JP2012158011A - 液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置 - Google Patents

液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置 Download PDF

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Abstract

【課題】振動板の構成膜である圧縮応力膜と引張応力膜を3層以上積層し、高精度で安定した吐出特性を有する。
【解決手段】振動板3を、LP−CVD法で成膜された圧縮応力を有するシリコン酸化膜22とポリシリコン膜23、LP−CVD法で成膜された引張応力を有するシリコン窒化膜24、LP−CVD法で成膜されたポリシリコン膜25、シリコン酸化膜26の5層の構成膜により形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、高精度で安定した液滴吐出特性を有する液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置に関する。
プリンタやファクシミリ装置、複写装置、プロッタ等の画像記録装置あるいは画像形成装置として用いるインクジェット記録装置において使用する液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズルと、このノズルが連通する加圧液室(吐出室、圧力室、インク流路とも称される)と、この加圧液室内のインクを加圧するエネルギーを発生する素子を備え、加圧するエネルギーによって液室内の記録液に圧力を作用させてノズルから液滴を吐出させる。
液滴吐出ヘッドとしては、電気機械変換素子などの圧電型アクチュエータを用いたもの、電極間の静電力を利用する静電型アクチュエータを用いるもの、電気熱変換素子であるサーマル型などがある。振動板を備えたアクチュエータでは、振動板の剛性、及び膜応力が液滴吐出特性に大きく影響を与えるため、それらの制御が重要である。
例えば、特許文献1では、薄膜ヘッドの振動板は、Si単結晶とシリコン酸化膜から形成されている。また、特許文献2では、正の膜応力(引張応力)を持つ層と負の膜応力(圧縮応力)を持つ層の少なくとも二層を有する積層膜を振動板とし、振動板全体として零あるいは負の膜張力を持たせ、圧電体膜を含めて正の膜張力であるような構成とし、シリコン酸化膜と電極層の積層を振動板としている。なお、シリコン酸化膜は吸湿することにより、膜応力が変動することが一般的に知られている。
さらに、特許文献3では、引張応力を有する膜と圧縮応力を有する膜を交互に積層した4層構成とし、振動板全体として引張応力を有する構成を採っている。
しかし、特許文献1の振動板の構成では、振動板全体では圧縮応力となり、それら膜厚で応力は一義的に決まり制御できないことから、液滴吐出特性に重要な振動板剛性とは独立に振動板上に形成する圧電素子(電極層、強誘電体層)の材料との応力バランスを図ることができない。従って、振動板の初期撓みを制御できず、場合によっては吐出特性に影響を与えたり、電極層と振動板との剥離が生じたりすることがある。
また、特許文献2の振動板の剛性は、主にシリコン酸化膜の膜厚で得るものであり、また、吸湿の影響を受けるインク接触面に振動板の構成膜のシリコン酸化膜が露出していることから、シリコン酸化膜の吸湿により振動板の応力が安定せず、結果的に液滴吐出特性の経時的なばらつきを生じる。また、吸湿による振動板応力の変動を抑えようとすると相対的にシリコン酸化膜の電極層膜厚との比率を小さくすることが考えられるが、そうすると応力バランスが崩れてしまい、所望の振動板の張力を得ることができなくなり(正張力の大きな振動板)、これも結果的に液滴吐出の効率を低下させる要因となり、2層の振動板の構成では、安定でかつ効率的な液滴吐出特性が得られない。
さらに、特許文献3のように、4層に限定すると振動板の膜応力と剛性を同時に所望の値に設定する自由度が小さくなり、結果的に設計面、振動板の構成、材料、プロセスを制限することとなり、場合によっては歩留り、コストに影響を及ぼす可能性がある。
本発明は、上記した課題に鑑みてなされたもので、
