JP2012149564A - 密閉型圧縮機および冷凍装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ピストンと圧縮室との間のこじりを防止することによって、高信頼性化と高効率化を達成することができる密閉型圧縮機を提供する。
【解決手段】大端孔部128の軸心141と小端孔部129の軸心142とのなす角度をαとし、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づく軸受部に対するシャフト110の傾きの絶対値がγであるとき、αとγが、0≦α≦2.5γの関係を満足し、さらに圧縮室115は、ピストン123が上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法を増大するテーパ部117を有し、テーパ部にピストンの外周面が沿って摺動するときのピストンの軸心Cと圧縮室の軸心Dとのなす角度をδとしたとき、αとδとγが、0.3γ≦(α+δ)≦4γを満足する構成とした。
【選択図】図4

Description

本発明は、冷凍冷蔵庫などの冷凍サイクルに用いられる密閉型圧縮機および冷凍装置に関する。
近年、冷凍冷蔵庫などの冷凍装置に使用される密閉型圧縮機については、消費電力を低減させるための高効率化の他に、低騒音化や、高信頼性化が望まれている。この種の従来の密閉型圧縮機として、コンロッドとピストンの連結部への給油方法を改善することにより、効率や信頼性を向上させたものがある(例えば、特許文献1参照)。
以下、図面を参照しながら上記従来の密閉型圧縮機について説明する。
図8は、特許文献1に記載された従来の密閉型圧縮機の縦断面図であり、図9は、図8の要部の拡大断面図、図10は、図8の要部の断面図である。
図8乃至図10に示すように、密閉容器1内には、固定子2と回転子3とを備えた電動要素4と、電動要素4によって駆動される圧縮要素5が収容され、さらに、密閉容器1内の底部に潤滑油6が貯留されている。
シャフト10は、主軸部11と、この主軸部11と一体運動するようにその一端に偏心して形成された偏心軸部12を有し、主軸部11が回転子3の軸心に固定されている。
シリンダブロック14は、互いに一定の位置に固定されるように配置された略円筒形の圧縮室15と、軸受部20とを有している。圧縮室15にはピストン23が往復動可能に挿設されている。
ピストン23には、偏心軸部12と平行になるようにピストンピン25が装着されている。軸受部20は、シャフト10の主軸部11における偏心軸部12側の端部を軸支することによって片持ち軸受を形成している。
コンロッド26は、図9に示すように、大端孔部28と、小端孔部29と、ロッド部30とで構成されており、大端孔部28は偏心軸部12に嵌装され、小端孔部29はピストンピン25に連結され、これによって偏心軸部12とピストン23とが連結される。
また、小端孔部29の内壁には、ピストンピン25と小端孔部29とが小端孔部29の軸方向中央近傍で接触した場合に、小端孔部29の軸方向の両端部にそれぞれ隙間ができるように凸面状の球面部31が形成されている。
シャフト10の内部には給油通路35が設けられ、この給油通路35の偏心軸部12側の端部に散油管36が挿着されている。また、主軸部11の偏心軸部12と反対側の端部、すなわち下端部40は、給油通路35に潤滑油6が所定の深さまで浸漬するように延出している。
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下にその動作を説明する。
電動要素4の回転子3は、シャフト10を回転させ、偏心軸部12の回転運動が、コンロッド26を介してピストン23に伝えられ、これによって、ピストン23は、圧縮室1
5内を往復運動する。
ピストン23の往復運動により、冷却システム(図示せず)から冷媒ガスが圧縮室15内へ吸入され、圧縮された後、再び冷却システムに吐出される。
給油通路35の下端部は、シャフト10の回転によりポンプ作用をするようになっており、このポンプ作用により、密閉容器1の底部の潤滑油6は、給油通路35を通って、上方に汲み上げられる。
給油通路35の上部に至った潤滑油6は、矢印Xに示したように、散油管36の上部から遠心力により密閉容器1内の全周方向へ水平に飛散し、その一部はピストンピン25やピストン23などに供給されて潤滑を行う。
また、小端孔部29の内壁は、凸面状の球面部31となっているので、コンロッド26を上下にこじる力が生じても、球面部31の接触部分がずれることにより、ピストンピン25と小端孔部29との局所的なこじりを防ぐことができ、さらに、ピストンピン25と小端孔部29の摺動部に多量の潤滑油6を供給することができることになり、高信頼性化、および高効率化が達成される。
また、圧縮機構にレシプロ式を採用した密閉型圧縮機は、内径が円筒形の圧縮室15を形成するシリンダブロック14と、この圧縮室15内を往復運動する外径が円筒形のピストン23と、このピストン23に、ピストンピン25を介して、シャフト10の偏心軸部12を連結するコンロッド26とを備え、電動機部の回転子3の軸心にシャフト10を固定し、回転子3の回転により圧縮機構を作動させる構成となっている。
このような密閉型圧縮機では、圧縮室15の内径と往復運動するピストン23の外径とが摺動するための隙間が必要であり、この隙間が大きいものでは圧縮室15内で圧縮された高温、高圧の冷媒ガスが漏れるブローバイが発生して圧縮効率が低下し、この隙間を小さくすると摺動損失が増加して圧縮効率が低下する関係にある。
