JP2008301723A - 乳化状総合栄養食 - Google Patents

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Abstract

【課題】 流動性及び乳化安定性の良好な乳化状総合栄養食を提供する。
【解決方法】 タンパク質成分を3〜15g/100ml、ナトリウム及びカリウムを合計濃度で60〜650mM、カルシウム及びマグネシウムを合計濃度で20〜260mM含有する乳化状総合栄養食であって、ナトリウム及び/又はカリウムの縮合リン酸塩(A)の総含量が0.01質量%〜0.4質量%、ナトリウム及び/又はカリウムの有機酸塩(B)の総含量が0.2質量%〜2質量%、並びにカルシウム及び/又はマグネシウムの水難溶性塩(C)の総含量が0.05質量%〜0.3質量%であることを特徴とする乳化状総合栄養食。
【選択図】なし

Description

本発明は、栄養補給の目的で使用される乳化状総合栄養食に関するもので、具体的には、その乳化安定性の向上に関する。
消化管の機能は十分であるが、食物の嚥下が困難な場合に、従来から、チューブを通して栄養成分を胃または腸に投与する経腸栄養法による栄養補給がなされている。経腸栄養法は、自然的な栄養補給方法に近いため、腸管無活動状態がもたらす腸管粘膜の廃用性萎縮や感染症等の合併症を回避できる点で、望ましい栄養補給方法であるといえる。経腸栄養法に使用される流動食は、細いチューブを通して投与される場合が多く、常温での長期間保存が必要となるため、流動性の良好な液体である必要があり、高い乳化安定性が求められるとともに、加熱滅菌処理に対する安定性が求められている。
市販されている多くの流動食は1kcal/mlに調整されている。しかし、近年、1mlあたり1.8kcal以上である、高熱量流動食の開発が求められている。この高熱量流動食においては、栄養分の投与時間を短縮することができ、さらに、胃への容量負荷が少ないため、肺炎の原因である胃食道逆流の誘発を防止するというメリットがある。また、腎臓障害等を理由に水分摂取制限をする必要がある場合にも、高熱量流動食であれば、低用量で必要栄養素を摂取できるというメリットがある。
高熱量流動食において、栄養学的にバランスの良い栄養組成とするためには、タンパク質を高含有させることが重要である。例えば、充分量のエネルギー・蛋白質を摂取することにより、疾病からの回復能が低下するPEM(Protein Energy Malnutrition:蛋白質・エネルギー低栄養状態)と呼ばれる栄養状態に陥ることを回避したり、この状態から回復したりすることができる。また、タンパク質の摂取量は、近年問題となっている褥瘡の発生・治癒と密接な関係があり、充分量の蛋白質摂取の有効性が指摘されている。
高熱量流動食において、さらにバランスの良い栄養組成とするため、ミネラルも高含有させることが重要である。これは、血中ミネラル濃度が低下すると、酸塩基平衡等が崩れ、様々な合併症を引き起こす可能性があるからである。なお、特に重要なミネラルは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウムといわれている。流動食だけの栄養管理でこれらのミネラルが不足した場合には、別途、ミネラル含有組成物による栄養補給が必要であり、使用者の利便性を著しく低下させる。
このように、高熱量流動食においては、タンパク質成分及びミネラル成分の含有量を高める必要があるが、タンパク質成分及びミネラル成分が高含有された高熱量流動食においては、蛋白質が塩析作用により不安定化するため、当該流動食の粘度が上昇したり、凝集物や沈殿物が発生したりして、チューブ流動性が低下し、チューブ詰まりがおきるという点が問題となる。
高熱量流動食に関する従来技術としては、例えば、特許文献1および、特許文献2が挙げられる。ここでは、主に、全乳蛋白質、カゼインナトリウムもしくはカゼインカルシウム、及び動物性蛋白質分解物もしくは植物性蛋白質分解物を特定の配合比とすることで、高熱量、低粘度、良好なチューブ流動性を達成している。しかし、この高熱量流動食では、蛋白質含量、ミネラル含量は十分ではない。
一方、特許文献3では、キレート剤として縮合リン酸塩又は有機酸塩を含ませることで、良好な乳化安定性を達成している。また、キレート剤を組み合わせて使用する流動食としては、特許文献4、特許文献5、特許文献6が挙げられる。しかし、キレート剤の使用のみでは、タンパク質とミネラルの含量が高い、乳化安定性の良好な流動食は得られない。
他に、流動食の乳化安定性を高めた先行技術としては、特許文献7や特許文献8が挙げられる。前者では、水難溶性マグネシウム塩と縮合リン酸塩等の乳化安定剤とを組み合わせて使用している。後者では、キレート剤として縮合リン酸塩又は有機酸塩と、水難溶性無機化合物とを組み合わせて使用している。しかし、いずれも、水難溶性塩の含有量が極めて多く、高タンパク質、高ミネラル下での乳化安定性は十分ではない。
