JP2012158084A - インクセット、メンテナンス液、クリーニング方法及び画像形成方法 - Google Patents

インクセット、メンテナンス液、クリーニング方法及び画像形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】インク固着物の洗浄性に優れたインクセット及びメンテナンス液、並びに前記インクセットを用いたクリーニング方法及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】顔料、樹脂粒子、及び水を含有するインク組成物と、全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種を含有するメンテナンス液と、を有するインクセットである。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクセット、メンテナンス液、クリーニング方法及び画像形成方法に関する。
インクジェット記録方法は、インクジェット記録用ヘッドに形成された多数のノズルから液滴状のインクを記録媒体に向けて吐出し、インクを記録媒体に定着させることによって記録を行う方法である。インクジェット記録方法に使用されるインクは、水を主成分とし、少なくとも着色成分と有機溶剤を含有するものが一般的であるが、画像の保存性改良の目的で着色成分として顔料を含み、画像の膜質改良の目的で樹脂粒子を含むインクが提案されている。
インクジェット記録方法では、インクジェット記録用ヘッドから吐出されたインクの一部がインクジェット記録用ヘッドのノズル面等に付着し増粘・固化し、インクの吐出量異常や吐出方向異常といった吐出異常を生じることがある。特に商業用インクジェットプリンタにおいては、比較的長い時間にわたってインクを吐出し続けるので、前記ノズル面周辺でインクが大量にミスト化し、また、連続操業により前記ノズル面周辺の雰囲気温度が高くなるので、これらの条件が重なって、インクが乾燥して生じた増粘物および固化物(インク固着物)が前記ノズル面に付着しやすい。
したがって、インクジェット記録装置においては、前記ノズル面を含むインクジェット記録用ヘッドを洗浄する必要があり、インクの組成に合わせて、様々なメンテナンス液(「洗浄液」とも称される。)が開発されている(例えば、特許文献1〜9参照)。
特開2010−137458号公報 特開2009−096113号公報 特開2007−119658号公報 特開2005−007703号公報 特開2001−113727号公報 特開平11−157087号公報 特開平11−152499号公報 特開平4−115954号公報 特許第2650284号
インクジェット記録用インクの中でも、顔料と樹脂粒子とを含有するインクは、前記ノズル面等に付着したときに増粘・固化しやすく、かつ、固化した後再溶解しにくいため、メンテナンス液の洗浄力向上が望まれていた。また、市場においては、インクジェット記録装置の処理速度の更なる高速化が要求されており、メンテナンス液によるインクジェット記録用ヘッドの洗浄に要する時間の短縮が求められていた。
上記に鑑み、本発明は、インク固着物の洗浄性に優れたインクセット及びメンテナンス液を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
また、本発明は、前記インクセットを用いたクリーニング方法及び画像形成方法を提供することを目的とし、該目的を達成することを課題とする。
前記課題を解決するための具体的手段は以下のとおりである。
<1> 顔料、樹脂粒子、及び水を含有するインク組成物と、全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種を含有するメンテナンス液と、を有するインクセット。
<2> 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの総含有量が、全質量に対して20質量%以上40質量%以下である、前記<1>に記載のインクセット。
<3> 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの総含有量が、全質量に対して1質量%以上10質量%以下である、前記<1>又は<2>に記載のインクセット。
<4> 全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種と、を含有するメンテナンス液。
<5> 前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、前記インクセットにおけるインク組成物を吐出するインクジェット記録用ヘッドのノズル面に、前記インクセットにおけるメンテナンス液を付与するクリーニング方法。
<6> 前記ノズル面を、前記メンテナンス液の付与後にワイピングする、前記<5>に記載のクリーニング方法。
<7> 前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、前記インクセットにおけるインク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出して記録媒体上にインクを付与するインク付与工程と、前記インクセットにおけるメンテナンス液を前記インクジェット記録用ヘッドのノズル面に付与するクリーニング工程と、を有する画像形成方法。
本発明によれば、インク固着物の洗浄性に優れたインクセット及びメンテナンス液を提供することができる。また、本発明によれば、前記インクセットを用いたクリーニング方法及び画像形成方法を提供することができる。
本発明のクリーニング方法の実施に供するインクジェット記録用ヘッドの清掃装置の概略構成を示した斜視図 本発明のクリーニング方法の実施に供するインクジェット記録用ヘッドの清掃装置の概略構成を示した正面図
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その趣旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、インク固着物とは、インク組成物から少なくとも一部の溶媒が除去されて生じた増粘物および固化物をいう。
≪インクセット≫
本発明のインクセットは、
顔料、樹脂粒子、及び水を含有するインク組成物と、
全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種を含有するメンテナンス液と、を有する。
本発明のインクセットは、該インクセットに含まれるメンテナンス液が、該インクセットに含まれるインク組成物に由来するインク固着物の洗浄性に優れる。したがって、本発明のインクセットは、前記インク組成物を吐出する記録用ヘッド及びその吐出性能を整備、保守し、所期の状態もしくはそれに近い状態に保ち、持続することができる。
本発明のインクセットは、インク組成物にエネルギーを供与して、公知の受像材料(例えば、普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等)に画像を記録する、インクジェット記録に好適である。
<メンテナンス液>
本発明のインクセットに含まれるメンテナンス液は、全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種とを含有する。
かかる構成とすることにより、前記メンテナンス液は、インク組成物に由来するインク固着物の洗浄性に優れ、インク組成物を吐出する記録用ヘッド及びその吐出性能を整備、保守し、所期の状態もしくはそれに近い状態に保ち、持続することができる。
前記メンテナンス液は、更に、界面活性剤などの他の成分を含有してもよい。
(水)
前記メンテナンス液は、水を含有する。水の含有量は、メンテナンス液の全質量に対して50質量%〜75質量%である。水の含有量が、メンテナンス液の全質量に対して50質量%未満であると、インク固着物をメンテナンス液中に溶解もしくは再分散させることが困難である。他方、水の含有量が、メンテナンス液の全質量に対して75質量%超であると、グリコールエーテル類およびグリコールエーテルアセテート類の含有量が少なくなり、インク固着物に浸透し溶解もしくは再分散させる効果に劣る。水の含有量は、メンテナンス液全質量に対して、好ましくは55質量%〜70質量%であり、より好ましくは60質量%〜70質量%である。
前記メンテナンス液に含まれる水は、イオン性の不純物を極力低減することを目的として、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水が好ましい。
(アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート)
前記メンテナンス液は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種とを含有する。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、浸透性が高く、インク固着物どうしの隙間、インク固着物に存在する割れ目やひび、インク固着物と被固着物との境界などに浸透しやすい。
他方、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、顔料及び樹脂粒子を含有するインク中の樹脂粒子(特にアクリル系の樹脂粒子)に対して良好な溶解剤・軟化剤であり、顔料及び樹脂粒子を含有するインクに由来するインク固着物を軟化させ溶解させやすい。
したがって、前記メンテナンス液は、前記グリコールエーテルと前記グリコールエーテルアセテートを共に含有することにより、本発明のインクセットに含まれるインク組成物に由来するインク固着物の内部及びその周辺に迅速に浸透しつつ、メンテナンス液中に固形分(顔料、樹脂化合物等)を速やかに溶解あるいは再分散させる効果に優れている。そして、前記メンテナンス液を付与されたインク固着物は、塊が軟化し、あるいは塊が小さくなり、被固着物から剥がれやすくなる。特に、前記メンテナンス液は、顔料及びアクリル系の樹脂粒子を含有するインク組成物に由来するインク固着物に対して、上記の効果を顕著に発揮する。
<アルキレングリコールモノアルキルエーテル>
アルキレングリコールモノアルキルエーテルの具体例としては、ジメチレングリコールモノメチルエーテル、ジメチレングリコールモノエチルエーテル、ジメチレングリコールモノプロピルエーテル、ジメチレングリコールモノブチルエーテル、ジメチレングリコールモノペンチルエーテル、ジメチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジメチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリメチレングリコールモノメチルエーテル、トリメチレングリコールモノエチルエーテル、トリメチレングリコールモノプロピルエーテル、トリメチレングリコールモノブチルエーテル、 トリメチレングリコールモノペンチルエーテル、トリメチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリメチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノペンチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノペンチルエーテル、プロピレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノヘキシルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、などが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルとしては、前記メンテナンス液のインク固着物に対する浸透性の観点から、アルキレン部位の炭素数が1〜4でアルキレン部位の繰返し数が1〜6の化合物が好ましく、アルキレン部位の炭素数が1〜3でアルキレン部位の繰返し数が1〜4の化合物がより好ましく、アルキレン部位の炭素数が2又は3でアルキレン部位の繰返し数が1〜3の化合物が更に好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルのアルキル基の炭素数は特に制限されない。前記メンテナンス液のインク固着物に対する浸透性の観点から、前記アルキル基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜4が更に好ましく、2〜4が特に好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルは、その含有量がメンテナンス液の全質量に対し20質量%〜40質量%であることが好ましい。前記含有量が20質量%以上であると、前記メンテナンス液のインク固着物に対する浸透性が良好である。前記含有量が40質量%以下であると、前記メンテナンス液へのインク固着物の溶解性あるいは再分散性が良好である。上記の観点から、前記含有量は、22質量%〜35質量%がより好ましく、25質量%〜30質量%が更に好ましい。
