JP2013245147A - 造粒硫酸アンモニウムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】固結および粉化を抑制することができる造粒硫酸アンモニウムの製造方法を提供する。
【解決手段】粒状硫酸アンモニウム(硫安C)を造粒するに当たり、前記粒状硫酸アンモニウムの一部に固結防止剤を添加してから(硫安A)、残りの粒状硫酸アンモニウム(硫安B)と混合し、その後圧縮造粒することを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】粒状硫酸アンモニウム(硫安C)を造粒するに当たり、前記粒状硫酸アンモニウムの一部に固結防止剤を添加してから(硫安A)、残りの粒状硫酸アンモニウム(硫安B)と混合し、その後圧縮造粒することを特徴とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、造粒硫酸アンモニウムの製造方法に関し、特に、固結および粉化を抑制することができる造粒硫酸アンモニウムの製造方法に関するものである。
従来、石炭を乾留するコークス炉から発生するコークス炉ガス(以下、「Cガス」と称する)を硫酸含有液と接触させて得られる硫酸アンモニウム(以下、「硫安」とも称する)は、農業における窒素肥料として利用されている。この硫安には、粉末状のものと粒状のものがあるが、農業の機械化に伴って航空機や専用の機械によって硫安を散布することが一般的になっており、取り扱いの利便性から、粒径が2〜4mm程度に揃った粒状硫安が求められている。しかし、この粒径範囲に粒度の揃った硫安は、需要が供給量を上回ることが多く、粒径2〜4mm程度の粒状硫安を効率的に製造することが求められている。
この粒状硫安は、晶析法により、製鉄におけるコークス炉ガスと硫酸含有液とを接触させて得られる硫安母液や、カプロラクタムの製造において複製するオキシム硫安液または転位硫安液から製造するのが一般的である(例えば、特許文献1参照)。しかし、晶析法による粒状硫安の製造では、硫安液の濃縮に多大なエネルギーを要するばかりでなく、生成する結晶を規定粒径以上に保ち、安定して連続製造することが困難である。また、規定粒径以下の細粒状や粉状の硫安の副生を免れず、効率的な製造を必ずしも行えていないのが現状である。
そこで、この晶析法に代わる方法として、粒径2〜4mmの粒度の揃った粒状硫安と同等の粒径を有する硫安を製造する、圧縮造粒法が提案されている(例えば、特許文献2および3参照)。この圧縮造粒法は、一対の回転ロールにより粉末硫安をシート状に加圧成形し、これを破砕して分級することにより、目的とする粒径を有する硫安を製造する方法であり、粒径2〜4mmの粒度の揃った粒状硫安と同等の粒径を有する硫安を効率的に製造することができる。
しかし、特許文献2および3をはじめとする従来の圧縮造粒法では、取り扱いの際に造粒した硫安が粉状になる「粉化」や、長期間保存した際に製造した造粒硫安同士がくっついてしまう「固結」が発生し、硫安を機械により散布する際の作業性を悪化させることが問題となっていた。とりわけ近年では、圧縮造粒法により製造した硫安の輸入なども行われているが、長期保管中に固結が発生する場合があった。こうしたことから、製造された造粒硫安の固結や粉化を抑制することができる硫安の製造方法の提案が希求されていた。
そこで、本発明の目的は、製造された硫安の粉化や固結を抑制することができる硫安の製造方法を提供することにある。
そこで、本発明の目的は、製造された硫安の粉化や固結を抑制することができる硫安の製造方法を提供することにある。
発明者は、上記課題を解決する方途について鋭意検討した。上記造粒硫安の製造の際の問題のうち、固結を防止するためには、原料となる粒状硫安に、ワックス等の固結防止剤を添加することが有効である。しかし、固結防止剤を過度に添加すると、今度は製造された硫安の成形性が低下し、造粒された硫安の強度が低下して粉化しやすくなってしまう。そこで、発明者らは、固結を防止しつつ粉化についても抑制する方途について鋭意検討した結果、原料となる粒状硫安の一部にのみ固結防止剤を添加して残りの粒状硫酸アンモニウムと混合し、その後圧縮造粒することが有効であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の要旨構成は以下の通りである。
(1)粒状硫酸アンモニウムを造粒するに当たり、前記粒状硫酸アンモニウムの一部に固結防止剤を添加してから、残りの粒状硫酸アンモニウムと混合し、その後圧縮造粒することを特徴とする造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
