JP2012145428A - 周波数計測装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電力系統の周波数を精度良く測定できる周波数計測装置を提供する。
【解決手段】周波数計測装置1は、電力系統の交流電圧(基本波)V1に、ノイズとして基本波の90%の大きさの第3調波(高調波)V3が重畳した合成波G13が入力端子2から入力された場合、演算回路4で最大のピークPK1を抽出できるように閾値Sを算出し、閾値設定回路5で波形整形回路6に閾値Sを設定する。波形整形回路6は、入力信号である合成波G13から閾値S以上の信号PU1を抽出し、抽出した信号PU1を矩形波状のパルス信号P1に整形する。そして、パルス信号P1のあるパルスから次のパルスまでの時間(1周期間)Tを計測して、この1周期間Tに基づいて電力系統の交流電圧(基本波)の周波数を算出する。閾値は、入力信号に含まれるノイズの大きさに応じて設定するか、または入力信号に含まれるノイズの大きさの算出結果に応じて設定する。
【選択図】図4
【解決手段】周波数計測装置1は、電力系統の交流電圧(基本波)V1に、ノイズとして基本波の90%の大きさの第3調波(高調波)V3が重畳した合成波G13が入力端子2から入力された場合、演算回路4で最大のピークPK1を抽出できるように閾値Sを算出し、閾値設定回路5で波形整形回路6に閾値Sを設定する。波形整形回路6は、入力信号である合成波G13から閾値S以上の信号PU1を抽出し、抽出した信号PU1を矩形波状のパルス信号P1に整形する。そして、パルス信号P1のあるパルスから次のパルスまでの時間(1周期間)Tを計測して、この1周期間Tに基づいて電力系統の交流電圧(基本波)の周波数を算出する。閾値は、入力信号に含まれるノイズの大きさに応じて設定するか、または入力信号に含まれるノイズの大きさの算出結果に応じて設定する。
【選択図】図4
Description
この発明は、測定対象信号の周波数を計測する周波数計測装置に関する。
従来、測定対象信号の周波数を計測できる周波数計測装置が開示されている(特許文献1参照。)。この周波数計測装置は、測定対象信号を波形整形回路でパルス状に整形してカウンタに入力し、カウンタでパルスの1周期間(あるパルスから次のパルスまでの間)におけるクロック数をカウントし、このクロック数に基づいて周波数を求めている。
図1(A)は、電力系統の交流電圧(基本波)と、基本波の90%の大きさの第3調波の波形図である。図1(B)は、図1(A)に示した基本波と第3調波の合成波の波形図である。図1(C)は、従来の周波数計測装置の波形整形回路において、図1(B)に示した合成波が入力されたときの出力波形図である。
しかしながら、特許文献1に記載の周波数計測装置では、周波数測定対象信号にノイズが重畳すると、周波数測定対象信号の周波数を正確に測定できないという問題があった。例えば、図1(A)に示すように、電力系統の交流電圧V1の周波数を測定する場合、交流電圧(基本波)V1にノイズである第3調波(基本波の90%の大きさ)V3が重畳すると、図1(B)に示すように、合成波G13は、基本波V1と異なり複数の山と谷を有する歪んだ波形になる。特許文献1に記載の周波数計測装置は、入力信号が合成波G13のときには、図1(C)に示すパルス状の波形K13を、ゼロクロス点を基準として整形する。この整形された波形K13の1周期間は、電力系統の交流電圧(基本波)V1の1周期間Tよりも短いので、特許文献1に記載の周波数計測装置は、電力系統の周波数(50Hz)よりも高い周波数を出力してしまう。
そこで、この発明は、測定対象信号にノイズが重畳していても、測定対象信号の周波数を精度良く測定できる周波数計測装置を提供することを目的とする。
この発明の周波数計測装置は、上記課題を解決し、その目的を達するために、以下のように構成している。
