JP2012144652A - プライマー組成物及び該組成物を用いた光半導体装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とを接着するプライマー組成物であって、
(A)1分子中に少なくとも1個のシラザン結合を有したシラザン化合物又はポリシラザン化合物
(B)溶剤
を含有することを特徴とするプライマー組成物。
【選択図】図1
Description
しかし、エポキシ樹脂ベースの封止材では、近年の半導体パッケージの小型化やLEDの高輝度化にともなう発熱量の増大や光の短波長化によってクラッキングや黄変が発生しやすく、信頼性の低下を招いていた。
しかしながら、LEDを実装する基板と、付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物からなる封止材との接着性は十分と言えるものではない。
なお、本発明に関連する従来技術として、上述した文献と共に下記文献が挙げられる。
〔請求項1〕
光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とを接着するプライマー組成物であって、
(A)1分子中に少なくとも1個のシラザン結合を有したシラザン化合物又はポリシラザン化合物
(B)溶剤
を含有することを特徴とするプライマー組成物。
〔請求項2〕
前記(A)成分が分岐した構造を持つポリシラザン化合物であり、前記(B)成分の配合量が組成物全体の70質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
〔請求項3〕
更に、(C)シランカップリング剤
を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプライマー組成物。
〔請求項4〕
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプライマー組成物により、光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とが接着されてなることを特徴とする光半導体装置。
〔請求項5〕
前記光半導体素子が、発光ダイオードであることを特徴とする請求項4に記載の光半導体装置。
〔請求項6〕
前記基板の構成材料が、ポリアミド、セラミックス又は液晶ポリマーであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光半導体装置。
〔請求項7〕
前記付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物が、ゴム状であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の光半導体装置。
本発明のプライマー組成物は、
(A)1分子中に少なくとも1個のシラザン結合を有したシラザン化合物又はポリシラザン化合物
(B)溶剤
を含有することを特徴とする。以下、このプライマー組成物について説明する。
(A)成分の1分子中に少なくとも1個のシラザン結合を有したシラザン化合物、又はポリシラザン化合物は、本発明の特徴成分であり、例えばLEDを実装する基板、特にセラミックス基板やポリアミド樹脂基板に対して十分な接着性を与えるとともに、該基板上に形成された金属電極(特にAg電極)の経時的な腐食を抑制するものである。
(式中、mは3〜8の整数であり、Aは(メタ)アクリロキシ基含有基、メルカプト基含有基、エポキシ基含有基又はビニル基であり、a1、b1は0≦a1<1、0<b1≦1で、a1+b1=1を満足する数、a2、b2は0<a2<1、0<b2<1で、a2+b2=1を満足する数、a3、b3は0≦a3<1、0<b3≦1で、a3+b3=1を満足する数である。)
(B)成分の溶剤は、本組成物を構成する上記(A)成分及び後述する任意成分を溶解するものであれば特に限定されるものではなく、公知の有機溶剤を使用することができる。該溶剤としては、例えば、キシレン、トルエン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤、ヘプタン、ヘキサン等の脂肪族炭化水素系溶剤、トリクロロエチレン、パークロロエチレン、塩化メチレン等のハロゲン化炭化水素系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、メチルイソブチルケトン、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤、リグロイン、シクロヘキサノン、ジエチルエーテル、ゴム揮発油、シリコーン系溶剤などが挙げられる。中でも酢酸エチル、へキサン、アセトンが好適に用いられる。
(B)成分は、プライマー塗布作業時の蒸発速度に応じて、1種を単独で用いても2種以上を組合せて混合溶剤として用いてもよい。
