JP2012135846A - チャック構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、部品点数の増加を伴うことなく、爪機構から切粉を確実に除去することができる技術を提供することを課題とする。
【解決手段】チャック構造10は、チャックボデー13に、スライダー15を移動可能に設け、前記スライダーの先端15aに爪機構20を取付け、これらの爪機構20でワーク12を把持する。爪機構20は、スライダー15に第1ボルト31で固定される親爪部材25と、この親爪部材25に第2ボルト32で固定されワーク12を把持する子爪部材26とからなり、子爪部材26は、第1ボルトの頭部31aを収容する座ぐり穴37を覆う遮蔽板53を備えている。
【選択図】図1

Description

本発明は、ワークを把持するチャック構造の改良に関する。
旋盤の主軸にチャック機構が設けられ、このチャック機構でワークをチャックし、チャックされたワークを刃具で切削することが通常行われている。チャック機構は、チャックボデーに爪機構を放射状に移動可能にしておき、ワークの径変化に対応させることができることを構造的特徴とする。
切削時には、切粉が飛散するため、切粉の一部が爪機構に付着する。この切粉を放置すると、爪機構の移動に障害がでるため、対策が望まれる。
爪機構に切粉が付くことを防止する技術が提案されている(例えば、特許文献1(図3、図4)参照。)。
特許文献1を次図に基づいて説明する。
図7(a)に示されているように、チャックボデー101の中心にポケット101bが形成され、このポケット101bにワーク102の外周を外方から把持する3つの爪機構103が移動可能に設けられ、これらの3つの爪機構103によってワーク102がチャックボデー101のポケット101bに留められている。
ポケット101bの入り口に、弾性部材としての2枚のカバー104、104が設けられている。
図7(b)に示されているように、ワーク102でカバー104、104を押してカバー104、104の間を開放させながら、ワーク102をポケット101b内に搬入する。ポケット101b内にワーク102が搬入された後、カバー104、104の弾性によりカバー104、104の間は閉じられる。
次いで、図7(c)に示されているように、ワーク102の切削加工により多量の切粉が発生した場合でも、切粉はカバー104、104の上面に溜まるので、切粉が爪機構に付き難くなる。
次に、図7(d)に示されているように、加工後のワーク102でカバー104、104を押してカバー104、104の間を開放させながら、ワーク102を搬出する。このとき、カバー104、104の先端がワーク102により外側に押し広げられるので、カバー104、104の上面に堆積した切粉は、チャックボデー101の外側へ排出される。
なお、チャックボデー101の前面側よりポケット101bに侵入した少量の切粉は、ワーク102の搬出搬入時にエアブローにより吹き飛ばされるため、爪機構に付き難くなる。
ところで、特許文献1の技術では、チャックボデー101の上方にカバー104、104を設けたので、部品点数が増加する。部品点数の増加を伴うことなく、爪機構103から切粉を確実に除去することができる技術が望まれる。
特許第3640217号公報
本発明は、部品点数の増加を伴うことなく、爪機構から切粉を確実に除去することができる技術を提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、チャックボデーに、放射状にスライダーを移動可能に設け、これらのスライダーの先端に親爪部材と子爪部材とからなる爪機構を取付け、この爪機構でワークを把持するチャック構造において、スライダーに、第1ボルトで親爪部材が固定され、この親爪部材に、ワークを把持する子爪部材が第2ボルトで固定され、子爪部材は、第1ボルトの頭部を収容する座ぐり穴を覆う遮蔽板を備えていることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、子爪部材に、第2ワークの外周面を把持する爪部が設けられ、この爪部の中間部に、逃げ部が形成されていることを特徴とする。
請求項1に係る発明では、子爪部材に、スライダーに親爪部材を固定するための第1ボルトを収容する座ぐり穴を覆う遮蔽板が備えられている。
