JP2012135982A - 筆記具用リフィル及び筆記具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 筆記部から液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクをペン先部の先端にある筆記部に供給することのできる筆記具用リフィルを提供する。
【解決手段】 液体インクを貯留したインク貯留部と、液体インクが供給される筆記部を先端に有するペン先部とを備えた筆記具用リフィルであって、ペン先部の筆記部に供給する液体インクの量を適正に調整するための液体インク調整部を備え、該液体インク調整部は、インク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段と、該インク吸蔵手段とペン先部との間に介設され、インク吸蔵手段からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段の液体インクの吸蔵量バランスを図るコレクタと、コレクタに貫設されてインク吸蔵手段に吸蔵された液体インクをペン先部の筆記部に誘導するインク誘導手段とを備えていることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、筆記具用リフィル及び筆記具に関する。
これまで、種々タイプの筆記具が提供されているが、筆ペンや、ボールペン、万年筆等の筆記具は、共通の構成として、液体インクを貯留したインク貯留部と、該インク貯留部から液体インクが供給される筆記部(ペンポイント)を先端に有するペン先部とを備えている。
そして、この種の筆記具には、外装を構成する筒状の胴軸の一部又は全部に液体インクがそのまま貯留され、ペン先部が胴軸の一端に連設されたもの(筆記具の外装を構成する胴部をインク貯留部に兼用させたもの)や、外装を構成する筒状の胴軸に対し、インク貯留部及びペン先部を備えた外観棒状の筆記具用リフィルが挿入され、該筆記具用リフィルのペン先部が外部に露呈した状態で胴軸の一端に固定されたものがあるが、いずれも液体インクが筆記部に供給されるものであるため、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちの原因となる液体インクの過剰供給を抑制できる構成になっている。
具体的には、この種の筆記具には、綿やフェルト等のインク吸蔵手段がインク貯留部内に充填され、該インク吸蔵手段に含浸させた液体インクを筆記部に供給するようにしたもの(以下、このタイプを中綿式という)や、インク貯留部からの液体インクを毛細管現象で保持可能なコレクタがインク貯留部とペン先部との間に介設され、コレクタに貫設された中継芯等のインク誘導手段でインク貯留部内の液体インクを筆記部に供給するようにしたもの(以下、このタイプを直液式という)がある(例えば、特許文献1及び2参照)。
前記中綿式の筆記具は、インク吸蔵手段の吸液性(吸水力)で液体インクを保持することで、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されないようになっている。
これに対し、直液式の筆記具は、コレクタによるインク貯留部に対する液体インクの出し入れで該インク貯留部の内部圧力を調整することで、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されないようになっている。すなわち、直液式の筆記具は、インク貯留部の内圧上昇に伴って該インク貯留部から押し出される液体インクをコレクタが毛細管力で保持する一方、インク貯留部の内圧が低下したときにコレクタの保持する液体インクがインク貯留部に戻るようになっており、インク貯留部内の圧力バランスに応じて液体インクを該インク貯留部から出し入れすることで、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されないようになっている。
これにより、この種の筆記具は、いずれのタイプにおいても、筆記部からのインク漏れやインクの垂れ落ちが抑制されている。
特開2002−234291号公報 実用新案登録第2517432号公報
ところで、前記中綿式の筆記具は、インク貯留部全体に充填されたインク吸蔵手段に液体インクを含浸させているため、インク貯留部に液体インクをそのまま貯留した直液式の筆記具に比して液体インクの貯留量が少ないといった問題がある。
また、中綿式の筆記具は、インク吸蔵手段の吸液性(インク保持力)が抵抗となり、筆記部に対して筆記に最適な液量で液体インクが供給されないことがある。特に、中綿式の筆記具は、インク貯留部内の液体インクの残存量が少なくなると、インク吸蔵手段全体で残存する少量の液体インクを吸蔵しようとするため、筆記部に対する液体インクの供給量が格段に少なくなり、筆記時のかすれ等の発生が顕著になる。
これに対し、直液式の筆記具は、インク誘導手段を介してインク貯留部内の液体インクが筆記部に直接供給されるため、筆記部の液体インクが潤沢になり、筆記時にかすれ等が発生することがない。
