JP2012144208A - 航続距離延長装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】レンジエクステンダ1は、モータジェネレータ30と、エンジン20と、燃料貯留部40と、燃料供給部と、を備える。モータジェネレータ30は、バッテリ10の充電量が不足した場合にバッテリ10を充電可能である。エンジン20は、モータジェネレータ30を駆動する。燃料貯留部40は、エンジン20に供給される燃料を貯留する。燃料供給部は、燃料貯留部40に貯留された燃料をエンジン20に供給する。エンジン20に供給される燃料は、気体燃料であるDMEを含む。DMEは、ガソリンや軽油と比較して気化しやすいので、比較的簡素な構成で燃料供給部を構成することができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡素な構成で高効率に航続距離を延長可能な航続距離延長装置を提供することにある。
本発明では、内燃機関に供給される燃料は、少なくとも1種類の気体燃料を含む。気体燃料は、ガソリンや軽油等と比較して気化しやすいので、比較的簡素な構成で燃料供給部を構成することができる。また、燃料としてガソリンや軽油を用いる場合と比較して排気中のPMやHC等を低減することができる。
請求項3に記載の発明では、内燃機関に供給される燃料は、セタン価の異なる複数の燃料を含む。これにより、例えば請求項2に記載の構成を採用し、予混合圧縮燃焼方式とした場合、セタン価の異なる複数の燃料の供給割合を調整することにより、温度等の環境が変動しても、燃焼状態を安定させることができる。
請求項4に記載の発明では、複数の燃料は、液体燃料を含む。燃料供給部は、液体燃料を噴射する噴射弁と、噴射弁の噴孔の下流側に設けられる混合室が形成される混合部とを有する。また、気体燃料は混合室に供給される。噴射弁から噴射された液体燃料に気体燃料を供給することにより、液体燃料の微粒化が促進される。これにより、燃焼効率がより高まり、航続距離を延長することができる。また、PM、HC等の排出量を低減することができる。
請求項7に記載の発明では、燃料貯留部は、気体燃料貯留部と、液体燃料貯留部と、連通管と、を有する。気体燃料貯留部は、気体燃料を貯留する。液体燃料貯留部は、液体燃料を貯留する。また、液体燃料貯留部には、可動しきりにより区画される液体室および気体室が形成される。連通管は、気体燃料貯留部と気体室とを連通する。可動しきりは、気体室に供給される気体燃料の蒸気圧により駆動され、液体室および気体室の容積を変更可能である。気体燃料貯留部に貯留された燃料の一部が連通管を経由して液体燃料貯留部の気体室に供給され、供給された気体燃料の蒸気圧により可動しきりが駆動されると、液体室内の液体燃料が液体燃料通路に送出される。これにより、ポンプ等の構成を設けなくても、気体燃料の蒸気圧により液体燃料を内燃機関側に送出することができ、より簡素な構成とすることができる。
請求項9に記載の発明では、気体燃料は、ジメチルエーテル(以下、「DME」という。)を含む。ジメチルエーテルは、セタン価が高いので自着火しやすく、また、含酸素燃料であるのでPMの発生を抑制することができるので、好適に用いられる。また、DMEよりもセタン価の低い液化石油ガス(以下、「LPG」という。)やメタノールと併用することにより、内燃機関に供給される燃料のセタン価を適切に調整することができる。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態による航続距離延長装置を図1〜図4に基づいて説明する。本実施形態の航続距離延長装置としてのレンジエクステンダ1は、電気自動車である車両100に適用される。
エンジン20は、バッテリ10の充電量が所定量以下となったときに駆動される。エンジン20のクランクシャフトは、ベルト等を介してモータジェネレータ30およびコンプレッサ33に連結される。モータジェネレータ30は、エンジン20により駆動されて発電機として機能し、発生した電力をバッテリ10に供給することによりバッテリ10を充電可能である。また、モータジェネレータ30は、バッテリ10に充電された電力により駆動することもできる。このとき、モータジェネレータ30は、電動機として機能する。
なお、エンジン20への燃料供給系統については後述する。
電気ヒータ36は、バッテリ10により駆動され、車室内の暖房に用いられる。
本実施形態のエンジン20は、予混合圧縮燃焼式のエンジン(以下、適宜「HCCIエンジン」という。)である。エンジン20のシリンダ21には、ピストン22が往復摺動可能に設けられている。シリンダ21のピストン22の頂面側には、燃焼室24が形成される。燃焼室24には、燃料貯留部40に貯留された燃料が供給される。また、燃焼室24には、吸気管26および排気管28が接続される。吸気管26および吸気弁27を経由して燃焼室24に流入した吸気と燃料とが燃焼室24内で予め混合され、ピストン22が上死点方向へ移動することにより、燃焼室24内の吸気と混合された燃料が圧縮されて自着火する。燃料の燃焼により生じた排気は、排気弁29および排気管28を経由して外部へ排出される。