特開平8−196236号公報 特開平10−210951号公報 特開平1−240169号公報 特開2001−245633号公報 特開2004−51494号公報 特開2006−50935号公報 特開2001−333735号公報 特開2004−57146号公報 特開2001−333735号公報
以上のように、流動食においては、凝集物・沈殿物発生防止や乳化安定性増大のための技術が求められているが、従来技術では、特に、高タンパク質・高ミネラル含有食にした場合、凝集物・沈殿物が発生し、良好な乳化安定性が得られていない。そこで、本発明は、乳化状総合栄養食を高タンパク質・高ミネラル含有とした場合であっても、また、レトルト滅菌した場合であっても、高い流動性及び良好な乳化安定性を達成することを課題としてなされた。
前記課題を解決するために、鋭意研究を重ねた結果、本発明者らは、縮合リン酸塩、有機酸塩及び水難溶性塩の量を適切な範囲に調整することにより、高タンパク質・高ミネラル含有の乳化状総合栄養食であっても、沈殿物・凝集物の発生がない又は軽度であり、高い流動性及び良好な乳化安定性を維持できること、並びに、長時間加熱滅菌するレトルト滅菌法においても、同様に良好な品質を保持できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、より具体的には、以下のようなものを提供する。
(1)タンパク質成分を3〜15g/100ml、ナトリウム及びカリウムを合計濃度で60〜650mM、カルシウム及びマグネシウムを合計濃度で20〜260mM含有する乳化状総合栄養食であって、ナトリウム及び/又はカリウムの縮合リン酸塩(A)の総含量が0.01質量%〜0.4質量%、ナトリウム及び/又はカリウムの有機酸塩(B)の総含量が0.2質量%〜2質量%、並びにカルシウム及び/又はマグネシウムの水難溶性塩(C)の総含量が0.05質量%〜0.3質量%、であることを特徴とする乳化状総合栄養食。
(2)前記縮合リン酸塩(A)の総含量及び前記有機酸塩(B)の総含量の合計が前記水難溶性塩(C)の総含量より多い、(1)に記載の乳化状総合栄養食。
(3)前記縮合リン酸塩(A)が、ヘキサメタリン酸ナトリウム及び/又はピロリン酸四ナトリウムである、(1)または(2)に記載の乳化状総合栄養食。
(4)前記有機酸塩(B)が、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、コハク酸二ナトリウム、及びコハク酸二カリウムから選ばれる1以上のものである、(1)〜(3)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(5)縮合リン酸塩、有機酸塩、タンパク質由来のナトリウム及びカリウムの合計濃度が50mM以上である、(1)〜(4)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(6)前記水難溶性塩(C)が炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムである、(1)〜(5)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(7)乳蛋白質濃縮物、水難溶性カルシウム塩、及び水難溶性マグネシウム塩由来のカルシウム並びにマグネシウムの合計濃度が20mM以上である、(1)〜(6)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(8)乳化状総合栄養食が、タンパク質成分を7.5〜15g/100ml、ナトリウム及びカリウムを合計濃度で100〜650mM、カルシウム及びマグネシウムを合計濃度で40〜260mM含有するものである、(1)〜(7)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(9)タンパク質成分が、カゼイネート、カゼインペプチド、乳蛋白質濃縮物、及びコラーゲンペプチドからなる、(8)に記載の乳化状総合栄養食。
(10)熱量が1.8kcal/ml以上である、(1)〜(9)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
(11)当該乳化状総合栄養食がレトルト滅菌したものである、(1)〜(10)のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
尚、乳化安定性を増すために、縮合リン酸塩、有機酸塩及び水難溶性塩を含有させ、その最適含有量を特定している本発明に対して、前述の特許文献8に開示されている発明では、キレート剤として縮合リン酸塩又は有機酸塩と、水難溶性無機化合物とを組み合わせて使用しているが、かかる発明は、水難溶性無機化合物100重量部に対してキレート剤は0.01〜5重量部であり、水難溶性塩の含有量が圧倒的に多くなっている。また、特許文献7においても、水難溶性マグネシウム塩と縮合リン酸塩等の乳化安定剤とを組み合わせて使用しているが、やはり、水難溶性マグネシウム塩100重量部に対して縮合リン酸塩等の乳化安定剤は2〜55重量部であり、水難溶性塩の含有量が圧倒的に多くなっている。このように、先行技術においては、縮合リン酸塩、有機酸塩及び水難溶性塩の三者を組み合わせることの示唆がないだけでなく、水難溶性塩に着目すれば、その縮合リン酸塩又は有機酸塩に対する含有量比が本願発明とは全く異なっている。本願発明においては、先行技術のように水難溶性塩の含有比率を高めると、乳化安定性を高める効果は得られなくなる。
