JP2012148997A - チオシアン酸グアニジン成形剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】固結防止剤を使用することなく、長期間保管したとしても、固結を十分に防止できる、チオシアン酸グアニジン成形剤を提供すること。
【解決手段】チオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる、チオシアン酸グアニジンの成形体の比表面積を、10cm2/g〜30cm2/gの範囲に制御する。
【選択図】なし
【解決手段】チオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる、チオシアン酸グアニジンの成形体の比表面積を、10cm2/g〜30cm2/gの範囲に制御する。
【選択図】なし
Description
本発明は、固結を十分に防止できる、チオシアン酸グアニジン成形剤に関するものである。
チオシアン酸グアニジンは、一般的に、炭酸グアニジンの粉末とチオシアン酸アンモニウムの粉末とを水溶液に溶かし、脱炭酸、脱アンモニア反応させた後、結晶析出、遠心ろ過、乾燥の工程を経て、製造されている。
このようにして製造されるチオシアン酸グアニジンは、生化学の分野にて、タンパク質可溶化剤、タンパク質の分離・精製用薬剤として広く使用されている。そして、これらのチオシアン酸グアニジンは、粉末(又は結晶粒子)の状態で袋詰めされ、保管、搬送、販売し、使用されている。
このようにして製造されるチオシアン酸グアニジンは、生化学の分野にて、タンパク質可溶化剤、タンパク質の分離・精製用薬剤として広く使用されている。そして、これらのチオシアン酸グアニジンは、粉末(又は結晶粒子)の状態で袋詰めされ、保管、搬送、販売し、使用されている。
しかし、チオシアン酸グアニジンの粉末を市販の荷袋に包装し、パレットにその荷袋を複数段積んだ状態で保管すると、数日後には凝集し始め、大きな塊と化してしまう。そして、塊状化(固結)すると取り扱い性が悪化するだけでなく、塊状化した物を溶媒に溶かして使用する際には、溶媒に溶解しにくくなってしまう。そのため、これを使用する直前に、塊状化した部分を木槌等で物理的に砕く必要があり、作業効率の低下が大きな問題となっていた。
このようなチオシアン酸グアニジンの粉末の固結を防止するために、乾燥により粉末に含有する水分量を下げることで、固結を防止することが行われていたが、問題解決には至らなかった。
このようなチオシアン酸グアニジンの粉末の固結を防止するために、乾燥により粉末に含有する水分量を下げることで、固結を防止することが行われていたが、問題解決には至らなかった。
また、チオシアン酸グアニジンの粉末の固結防止方法ではないものの、化学品の粉末の固結防止のために固結防止剤を別途添加する方法は、一般的に知られている。(例えば、特許文献1参照。)
しかし、固結防止剤を添加する方法は、固結防止剤のコストや添加工程が必要になるばかりでなく、生化学の分野で使用されるチオシアン酸グアニジンにとっては、固結防止剤が不純物となるため、望ましくない。
そこで、本発明は、固結防止剤を使用することなく、長期間保管した場合でも、固結を十分に防止できる、チオシアン酸グアニジン成形剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討を重ねた結果、チオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる成形体の比表面積を制御することにより、固結防止の効果を得られることを見出して本発明に到達した。
すなわち、本発明は、比表面積が10cm2/g〜30cm2/gである成形体を有することを特徴とするチオシアン酸グアニジン成形剤である。
すなわち、本発明は、比表面積が10cm2/g〜30cm2/gである成形体を有することを特徴とするチオシアン酸グアニジン成形剤である。
また、チオシアン酸グアニジン成形剤において、前記成形体を、全体の60重量%以上有することが好ましい。
本発明のチオシアン酸グアニジン成形剤は、それに含まれる成形体の比表面積を10cm2/g〜30cm2/gという範囲にすることにより、成形体同士の接触面積が小さくなる。そのため、成形体同士の固結、ひいてはチオシアン酸グアニジン成形剤の固結を防止できる。さらに、比表面積の値を所定範囲にすることで、取り扱い性の良いチオシアン酸グアニジン成形剤を得ることができる。
比表面積が10cm2/g未満の場合、かかる成形体の機械的強度が高くなるため、取り扱い性が悪くなる。
具体的には、チオシアン酸グアニジン成形剤を溶媒に溶かして使用する際、かかる成形体がほぐれにくく、溶媒に溶けにくくなってしまう。そのため、成形体を比較的強い力で粉砕する必要があり、作業効率がかえって悪化してしまう。
比表面積が30cm2/gを超える場合、成形体同士の接触面積が大きくなるため、固結を防止できない。