周波数計測装置は、閾値設定手段と、抽出手段と、測定手段と、演算手段を備えている。閾値設定手段は、交流信号にノイズが重畳した入力信号から、このノイズの大きさに応じた閾値を設定する。交流信号にノイズが重畳した歪んだ入力信号であっても、交流信号の周波数を測定できる値に閾値を設定するには、一定期間、つまり、交流信号の一周期における入力信号の最大のピークを抽出できる値に閾値を設定すると、ノイズの影響を受けることなく、測定対象信号の周波数を測定できる。閾値設定手段は、測定対象信号に重畳するノイズレベルが予め想定される場合には、ノイズの大きさに応じた閾値を設定する。
抽出手段は、閾値設定手段が設定した閾値以上の信号を入力信号から抽出する。抽出された信号は、ノイズの影響のない信号となる。測定手段は、抽出手段が抽出した信号の周期を測定する。演算手段は、測定手段が測定した周期に基づいて、入力信号の周波数を求める。
したがって、周波数計測装置では、入力信号に高調波や外来ノイズなどのノイズが重畳していても、その影響が小さい、歪みの少ない部分を抽出するので、測定対象信号の周波数を精度良く測定できる。
また、閾値設定手段は、入力信号に含まれるノイズの大きさをフーリエ変換により算出する。入力信号に対してフーリエ変換を行うことで、ノイズの周波数やレベルがわかるので、これらに基づいて最大のピークを抽出する閾値を容易に設定できる。
また、閾値設定手段は、入力信号の複数の周期的なピークのうち、最大のピークと2番目に大きなピークの間に閾値に設定する。このような値に閾値を設定することで、入力信号から最大のピークを抽出できる。
また、周波数計測装置はフィルタ手段を備えている。フィルタ手段は、入力信号に含まれるノイズを減衰させて、その信号を閾値設定手段及び抽出手段に出力する。周波数の測定対象信号に異なる次数の高調波が複数重畳したり外来ノイズが重畳したりすると、入力信号(合成波)の最大ピークと2番目に大きなピークの差が僅かになったり、ノイズが重畳した部分が最大のピークになったりすることがある。しかし、フィルタ手段を設けることで、ある次数以上の高調波や特定の次数の高調波を減衰させたり、外来ノイズを減衰させたりすることができる。これにより、入力信号(合成波)から最大のピークを抽出できるので、測定対象信号の周波数の測定精度を向上できる。
さらに、閾値設定手段は、入力信号に基づいて設定する閾値である第1の閾値に加えて、この第1の閾値と異なる第2の閾値を設定する。抽出手段は、第1の閾値以上の第1信号と、第2の閾値以上の第2信号と、を入力信号から抽出する。測定手段は、第1信号の周期と第2信号の周期とを測定する。演算手段は、第1信号の周期または第2信号の周期のうち、予め設定した基準周期範囲内の信号について周波数を求める。第2の閾値としては、第1の閾値よりも大きな値、または第1の閾値よりも小さな値を設定することができ、検出する内容により設定するとよい。すなわち、閾値設定手段に、第1の閾値よりも大きな値を第2閾値として設定した場合には、別のノイズがさらに重畳したり急な負荷変動が発生したりして測定対象信号のレベルが上昇した場合でも、電力系統の交流電圧の周波数を誤って測定しまうのを防止できる。また、閾値設定手段に、第1閾値よりも小さな値を第2閾値として設定した場合には、急な負荷変動や事故の発生により測定対象信号のレベルが低下した場合でも、電力系統の交流電圧の周波数の測定精度を高めることができる。
この発明によれば、測定対象信号にノイズが重畳していても、測定対象信号の周波数を精度良く測定できる。
以下、この発明の実施形態について、周波数計測装置で電力系統の交流電圧の周波数を測定する場合を例に挙げて説明する。
図2は、本発明の実施形態に係る周波数計測装置のブロック図である。
周波数計測装置1は、入力端子2と、A/Dコンバータ(以下、ADCと称する。)3と、演算回路4と、閾値設定回路5と、波形整形回路6と、測定回路7と、発振器8と、出力端子9を備えている。
入力端子2には、測定対象信号である電力系統の交流電圧にノイズが重畳した線間電圧Vabが入力信号として入力する。