しかしながら、直液式の筆記具は、液体インクがインク貯留部から筆記部に直接供給されるため、筆記部に対する液体インクの供給量が多くなりがちである。また、直液式の筆記具は、コレクタが保持する液体インクの量が当該コレクタにおける液体インクの最大保持量になると、それ以上の液体インクをコレクタで保持することができなくなるため、インク貯留部の内部圧力のバランスをとることができなくなり、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されてしまうことがある。
そこで、本発明は、斯かる実情に鑑み、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクをペン先部の先端にある筆記部に供給することのできる筆記具用リフィル及び筆記具を提供することを課題とする。
本発明に係る筆記具用リフィルは、液体インクを貯留したインク貯留部と、インク貯留部から液体インクが供給される筆記部を先端に有するペン先部とを備え、該ペン先部を露出させた状態で筆記具の外装を構成する胴軸に装着される筆記具用リフィルであって、インク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段と、該インク吸蔵手段とペン先部との間に介設され、インク吸蔵手段からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るコレクタと、該コレクタに貫設され、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクをペン先部の筆記部に誘導するインク誘導手段とを備えていることを特徴とする。
上記構成の筆記具用リフィルによれば、インク吸蔵手段が吸蔵した液体インクのみがインク誘導手段を介して筆記部に供給されるため、インク貯留部に貯留した液体インクを筆記部に直接供給する直液式の筆記具のように、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されることがない。そして、上記構成の筆記具用リフィルは、インク吸蔵手段がインク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するように構成されているため、インク貯留部に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が最大吸蔵量の液体インクを吸蔵することになる。すなわち、上記構成の筆記具用リフィルは、インク貯留部に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が液体インクで飽和した状態となる。従って、上記構成の筆記具は、中綿式の筆記具のように筆記部に供給される液体インクが不足することがなく、筆記部の液体インクを潤沢にすることができ、良好な筆記が可能となる。
そして、上述の如く、インク吸蔵手段が液体インクで飽和している状態でインク貯留部に液体インクが存在すると、インク吸蔵手段からペン先部側に液体インクが染み出てしまう虞があるが、本発明の筆記具用リフィルは、インク貯留部からの液体インクをコレクタが毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るように構成されているため、ペン先部(筆記部)に必要以上の液体インクが供給されることがなく、筆記部からの液体インク漏れや液体インクの垂れ落ちが確実に防止される。
また、上記構成の筆記具用リフィルは、コレクタが毛細管現象で液体インクを保持するように構成されているため、筆記によってインク吸蔵手段の液体インクが消耗され、インク吸蔵手段の吸蔵能力に余裕が出たときに、コレクタの保持する液体インクがインク吸蔵手段に戻り、インク誘導手段を介して筆記部に供給されることになる。
従って、本発明の筆記具用リフィルは、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクを筆記部に供給することができる。
本発明の筆記具用リフィルの一態様として、前記インク吸蔵手段は、液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されていることが好ましい。このようにすれば、液体インク残量の多少に拘わらずインク貯留部内に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が液体インクを潤沢に吸蔵することなり、インク誘導手段を介して筆記に最適な液量の液体インクを筆記部に供給することができる。
この場合、前記インク吸蔵手段の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍に設定されていることが好ましい。このようにすれば、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクの吸蔵量よりも、インク貯留部に貯留される液体インクの貯留量が格段に多くなるため、使用開始からインク貯留部内の液体インクを使い切るとき又は使い切る直前まで、インク吸蔵手段の液体インクを潤沢にすることができ、液体インクが無くなる或いは略無くなるまで良好な筆記が可能となる。