本発明の目的は、振動板の構成膜である圧縮応力膜と引張応力膜を3層以上積層し、高精度で安定した吐出特性を有する液滴吐出ヘッド、液体カートリッジおよび画像形成装置を提供することにある。
本発明は、液滴を吐出する液滴吐出孔と、前記液滴吐出孔と連通する加圧液室と、前記加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、前記振動板を振動させることにより前記加圧液室内部の圧力を変化させて前記液滴吐出孔から液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、LPCVD法で成膜された圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜を含む3層以上の膜を積層して構成されていることを最も主要な特徴とする。
本発明によれば、安定な膜質を有するLPCVD法で成膜された引張応力を有する膜と圧縮応力を有する膜を3層以上、積層しているので、振動板の剛性、応力の変動が少なく安定した振動板が得られ、高精度で安定した液滴吐出特性を有する液滴吐出ヘッドを実現できる。
本発明が適用される圧電型アクチュエータを有する液滴吐出ヘッドを示す。 図1の液滴吐出ヘッドの断面を示す。 本発明の実施例1の液滴吐出ヘッドを示す。 図3の液滴吐出ヘッドの断面を示す。 液滴吐出ヘッドの製造工程を示す。 図5の続きの製造工程を示す。 図5の続きの製造工程を示す。 図5の続きの製造工程を示す。 実施例2、3の振動板の構成を示す。 実施例4のカートリッジを示す。 実施例5のインクジェット記録装置を示す。
以下、発明の実施の形態について図面により詳細に説明する。
図1は、本発明が適用される圧電型アクチュエータを有する液滴吐出ヘッド(斜視図)を示す。図2(a)は、図1の加圧液室の短辺長の断面を示し、図2(b)は、図1の加圧液室の長辺方向の断面(図1の点線)を示す。
図1、2に示すように、液滴吐出ヘッド1は、基板面部に設けたノズル孔から液滴を吐出させるサイドシュータータイプのものであり、第1の基板100に液体吐出エネルギーを発生する圧電体素子2、振動板3を備え、加圧液室隔壁4、加圧液室5、流体抵抗部7、及び共通液室8を形成している。各加圧液室5は、加圧液室隔壁4で仕切られている。また、第2の基板200には、外部から液滴を供給する液滴供給口66と共通インク流路9、および振動板3が撓むことができるようにザグリ67が形成されている。また、ノズル基板300には、個々の加圧液室5に対応した位置にノズル孔(液滴吐出孔)6が形成されている。これら第1の基板100、第2の基板200、およびノズル基板300を接合することにより、液滴吐出ヘッド1が形成されている。
第1の基板100は、図1、2に示すように、加圧液室5の一部壁面を形成する振動板3と振動板3を介して加圧液室5と対向する側に圧電体素子2が形成されている。また、共通液室8の振動板3に面して、共通インク供給路9が形成されており、ここから液滴であるインクを外部から供給できるようになっている。図2(a)に示すように、振動板3を介して加圧液室5に対向する側に形成されている圧電体素子2は、共通電極10と個別電極11と圧電体12から形成されている。
このように形成された液滴吐出ヘッド1においては、各加圧液室5内に液体、例えば記録液(インク)が満たされた状態で、図示しない制御部から画像データに基づいて、記録液の吐出を行いたいノズル孔6に対応する個別電極11に対して、発振回路により、例えば20Vのパルス電圧を印加する。この電圧パルスを印加することにより、圧電体12は、電歪効果により圧電体12そのものが振動板3と平行方向に縮むことにより、振動板3が加圧液室5の方向に撓む。これにより、加圧液室5内の圧力が急激に上昇して、加圧液室5に連通するノズル孔6から記録液が吐出する。次にパルス電圧印加後は、縮んだ圧電体12が元に戻ることから撓んだ振動板3は元の位置に戻るため、加圧液室5内が共通液室8内に比べて負圧となり、外部から液滴供給口66を介して供給されているインクが共通液滴供給路9、共通液室8から流体抵抗部7を介して加圧液室5に供給される。これを繰り返すことにより、液滴を連続的に吐出でき、液滴吐出ヘッドに対向して配置した被記録媒体(用紙)に画像を形成する。