そこで、ピストン23が上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法を増大する圧縮室15を用いた密閉型圧縮機が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
図11は、上記の特許文献2に開示された密閉型圧縮機の圧縮部の断面図であり、このうち、図11(a)は、ピストン23が下死点にある状態を、図11(b)は、ピストン23が上死点にある状態をそれぞれ示している。
図11(a),(b)において、シリンダブロック14に設けた圧縮室15内に往復動可能に挿設されたピストン23には、ピストンピン25を介して、コンロッド26が連結されている。
そして、シャフトの偏心軸部(いずれも図示せず)の偏心運動により、コンロッド26は、ピストン23を、図11(a)に示す下死点位置と図11(b)に示す上死点位置を往復するように駆動する。
コンロッド26から見て圧縮室15の反対側(上死点側)の端面にバルブプレート(図示せず)が装着され、ピストン23、シリンダブロック14およびバルブプレートにより圧縮室15が形成されている。
圧縮室15は、ピストン23が、上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって、内径寸法をDtからDb(>Dt)に増加するテーパ部17を持つように形成され、ピストン23は、全長にわたって外径寸法が同一に形成されている。
この組み合わせにより、ピストン23が図11(a)に示す下死点位置から、冷媒ガスを圧縮する圧縮行程において、上死点側に移行する途中の状態までは、圧縮室15内の圧力はそれほど上昇しない。そのため、隙間は比較的大きくても潤滑油6によるシール効果で冷媒ガスの漏れであるブローバイはほとんど発生せず、ピストン23の摺動抵抗も小さい。
さらに圧縮行程が進み、圧縮室15内の冷媒ガスの圧力が次第に上昇してピストン23が図11(b)に示す上死点位置に近接する状態では、圧縮室15内の圧力は、所定の吐出圧力まで上昇してブローバイが発生しやすい条件となるが、上死点側では隙間が小さくなることから潤滑油6によるシール効果が得られ、ブローバイの発生を低減することができる。
また、圧縮室15の内径の形状を改良し、ブローバイを抑制した構成も知られている(例えば、特許文献3参照)。
図12は、上記の特許文献3に開示された冷媒圧縮が可能な圧縮部の断面図であり、図11(a)、(b)と同一の要素には同一符号を付してそれらの説明を省略する。
ここで、圧縮室15は、ピストン23が上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって、内径寸法がDtからDb(>Dt)に増加するテーパ部17と、上死点に近接するピストン23の圧縮室15側の端部に対応する位置に、長さLの区間だけ内径寸法が軸方向に一定に形成されたストレート部18を持つように形成され、ピストン23は、全長にわたって外径寸法が同一に形成されている。
この組み合わせにより、圧縮行程で上死点側に移行する途中の状態までは、ブローバイがほとんど発生せず、ピストン23の摺動抵抗も小さくなり、さらに圧縮行程が進み、ピストン23が上死点位置に近接する状態では、全長にわたってテーパ部17を形成する場合よりも、ガス圧の増大に伴う冷媒ガスのガス漏れの発生を低減することができる。
特開平09−317644号公報 特開2002−89450号公報 特表平7−550833号公報
しかしながら、上述した従来の密閉型圧縮機においては、冷媒ガスを圧縮する圧縮荷重が作用したときに発生するピストン23と圧縮室15の内壁15aとの間のこじりを防ぐには不十分であった。
以下、図10に示した要部の断面図を用いて、ピストン23と圧縮室15の内壁15aとの間にこじりが発生することを説明する。
図10に示したように、冷媒ガスの圧縮行程においては、ピストン23に発生する圧縮荷重Fがコンロッド26を介して偏心軸部12に作用する。圧縮荷重Fが偏心軸部12に
作用したとき、主軸部11と軸受部20との間にクリアランスが存在するため、シャフト10は、軸受部20の軸心を基準として、軸受部20内で傾く。その傾きは、主軸部11が最大に傾斜し得る角度Δγの範囲で傾き、同様に偏心軸部12も主軸部11の軸心を基準として角度Δγの範囲で傾くことになり、これに伴って圧縮室15と軸受部20との間の軸心の相対角度も変化する。
そのため、ピストン23は、図10に示したように、その軸心が傾くことになる。
上述した従来の密閉型圧縮機は、小端孔部29の内壁を凸面状にすることで、ピストン23の傾きを抑制するものの、ピストン23と圧縮室15の内壁15aとの間に発生するこじりを防ぐことはできなかった。
その結果、ピストン23と圧縮室15の内壁15aとの間に発生するこじりによって、ピストン23が圧縮室15の内壁15aと摺動する摺動面の一部、すなわち、図中pで示した上端面の縁の一部の面圧が、局部的に増大する構成となっている。
このため、小端孔部29の内壁を凸面状にした従来の密閉型圧縮機であっても、ピストン23の摩耗が早まったり、摩耗量が大きくなったり、摺動損失が大きくなるという課題を有していた。
また、特許文献2および特許文献3に開示された従来の構成の圧縮部では、ピストン23が下死点位置に戻ったときでも、ピストン23の全体が圧縮室15の円筒形孔部16の内部に納まった状態にあるため、潤滑を必要とする円筒形孔部16とピストン23の間に潤滑油6が十分に供給され難いという課題を有していた。