従来、爪機構が親爪部材と子爪部材とから構成され、ワークを自動で爪機構に着脱する場合において、第1ボルトの頭を収容する座ぐり穴が露出しているときは、この座ぐり穴に付着した切粉は、ワークを加工後に、クーラントやエアブロー等によって除去される。しかし、座ぐり穴は凹凸部を有しており、座ぐり穴に切粉の一部が残留することがある。
この点、本発明では、親爪部材に開けた座ぐり穴は、子爪部材に備えられている遮蔽板によって覆われているので、切粉は座ぐり穴に入る心配はない。遮蔽板の上に切粉が残っている場合に、この切粉は、爪機構からワークを外した後に、エアブロー等によって除去される。遮蔽板の表面は凹凸のない平面とされるため、遮蔽板の表面に切粉が残る心配はない。従って爪機構の部品点数の増加を伴うことなく、爪機構に付着した切粉を確実に除去することができる。
請求項2に係る発明では、子爪部材の爪部に逃げ部が形成されている。第2ワークの把持をより確実に行おうとする場合は、子爪部材の周方向長さを大きくして第2ワークの把持長さを大きくする方法がある。しかし、子爪部材の周方向長さを大きくすると、子爪部材が大きくなり、その分の材料費が嵩む。
この点、本発明では、逃げ部は爪部の中間部に設けられ、1つの子爪部材に2つの爪部が形成されている。2つの爪部であれば、1つの爪部に較べてワークの把持をより確実に行え、その分だけ子爪部材の周方向長さを短く抑えることができる。結果、子爪部材の周方向長さを抑えつつワークの把持を確実に行わせることができる。
本発明に係るチャック構造の正面図である。 図1の2−2線断面図である。 爪機構の分解斜視図である。 爪機構の斜視図である。 本発明のチャック構造を利用して第2ワークを加工することを説明する作用説明図である。 第2ワーク加工後の作用を説明する実施例図及び比較例図である。 従来のチャック構造の原理図である。
本発明を実施する形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
先ず、ワークを把持するチャック構造について説明する。
図1に示されているように、旋盤等の工作機械にワークとしての第1ワーク11又は第2ワーク12を把持可能なチャック10が設けられている。チャック10に、チャックボデー13が設けられ、このチャックボデー13の周方向等間隔位置に3つのスライダー15が設けられている。スライダー15は、第1〜3スライダー16〜18からなる。
第1〜3スライダー16〜18は、放射状、つまり、第1ワーク11又は第2ワーク12の径方向にスライド可能(又は移動可能)に設けられている。
これらの第1〜3スライダーの先端16a〜18aに第1〜第3爪機構21〜23からなる爪機構20が取外し可能に取付けられている。これらの爪機構20で第1ワーク11又は第2ワーク12を把持することができるようにした。
第1〜第3爪機構21〜23は、各々、親爪部材25と、親爪部材25に取付けられる子爪部材26とからなる。
次に、チャック構造で把持可能となる第1ワークと第2ワークについて説明する。
通常、工作機械メーカや治具メーカによって準備されているものは、スライダーと一体化された親爪部材25である。この親爪部材25は、様々なワークサイズ、形状等に幅広く対応できるものである。親爪部材25のみを利用することは、比較的多様なワークサイズを持つワークの加工に柔軟に対応できる。
しかし、親爪部材25のみで多種類のワークに対応しようとすると、例えば、ワークの段取り替え時の生産性向上の点で改良の余地があった。
生産性向上を図るため、チャックを利用するユーザは、親爪部材25に子爪部材26を取付け、この子爪部材26にてワーク12を把持させる場合がある。ワーク12の機種を変更する場合は、子爪部材26のみを交換することにより、作業の容易化及び作業時間の短縮を図り、生産性向上を図っている。
すなわち、加工ライン等にて製品のサイズ、形状等が類似している第2ワーク12を生産するユーザは、生産性向上やワークの一層の品質向上を目的として、工作機械メーカや治具メーカによって準備されている親爪部材25に加えて子爪部材26を付加する改良を行う場合がある。子爪部材26に第2ワーク12が把持される。
以下、親爪部材25のみで把持するワークを第1ワーク11と呼び、子爪部材26で把持するワークを第2ワーク12と呼ぶことにする。
本発明は、第2ワーク12を把持する場合について、量産加工ラインに用いられるチャック構造を改良するものである。
図2〜3では、ワークを把持する爪機構について説明する。
図2に示されているように、スライダー15に爪機構20が取付けられている。