図3は、本発明の実施例1の液滴吐出ヘッドを示す。図3は、ノズル面側から見た平面を示し、X−X’(振動板の短辺長の方向)の断面を図4(a)に示し、Y−Y’(振動板の長辺長の方向)の断面を図4(b)に示す。また、図5、6は、X−X’断面における液滴吐出ヘッドの製造工程を示し、図7、8は、Y−Y’断面における液滴吐出ヘッドの製造工程を示す。
図3、4において、本発明の振動板3の構成膜が、加圧液室5側から順に、シリコン酸化膜22、ポリシリコン膜23、シリコン窒化膜24、ポリシリコン膜25、シリコン酸化膜26の5層構成から形成されている。
次に、図5〜8を用いて製造工程を順次説明する。
(a)第1の基板100として面方位(110)のシリコン単結晶基板21(例えば板厚400μm)に振動板の構成膜として、例えばLP−CVD法(あるいは熱処理製膜法で)で圧縮応力を有するシリコン酸化膜22(例えば厚さ200nm)を成膜し、その後、同様に圧縮応力を有するポリシリコン膜23(例えば厚さ500nm)を成膜する。
(b)次に、振動板の構成膜として、例えばLP−CVD法で振動板の剛性を調整するための引張応力を有するシリコン窒化膜24(例えば厚さ250nm)を成膜し、続けて、同様にLP−CVD法でポリシリコン膜25(例えば厚さ500nm)を成膜し、続けて、例えばLP−CVD法でシリコン酸化膜26(例えば厚さ200nm)を成膜する。これで、振動板の構成膜の成膜が完了する。
ここで、各振動板の構成膜の膜厚は、振動板3の構成膜5層全体で所望の振動板の剛性と応力になるように膜厚を設定している。また、実施例1の振動板3の構成膜の配置は、引張応力膜であるシリコン窒化膜24を、上下同じ膜厚のポリシリコン膜23、ポリシリコン膜25と、シリコン酸化膜22、シリコン酸化膜26で挟んでいることから、振動板3の全体の応力は、ほぼ応力零となっている。
(c)次に、例えば、TiとPtからなる共通電極10をスパッタ法で例えば各々30nmと100nm成膜する。次に、共通電極10上に圧電体12としてPZTを例えばスパッタ法で2μm厚成膜し、その後、後に個別電極11となるPtをスパッタ法で100nm成膜する。ここで、圧電体12の成膜方法は、スパッタ法に限らず、例えばイオンプレーティング法、エアーゾル法、ゾルゲル法、あるいはインクジェット法等などで成膜してもよい。
(d)次に、リソエッチ法により、後に形成する加圧液室5に対応する位置に圧電体素子2を形成するため、個別電極11と圧電体12をパターニングする。また、その後、共通電極10も同様にリソエッチ法でパターニングする。このとき、後の共通液室8と共通液滴供給路9が形成される部分の共通電極10もエッチングしておく。
(e)次に、後の共通液室8になる箇所の振動板の構成膜をリソエッチ法で除去する。そして次に、共通液滴供給路9、液滴供給口66、ザグリ67を形成した、例えばガラス材で形成した第2の基板200を第1の基板100に接合する。接合には、接着剤による接合や直接接合等でもかまわないが、接着剤を使わない直接接合が好適である。ここで、第2の基板としてガラス材を適用したが、シリコン単結晶基板等でもよい。但し、シリコン単結晶基板の場合、後の第1の基板100の加圧液室5等を形成するエッチングで基板がエッチングされないように耐性のある膜、例えばシリコン酸化膜、シリコン窒化膜を共通液滴供給路内壁(図示せず)および、基板表面に形成しておく必要がある。次に、後の加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成するために、シリコン基板21を所望の厚さt(例えば厚さ80μm)になるように、公知の技術で研磨する。研磨法以外にもエッチングなどでもよい。
(f)次に、リソ法により、加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7以外の隔壁部をレジストで被覆する。その後、アルカリ溶液(KOH溶液、あるいはTMHA溶液)で異方性ウェットエッチを行い、加圧液室5、共通液室8、流体抵抗部7を形成する。
(g)次に、別に形成した各加圧液室5に対応した位置にノズル孔6を開口したノズル基板300を接合して、液滴吐出ヘッド1が完成する。
ここで、振動板の構成膜は、振動板の機能やプロセスの整合性を考慮して、シリコン窒化膜24は、例えばZrO2、Al3O2など、振動板の剛性を調整できる150MPa以上のヤング率を有する膜でもよい。また、シリコン酸化膜22は、後の加圧液室5形成におけるエッチング時のエッチングストップ層として機能し、シリコン酸化膜26は、共通電極10との密着性確保として機能するが、機能を満たすのであれば他の材料膜でもよい。
