JP2012149242A - 成形用樹脂組成物、電子部材及び放熱材料 - Google Patents

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Fumihiko Maekawa
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Shingo Takada
新吾 高田
Toru Suzuki
徹 鈴木
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Abstract

【課題】 炭素材料を含有する成形用樹脂組成物において、炭素材料が良好に分散されることにより、導電性や熱伝導性を高めることができ、かつ成形時の流動性や成形後の外観が損なわれることのない成形用樹脂組成物を提供する
【解決手段】 熱可塑性樹脂(A)と炭素材料(B)を含有する成形用樹脂組成物において、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)を用いることで、炭素材料が良好に分散され導電性や熱伝導性を高めることができ、かつ分散性に優れる成形用樹脂組成物を提供する。
【選択図】 なし

Description

本発明は、炭素材料を含有する成形用樹脂組成物に関する。
熱可塑性樹脂は、その製造、成形の容易さのため、あらゆる産業において広く用いられている。例えば、ポリアミド樹脂は、自動車燃料用部品の成形材料として配管、コネクター、濾過器、注入部品等で使用されている。また芳香族ポリカーボネート樹脂はパソコン、電子機器、液晶テレビ等のきょう体、ランプカバー、内外装用部品等、電子機器、自動車分野で幅広く使用されている。
これらの自動車用途や電子機器用途等においては、導電性や放熱性が求められる。特に近年電子機器においては、高性能化、小型化、軽量化に伴う半導体パッケージの高密度化、LSIの高速化及び高集積化等により、電子機器内部で発生する熱を効率的に外部へ放散させる放熱対策が非常に重要な課題となっている。また自動車は軽量化の観点から様々なパーツの樹脂化が進み、特に自動車燃料の配管等では静電気対策が必須となり導電性樹脂の要求が高まっている。
これらの導電性や放熱(熱伝導)性を向上させる方法として、例えば、電気伝導性を有する銅、アルミニウム、ステンレススチール等の金属類に代わり、黒鉛、カーボンブラック、カーボンナノチューブ等の炭素材料を熱可塑性樹脂に混合する手法が盛んに研究されている。これらの炭素材料は、高濃度に充填しないと十分な導電性や熱伝導性を得ることができず、一方高濃度に充填してしまうと、熱可塑性樹脂が本来有している良好な流動性を阻害し、例えば射出成形時のリブ部でのショートショット、L/Tの大きい金型でのゲート最遠部へのショートショットなどが生じてしまうことがあった。
流動性を改善する方法としては、低分子量の滑剤、例えば脂肪酸金属塩(金属石鹸)や脂肪酸アミドを添加する方法があるが、低分子化合物であり熱成形時に分解や昇華が生じ、これが成形品表面へのフローマークやシルバーストリークとなる場合があり成形品の外観を悪化させてしまうことがある。
これに対して、熱可塑性樹脂とカーボンブラックとを含有する組成物にペンタエリスリトール脂肪酸エステル0.1〜5重量%を添加し、予め溶融混練により分散処理しペレット化した後、溶融成形する導電性組成物が知られている(例えば特許文献1参照)。ペンタエリスリトール脂肪酸エステルは脂肪酸金属塩(金属石鹸)や脂肪酸アミドと比較し耐熱性に優れているので、射出成形時においても分解ないし昇華することなく流動性を改善することが可能であり(段落0012参照)、カーボンブラックを大量に添加することが可能となる。
しかしながら、この種の脂肪酸エステルはポリアミドのような極性のある熱可塑性プラスチックで無いと混和できない可能性があり、利用範囲が限られる可能性がある。
また、脂肪酸金属塩や脂肪酸アミドと比較すると耐熱性に優れるものの、250℃以上の耐熱性については記載されておらず、250℃以上の高温で加工成形される樹脂に使用した場合にはカーボンブラックの分散性が十分に得られない可能性がある上、分散剤自体が熱分解して低分化し、成形後表面へ浮き出ることによる外観不良発生の問題が懸念される。
特開2008−143991号公報 特開2002−322366号公報
本発明の課題は、炭素材料を含有する成形用樹脂組成物において、炭素材料が良好に分散されることにより、導電性や熱伝導性を高めることができ、かつ成形時の流動性や成形後の外観が損なわれることのない成形用樹脂組成物を提供することにある。
本発明者らは、炭素材料を分散させることのできる分散剤を使用することで、上記課題を解決できることを見出し、該分散剤として、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤が、炭素材料を良好に分散することにより導電性や熱伝導性を高めることができるとともに、成形用樹脂として使用する熱可塑性樹脂の流動性を損なうことなく熱成形が可能となり、成形後の外観も良好であることを見出した。
即ち本発明は、熱可塑性樹脂(A)と、炭素材料(B)と、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)とを含有することを特徴とする成形用樹脂組成物を提供するものである。
また本発明は、前記記載の成形用樹脂組成物を使用する電子部材を提供するものである。
また本発明は、前記記載の成形用樹脂組成物を使用する導電性材料を提供するものである。
また本発明は、前記記載の成形用樹脂組成物を使用する放熱材料を提供するものである。
また本発明は、熱可塑性樹脂(A)と炭素材料(B)とを含む樹脂組成物の流動性を改善する方法であって、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)を炭素材料(B)に対し0.1〜50重量%添加することを特徴とする、流動性を改善する方法を提供するものである。
本発明により、炭素材料を熱可塑性樹脂に良好に分散することができ、成形用樹脂として使用する熱可塑性樹脂の流動性を損なうことなく熱成形が可能となり、導電性や熱伝導性を高めた上で、成形後の外観も良好な成形体を得ることができる。
本発明の成形用樹脂組成物を使用した成形体は、電子材料や導電性材料、あるいは放熱材料として特に有用である。
また、本発明により、熱可塑性樹脂(A)と炭素材料(B)とを含む樹脂組成物の流動性を改善する方法を提供することができる。
(熱可塑性樹脂(A))
本発明で使用する熱可塑性樹脂(A)は、基本的に限定されるものではなく、公知の成形用樹脂を使用することができる。
例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂、ポリメチルメタクリレートやポリエチルメタクリレートなどのアクリル樹系脂、ポリスチレン、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、アクリロニトリル−アクリルゴム−スチレン樹脂、アクリロニトリル−エチレンゴム−スチレン樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレン樹脂などのスチレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリアクリルニトリル、ナイロンなどのポリアミド樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂、エチレン−アクリル酸樹脂、エチレン−エチルアクリレート樹脂、エチレン−ビニルアルコール樹脂、ポリ塩化ビニルやポリ塩化ビニリデンなどの塩素樹脂、ポリフッ化ビニルやポリフッ化ビニリデンなどのフッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、変性ポリフェニレンエーテル樹脂、メチルペンテン樹脂、セルロース樹脂等、ならびにオレフィン系エラストマー、塩化ビニル系エラストマー、スチレン系エラストマー、ウレタン系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリアミド系エラストマー等の熱可塑性エラストマー、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、熱可塑性ポリイミド樹脂、およびこれらの二種以上の混合物が挙げられる。
(炭素材料(B))
本発明で使用する炭素材料(B)としては、具体的には、カーボンブラック(B−1)、又は黒鉛(B−2)が挙げられる。
(カーボンブラック(B−1))
本発明においてカーボンブラック(B−1)とは、油や天然ガスなどの炭化水素を、熱分解や不完全燃焼することで得られるもので、後述のグラファイトが層をなし部分的に融合した一次粒子で構成されたアグリゲートからなるものである。アグリゲートはファンデルワールス力により凝集しアグロメートとなるため、分散しにくくなる。また、一般に平均一次粒子径が小さい程黒度が高く、着色力も高いが、比表面積が大きいためカーボンブラックと樹脂の界面が増大し、粘性も増大することとなる。本発明で使用するカーボンブラック(B−1)としては具体的には、ファーネス法で製造されるファーネスブラック、アセチレン法で製造されるアセチレンブラック、サーマル法で製造されるサーマルブラック、チャンネル法で製造されるチャンネルブラック、ケッチェンブラックなどが挙げられる。
これらの中でも、高黒度、高着色力を付与する場合は特にファーネスブラックが好ましい。又、高導電性を付与する場合は、結晶性が高いこと、もしくは高ストラクチャーであることより、アセチレンブラック、ケッチェンブラックを用いることが好ましい。粒径、比表面積、pH、および吸油量は特に限定されず、平均粒子径は、好ましくは8〜200nm、より好ましくは13〜100nm、比表面積は、好ましくは10〜700m2/g、より好ましくは20〜240m2/g、pHは、好ましくは2〜10.5、より好ましくは7〜9.5、吸油量は、好ましくは50〜320ml/100g、より好ましくは70〜180ml/100gである。
