JP2012135257A - 液状栄養組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 蛋白質、糖質、油脂などの栄養成分をバランスよく含みながら、酸味による爽やかさがあり、粘度が低く飲みくちの良い爽やかさがあり、透明感によって見た目にも爽やかな、更には耐熱性と乳化安定性も併せ持つ酸性液状栄養組成物を提供すること。
【解決手段】 蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水を含むpHが3.0〜5.0の液状栄養組成物であって、
蛋白質(A)が、コラーゲンペプチド及び重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチド、
糖質(B)が、数平均分子量が300〜900の糖質、
乳化剤(C)が、平均重合度が5以上のポリグリセリンと、オレイン酸またはミリスチン酸のいずれかとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、
油脂(D)が、MCT、
を含有し、
蛋白質(A)の配合量が2〜11質量%、糖質(B)の配合量が1〜35質量%、乳化剤(C)と油脂(D)の配合量の合計が1〜13質量%である経口用液状栄養組成物。

【選択図】 なし

Description

本発明は、蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水を含むpHが3.0〜5.0の液状栄養組成物に関する。
現代人の生活形態は多様性を増すとともに、その食生活のスタイルも著しく変化している。その特徴として、食事時間に制約があり非常に短時間で食べなければならなかったり、家庭や食堂などの食事をするのに適した場所での食事がとれなかったり、外食が増え摂取する栄養のバランスが著しく乱れたりすることなどが挙げられる。そこで近年、短時間で場所を問わず飲食でき、しかも栄養バランスに優れている飲料タイプやドリンクゼリータイプなどの栄養機能を持つ組成物の需要が増している。
これまでの栄養組成物は、飲料とするための用時調整用粉末か、またはドリンクゼリーがほとんどであった。しかし、用時調整用粉末は飲用する前に水と容器を準備し、溶解作業を行ってから飲むというような手間がかかる欠点がある。一方、ドリンクゼリーは、飲み口付きのパウチに充填されるため、包装費にかかるコストが高く、割高になるデメリットがある。なかには用時調整ではなく製造・販売のときから液状である飲料タイプもあるが、賞味期限内の均一性、例えば乳化安定性を確保することが、ドリンクゼリータイプに比べて困難であった。このような技術的な制約のため飲料タイプは、乳蛋白質などの高い乳化機能をもつ成分を配合し、pHを中性とする必要があった。このため、濃厚感のある風味とならざるをえず、美味しく爽やかに飲みたいというニーズに対して配慮がされていなかった。
果汁ジュース等に代表されるような爽やかな飲料とするにはpHを同じように3.0〜5.0とすればよい。また、粘度を低くすることでネバネバした飲用感をなくしたり、乳濁した外観を低減し視覚的な透明感を付与したりすることでさらなる爽やかさを得ることもできる。
更には、常温保管を可能とするため、熱殺菌に耐えうる耐熱性が必要であり、賞味期限内の均一性を確保するため、高い乳化安定性が必要である。
よって、蛋白質、糖質、油脂などの栄養成分をバランスよく含みながら、酸味による爽やかさがあり、粘度が低く飲みくちの良い爽やかさがあり、透明感によって見た目にも爽やかな酸性液状栄養組成物が求められていた。更には耐熱性と乳化安定性も併せ持つことが望ましい。
特許文献1には、液状滅菌栄養剤に関する技術が開示されている。これは、糖質がDE(Dextrose equivalent)値25以上のデキストリン(澱粉分解物)及び脂肪を加水分解レシチンなど親水性のリン脂質で乳化させたものを、投与時に、アミノ酸及び低分子ペプチドからなる蛋白質と混合する、用時調製の液状滅菌栄養剤である。しかし、この発明では、用時調製としなかった場合、つまり、蛋白質、糖質、乳化剤、及び油脂を含む液状栄養組成物とした場合に、乳化安定性が不十分であるという問題がある。また、pH中性領域においてのみ乳化安定性が得られる乳化剤を使用しているため、酸性の液状栄養組成物とした場合の問題は解決していない。
特許文献2には、長期間保存しても不溶性の凝集物を全く生じない蛋白質含有酸性飲料に関する技術が開示されている。これは、HLB9以上のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.003〜0.5w/w%からなる技術である。また実施例には、蛋白質成分として脱脂粉乳が、蛋白質を均一に分散させるための乳化剤としてデカグリセリンモノステアレートまたはヘキサグリセリンモノステアレートが配合された例が示されている。しかし、脂質とカルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含んでいないため栄養機能を有しておらず、また脂質を均一に乳化するためには更なる検討が必要であり、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含む場合には蛋白質の均一分散が困難である。
特許文献3には、液状高エネルギー食に関する技術が開示されている。これは、高濃度でありながら低い粘度と浸透圧を確保するため、蛋白質が分散性微粒子蛋白からなり、糖質がDE値10〜25のデキストリンからなる技術である。また実施例には乳化剤として、リゾレシチン、デカグリセリン脂肪酸エステル、デカグリセリン酒石酸モノグリセリドを併用した例が示されている。しかし、分散性微粒子蛋白として挙げられているカゼイン粒子(ミルク蛋白濃縮物)は酸性域では等電点沈澱による激しい凝集を引き起こすので、粘度が高くなるばかりか、凝集物がざらざらとした食感となり、もはや均一な液状といえなくなり、そもそもの目的である経口用途として使用に耐えられなくなる。また乳化剤として例示されているデカグリセリン脂肪酸エステルは、3種併用されているものの1つに過ぎず、その構成脂肪酸なども詳細が明記されていないことから、酸性領域では製造直後に乳化が不安定となる。