爪機構20は、スライダー15に第1ボルト31で固定され第1ワーク(図1、符号11)を把持する親爪部材25と、この親爪部材25に第2ボルト32で固定され第2ワーク12を把持する子爪部材26とからなる。親爪部材25は第1爪部35を有し、子爪部材26は第2爪部36を有する。
チャックボデー13を側方から見たときに、親爪部材25は、L字状を呈する部材である。親爪部材25には、スライダー15に当接する底面41と、この底面41の端部からワークの軸方向に延ばされ第1ワーク11を把持する第1爪部35と、この第1爪部35の端部からワーク外方に向け延ばされ子爪部材26を受ける受面42と、この受面42の端部からワーク外方に向け延ばされ子爪部材26の外面56を受けるヒール面43と、が形成されている。
図1に戻って、親爪部材25の受面42に、ワークの径方向に並んで第1座ぐり穴37が開けられ、第1座ぐり穴37に第1ボルト31が挿入され、第1ボルト31を介してスライダー15に親爪部材25が着脱可能に固定されている。
図2に戻って、チャックボデー13を側方から見たときに、子爪部材26は、L字状を呈する部材である。子爪部材26に、受面42に当接される子底面51と、子底面51の一部を構成しワークの径方向内方に延ばされ第2ワークの端面12aが当たるワーク受部52を有する遮蔽板53と、この遮蔽板53のワーク周方向外方に位置する端部から第2ワーク12の軸方向に延ばされ第2ワークを把持する第2爪部36と、この第2爪部36の端部からワークの周方向外方に延ばされる上面54と、ヒール面43に当接する後面55とが形成されている。子爪部材26は、第1ボルトの頭部31aを収容する第1座ぐり穴37を覆う遮蔽板53を備えている。
上面54には、親爪部材25に固定するためにワーク周方向に並んで第2座ぐり穴38が開けられている。
図3に示されているように、スライダー15に親爪部材25がセットされ、この親爪部材25に開けた第1座ぐり穴37、37に第1ボルト31、31がねじ込まれ、スライダー15に親爪部材25が固定される。
この親爪部材25にめねじ45、45が形成され、親爪部材25の受面42に子爪部材26がセットされ、この子爪部材26に開けた第2座ぐり穴38、38に第2ボルト32、32をねじ込み、前記めねじ45、45にねじ込んで、親爪部材25に子爪部材26が着脱可能に取付けられる。
なお、第1スライダー及び第2スライダーは、第3スライダーと同様な構造を有することから、第1スライダー及び第2スライダーの構造については説明を省略する。
次に、親爪部材に第2ボルトを介して子爪部材を固定した状態について説明する。
図4に示されているように、子爪部材26に、第2ワークの外周面(図2、符号12b)を把持する爪部としての第2爪部36が設けられ、この第2爪部36の内周面36sの周方向中間部36bに、径方向外方へ凹ませた逃げ部58が形成されている。
子爪部材の第2爪部36に逃げ部58が形成されている。第2ワーク12の把持をより確実に行おうとすると、子爪部材26の周方向長さを大きくすれば良い。しかし、子爪部材26の周方向長さを大きくすると、子爪部材26が周方向に長くなり、その分の材料費が嵩む。
この点、本発明では、逃げ部58は第2爪部の中間部36bに設けられ、1つの子爪部材26に2つの小爪部59、59が形成されている。2つの小爪部59、59であれば、1つの爪部に較べてワークの把持をより確実に行え、その分だけ子爪部材26の周方向長さLを抑えることができる。結果、子爪部材の周方向長さLを抑えつつ第2ワーク12の把持を確実に行わせることができる。
以上に述べたチャック構造の作用を次に述べる。
図5(a)に示されているように、旋盤60は、本体61と、この本体の側面に設けられ第2ワーク12を把持する爪機構20と、本体61に設けられ刃具としてのバイト62が取付けられる刃物台63と、爪機構20に第2ワーク12を搬送又は爪機構20から第2ワーク12を搬出するローダ装置64とを有する。
ローダ装置64に加工前の第2ワーク12を把持し、爪機構20へ搬送する。第2ワークの端面12aは子爪部材26に形成したワーク受部52に当接されることで、第2ワーク12の軸方向の位置決めがされ、次いで、スライダー15と一体の第2爪部36を径方向内方へ移動させ、ワークとしての第2ワーク12を把持する。
図5(b)に示されているように、爪機構20で第2ワーク12を把持した後、ローダ装置64を爪機構20から待避させ、爪機構20を回転させ、バイト62で第2ワーク12の所定箇所を切削加工する。