本発明は、粘度が低く、凝集物・沈殿物の発生がない又は軽度であり、高い流動性及び乳化安定性の良好な、乳化状総合栄養食を提供する。また、本発明のより好ましい実施形態においては、乳化状総合栄養食を高タンパク質・高ミネラル含有とした場合であっても、また、高熱量とした場合であっても、さらにはレトルト滅菌した場合であっても、高い流動性及び良好な乳化安定性が得られる。
以下、本発明について具体的に説明する。尚、本願明細書において、「乳化状総合栄養食」とは、乳化状態の液状の総合栄養食である。これには、いわゆる流動食、濃厚流動食、経腸栄養剤、液状総合栄養食等が含まれる。
乳化状総合栄養食の栄養組成は、基本的に、水、タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、ビタミン、ミネラルからなる。そのバランスは「日本人の食事摂取基準(2005年度版):厚生労働省」等を参考に、個々の目的に応じて設定できる。前記日本人の食事摂取基準によれば、健常人のエネルギー必要量は1350〜2750kcal/日であるが、寝たきり患者等が使用する流動食では、基礎代謝量の低下を考慮して、800〜1500kcal/日と設定できる。
本発明の乳化状総合栄養食の熱量は、目的に応じて設定することができる。通常の流動食とする場合は1mlあたり1kcal程度であるが、高熱量流動食とする場合は、1mlあたり1.8kcal以上が好ましく、より好ましくは2.0kcal以上である。なお、2.5kcal/ml以上、特に3.0kcal/ml以上になると、流動食として品質が悪化するため好ましくない場合がある。
(タンパク質成分)
本発明の乳化状総合栄養食は、タンパク質成分の含量を、目的に応じて設定することができる。1mlあたり1.0kcalである通常の乳化状総合栄養食とする場合は、タンパク質成分は3.75g/100ml程度とすることができる。また、高熱量食とする場合は、蛋白質成分は7.5g/100ml以上、更には、8g/100ml以上とすることができる。ただし、15g/100ml以上になると粘度が高くなるため好ましくない。このように、本発明の乳化状総合栄養食におけるタンパク質成分の量は、3g〜15g/100mlが好ましく、高熱量食とする場合は、7.5g〜15g/100mlが適当である。尚、タンパク質成分は、栄養学的に良質なタンパク質組成であることが望ましい。即ち、アミノ酸スコアが少なくとも90以上となることが好ましく、更に100以上となることが好ましい。
本発明の乳化状総合栄養食に使用するタンパク質成分は、一般に食用として利用されているものを使用できる。動物由来としては、乳、ゼラチン、鶏卵、鶏肉、魚肉、豚肉、牛肉などがあり、植物由来としては、大豆、小麦、米、トウモロコシなどがある。乳由来の蛋白質成分は、全乳から様々な工程を経て製造される。全乳から直接得られる全乳蛋白質、全乳から乳糖などを除いた全乳濃縮物、全乳から乳脂を除いた脱脂乳、脱脂乳から乳糖など除いた乳蛋白質濃縮物、全乳から酸や酵素を用いて沈澱させた上清に含まれるホエイ、同じく沈澱物であるカゼイン、カゼインをアルカリ成分で中和したカゼイネートが挙げられる。乳蛋白質濃縮物はミルク蛋白質濃縮物とも呼ばれる。ホエイはその純度により濃縮ホエイ(WPC)、分画ホエイ(WPI)とも呼ばれる。カゼイネートはカゼイン塩とも呼ばれ、また中和成分により、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインカルシウム、カゼインマグネシウムとも呼ばれる。また、ゼラチンはコラーゲンとも呼ばれ、これらを使用できる。これらのタンパク質成分は、酵素などによって分解されたペプチドとしても使用でき、カゼインペプチド、ホエイペプチド、コラーゲンペプチドなどが良く利用される。カゼインペプチドはカゼイン分解物、ホエイペプチドはホエイ分解物、コラーゲンペプチドはコラーゲン分解物、ゼラチンペプチド、ゼラチン分解物などとも呼ばれる。これらの蛋白質は、通常、乾燥された粉末として取り扱われることが多い。
本発明の乳化状総合栄養食、特にタンパク質成分7.5g〜15g/100mlの高熱量高タンパク質食とする場合、蛋白質の提供源は、カゼイネート1質量%〜4質量%、カゼインペプチド0.1質量%〜2質量%、乳蛋白質濃縮物1質量%〜4質量%、及びコラーゲンペプチド0.5質量%〜3質量%からなるものとすることが好ましい。より好ましくは、カゼイネート2質量%〜3質量%、カゼインペプチド0.1質量%〜1質量%、乳蛋白質濃縮物2.5質量%〜3.5質量%、及びコラーゲンペプチド1質量%〜2質量%である。
