JP2012149014A - 炭素固体酸触媒を用いたエステル体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 エステル化固体酸触媒の存在下に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及び少なくとも一つの水酸基を有する化合物と少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物とを開環反応させて得られるエーテル基を有するアルコールからなる群から選ばれるアルコール類とカルボン酸を反応させてエステル体を製造する方法において、エステル化固体酸触媒が、スルホン基が導入された無定形炭素であることを特徴とするエステル体の製造方法を提供する。
【選択図】 なし
Description
また、特許文献2には、上記固体酸が、イオン交換膜、膜電極接合体、燃料電池として利用が可能であることが記載されている。
そこで、本発明では、スルホン基が導入された無定形炭素である固体酸触媒を用いた、多価アルコールと(メタ)アクリル酸等のカルボン酸とから、エステル体を高収率で得る方法を提供することを課題とする。
特に生成物が水溶性のエステル体の製造において、有用である。
1.エステル化固体酸触媒の存在下に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及び少なくとも一つの水酸基を有する化合物と少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物とを開環反応させて得られるエーテル基を有するアルコールからなる群から選ばれるアルコール類とカルボン酸を反応させてエステル体を製造する方法において、
エステル化固体酸触媒が、スルホン基が導入された無定形炭素であることを特徴とするエステル体の製造方法、
2.少なくとも一つの水酸基を有する化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はヒドロキシアルキルオキセタンである1に記載のエステル体の製造方法、
3.スルホン基が導入された無定形炭素が、芳香族炭化水素類、糖類、又は糖類を含有する天然素材を炭化処理後、スルホン化剤で処理して得られるものである1又は2に記載のエステル体の製造方法、
4.スルホン化剤が、濃硫酸、発煙硫酸、二硫酸、又はクロロスルホン酸である3に記載のエステル体の製造方法、
5.芳香族炭化水素類が、フェノール樹脂、ポリスチレン、重油、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン又はコロネンである3又は4に記載のエステル体の製造方法、
6.糖類が、D−グルコース、又はセルロースである3又は4に記載のエステル体の製造方法、
7.糖類を含有する天然素材が、木屑、ヤシガラ、又はパルプである3又は4に記載のエステル体の製造方法、
8.カルボン酸が、(メタ)アクリル酸である1〜7の何れかに記載のエステル体の製造方法、
を提供するものである。
スルホン酸基導入無定形炭素は、酸触媒能を有するものであれば特に限定されず、例えば、国際公開第2005/029508号に記載されているスルホン酸基導入無定形炭素や特許文献2に記載されている固体酸などを使用することができる。なお、本発明における「スルホン基が導入された無定形炭素」とは、スルホン酸基を有する炭素であって、結晶構造を持たない、又は不完全な結晶構造しか持っていない炭素をいう。
Gバンドは、炭素六員環のE2g modeの振動であり、そのピークトップは1580cm−1〜±5cm−1に現れる。両者のピークの和からなるラマンスペクトルをガウシアン、あるいはガウシアン−ローレンツイアンで2つにピーク分割し、得られたDバンド、Gバンドの積分強度をそれぞれの積分強度とした。
さらには、多分岐ポリエーテルポリオールとして、ヒドロキシアルキルオキセタンと1官能性エポキシ化合物とを開環反応させて得られるアルコールを挙げることができる。
で表されるヒドロキシアルキルオキセタンと、下記一般式(2)
また、ER1、EE1、及びEE2は、前記1官能性エポキシ化合物に起因する構造単位であって、ER1は繰り返し単位を表し、EE1及びEE2は末端構造単位を表す。
使用できる有機溶媒としては、(メタ)アクリレートとの反応に影響を与えるものでなければ、特に制限はないが、好ましくは、炭化水素系有機溶媒、芳香族系有機溶媒、エーテル系有機溶剤を挙げることができる。更に、具体的には炭化水素系有機溶媒としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等を挙げることができ、芳香族系有機溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンを挙げることができ、エーテル系有機溶剤としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチールエーテル等を挙げることができる。