具体的には、チオシアン酸グアニジン成形剤を溶媒に溶かして使用する際、かかる成形体がほぐれにくく、溶媒に溶けにくくなってしまう。そのため、成形体を比較的強い力で粉砕する必要があり、作業効率がかえって悪化してしまう。
比表面積が30cm2/gを超える場合、成形体同士の接触面積が大きくなるため、固結を防止できない。
また、前記成形体を、チオシアン酸グアニジン成形剤全体の60重量%以上有することが好ましい。
前記成形体以外にチオシアン酸グアニジンの粉末が混合された場合に、粉末同士が固結したり、粉末が介在することにより成形体同士が固結したりする虞がある。そういった場合においても、前記成形体を全体の60重量%以上とすることで、成形体が骨格の役割をし、混合された粉末が圧縮されにくくなるため、チオシアン酸グアニジン成形剤(成形体と粉末の混合物)の固結を効率よく防止できる。
前記成形体以外にチオシアン酸グアニジンの粉末が混合された場合に、粉末同士が固結したり、粉末が介在することにより成形体同士が固結したりする虞がある。そういった場合においても、前記成形体を全体の60重量%以上とすることで、成形体が骨格の役割をし、混合された粉末が圧縮されにくくなるため、チオシアン酸グアニジン成形剤(成形体と粉末の混合物)の固結を効率よく防止できる。
本発明において成形体とは、粉末を成形してより大きな成形物にしたものをいう。具体的には、粉末状のチオシアン酸グアニジンを成形して、その成形物の最短径が、1mm以上のものを成形体という。1mm以上としたのは、成形体の最短径が1mm未満では、成形体同士の接触面積が大きくなり、粉末の場合と同様に固結する可能性があるため、1mm以上と定義する。すなわち、最短径が1mm以上の成形体とは、目開き(1mm)のメッシュ等を用いて、それ以下の未成形粒子と篩分けることができるものである。
また、成形体の最短径の上限としては、好ましくは、取り扱い性の良さ、保管時の容量、溶媒への溶解性等を考慮して30mm以下とする。
チオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる成形体の形状は、球状、四角柱状、シート状、破砕状等のいずれであってもよい。
また、本発明にかかるチオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる成形体の比表面積は、以下のようにして、測定する。
チオシアン酸グアニジン成形剤を、目開き1mmのメッシュを用いて篩分けし、成形体を取り出す。そして、その成形体を不活性気体(窒素)の低湿物理吸着によるBET法により測定する。
チオシアン酸グアニジン成形剤を、目開き1mmのメッシュを用いて篩分けし、成形体を取り出す。そして、その成形体を不活性気体(窒素)の低湿物理吸着によるBET法により測定する。
また、チオシアン酸グアニジンの成形体の比表面積を、10cm2/g〜30cm2/gの範囲に制御すると、成形体の嵩比重(嵩密度)が0.30g/ml〜0.70g/mlの範囲に収まりやすい。成形体の嵩比重(嵩密度)が、上記範囲内に制御されると、固結防止の効果をより一層得ることができる。
本発明で対象となるチオシアン酸グアニジン成形剤に含まれる成形体は、以下のようにして製造することができる。
チオシアン酸グアニジンの成形体は、粉末をロール圧縮成形機で圧縮成形した後、適度な大きさに破砕して、フレーク状の成形体を得ることができる。
また、チオシアン酸グアニジンの成形体の比表面積を、10cm2/g〜30cm2/gとするために、ロールの圧縮圧と処理時間を適宜設定する。
尚、チオシアン酸グアニジンの成形体は、他の圧縮機(圧縮方法)を用いても、製造することができる。
チオシアン酸グアニジンの成形体は、粉末をロール圧縮成形機で圧縮成形した後、適度な大きさに破砕して、フレーク状の成形体を得ることができる。
また、チオシアン酸グアニジンの成形体の比表面積を、10cm2/g〜30cm2/gとするために、ロールの圧縮圧と処理時間を適宜設定する。
尚、チオシアン酸グアニジンの成形体は、他の圧縮機(圧縮方法)を用いても、製造することができる。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
チオシアン酸グアニジンの粉末(三和ケミカル製、平均粒子径250μm、原料温度15.4℃)を、ロール圧縮成形機の供給ホッパーに、20kg投入した。そして、ホッパー内にある水平軸スクレーパーで、粉末を回転数15rpmで15分撹拌させた後、所定の流量でスクリューに送り込んだ。送り込まれた粉末は、30rpmにて回転するスクリューにて、原料供給箱に随時押し込まれ、その粉末を、横溝と綾目溝とを有する一対のロールにて、ロール圧2.0〜2.3ton/cm、処理時間5分で圧縮成形することにより、厚さ1mmのシートを6.39kg得た。 その後、このシートを破砕して、適当な大きさを有するフレーク状の成形体を得た。