ここで、カゼイネートは、アミノ酸スコアが高く乳化安定性の向上に寄与し耐熱性も良好であるので好適であるが、多量に配合すると粘度が上昇するため好ましくない。カゼインペプチドはアミノ酸スコアが高く耐熱性も良好で粘度も低く好適であるが、多量に配合すると苦味が強くなるため好ましくない。乳蛋白質濃縮物は、塩析や乳化不安定化の促進物質であるカルシウムを遊離しないリン酸コロイドの形態で保持しているため好適であるが、多量に配合すると乳化安定性や耐熱性がやや低下するため好ましくない。コラーゲンペプチドは耐熱性が高く粘度が低いため好適であるが、多量に配合するとアミノ酸スコアが低下するため好ましくない。また、この他に制限アミノ酸となりやすいトリプトファンやスレオニンを、遊離アミノ酸の形態で配合することが好ましい。
(ナトリウム及びカリウム)
本発明の乳化状総合栄養食は、栄養成分としてナトリウム及びカリウムを合計濃度で60〜650mM含むものである。ナトリウム及びカリウムは、細胞内外液の主な陽イオンであり、体内の浸透圧、酸−塩基平衡の調節に重要な役割を果たす不可欠なミネラルである。ナトリウム及びカリウムの合計濃度が60mM未満の場合は、血中ナトリウム及びカリウムの低下により酸塩機平衡等が崩れ、様々な生理機能に悪影響を及ぼす可能性がある。ナトリウム及びカリウムの合計濃度が650mM以上の場合は、ナトリウム及びカリウムの過剰摂取となる可能性があり、また、乳化状総合栄養食の粘度の上昇や乳化安定性の低下が起こる。ナトリウム及びカリウムの合計濃度は、高熱量食とする場合、即ち高ミネラル食とする場合は、100mM以上が好ましい。
(カルシウム及びマグネシウム)
本発明の乳化状総合栄養食は、栄養成分としてカルシウム及びマグネシウムを合計濃度で20〜260mM含むものである。カルシウムは骨の主要成分であり、不足状態が継続すると骨粗しょう症を発症する。またマグネシウムはアデノシン三リン酸および他の分子の安定化に重要な役割を果たす不可欠なミネラルである。カルシウム及びマグネシウムの合計濃度が20mM未満の場合は、様々な生理機能に悪影響を及ぼす可能性がある。260mMより多いカルシウム及びマグネシウムは、泌尿器系結石や他のミネラルの吸収抑制の可能性があり、また、乳化状総合栄養食の粘度の上昇や乳化安定性の低下が起こる。カルシウム及びマグネシウムの合計濃度は、高熱量食とする場合、即ち高ミネラル食とする場合は、40mM以上が好ましい。
(縮合リン酸塩、有機酸塩、及び水難溶性塩)
本発明の乳化状総合栄養食は、ナトリウム及び/又はカリウムの縮合リン酸塩の総含量が0.01質量%〜0.4質量%、ナトリウム及び/又はカリウムの有機酸塩の総含量が0.2質量%〜2質量%、並びにカルシウム及び/又はマグネシウムの水難溶性塩の総含量が0.05質量%〜0.3質量%であることを特徴とする。加えて、上記のように特定された範囲内で、縮合リン酸塩の総含量及び有機酸塩の総含量の合計が、水難溶性塩の総含量より多いほうが好ましく、より好ましくは、縮合リン酸塩の総含量及び有機酸塩の総含量の合計が、水難溶性塩の総含量の2倍以上である。
本発明における縮合リン酸塩は、ナトリウム及びカリウムの提供源としての役割をも果たす。縮合リン酸塩としては、ピロリン酸二水素二ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、トリポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びそれらのカリウム塩などが挙げられる。なかでも、ヘキサメタリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、またはそれらのカリウム塩が好ましい。縮合リン酸塩の機能としては、キレート効果が認められているが、その他に蛋白質の溶解性を高めるなど、乳化状態への影響が大きい。また、溶液の粘度を適度に調整することができるので、水難溶性のカルシウム及びマグネシウム塩を安定に均一に分散することができる。縮合リン酸塩の配合量は、前述のように0.01質量%〜0.4質量%であるが、これより少ないと縮合リン酸塩の充分な効果が得られず、これより多いと乳化安定性の低下や、高粘性による作業性の低下、凝集物や沈殿物の発生が生じる。縮合リン酸塩の配合量は、好ましくは0.05質量%〜0.35質量%である。
本発明における有機酸塩は、ナトリウム及びカリウムの提供源としての役割をも果たす。有機酸塩としては、酢酸塩、乳酸塩、コハク酸塩、アスパラギン酸塩、リンゴ酸塩、グルタミン酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩が挙げられる。尚、カゼイン塩はカルボキシル基を含むが、これらの巨大分子は含まないものとする。有機酸塩のなかでも、クエン酸塩が最も好ましく、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウムなどが挙げられる。クエン酸塩の機能としては、キレート効果が認められているが、その効果は縮合リン酸塩と比較すると弱く、pH緩衝剤としても機能し、pHを中性付近に維持することにより、水難溶性のカルシウム及びマグネシウム塩の溶解を防止することができる。有機酸塩の配合量は、前述のように0.2質量%〜2質量%であり、これより少ないと有機酸塩の充分な効果が得られず、これより多いと乳化安定性の低下や、粘度の上昇、凝集物や沈殿物の発生が生じる。有機酸塩の配合量は、好ましくは0.4質量%〜1質量%である。