特許文献4には、栄養剤を酸性とすることで、味や風味にバリエーションがあり摂取しやすいことを目的として、蛋白質を含有する酸性液状経腸栄養剤に関する技術が開示されている。これは、蛋白質が酸性ホエイ蛋白質分離物及びコラーゲンペプチドからなり、乳化剤が有機酸モノグリセリド及び重合度4〜10のポリグリセリンとオレイン酸とのモノエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステルからなっている。しかし、酸性ホエイ蛋白質分離物は、ミネラル含有下熱殺菌を経た場合には溶解度が低下し白濁することが一般的に知られており、視覚的な透明感を得るためには更なる検討が必要である。また糖質や油脂についても通常使用されるものが列挙されているのみであり、蛋白質のみならず脂質及び糖質を含有した場合にも視覚的な透明感を得るための方法は開示されていない。
以上より、蛋白質、糖質、油脂などの栄養成分をバランスよく含みながら、酸味による爽やかさがあり、粘度が低く飲みくちの良い爽やかさがあり、透明感によって見た目にも爽やかな、更には耐熱性と乳化安定性も併せ持つ酸性液状栄養組成物はこれまでになかった。
特開平2−142448号公報 特開平5−184341号公報 特開平7−147932号公報 特開2007−126379号公報
本発明の目的は、以上のような背景のもとでなされたもので、蛋白質、糖質、油脂などの栄養成分をバランスよく含みながら、酸味による爽やかさがあり、粘度が低く飲みくちの良い爽やかさがあり、透明感によって見た目にも爽やかな、更には耐熱性と乳化安定性も併せ持つ酸性液状栄養組成物を提供することである。
本発明者らは、酸性条件下で爽やかな酸性液状栄養組成物とするために鋭意検討したところ、特定のペプチド、糖質、乳化剤、及び油脂を使用すると、爽やかな酸性液状栄養組成物ができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明は、蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水を含むpHが3.0〜5.0の液状栄養組成物であって、
蛋白質(A)が、コラーゲンペプチド及び重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチド、
糖質(B)が、数平均分子量が300〜900の糖質、
乳化剤(C)が、平均重合度が5以上のポリグリセリンと、オレイン酸またはミリスチン酸のいずれかとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、
油脂(D)が、MCT、
を含有し、
蛋白質(A)の配合量が2〜11質量%、糖質(B)の配合量が1〜35質量%、乳化剤(C)と油脂(D)の配合量の合計が1〜13質量%である経口用液状栄養組成物である。
本発明の第2の発明は、油脂(D)と乳化剤(C)の質量比率が1:6〜3:1であることを特徴とする第1の発明に記載の液状栄養組成物である。
本発明の第3の発明は、さらに食物繊維(E)を含み、
食物繊維(E)が、難消化性デキストリン、イヌリン、及びポリデキストロースからなる群より選ばれる、1種または2種以上の食物繊維、
を0.1〜5質量%含有することを特徴とする第1または2の発明に記載の液状栄養組成物である。
本発明の第1〜3の発明によれば、蛋白質、糖質、油脂などの栄養成分をバランスよく含みながら、酸味による爽やかさがあり、粘度が低く飲みくちの良い爽やかさがあり、透明感によって見た目にも爽やかな、更には耐熱性と乳化安定性も併せ持つ酸性液状栄養組成物を提供できる。
(pH)
爽やかな飲み口とするためには、果汁ジュースに代表されるようにpH3.0〜5.0である。pHが3.0より小さいと酸味が強すぎて経口として適さなくなり、5.0より大きいと酸味を感じなくなり、本発明の目的を達成することができなくなる。pH4.6以下であると殺菌条件を緩和することが可能であり、栄養組成物による熱変性や殺菌コストなどによる経済上のメリットが得られることから、pH3.0〜4.6がより好ましい。酸味の強さからさらに好ましくはpH3.5〜4.5である。
(蛋白質(A)の概要)
本発明の蛋白質(A)は、コラーゲンペプチド及び重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチドを含有すれば、本発明の目的を逸脱しない範囲で一般に食用として利用されているものを使用できるが、実質的にペプチド及び遊離アミノ酸のみから構成されることが望ましい。ペプチドとしては例えば、コラーゲンペプチド及び植物性ペプチド以外に、乳、鶏卵、鶏肉、魚肉、豚肉、牛肉などの分解物が挙げられる。アミノ酸としては例えば、L−イソロイシン、L−ロイシン、L−リジン、L−メチオニン、L−システイン、L−フェニルアラニン、L−チロシン、L−スレオニン、L−トリプトファン、L−バリン、L−ヒスチジンなどが挙げられる。
(蛋白質(A)のコラーゲンペプチド)
