JP2012146758A - テラヘルツ波素子 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】テラヘルツ波発生素子は、テラヘルツ波発生層2と、テラヘルツ波発生層2に接して配置された電極3を備え、励起光4の照射と電極3への電圧印加によりテラヘルツ波5を発生する。テラヘルツ波発生層2の少なくとも一部は、励起光4が入射してくる側とその反対側とのテラヘルツ波発生層2の面と交わる面において電極3とショットキー接合部を形成し、ショットキー接合部に励起光4が照射される。
【選択図】図1
Description
(実施形態1)
図1を用いて実施形態1を説明する。図1では、構成を分かり易く描くために縮尺をデフォルメしている部分がある。このことは、以下の図面でも同様である。図1(a)は、本実施形態のテラヘルツ波発生素子の概略構成を示した上面図である。図1(b)は、図1(a)のAA'断面図である。図1(c)は、本実施形態のテラヘルツ波発生素子の全体図である。
上述した様に、テラヘルツ波発生層2と電極3との界面の少なくとも一部には、ショットキー接合部が形成されている。一般に知られる様に、ショットキー接合部はテラヘルツ波発生層2と電極3との組合せに応じたエネルギー障壁(ショットキー障壁)を有する。例えば、テラヘルツ波発生層2として半絶縁性InPを、電極3としてTi/Auを用いると、その界面には障壁高さ0.5eV程度のショットキー障壁が形成される。ただし実際は、界面の状態によって異なる値を持ちうることが一般に知られている。図1では、この様に電極3とテラヘルツ波発生層2の界面はショットキー接合部となっている。ここに、波長1.5μmの励起光4を照射すると、電極3にあるキャリアが光励起され、その一部はショットキー障壁を飛び越えてテラヘルツ波発生層2に入る。テラヘルツ波発生層2には、電極3によって電圧が印加されている。この電圧によって、テラヘルツ波発生層2には電界が与えられる。テラヘルツ波発生層2に入ったキャリアはこの電界により加速され、電流が生じる。電流が生じると、下記式1に従って、電流の時間変化の大きさに応じた電界強度を持つテラヘルツ波5が発生する。
ETHz∝dJ/dt (式1)
ここで、ETHz:テラヘルツ波5の電界強度、J:電流、t:時間である。
非特許文献1の素子では、電極とテラヘルツ波発生層の間のショットキー接合部に励起光が照射されるサイズは、電極の端から0.5μm程度と見込まれる(半導体中での波長程度)。従って、本実施形態の素子においては、励起光4の照射される面積をより大きくするという点から、テラヘルツ波発生層2の厚さが0.5μm以上であることが望ましい。また、電極4の厚さが厚いと電流が基板1の面に垂直に近い方向にも流れるため、テラヘルツ波5がアンテナに結合する効率が下がる。この効果を抑えるために、電極4の厚さはテラヘルツ波発生層2内部におけるテラヘルツ波5の波長以下、例えば50μm程度以下に抑えることが望ましい。
本発明のテラヘルツ波発生素子に係る実施形態2は、上述したテラヘルツ波発生素子の変形例に関する。これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。図6(a)は本実施形態のテラヘルツ波発生素子の上面図であり、図6(b)は図6(a)のEE'断面図である。実施形態1のテラヘルツ波発生素子と異なる点は、テラヘルツ波が伝搬する範囲にある電極3の一部の厚さである。
本発明のテラヘルツ波発生素子に係る実施形態3は、上述したテラヘルツ波発生素子の変形例に関する。これまでの説明と共通する部分の説明は省略する。図7(a)は本実施形態のテラヘルツ波発生素子の上面図であり、図7(b)は図7(a)のFF'断面図である。実施形態1のテラヘルツ波発生素子と異なる点は、素子の上面から見てテラヘルツ波発生層2と電極3の界面が櫛型形状となっている点である。櫛型形状は、凹部と凸部がそれぞれ複数あってもよく(勿論、単数であってもよい)、電極3の対のうち光励起キャリアを生じない側の電極(図7の右側の電極)は櫛型形状でなくてもよい。
実施形態4は、本発明のテラヘルツ波発生素子を用いた時間領域分光装置に関する。
図8は、本実施形態に係るテラヘルツ時間領域分光システムを示している。このような分光システム自体は、従来から知られているものと基本的に同様なので、概要のみを説明する。この分光システムは、短パルスレーザである励起光4と、励起光遅延系13と、テラヘルツ波発生素子8と、テラヘルツ波検出素子12とを主要な要素として備えている。励起光4は、ハーフミラーによって分割されて、それぞれテラヘルツ波発生素子8とテラヘルツ波検出素子12に照射される。ここで、8は本発明によるテラヘルツ波発生素子であり、レンズなどの光学素子を介して励起光4が電極3のショットキー接合部に照射されるように構成されている。テラヘルツ波発生素子8の電極3には電圧源9によって電圧が印加されている。発生したテラヘルツ波5は、レンズや放物面鏡などの光学素子によって検体11に導かれる。検体11を透過または反射して、吸収スペクトルなどの情報を含むテラヘルツ波5は、光学素子によってテラヘルツ波検出素子12の電極の間隙に導かれて検出される。このとき、テラヘルツ波検出素子12は従来型の低温成長GaAsによる光伝導素子を用いており、電極間に生じる電流の値はテラヘルツ波5の振幅に比例する。時間分解を行うには、テラヘルツ波検出素子12に照射する励起光4の光路長を変化させる励起光遅延系13を動かすなどして照射タイミングを制御すればよい。検出したテラヘルツ波5の電界強度と励起光4の光路長変化量は、処理部14においてテラヘルツ波5の時間波形などに変換され、表示部15で表示される。