そこで、本発明では、水洗・分液操作を行わずに、ろ過等の公知慣用の簡便な方法でエステル化触媒を除き、再回収することができ、更に固体酸触媒は再利用が可能である。
リフラックスコンデンサー、マグネット式攪拌棒、温度計を具備した2リットル三口フラスコ中で、3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン348g(3mol)と、プロピレンオキサイド348g(6mol)とを、乾燥かつ過酸化物フリーの1リットルのジエチルエーテルに溶解し、次いで、このフラスコを−14℃のアイスバスで冷却した。
次いで、HPF65.5gの60質量%水溶液を10分で滴下した。反応混合物は僅かに白濁した。次いで、室温で一晩反応させ、翌朝、透明な反応混合物を3時間還流した。次いで、前記開始剤は、NaOMe9gの30質量%メタノール溶液を加えて失活させた。濾過した後、メンブレンポンプ吸引機でバス温度75℃でジエチルエーテルを除去した。ジエチルエーテルを完全に除去した後、多分岐ポリエーテルポリオール667gを得た。収率89%であった。
この多分岐ポリエーテルポリオールは、Mn=1,440g/mol、Mw=3,350g/mol、OHV=265mg・KOH/gであり、プロトンNMRから、mol基準で3−ヒドロキシメチル−3−エチルオキセタン:プロピレンオキサイド=1:1.9であることが判明した。また、全水酸基数に対する2級水酸基(H2)の割合は、39.0%であった。
セルロースの粉末15gを、300mlの三口フラスコに入れ、窒素流通下に450℃、5hr加熱処理して約5gの炭化物を得た。この黒色粉末状の炭化物3.0gに濃硫酸75mlと発煙硫酸75mlを加え、窒素雰囲気下で80℃、10hr加熱処理してスルホン化を行った。スルホン化後、内温を30〜40℃に保ちながら、純水150mlを徐々に滴下し、円筒濾紙により濾過を行った。次にデカンターをセットし、純水200ml添加、100℃にて1hr洗浄、濾過の洗浄操作を、洗浄液中に硫酸が検出されなくなるまで繰り返し行い、湿潤状態の炭素固体酸を得た。
100℃で一晩乾燥させた水酸化ジルコニウム(Zr(OH)4、日本軽金属工業製)50gを、純水にモリブデン酸アンモニウム[(NH4)6Mo7O24・4H2O(キシダ化学製)]を必要量溶かした水溶液(0.04mol・dm−3)を用い、水酸化ジルコニウムの細孔容積分の前記モリブデン酸アンモニウム水溶液を少しずつ加えてジルコニウム担体表面が均一に濡れた状態にして焼成前の前駆体を得た(インシピエント・ウェットネス法)。三酸化モリブデン(MoO3)の担持量が、質量比でMo/Zr=0.1となるように溶液濃度で調節した。反応前処理として酸素雰囲気下で焼成温度1073Kで3時間焼成を行った。自然放置冷却し、常温にして、MoO3/ZrO2を得た。
300mLの四ツ口フラスコに、前記製造例で得られた多分岐ポリエーテルポリオール60.0g、アクリル酸16.0g、パラメトキシフェノール0.15g、シクロヘキサン42.0g及びトルエン18.0gを仕込み、触媒として製造例2で調製した炭素固体酸触媒を6.0g添加した。反応器に温度計、水冷冷却器付きデカンターをセットし、乾燥空気を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、撹拌速度200rpmで、120℃のオイルバス中、樹脂温度を90〜95℃に維持して、シクロヘキサン、トルエン、縮合水を共沸させながら反応を行った。反応開始から27時間後に縮合水を秤量し、転化率の計算を行った。結果、転化率は60%であった。反応終了後、触媒を1ミクロンの濾紙を用いて取り除いた。
300mLの四ツ口フラスコに、ペンタエリスリトール‐EO4mol付加物36.4g、アクリル酸39.6g、パラメトキシフェノール0.15g、シクロヘキサン42.0g及びトルエン18.0gを仕込み、触媒として製造例2で調製した炭素固体酸触媒を6.0g添加した。反応器に温度計、水冷冷却器付きデカンターをセットし、乾燥空気を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、撹拌速度200rpmで、120℃のオイルバス中、樹脂温度を90〜95℃に維持して、シクロヘキサン、トルエン、縮合水を共沸させながら反応を行った。反応開始から30時間後に縮合水を秤量し、転化率の計算を行った。結果、転化率は95%であった。反応終了後、触媒を1ミクロンの濾紙を用いて取り除いた。