なお、本発明において、ナトリウム及びカリウムの提供源としては、他に、蛋白質、塩化物、水酸化物、リン酸塩などの無機塩を使用することも可能である。本発明においては、縮合リン酸塩、有機酸塩、及び蛋白質由来のナトリウム及びカリウムの合計濃度が、50mM以上であることが望ましい。50mMより少ないと本発明の効果が充分得られず、粘度上昇、凝集物や沈殿物の発生、乳化安定性の低下が起こりやすい。例えば、ナトリウム源として塩化ナトリウムを多く使用した場合は、塩析が起こり易くなる。また、ナトリウム源として水酸化ナトリウムやリン酸ナトリウムを多く使用した場合は、製造中に好ましくないpH変化が生じ、粘度上昇や乳化安定性の低下が起こる。前記縮合リン酸塩、有機酸塩、及び蛋白質由来のナトリウム及びカリウムの合計濃度は、より好ましくは70mM以上であり、更に好ましくは80mM以上である。
本発明における水難溶性塩は、カルシウム及びマグネシウムの提供源としての役割をも果たす。水難溶性塩としては、炭酸塩、リン酸塩、クエン酸塩などが挙げられるが、本発明の乳化状総合栄養食に好適な水難溶性塩は、炭酸塩である。炭酸塩は水に難溶性であるため、塩析や乳化不安定化の促進物質となりにくく、本発明に好適である。しかし、炭酸塩自体が沈澱の原因となりやすいため、炭酸塩の粒度が小さく、乳化剤や多糖類などで分散性を高めた処理を施したものがより好適である。炭酸塩の粒度はメジアン径で10μm以下が好ましく、1μm以下が更に好ましい。これにより、沈殿発生という問題が解消しうる。尚、分散性を高めるための乳化剤は、グリセリンの脂肪酸エステルかショ糖エステルが好ましく、多糖類はカルボキシメチルセルロースやアラビアガムが好ましい。カルシウムの水難溶性塩の好ましい配合量は、0.01質量%〜0.20質量%であり、更に好ましくは0.03〜0.07質量%である。マグネシウムの水難溶性塩の好ましい配合量は、0.01質量%〜0.30質量%であり、更に好ましくは0.05〜0.15質量%である。
本発明において、カルシウム及びマグネシウムの提供源は、水難溶性塩に限らず、塩化物、水酸化物、硫酸塩、カゼイネート、乳蛋白質濃縮物なども使用できる。本発明においては、乳蛋白質濃縮物、水難溶性カルシウム塩及び水難溶性マグネシウム塩由来のカルシウム及びマグネシウムの合計濃度が、20mM以上であることが望ましい。20mMより少ないと、粘度上昇、凝集物や沈殿物の発生、乳化安定性の低下が起こる可能性がある。前記乳蛋白質濃縮物、水難溶性カルシウム及びマグネシウム塩由来のカルシウム及びマグネシウムの合計濃度は、より好ましくは30mM以上であり、更に好ましくは35mM以上である。
(他の成分)
本発明の乳化状総合栄養食に使用する脂質は、本発明の目的から逸脱しなければ、特には限定されず、一般に食用として利用されているものを使用できる。例えば、ナタネ油、大豆油、コーン油、ヤシ油、パーム油、パーム核油、ヒマワリ油、オリーブ油、米油、シソ油等の植物性油脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油等の動物性油脂、中鎖脂肪油が使用できる。本発明の乳化状総合栄養食に好適な脂質は、ナタネ油、大豆油、コーン油などであり、また栄養学的な付加価値を高めるため、シソ油、魚油、中鎖脂肪油を配合することが望まれる。その配合量は、脂質として3質量%〜8質量%が好ましく、更には5質量%〜7質量%がより好ましい。
本発明の乳化状総合栄養食に使用する炭水化物は、糖質と食物繊維があり、一般に食用として利用されているものを使用できる。糖質の素材としては、特に限定はされないが、例えば、ブドウ糖、果糖などの単糖類、蔗糖、乳糖、トレハロースなどの二糖類、オリゴ糖、デキストリン、澱粉、異性化糖、還元水飴、還元デキストリンなどが挙げられる。これらの糖類は、1種単独であるいは2種以上を配合して使用してもよい。食物繊維の素材としては、特に限定はされないが、例えば、難消化性デキストリン、サイクロデキストリンなどの水溶性食物繊維や、微結晶セルロースなどの不溶性食物繊維などが挙げられる。
本発明の乳化状総合栄養食に好適な糖質はデキストリンである。高熱量総合栄養食はエネルギー供給を目的として糖質を多く配合する必要があり、単に配合すると粘度が上昇するだけでなく、高浸透圧となり下痢が起こりやすくなる。よって、本発明の流動食に使用するデキストリンは、浸透圧と粘度の関係より、DE値10〜25のデキストリンが望ましく、更にはDE値15〜20のデキストリンがより好ましい。また、その配合量は、15質量%〜30質量%が好ましく、更には20質量%〜25質量%がより好ましい。