周波数計測装置1は、入力端子2から入力されたアナログ入力信号を、ADC3でデジタル入力信号に変換して、演算回路4に出力する。なお、演算回路4が、アナログ入力信号を処理可能な場合には、ADC3は不要である。
演算回路4は、ADC3が出力したデジタル入力信号に基づいて閾値を算出する。この閾値は、入力信号から閾値以上の信号を抽出するためのものである。そして、演算回路4は、閾値設定回路5に制御信号を出力して、算出した閾値を設定する。
閾値設定回路5は、演算回路4により設定された閾値を波形整形回路6に出力する。
波形整形回路6は、抽出手段に相当し、入力端子2から入力された入力信号を、閾値設定回路5が出力した閾値に基づいて整形する。具体的には、波形整形回路6は、入力信号から閾値以上の信号を抽出し、抽出した信号をパルス状(矩形波状)に整形し、この整形信号を測定回路7に出力する。
測定回路7は、波形整形回路6が出力した整形信号の周期を測定する。具体的には、測定回路7は、波形整形回路6が出力した整形信号の1周期間(あるパルスから次のパルスまでの期間)において、発振器8が出力したクロックを計数する。そして、測定回路7は、クロックの計数結果を演算回路4に出力する。
演算回路4は、測定回路7が出力したクロックの計数結果に基づいて、周波数を算出して周波数を出力する。演算回路4が算出した周波数が、測定対象信号の周波数である。
出力端子9には、演算回路4が出力した周波数や警報などを表示する表示器を接続する。
なお、出力端子9には、表示器に代えて、周波数や警報を音声で報知するスピーカを接続することも可能である。また、電力系統と接続機器の間にスイッチを設けておき、このスイッチを出力端子9に接続し、周波数の測定結果に応じてスイッチの開閉を制御するように構成することも可能である。
次に、周波数計測装置1の動作を説明する。図3(A)は、本発明の実施形態に係る周波数計測装置の初期設定の動作を説明するためのフローチャートである。図3(B)は、本発明の実施形態に係る周波数計測装置の周波数測定の動作を説明するためのフローチャートである。図4(A)は、電力系統の交流電圧(基本波)と第3調波の波形図である。図4(B)は、図4(A)に示した基本波と第3調波の合成波と閾値を示す波形図である。図4(C)は、図4(B)に示した合成波から閾値以上の部分を抽出した抽出波形の波形図である。図4(D)は、図4(C)に示した抽出波形を整形した波形図である。
以下の説明では、周波数計測装置1の入力端子2には、不図示のVT(計器用変圧器)を介して線間電圧Vabが入力(印加)されるものとする。また、電力系統が正常な状態のときの交流電圧波形(基本波)は正弦波(周波数F=50Hz)で、線間電圧Vabの実効値Vrmsを100V、最大値Vmを141Vとする。
周波数計測装置1は、不図示の電源スイッチが操作されて電源が投入されると、まず、初期設定を行う。演算回路4には、入力端子2からADC3を介して線間電圧Vabが入力される(S1)。線間電圧Vabには、電力系統の交流電圧(基本波)に、ノイズとして高調波が重畳している。
演算回路4は、線間電圧Vabの実効値Vrmsが周波数計測装置1の最小動作電圧(例えば40V)以上であるか否かを確認する(S2)。演算回路4は、実効値Vrmsが最小動作電圧未満の場合には(S2:N)、実効値Vrmsが最小動作電圧未満になっている旨の信号を出力して、出力端子9に接続された表示器にその旨を表示させる(S3)。そして処理を終了する。
演算回路4は、実効値Vrmsが最小動作電圧以上の場合には(S2:Y)、入力信号に基づいて閾値を算出する(S4)。閾値の算出方法は以下のとおりである。