(1)粒状硫酸アンモニウムを造粒するに当たり、前記粒状硫酸アンモニウムの一部に固結防止剤を添加してから、残りの粒状硫酸アンモニウムと混合し、その後圧縮造粒することを特徴とする造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
(2)前記固結防止剤を添加する粒状硫酸アンモニウムの割合は、該粒状硫酸アンモニウム全体の0質量%より大きく90質量%以下である、請求項1に記載の造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
(3)前記固結防止剤の添加量は、該固結防止剤が添加される粒状硫酸アンモニウムの0.05質量%以下である、請求項1または2に記載の造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
本発明によれば、粉化および固結を抑制することができる造粒硫安を製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明の硫安の製造方法の一例のフローチャートである。このフローチャートに従って、本発明の硫安の製造方法の各工程を説明する。まず、原料となる粒状硫安を原料ホッパー1に供給する。この原料である粒状硫安の粒径は特に限定されないが、安価な点から粒径が2mm以下の粒状硫安を用いるのが好ましい。
図1は、本発明の硫安の製造方法の一例のフローチャートである。このフローチャートに従って、本発明の硫安の製造方法の各工程を説明する。まず、原料となる粒状硫安を原料ホッパー1に供給する。この原料である粒状硫安の粒径は特に限定されないが、安価な点から粒径が2mm以下の粒状硫安を用いるのが好ましい。
この粒径が2mm以下の粒状硫安としては、工業的に用いられる晶析装置により製造された結晶硫安等を用いることができる。
ここで、原料ホッパー1への粒状硫安の供給は、製造された造粒硫安の固結を防止するように固結防止剤を添加するが、この固結防止剤の添加は、粒状硫安の一部のみに行うことが肝要である。上述のように、従来の圧縮造粒法により製造された造粒硫安は、取り扱いの際の衝撃により粉状になる粉化や、袋詰めして長期保管した際に、造粒硫安同士がくっつく固結の発生が問題となっていた。これらの問題のうち、固結については、原料となる粒状硫安に、ワックスや界面活性剤等の固結防止剤を添加することにより、抑制することができる。しかし、固結防止剤を過度に添加すると、今度は、後の工程で圧縮成形した際に、成形性が悪化し、造粒硫安の硬度が低下して粉化が発生しやすくなってしまう。
そこで、発明者らは、固結を防止しつつ、成形性の低下を抑制して、製造された造粒硫安の固結および粉化の双方を抑制することができる方途について鋭意検討したところ、原料である粒状硫安の一部にのみ固結防止剤を添加し、残りの固結防止剤と混合して圧縮造粒することが有効であることを見出したのである。
この方法により固結および粉化の双方を抑制できる理由は以下の通りと推察される。すなわち、原料の粒状硫安の一部にのみ固結防止剤を添加すると、造粒された硫安中における固結防止剤の分布が不均一となる。ここで、硫安の固結については、添加された固結防止剤が製造された硫安の表面にわずかにでも分布してさえいれば、必ずしも均一に分布していなくても防止することができる。
一方、粉化については、造粒硫安を圧縮成形する際に、固結防止剤が不均一に分布することにより、圧縮成形性を低下させることなく造粒できる。これにより、高い硬度の造粒硫安が得られる結果、粉化を抑制できるものと考えられる。
こうして、本発明においては、原料である粒状硫安の一部のみに固結防止剤を添加することにより、最終的に得られた造粒硫安の固結および粉化の双方を抑制する。以下、本発明の要件について説明する。
まず、固結防止剤としては、従来の方法と同様に、ワックスやオレイルアルコール硫酸エステルソーダ塩、ヤシアルコール硫酸エステルソーダ塩、アルキルアミン酢酸エステル等の界面活性剤等を用いることができる。
ここで、固結防止剤を添加する粒状硫酸アンモニウムの割合は、粒状硫安全体の0質量%より大きく90質量%以下とする。ここで、固結防止剤は、わずかにでも添加されていれば、固結を防止することができる。一方、90質量%を超えると、成形性が悪化して、製造された造粒硫安が粉化するため、90質量%以下とする。
また、固結防止剤の添加量は、該固結防止剤が添加される粒状硫酸アンモニウムの0.05質量%以下とする。これは、製品である造粒硫酸アンモニウムの品質規格であるアンモニア性窒素の基準値を超えないようにするためである。