本実施例では、圧縮応力を有するシリコン酸化膜とポリシリコン膜を適用したが、これは、前述したように液室形成時のエッチングストップ層、及び共通電極層との密着性が良好な膜としてシリコン酸化膜を適用し、振動板の剛性を主に決めているシリコン窒化膜の引張応力が大きく、一度に0.3μm以上の膜厚が成膜できないことから、剛性調整の補助層と、応力緩和の目的でポリシリコン膜を適用している。上述する機能を有する膜であれば他の成膜方法、材料でもよい。
このように、振動板3を積層構成とし、膜安定性の優れたLPCVD法で成膜された圧縮応力膜と引張応力膜の組み合わせにより、所望の振動板の剛性と膜応力を得る振動板3を2〜3μm程度の膜厚で得ることができる。従って、高精度、高密度で信頼性が高く、加工性も確保した低コストで安定した液滴吐出ヘッドを実現できる。また、液滴吐出ヘッド1を一体化したカートリッジやこの液滴吐出ヘッド1を搭載した液滴記録装置に提供することができる。
本実施例によれば、振動板の構成膜である圧縮応力膜と引張応力膜を3層以上積層し、またその積層構成を最適化することにより、所望の値に設定する自由度を得ることができ、また、圧電体焼成温度でも振動板の膜応力、ヤング率の変動が小さく、安定した振動板を得ることができる、LCVD法で成膜した膜の積層により振動板を構成しているので、高精度で安定した吐出特性を有する液滴吐出ヘッドを実現できる。
また、半導体、MEMSデバイスで一般的に従来から適用されている膜であり、加工もし易いことから、新たなプロセス課題を持ち込まず、安定した振動板が得られ、高精度でばらつきの少ない液滴吐出ヘッドを実現できる。
図9(a)は、実施例2の振動板の構成を示す。実施例2は、実施例1の振動板3の剛性より大きな剛性を必要とする場合の実施例である。
単純に振動板の剛性を大きくするには、主に振動板の剛性を決めているヤング率の大きい膜種の膜厚を厚くすることで対応できる。しかし、実施例1の振動板のヤング率の大きい膜であるシリコン窒化膜24は、約0.3μm以上の膜厚を成膜するとクラック、剥がれが生じ振動板膜として機能しない。
この不具合を回避するために、図9(a)のように、シリコン窒化膜24の膜厚をクラック、剥がれが発生しない膜厚でシリコン酸化膜27を挟んで2層とし、所望の振動板の剛性と応力を得ることができる。このようにシリコン窒化膜24の上限膜厚を0.3um以下とし、必要に応じて、シリコン窒化膜24を圧縮応力膜で挟んで積層することにより、振動板3の剛性を自由に設定することが可能となる。
そして、シリコン窒化膜の膜厚を0.3μm以下にすることにより、シリコン窒化膜にクラック、剥がれが生じず安定した振動板が得られ、歩留りよく、高精度な液滴吐出ヘッドを実現できる。
図9(a)では、振動板3のシリコン窒化膜24を2層としたが、必要に応じて、シリコン窒化膜24の積層数を増やすことも可能となる。シリコン窒化膜24とシリコン酸化膜27以外は、実施例1と同じ膜構成であり、加圧液室側から、シリコン酸化膜22、ポリシリコン膜23、ポリシリコン膜25、及びシリコン酸化膜26とする。
このようにヤング率が大きいが、引張応力も大きく厚膜化できない膜に対しても、積層数を増やすことにより、振動板の剛性設定の自由度を高めることが可能となる。従って、液滴吐出ヘッド1を一体化したカートリッジやこの液滴吐出ヘッド1を搭載した液滴記録装置に提供することができる。
実施例1、2は、振動板全体の膜応力(膜張力)をほぼ零になるようにするため、振動板厚さ方向の中心から上下に、その膜構成、膜厚を対称系としている(例えば、図9(b))
しかし、振動板上に圧電素子を形成するため、圧電素子材料膜(電極層、圧電体)の応力を考慮して、振動板全体の応力を制御する必要があり、実施例1、2のように必ずしも振動板のみの膜応力零が最適とは限らない。例えば、振動板全体の膜応力がほぼ零で、圧電体素子が引張応力を有する場合は、振動板は加圧液室側へ凸に撓む。圧電体素子を形成した後の振動板を平坦にする必要がある場合は、圧電体素子の膜応力とバランスを取るために振動板全体の膜応力(膜張力)を零以外にする必要がある。