またカーボンブラック(B−1)の表面は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて樹脂との親和性を増すために官能基で修飾して用いてもよく、例えば酸やアルカリによって水酸基、カルボキシル基、アミノ基で官能基化を施してもよい。更にカーボンブラックをカップリング剤で予備処理して使用してもよく、かかるカップリング剤としては、イソシアネート系化合物、有機シラン系化合物、有機チタネート系化合物、エポキシ化合物などが挙げられる。
前記カーボンブラック(B−1)の含有量は、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.01〜50重量部、より好ましくは0.3〜30重量部である。カーボンブラック(B−1)の含有量が少なすぎると、成形品中のカーボンブラックと樹脂の界面が少なく、その相互作用による機械強度(引張強度、衝撃)向上の効果が十分に得られない場合があり、一方多すぎると成形品中のカーボンブラックと樹脂の界面が増大し、その相互作用による粘度上昇により流動性が低下し、外観不良をもたらす場合がある。
(黒鉛(B−2))
本発明で使用する黒鉛(B−2)は、グラファイトとも呼び炭素原子が六角網平面層を作り、その層面が規則的に積み重なってできた結晶を有するものを指す。平均粒子径は特に限定されないが、0.1〜1000μmが好ましく、25〜1000μmがより好ましい。平均粒子径が0.1μm以下では樹脂組成物製造時の押出安定性が悪く生産性が低下し好ましくない。平均粒子径が1000μmを超えると成形品表面の外観が悪くなり好ましくない。
本発明で使用する黒鉛(B−2)の見掛け嵩比重は0.01g/cc以上が好ましく、0.05以上g/ccがより好ましく、0.10g/ccが更に好ましい。見掛け嵩比重が0.01g/cc未満では樹脂組成物製造時の押出安定性が悪く生産性が低下し好ましくない。
また、必要に応じて公知の各種粉砕装置を用いて粉砕する方法で粉砕しても構わない。
本発明で使用する黒鉛(B−2)は、石油からの一般炭素材料を3000℃以上の高温で処理して黒鉛化する方法、有機ガスを熱分解した後3000℃以上の高温で加圧処理して得る方法、あるいはカーボンブラックやホウ素添加炭素粉末等を3000℃付近で熱処理して気相成長させた黒鉛ウィスカー法などで製造できるが、どのような方法で製造した黒鉛でも構わない。
また、本発明で使用する黒鉛(B−2)は、繭状に膨張した形状を持つ膨張黒鉛も含むものとする。膨張黒鉛は、鉱物として天然に産出される天然黒鉛、または石油コークス、石油ピッチ、無定形炭素等を2000℃以上で熱処理し、不規則な配列の微小黒鉛結晶の配向を人工的に行わせた人造黒鉛を濃硫酸、濃硝酸等に浸漬し、さらに、過酸化水素、塩酸等の酸化剤を添加して処理することにより黒鉛層間化合物を生成させ、次いで水洗した後、800〜1000℃で急速加熱することで得られる黒鉛である。膨張黒鉛の表面は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて樹脂との親和性を増すために、エポキシ処理、ウレタン処理、シランカップリング処理、酸化処理等の表面処理が施されていてもよい。
前記黒鉛(B−2)の含有量は、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して、好ましくは0.1〜80重量部であり、更に好ましくは1〜70重量部である。黒鉛(B−2)の含有量が少なすぎると、成形品中の黒鉛と樹脂の界面が少なく、その相互作用による機械強度(引張強度、衝撃)向上の効果が十分に得られない場合があり、一方多すぎると成形品中のカーボンブラックと樹脂の界面が増大し、その相互作用による粘度上昇により流動性が低下し、外観不良をもたらす場合がある。
(分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C))
本発明における、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)(以下、分岐型ポリマー分散剤(C)と称することがある)は、少なくとも1つの分岐部を介してビニルポリマー鎖(D)を有している分岐型のポリマーである。
分岐型ポリマーとは、いわゆる直鎖状ポリマーとはその構造が異なる。分岐型ポリマーに関しては石津浩二編著「分岐ポリマーのナノテクノロジー」(アイピーシー)第1章、第6章、第7章、および野瀬卓平、中浜精一、宮田清蔵編「大学院 高分子化学」(講談社)p.39に記載されている。一般に分岐ポリマーは枝分かれ(分岐)構造に由来した物性を有するため、通常の直鎖状ポリマーとは、溶液、固体物性が大きく異なることが知られている。なお、ポリマー鎖とは、モノマーの繰り返し単位を複数持つものである。
前記分岐型ポリマーの種類として、例えば、くし型ポリマー、星型ポリマーが挙げられる。くし型ポリマーとは、主鎖(幹)に多数の側鎖(枝)が出ている分岐ポリマーである。くし型ポリマーのうち、側鎖(枝)が主鎖(幹)とは異なる構成または配置を持つものはグラフトポリマーと呼ばれる。星型ポリマーとは原子あるいは原子団を核とし、3つ以上の複数の分岐鎖が放射状に伸びた構造の分岐ポリマーである。くし型、及び星型ポリマーに関しては、上記「大学院 高分子化学」p.39〜43に記載されている。
本発明で使用する分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)は、少なくとも1つの分岐部を介してビニルポリマー鎖を有している分岐型のポリマーであり、熱可塑性樹脂(A)に対して炭素材料(B)を分散させることのできる分散剤である。分岐型ポリマー分散剤(C)として具体的には、くし型ポリマー分散剤(C−1)または星型ポリマー分散剤(C−2)が挙げられる。
(ビニルポリマー鎖(D))
本発明の分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)におけるビニルポリマー鎖を、以下ビニルポリマー鎖(D)と称する。該ビニルポリマー鎖(D)とは、ビニルポリマーであって、前記分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)の主鎖に対し、分岐部を介して結合している側鎖である。ビニルポリマー鎖(D)とは、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル等により構成されるものが好適に挙げられ、末端やポリマー鎖の途中に、官能基等の部分構造を有していてもかまわない。また、ビニルポリマー鎖(D)は直鎖状でも、鎖の途中や末端に分岐部をもつ分岐構造をしていてもかまわない。
前記ビニルポリマー鎖(D)は、上記各種ビニルポリマー鎖を構成しうる重合性単量体を、重合開始剤の存在下、反応容器中で加熱、必要により熟成することにより得ることが出来る。反応条件としては例えば、重合開始剤及び溶媒によって異なるが、反応温度が30〜150℃、好ましくは60〜120℃である。重合は、非反応性溶剤の存在下で行っても差し支えない。
前記重合開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等過酸化物;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等アゾ化合物などが挙げられる。
前記非反応性溶剤としては、例えばヘキサン、ミネラルスピリット等脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用しても、複数種類併用してもかまわない。これらの溶剤は、得られるビニルポリマー鎖(D)が溶解するものを適宜選択して使用することができる。
(炭素材料吸着性に優れた官能基(E))
本発明の分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)は、炭素材料表面への吸着性をより向上させるために、炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を含有することが好ましい。該炭素材料吸着性に優れた官能基(E)としては、例えば、塩基性窒素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する複素環基、酸性基、ヒドロキシル基などが挙げられる。
(くし型ポリマー分散剤(C−1))
本発明における分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)において、主鎖(幹ポリマー)構造に少なくとも一つの分岐部が存在し、該分岐部に側鎖(枝ポリマー)としてビニルポリマーが結合してなる構造を有するポリマーを、
分岐部を介してビニルポリマー鎖を有するくし型ポリマー分散剤(C−1)(以下単に「くし型ポリマー分散剤(C−1)」と称する)とする。
くし型ポリマー分散剤(C−1)における主鎖(幹ポリマー)は、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル、ポリアミン、ポリカプロラクトン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル等により構成されるものが好適に挙げられる。
また、くし型ポリマー分散剤(C−1)の側鎖(枝ポリマー)は、ビニルポリマー鎖(D)であって、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエーテル、ポリビニルエステル等により構成されるものが好適に挙げられる。
くし型ポリマー分散剤(C−1)の主鎖に分岐部が複数存在する場合、側鎖のうち少なくとも1つがビニルポリマー鎖(D)であって、ビニルポリマー以外のポリマーが側鎖として存在していてもかまわない。
本発明におけるくし型ポリマー分散剤(C−1)の合成法は、上記くし型ポリマー分散剤の定義に合致した構造のポリマーを合成できるものであれば手段を問わない。具体的には、主鎖となるポリマーに何らかの方法で重合開始点を発生させ、側鎖となるモノマーをそこから重合させて側鎖をつける方法、リビングポリマーのような活性を有するポリマーを幹となるポリマーに反応させる方法、末端に重合可能な官能基を持つポリマー(マクロモノマー)を重合させる方法などが挙げられる。マクロモノマーの合成とそれを用いたポリマー合成に関しては、山下雄也編著「マクロモノマーの化学と工業」(アイピーシー)第2章、3章に記載されている。