本発明に係る筆記具は、液体インクを貯留したインク貯留部と、該インク貯留部から液体インクが供給される筆記部を先端に有するペン先部とを備えた筆記具であって、インク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段と、該インク吸蔵手段とペン先部との間に介設され、インク吸蔵手段からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るコレクタと、該コレクタに貫設され、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクをペン先部の筆記部に誘導するインク誘導手段とを備えていることを特徴とする。
上記構成の筆記具によれば、インク吸蔵手段が吸蔵した液体インクのみがインク誘導手段を介して筆記部に供給されるため、インク貯留部に貯留した液体インクを筆記部に直接供給する直液式の筆記具のように、筆記部に対して液体インクが過剰に供給されることがない。そして、上記構成の筆記具は、インク吸蔵手段がインク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するように構成されているため、インク貯留部に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が最大吸蔵量の液体インクを吸蔵することになる。すなわち、上記構成の筆記具は、インク貯留部に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が液体インクで飽和した状態となる。従って、上記構成の筆記具は、中綿式の筆記具のように筆記部に供給される液体インクが不足することがなく、筆記部の液体インクを潤沢にすることができ、良好な筆記が可能となる。
そして、上述の如く、インク吸蔵手段が液体インクで飽和している状態でインク貯留部に液体インクが存在すると、インク吸蔵手段からペン先部側に液体インクが染み出てしまう虞があるが、本発明の筆記具は、インク貯留部からの液体インクをコレクタが毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るように構成されているため、ペン先部(筆記部)に必要以上の液体インクが供給されることがなく、筆記部からの液体インク漏れや液体インクの垂れ落ちが確実に防止される。
また、上記構成の筆記具は、コレクタが毛細管現象で液体インクを保持するように構成されているため、筆記によってインク吸蔵手段の液体インクが消耗され、インク吸蔵手段の吸蔵能力に余裕が出たときに、コレクタの保持する液体インクがインク吸蔵手段に戻り、インク誘導手段を介して筆記部に供給されることになる。
従って、本発明の筆記具は、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクを筆記部に供給することができる。
本発明の筆記具の一態様として、前記インク吸蔵手段は、液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されていることが好ましい。このようにすれば、液体インク残量の多少に拘わらずインク貯留部内に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段が液体インクを潤沢に吸蔵することなり、インク誘導手段を介して筆記に最適な液量の液体インクを筆記部に供給することができる。
この場合、前記インク吸蔵手段の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍に設定されていることが好ましい。このようにすれば、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクの吸蔵量よりも、インク貯留部に貯留される液体インクの貯留量が格段に多くなるため、使用開始からインク貯留部内の液体インクを使い切るとき又は使い切る直前まで、インク吸蔵手段の液体インクを潤沢にすることができ、液体インクが無くなる或いは略無くなるまで良好な筆記が可能となる。
以上のように、本発明に係る筆記具用リフィルによれば、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクをペン先部の先端にある筆記部に供給することができるという優れた効果を奏し得る。
また、本発明に係る筆記具においても、筆記部からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクをペン先部の先端にある筆記部に供給することができるという優れた効果を奏し得る。
本発明の一実施形態に係る筆記具の全体図を示す。 同実施形態に係る筆記具の全体断面図を示す。 同実施形態に係る筆記具の部分拡大断面図であって、(a)は、ペン先部、インク吸蔵手段、及びコレクタを含む部分拡大断面図を示し、(b)は、(a)のI−I断面を示し、(c)は、(a)のII−II断面を示す。 本発明の他実施形態に係る筆記具の全体断面図を示す。
以下、本発明の一実施形態に係る筆記具について、添付図面を参照しつつ説明する。
かかる筆記具は、図1に示す如く、外装を構成する胴軸2の一端側にペン先部31が固定されている。
