JP2012153979A - 銀粉およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ペーストに使用して焼成することにより膨れや欠けのない導体を形成することができる銀粉およびその製造方法を提供する。
【解決手段】銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度で熱処理することにより、50℃から800℃における最大熱膨張率が1.5%以下であり、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがなく、800℃で恒量になるまで強熱したときの強熱減量が1.0%以下、タップ密度が2g/cm3以上、BET比表面積が5m2/g以下である銀粉を製造する。
【選択図】図1
【解決手段】銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度で熱処理することにより、50℃から800℃における最大熱膨張率が1.5%以下であり、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがなく、800℃で恒量になるまで強熱したときの強熱減量が1.0%以下、タップ密度が2g/cm3以上、BET比表面積が5m2/g以下である銀粉を製造する。
【選択図】図1
Description
本発明は、銀粉およびその製造方法に関し、特に、積層コンデンサの内部電極や回路基板の導体パターンなどの電子部品に使用する導電性ペースト用の銀粉およびその製造方法に関する。
従来、ハイブリッドIC、積層セラミックコンデンサ、チップ抵抗器などの電極を形成するために、焼成型の導電性ペーストが使用されている。この焼成型の導電性ペーストは、構成要素として、銀粉、エチルセルロースやアクリル樹脂を有機溶剤に溶解したビヒクル、ガラスフリット、無機酸化物、有機溶剤、分散剤などを含み、ディッピングや印刷などにより所定パターンに形成された後、焼成されて導体を形成する。このような導電性ペースト用の銀粉を製造する方法として、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を加えることにより銀粉を還元析出させる湿式還元法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、従来の湿式還元法により製造した銀粉は、還元時の反応母液の巻き込みにより不純物を含有する場合があるので、この銀粉を使用したペーストにより導体を形成すると、焼成時にガス成分の揮発などが起こり、導体の膨れや欠けが生じる場合がある。
したがって、本発明は、このような従来の問題点に鑑み、ペーストに使用して焼成することにより膨れや欠けのない導体を形成することができる銀粉およびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記問題を解決するために鋭意研究した結果、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度、好ましくは120〜300℃の温度、さらに好ましくは150〜250℃の温度で熱処理することにより、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがない銀粉を製造すれば、その銀粉をペーストに使用して焼成することにより膨れや欠けのない導体を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明による銀粉の製造方法は、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度、好ましくは120〜300℃の温度、さらに好ましくは150〜250℃の温度で熱処理することにより、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがない銀粉を製造することを特徴とする。この銀粉の製造方法において、銀粒子の還元析出前または還元析出後のスラリー状の反応系に分散剤を添加するのが好ましく、この分散剤が、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤および保護コロイドからなる群から選ばれる1種類以上の分散剤であるのが好ましい。また、還元剤が、アスコルビン酸、アルカノールアミン、ヒドロキノン、ヒドラジンおよびホルマリンからなる群から選ばれる1種以上の還元剤であるのが好ましく、この還元剤を、銀イオンを含有する水性反応系の銀の含有量に対して1当量/分以上の速度で添加するのが好ましい。また、銀粉の50℃から800℃における最大熱膨張率が1.5%以下であるのが好ましく、1.0%以下であるのがさらに好ましく、0.5%以下であるのが最も好ましく、銀粉を800℃で恒量になるまで強熱したときの強熱減量が1.0%以下であるのが好ましい。さらに、銀粉のタップ密度が2g/cm3以上であり、BET比表面積が5m2/g以下であるのが好ましい。
また、本発明による銀粉は、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがないことを特徴とする。
本発明によれば、ペーストに使用して焼成することにより膨れや欠けのない導体を形成することができる銀粉を製造することができる。
本発明による銀粉の製造方法の実施の形態では、銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度、好ましくは120〜300℃の温度、さらに好ましくは150〜250℃の温度で熱処理することにより、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがない銀粉を製造する。この熱処理を行わない場合や熱処理温度を100℃以下にすると、銀粉の熱膨張率が高くなり、発熱ピークのある銀粉になり、このような銀粉を使用したペーストにより導体を形成すると、焼成時にガス成分の揮発などが起こり、導体の膨れや欠けが生じる。一方、熱処理温度を400℃以上にすると、凝集した銀粉になり、ペースト作製時に箔を生成するなどの問題が生じる。なお、この熱処理は、大気雰囲気中の他、真空中や、窒素ガスやアルゴンガスなどの不活性ガス雰囲中で行うことができる。また、熱処理時間は、熱処理の温度や銀粉の特性などに応じて調節する必要がある。