こうして、固結防止剤が添加された硫安Aと、固結防止剤が添加されていない硫安Bとを混合して圧縮造粒することにより、具体的には、粒径が2〜4mm、硬度の加重平均が1.96N/粒以上、長期保管試験で発生した固結物の固結強度:1.96N/粒以下、長期保管試験で発生した固結物の割合:5質量%以下、および長期保管試験後の粉化率:3質量%以下の硫安を製造することができる。
ここで、上記硬度および固結強度は、山中式硬度計で測定したものであり、また、長期保管試験は、20kg袋詰めした造粒硫安を5袋10段積みしたパレットを3段積みし、3ヶ月経過した後の、3段積みしたパレットのうち、最下段パレットの下から2段目の袋を開封して、固結強度、固結物の割合、および粉化率を測定した。ここで、固結物の割合は、篩で篩って測定した。また、粉化率は、特開昭61−122179号公報に記載されている方法で測定した。
なお、固結防止剤が添加された硫安Aと、固結防止剤が添加されていない硫安Bとを原料ホッパー1に供給する前に、硫安AおよびBを乾燥装置(図示せず)により乾燥させた後、それぞれ別のコンベア(図示せず)により搬送して原料ホッパー1に供給しても良い。
また、硫安AおよびBは事前に乾燥して、水分が0.3%以下にするのが好ましい。これにより、多くの水分による粒状硫安の流動性の悪化を抑制し、後の造粒における圧縮成形性の悪化を防止することができる。
また、硫安AおよびBは事前に乾燥して、水分が0.3%以下にするのが好ましい。これにより、多くの水分による粒状硫安の流動性の悪化を抑制し、後の造粒における圧縮成形性の悪化を防止することができる。
このように、本発明は、粒状硫安の一部にのみ固結防止剤を添加することに特徴を有しており、固結防止剤が添加された硫安Aと、固結防止剤が添加されていない硫安Bとを原料ホッパー1に供給した後の、具体的な造粒処理は特に限定されない。以下、図1を参照して、原料ホッパー1に供給後の工程の一例について説明する。
原料ホッパー1に供給されて混合された粒状硫安AおよびBは、次いで、例えばスクリュー押出機2により粗粉砕機3に供給される。この粗粉砕機3は、複数の解砕ハンマー3aを有する回転体3bを備え、この回転体3bを回転させることにより、原料である粒状硫安AおよびBの粒径を均一化することができる。
続いて、粗粉砕機3により粗粉砕された硫安を造粒機4に供給する。この造粒機4は、1対の回転ロール4aおよび4bと、縦スクリュー4cとを備え、粗粉砕された硫安を縦スクリュー4cにより回転ロール4aおよび4b間に供給し、硫安を圧縮成形してシート状の硫安を生成する。この時の圧縮成形圧は、約3t/cm2であり、得られるシート状硫安の厚みは3〜5mm程度である。
その後、造粒機4によりシート状に成形された硫安は、解砕機5に供給されて破砕される。この解砕機5は、粗粉砕機3と同様に、複数の解砕ハンマー5aを有する回転体5bを備え、この回転体5bを回転させることにより、シート状硫安を圧ぺん形状の造粒硫安とすることができる。
解砕機5により破砕された硫安は、分級機6に供給される。この分級機6では、目的の粒径範囲内にある硫安、目的粒径範囲を超える粒径を有する硫安、および目的粒径範囲未満の粒径を有する粉硫安の3つに分離する。そのために、分級機6は、篩網(図示せず)を2枚有しており、目的粒径範囲を、例えば2.00〜4.00mmとした場合、例えば網目4.00〜4.75mmを有する篩網を用いて、4.75mmを超える粒径を有する硫安を篩分けし、例えば網目1.75〜2.00mmを有する篩網を用いて、1.75mm未満の粒径を有する粉硫安を篩分けする。こうして、目的粒径範囲の硫安を得ることができる。
分級機6により篩分けされた、目的粒径範囲内の硫安は、スクリュー型押出機7により移送され、分級機8に供給される。この分級機8により再度篩分けし、目的粒径範囲未満の粉硫安をさらに除去する。これにより、最終的に得られる造粒硫安C中の目的粒径範囲未満の粉硫安の量を製造された硫安全体の5質量%以下にまで低減することができる。なお、分級機8の網目は分級機6と同じ範囲が好ましい。
また、上記分級機6により分けられた目的粒径を超える硫安は、解砕機9に投入されて、目的粒径範囲内の製品硫安および目的粒径未満の硫安となるように、再度破砕する。破砕された硫安は、パケットコンベアにて分級機6に戻され、再度分級する。また、分級機6および8で分けられた目的粒径未満の粉硫安は、原料ホッパー1に戻され、再度造粒硫安の原料として使用しても構わない。
