JP2012148370A - プラスチック眼鏡レンズ孔開け方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 プラスチック眼鏡用レンズにドリルで孔開け加工する際、水溶性の潤滑剤を加熱溶融又は水溶液としてドリルに含浸させた状態で、もしくは滑剤組成物をレンズの上に配置して孔開け加工することにより、欠けや割れもしくは切削面の微小な傷の発生を抑え、外観不良もしくはフレーム取り付け後にネジ孔周辺に微小な傷を基点とする割れが発生するなどの不具合を防止する
【選択図】 なし
Description
プラスチックレンズの孔開けでは、従来、穴加工位置の精度が問題となってきた。その対応策として、穴位置を明示した透明シートを適応する方法(特許文献1)や孔開けを簡便するために固定治具(特許文献2)の提案がされており、改善が図れてきた。しかしながら、孔加工時に発生する割れや割れにつながる可能性のある内壁の微小なクラックに対する対策が十分でなく、改善する必要があった。
レンズ孔開け加工において孔品質を向上させるためには、基材とドリルの摩擦を低減する効果や切り粉の排出を促進する効果をもつ潤滑剤を、ドリルに含浸させたり、レンズ上に配置することが有効である。しかし、洗浄の簡便さを考慮すると、潤滑剤は水溶性であることが望ましく、水溶性のワックスが好適である。具体的には数平均分子量(Mn)200〜9,000のポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンのモノエーテル、ポリオキシエチレンのエステル、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ポリグリセリンモノステアレート及びポリオキシエチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選択された1種或いは2種以上を混合して用いる事が可能である。具体的には、数平均分子量(Mn)200〜9,000のポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテルなどで例示されるポリオキシエチレンのモノエーテル、ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレート、ポリオキシエチレンモノオレート、ポリオキシエチレン牛脂脂肪酸エステルなどで例示されるポリオキシエチレンのエステル;ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレートなどで例示されるポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル;ヘキサグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレートなどで例示されるポリグリセリンモノステアレート;ポリオキシエチレンプロピレンブロック共重合体などが挙げられる。これら水溶性潤滑剤は1種或いは2種以上を混合して用いる事も可能である。
[成形]
(1) 射出成形:熱可塑性樹脂は日本製鋼所株式会社製、射出成形機J75E−Pを用いて、ASTM D−638の試験片(幅12.7mm、厚さ3.2mmの引っ張り試験片)と、3mm厚の円盤状試験片を成形した。
(2) 注型成形:熱硬化性樹脂は、2枚のガラス板とガスケットから構成されるモールドに注入し、ASTM D−638の試験片(幅12.7mm、厚さ3.2mmの引っ張り試験片)と、3mm厚の円盤状試験片を成形した。
[孔あけ加工]
ドリル孔開け加工: 日立工機株式会社製、ベンチドリル DE−4300を用い、2880rpmで加工した。引っ張り試験片には、中央部に2mmφのドリルビットで孔開け加工を行なった。円盤状試験片には、1.0mmφのドリルビットで孔開け加工を行い、さらに孔の中心線を含むようにダイヤモンドカッターで切断し、孔が半円状になるように切りだした。
(1) 引っ張り強度測定:中央部に2mmφの孔をあけたASTM D−638の試験片を23℃、50%RHの環境下で、20mm/minの引っ張り速度にて引っ張り強度を測定し、孔内壁の微小な傷に起因するクラックによる引張強度の変化を確認した。
(2) 平滑度測定:1.0mmφの孔をあけて断面を切断した円盤状試験片の孔内壁に沿って、東京精密製 サーフコム3000Aにより孔内壁の表面粗さを測定した。
メチルメタアクリレートを主成分とするポリメチルメタクリレート樹脂(三菱レーヨン株式会社製、アクリペット、VH−001)を原料として、引張試験片、3mm厚の円盤状試験片を射出成形した。引っ張り試験片の中央部、円盤状試験片の上部に数平均分子量600のポリエチレングリコールを潤滑剤として塗布し、塗布した上からドリルで孔を開け、試験片の引張強度及び平滑度を測定した。評価結果を表1に示した。
ビスフェノール−Aを芳香族ジヒドロキシ化合物とする一般市販のポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアプラスチックス製、ユーピロンS−3000R)を原料とし、試験片を成形した。ポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(商品名:パオゲンPP−15、第一工業製薬株式会社製)50重量部、ポリオキシエチレンモノステアレート(商品名:ノニオンS−40、日本油脂株式会社製)50重量部をニーダーを使用し、温度150℃の窒素雰囲気中で混錬した後、押出機にて、厚さ0.2mmの潤滑性シートを作成した。このシートを8×8mm角に切断し、試験片上の孔加工部位に置き、90℃の乾燥機で成形品上に固定した。シートおよび試験片を貫通させる形で孔を開け、試験片の引張強度及び平滑度を測定した。評価結果を表1に示した。