図4(A)に示す電力系統の交流電圧(基本波)V1に、ノイズとして基本波の90%の大きさの第3調波(高調波)V3が重畳すると、両波の合成波G13は、図4(B)に示す波形になる。合成波G13は、基本波と異なり複数の山と谷を有する歪んだ波形であるが、基本波と同じ周期である。そこで、本発明では、合成波G13において、高調波の影響が少なく、周期毎に現れる特徴的な部分を1カ所抽出して、抽出した部分の周期を測定することで、測定対象である電力系統の交流電圧(基本波)の周波数を測定する。具体的には、合成波G13の特徴的な部分として、合成波G13において周期的に現れる最大のピークPK1だけを抽出できるように閾値を設定する。
閾値の設定は、演算回路4において、以下に説明する方法のいずれかを用いるように設定する。
1.入力信号に含まれるノイズの大きさを想定して閾値を設定
入力信号に対するノイズのおよその大きさが予め想定できる場合には、想定したノイズの大きさに応じて閾値を設定するとよい。
入力信号に対するノイズのおよその大きさが予め想定できる場合には、想定したノイズの大きさに応じて閾値を設定するとよい。
ノイズが高調波の場合、一般的に、基本波以上の大きさにはならないので、例えば入力信号(合成波)である線間電圧Vabの最大値Vm(=√2Vrms)の95%程度の値を閾値として設定すると、入力信号における最大のピークを抽出できる。この場合、閾値S1を算出する式は、
閾値S1=√2Vrms×(95%)
となる。
閾値S1=√2Vrms×(95%)
となる。
電力系統に重畳している高調波の大きさが、基本波の30%程度(最大で50%程度)と想定される場合には、例えば入力信号(合成波)である線間電圧Vabの最大値Vmの50%程度の値を閾値として設定すると、入力信号における最大のピークを抽出できる。この場合、閾値S2を算出する式は、
閾値S2=√2Vrms×(50%)
となる。
閾値S2=√2Vrms×(50%)
となる。
2.入力信号に含まれるノイズの大きさを算出して閾値を設定
入力信号に対するノイズの大きさが予め想定できない場合には、ノイズの大きさを実際に測定するか、または演算により求めて、得られたノイズの大きさに応じて閾値を設定する。
入力信号に対するノイズの大きさが予め想定できない場合には、ノイズの大きさを実際に測定するか、または演算により求めて、得られたノイズの大きさに応じて閾値を設定する。
例えば、電力系統には、一般的に3次、5次、7次、9次、11次、13次…の各高調波が重畳しているので、入力信号に含まれる基本波及び各次の高調波電圧をフーリエ変換(例えばFFT)等により求める。入力信号に対してフーリエ変換を行うことで、ノイズ(例えば、各次数の高調波)の周波数やレベルがわかる。そして、電力系統の交流電圧(基本波)に重畳している高調波の比率(例えば、総合電圧ひずみ率)を求めて、線間電圧Vabの最大値Vmと、総合電圧ひずみ率と、の積を求めることで閾値S3が得られる。この場合、閾値S3を算出する式は、
閾値S3=√2Vrms×(総合電圧ひずみ率)
総合電圧ひずみ率(%)=高調波電圧の実効値/基本波電圧(V1)×100
となる。
閾値S3=√2Vrms×(総合電圧ひずみ率)
総合電圧ひずみ率(%)=高調波電圧の実効値/基本波電圧(V1)×100
となる。
3.最大のピークと2番目に大きなピークの間に閾値を設定
入力信号に対するノイズの大きさが予め想定できない場合には、入力信号とノイズの合成波の大きさを実際に測定して閾値を設定して、最大のピークを抽出する。合成波G13において周期的に現れる最大のピークPK1を抽出するには、一定期間(合成波G13の1周期間)Tにおける最大のピークPK1と2番目に大きなピークPK2の間に閾値S4を設定して、閾値S4以上の信号波形を抽出するように設定する。最大のピークPK1の電圧と2番目に大きなピークPK2の電圧は、入力電圧を複数周期間、連続的に測定することで検出できるので、検出結果に基づいて閾値S4を設定する。例えば、図4(B)に示す合成波G13においては、最大のピークPK1の電圧が245V、2番目に大きなピークPK2の電圧が120Vなので、120V<閾値S4<245Vに設定する。