本発明の分岐型ポリマー分散剤(C)において、主鎖、側鎖のポリマー鎖には、目的に応じて種々の部分構造を含むことができる。例えば、主鎖に炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を導入することで、くし型ポリマー分散剤(C−1)の炭素材料表面への吸着性をより向上させることができる。主鎖に炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を導入する場合、該炭素材料吸着性に優れた官能基(E)はアミノ基が好ましい。
(くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1))
前記くし型ポリマー分散剤(C−1)としては、くし型ポリマーが、主鎖を炭素材料吸着性に優れた官能基(E)としてアミノ基を含有するポリアミンとし、側鎖をビニルポリマー鎖(D)とした変性ポリアミンである、くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)を用いることが、炭素材料の分散性に優れ好ましい。
該くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)は、主鎖としてポリアミンと、側鎖のビニルポリマー鎖(D)として、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニルポリマー鎖(D−1)(以下、ビニルポリマー鎖(D−1)と称する)と、
アミノ基と反応するその他の化合物とを反応させてなる、変性ポリアミンを主成分とする。
前記くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)で使用するポリアミンは、ポリビニルアミン、ポリエチレンイミン、ポリアリルアミンが挙げられ特にポリアリルアミンが好ましい。
前記くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)で使用するポリアリルアミンは、アリルアミンを重合開始剤の存在下、場合によっては連鎖移動触媒存在下で公知の方法により重合させて得てもよいし、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、日東紡績株式会社よりPAA−01、PAA−03、PAA−05、PAA−15、PAA−10C等のポリアリルアミンシリーズとして市販されている。
前記くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)で使用するポリアリルアミンの数平均分子量は、好ましくは150〜100,000であり、より好ましくは600〜20,000である。前記ポリアリルアミンの数平均分子量が150未満であると、炭素材料に対する吸着力が不足して炭素材料分散が困難となるおそれがあり、一方100,000を越える量ではビニルポリマー鎖(D)との反応時に粘度の上昇やゲル化を起こすことがある上、くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)全体の分子量が大きくなりすぎ、炭素材料同士の凝集により分散性が低下するおそれがある。
前記本発明で使用するビニルポリマー鎖(D−1)において、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基としては、カルボキシル基、クロロホルミル基などのハロホルミル基、メトキシカルボニル基などのオキシカルボニル基が挙げられる。中でもカルボキシル基がビニルポリマーに容易に導入することができ好ましい。
前記本発明で使用するビニルポリマー鎖(D−1)を得るには、例えば、重合時にカルボキシル基を有する連鎖移動剤の共存させる方法が挙げられる。カルボキシル基を有する連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸などのチオカルボン酸類が挙げられる。また、4,4’−アゾビス−4−シアノペンタン酸などカルボキシル基を有する重合開始剤を用いて重合性単量体をリビングラジカル重合法により合成する方法によっても得ることができる。
前記本発明で使用するビニルポリマー鎖(D−1)の原料となる重合性単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等の(メタ)アクリル酸アルキルエステルのホモポリマー、または、これらのエステル同士あるいはこれらのエステルと、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン等のアルケニルベンゼン、さらには酢酸ビニル、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−ブトキシメチルアクリルアミド、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等とのコポリマーが挙げられる。これらのうち1種または2種以上を使用することができる。
但し、アミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基、例えばカルボキシル基と同等あるいはそれ以上にアミノ基との反応性が高い官能基を有する重合性単量体は、使用しないことが好ましい。該重合性単量体を原料に含んだビニルポリマー鎖は、該ビニルポリマー鎖の末端だけでなく、共重合体の主鎖にランダムに該官能基がグラフトされるので、ポリアミンとの反応中にゲル化したり、得られる分岐型ポリマー分散剤の性能が低下するおそれがある。具体的には、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、無水マレイン酸等の重合性単量体は、アミノ基に対して高い反応性をもつ基を有するので、ビニルポリマー鎖(D−1)の原料としては使用しないことが好ましい。
前記ビニルポリマー鎖(D−1)は、上記各種重合性単量体を、重合開始剤の存在下、反応容器中で加熱、必要により熟成することにより得ることが出来る。反応条件としては例えば、重合開始剤及び溶媒によって異なるが、反応温度が30〜150℃、好ましくは60〜120℃である。重合は、非反応性溶剤の存在下で行っても差し支えない。
前記重合開始剤としては、例えばt−ブチルパーオキシベンゾエート、ジ−t−ブチルパーオキシド、クメンパーヒドロキシド、アセチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド等過酸化物;アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリル等アゾ化合物などが挙げられる。
前記非反応性溶剤としては、例えばヘキサン、ミネラルスピリット等脂肪族炭化水素系溶剤;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶剤;酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メタノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等の非プロトン性極性溶剤などが挙げられる。これらの溶剤は、単独で使用しても、複数種類併用してもかまわない。これらの溶剤は、得られるアミノ基と反応しアミド結合を形成する官能基を片末端に有するビニルポリマー鎖(D−1)が溶解するものを適宜選択して使用することができる。
本発明で使用するビニルポリマー鎖(D−1)の分子量は、重量平均分子量500〜100000の範囲であることが好ましく、1000〜20000の範囲であることがなお好ましい。重量平均分子量が500未満ではくし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)としての十分な立体反発効果を保持できないことがあり、また100000を越えるとビニルポリマー鎖(D−1)の粘度の上昇や溶剤溶解性の低下を起こし、いずれも得られるくし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)の性能が低下する場合がある。
前記くし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)で使用する、前記ポリアリルアミンと前記ビニルポリマー鎖(D−1)との反応は、例えば、窒素ガス気流下、200℃以下で行うことが出来る。反応にはスズ系やチタン系などの公知の重合触媒を使ってもよい。また必要に応じて、反応に関与しないトルエン、キシレン、ソルベッソ等の非反応性溶剤を使用することができる。使用した溶剤は必ずしも除去する必要はなく、そのままくし型変性ポリアミン分散剤(C−1−1)の1成分として使用することも可能である。
本発明で使用する前記アミノ基と反応するその他の化合物とは、1分子中にアミノ基と反応する官能基を有する化合物であれば特に限定はなく、具体的にはポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、カルボキシル基を片末端に有するポリエステル、カルボキシル基を片末端に有するポリアミド、プロピオン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、イソノナン酸、アラキン酸などの脂肪族モノカルボン酸、安息香酸などの芳香族モノカルボン酸が挙げられる。
(マクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(C−1−2))
本発明におけるくし型ポリマー分散剤(C−1)を合成する際、主鎖を形成するモノマー由来の構造単位とともに、ビニルポリマー鎖(D)の末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーに由来する構造単位を共重合させたマクロモノマー(D−2)を導入した、マクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(C−1−2)が、導入されるビニルポリマー鎖(D)の鎖長や特性を制御し、炭素材料への吸着性に優れ、また、経時的な安定性に優れることから、好ましい。
