〜10000、2以上6以下の(メタ)アクリロイル基を備える光硬化性化合物と、下記の構造式で示されるウレタン変性ポリエーテル樹脂のポリエーテル部分が3以上の炭素を備え、重合数mが10〜100であり、平均分子量が1000〜10000以下である表面エネルギー活性剤と、金属イオンをイオン交換体に担持させた無機系抗菌剤とを、重量比でそれぞれ0〜90重量%、9〜40重量%、0.06〜5重量%の割合で備える活性エネルギー線硬化性樹脂組成物から構成され、その表面の水滴接触角とオレイン酸接触角が、それぞれ80°以下、15°以下である転写成形品。
    [式中、Polyetherはポリエステル骨格を示し、RはHまたはCHを示す]
  8. 成形用金型内に、外側が金型キャビティ面に接するような向きに請求項1〜7のいずれか記載の抗菌性転写シートを送り込む工程;
    金型を閉じ、溶融樹脂が抗菌性転写シートの内側(即ち、ハードコート層側)の面に接するように、溶融樹脂を金型内に充満させる工程;
    樹脂を冷却し、金型を開いて射出成形体を取り出す工程;及び
    基体シートを剥離する工程;
    を包含する射出成形体の表面を装飾する方法。
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