入力信号に対するノイズの大きさが予め想定できない場合には、入力信号とノイズの合成波の大きさを実際に測定して閾値を設定して、最大のピークを抽出する。合成波G13において周期的に現れる最大のピークPK1を抽出するには、一定期間(合成波G13の1周期間)Tにおける最大のピークPK1と2番目に大きなピークPK2の間に閾値S4を設定して、閾値S4以上の信号波形を抽出するように設定する。最大のピークPK1の電圧と2番目に大きなピークPK2の電圧は、入力電圧を複数周期間、連続的に測定することで検出できるので、検出結果に基づいて閾値S4を設定する。例えば、図4(B)に示す合成波G13においては、最大のピークPK1の電圧が245V、2番目に大きなピークPK2の電圧が120Vなので、120V<閾値S4<245Vに設定する。
なお、上記1,2の方法では、周波数計測装置1は、初期設定時にノイズ測定(演算)を行うとよい。
上記のように閾値を設定する際には、ある程度マージンを持たせることで、ノイズの影響をより受けにくくなる。
例えば、上記の閾値S1の場合、線間電圧Vabの最大値の95%〜100%未満の値を閾値する。
上記の閾値S2の場合、線間電圧Vabの最大値の95%程度までの値を閾値として設定する。
上記の閾値S3の場合、線間電圧Vabの最大値Vmと総合電圧ひずみ率の積に1.2倍程度までマージンを持たせる。すなわち、
閾値S3=√2Vab×(総合電圧ひずみ率)×1.2
にする。
閾値S3=√2Vab×(総合電圧ひずみ率)×1.2
にする。
演算回路4は、ステップS4において、上記のような方法により閾値を算出すると、閾値設定回路5に制御信号を出力して、閾値設定回路5が波形整形回路6に出力する閾値を設定する(S5)。
周波数計測装置1は、以上で初期設定を終了し、周波数の計測を開始する。
演算回路4は、ADC3が出力した線間電圧Vabからこの実効値Vrmsを算出する(S11)。
続いて、演算回路4は、実効値Vrmsが、周波数計測装置1の最小動作電圧である40V以上であるか否かを確認する(S12)。
演算回路4は、実効値Vrmsが40V未満の場合には(S12:N)、電力系統の交流電圧が異常な値になっている旨の信号を出力して、出力端子9に接続された表示器にその旨を表示させる(S13)。そして、処理を終了する。
演算回路4は、実効値Vrmsが40V以上の場合には(S12:Y)、続いて、閾値設定回路5に設定した閾値が、線間電圧Vabの最大値Vm以上になっていないかを確認する(S14)。演算回路4は、閾値が最大値Vm以上の場合には(S14:N)、上記初期設定の処理で説明した閾値設定方法により閾値を再度算出する。そして、閾値設定回路5を介して波形整形回路6に閾値を再設定して(S15)、ステップS16の処理を行う。一方、演算回路4は、閾値が最大値Vm未満であれば(S14:Y)、続いてステップS16の処理を行う。
図4(B),図4(C)に示すように、波形整形回路6は、入力信号である合成波G13から閾値S以上の信号PU1を抽出する。そして、波形整形回路6は、図4(D)に示すように、抽出した信号PU1をパルス信号(矩形波)P1に整形して測定回路7に出力する(S16)。
測定回路7は、入力されたパルス信号(矩形波)P1の1周期間(あるパルスから次のパルスまでの間)において、発振器8が出力したクロックを計数して、クロックの計数結果を演算回路4に出力する(S17)。
演算回路4は、測定回路7が出力したクロック数に基づいて、電力系統の交流電圧(基本波)の周波数Fを算出する(S18)。
例えば、発振器8のクロックが250kHzの場合、発振器8のクロックの1周期は4μsである。測定回路7が計数したクロック数が5000カウントの場合には、
周波数F=1/(5000カウント×4μs)=1/20ms=50Hz
である。
周波数F=1/(5000カウント×4μs)=1/20ms=50Hz
である。
なお、ピーク信号PU1をパルス信号P1に整形せずに、ピーク信号PU1の1周期間Tを測定してもよい。