グラフト型ポリマーにおいて側鎖構造の形成に有用な末端にエチレン性不飽和二重結合を有する重合性オリゴマーは、所定の分子量を有する化合物であることからマクロモノマーとも呼ばれる。
本発明において使用するマクロモノマー(D−2)は、ビニルポリマー鎖(D)部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ビニルポリマー鎖(D)の一方の末端にのみ有することが、所望のマクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(C−1−2)を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明において使用するマクロモノマー(D−2)において、ビニルポリマー鎖(D)の部分は、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体又は共重合体である。
これらのビニルポリマー鎖(D)はさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としてはハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
なお、ビニルポリマー鎖(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等におけるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3.2.1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。
前記マクロモノマー(D−2)は、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、該市販品としては、例えば、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
本発明におけるマクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(C−1−2)は、前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を有することが好ましく、前記マクロモノマー(D−2)が前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を有することが特に好ましい。
このため、マクロモノマー(D−2)合成の際に、炭素材料吸着性に優れた官能基(E)である塩基性窒素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する複素環基、酸性基を有するビニルモノマーを共重合させることが特に好ましい。
前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)としての酸性基として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基が好ましい例として挙げられ、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基がより好ましく、カルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基が特に好ましい。
合成に用いうる前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)としての酸性基を有するビニルモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸や無水フタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
前記塩基性窒素原子を官能基として有するビニルモノマーの具体例としては、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1、1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられる。
また、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1、1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
(星型ポリマー分散剤(C−2))
本発明における分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)において、原子あるいは原子団からなる核部分と、該核部分から3つ以上の複数のビニルポリマー鎖(D)が放射状に伸びた構造の分岐ポリマー構造を有するポリマーを、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する星型ポリマー分散剤(C−2)(以下単に「星型ポリマー分散剤(C−2)」と称する)とする。
星型ポリマー分散剤(C−2)の合成法は、上記星型ポリマー分散剤の定義に合致した構造のポリマーを合成できるものであれば手段を問わない。具体的には、原子あるいは原子団からなる核部分を合成した後、側鎖となるモノマーをそこから重合させて側鎖をつける方法で得られる重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)、先に側鎖ポリマーを構成しうるマクロモノマーを合成する方法で得られるマクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C-2-2)などが挙げられる。星型ポリマーの合成とそれを用いたポリマー合成に関しては、石津浩二編著「分岐ポリマーのナノテクノロジー」(アイピーシー)第1章に記載されている。
(原子あるいは原子団からなる核部分)
本発明における星型ポリマー分散剤(C−2)において、原子あるいは原子団からなる核部分は、低級アルキル分子であることが好ましい。ここで低級アルキル分子とはメタン、エタン、プロパン等を意味し、メタン、すなわち1つの炭素原子から3又は4方向にポリマー鎖が延びたもの、エタンすなわち隣接する2つの炭素原子から3〜6方向にポリマー鎖が延びたもの、プロパン、すなわち隣接する3つの炭素原子から3〜8方向にポリマー鎖が延びたものを例示できる。それぞれのポリマー鎖は、線状であっても、分岐を有していてもよい。また、該低級アルキル分子は各種官能基を含有していてもかまわない。
本発明における星型ポリマー分散剤(C−2)は、前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を有することが好ましく、とくに、核部分である前記低級アルキル分子に対し、前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を導入することが星型ポリマー分散剤(C−2)の、炭素表面への吸着性をより向上させることができるため好ましい。
核部分である前記低級アルキル分子に対し、前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を導入するには、前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)を少なくとも1種含む1価の有機基である吸着部位(以下、吸着部位(E1)と称する)を導入することが好ましい。
吸着部位(E1)における前記炭素材料吸着性に優れた官能基(E)としては、塩基性窒素原子を有する基、塩基性窒素原子を有する複素環基、酸性基、ヒドロキシル基がこのましい。
前記「複素環構造」としては、例えば、チオフェン、フラン、キサンテン、ピロール、ピロリン、ピロリジン、ジオキソラン、ピラゾール、ピラゾリン、ピラゾリジン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、オキサジアゾール、トリアゾール、チアジアゾール、ピラン、ピリジン、ピペリジン、ジオキサン、モルホリン、ピリダジン、ピリミジン、ピペラジン、トリアジン、トリチアン、イソインドリン、イソインドリノン、ベンズイミダゾロン、ベンゾチアゾール、コハクイミド、フタルイミド、ナフタルイミド、ヒダントイン、インドール、キノリン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、アントラキノンなどが挙げられる。
前記「酸性基」として、例えば、カルボン酸基、スルホン酸基、モノ硫酸エステル基、リン酸基、モノリン酸エステル基、ホウ酸基などが挙げられる。
前記塩基性窒素原子を有する基」として、例えば、アミノ基(−NH2)、置換イミノ基などが挙げられる。
(重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1))
重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)の合成において、核部分から側鎖となるモノマーを重合させて側鎖をつける方法は特に制限されないが、前記低級アルキル分子として、吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物を核部分として、ビニルモノマーをラジカル重合により側鎖であるビニルポリマー鎖(D)を形成する方法が好ましい。
前記吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物は、一分子中に4個以上のメルカプト基を有する化合物と、吸着部位(E1)を有しかつメルカプト基と反応可能な官能基を有する化合物、とを付加反応させる方法で合成することができる。