なお、アルキレングリコールモノアルキルエーテルを2種以上併用する場合、前記含有量は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの総量である。
<アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート>
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、例えば、ジメチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジメチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジメチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジメチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリメチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリメチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリメチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリメチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−3−メチル−1−ブチルアセテート、などが挙げられる。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートとしては、メンテナンス液にインク固着物を溶解あるいは再分散させる効率を向上させる観点から、アルキレン部位の炭素数が1〜4でアルキレン部位の繰返し数が1〜6の化合物が好ましく、アルキレン部位の炭素数が1〜3でアルキレン部位の繰返し数が1〜4の化合物がより好ましく、アルキレン部位の炭素数が2又は3でアルキレン部位の繰返し数が1〜3の化合物が更に好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートのアルキル基の炭素数は特に制限されない。メンテナンス液にインク固着物を溶解あるいは再分散させる効率を向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜10が好ましく、1〜8がより好ましく、1〜6が更に好ましく、1〜4が特に好ましい。
アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートは、その含有量がメンテナンス液の全質量に対し1質量%〜10質量%であることが好ましい。前記含有量が1質量%以上であると、前記メンテナンス液へのインク固着物の溶解性あるいは再分散性が良好である。前記含有量が10質量%以下であると、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの含有量を高めることができ、前記メンテナンス液のインク固着物に対する浸透性が良好である。上記の観点から、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの含有量は、2質量%〜8質量%がより好ましく、3質量%〜6質量%が更に好ましい。
なお、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートを2種以上併用する場合、前記含有量は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの総量である。
本発明においては、インクセットの洗浄性を向上させる観点から、アルキル基の炭素数が1〜4であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、アルキル基の炭素数が1〜6であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種とを含むメンテナンス液が好ましい。
より好ましくは、アルキレン部位の炭素数が2又は3でアルキレン部位の繰返し数が1〜3でアルキル基の炭素数が1〜4であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、
アルキレン部位の炭素数が2又は3でアルキレン部位の繰返し数が1〜3でアルキル基の炭素数が1〜4であるアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種とを含むメンテナンス液が好ましい。
(他の有機溶剤)
前記メンテナンス液は、湿潤性や浸透性を向上させる観点で、本発明の効果を損なわない範囲で、アルキレングリコールモノアルキルエーテル及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート以外の、他の有機溶剤を併用してもよい。併用できる有機溶剤としては、例えば、アルコール類、多価アルコール類等の水溶性有機溶剤が挙げられる。
アルコールの具体例として、エタノール、ブタノール、イソプロパノールなどの直鎖又は分岐アルキルアルコール類が挙げられる。多価アルコールの具体例として、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール類、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリトリオールなどのトリオール類が挙げられる。
その他、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、グリセリン等も水溶性有機溶剤として用いることができる。
(その他添加剤)
前記メンテナンス液は、上記の成分に加え、必要に応じて、例えば、界面活性剤、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤、pH調整剤、消泡剤、粘度調整剤などのその他の添加剤を含むことができる。
(メンテナンス液の物性等)
前記メンテナンス液は、本発明におけるインク組成物と混合した際に凝集を起こさない液であることが好ましい。凝集を起こしてしまうと、インク組成物中の顔料等の成分が更にインク吐出用ヘッド等に固着して本発明の効果を低減させてしまうためである。
前記メンテナンス液のpHは、特に限定されるものではないが、インクジェット記録装置における防錆やヘッドの撥液膜劣化防止の点で、pH6〜10の範囲が好ましく、pH7〜9の範囲がより好ましい。
前記メンテナンス液のpHを上記範囲に調整するために、必要に応じて水溶性塩基性物質などのpH調整剤を使用することができる。
前記水溶性塩基性物質の具体例としては、アルコールアミン類(例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオールなど)、アルカリ金属水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、アンモニウム水酸化物(例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物)、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩などが挙げられる。
前記メンテナンス液の25℃での粘度は、作業性の観点から、1mPa・s以上1000mPa・s以下であることが好ましく、より好ましくは1mPa・s以上500mPa・s未満であり、更に好ましくは2mPa・s以上100mPa・s未満である。
粘度は、VISCOMETER TV−22(TOKI SANGYO CO.LTD製)を用いて25℃の条件下で測定される値である。
前記メンテナンス液は、顔料等の色材を含んで着色されていてもよいが、インク(すなわちインク画像)の色相を損なうおそれを回避する点で、顔料等の色材の含有量はメンテナンス液の全質量の1質量%以下であるのが好ましく、特には顔料を含まない無色の液体であることが好ましい。
<インク組成物>
本発明のインクセットに含まれるインク組成物(以下「インク」とも記載する。)は、少なくとも、顔料、樹脂粒子、及び水を含有する。前記インクは、更に、水溶性有機溶剤や界面活性剤などの他の成分を含有してもよい。
一般的な水性の顔料インクは、水と、顔料と、樹脂粒子とを主成分とし、必要に応じて水溶性有機溶剤等が添加されている。この顔料インクは、インク吐出用ヘッドのノズル面に付着すると、乾燥により増粘あるいは固化し、顔料と樹脂粒子とを主成分とするインク固着物を生じさせ、インクの吐出不良を招く。
本発明のインクセットは、該インクセットに含まれるメンテナンス液が、顔料と樹脂粒子とを主成分とするインク固着物を溶解あるいは再分散させる性能に優れており、したがって洗浄性能が高く、インクの吐出不良を抑制あるいは解消することができる。
(顔料)
本発明のインクセットに含まれるインクは、顔料の少なくとも一種を含有する。前記インクに含有される顔料としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。顔料は、有機顔料、無機顔料のいずれであってもよい。なお、前記インク中には、顔料に加え、色相調整等のために染料などの他の色材が含まれてもよい。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、多環式顔料、染料キレート、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、アゾ顔料、多環式顔料などがより好ましい。アゾ顔料としては、例えば、アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料などが挙げられる。多環式顔料としては、例えば、フタロシアニン顔料、ぺリレン顔料、ぺリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料などが挙げられる。染料キレートとしては、例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなどが挙げられる。
無機顔料としては、例えば、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエロー、カーボンブラックなどが挙げられる。これらの中でも、カーボンブラックが特に好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたものが挙げられる。
顔料の平均粒子径としては、10nm〜200nmが好ましく、10nm〜150nmがより好ましく、10nm〜100nmがさらに好ましい。平均粒子径は、200nm以下であると色再現性が良好になり、インクジェット法で打滴する際の打滴特性が良好になり、10nm以上であると耐光性が良好になる。顔料の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められる。
顔料は、インク中における分散安定性の観点から、顔料とともに分散剤を使用するか、または、顔料として表面処理顔料を用いることが好ましい。
顔料は、単独種を使用してもよく、また、上記した各群内もしくは各群間から複数種選択してこれらを組み合わせて使用してもよい。
前記インクにおいて、顔料のインク全質量に対する含有量は、洗浄性の向上効果がより奏される点で、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜12質量%であることがより好ましく、1質量%〜10質量%が特に好ましい。
(樹脂粒子)
本発明のインクセットに含まれるインクは、樹脂粒子(以下「ポリマー粒子」とも記載する。)の少なくとも一種を含有する。これにより、形成される画像の耐擦性が効果的に向上する。
ポリマー粒子としては、例えば、熱可塑性、熱硬化性あるいは変性のアクリル系、エポキシ系、ポリウレタン系、ポリエーテル系、ポリアミド系、不飽和ポリエステル系、フェノール系、シリコーン系、又はフッ素系の樹脂、塩化ビニル、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、又はポリビニルブチラール等のポリビニル系樹脂、アルキド樹脂、フタル酸樹脂等のポリエステル系樹脂、メラミン樹脂、メラミンホルムアルデヒド樹脂、アミノアルキド共縮合樹脂、ユリア樹脂、尿素樹脂等のアミノ系材料、あるいはそれらの共重合体又は混合物などのアニオン性基を有する樹脂の粒子が挙げられる。これらのうち、アニオン性のアクリル系樹脂は、例えば、アニオン性基を有するアクリルモノマー(アニオン性基含有アクリルモノマー)及び必要に応じて該アニオン性基含有アクリルモノマーと共重合可能な他のモノマーを溶媒中で重合して得られる。前記アニオン性基含有アクリルモノマーとしては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、及びホスホン基からなる群より選ばれる1以上を有するアクリルモノマーが挙げられ、中でもカルボキシル基を有するアクリルモノマー(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、エタアクリル酸、プロピルアクリル酸、イソプロピルアクリル酸、イタコン酸、フマル酸等)が好ましく、特にはアクリル酸又はメタクリル酸が好ましい。