さらに、ピストン23が上死点位置に近接して隙間が小さくなる状態で潤滑油6が押し出されてしまい、次に下死点位置で隙間が大きくなった際に隙間を封止する潤滑油6が不足するため、ブローバイの発生が抑え難くなるとともに、潤滑油6の不足により摺動抵抗が増大するという課題を有していた。
本発明は、上記従来の課題を解決するもので、ピストンと圧縮室との間のこじりの発生を防止することによって、ピストンの摩耗を抑制するとともに、摺動損失を軽減し、より一層の高信頼性化と高効率化を達成することができる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
さらに、本発明は、シリンダブロックとピストンとの間により多くの潤滑油が供給されるとともに、その潤滑油が良好に保持され、また、ピストンが上死点位置に近接した状態での摺動抵抗を軽減することにより、高効率化を達成することができる密閉型圧縮機を提供することを目的とする。
上記従来の課題を解決するために、本発明は、シャフトの主軸部を軸支することによって片持ち軸受を形成する軸受部と、前記軸受部に対して、一定の位置に固定されるように配置され、かつ略円筒形の圧縮室を形成するシリンダブロックと、前記圧縮室の内部に往復動可能に挿設され、かつピン穴を有するピストンと、前記ピン穴に挿入固定されたピストンピンと、前記シャフトの偏心軸部と前記ピストンピンを連結し、大端孔部と小端孔部を有するコンロッドとを備え、前記大端孔部の軸心線と前記小端孔部の軸心線とで形成される角度をαとし、前記軸受部と前記主軸部のクリアランスに基づいた軸受部に対する前記シャフトの傾きの絶対値がγであるとき、前記角度αと前記絶対値γが、下記の式(数1)を満足する関係にあり、さらに前記圧縮室の内面に、前記ピストンが上死点に位置す
る側から下死点に位置する側に向かって内径寸法が増大するように形成されたテーパ部を設け、前記テーパ部に前記ピストンの外周面が沿って摺動するときにおける前記ピストンの軸心と前記圧縮室の軸心とのなす角度をδとしたとき、前記角度αと前記角度δと前記絶対値γが、下記の式(数2)を満足する関係にあるように構成したものである。
0≦α≦2.5γ (数1)
0.3γ≦(α+δ)≦4γ (数2)
かかることにより、前記ピストンと前記圧縮室との間のこじりを防止するという作用を有するとともに、前記シリンダブロックと前記ピストンとの間により多くの潤滑油が供給されるとともに、その潤滑油が良好に保持され、さらに、前記ピストンが上死点位置に近接した状態での摺動抵抗を軽減することができるという作用を有する。
本発明にかかる密閉型圧縮機は、大端孔部の軸心線と小端孔部の軸心線とで形成される角度をαとし、軸受部と主軸部のクリアランスに基づいた軸受部に対するシャフトの傾きの絶対値がγであるとき、角度αと絶対値γが、上記した(数1)を満足する関係にあり、さらに圧縮室の内面に、ピストンが上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法が増大するように形成されたテーパ部を設け、テーパ部にピストンの外周面が沿って摺動するときにおけるピストンの軸心と圧縮室の軸心とのなす角度をδとしたとき、角度αと角度δと絶対値γが上記した(数2)を満足する関係とすることで、設定した値(角度)αと値(角度)δの合計値を、前記軸受部と前記主軸部のクリアランスに基づいた軸受部に対するシャフトの傾きの絶対値γと関連付けて、実際の値に近づけるようにしたので、ピストンと圧縮室との間のこじりを防止することができ、これによって、ピストンの摩耗低減による高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
また、上記密閉型圧縮機を搭載することによって、冷凍装置としても高効率化を達成することができる。
本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の圧縮荷重が作用しないときの要部の拡大断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機の圧縮荷重が作用するときの要部の拡大断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機のコンロッドの大端孔部と小端孔部の軸心関係を示す要部の断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機のピストンが傾きのない状態で下死点に位置する圧縮室近傍の要部の断面図 同実施の形態1における密閉型圧縮機のピストンが傾いた状態で下死点に位置する圧縮室近傍の要部の断面図 同実施の形態1に基づいて行った実験の結果を示す特性図 従来の密閉型圧縮機の縦断面図 図8の要部の拡大断面図 図8の要部の断面図 従来の異なる密閉型圧縮機の圧縮部の断面図 従来のさらに異なる密閉型圧縮機の圧縮部の断面図
請求項1に記載の発明は、密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動され