本発明は、コラーゲンペプチドを用いることが必須である。コラーゲンペプチドはゼラチンの酸、アルカリまたは酵素による分解物であり、その重量平均分子量は2000〜50000が好ましく、最も好ましくは4000〜20000である。2000よりも小さいと遊離アミノ酸や低分子のペプチドによる苦味や旨味が強くなり、50000よりも大きいとゲル化性が充分に失われず、ゲル化を生じるか粘度が高くなる。なお、本発明でいう旨味は酸味による爽やかさには合わず、爽やかさが劣る。コラーゲンペプチドは容易に溶解し、酸性領域で熱殺菌を経る場合においても透明に溶解する利点を持つ。コラーゲンペプチドの由来としては、牛や豚や魚や鳥などの骨や皮や鱗や鶏冠などが挙げられる。
(蛋白質(A)の植物性ペプチド)
本発明は、重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチドを用いることが必須である。好ましくは植物ペプチドの重量平均分子量が2000〜3000である。重量平均分子量が1000より小さいと臭味や苦味や旨味が強くなる。逆に5000より大きいと、ペプチド自身が不溶化し白濁沈澱し透明性が低下したり、乳化粒子の粗大化を引き起こし乳化安定性が低下したりする。この乳化安定性が低下するメカニズムについては必ずしも明確にはなっていないが以下のようなことが考えられる。本発明は後述する乳化剤が、乳化構造を維持する重要な役割を果たす。しかし、植物性蛋白質は疎水性部位と親水性部位を併せ持ち乳化機能を有するため、分解の程度が少ないと、乳化機能が残存し、乳化剤の乳化機能を阻害してしまうと考えられる。また植物性ペプチドと乳化剤の疎水性部分が相互作用し、乳化剤が乳化機能を発揮できなくする可能性が考えられる。平均分子量が小さい植物性ペプチドは油水界面や乳化剤と相互作用するだけの疎水性部位を持たないために、乳化に影響を与えないものと推測される。植物性ペプチドの種類としては、大豆ペプチド、大麦ペプチド、小麦ペプチド、小麦胚芽ペプチド、エンドウペプチド、コメペプチドが挙げられる。なかでも大豆ペプチドは後述するアミノ酸スコアが高く、非常に望ましい。
(蛋白質(A)のアミノ酸)
前述のようにコラーゲンペプチドなどのアミノ酸スコアの低いペプチドを使用する場合は、最終製品として一定のアミノ酸スコアを保つために遊離のアミノ酸を配合することが好ましい。例えば、大豆ペプチドとコラーゲンペプチドを1:1で混合した場合は、L−トリプトファン、L−ロイシン、L−メチオニンまたはL−システイン、L−ヒスチジン、L−バリン、L−フェニルアラニンまたはL−チロシンの配合が好ましい。アミノ酸スコアを90〜100にするためには、この中でもL−フェニルアラニンまたはL−チロシンを多量に配合しなければならないが、酸性領域ではL−フェニルアラニンのほうが溶解性や保存安定性から好ましい。
(蛋白質(A)の栄養バランス)
本発明の蛋白質(A)は、エネルギー比率で3〜77%が好ましく、より好ましくは10〜50%、最も好ましくは10〜30%である。蛋白質は生命の維持に不可欠な物質であり、組織を構築するとともに、さまざまな機能を果たしている。すなわち、細胞膜をつくり、細胞骨格を形成し、体の骨格、筋肉、皮膚を構成している。蛋白質を構成しているアミノ酸は、神経伝達物質やビタミン、その他の重要な生理活性物質の前駆体ともなっている。蛋白質濃度が少ない場合には蛋白質の摂取不足となり、これにより筋肉量が減少することが知られている。よって基礎代謝量が少なくなり太りやすく痩せにくい体質となりやすく、現代人には大きな問題となる。逆に、蛋白質濃度が高いと、蛋白質自体の風味が顕著に目立つようになったり、粘度が上昇したりする。
(蛋白質(A)の分析法とアミノ酸スコア)
本発明の蛋白質(A)の含有量は、ケルダール法などによって窒素含量を測定することによって算出される。よって、蛋白質の消化態である遊離アミノ酸であっても、蛋白質分解物(ペプチド)であっても、栄養学的には蛋白質に含まれる。栄養補給を目的とするために、栄養学的に良質であることが望ましい。例えば、アミノ酸スコアという指標がある。本発明の栄養組成物は、使用する蛋白質のアミノ酸スコアは限定しないが、栄養組成物としては、少なくとも70以上、好ましくは80以上、最も好ましくは100である。
(糖質(B)の概要)
本発明の糖質(B)は、数平均分子量が300〜900の糖質を含有すれば、本発明の目的を逸脱しない範囲で一般に食用として利用されているものを使用できる。糖質としては例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類、蔗糖、乳糖、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、澱粉、澱粉分解物(デキストリン)、異性化糖、還元水飴、還元デキストリンなどが挙げられる。
(糖質(B))
本発明は、数平均分子量が300〜900の糖質を用いることが必須である。好ましくは数平均分子量が500〜900である。また甘味が強すぎず、平均分子量の調整が容易な澱粉分解物が好ましい。300より小さいと浸透圧が上昇し、浸透圧性の下痢が発生しやすくなる。逆に900より大きいと、乳化粒径の粗大化を引き起こし、透明性を下げ、乳化安定性に悪影響を及ぼす。このメカニズムについては必ずしも明確にはなっていないが以下のようなことが考えられる。分子量が大きい代表的な糖質である澱粉はその分子が螺旋構造をとり、その螺旋の内部は疎水性であることが知られている。また代表的な食品用乳化剤であるモノアシルグリセロールが澱粉と共存すると、その中空に脂肪酸部分が入り込むことも知られている。このことから、平均分子量が大きい澱粉分解物は同様に乳化剤の脂肪酸部分を螺旋構造の中空に取り込み、乳化剤として機能できなくする可能性が考えられる。平均分子量が小さい澱粉分解物は、乳化剤が取り込まれるほどの螺旋構造ができないために、乳化に影響を与えないものと推測される。澱粉分解物とは分子量によってデキストリン、マルトデキストリン、水飴などと呼ばれるものであり、馬鈴薯、コーン、タピオカ、小麦などから得られる澱粉を、酸や酵素などで分解したものである。
(糖質(B)の栄養バランス)