このように、振動板全体として膜応力(膜張力)を必要とする場合は、図9(c)、(d)のように、引張応力と圧縮応力膜の振動板の厚さ方向の配置を、振動板厚さの中心から上下非対称系にすることにより、所望の振動板全体の膜応力(膜張力)を得ることができる。
例えば、図9(c)のように、シリコン窒化膜24の引張応力膜を加圧液室側に配置すると、振動板全体は圧電素子側に凸方向の膜応力(膜張力)を有し、逆に図9(d)のように圧電体素子側に引張応力膜であるシリコン窒化膜24を配置すると、振動板全体として加圧液室側に凸方向の膜応力(膜張力)を有することになる。
図9(c)、(d)の圧縮応力膜として、加圧液室側から順に、シリコン酸化膜22、ポリシリコン膜23、圧電素子側にシリコン酸化膜26を積層する。
このように、実施例3の振動板の構成を採ることにより、圧電体素子材料の膜応力に応じて、振動板の撓みを制御することが可能となる。
実施例4は、液滴吐出ヘッド1を一体化したカートリッジの実施例である。図10に示すインクカートリッジ80は、ノズル81等を有する液滴吐出ヘッド1と、この液滴吐出ヘッド1に対してインクを供給するインクタンク82とを一体化したものである。このようにインクタンク82が一体型の液滴吐出ヘッド1の場合、アクチュエータ部を高精度化、高密度化、および高信頼化することで、インクカートリッジ80の歩留まりや信頼性を向上することができ、インクカートリッジ80の低コスト化を図ることができる。
実施例5は、液滴吐出ヘッド1を搭載したインクジェット記録装置(画像形成装置)の実施例である。図11は、インクジェット記録装置(a)と機構部の構成(b)を示す。
インクジェット記録装置90は、記録装置本体の内部に主走査方向に移動可能なキャリッジ98とキャリッジ98に搭載した液滴吐出ヘッド1及び液滴吐出ヘッド1へインクを供給するインクカートリッジ99等で構成される印字機構部91等を収納し、記録装置本体の下方部には前方側から多数枚の用紙92を積載可能な給紙カセット(給紙トレイでもよい)93を抜き差し自在に装着されている。また、用紙92を手差しで給紙するために開かれる手差しトレイ94を有し、給紙カセット93あるいは手差しトレイ94から給送される用紙92を取り込み、印字機構部91によって所要の画像を記録した後、後面側の装着された排紙トレイ95に排紙する。
印字機後部91は、図示しない左右の側板に横架したガイド部材である主ガイドロッド96と従ガイドロッド97とキャリッジ98を主走査方向に摺動自在に保持し、このキャリッジ98には、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(Bk)の各色のインク滴を吐出する液滴吐出ヘッド1を複数のインク吐出口(ノズル)を主走査方向と交差する方向に配列し、インク滴吐出方向を下方に向けて装着している。また、キャリッジ98には液滴吐出ヘッド1に各色のインクを供給するための各インクカートリッジ99を交換可能に装着している。
インクカートリッジ99は、上方に大気と連通する大気口、下方には液滴吐出ヘッド1へインクを供給する供給口が設けられ、内部にはインクが充填された多孔質体を有しており、多孔質体の毛管力により液滴吐出ヘッド1へ供給されるインクをわずかな負圧に維持している。また、液滴吐出ヘッド1としては各色の液滴吐出ヘッド1を用いているが、各色のインク滴を吐出するノズルを有する1個の液出ヘッドでもよい。
ここで、キャリッジ98は後方側(用紙搬送下流側)を主ガイドロッド96に摺動自在に嵌装し、前方側(用紙搬送上流側)を従ガイドロッド97に摺動自在に載置している。そして、このキャリッジ98を主走査方向に移動走査するため、主走査モーター101で回転駆動される駆動プーリ102と従動プーリ103との間にタイミングベルト104を張装し、このタイミングベルト104をキャリッジ98に固定しており、主走査モーター101の正逆回転によりキャリッジ98が往復駆動される。
一方、給紙カセット93にセットした用紙92を液滴吐出ヘッド1に下方側に搬送するために、給紙カセット93から用紙92を分離給装する給紙ローラー105及びフリクションパッド106と、用紙92を案内するガイド部材107と、給紙された用紙92を反転させて搬送する搬送ローラー108と、この搬送ローラー108の周面に押し付けられる搬送コロ109及び搬送ローラー108からの用紙92の送り出し角度を規定する先端コロ110とを有する。搬送ローラー108は副走査モーターによってギア列を介して回転駆動される。