る圧縮要素を収容し、前記圧縮要素を、前記電動要素によって回転駆動される主軸部および前記主軸部の一端に形成され、かつ前記主軸部と一体運動する偏心軸部を有するシャフトと、前記シャフトの前記主軸部を軸支することによって片持ち軸受を形成する軸受部と、前記軸受部に対して、一定の位置に固定されるように配置され、かつ略円筒形の圧縮室を形成するシリンダブロックと、前記圧縮室の内部に往復動可能に挿設され、かつピン穴を有するピストンと、前記ピン穴に挿入固定されたピストンピンと、一端に前記シャフトの偏心軸部が貫通する大端孔部を設け、他端に前記ピストンピンが貫通する小端孔部を設けたコンロッドを具備する構成とし、前記大端孔部の軸心線と前記小端孔部の軸心線とで形成される角度をαとし、前記軸受部と前記主軸部のクリアランスに基づいた前記軸受部に対する前記シャフトの傾きの絶対値がγであるとき、前記角度αと前記絶対値γが、下記の式(数1)を満足する関係にあり、さらに前記圧縮室の内面に、前記ピストンが上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法が増大するように形成されたテーパ部を設け、前記テーパ部に前記ピストンの外周面が沿って摺動するときにおける前記ピストンの軸心と前記圧縮室の軸心とのなす角度をδとしたとき、前記角度αと前記角度δと前記絶対値γが、下記の式(数2)を満足する関係にあるように構成したものである。
0≦α≦2.5γ (数1)
0.3γ≦(α+δ)≦4γ (数2)
かかる構成とすることにより、前記ピストンと前記圧縮室との間のこじりを防止することができ、これによって、前記ピストンの摩耗低減をはかり、高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記ピストンが上死点に位置するとき、前記ピストンの圧縮室側の上端部に対応する位置に、前記テーパ部に連続してストレート部を設けたものである。
かかる構成とすることにより、圧縮行程が進み、前記ピストンが上死点位置に近接する状態での、ガス圧の増大に伴う冷媒ガスの漏れを低減することができ、請求項1に記載の発明の効果に加えてより一層、高効率化を達成することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の発明において、前記角度αと前記角度δと前記絶対値γが、下記の式(数3)を満足する関係にあるように構成したものである。
γ≦(α+δ)≦3.2γ (数3)
かかる構成とすることにより、前記ピストンと圧縮室との間のこじりをより確実に防止することができ、請求項1または2に記載の発明の効果に加えて、より一層ピストンの摩耗低減をはかることができ、高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、前記角度αと前記角度δが、下記の式(数4)を満足する関係にあるように構成したものである。
0.5α≦δ≦1.5α (数4)
かかる構成とすることにより、前記ピストンと圧縮室との間のこじりをより確実に防止することができ、請求項3に記載の発明の効果に加えて、より一層ピストンの摩耗低減をはかり、高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明において、前記
ピストンが下死点に位置するとき、前記ピストンの一部が前記シリンダブロックから露出する切欠き部を、前記シリンダブロックに設けたものである。
かかる構成とすることにより、前記ピストンが下死点近傍に位置するときのピストンと圧縮室との間のこじりを抑制することができ、請求項1から4のいずれか一項に記載の発明の効果に加えて、さらにピストンの摩耗低減をはかり、高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化とを達成することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載の発明において、前記コンロッドに、該コンロッドの上下面を判別する識別部を設けたものである。
かかる構成とすることにより、前記コンロッドの上下面の組み誤りを防止することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項の密閉型圧縮機を搭載した冷凍装置とするものであり、効率の高い冷凍装置を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によってこの発明が限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における密閉型圧縮機の縦断面図、図2は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の圧縮荷重が作用しないときの要部の拡大断面図、図3は、同実施の形態1における密閉型圧縮機の圧縮荷重が作用するときの要部の拡大断面図、図4は、同実施の形態1における密閉型圧縮機のコンロッドの大端孔部と小端孔部の軸心関係を示す要部の断面図、図5は、同実施の形態1における密閉型圧縮機のピストンが傾きのない状態で下死点に位置する圧縮室近傍の要部の断面図、図6は、同実施の形態1における密閉型圧縮機のピストンが傾いた状態で下死点に位置する圧縮室近傍の要部の断面図、図7は、同実施の形態1に基づいて行った実験の結果を示す特性図である。
なお、図1乃至図3において、圧縮室については概要のみを示し、圧縮室の詳細な形状については図5、図6で示している。
図1乃至図3において、密閉容器101内には、固定子102と回転子103を備えた電動要素104と、電動要素104によって駆動される圧縮要素105が収容され、さらに、密閉容器101内の底部に、潤滑油106が貯留されている。
シャフト110は、主軸部111と、この主軸部111と一体運動するようにその一端に偏心して形成された偏心軸部112を有し、主軸部111が回転子103の軸心に固定されている。