演算回路4は、算出した周波数Fが、予め設定した周波数範囲内であるかを確認する(S19)。電力系統の交流電圧の周波数Fが通常50Hzに保持されている場合、予め設定した周波数範囲としては、例えば40Hz〜60Hzに設定する。
演算回路4は、算出した周波数Fが、予め設定した周波数範囲内であれば(S19:Y)、周波数Fに応じた信号を出力して、出力端子9に接続された表示器に周波数を表示させる(S20)。そして、ステップS11以降の処理を行う。
一方、演算回路4は、算出した周波数Fが、予め設定した周波数範囲から外れていれば(S19:N)、周波数Fが周波数範囲外であるのが所定回数(例えば、5回)連続しているかを確認する(S21)。演算回路4は、周波数Fが周波数範囲外である連続回数が所定回未満であれば、閾値を変更する(S22)。すなわち、演算回路4は、電力系統の交流電圧の周波数が、周波数範囲よりも大きければ(例えば60Hz超であれば)、閾値を大きな値に変更する。また、演算回路4は、電力系統の交流電圧の周波数が、周波数範囲よりも小さければ(例えば40Hz未満であれば)、閾値を小さな値に変更する。なお、閾値の変更幅は予め設定しておけばよい。
また、このときには、演算回路4は、直前に測定した周波数をに応じた信号を出力する(S23)。そして、ステップS11以降の処理を行う。
一方、演算回路4は、ステップS21において、周波数Fが周波数範囲外である連続回数が所定回であれば、線間電圧Vabの周波数Fが異常な値になっている旨の信号を出力して、出力端子9に接続された表示器にその旨を表示させる(S24)。このとき、表示器に周波数Fも合わせて表示させてもよい。そして、処理を終了する。
なお、上記の説明において、周波数範囲の設定や周波数を連続的に確認する回数は、周波数計測装置1の用途や測定対象に応じて設定する。
次に、周波数計測装置の別の構成を説明する。図5(A)は、図2に示した周波数計測装置にフィルタを追加した構成を示すブロック図である。図5(B)は、2つの閾値を設定する構成を備えた周波数計測装置のブロック図である。
図5(A)に示すように、周波数計測装置1Bは、図2に示した周波数計測装置1の構成に加えて、入力端子2と波形整形回路6の間にフィルタ回路10を備えている。周波数計測装置1と同じ要素には同じ符号を付している。フィルタ回路10は、外来ノイズや高調波等のノイズを減衰(減衰)させるローパスフィルタやノッチフィルタである。
周波数計測装置1Bでは、ノイズを減衰させるフィルタを入力端子2に設けることで、電力系統の交流電圧に、外来ノイズが重畳しても、外来ノイズを減衰させることができる。これにより、合成波において、外来ノイズが重畳した部分が最大のピークになることがなく、電力系統の交流電圧の周波数を精度良く測定できる。
また、基本波に次数の異なる複数の高調波が重畳すると、合成波の最大ピークと2番目に大きなピークの差が僅かになることがあるが、フィルタ回路10を設けることで、ある次数以上の高調波を減衰したり、特定の次数の高調波を減衰したりすることができる。これにより、合成波から最大のピークを抽出できるので、電力系統の交流電圧の周波数の測定精度を高めることができる。
なお、フィルタ回路10の遮断周波数は、周波数計測装置1Bの用途や測定対象に応じて設定する。
また、合成波の最大ピークと2番目に大きなピークの差が所定電圧以下(例えば、電圧差が5V以下)の場合には、2つのピークの差がなくなるように波形を鈍らせる特性のフィルタ回路10を設けるか、または、合成波の最大ピークと2番目に大きなピークの差がなくなるように、波形整形回路6において入力波形を整形するようにすることが可能である。このようにすることで、合成波の最大ピークを確実に抽出できる。
次に、図5(B)に示す周波数計測装置1Cは、図2に示した周波数計測装置1の構成に、さらに別の閾値を設定できるように、閾値設定回路5B及び波形整形回路6Bを備えている。閾値設定回路5Bは閾値設定回路5と同様に動作し、波形整形回路6Bは、波形整形回路6と同様に動作する。