300mLの四ツ口フラスコに1,4−ブタンジオール61.7gとアジピン酸88.3gを仕込み、触媒として製造例2で調製した炭素固体酸触媒を1.5g添加した。撹拌速度200rpm、−88KPaの減圧下、反応温度110〜120℃の条件下に窒素を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、縮合水を系内から除去しながら反応を行った。反応開始から300時間後に酸価を滴定により測定し、転化率の計算を行った。結果、転化率は99%であった。
300mLの四ツ口フラスコに、前記製造例で得られた多分岐ポリエーテルポリオール60.0g、アクリル酸16.0g、パラメトキシフェノール0.15g、シクロヘキサン42.0g及びトルエン18.0gを仕込み、触媒としてDIAION PK212H(三菱化学社製)を6.0g添加した。反応器に温度計、水冷冷却器付きデカンターをセットし、乾燥空気を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、撹拌速度200rpmで、120℃のオイルバス中、樹脂温度を90〜95℃に維持して、シクロヘキサン、トルエン、縮合水を共沸させながら反応を行った。反応開始から30時間後に縮合水を秤量し、転化率の計算を行った。結果、転化率は8%であった。
一般的な強酸性イオン交換樹脂では、反応の進行が非常に遅いことがわかった。
300mLの四ツ口フラスコに、前記製造例で得られた多分岐ポリエーテルポリオール60.0g、アクリル酸16.0g、パラメトキシフェノール0.15g、シクロヘキサン42.0g及びトルエン18.0gを仕込み、触媒として前記製造例で調製したMoO3/ZrO2を6.0g添加した。反応器に温度計、水冷冷却器付きデカンターをセットし、乾燥空気を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、撹拌速度200rpmで、120℃のオイルバス中、樹脂温度を90〜95℃に維持して、シクロヘキサン、トルエン、縮合水を共沸させながら反応を行った。反応開始から30時間後に縮合水を秤量し、転化率の計算を行った。結果、転化率は16%であった。反応温度90〜95℃では、反応の進行が非常に遅いことがわかった。
300mLの四ツ口フラスコに、前記製造例で得られた多分岐ポリエーテルポリオール60.0g、アクリル酸16.0g、パラメトキシフェノール0.15g、シクロヘキサン42.0g及びトルエン18.0gを仕込み、触媒としてパラトルエンスルホン酸を6.0g添加した。反応器に温度計、水冷冷却器付きデカンターをセットし、乾燥空気を樹脂内から10mL/minの速度でバブリングを行い、撹拌速度200rpmで、120℃のオイルバス中、樹脂温度を90℃〜95℃に維持して、シクロヘキサン、トルエン、縮合水を共沸させながら反応を行った。反応開始から100時間後に縮合水を秤量し、転化率の計算を行った。結果、転化率は48%であった。触媒を分離すべく、水酸化ナトリウム水溶液を添加したところ、生成物であるエステル体が乳化し、触媒の塩と生成物を分液できず、目的物が得られなかった。
Claims (8)
- エステル化固体酸触媒の存在下に、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及び少なくとも一つの水酸基を有する化合物と少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物とを開環反応させて得られるエーテル基を有するアルコールからなる群から選ばれるアルコール類とカルボン酸を反応させてエステル体を製造する方法において、
エステル化固体酸触媒が、スルホン基が導入された無定形炭素であることを特徴とするエステル体の製造方法。 - 少なくとも一つの水酸基を有する化合物が、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、又はヒドロキシアルキルオキセタンである請求項1に記載のエステル体の製造方法。
- スルホン基が導入された無定形炭素が、芳香族炭化水素類、糖類、又は糖類を含有する天然素材を炭化処理後、スルホン化剤で処理して得られるものである請求項1又は2に記載のエステル体の製造方法。
- スルホン化剤が、濃硫酸、発煙硫酸、二硫酸、又はクロロスルホン酸である請求項3に記載のエステル体の製造方法。
- 芳香族炭化水素類が、フェノール樹脂、ポリスチレン、重油、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ペリレン又はコロネンである請求項3又は4に記載のエステル体の製造方法。
- 糖類が、D−グルコース、又はセルロースである請求項3又は4に記載のエステル体の製造方法。
- 糖類を含有する天然素材が、木屑、ヤシガラ、又はパルプである請求項3又は4に記載のエステル体の製造方法。
- カルボン酸が、(メタ)アクリル酸である請求項1〜7の何れかに記載のエステル体の製造方法。
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