本発明の糖質(B)は、エネルギー比率で3〜90%が好ましく、より好ましくは10〜76%、最も好ましくは40〜76%である。臨床栄養的には、糖質は比較的速やかにエネルギーに変換される源であるので好ましいが、多量に配合すると食後血糖値の上昇を誘発し、糖尿病などの疾病に悪い影響を与える。また糖質濃度が高いと、粘度や浸透圧が高くなるばかりか、澱粉分解物の濃度が高い場合は後述する乳化剤の取り込みにより乳化安定性に与える悪い影響が大きくなる。
(乳化剤(C)の概要)
本発明の乳化剤(C)は、平均重合度が5以上のポリグリセリンと、オレイン酸またはミリスチン酸のいずれかとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有すれば、本発明の目的を逸脱しない範囲で一般に食用として利用されているものを使用できる。乳化剤としては例えば、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外に、モノグリセリド、有機酸モノグリセリド、ショ糖エステル、ソルビタンエステル、プロピレングリコールエステル、レシチンなどが挙げられる。
(乳化剤(C)のポリグリセリン脂肪酸エステル)
本発明は、平均重合度が5以上のポリグリセリンと、オレイン酸またはミリスチン酸のいずれかとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステルを用いることが必須である。ポリグリセリンの平均重合度は好ましくは10以上である。ポリグリセリンの平均重合度が5より小さいと微細な乳化粒子と乳化安定性が得られない。またエステルの原料とする脂肪酸は、パルミチン酸やステアリン酸などの長鎖飽和脂肪酸では微細な乳化粒子と乳化安定性が得られず、ラウリン酸などの中鎖脂肪酸では乳化剤特有のえぐ味が強くなるため経口用途として不適であるため、ミリスチン酸またはオレイン酸が必須である。また乳化剤特有のえぐ味についてはミリスチン酸よりもオレイン酸のほうが良好である。乳化剤全体における脂肪酸の割合では、オレイン酸またはミリスチン酸が50質量%以上、より好ましくは70%重量以上、最も好ましくは80質量%以上である。
(油脂(D)の概要)
本発明の油脂(D)は、MCTを含有すれば、本発明の目的を逸脱しない範囲で一般に食用として利用されているものを使用できる。油脂としては例えば、MCT以外に、ナタネ油、大豆油、コーン油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、オリーブ油、米油、シソ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油などが挙げられる。本発明は、栄養の目的であるため、n−6系脂肪酸やn−3系脂肪酸などの必須脂肪酸を含む油脂を含むことが望ましい。
(油脂(D)のMCT)
本発明は、油脂(D)が、炭素数8〜12の中鎖脂肪酸とグリセリンのトリエステルであるMCTを用いることが必須である。油脂中のMCTの割合は、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。油脂中のMCTの割合が70質量%より少ないと、微細な乳化粒子が得られず、透明感も得られなくなる。MCTを用いると微細な乳化粒子が得られることについては必ずしも明確にはなっていないが以下のようなことが考えられる。乳化構造において、油脂と乳化剤の性質が似ていると良好な乳化構造が得られるといわれている。MCTはLCT(長鎖脂肪酸トリグリセリド)と比べて水への溶解度が高く、比較的親水性の油脂であり、またその融点(凝固点)が低い。一方、前述のポリグリセリン脂肪酸エステルはグリセリンの重合度が大きいためHLB(乳化剤の親疎水性を表す指標)が高く親水性の乳化剤であり、構成脂肪酸がミリスチン酸やオレイン酸であるため融点(凝固点)が低い。よってMCTと前述のポリグリセリン脂肪酸エステルの性質は似ており良好な乳化構造が得られると考えられる。またMCTは、栄養学的にみても消化機能が衰えた患者や高齢者においても効率よく吸収され、またエネルギーに速やかに変換される特徴があり望ましい。
(油脂(D)の栄養バランス)
本発明の油脂(D)は、エネルギー比率で3〜83%が好ましく、より好ましくは5〜30%、最も好ましくは10〜30%である。臨床栄養的には、油脂は重量あたりに含まれる熱量(9kcal/g)が蛋白質や糖質(4kcal/g)と比べ高い方が好ましいが、多量に配合すると血清脂質濃度の上昇を誘発し、動脈硬化症などの疾病に悪い影響を与える。また油脂濃度が高いと、乳化粒子による白濁の影響が大きくなり透明性の確保が困難になる。
(油脂(D)の分析法)
本発明の油脂(D)の含有量は、エーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液法、酸分解法、レーゼゴットリーブ法、ゲルベル法などによって測定されるが、極性の高い脂質も充分に回収するため、クロロホルム・メタノール混液法またはレーゼゴットリーブ法が好ましい。
(食物繊維(E))
本発明の食物繊維(E)は、栄養組成物の生理効果を高めるため、本発明の目的を逸脱しない範囲で一般に食用として利用されているものを使用してもよい。食物繊維としては例えば、タマリンドシードガム、グァーガム、グァーガム酵素分解物、小麦胚芽、難消化性デキストリン、大豆食物繊維、プルラン、アラビアガム、ビートファイバー、低分子化アルギン酸ナトリウム、寒天、キサンタンガム、ジェランガム、サイリウム種皮、セルロース、ポリデキストロース、コーンファイバー、小麦ふすまなどが挙げられる。ただし、本発明の目的である乳化安定性を確保するために水溶性食物繊維が望ましく、その中でも難消化性デキストリン、イヌリン、ポリデキストロースにおいて高い乳化安定性が得られやすい。