より具体的に説明すると、本実施形態に係る筆記具1は、図2に示す如く、筒状の胴軸2と、該胴軸2に装着される筆記具用リフィル(以下、単にリフィルという)3とを備えている。
前記胴軸2は、一本の筒状体で構成されてもよいが、本実施形態においては、一端側が分離可能に構成されている。具体的には、前記胴軸2は、一端が開口した筒状の胴軸本体20と、該胴軸本体20の一端部に対して着脱可能な先筒体21とを備えている。
本実施形態に係る胴軸本体20は、樹脂成型品で構成されている。該胴軸本体20は、他端部が閉塞し、一端部の内周面に雌ねじ200が形成されている。
前記先筒体21は、筒状に形成されて両端が開口している。そして、先筒体21は、外観において一端側から他端側に向けて先細りするように外径が設定されている。そして、先筒体21は、一端部の外周に雄ねじ210が形成されており、胴軸本体20の雌ねじ200に対して雄ねじ210を螺合させることで、該胴軸本体20に対して同心で連結されるようになっている。
本実施形態に係る先筒体21は、内部の穴が段付き状に形成されており、一端側の穴が他端側の穴よりも大径になるように形成されている。本実施形態において、先筒体21は、大径穴H1に後述する調整手段保持体35が圧入され、小径穴H2にペン先部31(ペン先保持体311)が挿通されている。これにより、本実施形態に係る先筒体21は、調整手段保持体35に固着された状態になっており、胴部2の一構成でありながら、リフィル3の一構成にもなっている。
前記リフィル3は、液体インクを貯留したインク貯留部30と、インク貯留部30からの液体インクが供給される筆記部310を先端に有するペン先部31と、インク貯留部30に接続されて該インク貯留部30からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段32と、該インク吸蔵手段32とペン先部31との間に介設され、インク吸蔵手段32からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段32における液体インクの吸蔵バランスを図るコレクタ33と、該コレクタ33に貫設され、インク吸蔵手段32が吸蔵する液体インクをペン先部31の筆記部310に誘導するインク誘導手段34とを備えている。
前記インク貯留部30は、液体インクを収容する空間を液密に画定しており、内部に流動性のある低粘度の液体インクが充填されている。具体的に説明すると、本実施形態に係るインク貯留部30は、筒状に形成され、一方の端部が閉塞している。そして、本実施形態に係るインク貯留部30は、他端部にインク吸蔵手段32を保持した調整手段保持体35が接続されることで液密になっており、内部に液体インクを充填した状態で維持できるようになっている。なお、本実施形態に係る筆記具1に採用される液体インクは、流動性のあるものであればよく、顔料を含む水性インクや蛍光インク等の各種インクは勿論のこと、当該筆記具1が筆ペンである場合には、液体インクとして墨液が採用される。
前記ペン先部31は、図3(a)に示す如く、供給された液体インクを保持可能に構成された筆記部310と、該筆記部310を保持するペン先保持体311とを備えている。
筆記部310は、液体インクを毛細管力や吸液力で保持可能なフェルトチップや毛束等で構成されたものや、液体インクを外面に付着させるもの等で構成される。本実施形態において、前記筆記部310は、複数の毛B…を束ねた毛束で構成されている。複数の毛B…は、樹脂繊維であり、それぞれの一端が一体的に溶着されることで毛束を構成している。そして、筆記部310は、複数の毛B…を溶着することによって、一端部に毛束の径方向外方に延出したフランジFが形成されている。
前記ペン先保持体311は、筒状に構成され、前記筆記部310が先端側を外部に延出させるようにして挿通されている。そして、該ペン先保持体311は、前記調整手段保持体35の一端部に対して圧入されており、該調整手段保持体35に対して固定されている。本実施形態に係る筆記具1は、上述の如く、胴軸2の先筒体21がリフィル3の一構成になっているため、ペン先保持体311の先端部に径方向外方に突出した掛止爪312が形成されており、先筒体21の先端側を該掛止爪312と調整手段保持体35の先端とで挟み込んで固定するようになっている。
本実施形態に係るリフィル3は、インク吸蔵手段32及びコレクタ33が共通の調整手段保持体35によって保持されている。前記調整手段保持体35は、両端が開口した筒状に形成されており、一端部がインク貯留部30(筒状体)の一端開口に対して同心で圧入されることで、インク貯留部30に対して液密に接続されている。
そして、インク吸蔵手段32は、綿やフィエルト等の吸液性を有する繊維材で構成されており、調整手段保持体35の一端側の所定範囲に充填されている。
そして、本実施形態に係るインク吸蔵手段32は、液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部30における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されている。本実施形態において、前記インク吸蔵手段32の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部30の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍に設定されている。