周波数計測装置1Cでは、演算回路4Bは、ADC3が出力した電力系統の交流電圧(入力信号)に基づいて、閾値設定回路5と閾値設定回路5Bに異なる閾値を設定するように制御信号を出力する。
例えば、演算回路4Bは、閾値設定回路5を介して波形整形回路6に、周波数計測装置1と同様に入力信号から最大のピークを抽出できるように第1の閾値を設定する。一方、演算回路4Bは、閾値設定回路5Bを介して、波形整形回路6Bに、閾値設定回路5に設定する閾値よりも大きな値(または小さな値)を第2の閾値として設定する。
このように2つの閾値を設定すると、波形整形回路6は、入力端子2から入力された入力信号から第1の閾値以上の第1信号を抽出して測定回路7Bに出力する。一方、波形整形回路6Bは、入力端子2から入力された入力信号から第2の閾値以上の第2信号を抽出して測定回路7Bに出力する。
測定回路7Bは、第1信号の周期と第2信号の周期とを測定して、第1信号の周期と第2信号の周期を演算回路4Bに出力する。演算回路4Bは、測定回路7Bが出力した第1信号の周期と、第2信号の周期について、予め設定した基準周期範囲内であるかを確認し、この基準範囲内である周期の信号を選択する。そして、選択した信号基づいて周波数を求める。
周波数の測定中にさらに別のノイズが重畳した場合には、入力信号における最大のピークレベルがさらに大きくなることがある。このような場合に、閾値設定回路5に設定する第1の閾値よりも大きな値を第2閾値として設定しておくことで、第1閾値を変更することなく、電力系統の交流電圧の周波数を誤って測定しまうのを防止できる。
また、周波数の測定中に急な負荷変動や事故の発生により電力系統の交流電圧が低下した場合には、入力信号における最大のピークレベルが小さくなることがある。このような場合に、閾値設定回路5に設定する第1閾値よりも小さな値を第2閾値として設定しておくことで、電力系統の交流電圧の周波数の測定精度を高めることができる。
なお、図5(B)には、2つの異なる閾値を設定した場合を示したがこれに限らず、さらに複数の閾値を設定するように構成してもよい。
このように複数の閾値を設定することで、測定対象信号の周波数をより正確に測定できる。
1,1B,1C…周波数計測装置 2…入力端子 3…ADC(A/Dコンバータ) 4,4B…演算回路 5,5B…閾値設定回路 6,6B…波形整形回路 7,7B…測定回路 8…発振器 9…出力端子 10…フィルタ回路
Claims (5)
- 周波数の測定対象信号である交流信号にノイズが重畳した入力信号から、該ノイズの大きさに応じた閾値を設定する閾値設定手段と、
前記閾値設定手段が設定した閾値以上の信号を前記入力信号から抽出する抽出手段と、
前記抽出手段が抽出した信号の周期を測定する測定手段と、
前記測定手段が測定した周期に基づいて、前記交流信号の周波数を求める演算手段と、
を備えた周波数計測装置。 - 前記閾値設定手段は、入力信号に含まれるノイズの大きさをフーリエ変換により算出する請求項1に記載の周波数計測装置。
- 前記閾値設定手段は、一定期間における前記入力信号の最大のピークと2番目に大きなピークの間に閾値を設定する請求項1に記載の周波数計測装置。
- 入力信号に含まれるノイズを減衰して、その信号を前記閾値設定手段及び前記抽出手段に出力するフィルタ手段を備えた、請求項1乃至3のいずれかに記載の周波数計測装置。
- 前記閾値設定手段は、前記入力信号に基づいて設定する閾値である第1の閾値に加えて、この第1の閾値と異なる第2の閾値を設定し、
前記抽出手段は、前記第1の閾値以上の第1信号と、前記第2の閾値以上の第2信号と、を前記入力信号から抽出し、
前記測定手段は、前記第1信号の周期と前記第2信号の周期とを測定し、
前記演算手段は、前記第1信号の周期または前記第2信号の周期のうち、予め設定した基準周期範囲内の信号について周波数を求める、請求項1乃至4のいずれかに記載の周波数計測装置。
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