こうして、固結および粉化を抑制することができる硫安を製造することができ、得られた硫安は、粒径:2〜4mm、硬度の加重平均:1.96N/粒以上、長期保管試験で発生した固結物の固結強度:1.96N/粒以下、長期保管試験で発生した固結物の割合:5質量%以下、および長期保管試験後の粉化率:3質量%以下の造粒硫安Cとなる。
(発明例1〜3、比較例1および2)
以下、本発明の実施例について説明する。
図1に示したフローチャートに従って、造粒硫安Cを製造した。
すなわち、まず、粒状硫安に固結防止剤としてワックス(発明例1、2)または界面活性剤(発明例3)を0.05%添加した粒状硫安(A)を準備し、表1に示す割合で該粒状硫安(A)を固結防止剤が添加されていない粒状硫安(B)とを混合した。
該混合物を原料ホッパー1に供給して、スクリュー型押出機2により粗粉砕機3により粗破砕して硫安の粒径を均一にした後、造粒機4により硫安を圧縮成形して4.0〜4.5mm厚のシート状硫安を生成した。この時の圧縮成形圧は、約3t/cm2である。続いて、造粒機4によりシート状に成形された硫安は、解砕機5に供給されて破砕し、分級機6に供給して、2.00〜4.00mmの粒径を有する造粒硫安Cを得た。その後、スクリュー型押出機7により移送され、分級機8に供給して再度篩分けし、2.00mm未満の粒径の粉硫安をさらに除去し、最終的な造粒硫安Cを得た。得られた造粒硫安Cの硬度や粒径等を表1に示す。
以下、本発明の実施例について説明する。
図1に示したフローチャートに従って、造粒硫安Cを製造した。
すなわち、まず、粒状硫安に固結防止剤としてワックス(発明例1、2)または界面活性剤(発明例3)を0.05%添加した粒状硫安(A)を準備し、表1に示す割合で該粒状硫安(A)を固結防止剤が添加されていない粒状硫安(B)とを混合した。
該混合物を原料ホッパー1に供給して、スクリュー型押出機2により粗粉砕機3により粗破砕して硫安の粒径を均一にした後、造粒機4により硫安を圧縮成形して4.0〜4.5mm厚のシート状硫安を生成した。この時の圧縮成形圧は、約3t/cm2である。続いて、造粒機4によりシート状に成形された硫安は、解砕機5に供給されて破砕し、分級機6に供給して、2.00〜4.00mmの粒径を有する造粒硫安Cを得た。その後、スクリュー型押出機7により移送され、分級機8に供給して再度篩分けし、2.00mm未満の粒径の粉硫安をさらに除去し、最終的な造粒硫安Cを得た。得られた造粒硫安Cの硬度や粒径等を表1に示す。
表1に示すように、発明例1〜3は、固結防止剤を原料である粒状硫安全体に対して添加した比較例1および2よりも、固結物の割合、粉化率、造粒硫安の硬度の点で優れていることが分かる。また、発明例1〜3において、固結防止剤を添加した硫安の割合を0より大きく90質量%以下とすることにより、固結物の割合を1%以下にし、さらに粉化率の割合を2.7%以下に抑制されていることが分かる。
1 原料ホッパー
2、7 スクリュー押出機
3 粗粉砕機
3a、5a、9a 解砕ハンマー
3b、5b、9b 回転体
4 造粒機
5、9 解砕機
6、8 分級機
A 固結防止剤が添加された硫安
B 固結防止剤が添加されていない硫安
C 造粒硫安
2、7 スクリュー押出機
3 粗粉砕機
3a、5a、9a 解砕ハンマー
3b、5b、9b 回転体
4 造粒機
5、9 解砕機
6、8 分級機
A 固結防止剤が添加された硫安
B 固結防止剤が添加されていない硫安
C 造粒硫安
Claims (3)
- 粒状硫酸アンモニウムを造粒するに当たり、前記粒状硫酸アンモニウムの一部に固結防止剤を添加してから、残りの粒状硫酸アンモニウムと混合し、その後圧縮造粒することを特徴とする造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
- 前記固結防止剤を添加する粒状硫酸アンモニウムの割合は、該粒状硫酸アンモニウム全体の0質量%より大きく90質量%以下である、請求項1に記載の造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
- 前記固結防止剤の添加量は、該固結防止剤が添加される粒状硫酸アンモニウムの0.01〜0.1質量%である、請求項1または2に記載の造粒硫酸アンモニウムの製造方法。
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JP2012120879A JP2013245147A (ja) | 2012-05-28 | 2012-05-28 | 造粒硫酸アンモニウムの製造方法 |
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