(ペプチドの配合量と比率)
本発明の蛋白質(A)は、実質的にペプチド及びアミノ酸のみからなることが望ましい。また、アミノ酸はアミノ酸スコアを高くするための補助的に添加されるものであるため、その大部分はペプチドとして配合されることになる。ペプチドの配合量は2〜11質量%であり、2質量%より少ないと栄養学的な価値が低くなり、11質量%より多いとペプチド特有の味が強くなる。好ましくは3〜8質量%、より好ましくは3〜7質量%である。前述のように、コラーゲンペプチドは容易に溶解し、酸性領域でミネラルを含み、熱殺菌を経る場合においても透明に溶解する有用性がある一方で、栄養学的には良質でなくアミノ酸スコアが0であることから、コラーゲンペプチドの比率を大きくすることは好ましくない。よって栄養組成物として一定のアミノ酸スコアを保つためには、大豆ペプチドなどのアミノ酸スコアが良好なペプチドや遊離のアミノ酸と併用することが必要である。コラーゲンペプチドとアミノ酸スコアが良好なペプチドの比率は、5:1〜1:5が好ましい。より好ましくは3:1〜1:3であり、最も好ましくは2:1〜1:2である。コラーゲンペプチドの割合が多いと、アミノ酸スコアを補うための遊離アミノ酸により苦味などが強くなり、アミノ酸スコアが良好なペプチドの割合が多いと、それ自身の臭味や苦味や旨味が強くなったり、高価なものが多いのでコスト的にも不利になったりする。なお、ここでのアミノ酸スコアが良好なペプチドとは、50以上が望ましい。より好ましくは80以上であり、最も好ましくは100以上である。
(糖質の配合量)
本発明の糖質(B)の配合量は1〜35質量%であり、1質量%より少ないと栄養学的な価値が低くなり、35質量%より多いと浸透圧や粘度が高くなりすぎる。好ましくは10〜30質量%、より好ましくは20〜30質量%である。また糖質のうちの数平均分子量が300〜900の糖質の割合は、70質量%以上が好ましく、より好ましくは80質量%以上、最も好ましくは90質量%以上である。糖質中の数平均分子量が300〜900の糖質の割合が少ない場合は、本発明の効果が充分得られない。
(油脂と乳化剤の総量)
本発明における油脂(D)と乳化剤(C)の総量は1〜13質量%であり、油脂と乳化剤の総量が1質量%より少ないと栄養学的な価値が低くなり、13質量%よりも多いと透明感が得られない。好ましくは2〜10質量%、より好ましくは3〜7質量%である。
(油脂と乳化剤の比率)
本発明において小さい乳化粒径を得るためには、油脂(D)と乳化剤(C)の重量比率が重要であり、1:6〜3:1が好ましく、より好ましくは1:4〜1.7:1、最も好ましくは1:3〜1.2:1である。油脂が多い場合は乳化剤特有のえぐ味が抑えられ、乳化剤が多い場合は微細な乳化粒子を得ることができる。
(水に対する糖質の割合)
乳化による白濁は、水相部と油相部の屈折率の差異のために起こるとされている。油相部の屈折率はおおよそ1.6前後と一定であるが、水相部の屈折率は溶質の種類及び濃度に依存する。つまり、水に溶解する糖質濃度などが高ければ屈折率が高くなり、結果として水相部と油相部の屈折率の差異が小さくなり、透明性が確保されやすくなる。水の配合量を100%とした場合の糖質の配合量は、20質量%以上が好ましく、より好ましくは30質量%以上である。
食物繊維(E)の配合量としては0.1質量%〜5質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜3質量%であり、最も好ましくは0.5質量%〜2質量%である。0.1質量%より少ないと食物繊維のもつ生理効果が得られず、5質量%より多いと臨床学的には食物繊維のもつ生理副作用が発現しやすくなる。
本発明の栄養組成物は蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水を含むものであり、その配合組成は、蛋白質(A)の配合量が2〜11質量%、糖質(B)の配合量が1〜35質量%、乳化剤(C)と油脂(D)の配合量の合計が1〜13質量%含有するものである。
さらに食物繊維(E)を含む場合は、蛋白質(A)の配合量が2〜11質量%、糖質(B)の配合量が1〜35質量%、乳化剤(C)と油脂(D)の配合量の合計が1〜13質量%、食物繊維(E)0.1〜5質量%を含有するものである。
本発明の栄養組成物が、蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水からなる場合は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分と水の合計が100質量%以下になるように配合する。さらに食物繊維(E)を含む場合は、(A)成分と(B)成分と(C)成分と(D)成分と(E)成分と水の合計が100質量%以下になるように配合する。
(その他の原材料)
本発明の栄養組成物は、上記の必須成分以外に、ミネラル、ビタミン、酸味料、高甘味度甘味料、果汁、香料、色素を使用してもよい。
(ミネラル)
本発明の栄養組成物は、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、モリブデン、マンガン、ヨウ素などのミネラルを含むことができる。ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの提供源は、塩化物、水酸化物、リン酸塩、縮合リン酸塩、硫酸塩、炭酸塩、有機酸塩などが挙げられるが、本発明のpH範囲において水溶性であることが望ましい。難溶性もしくは不溶性の場合はミネラルの沈降物を発生するか、分散剤などで液中に分散させた場合でも透明性の低下が起こり好ましくない。鉄はクエン酸第一鉄Naやピロリン酸第二鉄、亜鉛や銅はグルコン酸塩、鉄、亜鉛、銅、セレン、クロム、モリブデン、マンガン、ヨウ素は酵母由来のものが用いられる。本発明は爽やかな風味を目的としているために、これにあわない塩味を呈するミネラルは過剰に配合しない方が望ましい。例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムの場合はそれぞれ200mg/100ml以下が望ましい。