本発明の乳化状総合栄養食に使用する前述のミネラル以外のミネラルは、本発明の目的から逸脱しなければ、特には限定されず、一般に食用として利用されているものを使用できる。例えば、リン、クロム、モリブデン、マンガン、鉄、銅、亜鉛、セレン、ヨウ素、硫黄、塩素などが挙げられ、その原料としては、水酸化物、塩化物、硫酸塩、炭酸塩、リン酸塩、縮合リン酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、グルコン酸塩、カゼイネートなどが使用できる。また蛋白質に含まれるミネラル、酵母に含まれるミネラル、その他のミネラルなども使用できる。
本発明の乳化状総合栄養食に使用するビタミンは、特に限定されるものではない。例えば、ビタミンA、ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、パントテン酸、葉酸、ナイアシン、ビオチンなどが挙げられる。
本発明の乳化状総合栄養食は、必要により、乳化剤、香料、果汁などを加えても良い。乳化剤としては、食用として使用されるものであればいずれでも構わない。例えば、モノグリセライド、ポリグリセライド、レシチン、リゾレシチン、高純度レシチン、有機酸モノグリセライド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、コンドロイチン硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
本発明の乳化状総合栄養食の製造方法について述べる。製造方法としては、例えば、前記の各種原料を水に投入し、プロペラ撹拌しながら加温し、充分に溶解させる。最終的に水分調整し、20メッシュ〜200メッシュのフィルターを通した後、均質化を行う。均質化のための機械、条件は特に限定されないが、例えば、高圧ホモジナイザーを用いて、3〜75MPaで均質化する。好ましくは35MPa以上、より好ましくは45MPa以上で、処理回数は2回以上が好ましい。
このようにして製造された未殺菌総合栄養食は、菌による腐敗を避けるための加熱滅菌処理を行う。加熱滅菌の方法は、通常2つの方法が行われる。1つは乳化状総合栄養食を短時間で加熱滅菌した後に、無菌的に密封可能容器に充填するUHT・無菌充填法であり、もう1つは、密封可能容器に充填した後に長時間加熱滅菌するレトルト法であり、そのいずれでも構わない。密封可能容器は、使用者にとってより利便性の高いソフトバッグが好ましく、UHT殺菌を経て無菌的に充填される場合もまれにあるが、一般的にはレトルト殺菌で製造される。レトルト法は長時間加熱されるため、熱による乳化状総合栄養食へのダメージが過酷であり、蛋白質の塩析による凝集物や沈殿物の発生、乳化安定性の低下が起こり易い。また、レトルト法は、UHT・無菌充填法とは異なり、滅菌後に均質化処理を行うことができないため、凝集物や沈殿物を再分散できず、レトルト法の方が良好な品質を保つために高度な技術が求められる。
本発明の乳化状総合栄養食に使用されるレトルト滅菌条件は、滅菌されうる条件ならいずれでも構わないが、110℃〜130℃で1分〜1時間である。好ましくは115℃〜125℃で3分〜40分であり、更に好ましくは120℃〜125℃で4分〜10分である。これより低温で短時間の場合は充分滅菌されず、これより高温で長時間の場合は、加
熱により流動食の品質が低下する。また、加熱による焦げを抑制するため、揺動または摺動させながら滅菌することが望まれる。
ソフトバッグ容器とは、使用者が投与する際に、そのまま投与容器として利用可能な形態であり、乳化状総合栄養食の移し替えがないため、手間を省けるだけでなく、菌汚染のリスクを軽減できる。一般的には、ポリエステルフィルムやナイロンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどに、酸化ケイ素やアルミニウムを蒸着させた延伸ポリエステルや無延伸ポリプロピレンを組み合わせてできる耐熱防気性フィルムを袋状に整形されたもので、流動食を投与するためのチューブに繋ぐことができる流出口を持っている。
本発明の乳化状総合栄養食は、特に流動食として使用する場合は、適切な粘度がある。粘度が高すぎることは好ましくなく、品温が20℃において100mPa・s以下が好ましく、より好ましくは50mPa・s以下であるが、150mPa・s以下であればフィードポンプで強制的に送液できるので、条件付で可と評価される。また、本発明の乳化状総合栄養食においては、水難溶性塩を使用するため、粘度が低すぎることも好ましくなく、品温が20℃において10mPa・s以上が好ましく、より好ましくは20mPa・s以上である。
次に実施例及び試験例を示し、本発明を更に具体的に説明する。なお、以下の実施例は、あくまで本発明の中に含まれる具体例を幾つか示したものに過ぎず、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。また、乳化状総合栄養食の実施例としては、いずれも流動食を示した。
(製造状態の評価)
本発明の流動食を製造する場合において、適切な処方でない場合、蛋白質の凝集などの不溶性成分を生じ、製造ライン中の網に目詰まりする可能性がある。製造後にこれを目視で確認し、評価した。全く網に残留物が認められない場合を○、やや残留物が認められるが製造に支障がないものは△、多くの残留物が認められ製造に支障があるものは×とした。