本発明においては、更に(C)シランカップリング剤を配合することができる。該シランカップリング剤としては、一般的なシランカップリング剤でよく、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等のビニル基含有シランカップリング剤、グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシ基含有シランカップリング剤、メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤などが挙げられる。中でもビニルトリメトキシシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本発明のプライマー組成物は、上記成分以外に、必要に応じて、その他任意成分を配合することができる。例えば、金属腐食抑制剤として、ベンゾトリアゾール、ブチルヒドロキシトルエン、ハイドロキノン又はその誘導体を配合することができる。ベンゾトリアゾール、ジブチルヒドロキシトルエン、ハイドロキノン又はその誘導体は、LEDランプが過酷な外部環境に曝されて、例えば大気中の硫黄化合物が光半導体装置の封止材(付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物)を透過した場合に、この封止材で封止された基板上の金属電極、特にAg電極の腐食をより効果的に抑制する成分である。
金属腐食抑制剤を添加する場合の配合量は、(A)、(B)成分の合計100質量部に対して0.005〜1質量部、特に0.01〜0.5質量部であることが好ましい。
本発明のプライマー組成物の製造方法としては、上記(A)、(B)成分及び必要に応じて任意成分を常温下で混合撹拌機により均一に混合する方法等が挙げられる。
本発明の光半導体装置は、上記プライマー組成物により、光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とが接着されてなることを特徴とする。以下、本発明の光半導体装置について図面を参照して説明する。
蛇管冷却器、温度計を備えた2Lの四つ口フラスコに、酢酸エチル1,000gを入れ、ここに、メタクリロイルオキシプロピルトリクロロシラン3.8g(0.015mol)、メチルトリクロロシラン41.5g(0.28mol)を投入し、氷浴下にて撹拌した。系内が10℃以下になった時点でアンモニアガス15g(0.89mol)を吹き込み、吹き込んだ後に3時間撹拌した。撹拌終了後、副生成物である塩化アンモニウムをろ別し、酢酸エチルの4質量%ポリシラザン溶液として仕上げた。
蛇管冷却器、温度計を備えた2Lの四つ口フラスコに、酢酸エチル1,000gを入れ、ここに、ジメチルジクロロシラン19g(0.15mol)、メチルトリクロロシラン22.5g(0.15mol)を投入し、氷浴下にて撹拌した。系内が10℃以下になった時点でアンモニアガス14g(0.83mol)を吹き込み、吹き込んだ後に3時間撹拌した。撹拌終了後、副生成物である塩化アンモニウムをろ別し、酢酸エチルの4質量%ポリシラザン溶液として仕上げた。
メタクリル酸メチル100質量部、酢酸エチル900質量部、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部を80℃で3時間加熱撹拌し、メタクリル酸メチル重合体を含有する溶液を調製した。
メタクリル酸メチル83質量部、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン17質量部、酢酸エチル900質量部、AIBN(2,2’−アゾビスイソブチロニトリル)0.5質量部を80℃で3時間加熱撹拌し、メタクリル酸メチル重合体を含有する溶液を調製した。
上記合成例1で調製したポリシラザン化合物の酢酸エチル溶液100質量部に、ビニルトリメトキシシラン1質量部、ハイドロキノン0.1質量部を添加、撹拌し、プライマー組成物を得た。
得られたプライマー組成物を用いて、各種物性(外観、透過率、接着性(接着強度)及び腐食性)を下記に示す評価方法により測定し、結果を表1に示した。なお、表1に示した物性は、23℃において測定した値である。
得られたプライマー組成物をアルミナセラミックス板上に厚さ2μmとなるように刷毛塗りし、23℃で30分放置して乾燥させた後、このプライマー組成物上に付加反応硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製、KER−2700)を2mm厚で塗布して150℃で1時間硬化させて、その外観を観察した。
得られたプライマー組成物をスライドガラス上に厚さ2μmとなるように刷毛塗りし、23℃で30分放置して乾燥させ、プライマー組成物被膜を形成した。このプライマー組成物被膜が形成されたスライドガラスの波長400nmにおける透過率を、空気をブランクとして測定した。また、上記プライマー組成物被膜が形成されたスライドガラスを150℃×500時間耐熱劣化させ、この透過率を上記と同様に測定した。
図2に示すような接着試験用のテストピース11を作製した。即ち、2枚のアルミナセラミックス基板12,13(ケーディーエス社製、幅25mm)のそれぞれの片面に、得られたプライマー組成物を厚さ0.01mmで塗布し、23℃で60分放置して乾燥させ、プライマー組成物被膜14,15を形成した。これらアルミナセラミックス基板をプライマー組成物被膜14,15が形成された面を対向させて、それらの端部が10mm重なるようにし、その間に付加反応硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製、KER−2700)を1mm厚で挟み込むようにして、150℃で2時間加熱することにより該付加反応硬化型シリコーンゴム組成物を硬化させ、シリコーンゴム組成物の硬化物16により接着(接着面積25mm×10mm=250mm2)された2枚のアルミナセラミックス基板からなるテストピースを作製した。