シャフト110の内部や表面には給油通路113が設けられ、その下端部は、給油通路113に潤滑油106が所定の深さまで浸漬するように延出している。
シリンダブロック114は、互いに一定の位置に固定されるように配置された略円筒形の圧縮室115と軸受部120を備え、軸受部120は、シャフト110の主軸部111における偏心軸部112側の端部を軸支することによって片持ち軸受を形成している。
圧縮室115には、ピストン123が往復動可能に挿設されている。ピストン123には、ピン穴124が形成され、ピン穴124にピストンピン125が挿入されて固定され
ている。
ここで、シリンダブロック114に設けられた円筒形孔部116は、ピストン123およびバルブプレート150と共に圧縮室115を形成している。また、円筒形孔部116は、図5、図6に示すように、ピストン123が上死点に位置する側から、下死点に位置する側に向かって、内径寸法がDtからDb(>Dt)に増加するテーパ部117と、上死点に達したピストン123の圧縮室115側の端部に対応する位置に、長さLの区間だけ内径寸法Dtを軸方向に一定とするストレート部118を持つように形成されている。さらに、ピストン123は、全長にわたって外径寸法が同一に形成されている。
また、シリンダブロック114には、図5に示すように、ピストン123が下死点に位置する状態において、このピストン123の反圧縮室115側が露出するように、円筒形孔部116の周壁の上方の壁部を切欠いた切欠き部119が設けられている。
コンロッド126は、図2、図3、図4に示すように、一端に設けられた大端孔部128と、他端に設けられた小端孔部129と、大端孔部128と小端孔部129を連結するロッド部130とで構成されており、大端孔部128は、偏心軸部112に嵌装され、小端孔部129は、ピストンピン125を介して、ピストン123に連結され、これによって偏心軸部112とピストン123が連結されている。また、ロッド部130の一面には、図中上下面が識別できるように突起からなる識別部153が設けられている。
本実施の形態1が、図8乃至図12に示した従来の密閉型圧縮機と大きく異なる点は、ピストン123に冷媒ガスを圧縮する圧縮荷重が作用したとき、シャフト110の傾きに起因してコンロッド126も傾くが、このコンロッド126の傾きに対応させて、大端孔部128の軸心と小端孔部129の軸心が非平行となるように大端孔部128もしくは小端孔部129を傾けて形成するとともに、さらに圧縮室115を形成する円筒形孔部116に、テーパ部117を形成したことにある。
この傾きの状態を、図2乃至図5を用いて説明する。
ここで、圧縮荷重が作用しない場合に、圧縮室115の軸心Dに対して、ピストン123の軸心Cの状態を図2の拡大断面図で示し、圧縮荷重が作用した場合に、圧縮室115の軸心Dとピストン123の軸心Cが合致するようになるピストン123とコンロッド126の状態を図3の拡大断面図で示している。
そして、大端孔部128の軸心と小端孔部129の軸心の傾きは、図4に示すように、大端孔部128の軸心(以下、大端軸心と称す)141と小端孔部129の軸心(以下、小端軸心と称す)142とのなす角度のうち、上方の偏心軸部112側(反主軸部111側)において、大端軸心141と小端軸心142または小端軸心142と平行な線143とのなす角度をαで表すことができる。また、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値をγとした場合、本実施の形態1では、角度αを下記の式(数1)で定義している。
0≦α≦2.5γ (数1)
すなわち、本実施の形態1の構成は、大端軸心141と小端軸心142が非平行関係となるように形成されており、偏心軸部112側(上方)から主軸部111側(下方)に進むにつれて近づく方向にわずかに傾斜している。
これに対し、従来の構成は、角度αを下記の式(数5)で表すことができる。
α=0 [rad] (数5)
また、本実施の形態1は、圧縮室115を形成する円筒形孔部116に、テーパ部117とストレート部118を形成する構成についても、以下のように定義している。
すなわち、図5、図6に示すように、テーパ部117にピストン123の外周面が沿って摺動するときのピストン123の軸心を示す傾き軸線C1(テーパ部117の周壁面と平行)と、圧縮室115の軸心Dとのなす角度をδと定義したとき、上述の角度αと角度δは、絶対値γとの関係において、下記の式(数2)で表すことができるように定義されている。なお、図6における線146は、コンロッド126の中心線を示している。
0.3γ≦(α+δ)≦4γ (数2)
さらに、本実施の形態1は、角度αと角度δと絶対値γが、下記の式(数3)を満足する関係にあるように定義している。
γ≦(α+δ)≦3.2γ (数3)
また、本実施の形態1は、角度αと角度δが、下記の式(数4)を満足する関係にあるように定義している。
0.5α≦δ≦1.5α (数4)
以上のように構成された密閉型圧縮機について、以下にその動作、作用を説明する。
電動要素104への通電により、電動要素104の回転子103は、シャフト110を回転させ、偏心軸部112の回転運動が、コンロッド126を介して、ピストン123に伝えられ、これによって、ピストン123は、圧縮室115内を往復運動する。
ピストン123の往復運動により、冷却システム(図示せず)から冷媒ガスが圧縮室115内へ吸入され、圧縮された後、再び冷却システムに吐出される。