(ビタミン)
本発明の栄養組成物は、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ナイアシン、パントテン酸Ca、葉酸、ビタミンB12、ビタミンC、ビオチンなどのビタミンを含むことができる。
(酸味料)
本発明において所望のpHとするために酸味料を用いることができる。食品で用いられる種々の酸味料として、リン酸、塩酸、硫酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、乳酸などがある。所望のpHとした場合の浸透圧や、酸味の味質、製造上の取扱いの安全性を加味すると、クエン酸、酒石酸、フマル酸が好ましい。
(高甘味度甘味料)
本発明の栄養組成物は、糖質として甘味度が15〜30程度の澱粉分解物が好ましいことから、全体の甘味が少なくなりやすい。甘味を補う高甘味度甘味料として、ネオテーム、アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムカリウム、ステビア、ソーマチンが挙げられるが、熱や酸に弱いアスパルテームを除き、さらに本発明に特有のペプチドやアミノ酸やビタミンやミネラルからくる総合的な不快な味のマスキングを目的とすると、ネオテーム、スクラロース、ステビア、ソーマチンが好ましく、ネオテーム、スクラロースが最も好ましい。
(果汁)
本発明は、美味しさを訴求するため果汁などの呈味成分を添加することが好ましい。例えば、リンゴ果汁、オレンジ果汁、ブドウ果汁、パイナップル果汁、イチゴ果汁、バナナ果汁、キウイ果汁、ブルーベリー果汁などが挙げられ、これらを酸味料のかわりにpH調整に用いても良い。添加量としては還元時に0.1質量%〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.5質量%〜10質量%であり、最も好ましくは1質量%〜5質量%である。0.1質量%より少ないと美味しさへの効果が充分でなく、30質量%より多いと果汁に含まれる糖類により浸透圧が上昇してしまう。
(熱量)
本発明の液状栄養組成物の熱量は1mlあたり1.0kcal以上が好ましく、より好ましくは1.2kcal以上、最も好ましくは1.5kcal以上である。単位体積あたりの熱量を多くすることは、1食あたりに摂取すべき量を少なくすることができ、短時間での摂取が可能となり望ましい。
(製造方法の概要)
本発明の栄養組成物は、調合工程、均質化工程、充填工程を行うことにより製造することができる。必要に応じて殺菌工程も行っても良い。
(製造方法・調合工程)
調合工程は水にそれぞれの原材料を溶解する工程であり、タンクの上部から原材料を投入しプロペラ攪拌により溶解させるか、溶けにくい原材料の場合は高速攪拌機もしくはパウブレンダーのような溶解ポンプで溶解させる。このときの水温は、25℃〜80℃が好ましく、より好ましくは40℃〜70℃、最も好ましくは40〜60℃である。水温が低すぎると原材料が効率的に溶解しないばかりか、そのあとの均質化工程に送液する際に加温工程がない場合には、均質化機で乳化粒子が効率的に微細化されない。また水温が高すぎると原材料は効率的に溶解できるものの、ビタミンや魚油などの熱分解しやすい成分に劣化が起こり、栄養成分などの品質において好ましくない影響がでる。
(製造方法・均質化工程)
均質化工程は乳化粒子の微細化を行うために、高速ホモミキサー、マントンゴーリン式ホモジナイザー(低圧ホモジナイザー、高圧ホモジナイザー)、マイクロフルイダイザーなどが用いられるが、均質化能力や処理流量や製造コストから、高圧ホモジナイザーが好ましく用いられる。均質化圧力は10MPa〜150MPaが好ましく、より好ましくは30MPa〜100MPa、最も好ましくは40MPa〜80MPaである。しかし、均質化圧力を上げるよりも均質化の処理回数を増やす方が、本発明の栄養組成物には有効である。均質化の処理回数は、2回以上が好ましく、より好ましくは3回以上、最も好ましくは4回以上である。
(製造方法・殺菌工程)
殺菌工程は、ボイル殺菌、レトルト殺菌、UHT殺菌などが用いられる。pHが4.6以下の場合は90℃15分などのボイル殺菌が用いられ、簡易な装置での殺菌が可能である。しかし、風味や栄養成分の劣化を考慮するとUHT殺菌が好ましい。UHT殺菌には直接方式と間接方式があり、間接方式にはプレート式とチューブラー式がある。直接方式は風味や栄養成分の劣化に対し特に効果を発揮するが、乳化粒子の粗大化が起き乳化安定性が低下するので、UHT殺菌間接方式が最も好ましい。pHが4.6以下の場合はUHT殺菌では、110℃1〜30秒などの殺菌条件が可能であるが、好熱好酸菌を配慮し140℃1〜10秒の処理をすることが好ましい。
(製造方法・充填工程)
充填工程は、ボイル殺菌やレトルト殺菌の場合は殺菌前に密封容器に充填し、UHT殺菌の場合は殺菌後に無菌的に密封容器に充填する。密封容器は、ボイル殺菌やレトルト殺菌の場合は、缶やアルミパウチやソフトバッグ容器などの軟包材が挙げられ、UHT殺菌の場合はテトラパックなどが挙げられる。本発明の栄養組成物の酸化を防止するためには、ソフトバッグ容器などの軟包材の場合は、ポリ塩化ビニリデンコートや酸化アルミ(アルミナ)系透明蒸着やシリカ系透明蒸着フィルムが好ましい。またテトラパックの場合はストリップテープからの酸素透過があるため、MPMストリップテープよりもMSEストリップテープが好ましい。
(官能試験)