ポリマー粒子としては、吐出安定性および顔料の分散安定性の観点から、自己分散性ポリマー粒子が好ましく、カルボキシル基を有する自己分散性ポリマー粒子がより好ましい。自己分散性ポリマー粒子とは、他の界面活性剤の不存在下に、ポリマー自身が有する官能基(特に酸性基又はその塩)によって、水性媒体中で分散状態となり得る水不溶性ポリマーであって、遊離の乳化剤を含有しない水不溶性ポリマーの粒子を意味する。
ここで分散状態とは、水性媒体中に水不溶性ポリマーが液体状態で分散された乳化状態(エマルジョン)、及び、水性媒体中に水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態(サスペンジョン)の両方の状態を含むものである。本発明における水不溶性ポリマーにおいては、水不溶性ポリマーが固体状態で分散された分散状態となり得る水不溶性ポリマーであることが好ましい。
自己分散性ポリマー粒子の分散状態とは、水不溶性ポリマー30gを70gの有機溶媒(例えば、メチルエチルケトン)に溶解した溶液、該水不溶性ポリマーの塩生成基を100%中和できる中和剤(塩生成基がアニオン性であれば水酸化ナトリウム、カチオン性であれば酢酸)、及び水200gを混合、攪拌(装置:攪拌羽根付き攪拌装置、回転数200rpm、30分間、25℃)した後、該混合液から該有機溶媒を除去した後でも、分散状態が25℃で少なくとも1週間安定に存在することを目視で確認することができる状態をいう。
水不溶性ポリマーとは、ポリマーを105℃で2時間乾燥させた後、25℃の水100g中に溶解させたときに、その溶解量が10g以下であるポリマーをいい、その溶解量が好ましくは5g以下、更に好ましくは1g以下である。前記溶解量は、水不溶性ポリマーの塩生成基の種類に応じて、水酸化ナトリウム又は酢酸で100%中和した時の溶解量である。
前記水性媒体は、水を含んで構成され、必要に応じて親水性有機溶媒を含んでいてもよい。本発明においては、水と水に対して0.2質量%以下の親水性有機溶媒とから構成されることが好ましく、水から構成されることがより好ましい。
前記水不溶性ポリマーの主鎖骨格としては、特に制限はなく、例えば、ビニルポリマー、縮合系ポリマー(エポキシ樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、セルロース、ポリエーテル、ポリウレア、ポリイミド、ポリカーボネート等)を用いることができる。中でも、特にビニルポリマーが好ましい。
ビニルポリマー及びビニルポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−181549号公報及び特開2002−88294号公報に記載されているものを挙げることができる。また、解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する連鎖移動剤や重合開始剤、イニファーターを用いたビニルモノマーのラジカル重合や、開始剤或いは停止剤のどちらかに解離性基(あるいは解離性基に誘導できる置換基)を有する化合物を用いたイオン重合によって高分子鎖の末端に解離性基を導入したビニルポリマーも使用できる。
縮合系ポリマーと縮合系ポリマーを構成するモノマーの好適な例としては、特開2001−247787号公報に記載されているものを挙げることができる。
自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性の観点及び低洗浄性のインクの洗浄性向上の点から、親水性の構成単位と、芳香族基含有モノマー又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位とを含む水不溶性ポリマーを含むことが好ましい。脂環式(メタ)アクリレートは、脂環式炭化水素基を有する、メタクリレートまたはアクリレートである。
前記親水性の構成単位は、親水性基含有モノマーに由来するものであれば特に制限はなく、1種の親水性基含有モノマーに由来するものであっても、2種以上の親水性基含有モノマーに由来するものであってもよい。前記親水性基としては、特に制限はなく、解離性基であってもノニオン性親水性基であってもよい。
本発明において前記親水性基は、自己分散促進の観点、形成された乳化又は分散状態の安定性の観点から、解離性基であることが好ましく、アニオン性の解離基であることがより好ましい。前記解離性基としては、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などが挙げられ、中でも、インク組成物を構成した場合の定着性の観点から、カルボキシル基が好ましい。
親水性基含有モノマーは、自己分散性と凝集性の観点から、解離性基含有モノマーであることが好ましく、解離性基とエチレン性不飽和結合とを有する解離性基含有モノマーであることが好ましい。
解離性基含有モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸モノマー、不飽和スルホン酸モノマー、不飽和リン酸モノマー等が挙げられる。
不飽和カルボン酸モノマーとして具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−メタクリロイルオキシメチルコハク酸等が挙げられる。不飽和スルホン酸モノマーとして具体的には、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−スルホプロピル(メタ)アクリレート、ビス−(3−スルホプロピル)−イタコン酸エステル等が挙げられる。不飽和リン酸モノマーとして具体的には、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス(メタクリロキシエチル)ホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイロキシエチルホスフェート、ジブチル−2−アクリロイロキシエチルホスフェート等が挙げられる。
上記解離性基含有モノマーの中では、分散安定性、吐出安定性の観点から、不飽和カルボン酸モノマーが好ましく、アクリル酸及びメタクリル酸がより好ましい。
自己分散性ポリマー粒子は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜100mgKOH/gであるポリマーを含むことがより好ましい。更に、前記酸価は、自己分散性と処理液と接触したときの凝集速度の観点から、25〜80mgKOH/gであることがより好ましく、30〜65mgKOH/gであることが特に好ましい。
特に、酸価は、25mgKOH/g以上であると自己分散性の安定性が良好になり、100mgKOH/g以下であると凝集性が向上する。
前記芳香族基含有モノマーは、芳香族基と重合性基とを含む化合物であれば特に制限はない。前記芳香族基は芳香族炭化水素に由来する基であっても、芳香族複素環に由来する基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、芳香族炭化水素に由来する芳香族基であることが好ましい。
前記重合性基は、縮重合性の重合性基であっても、付加重合性の重合性基であってもよい。本発明においては水性媒体中での粒子形状安定性の観点から、付加重合性の重合性基であることが好ましく、エチレン性不飽和結合を含む基であることがより好ましい。
芳香族基含有モノマーは、芳香族炭化水素に由来する芳香族基とエチレン性不飽和結合とを有するモノマーであることが好ましい。芳香族基含有モノマーは、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記芳香族基含有モノマーとしては、例えば、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、スチレン系モノマー等が挙げられる。中でも、ポリマー鎖の親水性と疎水性のバランスとインク定着性の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートモノマーが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、及びフェニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種がより好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートが更に好ましい。
なお、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート又はメタクリレートを意味する。
前記脂環式(メタ)アクリレートに含まれる脂環式炭化水素基としては、環状の非芳香族炭化水素基を含むものであれば特に限定はなく、単環式炭化水素基、2環式炭化水素基、3環式以上の多環式炭化水素基が挙げられる。脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などのシクロアルキル基や、シクロアルケニル基、ビシクロヘキシル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、ジシクロペンタニル基、ジシクロペンテニル基、アダマンチル基、デカヒドロナフタレニル基、ペルヒドロフルオレニル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカニル基、およびビシクロ[4.3.0]ノナン等を挙げることができる。
前記脂環式(メタ)アクリレートの具体例としては、[1]単環式(メタ)アクリレートとして例えば、シクロプロピル(メタ)アクリレート、シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘプチル(メタ)アクリレート、シクロオクチル(メタ)アクリレート、シクロノニル(メタ)アクリレート、シクロデシル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル基の炭素数が3〜10のシクロアルキル(メタ)アクリレート等が、[2]2環式(メタ)アクリレートとして例えば、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート等が、また、[3]3環式(メタ)アクリレートとして例えば、アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
中でも、自己分散ポリマー粒子の分散安定性の観点から、2環式(メタ)アクリレート又は3環式以上の多環式(メタ)アクリレートが好ましく、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。
自己分散性ポリマー粒子は、芳香族基含有(メタ)アクリレート又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を含み、その含有量が10質量%〜95質量%であることが好ましい。芳香族基含有(メタ)アクリレート又は脂環式(メタ)アクリレートの含有量が10質量%〜95質量%であることで、自己乳化又は分散状態の安定性が向上し、更にインク粘度の上昇を抑制することができる。
本発明においては、自己分散状態の安定性、芳香環同士又は脂環同士の疎水性相互作用による水性媒体中での粒子形状の安定化、粒子の適度な疎水化による水溶性成分量の低下の観点及び洗浄効果の観点から、15質量%〜90質量%であることがより好ましく、15質量%〜80質量%であることがより好ましく、25質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
自己分散性ポリマー粒子は、例えば、芳香族基含有モノマー又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位と、解離性基含有モノマーに由来する構成単位とを用いて構成することができる。更に、必要に応じて、その他の構成単位を更に含んでもよい。
前記その他の構成単位を形成するモノマーとしては、前記芳香族基含有モノマーと解離性基含有モノマーと共重合可能なモノマーであれば特に制限はない。中でも、ポリマー骨格の柔軟性やガラス転移温度(Tg)制御の容易さの観点から、アルキル基含有モノマーであることが好ましい。