銀イオンを含有する水性反応系としては、硝酸銀、銀塩錯体または銀中間体を含有する水溶液またはスラリーを使用することができる。銀塩錯体は、アンモニア水、アンモニウム塩、キレート化合物などの添加により生成することができる。また、銀中間体は、水酸化ナトリウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの添加により生成することができる。これらの中で、銀粉が適当な粒径と球状の形状を有するようにするためには、硝酸銀水溶液にアンモニア水を添加して得られるアンミン錯体を使用するのが好ましい。アンミン錯体の配位数は2であるため、銀1モル当たりアンモニアを2モル以上添加する。
還元剤としては、アスコルビン酸、亜硫酸塩、アルカノールアミン、過酸化水素水、ギ酸、ギ酸アンモニウム、ギ酸ナトリウム、グリオキサール、酒石酸、次亜りん酸ナトリウム、水素化ほう素ナトリウム、ヒドラジン、ヒドラジン化合物、ヒドロキノン、ピロガロール、ぶどう糖、没食子酸、ホルマリン、無水亜硫酸ナトリウム、ロンガリットなどを使用することができる。これらの中で、アスコルビン酸、アルカノールアミン、ヒドロキノン、ヒドラジンおよびホルマリンからなる群から選ばれる1種類以上を使用するのが好ましい。これらの還元剤を使用すれば、適当な粒径の銀粒子を得ることができる。
また、還元剤の添加方法については、銀粉の凝集を防ぐために、1当量/分以上の速さで添加するのが好ましい。この理由は明確ではないが、還元剤を短時間で投入することで、銀粒子への還元析出が一挙に生じて、短時間で還元反応が終了し、発生した核同士の凝集が生じ難いため、分散性が向上すると考えられ、還元剤の添加時間が短いほど好ましい。また、還元の際には、より短時間で反応が終了するように反応液を攪拌するのが好ましい。
また、より分散性を向上させるために、銀粒子の還元析出前または還元析出後のスラリー状の反応系に分散剤を添加するのが好ましい。分散剤としては、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤および保護コロイドからなる群から選ばれる1種以上を使用するのが好ましい。
脂肪酸の例として、プロピオン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、アクリル酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸などを挙げることができる。
脂肪酸塩の例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、バリウム、マグネシウム、カルシウム、アルミニウム、鉄、コバルト、マンガン、鉛、亜鉛、スズ、ストロンチウム、ジルコニウム、銀、銅などの金属と脂肪酸が塩を形成したものを挙げることができる。
界面活性剤の例としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩のような陰イオン界面活性剤、脂肪族4級アンモニウム塩のような陽イオン界面活性剤、イミダゾリニウムベタインのような両性界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
有機金属の例として、アセチルアセトントリブトキシジルコニウム、クエン酸マグネシウム、ジエチル亜鉛、ジブチルスズオキサイド、ジメチル亜鉛、テトラ−n−ブトキシジルコニウム、トリエチルインジウム、トリエチルガリウム、トリメチルインジイウム、トリメチルガリウム、モノブチルスズオキサイド、テトライソシアネートシラン、テトラメチルシラン、テトラメトキシシラン、ポリメトキシシロキサン、モノメチルトリイソシアネートシラン、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などを挙げることができる。
キレート形成剤の例として、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、セレナゾール、ピラゾール、イソオキサゾール、イソチアゾール、1H−1,2,3−トリアゾール、2H−1,2,3−トリアゾール、1H−1,2,4−トリアゾール、4H−1,2,4−トリアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,4−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、1,2,3−チアジアゾール、1,2,4−チアジアゾール、1,2,5−チアジアゾール、1,3,4−チアジアゾール、1H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,4−オキサトリアゾール、1,2,3,4−チアトリアゾール、2H−1,2,3,4−テトラゾール、1,2,3,5−オキサトリアゾール、1,2,3,5−チアトリアゾール、インダゾール、ベンゾイミダゾールおよびベンゾトリアゾールとこれらの塩、あるいは、シュウ酸、コハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、グリコール酸、乳酸、オキシ酪酸、グリセリン酸、酒石酸、リンゴ酸、タルトロン酸、ヒドロアクリル酸、マンデル酸、クエン酸、アスコルビン酸などを挙げることができる。
保護コロイドの例として、ゼラチン、アルブミン、アラビアゴム、プロタルビン酸、リサルビン酸などを挙げることができる。