そして、このフレーク状の成形体の比表面積を、比表面積測定装置を用いて測定したところ、16.1cm2/gであった。
チオシアン酸グアニジンの粉末(三和ケミカル製、平均粒子径250μm、原料温度15.4℃)を、ロール圧縮成形機の供給ホッパーに、20kg投入した。そして、ホッパー内にある水平軸スクレーパーで、粉末を回転数15rpmで15分撹拌させた後、所定の流量でスクリューに送り込んだ。送り込まれた粉末は、30rpmにて回転するスクリューにて、原料供給箱に随時押し込まれ、その粉末を、横溝と綾目溝とを有する一対のロールにて、ロール圧2.0〜2.3ton/cm、処理時間5分で圧縮成形することにより、厚さ1mmのシートを6.39kg得た。 その後、このシートを破砕して、適当な大きさを有するフレーク状の成形体を得た。
そして、このフレーク状の成形体の比表面積を、比表面積測定装置を用いて測定したところ、16.1cm2/gであった。
チオシアン酸グアニジンの成形体の固結防止性を評価するために、実施例で得られた比表面積16.1cm2/gのフレーク状のチオシアン酸グアニジンの成形体と、比較例としてチオシアン酸グアニジンの粉末(平均粒子径250μm、比表面積320cm2/g)とを、固結試験を行った。以下に固結試験について説明する。
尚、この固結試験は、チオシアン酸グアニジン成形剤の保管状態である、「成形剤を充填した荷袋を、複数段積んだ状態で保管する」状態を簡易的に再現するために、本発明者が考案した試験方法である。
チオシアン酸グアニジンの試料100gを、内径40mmの塩化ビニルパイプに投入後、SUS製の円柱(重し)をそのパイプに挿入し、試料に0.80g/mm2の荷重をかけた。その状態にて、室温で1ヶ月放置した。放置後、塩化ビニルパイプから試料片(円柱状の成形物)を取り出し、試料片の機械的強度を、硬度計(株式会社藤原製作所製 果実硬度計KM−5型(針頭半球型))にて測定した。その測定結果を表1に示す。
尚、この固結試験は、チオシアン酸グアニジン成形剤の保管状態である、「成形剤を充填した荷袋を、複数段積んだ状態で保管する」状態を簡易的に再現するために、本発明者が考案した試験方法である。
チオシアン酸グアニジンの試料100gを、内径40mmの塩化ビニルパイプに投入後、SUS製の円柱(重し)をそのパイプに挿入し、試料に0.80g/mm2の荷重をかけた。その状態にて、室温で1ヶ月放置した。放置後、塩化ビニルパイプから試料片(円柱状の成形物)を取り出し、試料片の機械的強度を、硬度計(株式会社藤原製作所製 果実硬度計KM−5型(針頭半球型))にて測定した。その測定結果を表1に示す。
尚、上記固結試験において、機械的強度が3kgを超える場合を固結しているものとみなす。また、機械的強度が0〜3kgの場合、容易に試験片がほぐれるため、チオシアン酸グアニジン成形剤の取り扱い性が悪化しない。従って、固結していないものとみなす。
表1より、比較例では機械的強度3.84kgの試験片が形成されているのに対して、実施例では機械的強度1.16kgの試験片が形成されていることが分かる。すなわち、比較例では固結しているのに対し、実施例では固結していない。
従って、本実施例のチオシアン酸グアニジンの成形体は、固結を長期間に亘って、防止できる。
表1より、比較例では機械的強度3.84kgの試験片が形成されているのに対して、実施例では機械的強度1.16kgの試験片が形成されていることが分かる。すなわち、比較例では固結しているのに対し、実施例では固結していない。
従って、本実施例のチオシアン酸グアニジンの成形体は、固結を長期間に亘って、防止できる。
また、上述の実施例のチオシアン酸グアニジンの成形体と、比較例の粉末を適宜混合して、上述の固結試験を行った。表2に、固結試験の結果を示す。
表2より、試料No.1〜4は、固結していないのに対して(機械的強度3kg以下であるのに対して)、試料No.5は固結する(機械的強度3kgを超えている)ことが分かる。このように、実施例の成形体を全体の60重量%以上含有させることで、チオシアン酸グアニジン成形剤(成形体と粉末の混合物)の固結を防止できることが確認された。
本発明により、固結防止剤を添加なしに、長期間に亘って、チオシアン酸グアニジン成形剤の固結を防止できる。
Claims (2)
- 比表面積が10cm2/g〜30cm2/gである成形体を有することを特徴とするチオシアン酸グアニジン成形剤。
- 前記成形体を、全体の60重量%以上有することを特徴とする請求項1に記載のチオシアン酸グアニジン成形剤。
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---|---|---|---|
JP2011007828A JP2012148997A (ja) | 2011-01-18 | 2011-01-18 | チオシアン酸グアニジン成形剤 |
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