前記アルキル基含有モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、エチルヘキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するエチレン性不飽和モノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート;N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、Nーヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等のN−ヒドロキシアルキル(メタ)アクリルアミド;N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−,イソ)ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−(n−、イソ)ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの分子量範囲は、重量平均分子量で、3000〜20万であることが好ましく、5000〜15万であることがより好ましく、10000〜10万であることが更に好ましい。重量平均分子量を3000以上とすることで水溶性成分量を効果的に抑制することができる。また、重量平均分子量を20万以下とすることで、自己分散安定性を高めることができる。
なお、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムは、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(いずれも東ソー(株)製の商品名)を3本直列につなぎ、溶離液はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、IR検出器を用いた。条件は、試料濃度を0.35/質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とした。検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレートに由来する構造単位(好ましくは、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレートに由来する構造単位)又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構造単位を共重合比率として自己分散性ポリマー粒子の全質量の15〜80質量%を含むことが好ましい。
また、水不溶性ポリマーは、ポリマーの親疎水性制御の観点から、芳香族基含有(メタ)アクリレート又は脂環式(メタ)アクリレートに由来する構成単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことが好ましく、フェノキシエチル(メタ)アクリレートに由来する構造単位及び/又はベンジル(メタ)アクリレート、或いは、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、及びジシクロペンタニル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1つに由来する構造単位を共重合比率として15〜80質量%と、カルボキシル基含有モノマーに由来する構成単位と、アルキル基含有モノマーに由来する構成単位(好ましくは、(メタ)アクリル酸の炭素数1〜4のアルキルエステルに由来する構造単位)とを含むことがより好ましく、更には加えて、酸価が25〜100mgKOH/gであって重量平均分子量が3000〜20万であることが好ましく、酸価が25〜95mgKOH/gであって重量平均分子量が5000〜15万であることがより好ましい。
以下、自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの具体例(例示化合物A−01〜A−19、B−01〜B−13)を挙げる。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、括弧内は共重合成分の質量比を表す。
・A−01:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・A−02:フェノキシエチルアクリレート/ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/35/29/6)
・A−03:フェノキシエチルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(50/44/6)
・A−04:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/エチルアクリレート/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・A−05:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/59/6)
・A−06:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(10/50/35/5)
・A−07:ベンジルアクリレート/メチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(55/40/5)
・A−08:フェノキシエチルメタクリレート/ベンジルアクリレート/メタクリル酸共重合体(45/47/8)
・A−09:スチレン/フェノキシエチルアクリレート/ブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(5/48/40/7)
・A−10:ベンジルメタクリレート/イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(35/30/30/5)
・A−11:フェノキシエチルアクリレート/メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/メタクリル酸共重合体(12/50/30/8)
・A−12:ベンジルアクリレート/イソブチルメタクリレート/アクリル酸共重合体(93/2/5)
・A−13:スチレン/フェノキシエチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(50/5/20/25)
・A−14:スチレン/ブチルアクリレート/アクリル酸共重合体(62/35/3)
・A−15:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/51/4)
・A−16:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/49/6)
・A−17:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/48/7)
・A−18:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/47/8)
・A−19:メチルメタクリレート/フェノキシエチルアクリレート/アクリル酸共重合体(45/45/10)
・B−01:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/72/8)
・B−02:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−03:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−04:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/フェノキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(30/50/14/6)
・B−05:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(30/54/10/6)
・B−06:メチルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=2)/メタクリル酸共重合体(54/35/5/6)
・B−07:メチルメタクリレート/アダマンチルメタクリレート/メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(n=23)/メタクリル酸共重合体(30/50/15/5)
・B−08:メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/ジシクロペンタニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(20/50/22/8)
・B−09:エチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(50/45/5)
・B−10:イソブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/アクリル酸共重合体(40/50/10)
・B−11:n−ブチルメタクリレート/シクロヘキシルメタクリレート/スチレン/アクリル酸共重合体(30/55/10/5)
・B−12:メチルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(40/52/8)
・B−13:ラウリルメタクリレート/ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(25/65/10)
本発明における自己分散性ポリマー粒子を構成する水不溶性ポリマーの製造方法としては特に制限はなく、例えば、重合性界面活性剤の存在下に、乳化重合を行い、界面活性剤と水不溶性ポリマーとを共有結合させる方法、上記親水性基含有モノマーと芳香族基含有モノマーとを含むモノマー混合物を溶液重合法、塊状重合法等の公知の重合法により、共重合させる方法を挙げることができる。前記重合法の中でも、凝集速度とインク組成物としたときの打滴安定性の観点から、溶液重合法が好ましく、有機溶媒を用いた溶液重合法がより好ましい。
自己分散性ポリマー粒子は、凝集速度の観点から、有機溶媒中で合成されたポリマーを含み、該ポリマーはカルボキシル基を有し、(好ましくは酸価が20〜100mgKOH/gであって)該ポリマーのカルボキシル基の一部又は全部は中和され、水を連続相とするポリマー分散物として調製されたものであることが好ましい。すなわち、本発明における自己分散性ポリマー粒子の製造は、有機溶媒中でポリマーを合成する工程と、前記ポリマーのカルボキシル基の少なくとも一部が中和された水性分散物とする分散工程とを設けて行なうことが好ましい。
前記分散工程は、次の工程(1)及び工程(2)を含むことが好ましい。
工程(1):ポリマー(水不溶性ポリマー)、有機溶媒、中和剤、及び水性媒体を含有する混合物を、攪拌する工程
工程(2):前記混合物から前記有機溶媒を除去する工程
前記工程(1)は、まずポリマー(水不溶性ポリマー)を有機溶媒に溶解させ、次に中和剤と水性媒体を徐々に加えて混合、攪拌して分散体を得る処理であることが好ましい。このように、有機溶媒中に溶解した水不溶性ポリマー溶液中に中和剤と水性媒体を添加することで、強いせん断力を必要とせずに、より保存安定性の高い粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
該混合物の攪拌方法に特に制限はなく、一般に用いられる混合攪拌装置や、必要に応じて超音波分散機や高圧ホモジナイザー等の分散機を用いることができる。
有機溶媒としては、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒及びエーテル系溶媒が好ましく挙げられる。
アルコール系溶媒としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、t−ブタノール、エタノール等が挙げられる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン等が挙げられる。エーテル系溶媒としては、ジブチルエーテル、ジオキサン等が挙げられる。これらの溶媒の中では、メチルエチルケトン等のケトン系溶媒とイソプロピルアルコール等のアルコール系溶媒が好ましい。また、油系から水系への転相時への極性変化を穏和にする目的で、イソプロピルアルコールとメチルエチルケトンを併用することも好ましい。該溶剤を併用することで、凝集沈降や粒子同士の融着がなく、分散安定性の高い微粒径の自己分散性ポリマー粒子を得ることができる。