また、上述した本発明による銀粉の製造方法の実施の形態により、50℃から800℃における最大熱膨張率が1.5%以下、好ましくは1.0%以下、さらに好ましくは0.5%以下であり、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがなく、800℃で恒量になるまで強熱したときの強熱減量が1.0%以下、タップ密度が2g/cm3以上、BET比表面積が5m2/g以下である銀粉を製造することができる。
このような銀粉は、ペーストに使用して焼成することにより導体を形成する場合に、揮発成分の揮発による膨張や発熱成分による急激な発熱が少ないため、膨れや欠けのない導体を形成することができる。また、銀粉の形状を球形にすることにより、感光性ペースト法に使用するのに適した銀粉になる。銀粉の形状が不定形やフレーク状の場合には、紫外線の乱反射や散乱が起こるため感光特性が劣り、不具合が生じるが、銀粉の形状が球形であれば、印刷法や転写法に使用するのにも適している。また、タップ密度が2g/cm3より小さいと、銀粒子同士の凝集が激しく、上記のいずれの方法に使用した場合も、ファインパターン化への対応が難しく、また、BET比表面積が5m2/gより大きいと、ペーストの粘度が高すぎて作業性に劣る。
以下、本発明による銀粉およびその製造方法の実施例について詳細に説明する。
[実施例1]
銀イオンとして12g/Lの硝酸銀溶液3600mLに、工業用のアンモニア水180mLを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に水酸化ナトリウム1gを加えてpH調整した後、還元剤として工業用のホルマリン192mLを15秒で加えた。その直後に、ステアリン酸0.1gを加えて銀のスラリーを得た。この銀のスラリーをろ過、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉を大気中において150℃で6時間熱処理した。
銀イオンとして12g/Lの硝酸銀溶液3600mLに、工業用のアンモニア水180mLを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に水酸化ナトリウム1gを加えてpH調整した後、還元剤として工業用のホルマリン192mLを15秒で加えた。その直後に、ステアリン酸0.1gを加えて銀のスラリーを得た。この銀のスラリーをろ過、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉を大気中において150℃で6時間熱処理した。
このようにして得られた銀粉について、熱膨張率、発熱量、強熱減量、BET比表面積およびタップ密度を測定した。また、この銀粉を用いて作製したペーストで作製した焼成体の評価を行った。なお、本実施例および以下の実施例、比較例1、2において得られた銀粉が球状の銀粉であることを走査型電子顕微鏡(SEM)により確認した。
熱膨張率は、熱膨張率測定装置(マックサイエンス/ブルカーエイエックス社製のDILATO METAER 5000型)を使用し、金型に入れた銀粉に圧力250kg/cm2を加えて一軸成形した直径5mmのペレット状の銀粉試料を50℃から800℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合の試料の長さから、次式により求めた。
T℃における熱膨張率(%)=(LT−L50)/L50×100
ここで、L50およびLTは、それぞれ試料温度が50℃およびT℃におけるペレット状の銀粉試料の長さ(mm)である。
T℃における熱膨張率(%)=(LT−L50)/L50×100
ここで、L50およびLTは、それぞれ試料温度が50℃およびT℃におけるペレット状の銀粉試料の長さ(mm)である。
発熱量の測定は、発熱量測定器(マックサイエンス/ブルカーエイエックス社製のTG−DTA2000型測定器)を使用し、測定皿((株)理学製のアルミナ測定皿)に載せた銀粉試料20±1mgを大気中(通気なし)において50℃から800℃まで昇温速度10℃/分で加熱した場合の発熱量を測定することによって行った。なお、標準試料としてアルミナ20.0mgを使用し、測定器に付属のソフトウェアを使用した解析により発熱ピーク温度を求めた。
強熱減量は、銀粉試料2gを秤量(w1)して磁性るつぼに入れ、800℃で恒量になるまで30分間強熱した後、冷却し、秤量(w2)することにより、次式から求めた。
強熱減量(%)=(w1−w2)/w1×100
強熱減量(%)=(w1−w2)/w1×100
また、焼成体の評価は、84重量部の銀粉と、6重量部のアクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製のBR−105)と、9重量部の有機溶剤(ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(試薬))と、1重量部のPbO−B2O3−SiO2系ガラスフリットとを計量し、3本ロールで混練してペーストを作製した後、このペーストをB2O3-SiO2-Al2O3系ガラスフリットとアルミナ粉末を配合したグリーンシート上にライン幅150μmの版によりスクリーン印刷し、乾燥し、これを5枚重ねて熱プレスし、その後、800℃で30分間焼成し、得られた焼成体の膨らみや欠けを観察することによって行った。
その結果、最大熱膨張率は250℃における0.35%であり、図1に示すように発熱ピークはなく、強熱減量は0.86%、BET比表面積は0.26m2/g、タップ密度は4.0g/cm3であり、焼成体に膨れや欠けは見られなかった。なお、図1において、縦軸は、発熱量として測定試料と標準試料の温度差を熱電対の起電力(μV)で示している。
[実施例2]
熱処理の条件を250℃で2時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