前記「一分子中に4個以上のメルカプト基を有する化合物」しては、3官能以上のものであれば特に限定されるものではないが、ペンタエリスリトールテトラキス(2−メルカプトアセテート、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールメタントリス(2−メルカプトアセテート)、トリメチロールメタントリス(3−メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等を例示できる。
前記吸着部位(E1)を有しかつメルカプト基と反応可能な官能基を有する化合物において、該「メルカプト基と反応可能な官能基」としては、酸ハライド、アルキルハライド、イソシアネート、炭素−炭素二重結合などが好適に挙げられる。「メルカプト基と反応可能な官能基」が炭素−炭素二重結合であり、付加反応がラジカル付加反応であることが特に好ましい。なお、炭素−炭素二重結合としては、メルカプト基との反応性の点で置換もしくは2置換のビニル基がより好ましい。
吸着部位(E1)を有しかつ炭素−炭素二重結合を有する化合物としては、特に制限されないが、以下のようなものが挙げられる。ビニルピロリジン、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルチアゾール、ビニルピリジン、ビニルピペリジン、ビニルフラン、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、ビニルスルホン酸、アクリルアミドスルホン酸、ビニルアミン、アリルアミン、ジメチルアミノエチルメタクリル酸エステル、ジエチルアミノエチルメタクリル酸エステル、ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどが挙げられる。
本発明における重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)において、前記吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物は、
前記「一分子中に4個以上のメルカプト基を有する化合物」と、前記「吸着部位を有しかつ炭素−炭素二重結合を有する化合物」とを適当な溶媒中に溶解し、ここにラジカル発生剤を添加して、約50℃〜100℃で、付加させる方法(チオール−エン反応法)を利用して得られる。前記吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物を合成する際には、前記「一分子中に4個以上のメルカプト基を有する化合物」と、前記「吸着部位を有しかつ炭素−炭素二重結合を有する化合物」は、前記吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物において、「吸着部位を有しかつ炭素−炭素二重結合を有する化合物」が未反応なメルカプト基が一分子中に3個以上あるように反応させる。
前記チオール−エン反応法で用いられる適当な溶媒の例としては、用いる前記「一分子中に4個以上のメルカプト基を有する化合物」、前記「吸着部位を有しかつ炭素−炭素二重結合を有する化合物」、および生成した前記「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」の溶解性に応じて任意に選択できる。
前記重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)において、側鎖であるビニルポリマー(D)を重合する際に、前記「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」を存在させることにより、該「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」は連鎖移動剤として働くことから、ビニルポリマー鎖(D)が「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」へ結合する。このとき、前記「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」は、ビニルポリマー(D)が反応しうる未反応のメルカプト基を3個以上含有する為、3つ以上のビニルポリマー鎖(D)が結合した、分岐状の星型ポリマー分散剤(C−2)を得ることができる。
前記重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)における「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」とビニルポリマー鎖(D)を構成する単量体のモル比は、単量体と「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」の合計量100モル%に対して「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」が1〜20モル%とすることが好ましく、2〜10モル%とすることがより好ましい。
前記重合型星形ポリマー分散剤(C-2-1)の製造は、ビニルポリマー鎖(D)を構成する単量体と、重合開始剤と、「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」の存在下で、塊状、懸濁、溶液重合により行なわれるが、一般に溶液重合法が好ましい。
該溶液重合に用いる溶剤としては、単量体、重合開始剤、「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」及び生成する星型ポリマー分散剤(C−2)のいずれをも溶解できる溶剤が好ましい。
(マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2))
また、星形ポリマー分散剤(C−2)として、ビニルポリマー鎖(C)をマクロモノマー(D−2)を用いて合成することで、マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)を得ることができる。マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)の合成方法としては、上記原子あるいは原子団からなる核部分に対し、直接マクロモノマー(D−2)を付加する方法で得ることもできるが、上記重合型星形ポリマー分散剤(C−2−1)の重合時に、ビニルポリマー鎖(D)を構成する単量体と同時にマクロモノマー(D−2)を共重合させて用いることでも、マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)を得ることができる。重合型星形ポリマー分散剤(C−2−1)の重合時に、ビニルポリマー鎖(D)を構成する単量体と同時にマクロモノマー(D−2)を共重合させて得られるマクロモノマー型星形ポリマー分散剤は、原子あるいは原子団からなる核部分を合成した後、側鎖となるモノマーをそこから重合させて側鎖をつける方法で得られる重合型ポリマー分散剤(C−2−1)よりも、側鎖を多くつけられるため、分岐度が高くなり炭素材料の分散安定性が向上し、成形樹脂添加時の粘度増加が抑制されるためより好ましい。
(マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)の合成)
マクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)に用いるマクロモノマー(D―2)は、ビニルポリマー鎖(D)部分とその末端のエチレン性不飽和二重結合を有する重合可能な官能基の部分からなる。このようなエチレン性不飽和二重結合を有する基は、ビニルポリマー鎖(D)の一方の末端にのみ有することが、所望のマクロモノマー型星形ポリマー分散剤(C−2−2)を得るという観点から好ましい。エチレン性不飽和二重結合を有する基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基が好ましく、特に(メタ)アクリロイル基が好ましい。
本発明において使用するマクロモノマー(D−2)において、ビニルポリマー鎖(D)の部分は、アルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジアルキル(メタ)アクリルアミド、スチレン、及び(メタ)アクリロニトリルからなる群より選ばれる少なくとも一種のモノマーから形成される単独重合体又は共重合体である。
これらのビニルポリマー鎖(D)はさらに置換基を有していてもよく、導入可能な置換基としてはハロゲン原子、アルケニル基、アリール基、水酸基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイル基等が挙げられる。
なお、ビニルポリマー鎖(D)を形成するアルキル(メタ)アクリレート、N−アルキル(メタ)アクリルアミド等におけるアルキル基の具体的な例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘプチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、2−クロロエチル基、2−ブロモエチル基、2−メトキシカルボニルエチル基、2−メトキシエチル基、2−ブロモプロピル基、2−ブテニル基、2−ペンテニル基、3−メチル−2−ペンテニル基、2−ヘキセニル基、4−メチル−2−ヘキセニル基、ベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基、ナフチルメチル基、2−ナフチルエチル基、クロロベンジル基、ブロモベンジル基、メチルベンジル基、エチルベンジル基、メトキシベンジル基、ジメチルベンジ
ル基、ジメトキシベンジル基、シクロヘキシル基、2−シクロヘキシルエチル基、2−シクロペンチルエチル基、ビシクロ〔3.2.1〕オクト−2−イル基、1−アダマンチル基、ジメチルアミノプロピル基、アセチルアミノエチル基、N,N−ジブチルアミノカルバモイルメチル基などが挙げられる。
前記マクロモノマー(D−2)は、市販品であってもよいし、適宜合成したものであってもよく、該市販品としては、例えば、片末端メタクリロイル化ポリスチレンオリゴマー(商品名:AS−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリメチルメタクリレートオリゴマー(商品名:AA−6、東亜合成化学工業(株)製)、片末端メタクリロイル化ポリ−n−ブチルアクリレートオリゴマー(商品名:AB−6、東亜合成化学工業(株)製)などが挙げられる。