中和剤は、解離性基の一部又は全部が中和され、自己分散性ポリマーが水中で安定した乳化又は分散状態を形成するために用いられる。自己分散性ポリマーが解離性基としてアニオン性の解離基(例えば、カルボキシル基)を有する場合、用いられる中和剤としては有機アミン化合物、アンモニア、アルカリ金属の水酸化物等の塩基性化合物が挙げられる。有機アミン化合物の例としては、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノプロピルアミン、ジプロピルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアニン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等が挙げられる。アルカリ金属の水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。中でも、自己分散性ポリマー粒子の水中への分散安定化の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、トリエタノールアミンが好ましい。
これら塩基性化合物は、解離性基100モル%に対して、5〜120モル%使用することが好ましく、10〜110モル%であることがより好ましく、15〜100モル%であることが更に好ましい。5モル%以上、更には10モル%以上、特に15モル%以上とすることで、水中での粒子の分散を安定化する効果が発現し、120モル%以下、更には110モル%以下、特に100モル%以下とすることで、水溶性成分を低下させる効果がある。
前記工程(2)においては、前記工程(1)で得られた分散体から、減圧蒸留等の常法により有機溶剤を留去して水系へと転相することで自己分散性ポリマー粒子の水性分散物を得ることができる。得られた水性分散物中の有機溶媒は実質的に除去されており、有機溶媒の量は、好ましくは0.2質量%以下、更に好ましくは0.1質量%以下である。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)の平均粒子径は、体積平均粒子径で10〜400nmの範囲が好ましく、10〜200nmの範囲がより好ましく、10〜100nmの範囲が更に好ましく、特に好ましくは10〜50nmの範囲である。10nm以上の平均粒子径であることで製造適性が向上する。また、400nm以下の平均粒径とすることで保存安定性が向上する。また、ポリマー粒子の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布を持つもの又は単分散の粒径分布を持つもののいずれでもよい。また、水不溶性粒子を2種以上混合して使用してもよい。
なお、ポリマー粒子の平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)のインク組成物中における含有量としては、画像の光沢性などの観点から、インク組成物に対して、1〜30質量%であることが好ましく、2〜15質量%であることがより好ましい。ポリマー粒子(特に自己分散性ポリマー粒子)は、1種単独又は2種以上を混合して用いることができる。
(顔料分散剤)
本発明のインクセットに含まれるインクは、顔料分散剤の少なくとも1種を用いて顔料を分散して含有することが好ましい。これにより、顔料粒子を微粒径にして存在させることができ、分散後には高い分散安定性が得られる。一般にインクが樹脂分散剤を含む場合、インクの増粘・固化等に伴ないメンテナンス液による洗浄効果が低下しやすいため、本発明のインクセットの効果が顕著である。
顔料は必ずしも粒子表面全体が被覆されている必要はなく、粒子表面の少なくとも一部が被覆された状態であってもよい。
顔料の樹脂分散剤(以下「分散剤」とも記載する。)としては、ポリマー分散剤、低分子の界面活性剤型分散剤のいずれでもよい。ポリマー分散剤は、水溶性の分散剤、非水溶性の分散剤のいずれでもよい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、インクを低粘度に保ちつつ、顔料を水溶媒に安定に分散させることができる。低分子の界面活性剤型分散剤は、分子量2000以下の低分子分散剤である。また、低分子の界面活性剤型分散剤の分子量は、100〜2000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
前記低分子の界面活性剤型分散剤は、親水性基と疎水性基とを含む構造を有している。親水性基と疎水性基とは、それぞれ独立に1分子に1以上含まれていればよく、複数種類の親水性基、疎水性基を有していてもよい。低分子の界面活性剤型分散剤は、親水性基と疎水性基とを連結するための連結基も適宜有することができる。
前記親水性基は、アニオン性、カチオン性、ノニオン性、あるいはこれらを組み合わせたベタイン型等である。親水性基は、アニオン性基であることが好ましい。
アニオン性基は、マイナスの電荷を有するものであればいずれでもよいが、リン酸基、ホスホン酸基、ホスフィン酸基、硫酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基又はカルボン酸基であることが好ましく、リン酸基、カルボン酸基であることがより好ましく、カルボン酸基であることが更に好ましい。カチオン性基は、プラスの荷電を有するものであればいずれでもよいが、有機のカチオン性置換基であることが好ましく、窒素又はリンのカチオン性基であることがより好ましく、ピリジニウムカチオン又はアンモニウムカチオンであることが更に好ましい。ノニオン性基は、例えば、ポリエチレンオキシドやポリグリセリン、糖ユニットの一部等である。
前記低分子の界面活性剤型分散剤がアニオン性の親水性基を有する場合、酸性の処理液と接触させて凝集反応を促進させる観点から、pKaが3以上であることが好ましい。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaは、テトラヒドロフラン−水(3:2=V/V)溶液に低分子の界面活性剤型分散剤1mmol/Lを溶解した液を酸あるいはアルカリ水溶液で滴定し、滴定曲線より実験的に求めた値のことである。低分子の界面活性剤型分散剤のpKaが3以上であると、理論上pH3程度の液と接したときにアニオン性基の50%以上が非解離状態になる。したがって、低分子の界面活性剤型分散剤の水溶性が著しく低下し、凝集反応が起こる。すなわち、凝集反応性が向上する。かかる観点からも、低分子の界面活性剤型分散剤は、アニオン性基としてカルボン酸基を有する場合が好ましい。
前記疎水性基は、炭化水素系、フッ化炭素系、シリコーン系等の構造を有しており、特に炭化水素系であることが好ましい。疎水性基は、直鎖状構造又は分岐状構造のいずれであってもよい。疎水性基は、1本鎖状構造又はこれ以上の鎖状構造でもよく、2本鎖状以上の構造である場合は、複数種類の疎水性基を有していてもよい。疎水性基は、炭素数2〜24の炭化水素基が好ましく、炭素数4〜24の炭化水素基がより好ましく、炭素数6〜20の炭化水素基がさらに好ましい。
前記ポリマー分散剤のうち、水溶性分散剤としては、親水性高分子化合物が挙げられる。例えば、天然の親水性高分子化合物としては、アラビアガム、トラガンガム、グーアガム、カラヤガム、ローカストビーンガム、アラビノガラクトン、ペクチン、クインスシードデンプン等の植物性高分子、アルギン酸、カラギーナン、寒天等の海藻系高分子、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等の動物系高分子、キサンテンガム、デキストラン等の微生物系高分子等が挙げられる。
天然物を原料に修飾した親水性高分子化合物としては、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の繊維素系高分子、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム等のデンプン系高分子、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等の海藻系高分子等が挙げられる。
合成系の親水性高分子化合物としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル等のビニル系高分子、非架橋ポリアクリルアミド、ポリアクリル酸又はそのアルカリ金属塩、水溶性スチレンアクリル樹脂等のアクリル系樹脂、水溶性スチレンマレイン酸樹脂、水溶性ビニルナフタレンアクリル樹脂、水溶性ビニルナフタレンマレイン酸樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のアルカリ金属塩、四級アンモニウムやアミノ基等のカチオン性官能基の塩を側鎖に有する高分子化合物、セラック等の天然高分子化合物等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル酸、メタクリル酸、スチレンアクリル酸のホモポリマーや、他の親水基を有するモノマーとの共重合体などのように、カルボキシル基が導入された水溶性分散剤が親水性高分子化合物として好ましい。
前記ポリマー分散剤のうち、非水溶性分散剤としては、疎水性部と親水性部の両方を有するポリマーを用いることができる。例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート−(メタ)アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体等が挙げられる。
前記ポリマー分散剤の重量平均分子量は、3000〜100000が好ましく、より好ましくは5000〜50000であり、更に好ましくは5000〜40000であり、特に好ましくは10000〜40000である。
前記ポリマー分散剤の酸価は、処理液が接触したときの凝集性が良好である観点から、100mgKOH/g以下が好ましく、自己分散性の安定性が良好である観点から、25mgKOH/g以上が好ましい。該酸価は、25〜80mgKOH/gがより好ましく、30〜65mgKOH/gが更に好ましい。
前記ポリマー分散剤は、自己分散性と処理液が接触したときの凝集速度の観点から、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましく、カルボキシル基を有し、酸価が25〜80mgKOH/gのポリマーを含むことがより好ましい。
本発明においては、画像の耐光性や品質などの観点から、顔料と顔料分散剤とを含むことが好ましく、有機顔料とポリマー分散剤とを含むことがより好ましく、有機顔料とカルボキシル基を含むポリマー分散剤とを含むことが特に好ましい。また、顔料は、凝集性の観点から、カルボキシル基を有するポリマー分散剤に被覆され、水不溶性であることが好ましい。
ポリマー分散剤によって分散された顔料の平均粒子径としては、30〜200nmの範囲が好ましく、50〜150nmの範囲が好ましい。平均粒子径は、30nm以上であると製造適性が向上し、200nm以下であると保存安定性が良好になる。ポリマー分散剤によって分散された顔料の粒径分布に関しては、特に制限はなく、広い粒径分布又は単分散性の粒径分布のいずれであってもよい。単分散性の粒径分布を持つ顔料を2種以上混合して使用してもよい。
ここで、平均粒子径及び粒径分布は、ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装(株)製)を用いて、動的光散乱法により体積平均粒径を測定することにより求められるものである。
顔料と顔料分散剤との混合比率は、質量比で100:25〜100:140が好ましく、より好ましくは100:25〜100:50である。顔料分散剤の比率が、顔料100に対し25以上であると分散安定性と耐擦性が良化する点で有利であり、顔料100に対し140以下であると分散安定性が良化する点で有利である。
(水)
本発明のインクセットに含まれるインクは、水を含有する。水の量は、特に制限はないが、インクの安定性及び吐出信頼性の観点から、好ましくは10質量%〜99質量%である。
(水溶性有機溶剤)
本発明のインクセットに含まれるインクは、水溶性有機溶剤を含有するのが好ましい。
水溶性有機溶剤の例としては、グリセリン、1,2,6−ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ジプロピレングリコール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、4−メチル−1,2−ペンタンジオール等のアルカンジオール(多価アルコール類);エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1〜4のアルキルアルコール類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテル類;2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン等が挙げられる。これらは、1種のみならず2種以上を併用してもよい。