そして、前記コレクタ33は、従来から万年筆等の直液式の筆記具に採用されてきた、いわゆる、羽状調節体と同様に構成されている。具体的には、コレクタ33は、中心線上にインク誘導手段34を貫設するための貫通穴Hが穿設された主軸部331と、該主軸部331の軸線方向に間隔をあけて配置され、該主軸部331の外面から延出する複数の仕切羽332…とを備えている。前記主軸部331は、両端部に径方向外方に延出した鍔部333が形成されており、両鍔部333間の外面に前記複数の仕切羽332…が延設されている。
前記複数の仕切羽332…は、何れも主軸部331の略全周から延出して円環状をなしている。前記複数の仕切羽332…は、隣り合う仕切羽332…間に毛細管力で液体インクが流れ込むように間隔が設定されており、一般的に、主軸部331の軸線方向において他端側に向かうにつれて広くなるように配置されている。
そして、一方の鍔部333及び複数の仕切羽332…のそれぞれには、図3(b)及び図3(c)に示す如く、主軸部331からの延出方向に延びるスリットSが該主軸部331の軸線方向で一列をなすように形成されている。なお、本実施形態に係る筆記具1(コレクタ33)は、前記スリットSが仕切羽332を超えて主軸部331内に入り込むように形成されている。また、複数の仕切羽332…のそれぞれには、図3(b)に示す如く、前記スリットSに対して仕切羽332の周方向でずれた位置に空気交換用の切欠部Cが設けられている。該切欠部Cは、仕切羽332が延出方向の先端から基端(主軸部331側)に向けて切り欠かれて形成されており、主軸部331の軸線方向から見た開口面積が前記スリットSよりも広く設定されている。
そして、上記構成のコレクタ33は、図3(a)に示す如く、一方の鍔部333をインク吸蔵手段32と対向させた状態でインク吸蔵手段32よりも他端側に位置するように調整手段保持体35内に嵌入されている。すなわち、コレクタ33は、鍔部333をインク吸蔵手段32に接近させた状態で調整手段保持体35内に嵌入されている。これにより、一方の鍔部333のスリットSは、インク吸蔵手段32と対向した状態になっている。
なお、図示しないが、本実施形態に係る筆記具1は、前記調整手段保持体35のコレクタ33が嵌入される位置よりも他端側が内外に連通しており、外部から空気を取り込めるようになっている。すなわち、調整手段保持体35内を密閉にすると、液体インクの消費に伴って内部圧力が低くなったときに、液体インクを筆記部310に供給できなくなるため、当該筆記具1は、調整手段保持体35内に外部から空気を取り込めるようになっている。
前記インク誘導手段34は、いわゆる、中継芯である。具体的には、インク誘導手段34は、全体が吸液性を有したもので、棒状に形成されている。すなわち、インク誘導手段34は、吸液性の優れた素材(連続気泡の形成された樹脂成型品やフェルト等の繊維材等)で構成され、当該素材がインク吸蔵手段32とペン先部31(筆記部310)とに跨る長さの棒状に成型されたものである。
そして、該インク誘導手段34は、コレクタ33(主軸部331)の貫通穴Hに挿入された状態で、一端側がインク吸蔵手段32(綿等)に刺し込まれ、他端側がペン先部31(筆記部310)に刺し込まれている。なお、本実施形態に係る筆記具1は、筆記部310とコレクタ33との間に環状のスペーサー36が介装されており、インク誘導手段34の他端側は、スペーサー36に挿通された状態で筆記部310に刺し込まれている。これにより、インク誘導手段34は、インク吸蔵手段32が吸蔵した液体インクを筆記部310に供給できるようになっている。
本実施形態に係る筆記具1は、以上の通りであり、前記リフィル3のインク吸蔵手段32がインク貯留部30に接続されて該インク貯留部30からの液体インクを吸蔵するように構成されているため、インク貯留部30に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段32が最大吸蔵量の液体インクを吸蔵することになる。すなわち、上記構成のリフィル3は、インク貯留部30に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段32が液体インクで飽和した状態となる。
これにより、上記構成のリフィル3は、インク吸蔵手段32の吸蔵した液体インクがインク誘導手段34を介して筆記部310(ペン先部31)に供給される。
そして、本実施形態に係るリフィル3は、前記インク吸蔵手段32の液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部30における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されているため、液体インク残量の多少に拘わらずインク貯留部30内に液体インクが存在する間、インク吸蔵手段32の液体インクが潤沢になり、インク吸蔵手段32が液体インクで飽和した状態になる。