このテストピースのアルミナセラミックス基板12,13のそれぞれの端部を反対方向(図2の矢印方向)に、引っ張り試験機(島津製作所製、オートグラフ)を用いて引張速度50mm/分で引っ張り、単位面積あたりの接着強度(MPa)を求めた。
得られたプライマー組成物を銀メッキ板上に厚さ2μmとなるように刷毛塗りし、23℃で30分放置して乾燥させた後、この上に付加反応硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製、KER−2700)を1mm厚で塗布し、150℃で1時間硬化させてシリコーンゴム層を有するテストピースを作製した。このテストピースを硫黄結晶0.1gとともに100ccガラス瓶に入れ、密閉して70℃で放置し、1日後、8日後、及び12日後の各時点でテストピースのシリコーンゴム層を剥がして、銀メッキ板の該シリコーンゴム層を剥がした部分の腐食の程度を目視で観察し、下記基準で評価した。
○:腐食(変色)なし
△:多少の腐食(変色)
×:黒変
上記合成例2で調製したポリシラザン化合物の酢酸エチル溶液100質量部をそのまま使用し、プライマー組成物を得た。この組成物を用いて、各種物性を実施例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
プライマー組成物を塗布せずに直接付加反応硬化型シリコーンゴム組成物(信越化学工業株式会社製、KER−2700)をアルミナセラミックス板及び銀メッキ板に塗布した。この物性(接着性及び腐食性)を実施例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
比較合成例1で調製したメタクリル酸メチルエステル重合体の酢酸エチル溶液100質量部に、ビニルトリメトキシシラン1質量部、ハイドロキノン0.1質量部を添加、撹拌し、プライマー組成物を得た。この組成物を用いて、各種物性を実施例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
比較合成例2で調製したメタクリル酸メチルエステル重合体の酢酸エチル溶液100質量部に、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン1質量部、テトラ−n−ブチルチタネート1質量部を添加、撹拌し、プライマー組成物を得た。この組成物を用いて、各種物性を実施例1と同様にして測定し、結果を表1に示した。
スライドガラスに塗布したプライマー組成物被膜の耐熱性試験では、変色がなく、被膜自体の変化もなく、耐熱性も優れていた。
また、アルミナセラミックスの代わりに、銀メッキ板を使用した腐食性試験では、実施例1,2のいずれも1日経過後で変色がなく、12日経過しても変色(腐食)抑制の効果があった。
2 プライマー組成物
3 LED
4 基板
5 付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物
6 金属電極
7 ボンディングワイヤ
11 テストピース
12、13 アルミナセラミックス基板
14、15 プライマー組成物被膜
16 付加反応硬化型シリコーンゴム組成物の硬化物
Claims (7)
- 光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とを接着するプライマー組成物であって、
(A)1分子中に少なくとも1個のシラザン結合を有したシラザン化合物又はポリシラザン化合物
(B)溶剤
を含有することを特徴とするプライマー組成物。 - 前記(A)成分が分岐した構造を持つポリシラザン化合物であり、前記(B)成分の配合量が組成物全体の70質量%以上であることを特徴とする請求項1に記載のプライマー組成物。
- 更に、(C)シランカップリング剤
を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプライマー組成物。 - 請求項1乃至3のいずれか1項に記載のプライマー組成物により、光半導体素子を実装した基板と、前記光半導体素子を封止する付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物とが接着されてなることを特徴とする光半導体装置。
- 前記光半導体素子が、発光ダイオードであることを特徴とする請求項4に記載の光半導体装置。
- 前記基板の構成材料が、ポリアミド、セラミックス又は液晶ポリマーであることを特徴とする請求項4又は5に記載の光半導体装置。
- 前記付加反応硬化型シリコーン組成物の硬化物が、ゴム状であることを特徴とする請求項4乃至6のいずれか1項に記載の光半導体装置。
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