乾燥防止や湿潤の付与の点では、多価アルコール類が有用である。例えば、グリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、テトラエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、ポリエチレングリコール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオールなどが挙げられる。これらは、1種のみならず2種以上を併用してもよい。浸透性の点からは、ポリオール化合物が好ましく、脂肪族ジオールとして、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどが挙げられる。中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが好ましい。これらは、1種のみならず2種以上を併用してもよい。
インク組成物に含まれる水溶性有機溶剤の含有量としては、インクの乾燥防止や湿潤の付与の観点より、1〜50質量%であることが好ましく、5〜40質量%であることがより好ましく、10〜30質量%であることが特に好ましい。
(他の成分)
本発明のインクセットに含まれるインクは、前記成分のほか、必要に応じて、その他の成分を含むことができる。その他の成分としては、例えば、界面活性剤、紫外線吸収剤、褪色防止剤、防黴剤、pH調整剤、防錆剤、酸化防止剤、乳化安定剤、防腐剤、消泡剤、粘度調整剤、分散安定剤、キレート剤等の公知の添加剤が挙げられる。
≪クリーニング方法≫
本発明のクリーニング方法は、既述の本発明のインクセットが用いられ、前記インクセットにおけるインク組成物を吐出するインクジェット記録用ヘッドのノズル面に、前記インクセットにおけるメンテナンス液を付与することにより、前記インクジェット記録用ヘッドのノズル面を洗浄する。本発明のクリーニング方法は、前記インクジェット記録用ヘッドのノズル面に付着したインク固着物の洗浄性に優れる。
本発明のクリーニング方法で用いるインクセットの構成及び好ましい態様などの詳細は、既述したとおりである。
本発明のクリーニング方法において、メンテナンス液をインクジェット記録用ヘッドのノズル面に付与することは、例えば、インクジェット法による吐出、ローラーを用いた塗布、噴霧などにより行なえる。メンテナンス液の付与量としては、インク固着物を溶解、膨潤等できる量であれば特に制限はないが、好ましくは1kg/m〜100kg/mとすることができる。
前記ノズル面への付与時のメンテナンス液の温度は、メンテナンス液組成、インク組成、インク固着物の付着量などに応じて適宜選択することができるが、20〜40℃が好ましい。
本発明のクリーニング方法は、インク固着物の除去効率を向上させる目的で、インクジェット記録用ヘッドのノズル面にメンテナンス液を付与する前又は後に、ワイピング手段(払拭手段)を用いてノズル面のワイピング(払拭)を行って、インク固着物あるいはその軟化物を除去することが好ましい。ワイピング手段およびワイピング方法としては、例えば、ブレードによる掻き取りや、布又は紙類による拭い取りが挙げられる。本発明においては、メンテナンス液を付与後にワイピングを行ってインク固着物あるいはその軟化物を除去することが好ましい。
メンテナンス液が付与されてからワイピング手段によるワイピングが行われるまでの時間、即ち、インクジェット記録用ヘッドのノズル面においてインク固着物と接触させた状態でメンテナンス液を放置する放置時間は、特に制限されず、洗浄処理に適切な長さに設定することができる。
本発明のクリーニング方法においては、用いられるメンテナンス液がインク固着物及びその周辺に迅速に浸透しつつ、インク固着物を速やかに溶解あるいは再分散させる効果に優れているので、メンテナンス液を付与されたインク固着物は、速やかに塊が軟化しあるいは塊が小さくなり、インクジェット記録用ヘッドのノズル面から剥がれやすくなる。したがって、前記放置時間は、インクジェット記録装置の処理速度を上げる観点から、例えば10秒以下でよく、7秒以下が好ましく、5秒以下がより好ましく、3秒以下が更に好ましく、2秒以下が特に好ましい。この程度に前記放置時間は短くてよく、本発明によればインクジェット記録用ヘッドのクリーニングに要する時間を従来よりも短縮でき、インクジェット記録装置の処理効率を向上できる。他方、前記放置時間の下限は、メンテナンス液によるインク固着物の溶解あるいは再分散に要する時間を確保する観点から、0.5秒以上が好ましく、1秒以上がより好ましい。
前記ワイピング手段がブレード(以下「ワイパブレード」とも記載する。)の場合、ワイパブレードの材質は弾性を有するゴムが好ましく、具体的な材質としては、ブチルゴム、クロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム等が挙げられる。ワイパブレードに撥インク性を付与するためフッ素樹脂等によりコーティングを施したワイパブレードを用いても構わない。
本発明のクリーニング方法は、インクジェット記録用ヘッドのノズル面の温度が40℃以上である場合に好適である。前記温度が40℃以上であると、インクジェット記録用ヘッドから吐出されたインクが乾燥して増粘あるいは固化しやすく、前記ノズル面の表面にインク固着物を生じやすい。本発明のクリーニング方法は、用いるメンテナンス液がインク固着物を溶解あるいは再分散させる能力に優れるため、前記温度が40℃以上の条件において、従来のクリーニング方法と比較し、インク固着物の洗浄性能が顕著である。
以下、本発明のクリーニング方法の実施に供するインクジェット記録用ヘッドの清掃装置の図面を参照して、本発明のクリーニング方法の実施の形態を説明する。ただし、本方法はその実施の形態に限定されない。以下の説明において、メンテナンス液を「洗浄液」、ワイピング手段を「払拭手段」、ワイピングを「払拭」と記載する。
図1は、本発明のクリーニング方法の実施に供するインクジェット記録用ヘッドの清掃装置(以下「清掃装置」と記載する。)10の概略構成を示した斜視図であり、図2は、その正面図である。
図1及び図2に示すように、清掃装置10は、インクジェット記録装置などの液体吐出装置に備えられる液体吐出ヘッド(インクジェット記録用ヘッド)12の液体吐出面(ノズル面)12aに洗浄液を付与する洗浄液付与部14と、液体吐出ヘッド(以下「ヘッド」と記載する。)12の液体吐出面(以下「吐出面」と記載する。)12aを払拭手段で払拭する吐出面払拭部16とを備え、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液が付与されてから、所定の時間(即ち、洗浄液の放置時間)が経過した後に、洗浄液が付与された吐出面12aを払拭手段で払拭することによって、ヘッド12の吐出面12aの洗浄処理を行うものである。なお、清掃装置10には各部の動作を制御する洗浄処理制御部70が接続されており、この洗浄処理制御部70による制御によって上記洗浄処理に係る各種動作が実行される。
清掃装置10は、ヘッド12の直下のメンテナンス位置とヘッド12の直下から退避した退避位置との間をヘッド12に対して相対的に移動可能に構成される。即ち、清掃装置10が移動可能に構成されていてもよいし、清掃装置10は固定でヘッド12が移動するように構成されていてもよい。ヘッド12によって液体吐出が行われる場合には、清掃装置10は退避位置に配置され、ヘッド12の吐出面洗浄処理が行われる場合には、ヘッド12の直下のメンテナンス位置に配置される。なお、図1及び図2では、清掃装置10がメンテナンス位置に配置された状態を示している。
本例では、洗浄液付与部14と吐出面払拭部16は同一のキャリッジ18に搭載されており、不図示のモータを駆動源として吐出面12aと平行な面内で、ヘッド12の長手方向(主走査方向;図1において水平方向)にヘッド12に対して相対的に往復移動可能に構成されている。
ヘッド12の周辺部には、ヘッド12の吐出面12aに形成されるノズルの乾燥防止又はノズル近傍のインク粘度上昇を防止するための手段としてのキャップ20が設けられている(図1参照)。このキャップ20は、図示せぬ移動機構によってヘッド12に対して相対的に移動可能に構成される。電源OFF時や印刷待機時にキャップ20又はヘッド12を所定の位置まで移動させ、ヘッド12にキャップ20を密着(但し、吐出面12aとキャップ20の間には空間が存在する。)させることにより、吐出面12aがキャップ20で覆われる。また、このヘッド12の吐出面12aがキャップ20で覆われた状態において、ヘッド12内のインクを加圧してノズル近傍の劣化インク(粘度が上昇したインク)を排出すべくキャップ20に向かって予備吐出(加圧パージ)が行われる。
洗浄液付与部14には、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液をミスト化して噴射する洗浄液噴射手段としての噴射装置30と、噴射装置30から噴射された洗浄液のうち、吐出面12aに付着せずに鉛直方向下側に落下した洗浄液などを捕集する液体捕集容器42とが設けられている。
噴射装置30には、洗浄液を噴射する噴射口32が上部(吐出面12a側)に開口形成されており、その内部には噴射口32に連通する液体流路34が設けられている。噴射口32はスリット状であり、その幅は、吐出面払拭部16に配置される払拭手段(本例ではブレード60)による払拭幅と同等の長さとなっている。なお、噴射口32の形状はスリット状に限定されず、円形状、正方形状など様々な形状を適用することができる。また、噴射口32は複数の孔部で構成されていてもよい。
液体流路34の一端には供給口(不図示)が設けられており、供給チューブ36の一端が供給口に接続されている。この供給チューブ36の他端は供給タンク38に接続されており、その途中には供給ポンプ40が設けられている。供給タンク38には大気連通孔38aが形成され、その内部は大気解放された状態となっている。供給タンク38内にはヘッド12で用いられるインクを溶解又は再分散させる洗浄液が貯蔵されており、供給ポンプ40の駆動に応じて、供給タンク38内の洗浄液は供給チューブ36を経由して液体流路34に供給される。
図示は省略したが、液体流路34内には圧電素子等の振動発生手段が設けられており、この振動発生手段によって発生する超音波振動を利用して液体流路34内の洗浄液がミスト化されて噴射口32から噴射される。本例の噴射装置30によれば、ポンプなどによる加圧を用いることなく、液体をミスト化する際の加振圧力(加振エネルギー)のみで微液滴を噴射するので、ヘッド12のノズル内の奥深くに微液滴が侵入してメニスカスを破壊することがない。
液体捕集容器42は、噴射口32とキャリッジ18との間に配置され、上部(吐出面12a側)に向かって開口した凹形状を有する容器であり、平面視で液体捕集容器42の側壁部が噴射口32の周りを取り囲むように形成されている。これにより、噴射口32から噴射された洗浄液のうち、吐出面12aに付着せずに鉛直方向下方に落下した洗浄液等(洗浄液によって溶解又は再分散したインクも含む)は液体捕集容器42内に捕集されるようになっており、洗浄液等による液体吐出装置内の汚染が防止されている。
本実施形態において、噴射口32から洗浄液を噴射する際、噴射口32はヘッド12の吐出面12aに近接する位置に配置されることが好ましい。具体的には、噴射口32と吐出面12aとの距離Lは0.5〜2.0mmが好ましく、0.7〜1.0mmがより好ましい。本例では、0.8mmに設定されている。このように噴射口32をヘッド12の吐出面12aと近接する位置に配置することによって、噴射口32から噴射されるミスト化された洗浄液(微液滴)を損失することなく吐出面12aに付着させることができる。
なお、噴射口32を吐出面12aに近づけすぎると、噴射装置30がヘッド12に接触してしまう懸念があるので、キャリッジ18の搬送には精度が求められコストアップとなる。したがって、噴射装置30の微液滴発生能力とコストの観点から、噴射口32と吐出面12aとの距離Lは上述した範囲内に設定されることが好ましい。
本実施形態では、噴射装置30をヘッド12に対して相対的に昇降可能な噴射装置昇降機構44が設けられ、噴射口32と吐出面12aとの距離Lは可変になっている。このため、噴射装置30による洗浄液の噴射量が少なければ、噴射口32を吐出面12aに近づけることで吐出面12aに対する洗浄液の付与量を増やすことができる。一方、洗浄液の噴射量が多ければ、噴射口32を吐出面12aから離すことで吐出面12aに対する洗浄液の付与量を減らすことができる。このように洗浄液の噴射量に応じて、噴射口32と吐出面12aとの距離Lを可変させることにより、吐出面12aに対する洗浄液の付与量の最適化を図ることができる。また、ミスト化された洗浄液(微液滴)を効率よくヘッド12の吐出面12aに付着させることができるようになり、洗浄液等による液体吐出装置内の汚染が防止されている。