図5(c)に示されているように、加工後の第2ワーク12にローダ装置64を延ばし、第2ワーク12を把持すると共に、爪機構20のスライダー15を径方向外方に移動させて第2ワーク12の把持を解除し、爪機構20から第2ワーク12を搬出させる。
図6(a)に示されているように、図5(c)で第2ワーク12が搬出された後、洗浄ノズル65を第2爪部36及び遮蔽板53の上に近づけ、遮蔽板53の上に残留している切粉をエアブローにて除去する。
本発明では、親爪部材25に開けた第1座ぐり穴37は、子爪部材26に備えられている遮蔽板53によって覆われているので、切粉は第1座ぐり穴37に入ることなく遮蔽板53の上に付着する。遮蔽板53の上に付着した切粉は、爪機構20から第2ワーク12を外した後に、エアブロー等によって除去される。遮蔽板53の上である表面は凹凸のない平面であるため、遮蔽板53の表面に切粉が残留し難い。
従って爪機構20の部品点数の増加を伴うことなく、爪機構20に付着した切粉を確実に除去することができる。
なお、親爪部材25を子爪部材26に取付けるために子爪部材26に開け第2ボルトの頭部32aを塞ぐ座ぐり穴38は、塞がれていない状態であり、座ぐり穴38に切粉が残留することが懸念される。この場合、座ぐり穴38は、遮蔽板53で塞いだ座ぐり穴37の位置に較べて、洗浄ノズル65がアクセスし易い手前側の位置にあり、座ぐり穴38に残留した切粉は十分に除去される。従って、このように洗浄ノズル65を近づけることができる位置に座ぐり穴38がある場合には、エアブロー等を施すことで、次に加工する第2ワーク12の品質が低下する心配はない。
以下、図6(b)及び図6(c)では、比較例に係る作用を説明する。
図6(b)に示されているように、従来、爪機構20が親爪部材25と子爪部材26とから構成され、爪機構20にワークを自動で着脱する場合において、第1ボルト31の頭部を収容する第1座ぐり穴37が露出しているときは、この第1座ぐり穴37に付着した切粉は、クーラントやエアブロー等によって除去されていた。しかし、受面42Bに開けた第1座ぐり穴37は、第2座ぐ穴38よりもチャックボデー13の奥まった位置に設けられている上に第1座ぐり穴37及び第1ボルトの頭部31aにより形成される凹凸部を有している。このため、第1座ぐり穴37に切粉の一部が残留する等受面42Bの表面に切粉の一部が残留することがある。
図6(c)に示されているように、第1座ぐり穴37に封止部材としてのプラグ部材71を挿入して、第1座ぐり穴37を塞いだものである。この場合に、第1座ぐり穴37を塞いだとしても長期に渡る使用により、プラグ部材71が浮いてくる等により受面42Cの平坦を維持できない場合がある。また、プラグ部材71は脱落する場合がある。すると、受面42Cに切粉が残留し易くなる。
この点、図6(a)に示されているように、本発明では、プラグ部材71等の部材を追加することなく、遮蔽板53の表面を平坦のままに保つことができ、ワークの端面(図5、符号12a)となる遮蔽板53の表面に切粉が残留し難くなる。
尚、本発明は、実施の形態では普通旋盤に適用したが、タレット旋盤、立て旋盤にも適用可能であり、その他の旋盤に適用することは差し支えない。
請求項1では、爪部の中間部に形成する逃げ部を省略することは差し支えない。
本発明は、旋盤に用いられるチャック構造に好適である。
10…チャック構造、12…ワーク(第2ワーク)、12b…ワークの外周面、13…チャックボデー、15…スライダー、15a…スライダーの先端、20…爪機構、25…親爪部材、26…子爪部材、31…第1ボルト、31a…第1ボルトの頭部、32…第2ボルト、36…爪部(第2爪部)、36b…爪部の中間部、37…座ぐり穴(第1座ぐり穴)、53…遮蔽板、58…逃げ部。

Claims (2)

  1. チャックボデーに、放射状にスライダーを移動可能に設け、これらのスライダーの先端に親爪部材と子爪部材とからなる爪機構を取付け、この爪機構でワークを把持するチャック構造において、
    前記スライダーに、第1ボルトで前記親爪部材が固定され、
    この親爪部材に、ワークを把持する前記子爪部材が第2ボルトで固定され、
    前記子爪部材は、前記第1ボルトの頭部を収容する座ぐり穴を覆う遮蔽板を備えていることを特徴とするチャック構造。
  2. 前記子爪部材に、ワークの外周面を把持する爪部が設けられ、この爪部の中間部に、逃げ部が形成されていることを特徴とする請求項1記載のチャック構造。
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