(分子量)
星型ポリマー分散剤(C−2)の分子量の調節は、ビニルポリマー鎖(D)を構成する単量体量に対する重合開始剤量、「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」量の調節により行うことができる。重合開始剤量、「吸着部位(E1)を有するメルカプタン化合物」を多くすればそれだけ分子量が小さくなる。
(分岐型ポリマー分散剤(C)におけるその他の成分)
本発明の分岐型ポリマー分散剤(C)は、分岐型ポリマー分散剤(C)の製造時に用いた非反応性溶剤を含有していても良く、また製造時に用いた非反応性溶剤を留去した後に別の溶剤を新たに加えてもかまわない。
また、本発明の分岐型ポリマー分散剤(C)は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記分岐型ポリマー分散剤(C)以外の成分を若干含んでいても構わない。本発明において「主成分」とは、本発明で使用する分岐型ポリマーを本発明の効果が得られる範囲で含んでいればよいことを示す。他の成分としては、例えば、上記分岐型ポリマー分散剤(C)を製造時に生じる副生成物や、あるいは、非反応性熱可塑性樹脂等が挙げられる。
(成形用樹脂組成物)
本発明の成形用樹脂組成物は、前記熱可塑性樹脂(A)と、炭素材料(B)と分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)とを含有することを必須とするが、本発明の効果を損なわない範囲において、公知の添加剤を添加してもよい。例えば添加剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、無機フィラー等が挙げられる。
前記酸化防止剤の一例としては樹脂の加工時の熱劣化防止のためフェノール系、リン系、硫黄系、ラクトン系からなる酸化防止剤を単独または複合化して添加すればよく、屋外用途で耐候性が必要な場合は紫外線吸収剤や光安定剤としてベンゾフェノン系、サルシレート系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ヒンダートアミン系化合物を用いれば良い。
前記無機フィラーとしては炭酸カルシウム、タルク、沈降性硫酸バリウム、マイカ、カオリンクレー、ハイドロタルサイト、ケイソウ土、酸化マグネシウムや酸化アルミニウム等の金属酸化物等が挙げられる。これら添加剤は単独で使用しても2種類以上を併用してもよい。
また、本発明における成形用樹脂組成物には、着色剤を添加しても良い。着色剤の添加量は、着色剤の種類及び目的とする色調により異なるが、前記熱可塑性樹脂(A)100重量部に対して30重量部以下であることが好ましく、より好ましくは20重量部以下である。
用いる着色剤は、特に限定されず、目的とする意匠に合わせて、一般の熱可塑性樹脂の着色に使用される慣用の無機顔料、有機顔料および染料などが使用できる。例えば、酸化チタン、チタンイエロー、酸化鉄、複合酸化物系顔料、群青、コバルトブルー、酸化クロム、バナジウム酸ビスマス、カーボンブラック、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク等の無機顔料;アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、アンスラキノン系顔料、イソインドリノン系顔料、イソインドリン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キノフタロン系顔料、チオインジゴ系顔料及びジケトピロロピロール系顔料等の有機顔料;金属錯体顔料などが挙げられる。また染料としては主として油溶性染料のグループから選ばれる1種または2種を使用することが好ましい。
(配合方法)
本発明の成形用樹脂組成物は、公知の方法で配合することができる。例えば、熱可塑性樹脂で一般的に用いられるような混練機、例えば単軸ないしは2軸押出機やFCM、コニーダー等の連続式混練機やバンバリーミキサーやニーダー等のバッチ式混練機により熱可塑性樹脂(A)と、炭素材料(B)とを高分散させつつ分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)を添加し導電性組成物として製造することができる。また、炭素材料(B)と分岐型ポリマー分散剤(C)を高濃度に添加させることによりマスターバッチとして製造し、熱可塑性樹脂(A)と希釈し成形に供することも可能である。
(成形方法)
本発明の成形用樹脂組成物の成形方法は、熱可塑性樹脂で一般的に用いられる成形方法を採用することができる。具体的にはプレス成形、射出成形、フィルム、シート成形、ブロー成形、異形押出成形、紡糸等が挙げられる。また、シート成形されたシートを真空成形等で後加工することも何ら問題ない。
(用途 炭素材料としてカーボンブラック(B−1)を使用する場合)
本発明の成形用樹脂組成物を成形した成形体は、各種用途に使用することができる。例えば、炭素材料(B)としてカーボンブラック(B−1)を使用した成形用樹脂組成物は、前記分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)が特に前記成形用樹脂組成物の高温溶融時における流動性を改善する効果が高いために、射出成形、フィルム、シート成形などの高温溶融時の流動性を必要とする成形に特に有用に使用できる。このときのカーボンブラック(B−1)に対する前記分岐型ポリマー分散剤(C)の量は0.1〜50重量%の範囲が好ましく、流動性を維持することができる。このような配合において、カーボンブラック(B−1)は、熱可塑性樹脂(A)に対し0.01〜50重量%まで添加することができ、得られる成形体はカーボンブラック(B−1)が高濃度に充填されているため、カーボンブラック由来の効果を発揮でき、インパネ・バンパー・ドアトリム、ランプカバー、エンジン周り用チューブなどの自動車部材、コネクター、LEDランプカバー、きょう体などの電子部材、意匠フィルム、光遮蔽フィルム、太陽電池バックシートなどの薄膜フィルムをはじめ、種々の用途に利用可能である。
本発明のカーボンブラック含有樹脂組成物は、カーボンブラックの分散性が良好なことから、樹脂組成物中にカーボンブラックの凝集体がほとんど無く、また、流動性が良好なことから改こう性が良い為、射出成形時のほぐれ不良による黒すじがほとんど認められないため、成形用樹脂組成物として良好に利用可能である。
(用途 炭素材料として黒鉛(B−2)を使用する場合)
また、炭素材料(B)として黒鉛(B−2)を使用した成形用樹脂組成物は、前記分岐部を解してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)が特に前記成形用樹脂組成物の高温溶融時における分散性を改善する効果が高いために、高濃度で添加することが可能である。このときの黒鉛(B−2)量に対する分岐型ポリマー分散剤(C)の量は0.1〜50重量%の範囲が好ましい。このような配合において、黒鉛(B−2)は、熱可塑性樹脂(A)に対し0.1〜80重量%まで添加することができ、得られる成形体は黒鉛(B−2)が高濃度に充填されているため黒鉛由来の効果を発揮でき、パワーモジュール、モーター周り用部材、摺動部品などの自動車部材、きょう体、コネクター、ICトレイ、ウェハーケース、電磁波シールド材などの電子部材、放熱シートをはじめ種々の用途に利用可能である。
次に、本発明を、実施例及び比較例により具体的に説明をする。例中断りのない限り、「部」「%」は重量規準である。
合成例1 側鎖の合成
(合成例1−a)ビニルポリマー(1−a)の合成
メチルエチルケトン(以下MEKと称する)100部を、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながらメタクリル酸ブチル28部、メタクリル酸ラウリル66部、チオグリコール酸6部、および重合開始剤(「パーブチル(登録商標)O」〔有効成分ペルオキシ2−エチルヘキサン酸t−ブチル、日本油脂(株)製〕)0.2部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチル(登録商標)O」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためMEKを加え、不揮発分50%の、片末端にカルボキシル基を有するビニルポリマー(1−a)のMEK溶液を得た。該ビニルポリマー(1−a)の重量平均分子量は4000、酸価は36.0mgKOH/gであった。
(合成例1−b)ビニルポリマー(1−b)の合成(C18ビニルポリマー)
合成例1−aで配合したメタクリル酸ブチル28部、メタクリル酸ラウリル66部に代えてメタクリル酸ブチル19部、メタクリル酸ステアリル75部を用いる以外は合成例1−aと同様の操作を行い、ビニルポリマー(1−b)のMEK溶液を得た。得られたビニルポリマー(1−b)の重量平均分子量は4100、酸価は36.0mgKOH/gであった。
(合成例1−c)アクリルアミド型ビニルポリマー(1−c)の合成
合成例1−aで配合したメタクリル酸ブチル28部、メタクリル酸ラウリル66部に代えてジメチルアクリルアミド94部を用いる以外は合成例1−aと同様の操作を行い、アクリルアミド型ビニルポリマー(1−c)のMEK溶液を得た。得られたアクリルアミド型ビニルポリマー(1−c)の重量平均分子量は4500、酸価は36.0mgKOH/gであった。
マクロモノマー(D−2)の合成
(合成例1−d)マクロモノマー(1−d)の合成
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、MEK 100部を仕込み、窒素気流中80℃に保ち、合成例1−bで得たビニルポリマー(1−b)のMEK溶液200部にグリシジルメタクリレート10.2部およびテトラブチルアンモニウムブロマイド3.2部を仕込み、空気を吹き込みながら攪拌し70℃で6時間反応させて、ビニルポリマー含有マクロモノマー(1−d)のMEK溶液を得た。該マクロモノマー(1−d)の重量平均分子量は4200であった。