熱処理の条件を250℃で2時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
その結果、最大熱膨張率は170℃における0.12%であり、発熱ピークはなく、強熱減量は0.53%、BET比表面積は0.22m2/g、タップ密度は5.1g/cm3であり、焼成体に膨れや欠けは見られなかった。
[実施例3]
銀イオンとして12g/Lの硝酸銀溶液3600mLに、工業用のアンモニア140mLを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に還元剤としてヒドラジンの60%溶液17mLを加えた。その直後に、分散剤としてオレイン酸0.2gを加えて銀のスラリーを得た。この銀のスラリーをろ過、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉を大気中において150℃で6時間熱処理した。
銀イオンとして12g/Lの硝酸銀溶液3600mLに、工業用のアンモニア140mLを加えて、銀のアンミン錯体溶液を生成した。この銀のアンミン錯体溶液に還元剤としてヒドラジンの60%溶液17mLを加えた。その直後に、分散剤としてオレイン酸0.2gを加えて銀のスラリーを得た。この銀のスラリーをろ過、水洗した後、乾燥して銀粉を得た。この銀粉を大気中において150℃で6時間熱処理した。
このようにして得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
その結果、最大熱膨張率は160℃における0.04%であり、発熱ピークはなく、強熱減量は0.21%、BET比表面積は0.89m2/g、タップ密度は2.5g/cm3であり、焼成体に膨れや欠けは見られなかった。
[比較例1]
熱処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
熱処理を施さなかった以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
その結果、強熱減量は0.68%、BET比表面積は0.25m2/g、タップ密度は5.4g/cm3であったが、最大熱膨張率は290℃において4.7%に達し、図1に示すように218.4℃を発熱ピーク温度とする発熱ピークが見られ、焼成体に膨れや欠けが見られた。
[比較例2]
熱処理の条件を100℃で20時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
熱処理の条件を100℃で20時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
その結果、強熱減量は0.67%、BET比表面積は0.27m2/g、タップ密度は5.6g/cm3であったが、最大熱膨張率は290℃において3.8%に達し、217.4℃を発熱ピーク温度とする発熱ピークが見られ、焼成体に膨れや欠けが見られた。
[比較例3]
熱処理の条件を450℃で2時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
熱処理の条件を450℃で2時間とした以外は実施例1と同様の方法により得られた銀粉について、実施例1と同様の方法により熱膨張率、強熱減量、発熱量、BET比表面積およびタップ密度を測定し、焼成体の評価を行った。
その結果、最大熱膨張率は150℃の0.01%であり、発熱ピークはなく、強熱減量は0.13%、BET比表面積は0.06m2/g、タップ密度は4.6g/cm3であったが、3本ロールによる混練中に箔が大量に発生したため、焼成体の評価は行わなかった。
なお、SEMにより確認したところ、熱処理によって銀粉が焼結体となっており、銀粉粒子の形状を確認することができかった。
これらの結果を表1に示す。
Claims (8)
- 銀イオンを含有する水性反応系に還元剤を添加して銀粒子を還元析出させた後、乾燥することにより得られた銀粉を100℃より高く且つ400℃より低い温度で熱処理することにより、50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがない銀粉を製造することを特徴とする、銀粉の製造方法。
- 前記銀粒子の還元析出前または還元析出後のスラリー状の反応系に分散剤を添加することを特徴とする、請求項1に記載の銀粉の製造方法。
- 前記分散剤が、脂肪酸、脂肪酸塩、界面活性剤、有機金属、キレート形成剤および保護コロイドからなる群から選ばれる1種類以上の分散剤であることを特徴とする、請求項2に記載の銀粉の製造方法。
- 前記還元剤が、アスコルビン酸、アルカノールアミン、ヒドロキノン、ヒドラジンおよびホルマリンからなる群から選ばれる1種以上の還元剤であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
- 前記還元剤を、前記銀イオンを含有する水性反応系の銀の含有量に対して1当量/分以上の速度で添加することを特徴とする、請求項1乃至4のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
- 前記銀粉の50℃から800℃における最大熱膨張率が1.5%以下であり、前記銀粉を800℃で恒量になるまで強熱したときの強熱減量が1.0%以下であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
- 前記銀粉のタップ密度が2g/cm3以上であり、BET比表面積が5m2/g以下であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれかに記載の銀粉の製造方法。
- 50℃から800℃まで加熱した際に発熱ピークがないことを特徴とする、銀粉。
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