(浮上物の評価)
本発明の流動食を製造1日後および40℃2ヶ月保存後に、目視にて浮上物の有無を評価した。浮上物は、主に脂質成分からなり、攪拌により均一に再分散する可逆的な浮上をクリーミングと呼び、攪拌してもすぐに再浮上する不可逆的な浮上をオイルオフと呼ぶ。結果の表記については、浮上物がまったく認められないものを○、クリーミングを△、オイルオフを×とした。
(凝集物の評価)
本発明の流動食を製造1日後および40℃2ヶ月保存後に、目視にて凝集物の有無を評価した。結果の表記については、凝集物がまったく認められない状態を○、やや認められるが攪拌により均一に再分散する可逆的な凝集物やフィードポンプなど強制的に送液できる程度の問題ないものを△、多量に認められ攪拌により均一に再分散しない不可逆的な凝集物で問題のあるものを×とした。
(沈殿物の評価)
本発明の流動食を製造1日後および40℃2ヶ月保存後に、目視にて沈澱物の有無を評価した。結果の表記については、沈澱物がまったく認められない状態を○、やや認められるが攪拌により均一に再分散する可逆的な沈澱物を△、多量に認められ攪拌により均一に再分散しない不可逆的な沈澱物を×とした。
(粘度の測定)
本発明の流動食について、製造1日後に粘度を測定した。測定方法は、ブルックフィールドエンジニアリングラボラトリーズ社製B型粘度計を使用し、100mPa・s以下はローターBLアダプター・回転数6で測定し、100mPa・s〜200mPa・sはローターNo.1・回転数30で測定し、それ以上はローターNo.2・回転数30で測定した。
(蛋白質含有量の測定)
流動食中の蛋白質含有量は、ケルダール法によって測定した。
(脂質含有量の測定)
流動食中の脂質含有量は、レーゼゴットリーブ法によって測定した。
(熱量の測定)
流動食中の熱量は、流動食に含まれるタンパク質、脂質、糖質、食物繊維から算出されるものである。タンパク質、脂質、糖質の算出方法は、Atwaterのエネルギー換算係数を用いた。食物繊維については、厚生労働省の平成15年2月17日付の通知に従って計算した。
(カルシウム、マグネシウム含有量の測定)
流動食中のカルシウムおよびマグネシウム含有量は、ICP発光分析法によって測定した。測定値の単位はmg/100gとして得られ、比重を乗じてmg/100mlとし、カルシウムの場合は4.008、マグネシウムの場合は2.431で割ることで単位をmMに換算した。
(ナトリウム、カリウム含有量の測定)
流動食中のナトリウムおよびカリウム含有量は、原子吸光光度法やICP発光分析法によって測定した。測定値の単位はmg/100gとして得られ、比重を乗じてmg/100mlとし、ナトリウムの場合は2.299、カリウムの場合は3.910で割ることで単位をmMに換算した。
(共通原料の製造)
実施例及び比較例の共通原料として、カゼインナトリウム(中央商工製「インスタンラックS」)2.5質量%、乳蛋白質濃縮物(DMV製「MPC−80」)3.1質量%、カゼインペプチド(森永乳業製「C800」)0.6質量%、コラーゲンペプチド(ゼライス製「CPB−5」)1.8質量%、硫酸マグネシウム0.15質量%、ナタネ油6.3質量%、グリセリン脂肪酸エステル0.6質量%、デキストリン(松谷化学工業製「パインデックス#4」)22.0質量%の試料を調整した。ただし、硫酸マグネシウム量は比較例1−3で0.40質量%、実施例3−1で0.32質量%とした。
(実施例1−1及び、比較例1−1〜1−4)
表1にある試験原料を水に攪拌溶解させ、さらに以下に記載する共通原料を追加して攪拌溶解させ、配合終了時に全体が2000kgとなるように残部を水で調整した。その溶解液を40メッシュの網を通過させた後、50MPaで2回均質化(三和機械社製No.3253)を行い、300mlずつソフトバッグに充填し、ヒートシールにより密閉した。その後、122℃・6分間でレトルト滅菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)を行った。また調製された試験組成物の主な栄養成分を表1に記載した。
実施例1−1及び、比較例1−1〜1−4の試験組成物について、製造後に網の目詰まりを確認した。また製造1日後に、浮上物、凝集物、沈殿物を評価し、粘度を測定した。更に40℃・2ヶ月保存後にも、浮上物、凝集物、沈殿物を評価した。その結果を表1に記載した。ここでは、縮合リン酸塩、有機酸塩、及び水難溶性塩の三者を併用しない比較例の試験組成物と比較して、三者を併用した実施例の試験組成物が優れた効果を有することを示している。尚、比較例1−4の試験組成物は、水難溶性塩の含有量が多過ぎるため、良好な結果を得られなかった。
Figure 2008301723
(実施例2−1〜2−6及び、比較例2−1)
試験原料を表2にあるものを用いた以外は実施例1−1と同様に製造し、試験及び評価も実施例1−1と同様に行った。また調製された試験組成物の主な栄養成分と、評価の結果を表2に記載した。ここでは、本発明で使用する最適な縮合リン酸塩の量を示している。縮合リン酸塩の量は、0.01質量%〜0.40質量%で良好な結果となり、0.05質量%〜0.20質量%で更に良好な結果となった。