(合成例1−e)アクリルアミド型マクロモノマー(1−e)の合成
合成例1−dで配合したビニルポリマー(1−b)のMEK溶液200部に代えてアクリルアミド型ビニルポリマー(1−c)200部を用いる以外は合成例1−dと同様の操作を行い、アクリルアミド型ビニルポリマー含有マクロモノマー(1−e)のMEK溶液を得た。得られたマクロモノマー(1−e)の重量平均分子量は4600であった。
合成例2 吸着部位を有するメルカプタン化合物の合成
(合成例2)吸着部位を有するメルカプタン化合物の合成
ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)〔SC化学工業(株)製〕84部、及びN−ビニルイミダゾール 16部を、MEK100部に溶解させ、窒素気流下、60℃に加熱した。これに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)〔V−65、和光純薬工業(株)製〕0.2部を加えて5時間加熱した。室温まで冷却することで、吸着部位を有するメルカプタン化合物の50%溶液を得た。

合成例3 くし型ポリマー分散剤(C−1)の合成
(合成例3−a)ビニルポリマー(1−a)を用いたくし型変性ポリアミン分散剤(3−a)の合成
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、キシレン100部と合成例1−aで得たビニルポリマー186部とポリアリルアミン20%水溶液(日東紡績(株)製「PAA−05」、数平均分子量約5,000)35部からなる混合物を仕込み、窒素気流下撹拌しながら140℃で撹拌し、分離装置を使用してMEKと水を溜去すると共に、キシレンを反応溶液に返流しながら、8時間140℃で反応を行った。反応終了後、不揮発分調整のため適宜量のキシレンを添加し、不揮発分40%の、くし型変性ポリアミン分散剤(3−a)のキシレン溶液を得た。該くし型変性ポリアミン分散剤(3−a)の重量平均分子量は7,500、アミン価は33.5mg KOH/gであった。
(合成例3−b)ビニルポリマー(1−b)を用いたくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)の合成
合成例3−aで配合したビニルポリマー(1−a)に代えて合成例1−bで得たビニルポリマー(1−b)を用いる以外は合成例3−aと同様の操作を行い、不揮発分40%の、くし型変性ポリアミン分散剤(3−a)のキシレン溶液を合成した。該くし型変性ポリアミン分散剤(3−a)の重量平均分子量は8,000、アミン価は33.0mg KOH/gであった。
(合成例3−d)マクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(3−d)の合成
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、MEK20部を仕込み、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながら合成例1−dで得たマクロモノマー(1−d)の50%溶液160部、メタクリル酸10部、メタクリル酸メチル10部、および重合開始剤(「パーブチルO」)4.0部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチルO」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためMEKを加え、不揮発分50%の、マクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(3−d)のMEK溶液を得た。該マクロモノマー型グラフトポリマー分散剤(3−d)の重量平均分子量は25000であった。
合成例4 分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する星型ポリマー分散剤(C−2)の合成
(合成例4−a)星型ポリマー分散剤(4−a)の合成
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、MEK100部を仕込み、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながら合成例2で得た吸着部位を有するメルカプタン化合物の50%溶液12部、メタクリル酸ラウリル70部、メタクリル酸ブチル30部、および重合開始剤(「パーブチルO」)0.5部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチルO」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためMEKを加え、不揮発分50%の、星型ポリマー分散剤(4−a)のMEK溶液を得た。該星型ポリマー分散剤(4−a)の重量平均分子量は20000であった。
(合成例4−b)星型ポリマー分散剤(4−b)の合成
合成例4−aで配合したメタクリル酸ラウリル70部、メタクリル酸ブチル30部に代えてメタクリル酸ステアリル95部、メタクリル酸ブチル5部を用いる以外は合成例4−aと同様の操作を行い、星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液を得た。該星型ポリマー分散剤(4−b)の重量平均分子量は20000であった。
(合成例4−c)アクリルアミド型星型ポリマー分散剤(4−c)の合成
合成例4−aで配合したメタクリル酸ラウリル70部、メタクリル酸ブチル30部に代えてジメチルアクリルアミド100部を用いる以外は合成例4−aと同様の操作を行い、アクリルアミド型星型ポリマー分散剤(4−c)のMEK溶液を合成した。該アクリルアミド型星型ポリマー分散剤(4−c)の重量平均分子量は20000であった。
(合成例4−d)マクロモノマー(1−d)を用いたマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−d)の合成
撹拌機,還流冷却器,窒素吹込み管、温度計を備えたフラスコに、MEK50部を仕込み、窒素気流中80℃に保ち、攪拌しながら合成例2で得た吸着部位を有するメルカプタン化合物の50%溶液12部、合成例1−dで得たマクロモノマー(1−d)の50%溶液180部、メタクリル酸ステアリル7部、メタクリル酸ブチル3部、および重合開始剤(「パーブチルO」)0.5部からなる混合物を4時間かけて滴下した。滴下終了後、4時間ごとに「パーブチルO」0.5部を添加し、80℃で12時間攪拌した。反応終了後不揮発分調整のためMEKを加え、不揮発分50%の、マクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−d)のMEK溶液を得た。該マクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−d)の重量平均分子量は28000であった。
(合成例4−e)アクリルアミドマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−e)の合成
合成例4−dで配合したマクロモノマー(1−d)の50%溶液180部、メタクリル酸ステアリル7部、メタクリル酸ブチル3部に代えてアクリルアミド型マクロモノマー(1−e)の50%溶液180部、ジメチルアクリルアミド10部を用いる以外は合成例4−dと同様の操作を行い、アクリルアミドマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−e)のMEK溶液を合成した。該アクリルアミドマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−e)の重量平均分子量は20000であった。
カーボンブラック含有成形用樹脂組成物の作成と評価
[実施例1]
合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液を乾燥させ、星型ポリマー分散剤(4−b)の乾燥物を得た。
該星型ポリマー分散剤(4−b)の乾燥物を9重量%、ポリアミド6として、ディーエスエムジャパンエンジニアリングプラスチックス(株)製の「ノバミッド1010J」(粘度数118ml/g(ISO307規格に準拠して、温度25℃、96重量%の硫酸中、ポリアミド樹脂濃度0.5重量%で測定。)を61重量%、カーボンブラックとして、CABOT社製の「BP800」(粒子径17nm、比表面積210m2/g、吸油量68ml/100g)を30重量%、をヘンシェルミキサーで予備混合した後、株式会社テクノベル製の二軸押出機「KZW−25」(シリンダ径25mm、L/D=45)を用い、シリンダ(ダイス温度260℃、スクリュウ回転数200r.p.m、供給量8kg/h)で混練した。混練時に二軸押出機の電流値を測定し、スクリュウにかかる負荷を測定した。又、二軸押出機の先端に3mm径の穴が3本開いたダイを装着し、混練物のストランドを得た。得られたストランドを水冷した後、ペレタイザーに通しカットし、円柱状のペレットとした成形用樹脂組成物(F−1)を得た。
当該成形用樹脂組成物(F−1)1.7重量%、ポリアミド6「ノバミッド1010J」98.3重量%を混合し、東芝機械製の射出成型機「MS−55」を用い、シリンダ設定温度240℃、射出圧力5MPa、背圧1MPa 金型温度60℃の条件で成形し、試験片(F−1−s)を得た。
該試験片(F−1−s)を1mm角の大きさに削りとり、株式会社井元製作所製 50kNロードセル付 IMC−1819−A型加熱プレス機(設定温度260℃、圧力10kg/cm2、圧力保持時間1分)を用いフィルム(F−1−f)を成形した。
[評価項目]
評価項目は、以下の項目について行った。
〔押出の負荷〕
星型ポリマー分散剤(4−b)の乾燥物を9重量%、ポリアミド6「ノバミッド1010J」を61重量%、カーボンブラック「BP800」を30重量%、をヘンシェルミキサーで予備混合した後、株式会社テクノベル製の二軸押出機「KZW−25」(シリンダ径25mm、L/D=45)を用い、シリンダ(ダイス温度260℃、スクリュウ回転数200r.p.m、供給量8kg/h)で混練した際、二軸押出機の電流値を測定し、押出の負荷の指標とした。