これまでの実施形態では、主に、本発明による素子をテラヘルツ波発生素子として説明してきたが、検出素子として使用することも可能である。検出素子では、例えば実施形態1を説明した図1と全く同じ構成においてテラヘルツ波5の伝搬方向が素子に向けられる構成になる。励起光が照射された照射状態のタイミングでは光励起キャリアが発生しており、そこにテラヘルツ波5が照射されると、テラヘルツ波5による電界に応じて電極3に光電流が生じる。その光電流を検出することでテラヘルツ波5の電界強度を検出できる。本発明による検出素子を使用すれば、励起光4とショットキー接合部との相互作用の領域を拡大できるので、テラヘルツ波の検出のSNを向上したテラヘルツ波検出を実現できる。
Claims (9)
- テラヘルツ波発生層と、前記テラヘルツ波発生層に接して配置された少なくとも2つの電極と、を備え、励起光の照射と前記電極への電圧印加によってテラヘルツ波を発生するテラヘルツ波素子であって、
前記テラヘルツ波発生層の少なくとも一部は、前記励起光が入射してくる側とその反対側との当該テラヘルツ波発生層の面と交わる面において前記電極の少なくとも1つとショットキー接合部を形成し、前記ショットキー接合部の少なくとも一部に前記励起光が照射されることを特徴とするテラヘルツ波素子。 - テラヘルツ波検出層と、前記テラヘルツ波検出層に接して配置された少なくとも2つの電極と、を備え、励起光の照射状態において入射するテラヘルツ波を検出するテラヘルツ波素子であって、
前記テラヘルツ波検出層の少なくとも一部は、前記励起光が入射してくる側とその反対側との当該テラヘルツ波検出層の面と交わる面において前記電極の少なくとも1つとショットキー接合部を形成し、前記ショットキー接合部の少なくとも一部に前記励起光が照射されることを特徴とするテラヘルツ波素子。 - 前記テラヘルツ波発生層またはテラヘルツ波検出層は基板の上に配置され、
前記テラヘルツ波発生層またはテラヘルツ波検出層の少なくとも一部は、前記基板と当該テラヘルツ波発生層またはテラヘルツ波検出層の界面と交わる面において前記電極の少なくとも1つとショットキー接合部を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のテラヘルツ波素子。 - 前記テラヘルツ波が伝搬する範囲にある前記電極の少なくとも一部の厚さは、前記テラヘルツ波発生層またはテラヘルツ波検出層の厚さより薄いことを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のテラヘルツ波素子。
- 前記電極の少なくとも一部は、前記励起光が入射してくる側から見て、櫛型形状と階段形状と傾斜形状との少なくとも1つを持つことを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のテラヘルツ波素子。
- 前記テラヘルツ波発生層またはテラヘルツ波検出層は、前記励起光の波長に対応するエネルギーよりもバンドギャップが大きいことを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のテラヘルツ波素子。
- 請求項1、及び3から6の何れか1項に記載の、テラヘルツ波発生素子として構成されたテラヘルツ波素子と、前記テラヘルツ波発生素子に前記励起光を照射するための励起光発生部を含む照射手段と、を有することを特徴とするテラヘルツ波発生装置。
- 請求項2から6の何れか1項に記載の、テラヘルツ波検出素子として構成されたテラヘルツ波素子と、前記テラヘルツ波検出素子に前記励起光を照射するための励起光発生部を含む照射手段と、を有することを特徴とするテラヘルツ波検出装置。
- テラヘルツ波発生装置と、前記テラヘルツ波発生装置からのテラヘルツ波を受けて検出するテラヘルツ波検出装置と、を有するテラヘルツ時間領域分光装置であって、
前記テラヘルツ波発生装置と前記テラヘルツ波検出装置との少なくとも一方として、請求項7に記載のテラヘルツ波発生装置または請求項8に記載のテラヘルツ波検出装置を用いたことを特徴とするテラヘルツ時間領域分光装置。
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