本実施形態では、気体燃料貯留部41には気体燃料であるDMEが貯留され、液体燃料貯留部42には液体燃料であるメタノールが貯留されている。DMEは、加圧され液化した状態にて気体燃料貯留部41に貯留される。気体燃料貯留部41に貯留されたDMEは、矢印A1に示すように気体燃料通路51および調量弁55を経由し、気化した状態にて燃焼室24に連通する混合部63の混合室64に供給される。液体燃料貯留部42に貯留されたメタノールは、矢印A2に示すように液体燃料通路52および噴射弁60を経由して燃焼室24に連通する混合部63に供給される。
液体室46は液体燃料通路52と連通しており、気体室47は液体燃料通路52と連通していない。また、気体室47は、連通管49を経由して気体燃料貯留部41と連通し、気体室47には、矢印A3に示すように気体燃料貯留部41に貯留されたDMEが気化した状態で供給される。気体室47に供給されるDMEの蒸気圧により可動しきり45が液体室46側へ移動すると、液体室46内のメタノールが液体燃料通路52に送出される。このように構成することにより、ポンプ等を用いることなく液体燃料貯留部42の液体室46に貯留された液体燃料であるメタノールをエンジン20側へ供給することができる。
噴射弁60は、液体燃料通路52に設けられ、メタノールを噴孔61から混合部63に形成される混合室64に噴射する。混合室64は、噴射弁60の下流側に設けられており、燃焼室24と連通している。
調量弁55は、気体燃料通路51に設けられ、エンジン20側へ供給されるDMEの量が調量される。調量弁55により調量されたDMEは、混合部63に供給される。
混合室64では、噴射弁60の噴孔61から中心付近にメタノールが噴射され、径方向外側からDMEが供給される。これにより、噴孔61から噴射されたメタノールの微粒化が促進され、燃焼効率を改善することができる。また、混合室64の中心付近と外周側とでセタン価が均一にならず、燃焼室24においても燃料のセタン価が空間的にばらつくことにより燃焼時間に差が生じるため、自着火燃焼の時間的なピークを緩和することができ、エンジン20の振動や作動音等が低減される。
ガソリン、メタノール、LPG、天然ガス等の燃料は、オクタン価が高く、ガソリンエンジン内でノッキングしにくい。これらの燃料は、主にオットーエンジンに用いられる。ガソリン、メタノール、LPG、天然ガス等のオクタン価の高い燃料は、換言するとセタン価が低いとも言える。
また、軽油やGTL等のセタン価が高く、自着火しやすく、ディーゼルノックしにくい。これらの燃料は、主にディーゼルエンジンに用いられる。
また、燃料としてセタン価の異なるDMEおよびメタノールを用いているので、調量弁55および噴射弁60を制御してDMEおよびメタノールの供給割合を調整することにより、温度等の環境が変動しても、燃焼状態を安定させることができる。
本発明の第2実施形態によるレンジエクステンダは、燃料貯留部および燃料供給部の構成が第1実施形態と異なっているので、これらの構成を中心に説明し、他の構成についての説明は省略する。
上記実施形態では、セタン価の異なる燃料がそれぞれ異なる燃料貯留部に貯留されていたが、本実施形態では、図5に示すように、複数の燃料が混合されて燃料貯留部140に貯留されている。燃料貯留部140には、比較的セタン価の高いDMEと、DMEよりセタン価の低いブタンとが混合されて貯留されている。DMEおよびブタンは、常温常圧において気体であるが、燃料貯留部140内においては加圧されて貯留されており、その一部が液化している。図5中に記号Lで示す液体部分はブタンリッチとなっており、記号Gで示す気体部分はDMEリッチとなっている。なお、例えば燃料としてDMEおよびメタンを用いた場合、液体部分LがDMEリッチとなり、気体部分Gがメタンリッチとなる。
また、燃料貯留部140は、重力方向に対して傾斜して設けられる。
また、第1の燃料通路151および第2の燃料通路152には、それぞれ図示しない調量弁が設けられ、この調量弁を制御することによりエンジン20へ供給される燃料のセタン価を適切に調整することができる。これにより、簡素な構成でエンジン20に供給される燃料のセタン価を調整することができる。
また、上記実施形態と同様の効果を奏する。