[解こう性]
得られたフィルム(F−1−f)を株式会社ニコン製の光学顕微鏡OPTIPHOT−2にて倍率100倍で観察し、成形用樹脂組成物の解こう性を評価した。解れ不良(黒すじ)が認められるのが視野内の5%未満の面積の場合を○、視野内の5%〜10%の面積に(黒すじ)が認められる場合を△、視野内の10%以上の面積に解れ不良(黒すじ)が認められる場合を×とした。(流動性が悪い樹脂組成物は当射出条件において、カーボンブラックが樹脂中に完全に解こうせず、視野内に黒色スジ状の模様として観察される。)
[分散性]
得られたフィルム(F−1−f)を株式会社ニコン製の光学顕微鏡OPTIPHOT−2にて倍率100倍で観察し、視野内に認められるカーボンブラック凝集粒子の最大粒子径を測定し、カーボンブラック分散性を評価した。
カーボンブラック凝集体径が50μm以上のものが視野内に認められない場合を○、50μm〜100μmのカーボンブラック凝集体が認められるものを△、100μm以上のカーボンブラック凝集体が認められるものを×とした。
[粘度]
成形用樹脂組成物(F−1)をキャピラリーフローメーター(東洋精機製作所製)を用い、設定温度250℃、キャピラリー径1mm、キャピラリー長さ10mmの条件でせん断速度100mm/minにおける粘度(Pa・s)を測定した。
[実施例2]
実施例1で使用した、合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液の代わりに合成例4−aで得た星型ポリマー分散剤(4−a)のMEK溶液を用いること以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(F−2)、試験片(F−2−s)、フィルム(F−2−f)を得た。
[実施例3]
実施例1で使用した、合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液の代わりに合成例4−dで得たマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−d)のMEK溶液を用いること以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(F−3)、試験片(F−3−s)、フィルム(F−3−f)を得た。
[実施例4]
実施例1で使用した、合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液の代わりに合成例4−cで得たアクリルアミド型星型ポリマー分散剤(4−c)のMEK溶液を用いること以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(F−4)、試験片(F−4−s)、フィルム(F−4−f)を得た。
[実施例5]
実施例1で使用した、合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液の代わりに合成例3−bで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)のMEK溶液を用いること以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(F−5)、試験片(F−5−s)、フィルム(F−5−f)を得た。
[実施例6]
実施例1で使用した、合成例4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液の代わりに合成例4−eで得たアクリルアミドマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−e)のMEK溶液を用いること以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(F−6)、試験片(F−6−s)、フィルム(F−6−f)を得た。
[比較例1]
実施例1における成形用樹脂組成物(F−1)製造において、ポリアミド6 70重量%、カーボンブラック 30重量%とし、分散剤を含まない配合としたこと以外は同様の操作を行い、成形用樹脂組成物(H−1)、試験片(H−1−s)、フィルム(H−1−f)を得た。
黒鉛含有成形用樹脂組成物の作成と評価
〔実施例7〕
合成例3−bで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)のキシレン溶液0.6部及び黒鉛(昭和電工(株)製SCMG−AR)3.0部、トルエン16.4部を混合した後、ペイントコンディショナーで、直径1.25mmのジルコニアビーズを用いて2時間分散した。分散終了後、減圧脱溶剤により溶剤を留去し、黒鉛濃度91%のマスターバッチ(M−7)を得た。
得られたマスターバッチ(M−7)50.0部と、ポリアミド6(ノバミッド1010J)50.0部を混合した後、ラボプラストミルR−60((株)東洋精機製作所製)を用い設定温度250℃、ローター回転数100回転/分、混練時間5分の条件で混練し、黒鉛濃度45.5%の成形用樹脂組成物(F−7)を得た。
[評価項目]
評価項目は、以下の項目について行った。
〔熱伝導率〕
成形用樹脂組成物(F−7)を株式会社井元製作所製 50kNロードセル付 IMC−1819−A型加熱プレス機(設定温度300℃)で成型することにより2mm厚で直径5mmの円盤状に切削加工することにより、熱伝導率測定用試験片(F−7−s)を得た。
上記試験片(F−7−s)をレーザーフラッシュ法熱物性測定装置(京都電子工業製 LFA−502)を用いて熱伝導率を測定した。
該成形用樹脂組成物(F−7)の熱伝導率は2.0(W/m・K)であった。
〔実施例8〕
合成例3−bで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)のキシレン溶液を用いる代わりに、合成例3−aで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−a)のキシレン溶液を用いるほかは、実施例7と同様の操作を行い、マスタバッチ(M−8)、成形樹脂組成物(F−8)、試験片(F−8−s)を得た。該成形樹脂組成物(F−8)の熱伝導率は1.9(W/m・K)であった。
〔実施例9〕
合成例3−bで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)のキシレン溶液を用いる代わりに、4−bで得た星型ポリマー分散剤(4−b)のMEK溶液を用いるほかは、実施例7と同様の操作を行い、マスタバッチ(M−9)、成形樹脂組成物(F−9)、試験片(F−9−s)を得た。該成形樹脂組成物(F−9)の熱伝導率は2.2(W/m・K)であった。
〔実施例10〕
合成例3−bで得たくし型変性ポリアミン分散剤(3−b)のキシレン溶液を用いる代わりに、合成例4−dで得たマクロモノマー型星型ポリマー分散剤(4−d)のMEK溶液を用いるほかは、実施例7と同様の操作を行い、マスタバッチ(M−10)、成形樹脂組成物(F−10)、試験片(F−10−s)を得た。該成形樹脂組成物(F−10)の熱伝導率は2.3(W/m・K)であった。
〔比較例2〕
マスターバッチ(M−7)50.0部と、ナイロン6(1010J)50.0部を用いる代わりに黒鉛(SCMG−AR)45.5部とナイロン6(1010J)54.5部を用いること以外は、実施例7と同様の操作を行い、成形樹脂組成物(H−2)、試験片(H−2−s)を得た。成形樹脂組成物(H−2)の熱伝導率は1.3(W/m・K)であった。
実施例及び比較例の結果を表1〜表2に示す。
Figure 2012149242
Figure 2012149242
表1で示すように、カーボンブラック配合系においては解こう性、分散性、及び流動性に明確な差有が認められた。また、表2で示すように黒鉛配合系については熱伝導率に明確な差有が認められた。
熱可塑性樹脂(A)と炭素材料(B)を含有する成形用樹脂組成物において、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)を用いることで、炭素材料が良好に分散され導電性や熱伝導性を高めることができ、かつ分散性に優れる成形用樹脂組成物を提供することが可能となる。

Claims (8)

  1. 熱可塑性樹脂(A)と、炭素材料(B)と、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)とを含有することを特徴とする成形用樹脂組成物。
  2. 前記分岐型ポリマー分散剤(C)が、くし型ポリマー分散剤(C−1)である請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
  3. 前記分岐型ポリマー分散剤(C)が、星型ポリマー分散剤(C−2)である請求項1に記載の成形用樹脂組成物。
  4. 前記炭素材料(B)がカーボンブラック(B−1)である請求項1〜3のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
  5. 前記炭素材料(B)が黒鉛(B−2)である請求項1〜3のいずれかに記載の成形用樹脂組成物。
  6. 請求項4に記載の成形用樹脂組成物を使用することを特徴とする電子部材。
  7. 請求項5に記載の成形用樹脂組成物を使用することを特徴とする放熱材料。
  8. 熱可塑性樹脂(A)と炭素材料(B)とを含む樹脂組成物の流動性を改善する方法であって、分岐部を介してビニルポリマー鎖を有する分岐型ポリマー分散剤(C)を炭素材料(B)に対し0.1〜50重量%添加することを特徴とする、流動性を改善する方法。
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JP2020520293A (ja) * 2017-05-18 2020-07-09 イクスサン 容量感知クライミングホールド、関連する製造方法および壁
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