給油通路113の下端部は、周知の如くシャフト110の回転に伴ってポンプ作用を行う。このポンプ作用により、密閉容器101の底部の潤滑油106は、給油通路113を通って、上方に汲み上げられ、密閉容器101内の全周方向へ水平に飛散し、ピストンピン125やピストン123などの摺動部に供給されて潤滑を行う。
片持ち軸受では、冷媒ガスを圧縮するときの圧縮荷重を、シャフト110の偏心軸部112に対して片側の主軸部111のみで軸支するため、シャフト110は、主軸部111と軸受部120のクリアランス内で傾く。
このため、軸受部120のクリアランス内で傾いたシャフト110の主軸部111の軸心144と、圧縮室115の軸心Dとの相対角度がπ/2[rad]よりも小さくなる。
このシャフト110の傾きによるピストン123の圧縮室115に対するこじりを防止するために、本実施の形態1では、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とで形成される角度αを0[rad]よりも僅かに大きくしている。
また、小端孔部129の大端孔部128に対する傾きの角度αは、上記の式(数1)を満足するとともに、絶対値γを独立変数とする関数fを用いて下記の式(数6)を満たすようにも定義されている。
α=f(γ) (数6)
さらに、本実施の形態1においては、上述したように、シャフト110の傾きによるピ
ストン123の圧縮室115に対するこじりを防止すると同時に、圧縮行程で上死点側に移行する途中の状態まで摺動損失を低く抑え、ピストン123が上死点位置に近接する状態では、冷媒ガスの圧力増大に伴うガス漏れの発生を防止するために、圧縮室115を形成する円筒形孔部116に、ストレート部118と、テーパ部117を備えている。
すなわち、ストレート部118は、ピストン123が上死点に位置するとき、ピストン123の圧縮室115側の上端部に対応する部位に形成され、内径寸法Dtが軸方向に一定に形成され、テーパ部117は、ストレート部118に連続し、かつピストン123が上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法Db(Db>Dt)が増大するように形成されている。
そして、コンロッド126の大端孔部129と小端孔部129は、そのテーパ部117にピストン123の外周面が沿って摺動するときのピストン123の傾き軸心C1と、圧縮室115の軸心Dとのなす角度δに、上記のあらかじめ設定した角度αを加算した角度(値)が、絶対値γを独立変数とする関数f’を用いて下記の式(数7)を満たすように形成されている。
(α+δ)=f’(γ) (数7)
ここで、設定した角度αや、角度αとテーパ部117の設定した角度δを加算した値は、シャフト110の傾きの絶対値γに関係付ける具体的な値として実験値を採用することができる。
図7は、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角度αを変えたコンロッド126を用意し、これらのコンロッド126を組み込んだ密閉型圧縮機の効率を測定した結果である。
すなわち、図7は、角度αとテーパ部117の角度δとの加算値(α+δ)をシャフト110の傾きの絶対値γで割った無次元数を横軸にとり、それぞれの角度に対する効率COPを縦軸にとって、各測定値を2次曲線で近似した特性図である。
ここで、横軸の値が0における効率は、従来の密閉型圧縮機で、円筒形孔部116にテーパ部117が無い仕様での平均値を示しており、本実験でのクリアランスによるシャフト110の傾きの絶対値γは、約3.7×10−4[rad]である。
図7より、(α+δ)/γの値が約1〜3.2の範囲(領域A)で効率が最も高くなり、(α+δ)/γの値が約0.3〜4の範囲(領域B)で、従来の密閉型圧縮機よりも効率が高くなることが分かる。
したがって、角度αと絶対値γを、上記の式(数1)を満足する関係とすることが好ましく、同時に、ピストン123の外周面がテーパ部117に沿って摺動するときのピストン123の傾き軸心C1と圧縮室115の軸心Dとのなす角度をδとしたとき、角度αと角度δと絶対値γが上記の式(数2)を満足する関係とすることが好ましく、さらに、角度αと角度δと絶対値γが上記の式(数3)を満足する関係とすることが最適であると結論付けられる。
ここで、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142でなす角度αを、0[rad]よりも大きくする効果と、圧縮室115のコンロッド126側にテーパ部117を設ける効果について考察する。
まず、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角
度αを0[rad]よりも大きくする効果については、片持ち軸受で、冷媒ガスを圧縮するときの圧縮荷重に伴い、軸受部120のクリアランス内でシャフト110が傾くことにより、ピストン123の圧縮室115に対するこじりを防止することができると考えられる。
しかしながら、ピストン123が圧縮室115内を往復動する際に、ピストン123の外周面と圧縮室115の内周壁との摺動により、摺動損失は比較的大きいものとなってしまう。
このピストン123の外周面と圧縮室115の内周壁との摺動損失を低減するために、本発明の実施の形態1では、圧縮室115の上死点側に、内径寸法Dtが軸方向に一定であるストレート部118を設け、さらに圧縮室115のコンロッド126側に、上死点側から下死点側に向かって内径寸法Dbが増大するように形成されたテーパ部117を設けている。