そして、キャリッジ98の主走査方向の移動範囲に対応して搬送ローラー108から送り出された用紙92を液滴吐出ヘッド1の下方側で案内するため用紙ガイド部材である印写受け部材111を設けている。この印写受け部材111の用紙搬送方向下流側には、用紙92を排紙方向へ送り出すための回転駆動される搬送コロ112と拍車113を設け、さらに用紙92を排紙トレイ95に送り出す排紙ローラー114と拍車115と排紙経路を形成するガイド部材116、117とを配設している。
このインクジェット記録装置90で記録時には、キャリッジ98を移動させながら画像信号に応じて液滴吐出ヘッド1を駆動することにより、停止している用紙92にインクを吐出して1行分を記録し、その後、用紙92を所定量搬送後、次の行の記録を行う。記録終了信号または用紙92の後端が記録領域に到達した信号を受けることにより、記録動作を終了させ用紙92を排紙する。
また、キャリッジ98の移動方向右端側の記録領域を外れた位置には、液滴吐出ヘッド1の吐出不良を回復するための回復装置117を配置している。回復装置117はキャップ手段と吸引手段とクリーニング手段を有している。キャリッジ98は印字待機中にはこの回復装置117側に移動されてキャッピン手段で液滴吐出ヘッド1をキャッピングして吐出口部を湿潤状態に保つことによりインク乾燥による吐出不良を防止する。また、記録途中などに記録と関係ないインクを吐出することにより、全ての吐出口のインク粘度を一定にし、安定した吐出状態を維持する。
また、吐出不良が発生した場合等には、キャピング手段で液滴吐出ヘッド1の吐出出口(ノズル)を密封し、チューブを通して吸引手段で吐出口からインクとともに気泡等を吸出し、吐出口面に付着したインクやゴミ等はクリーニング手段により除去され吐出不良が回復される。また、吸引されたインクは、本体下部に設置された廃インク溜(図示せず)に排出され、廃インク溜内部のインク吸収体に吸収保持される。
このように、このインクジェット記録装置90において、本発明により製造された液滴吐出ヘッド1を搭載しているので、安定したインク吐出特性が得られ、画像品質が向上する。上記した説明では、インクジェット記録装置90に液滴吐出ヘッド1を使用した例を示したが、インク以外の液滴、例えば、パターニング用の液体レジストを吐出する装置に液滴吐出ヘッド1を適用してもよい。
1 液滴吐出ヘッド
2 圧電体素子
3 振動板
4 加圧液室隔壁
5 加圧液室
6 ノズル孔
7 流体抵抗
8 共通液室
9 共通液滴供給路
10 共通電極
11 個別電極
12 圧電体
21 シリコン単結晶基板
22、26、27 シリコン酸化膜
23、25 ポリシリコン膜
24 シリコン窒化膜
66 液滴供給口
67 ザグリ
100 第1の基板
200 第2の基板
300 ノズル基板
特許第4420544号公報 特許第3451623号公報 特許第4067737号公報

Claims (5)

  1. 液滴を吐出する液滴吐出孔と、前記液滴吐出孔と連通する加圧液室と、前記加圧液室の壁面の一部を構成する振動板と、前記振動板を振動させることにより前記加圧液室内部の圧力を変化させて前記液滴吐出孔から液滴を吐出させる液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板は、LPCVD法で成膜された圧縮応力を有する膜と引張応力を有する膜を含む3層以上の膜を積層して構成されていることを特徴とする液滴吐出ヘッド。
  2. 前記圧縮応力を有する膜として、シリコン酸化膜またはポリシリコン膜を含み、前記引張応力を有する膜としてシリコン窒化膜を含むことを特徴する請求項1記載の液滴吐出ヘッド。
  3. 前記シリコン窒化膜の膜厚は、0.3μm以下であることを特徴とする請求項2記載の液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドと、前記液滴吐出ヘッドに記録液を供給するインクタンクを一体化したことを特徴とする液体カートリッジ。
  5. 請求項1乃至3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする画像形成装置。
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