Figure 2008301723
(実施例3−1〜3−2)
試験原料を表3にあるものを用いた以外は実施例1−1と同様に製造し、試験及び評価も実施例1−1と同様に行った。また調製された試験組成物の主な栄養成分と評価の結果を表3に記載した。ここでは、本発明で使用する最適な水難溶性のカルシウム及びマグネシウム塩の量を示している。水難溶性のカルシウム及びマグネシウム塩の量は、0.05質量%〜0.30質量%で良好な結果となった。
Figure 2008301723
(実施例4−1〜4−4)
試験原料を表4にあるものを用いた以外は実施例1−1と同様に製造し、試験及び評価も実施例1−1と同様に行った。また調製された試験組成物の主な栄養成分と、評価の結果を表4に記載した。ここでは、ヘキサメタリン酸ナトリウム以外の縮合リン酸塩、クエン酸塩以外の有機酸塩でも課題を達成できることを示している。即ち、縮合リン酸塩としてピロリン酸ナトリウムを用いても、有機酸塩としてコハク酸塩を用いても課題が達成できることがわかった。
Figure 2008301723
(実施例5)
表5に示す原材料を水に攪拌溶解させ、配合終了時に全体が2000kgとなるように残部を水で調整した。その溶解液を40メッシュの網を通過させた後、50MPaで2回均質化(三和機械社製No.3253)を行い、300mlずつソフトバッグに充填し、ヒートシールにより密閉した。その後、122℃・6分間でレトルト滅菌(日阪製作所社製フレーバーエースRCS−40RTG)を行った。製造後に網の目詰まりを確認した。また製造1日後に、浮上物、凝集物、沈殿物の評価を行い、粘度を測定した。更に40℃・2ヶ月保存後にも、浮上物、凝集物、沈殿物の評価を行った。その結果を表5に記載する。本試験組成物を流動食の投与システムを用いて患者に投与しても、問題なく使用可能であった。
Figure 2008301723

Claims (11)

  1. タンパク質成分を3〜15g/100ml、ナトリウム及びカリウムを合計濃度で60〜650mM、カルシウム及びマグネシウムを合計濃度で20〜260mM含有する乳化状総合栄養食であって、ナトリウム及び/又はカリウムの縮合リン酸塩(A)の総含量が0.01質量%〜0.4質量%、ナトリウム及び/又はカリウムの有機酸塩(B)の総含量が0.2質量%〜2質量%、並びにカルシウム及び/又はマグネシウムの水難溶性塩(C)の総含量が0.05質量%〜0.3質量%、であることを特徴とする乳化状総合栄養食。
  2. 前記縮合リン酸塩(A)の総含量及び前記有機酸塩(B)の総含量の合計が前記水難溶性塩(C)の総含量より多い、請求項1に記載の乳化状総合栄養食。
  3. 前記縮合リン酸塩(A)が、ヘキサメタリン酸ナトリウム及び/又はピロリン酸四ナトリウムである、請求項1または請求項2に記載の乳化状総合栄養食。
  4. 前記有機酸塩(B)が、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、コハク酸二ナトリウム、及びコハク酸二カリウムから選ばれる1以上のものである、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  5. 縮合リン酸塩、有機酸塩、タンパク質由来のナトリウム及びカリウムの合計濃度が50mM以上である、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  6. 前記水難溶性塩(C)が炭酸カルシウム及び/又は炭酸マグネシウムである、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  7. 乳蛋白質濃縮物、水難溶性カルシウム塩、及び水難溶性マグネシウム塩由来のカルシウム並びにマグネシウムの合計濃度が20mM以上である、請求項1〜請求項6のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  8. 乳化状総合栄養食が、タンパク質成分を7.5〜15g/100ml、ナトリウム及びカリウムを合計濃度で100〜650mM、カルシウム及びマグネシウムを合計濃度で40〜260mM含有するものである、請求項1〜請求項7のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  9. タンパク質成分が、カゼイネート、カゼインペプチド、乳蛋白質濃縮物、及びコラーゲンペプチドからなる、請求項8に記載の乳化状総合栄養食。
  10. 当該乳化状総合栄養食の熱量が1.8kcal/ml以上である、請求項1〜請求項9のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
  11. 当該乳化状総合栄養食がレトルト滅菌したものである、請求項1〜請求項10のいずれかに記載の乳化状総合栄養食。
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