かかる構成により、圧縮行程で上死点側に移行する途中の状態までは、ブローバイはほとんど発生せず、ピストン123の摺動抵抗(摺動損失)も小さくなり、さらに圧縮行程が進み、ピストン123が上死点位置に近接する状態では、全長にわたってテーパ部117を形成する場合よりも、ガス圧の増大に伴う冷媒ガスのガス漏れの発生を低減することができると考えられる。
ここで、圧縮行程においては、テーパ部117にピストン123の外周面が沿って摺動することがあると考えられ、図6の圧縮室近傍の要部の断面図に示すように、ピストン123の外周面が重力方向下方のテーパ部117に沿って摺動した場合、圧縮室115の軸心Dに対するピストン123の傾き軸心C1の傾き角度は、角度(α+δ)になるため、角度(値)αだけでなく、テーパ部117の角度(値)δも考慮して、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γとの関係で最適化することができると考えられる。
また、テーパ部117の角度(値)δだけを考慮して、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γとの関係で設計しても、圧縮室115の上死点側に内径寸法が軸方向に一定であるストレート部118を設けた場合は、ストレート部118とピストン123との摺動において、軸受部120に対するシャフト110の傾きに起因したピストン123と圧縮室115との間のこじりを防止することはできない。
また、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角度αを、従来の密閉型圧縮機と同様に0[rad]としたまま、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γとの関係で、テーパ部117の角度(値)δを設計した場合、テーパ部117の角度δが大きいと、圧縮室115内でピストン123の挙動が不安定となって騒音が増大し、また、ピストン123と圧縮室115間の潤滑油106の保持が不足して、冷媒ガスの漏れが増大する可能性が高くなる。
逆に、テーパ部117の角度δが小さいと、ピストン123の外周面と圧縮室115の内周壁との摺動損失を低減する効果が小さくなる。
したがって、圧縮行程で上死点側に移行する途中の状態までは、軸受部120に対するシャフト110の傾きに起因するピストン123と圧縮室115との間のこじりを防止するとともに、ピストン123の摺動抵抗(摺動損失)を低減し、さらに圧縮行程が進み、
ピストン123が上死点位置に近接する状態におけるガス圧の増大に伴った冷媒ガスのガス漏れの発生を低減するためには、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142のなす角度αを0[rad]よりも大きくするとともに、同時に圧縮室115のコンロッド126側にテーパ部117を設けることで、課題を補い合い、相乗的な効果が得られると推察する。
そして、単に、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角度αを0[rad]よりも大きくするとともに、圧縮室115のコンロッド126側にテーパ部117を設けるだけでは、お互いの有する課題を補い合うことはできず、角度(値)αとテーパ部117の角度(値)δの両者を考慮して、角度αと角度δと絶対値γが上記の式(数3)を満足する関係となるように、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γと関連付け、角度αと角度δを、実際の値に近づけるようにすることで、実現できるものであると結論付ける。
このとき、さらに、角度αと角度δが上記の式(数4)を満足する関係とすることで、よりその効果が大きくなり、従来の密閉型圧縮機よりも一層信頼性が向上し、効率が高くなるとの実験結果を得ている。
以上のように、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角度をαとしたとき、上記の式(数1)で表される角度(値)αを角度の設計値とし、圧縮室115のテーパ部にピストン123の外周面が沿って摺動するときのピストン123の傾き軸心C1と圧縮室115の軸心Dとでなす角度をδとしたとき、角度αと角度δと絶対値γが上記の式(数2)を満足する関係とすることで、設定した角度(値)αと角度(値)δの合計値を、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γと関連付けて実際の値に近づけるようにしたので、ピストン123と圧縮室115との間のこじりを防止することができ、これによって、ピストン123の摩耗低減による高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
また、本実施の形態1の片持ち軸受においては、ピストン123が下死点に位置するとき、少なくともピストン123の一部がシリンダブロック114から露出するように構成している。具体的には、ピストン123の軸方向の全長に対して1/3以上が露出するように構成されている。
すなわち、一般に、吸入行程の後半や圧縮行程の初期などにおいては、ピストン123の端面123aに冷媒ガスの圧力に起因する圧縮荷重があまり作用しない。このような状態においては、シャフト110は、主軸部111と軸受部120のクリアランス内でさほど大きく傾かないため、大端孔部128の大端軸心141と小端孔部129の小端軸心142とのなす角度αが0[rad]よりも僅かに大きいと、ピストン123と圧縮室115の間のこじりが大きくなり、摺動損失の増大が懸念される。