本発明の官能試験は、20歳〜50歳のパネラー6名によって行った。臭味や苦味や旨味や乳化剤特有のえぐ味が全く感じられないものは「◎」、臭味や苦味や旨味や乳化剤特有のえぐ味がほとんど感じられないものは「○」、臭味や苦味や旨味や乳化剤特有のえぐ味を感じるが飲用には問題ないものは「△」、臭味や苦味や旨味や乳化剤特有のえぐ味を強く感じ飲用に値しないものは「×」とした。酸味の好ましさは、美味しく飲用できるものは「○」、酸味に刺激を感じるが飲用には問題ないものは「△」、酸味に刺激を感じ飲用に値しないものは「×」とした。
(pH)
本発明の栄養組成物のpHの好ましい範囲は前述したとおりである。この測定は、製造1日後に栄養組成物を20〜30℃に調温し、(株)堀場製作所製pHメーターM−13により測定した。
(粘度)
本発明の栄養組成物の粘度は、飲みやすくしたり、飲んだ後に口中に残ったりしないようにするため低い粘度とすることが好ましく、品温が20℃において15mPa・s以下が好ましく、より好ましくは10mPa・s以下である。本発明の栄養組成物の粘度は、製造1日後にブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社製B型粘度計を使用し、ローターBLアダプター・回転数30で測定した。
(透明感・透過率)
本発明の栄養組成物の透明感は透過率として測定し、視覚的な爽やかさをだすため高い方が好ましい。1%以上が好ましく、より好ましくは3%以上であり、最も好ましくは6%以上である。本発明の透過率は、製造1日後に(有)東京電色社製TC−8600を使用し、JIS Z8722に準じ、ハロゲンランプを光源とし、光学条件は積分球(150mmφ)方式0-d法により、測定方法は2度視野C・XYZフィルター方式により、試料をガラス製セル(総厚み8mm、サンプル厚み4mm)に入れ、測定面積25mmφで測定した。
(浸透圧)
本発明の栄養組成物の浸透圧は、浸透圧性下痢などを考慮し低い方が好ましい。200mOsm/kg〜1200mOsm/kgが好ましく、より好ましくは200mOsm/kg〜1000mOsm/kgである。本発明の浸透圧の測定は、製造1日後にアドバンスインストロメンツ社製3D3を用いて測定した。
(乳化安定性・粒径)
本発明の栄養組成物の乳化安定性は、乳化粒子の粒径で評価した。乳化粒子の粒径が小さいほど乳化安定性に優れ、大きいほど不安定であることは、ストークスの法則によって一般的に知られている(食品コロイド入門(西成勝好監訳)幸書房p93)。また、視覚的な透明感の観点からも小さいほど好ましい。乳化安定性や透明感から総合的に判断すると、0.25μm以下が好ましく、より好ましくは0.20μm以下、最も好ましくは0.14μm以下である。本発明の栄養組成物の粒径は、製造1日後に(株)堀場製作所製レーザー回折式粒度分布計LA−950を用いて測定した。
(総合評価)
総合評価は、以下のようにした。官能試験の臭味、苦味、旨味、乳化剤特有のえぐ味、酸味の好ましさにおいて「△」が1つでもあったものは総合評価を「△」、「×」が1つでもあったものは「×」とした。粘度は11〜15mPa・sのものは「△」、15mPa・sより大きいものは「×」とした。透過率は1%のものは「△」、1%未満のものは「×」とした。浸透圧は1001以上のものは「△」とした。粒径は殺菌前の時点で分離しているか1μmより大きいものは「×」、殺菌前の時点で1μm以下であるが殺菌後の時点で1μmより大きいものは「△」、また殺菌3日後に軽度な攪拌で再分散するクリーミングが認められたものも「△」とした。以上の基準において「×」が1つでもあれば総合評価は「×」、「×」が1つもなく「△」が1つでもあれば総合評価は「△」、「×」も「△」もなければ総合評価は「○」とした。
(実施例1)
本発明の栄養組成物の代表例を示す。表1及び2のように、重量平均分子量5200のコラーゲンペプチド3.0質量%、重量平均分子量2380の大豆ペプチド3.5質量%、L−トリプトファン0.1質量%、L−ロイシン0.2質量%、L−メチオニン0.1質量%、L−ヒスチジン0.1質量%、L−バリン0.1質量%、L−フェニルアラニン0.3質量%、数平均分子量560の澱粉分解物(デキストリン)22.0質量%、デカグリセリンモノオレイン酸エステル1.8質量%、MCT(構成脂肪酸比;カプリル酸:カプリン酸=8:2)1.7質量%、精製イワシ油0.1質量%、難消化性デキストリン1.0質量%、ヘキサメタリン酸ナトリウム0.1質量%、クエン酸カリウム0.1質量%、塩化カルシウム0.15質量%、硫酸マグネシウム0.25質量%、クエン酸結晶0.55質量%、ブドウ6倍濃縮透明果汁0.5質量%、スクラロース製剤0.05質量%、微量ミネラルミックス0.05質量%、ビタミンミックス0.126質量%、グレープ香料0.1質量%、クチナシ赤色素0.1質量%を、総質量2000gとなるように50℃の温水に溶解させた。これを50℃保持のまま、均質化圧45MPaで2回処理し、その後25MPaで1回処理した。常温まで冷却したのちに100gずつアルミパウチに密封充填し、90℃15分でボイル殺菌した。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
実施例1の評価の結果は表3のように、栄養成分は熱量1.5kcal/ml、蛋白質19エネルギー%、糖質68エネルギー%、油脂12エネルギー%、食物繊維1エネルギー%、アミノ酸スコア100である。また物性分析の結果は、殺菌前で粒径0.14μm、殺菌後でpH4.3、粘度10mPa・s、透過率4%、浸透圧970mOsm/kg、粒径0.14μmであった。官能評価は臭味、旨味ともに良好であった。
Figure 2012135257
(実施例2−1〜4、比較例2−1〜5)