本実施形態では、噴射装置30による洗浄液の噴射量に応じて、噴射装置30が搭載されるキャリッジ18の移動速度が可変になっている。このため、噴射装置30による洗浄液の噴射量が少なければ、キャリッジ18の移動速度を遅くして洗浄液を吐出面12aに噴射する時間を長くすることで吐出面12aに対する洗浄液の付与量を増やすことができる。逆に、洗浄液の噴射量が多ければ、キャリッジ18の移動速度を速くして洗浄液を吐出面12aに噴射する時間を短くすることで吐出面12aに対する洗浄液の付与量を減らすことができる。このように洗浄液の噴射量に応じて、噴射口32と吐出面12aとの距離Lを変えるだけでなく、噴射装置30が搭載されるキャリッジ18の移動速度も変えることによって、吐出面12aに対する洗浄液の付与量をより綿密に最適化することができる。
本実施形態ではより好ましい態様として、噴射装置30による洗浄液の噴射量に応じて、噴射口32と吐出面12aとの距離Lを可変にした態様とキャリッジ18の移動速度を可変にした態様を組み合わせた構成を示したが、本発明はこれに限らず、これらの態様のいずれか一方を備えた構成も好適である。本構成の場合、ヘッド12の吐出面12aに対する洗浄液の付与量の制御をシンプル化することができる。
吐出面払拭部16には、払拭手段としてのブレード60と、このブレード60を保持するブレードホルダ62と、ブレード60で払拭されたインクを捕集する液体捕集容器64とが設けられている。
ブレード60は、ヘッド12の液体吐出面12aの幅と略同じ幅(図1の紙面に垂直な方向の長さ)を有する板状部材であり、例えば、シリコーンゴム、シリコーン樹脂などの弾性を有する撥インク性(撥液性)の材料で構成されている。
ブレードホルダ62は、ブレード60の基端部(図1において下側部分)を保持する部材である。本例では、ブレード60の先端部(ブレードホルダ62によって保持されたブレード60の基端部を除いた部分、即ち、ブレード60のうちブレードホルダ62から突出した部分)の長さLは約6mmとなっている。
本実施形態では、ブレード60を保持するブレードホルダ62をヘッド12の液体吐出方向(図2において上下方向)に移動させるブレード昇降機構66が設けられており、ブレード60と吐出面12aとの距離は可変になっている。ブレードホルダ62を上方に移動させることでブレード60は吐出面12aに接触(当接)し、キャリッジ18の移動に伴ってブレード60による吐出面12aの払拭が行われる。一方、ブレードホルダ62を下方に移動させることでブレード60は吐出面12aから離間し、噴射装置30による洗浄液の噴射時にキャリッジ18を移動させてもブレード60による吐出面12aの払拭は行われない。このようにブレード昇降機構66によって、ブレード60を吐出面12aと接触(当接)させる状態と、吐出面12aから離間させる状態を切り換えることができ、噴射装置30によって吐出面12aに洗浄液が噴射されてからブレード60による吐出面12aの払拭が行われるまでの時間(即ち、洗浄液の放置時間)を可変させることができるようになる。
液体捕集容器64は、ブレード60とキャリッジ18との間に配置され、上部(吐出面12a側)に向かって開口した凹形状を有する容器であり、平面視で液体捕集容器64の側壁部がブレード60の周りを取り囲むように形成されている。このため、ブレード60で払拭されたインクは液体捕集容器64内に捕集されるようになっており、液体吐出装置内がブレード60で払拭されたインクによって汚染されることが防止されている。
回収チューブ46の一端は2つの流路(分岐流路)46a、46bに分岐されており、各分岐流路46a、46bの先端部はそれぞれ各液体捕集容器42、64の底面部に形成される排出口(不図示)に接続されている。この回収チューブ46の他端には回収タンク48が接続されており、その途中には回収ポンプ50が設けられている。回収タンク48には大気連通孔48aが形成され、その内部は大気解放された状態となっている。そして、回収ポンプ50の駆動に応じて、各液体捕集容器42、64内に集められた液体(インク、洗浄液)は回収チューブ46を経由して回収タンク48内に回収される。
洗浄処理制御部70は、噴射装置30、キャリッジ18、噴射装置昇降機構44、ブレード昇降機構66、供給ポンプ40、回収ポンプ50などの清掃装置10を構成する各部を制御する制御手段として機能する。例えば、洗浄液の噴射量に応じて、噴射装置昇降機構44の駆動を制御して噴射口32と吐出面12aとの距離Lを可変させたり、キャリッジ18の駆動機構(不図示)を制御してキャリッジ18の移動速度を可変させたりする。
本実施形態では、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液を付与する手段として洗浄液噴射手段(噴射装置30)を備えた態様を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、洗浄液噴射手段に代えて、塗布ローラーを吐出面12aに接触させて洗浄液を塗布する洗浄液塗布手段を備えるようにしてもよく、インクジェット法により洗浄液を吐出する洗浄液吐出手段を備えるようにしてもよい。
本実施形態では、ヘッド12の吐出面12aを払拭する払拭手段としてブレード部材(ブレード60)を備えた態様を例示したが、本発明はこれに限らず、例えば、ブレード部材に代えて、不織布等のウェブ状部材を備えるようにしてもよい。
本実施形態では、洗浄液付与部14と吐出面払拭部16が同一のキャリッジ18に搭載されているが、これらは異なるキャリッジにそれぞれ搭載されていてもよい。この態様によれば、洗浄液付与部14と吐出面払拭部16がヘッド12の長手方向に互いに独立して往復移動可能となり、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液が付与されてから吐出面12aを払拭手段で払拭するまでの時間の設定幅が広がり、洗浄効率を更に向上させることができる。
次に、清掃装置10の動作について説明する。
ヘッド12の吐出面12aの洗浄処理が行われる場合には、清掃装置10はヘッド12の直下のメンテナンス位置に配置される。そして、ヘッド12に対してキャリッジ18を相対的に移動させつつ、洗浄液付与部14の噴射装置30から洗浄液が噴射され、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液が付与される。このとき、ブレード60は吐出面12aから離間した位置に配置されており、ブレード60による吐出面12aの払拭は行われない。
続いて、ヘッド12の吐出面12aに洗浄液が付与されてから、所定の時間(放置時間)が経過するまで待機状態となる。この放置時間は、ヘッド12の吐出面12aに付着したインクを溶解又は再分散させて吐出面12aからブレード60による払拭によって取り除くのに最低限必要な時間よりも長く設定される。
そして、上述した放置時間が経過した後、ブレード昇降機構66によってブレード60が吐出面12aに接触(当接)する位置に配置され、ヘッド12に対してキャリッジ18を相対的に移動させつつ、ブレード60による吐出面12aの払拭が行われ、吐出面12aに付着したインクが除去される。キャリッジ18のヘッド12に対する相対的移動は、ブレード60がヘッド12の長手方向一方の端から他方の端に1回移動するように、または、ブレード60がヘッド12の長手方向に1回もしくは複数回の往復移動をするように設定する。
本実施形態では、ヘッド12の吐出面12a付近の温度及び湿度を検出する温湿度検出手段72が設けられており、温湿度検出手段72による検出結果は洗浄処理制御部70に通知されるようになっている。そして、洗浄処理制御部70では、温湿度検出手段72によって検出された温度及び湿度に基づいて、吐出面洗浄処理の最適化を図っている。
また、ヘッド12で直前に行われた印刷ジョブの実行時間(以下「ジョブ時間」と記載する。)を通知するジョブ時間通知手段74が設けられている。本実施形態では、ジョブ時間通知手段74によって洗浄処理制御部70にジョブ時間が通知されるようになっている。洗浄処理制御部70では、ジョブ時間に応じて必要放置時間Aを定め、その結果に基づいて吐出面洗浄処理の最適化を図っている。
≪画像形成方法≫
本発明の画像形成方法は、既述のインクセットが用いられ、
前記インクセットにおけるインク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出して記録媒体上にインクを付与するインク付与工程と、
前記インクセットにおけるメンテナンス液を前記インクジェット記録用ヘッドのノズル面に付与するクリーニング工程と、を有する。
本発明の画像形成方法は、必要に応じてその他の工程(乾燥除去工程や熱定着工程等)を適宜設けることができる。
<インク付与工程>
本発明におけるインク付与工程は、インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出して記録媒体上にインクを付与する。本工程で用いるインク組成物の構成及び好ましい態様などの詳細は、既述したとおりである。
記録媒体としては、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、インクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等が挙げられる。
インク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出するインクジェット法には、特に制限はない。公知の方式、例えば、静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット(バブルジェット(登録商標))方式等のいずれであってもよい。
なお、インクジェット法には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
インクジェット記録用ヘッド(以下「インクジェットヘッド」、「ヘッド」とも記載する。)には、公知のものを適用でき、例えば、コンティニアスタイプ、ドットオンデマンドタイプが使用可能である。ドットオンデマンドタイプのうち、サーマルヘッドでは、吐出のため、特開平9−323420号公報に記載されているような稼動弁を持つタイプが好ましい。ピエゾヘッドでは、例えば、欧州特許A277703号、欧州特許A278590号などに記載されているヘッドを使うことができる。ヘッドはインクの温度が管理できるよう温調機能を持つものが好ましい。インク付与工程においては、インク粘度の変動幅が±5%以内になるようインク温度を制御することが好ましい。また、駆動周波数としては、1kHz〜500kHzで稼動することが好ましい。ノズルの形状は必ずしも円形である必要はなく、楕円形、矩形等でもよい。ノズル径は10μm〜100μmの範囲であることが好ましい。なお、ノズルの開口部は必ずしも真円とは限らないが、その場合にノズル径とは該開口部の面積と同等の円を仮定しその径とする。
ヘッドのノズル面は、インクの付着を抑制するために、撥インク処理されていることが好ましい。PTFE、PFA、FEP等のパーフルオロポリマーを用いてノズル面を被覆することにより、撥液性能が特に良好となる。
インク吐出時のインクの温度は、30℃以上であることがメンテナンス性向上の観点から好ましく、35℃以上がより好ましい。また、インク安定性および吐出信頼性の観点から、70℃以下が好ましい。
本発明の画像形成方法においては、インク付与工程後に、記録媒体上のインクを加熱乾燥する工程を更に設けることが好ましい。インク付与工程後にインクを加熱乾燥させることにより、インクの凝集速度を速めることができる。
加熱乾燥は、ヒーター等の公知の加熱手段やドライヤ等の送風を利用した送風手段、或いはこれらを組み合わせた手段により行なえる。加熱方法としては、例えば、記録媒体のインクの付与面と反対側からヒーター等で熱を与える方法や、記録媒体のインクの付与面に温風又は熱風をあてる方法、赤外線ヒーターを用いた加熱法などが挙げられ、これらの複数を組み合わせて加熱してもよい。
本発明の画像形成方法においては、画像の耐擦過性を向上させる目的で、インクの付与により記録された画像を加熱と共に加圧して記録媒体に定着させる工程を更に設けることが好ましい。加熱は、画像中のポリマー粒子の最低造膜温度(MFT)以上の温度で行なうことが好ましい。MFT以上に加熱されることで、ポリマー粒子が皮膜化して画像が強化される。加熱加圧の方法は、特に制限はないが、例えば、一対の加熱加圧ローラを通過させる方法などが好適に挙げられる。
<クリーニング工程>
本発明におけるクリーニング工程は、メンテナンス液をインクジェット記録用ヘッドのノズル面に付与することにより、前記ノズル面に付着したインク組成物に由来するインク固着物を除去する。本工程で用いるメンテナンス液の構成及び好ましい態様などの詳細は、既述したとおりである。