1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(BPZ)6038.1kg(22.5モル)、1,4−ジヒドロキシメチル−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン(TCDDM)4416.5g(22.5モル)、ジフェニルカーボネート10832.5g(47.25モル)、炭酸水素ナトリウム0.0113g(1.35*10−4モル)を、撹拌機および留出装置付きの50リットル反応釜に入れ、窒素雰囲気下200℃に加熱し、30分間撹拌した。その後、減圧度を150mmHgに調整すると同時に、240℃まで昇温し副生するフェノールを留去しながらエステル交換反応を行った。ほぼフェノールの留出が終了した時点で真空度をさらに上げ、1mmHg以下の条件でさらに2時間撹拌を行い、反応終了後、反応器内に窒素を吹き込み常圧に戻し、生成ポリカーボネートを取り出した。この共重合体のBPZから誘導される構成単位とTCDDMから誘導される構成単位のモル比は、50:50であり、Mw=58,300の樹脂が得られた。合成したポリカーボネート樹脂100重量部に対して、触媒失活剤として、p−トルエンスルホン酸n−ブチル0.0007重量部、酸化防止剤としてトリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト(旭電化工業株式会社製商品名A−2112)0.05重量部を2軸押出機(バレル温度240℃)で混練してポリカーボネート樹脂組成物を得た。この樹脂組成物を実施例2と全く同様に試験片を成形し評価を行った。評価結果を表1に示した。
ジエチレングリコールビス(アリルカーボーネート)100重量部、ジイソプロピルパーオキシカーボーネート3重量部を混合し均一とした後、真空下で脱気処理し、0.5μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過した。次いで、この組成物を2枚のガラス板とガスケットから構成されるモールドに注入し、40℃から85℃まで20時間かけて徐々に昇温し、85℃で1時間加熱し、重合硬化させた。モールドから離型した後、120℃で1時間アニールして引っ張り試験片及び円盤状試験片を作製した。ポリエチレングリコール・ジメチルテレフタレート重縮合物(商品名:パオゲンP−15、第一工業製薬株式会社製)20重量部、ポリエチレンオキサイド(商品名:アルコックスR−150、明成化学株式会社製)10重量部、ポリオキシエチレンプロピレンブロック共重合体(商品名:プロノン208、日本油脂株式会社製)70重量部をニーダーを使用し、温度150℃の窒素雰囲気中で混錬した後、押出機にて、厚さ0.2mmの潤滑性シートを作成した。このシートを8×8mm角に切断し、試験片孔加工部位に置き、90℃の乾燥機で成形品上に固定した。実施例2と同様にドリルで、シートおよび試験片を貫通させる形で孔をあけ、試験片の引張強度及び平滑度を測定した。評価結果を表1に示した。
ビス(2,3−エピチオプロピル)スルフィド100重量部、ジ(メルカプトエチル)スルフィド5重量部、N,N−ジエチルアミノエタノール0.5重量部を混合し均一とした後、真空下で脱気処理し、0.5μmのPTFE製のメンブランフィルターでろ過した。次いで、この組成物を2枚のガラス板とガスケットから構成されるモールドに注入し、30℃で10時間加熱し、次いで30℃から100℃まで10時間かけて100℃まで一定速度昇温させ、最後に100℃で2時間加熱し、重合硬化させた。室温まで放冷した後、モールドから離型した後、110℃で1時間アニールして試験片を作製した。得られた試験片を、実施例4と全く同様に評価を行った。評価結果を表1に示した。
実施例1で行った試験を、潤滑剤を用いずに孔開け加工を行った以外は、全く同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
実施例2で行った試験を、潤滑性シートを用いずに孔開け加工を行った以外は、全く同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
実施例3で行った試験を、潤滑性シートを用いずに孔開け加工を行った以外は、全く同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
実施例4で行った試験を、潤滑性シートを用いずに孔開け加工を行った以外は、全く同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
実施例5で行った試験を、潤滑性シートを用いずに孔開け加工を行った以外は、全く同様に操作を行った。評価結果を表1に示す。
Claims (6)
- 熱可塑性樹脂もしくは熱硬化性樹脂を基材とするプラスチック眼鏡レンズをドリルによって孔開け加工する際、水溶性潤滑剤の存在下で孔開け加工する事を特徴とするドリル孔開け加工方法。
- プラスチック眼鏡レンズの孔開け加工部に、水溶性潤滑剤を塗布またはシート状にして貼り付けることで水溶性潤滑剤を存在させることを特徴とする、請求項1記載のドリル孔あけ加工方法。
- 水溶性潤滑剤が、数平均分子量(Mn)200〜9,000のポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンのモノエーテル、ポリオキシエチレンのエステル、ポリオキシエチレンソルビタンのモノエステル、ポリグリセリンモノステアレート及びポリオキシエチレンプロピレンブロック共重合体からなる群から選択された1種或いは2種以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載のドリル孔開け加工方法。
- 水溶性潤滑剤に水溶性ポリマーを混合して使用することを特徴とする請求項1または2に記載のドリル孔開け加工方法。
- 水溶性ポリマーの軟化点または融点が30~150℃である事を特徴とする請求項4記載のドリル孔開け加工方法。
- 水溶性ポリマーが、数平均分子量(Mn)10,000以上のポリエチレングリコール、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニールアルコール、ポリアクリル酸ソーダ、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、ポリテトラメチレングリコールおよびポリエーテルエステルからなる群から選択された1種或いは2種以上であることを特徴とする、請求項4記載のドリル孔開け加工方法。
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