特に、前記インク吸蔵手段32の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部30の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍であるため、インク吸蔵手段32が吸蔵する液体インクの吸蔵量よりも、インク貯留部30に貯留される液体インクの貯留量が格段に多くなるため、使用開始からインク貯留部30の液体インクを使い切るとき又は使い切る直前まで、インク吸蔵手段32の液体インクが潤沢になり、液体インクが無くなる或いは略無くなるまで良好な筆記が可能となる。
このように、上記構成のリフィル3は、インク吸蔵手段32が吸蔵している液体インクのみが筆記部310に対して順次供給されるため、筆記部310の液体インクが潤沢になるが、インク貯留部30にペン先部31が直接接続された従来の筆記具1やリフィル3のように筆記部310に対して液体インクが過剰に供給されることがない。
そして、上述の如く、インク吸蔵手段32が液体インクで飽和している状態でインク貯留部30に液体インクがあるとインク吸蔵手段32からペン先部31側に液体インクが染み出てしまう虞があるが、本実施形態に係るリフィル3は、インク貯留部30からの液体インクをコレクタ33が毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段32における液体インクの吸蔵量のバランスを図るように構成されているため、ペン先部31に必要以上の液体インクが供給されることがなく、筆記部310からの液体インク漏れや、液体インクの垂れ落ちが確実に防止される。
具体的には、本実施形態に係るリフィル3が備えたコレクタ33は、主軸部331の外周に延設された複数の仕切羽332…及び鍔部333に対して主軸部331の軸線方向で一列をなすようにスリットSが形成されているため、インク吸蔵手段32から染み出てきた液体インクが鍔部333及び仕切羽332のスリットS(一列をなす複数のスリットS)による毛細管現象でコレクタ33内に引き込まれ、該コレクタ33内に引き込まれた液体インクは、複数の仕切羽332間の毛細管力で仕切羽332,332間に引き込まれることになる。
これにより、インク吸蔵手段32の最大吸蔵量を超えた分の液体インク(インク吸蔵手段32から溢れ出た液体インク)がコレクタ33に保持される結果、インク吸蔵手段32から溢れ出ようとする液体インクがインク誘導手段34に誘導されて筆記部310にまで導かれることがない。
そして、本実施形態に係る筆記具1は、コレクタ33が大気開放された領域内に配置され、また、仕切羽332…のスリットSと異なる位置に切欠部Cが設けられているため、筆記に伴ってインク吸蔵手段32の液体インクが消耗された時など(インク吸蔵手段32の吸蔵能力に余裕が出たとき)にコレクタ33の保持していた液体インクがスリットSからインク吸蔵手段32に戻ることになり、結果としてインク誘導手段34を介して筆記部310に供給されることになる。
従って、本実施形態に係るリフィル3は、筆記部310からのインク漏れや液体インクの垂れ落ちを確実に防止しつつ、筆記に最適な液量の液体インクをペン先部31の先端にある筆記部310に供給することができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能であることは勿論のことである。
上記実施形態において、筆記具1の外装を構成する胴軸2に対して装着するリフィル3にインク貯留部30、ペン先部31、インク吸蔵手段32、及びコレクタ33を設けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、図4に示す如く、インク貯留部30及び調整手段保持体35の外径を使用者が把持するのに適した外径に設定し、インク貯留部30及び調整手段保持体35で筆記具1の外装を構成する胴軸2とし、その構成のみで筆記具1としてもよい。
上記実施形態において、ペン先部31の筆記部310を毛束で構成したが、これに限定されるものではなく、例えば、筆記部310は、上述の如く、フェルトチップで構成してもよいし、ペン先保持体311に回転自在に装着されたボールで構成したりしてもよい。また、ペン先部31を万年筆のペン先で構成しても勿論よい。すなわち、本発明は、液体インクを貯留するインク貯留部30と該インク貯留部30に貯留された液体インクが供給されるペン先部21とを備えたものであれば、ペンの種類に関係なく適用可能である。
上記実施形態において、インク貯留部30と調整手段保持体35とを別体で成型し、これらを連結するようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、インク貯留部30と調整手段保持体35とを一体的に成型したものであってもよい。また、これとは逆に、調整手段保持体35をインク吸蔵手段32の保持する部分とコレクタ33の保持する部分とに分割して形成し、該分割した調整手段保持体35を連結した上で、当該調整手段保持体35をインク貯留部30に連結するようにしてもよい。
上記実施形態において、胴軸2を胴軸本体20と先筒体21とで構成し、先筒体21をリフィル3の一構成にもしたが、これに限定されるものではなく、例えば、先筒体21をリフィル3から独立した構成にし、胴軸本体20にリフィル3を挿入した上で、先筒体21を胴軸本体20に螺合させるようにしたものであってもよい。この場合、先筒体21は、胴軸本体20に螺合した状態で、ペン先部31の少なくとも筆記部310が外部に露出した状態を維持させつつリフィル3が胴軸本体20から抜け出るのを阻止できるように構成することは言うまでもない。