クリーニング工程では、ヘッドのノズル面からインクないしインク固着物を除去するために、ヘッドの少なくともヘッド面にメンテナンス液を付与する。メンテナンス液をヘッド面に付与することにより、インク固着物は溶解又は膨潤等する。
メンテナンス液の付与は、例えば、インクジェット法による吐出、ローラーを用いた塗布、噴霧などにより行なえる。メンテナンス液の付与量および付与時の液温は、前記クリーニング方法の項で既述したとおりである。
クリーニング工程では、インク固着物の除去効率を向上させる目的で、インクジェット記録用ヘッドのノズル面にメンテナンス液を付与する前又は後に、ワイピング手段(払拭手段)を用いたノズル面のワイピング(払拭)を行って、インク固着物あるいはその軟化物を除去することが好ましい。ワイピング手段およびワイピング方法の形態は、前記クリーニング方法の項で既述したとおりである。
以下、本発明を実施例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
以下の実施例において、重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)で測定し、ポリスチレン換算で算出した。GPCは、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムは、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(いずれも東ソー(株)製の商品名)を3本直列につなぎ、溶離液はTHF(テトラヒドロフラン)を用い、IR検出器を用いた。条件は、試料濃度を0.35/質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、測定温度を40℃とした。検量線は、東ソー(株)製「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」、「A−1000」、「n−プロピルベンゼン」の8サンプルから作製した。
ポリマーの酸価は、JIS規格(JIS K0070:1992)記載の方法により求めた。
(実施例1〜16、比較例1〜9)
〔1〕水性インク組成物の調製
<自己分散性ポリマー粒子B−01の調製>
攪拌機、温度計、還流冷却管、及び窒素ガス導入管を備えた2リットル三口フラスコに、メチルエチルケトン540.0gを仕込んで、75℃まで昇温した。これに、反応容器内の温度を75℃に保ちながら、メチルメタクリレート108g、イソボルニルメタクリレート388.8g、メタクリル酸43.2g、メチルエチルケトン108g、及び「V−601」(和光純薬工業製)2.16gからなる混合溶液を、2時間で滴下が完了するように等速で滴下した。滴下完了後、「V−601」1.08g及びメチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、75℃で2時間攪拌後、さらに「V−601」0.54g及びメチルエチルケトン15.0gからなる溶液を加え、さらに75℃で2時間攪拌した後、85℃に昇温して、さらに2時間攪拌を続けた。このようにして、共重合体の重合溶液を得た。この共重合体の重量平均分子量(Mw)は61000であり、酸価は52.1mgKOH/gであった。
次に、重合溶液588.2gを秤量し、イソプロパノール165g、及び1モル/Lの水酸化ナトリウム水溶液120.8mlを加え、反応容器内の温度を80℃に昇温した。続いて、これに蒸留水718gを20ml/minの速度で滴下し、水分散化した。その後、大気圧下にて反応容器内の温度80℃で2時間、85℃で2時間、90℃で2時間保って溶媒を留去した。更に、反応容器内を減圧して、イソプロパノール、メチルエチルケトン、及び蒸留水を留去し、固形分濃度26.0質量%の自己分散性ポリマー粒子B−01〔メチルメタクリレート/イソボルニルメタクリレート/メタクリル酸共重合体(=20/72/8[質量比])〕の水性分散物を得た。
<シアン顔料分散液C1の調製>
−水不溶性ポリマー分散剤の合成−
反応容器に、スチレン6部、ステアリルメタクリレート11部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成社製)4部、プレンマーPP−500(日本油脂社製)5部、メタクリル酸5部、2−メルカプトエタノール0.05部、及びメチルエチルケトン24部の混合溶液を調液した。
他方、スチレン14部、ステアリルメタクリレート24部、スチレンマクロマーAS−6(東亜合成社製)9部、プレンマーPP−500(日本油脂社製)9部、メタクリル酸10部、2−メルカプトエタノール0.13部、メチルエチルケトン56部、及び2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部からなる混合溶液を調液し、滴下ロートに入れた。
窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を1時間かけて徐々に滴下した。滴下終了から2時間経過後、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)1.2部をメチルエチルケトン12部に溶解した溶液を3時間かけて滴下し、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、水不溶性ポリマー分散剤のメチルエチルケトン溶液を得た。
上記で得た水不溶性ポリマー分散剤の溶液の一部をとり、溶媒を除去して得た固形分を、テトラヒドロフランにて0.1質量%に希釈し、GPCにて重量平均分子量(Mw)を測定したところ、25000であった。
−シアン顔料分散液の調製−
水不溶性ポリマー分散剤のメチルエチルケトン溶液を固形分換算で5.0g、ピグメント・ブルー15:3(シアン顔料、大日精化社製)10.0g、メチルエチルケトン40.0g、1mol/Lの水酸化ナトリウム8.0g、及びイオン交換水82.0gを、0.1mmジルコニアビーズ300gとともにベッセルに供給し、レディーミル分散機(アイメックス社製)にて1000rpmで6時間分散した。得た分散液をエバポレーターでメチルエチルケトンが充分に留去されるまで減圧濃縮した。顔料濃度を10質量%になるように調整して、水不溶性ポリマー分散剤で表面が被覆された顔料の分散液として、シアン顔料分散液C1を得た。シアン顔料分散液C1に含まれる粒子の平均粒径は77nmであった。
<シアンインクC−01の調製>
シアン顔料分散液C1、自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物、イオン交換水、サンニックスGP250、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、オルフィンE1010、及び尿素を用い、下記のインク組成になるようにシアンインクを調液した。調液後、5μmメンブランフィルタで粗大粒子を除去し、シアンインクC−01を調製した。
「インク組成」
・シアン顔料(ピグメント・ブルー15:3、大日精化社製) … 4質量%
・水不溶性ポリマー分散剤 … 2質量%
・自己分散性ポリマー粒子B−01の水性分散物(固形分換算)… 8質量%
・サンニックスGP250(三洋化成工業製) …10質量%
・ジエチレングリコールモノエチルエーテル … 5質量%
・オルフィンE1010(日信化学工業社製) … 1質量%
・尿素 … 3質量%
・イオン交換水 …合計が100質量%となる残量
〔2〕メンテナンス液の調製
下記表1及び表2に示す組成(数字は質量%である。)にて、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート、その他の有機溶剤、硝酸(濃度67.5%)、イミダゾール、及び超純水を混合し充分に撹拌して、本発明のメンテナンス液および比較用のメンテナンス液を調製した。
〔3〕評価
1.洗浄性(1)
洗浄性の評価には、インクジェット記録装置として、富士フイルムダイマティックス社製のダイマティクス・マテリアル・プリンター DMP−2831(カートリッジは10pl吐出用DMC−11610を外部から液供給できるように改造)を使用した。該インクジェット記録装置は、図1及び図2に図示された清掃装置と同様の構成の清掃装置を備える。
上記のインクジェット記録装置に、シアンインクC−01と、本発明および比較用のメンテナンス液のいずれかとを装填した。シアンインクC−01を下記(1)〜(3)の条件で吐出し、以下のようにしてクリーニングを実施した。
まず、25℃のメンテナンス液をミスト化して噴射し、インクジェットヘッドのノズル面に付与した。この際、ノズル面へのメンテナンス液の付与量を20.0kg/mとした。次いで、メンテナンス液の付与後5秒後に、ブレードを該ノズル面に接触させ直ちに該ノズル面の長手方向一方の端から他方の端へ1回移動させた。
このようにしてクリーニングを行った直後、再吐出を行い、再吐出性の合否を判定し、下記の評価基準にしたがって洗浄性(1)を評価した。評価結果を下記表1及び表2に示す。
−再吐出性の合否判定−
(1)45分間連続吐出し終了直後にクリーニングを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上である場合、合格。
(2)1分間連続吐出し終了後30分間休止し、休止後にクリーニングを1回実施し、その後のインク吐出率が90%以上である場合、合格。
(3)15分間連続吐出し終了直後にクリーニングを1回実施し、その後に記録した画像に画像ムラがみられない場合、合格。
−インク吐出率の測定方法−
実験開始時に全ノズルからインクが吐出されていることを確認し、クリーニング後の吐出ノズル数をカウントして、下記式から吐出率を算出した。
吐出率(%)=[クリーニング後の吐出ノズル数]/[全ノズル数]×100
−洗浄性の評価基準−
A:3項目合格
B:2項目合格
C:1項目合格
D:3項目不合格
B以上が実用に供することができるレベルである。
表1及び表2に明らかなように、本発明のメンテナンス液及びインクセットは、インク固着物の洗浄性に優れる。
10…清掃装置
12…液体吐出ヘッド、12a…液体吐出面
14…洗浄液付与部
16…吐出面払拭部
18…キャリッジ
20…キャップ
30…噴射装置
32…噴射口
60…ブレード
62…ブレードホルダ

Claims (7)

  1. 顔料、樹脂粒子、及び水を含有するインク組成物と、
    全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水、アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種、及びアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種を含有するメンテナンス液と、
    を有するインクセット。
  2. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルの総含有量が、全質量に対して20質量%以上40質量%以下である、請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの総含有量が、全質量に対して1質量%以上10質量%以下である、請求項1又は請求項2に記載のインクセット。
  4. 全質量に対して50質量%以上75質量%以下の水と、
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルの少なくとも1種と、
    アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテートの少なくとも1種と、
    を含有するメンテナンス液。
  5. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、
    前記インクセットにおけるインク組成物を吐出するインクジェット記録用ヘッドのノズル面に、前記インクセットにおけるメンテナンス液を付与するクリーニング方法。
  6. 前記ノズル面を、前記メンテナンス液の付与後にワイピングする、請求項5に記載のクリーニング方法。
  7. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のインクセットが用いられ、
    前記インクセットにおけるインク組成物をインクジェット記録用ヘッドから吐出して記録媒体上にインクを付与するインク付与工程と、
    前記インクセットにおけるメンテナンス液を前記インクジェット記録用ヘッドのノズル面に付与するクリーニング工程と、
    を有する画像形成方法。
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