しかしながら、本実施の形態においては、円筒形孔部116の周壁の上方の壁部に切欠き部119を設けることにより、ピストン123が下死点に位置するとき、少なくともピストン123の上面部を、軸方向の全長に対して1/3以上露出する構成としている。したがって、こじりが発生するピストン123の軸方向長さが短くなり、ピストン123と圧縮室115との間のこじりを抑制することができる。
したがって、ピストン123が下死点近傍に位置するときにおいても、ピストン123と圧縮室115の間のこじりを防止することができ、これによって、ピストン123の摩
耗低減による高信頼性化と、摺動損失軽減による高効率化を達成することができる。
また、コンロッド126は、片面に識別部153を設けることにより、組み立て時に上下(表裏)を判別することができる。具体的には、識別部153の突起がコンロッド126の上側になる、すなわち目視できるようにして組み立てることで、コンロッド126が上下反対に組み立てられることを防止できる。したがって、ピストン123と圧縮室115との間のこじりを防止する効果を確実に達成することができる。
なお、本発明の実施の形態1においては、圧縮室115の内壁面を、テーパ部117とストレート部118を備えた構成とする例で説明したが、ストレート部118が無く、テーパ部117だけを形成した場合でも、圧縮室115からの冷媒ガスの漏れが増大し効率が低下する傾向にあるものの、軸受部120と主軸部111のクリアランスに基づいた軸受部120に対するシャフト110の傾きの絶対値γと関連付けて実際の値に近づけるように設計することは可能である。
以上のように、本発明に係る密閉型圧縮機は、高信頼性化と高効率化を達成することが可能であり、エアーコンディショナーや自動販売機等の冷凍サイクルを用いた機器に用いられる密閉型圧縮機にも幅広く適用することができる。
101 密閉容器
104 電動要素
105 圧縮要素
110 シャフト
111 主軸部
112 偏心軸部
114 シリンダブロック
115 圧縮室
117 テーパ部
118 ストレート部
120 軸受部
123 ピストン
124 ピン孔
125 ピストンピン
126 コンロッド
128 大端孔部
129 小端孔部
141 大端孔部の軸心
142 小端孔部の軸心
153 識別部
C ピストンの軸心
C1 傾き軸心
D 圧縮室の軸心

Claims (7)

  1. 密閉容器内に、電動要素と、前記電動要素によって駆動される圧縮要素を収容し、前記圧縮要素を、前記電動要素によって回転駆動される主軸部および前記主軸部の一端に形成され、かつ前記主軸部と一体運動する偏心軸部を有するシャフトと、前記シャフトの前記主軸部を軸支することによって片持ち軸受を形成する軸受部と、前記軸受部に対して、一定の位置に固定されるように配置され、かつ略円筒形の圧縮室を形成するシリンダブロックと、前記圧縮室の内部に往復動可能に挿設され、かつピン穴を有するピストンと、前記ピン穴に挿入固定されたピストンピンと、一端に前記シャフトの偏心軸部が貫通する大端孔部を設け、他端に前記ピストンピンが貫通する小端孔部を設けたコンロッドを具備する構成とし、前記大端孔部の軸心線と前記小端孔部の軸心線とで形成される角度をαとし、前記軸受部と前記主軸部のクリアランスに基づいた前記軸受部に対する前記シャフトの傾きの絶対値がγであるとき、前記角度αと前記絶対値γが、下記の式(数1)を満足する関係にあり、さらに前記圧縮室の内面に、前記ピストンが上死点に位置する側から下死点に位置する側に向かって内径寸法が増大するように形成されたテーパ部を設け、前記テーパ部に前記ピストンの外周面が沿って摺動するときにおける前記ピストンの軸心と前記圧縮室の軸心とのなす角度をδとしたとき、前記角度αと前記角度δと前記絶対値γが、下記の式(数2)を満足する関係にあるように構成した密閉型圧縮機。
    0≦α≦2.5γ (数1)
    0.3γ≦(α+δ)≦4γ (数2)
  2. 前記ピストンが上死点に位置するとき、前記ピストンの圧縮室側の上端部に対応する位置に、前記テーパ部に連続してストレート部を設けた請求項1に記載の密閉型圧縮機。
  3. 前記角度αと前記角度δと前記絶対値γが、下記の式(数3)を満足する関係にあるように構成した請求項1または2に記載の密閉型圧縮機。
    γ≦(α+δ)≦3.2γ (数3)
  4. 前記角度αと前記角度δが、下記の式(数4)を満足する関係にあるように構成した請求項3に記載の密閉型圧縮機。
    0.5α≦δ≦1.5α (数4)
  5. 前記ピストンが下死点に位置するとき、前記ピストンの一部が前記シリンダブロックから露出する切欠き部を、前記シリンダブロックに設けた請求項1から4のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  6. 前記コンロッドに、該コンロッドの上下面を判別する識別部を設けた請求項1から5のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機。
  7. 請求項1から6のいずれか一項に記載の密閉型圧縮機を搭載した冷凍装置。
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