上記実施形態において、インク吸蔵手段32における液体インクの最大吸蔵量をインク貯留部30における液体インクの最大貯留量よりも小さくなるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば、インク吸蔵手段32における液体インクの最大吸蔵量とインク貯留部30における液体インクの最大貯留量とが同量になるようにしてもよいし、インク吸蔵手段32における液体インクの最大吸蔵量をインク貯留部30における液体インクの最大貯留量よりも小さくなるようにしてもよい。
但し、このようにすれば、初期の段階(インク貯留部30にある液体インクの量が最大貯留量と略同等の量であり、且つインク吸蔵手段32が吸蔵する液体インクが最大吸蔵量である場合)において、インク吸蔵手段32の液体インクが潤沢になるが、筆記に伴う液体インクの消費でインク貯留部30の液体インクがインク吸蔵手段32に順次吸蔵され、早い段階でインク貯留部30内の全ての液体インクがインク吸蔵手段32に吸蔵されてしまう。
そうすると、インク貯留部30内の液体インクが無くなってインク吸蔵手段32にしか液体インクが存在しなくなってしまうため、インク吸蔵手段32の吸液性が抵抗となって筆記部310に液体インクが供給されにくくなる状況が早い段階で発生してしまう。従って、収容した液体インクが無くなる又は略無くなる段階まで筆記部310に液体インクを適正に供給するには、上記実施形態と同様に、インク吸蔵手段32における液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部30における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されることが好ましく、前記インク吸蔵手段32の液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部30の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍(中央値が0.09倍)に設定されることがより好ましい。
1…筆記具、2…胴軸、3…リフィル、20…胴軸本体、21…先筒体、30…インク貯留部、31…ペン先部、32…インク吸蔵手段、33…コレクタ、34…インク誘導手段、35…調整手段保持体、36…スペーサー、200…雌ねじ、210…雄ねじ、310…筆記部、311…ペン先保持体、312…掛止爪、331…主軸部、332…仕切羽、333…鍔部、B…毛、C…切欠部、F…フランジ、H…貫通穴、H1…大径穴、H2…小径穴、S…スリット

Claims (6)

  1. 液体インクを貯留したインク貯留部と、インク貯留部から液体インクが供給される筆記部を先端に有するペン先部とを備え、該ペン先部を露出させた状態で筆記具の外装を構成する胴軸に装着される筆記具用リフィルであって、インク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段と、該インク吸蔵手段とペン先部との間に介設され、インク吸蔵手段からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るコレクタと、該コレクタに貫設され、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクをペン先部の筆記部に誘導するインク誘導手段とを備えていることを特徴とする筆記具用リフィル。
  2. 前記インク吸蔵手段は、液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されている請求項1に記載の筆記具用リフィル。
  3. 前記インク吸蔵手段の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍に設定されている請求項2に記載の筆記具用リフィル。
  4. 液体インクを貯留したインク貯留部と、該インク貯留部から液体インクが供給される筆記部を先端に有するペン先部とを備えた筆記具であって、インク貯留部に接続されて該インク貯留部からの液体インクを吸蔵するインク吸蔵手段と、該インク吸蔵手段とペン先部との間に介設され、インク吸蔵手段からの液体インクを毛細管現象で保持して該インク吸蔵手段における液体インクの吸蔵バランスを図るコレクタと、該コレクタに貫設され、インク吸蔵手段が吸蔵する液体インクをペン先部の筆記部に誘導するインク誘導手段とを備えていることを特徴とする筆記具。
  5. 前記インク吸蔵手段は、液体インクの最大吸蔵量がインク貯留部における液体インクの最大貯留量よりも小さく設定されている請求項4に記載の筆記具。
  6. 前記インク吸蔵手段の液体インクの最大吸蔵量は、インク貯留部の液体インクの最大貯留量の0.03倍〜0.15倍に設定されている請求項5に記載の筆記具。
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