実施例1の重量平均分子量2380の大豆ペプチドを表4のように変更した以外は同様に行った。重量平均分子量5000より大きい大豆ペプチドはいずれも透過率1%未満であり透明性が得られなかった。また重量平均分子量2000より小さい大豆ペプチドはわずかに旨味があった。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例3−1〜2、比較例3−1〜3)
実施例1の澱粉分解物(デキストリン)を表6のように変更した以外は同様に行った。その結果は表7のように、数平均分子量が900より大きい澱粉分解物は、乳化粒子の粒径が大きく乳化安定性に劣り透過率も1%未満であった。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例4−1〜2、比較例4−1〜10)
実施例1の乳化剤を表8のように変更した以外は同様に行った。その結果は表9のように、殺菌前ではポリグリセリンの平均重合度が5以上で微細な粒径が得られ、また構成する脂肪酸が実施例1のオレイン酸以外でもミリスチン酸であれば微細な粒径が得られ乳化剤特有のえぐ味もなく良好であった。またデカグリセリンモノミリスチン酸エステルであれば、実施例1のデカグリセリンモノオレイン酸エステルと同様に殺菌後であっても微細な粒径と透明性が得られ、非常に良好であった。
デカグリセリンモノラウリン酸エステルは、殺菌前の粒径は小さかったが、殺菌前からラウリン酸特有の味が酷く、飲用には不可であった。グリセリン重合度が4以下やステアリン酸とのエステルなどのポリグリセリン脂肪酸エステルや、ポリグリセリン脂肪酸エステル以外の乳化剤は、均質化後または殺菌後に直ちに油水分離を起こしたため物性分析さえも不可能であった。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例5−1〜4、比較例5−1〜3)
実施例1のMCT(構成脂肪酸比;カプリル酸:カプリン酸=8:2)と精製イワシ油の総量1.8質量%を表10のように変更した以外は同様に行った。その結果は表11のように、MCTであれば微細な粒径と透明性を得ることができたが、ナタネ白絞油およびナタネ硬化油およびパーム油は、透過率が1%未満に低下した。MCTの中でもカプリル酸とカプリン酸で構成されるMCTはいずれの脂肪酸組成においても微細な乳化粒子と良好な透過率を得ることができた。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例6−1〜7)
実施例1のMCT(構成脂肪酸比;カプリル酸:カプリン酸=8:2)と精製イワシ油の総量1.8質量%を全てMCTに置き換え、MCT1.8質量%に対する乳化剤の質量比率を表12のように変更した以外は同様に行った。その結果は表13のように、油脂:乳化剤の質量比率が1:3〜1.5:1で、乳化剤特有のえぐ味も全くなく、非常に微細な粒径と良好な透過率を得ることができた。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例7−1〜4)
実施例1のMCT(構成脂肪酸比;カプリル酸:カプリン酸=8:2)と精製イワシ油の総量1.8質量%を全てMCTに置き換え、乳化剤との質量比率を1:1に固定したまま、油脂と乳化剤の総量を表14のように変更した以外は同様に行った。その結果は表15のように、1.8〜7.2質量%では高い透過率を得ることができた。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例8−1〜6)
実施例1の難消化性デキストリンを表16のように変更した以外は同様に行った。その結果は表17のように、いずれも微細な乳化粒子が得られ、グァーガム分解物以外では殺菌3日後においてもクリーミングの発生がなかった。なお、ここで発生したクリーミングは軽度な攪拌で再分散し、完全に油水分離を生じるような重篤な問題には至らなかった。
Figure 2012135257
Figure 2012135257
(実施例9)
実施例1と同じ配合率で総質量を2000kgとなるように60℃の温水に溶解した。これを60℃保持のまま、均質化圧45MPaで2回処理した。そして一旦10℃まで冷却したあと、UHT殺菌間接方式(チューブラー式)にて142℃2秒で殺菌を行い、その後に更に25MPaで1回処理し、無菌的に125mlのテトラパックに充填した(表18)。その結果は表19のように、実施例1とほぼ同じ品質が得られた。
Figure 2012135257
Figure 2012135257

Claims (3)

  1. 蛋白質、糖質、乳化剤、油脂、及び水を含むpHが3.0〜5.0の液状栄養組成物であって、
    蛋白質(A)が、コラーゲンペプチド及び重量平均分子量が1000〜5000の植物性ペプチド、
    糖質(B)が、数平均分子量が300〜900の糖質、
    乳化剤(C)が、平均重合度が5以上のポリグリセリンと、オレイン酸またはミリスチン酸のいずれかとのエステルであるポリグリセリン脂肪酸エステル、
    油脂(D)が、MCT、
    を含有し、
    蛋白質(A)の配合量が2〜11質量%、糖質(B)の配合量が1〜35質量%、乳化剤(C)と油脂(D)の配合量の合計が1〜13質量%である経口用液状栄養組成物。
  2. 油脂(D)と乳化剤(C)の質量比率が1:6〜3:1であることを特徴とする請求項1に記載の液状栄養組成物。
  3. さらに食物繊維(E)を含み、
    食物繊維(E)が、難消化性デキストリン、イヌリン、及びポリデキストロースからなる群より選ばれる、1種または2種以上の食物繊維、
    を0.1〜5質量%含有することを特徴とする請求項1または2に記載の液状栄養組成物。

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