上記実施形態では、燃料としてメタノール、ブタンまたはメタンとDMEとを用いた。他の実施形態では、DMEとLPGとを用いてもよい。LPGは、ブタンおよびプロパンなどが主成分であり、図7に示すように、DMEの飽和蒸気圧は、ブタンの飽和蒸気圧とプロパンの飽和蒸気圧の中間の値である。また、図6に示すように、DMEおよびLPGのセタン価は異なっている。さらにまた、DMEは、加圧により容易に液化するので、LPGと同様の燃料供給系を用いることができる。したがって、DMEおよびLPGを好適に併用することができる。DMEとLPGとは、第1実施形態にように異なる燃料貯留部から供給されるように構成してもよい。この場合、噴射弁に替えて、いずれも調量弁により調量するように構成してもよい。また、第2実施形態にように1つの燃料貯留部から供給されるように構成してもよい。例えば、LPGとDMEとが予め混合されて流通しているものを用いてもよい。もちろん、ここで例示した以外の燃料を用いてもよい。また、1種類の燃料を用いてもよいし、3種類以上の燃料を混合して用いてもよい。
燃料貯留部としては、カセット式を含むボンベを用いることで、構成を簡素化することができる。
上記実施形態では、バッテリの充電が不足した場合にエンジンを駆動していた。他の実施形態では、バッテリの充電量が不足していない場合にも、例えば車室内の暖房用としてエンジンを駆動するようにしてもよい。
以上、本発明は、上記実施形態になんら限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の形態で実施可能である。
10・・・バッテリ(電池)
11・・・車両駆動用モータ(第1の回転電機)
20・・・エンジン(内燃機関)
24・・・燃焼室
30・・・モータジェネレータ(第2の回転電機)
32・・・空調ユニット
40・・・燃料貯留部
41・・・気体燃料貯留部
42・・・液体燃料貯留部
45・・・可動しきり
46・・・液体室
47・・・気体室
49・・・連通管
50・・・燃料供給部
51・・・気体燃料通路
52・・・液体燃料通路
55・・・調量弁
60・・・噴射弁
61・・・噴孔
63・・・混合部
100・・・車両
140・・・燃料供給部
151・・・第1の燃料通路
152・・・第2の燃料通路
Claims (9)
- 電池に充電された電力により第1の回転電機を駆動し、前記第1の回転電機の駆動により生じる駆動力により走行する車両に用いられる航続距離延長装置であって、
前記電池の充電量が不足した場合に前記電池を充電可能な第2の回転電機と、
前記第2の回転電機を駆動する内燃機関と、
前記内燃機関に供給される燃料を貯留する燃料貯留部と、
前記燃料貯留部に貯留された燃料を前記内燃機関に供給する燃料供給部と、
を備え、
前記内燃機関に供給される燃料は、少なくとも1種類の気体燃料を含むことを特徴とする航続距離延長装置。 - 前記内燃機関は、予混合圧縮燃焼方式による内燃機関であることを特徴とする請求項1に記載の航続距離延長装置。
- 前記内燃機関に供給される燃料は、セタン価の異なる複数の燃料を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の航続距離延長装置。
- 前記複数の燃料は、液体燃料を含み、
前記燃料供給部は、
前記液体燃料を噴射する噴射弁と、
前記噴射弁の噴孔の下流側に設けられる混合室が形成される混合部と、
を有し、
前記気体燃料は、前記混合室に供給されることを特徴とする請求項3に記載の航続距離延長装置。 - 前記気体燃料は、径方向外側から前記混合室に供給されることを特徴とする請求項4に記載の航続距離延長装置。
- 前記燃料供給部は、前記気体燃料を前記内燃機関側へ供給する気体燃料通路、および、前記液体燃料を前記内燃機関側へ供給する液体燃料通路を有し、
前記液体燃料は、前記気体燃料の蒸気圧により前記液体燃料通路に送出されることを特徴とする請求項4または5に記載の航続距離延長装置。 - 前記燃料貯留部は、
前記気体燃料を貯留する気体燃料貯留部と、
可動しきりにより区画される液体室および気体室が形成され、前記液体燃料を貯留する液体燃料貯留部と、
前記気体燃料貯留部と前記気体室とを連通する連通管と、
を有し、
前記可動しきりは、前記気体室内に供給される前記気体燃料の蒸気圧により駆動され、前記液体室および前記気体室の容積を変更可能であることを特徴とする請求項6に記載の航続距離延長装置。 - 前記燃料貯留部には、前記複数の燃料の一部が液化した状態で混合されて貯留され、
前記燃料供給部は、前記燃料貯留部の液面より上方に開口し前記燃料貯留部内で気化している燃料を前記内燃機関側へ供給する第1の燃料通路、および、前記燃料貯留部の液面より下方に開口し前記燃料貯留部内で液化している燃料を前記内燃機関側へ供給する第2の燃料通路を有することを特徴とする請求項3〜6のいずれか一項に記載の航続距離延長装置。 - 前記気体燃料は、ジメチルエーテルを含むことを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の航続距離延長装置。
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