JP2012134236A - リチウムイオンキャパシタ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極、負極活物質層を有する負極および電解液を備え、前記負極が、負極活物質層100質量%に対して、ケッチェンブラックを4質量%〜20質量%含有するリチウムイオンキャパシタであり、負極が、50%体積累積径(D50)が1.0〜10μmの範囲にある黒鉛を含み、前記正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V以下である。
【選択図】なし
Description
特許文献2には、活性炭、カーボンブラックおよびバインダーを含み、これらの合計量に対し、比表面積1000m2/g以上のカーボンブラックが5重量%〜50重量%含まれる分極性電極を、正極、負極の少なくとも一方とする電気二重層キャパシタが開示されている。
ケッチェンブラックはストラクチャーが発達しており高い電子伝導性を有するが、比表面積の大きな材料であるため、従来リチウムイオン二次電池等では不可逆容量が大きくなることから、負極形成材料として用いることが困難であった。一方、リチウムイオンキャパシタではプレドープにより不可逆容量分を予め補うことができるため、負極形成材料として用いることが可能である。上記特許文献3では、リチウムイオンキャパシタの負極形成材料としてケッチェンブラックを用いることが記載されているが、その添加量が少量のため、内部抵抗の低減が不十分であった。
本発明のリチウムイオンキャパシタは、正極、負極活物質層を有する負極および電解液を備え、前記負極が、負極活物質層100質量%に対して、ケッチェンブラックを4質量%〜20質量%含有する。
リチウムイオンキャパシタは、正極と、負極と、電解液とを備え、さらに必要によりリチウム極を備えた蓄電デバイスである。
前記正極および負極にはそれぞれ正極活物質、負極活物質が含まれることが好ましく、正極活物質にはリチウムイオンおよびアニオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質、負極活物質にはリチウムイオンを可逆的にドープ・脱ドープ可能な物質をそれぞれ用いることが好ましい。
(A)リチウムイオンをドーピングさせ、次いで、キャパシタセルの正極端子と負極端子とを電気的に接続(短絡)させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、短絡解除後0.5〜1.5時間内に測定した正極電位
(B)充放電試験機にて12時間以上かけて0Vまで定電流放電させ、次いで、正極端子と負極端子とを電気的に接続(短絡)させた状態で12時間以上放置した後に短絡を解除し、短絡解除後0.5〜1.5時間内に測定した正極電位
図2は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ100を模式的に示す平面図である。なお、図2は、図3のリチウムイオンキャパシタ100の上面図(第2ラミネートフィルム3側から見た時の図)である。なお、図2では、便宜上、第2ラミネートフィルム3の下にある部分を点線で表示する。
図3は、本実施形態に係るリチウムイオンキャパシタ100を立体的に示す概略図である。
正極10は、図1に示すように、正極集電体12と、正極活物質層14と、を含むことが好ましい。
前記スラリーには、さらに、必要に応じて、正極導電助剤を混入させてもよい。
正極活物質は、ヘキサフルオロホスフェート(PF6 -)や、テトラフルオロボレート(BF4 -)のようなアニオンを可逆的に担持できる物質であることが好ましい。正極活物質は、例えば、リチウムイオンを担持できてもよい。正極活物質として具体的には、活性炭、芳香族系縮合ポリマーの熱処理物であるポリアセン系物質(PAS)などが挙げられ、活性炭が好ましい。以下では、正極活物質として活性炭を用いる場合について説明する。
結着剤(バインダー)としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やスチレン・ブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ素アクリル樹脂などを使用することができるが、フッ素アクリル樹脂を用いることが好ましい。フッ素アクリル樹脂は、より具体的には、フッ化ビニリデン(VDF)および六フッ化プロピレン(HFP)等を含有する単量体成分から得られる含フッ素重合体と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル類および官能基含有不飽和単量体等を含有する単量体成分から得られるアクリル重合体とを複合化した複合化重合体などが好ましい。前記複合化重合体は、例えば、含フッ素重合体をシードとしたアクリル重合体のシード重合により得ることができる。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ポリエチレングリコール(PEG)などが挙げられる。これらは、特に正極製造時に使用され得る水系塗料を作製する際に必要に応じて使用されることが好ましく、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。増粘剤の使用量は、例えば、正極活物質に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、さらには、4質量%〜10質量%であることがより好ましい。
正極導電助剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、ケッチェンブラック、金属粉末などを用いることができる。導電助剤の使用量は、例えば、正極活物質に対して、1質量%〜10質量%程度であることが好ましい。
前記正極を製造する際に用いられ得る分散媒としては、正極活物質、結着剤および必要に応じて増粘剤等を分散することができれば特に制限されないが、水等が挙げられる。
負極20は、図1に示すように、負極集電体22と、負極活物質層24と、を含むことが好ましい。
以下、負極活物質層24を構成する材料について説明する。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な物質であることが好ましい。負極活物質としてより具体的には、黒鉛(グラファイト)、難黒鉛化炭素、PASなどが挙げられる。これらの中でも、出力向上の点から50%体積累積径(D50)が1.0〜10μmの範囲にある黒鉛が好ましく、D50が2〜5μmの範囲にある黒鉛がより好ましい。
なお、前記50%体積累積径(D50)は、粒度分布測定装置を用いて測定した値である。
負極活物質層24を形成する際に用いられる結着剤および増粘剤としては、例えば、前記正極活物質層14を形成する際に用いられ得る結着剤および増粘剤として挙げた化合物を挙げることができる。
増粘剤の使用量は、例えば、負極活物質に対して、1質量%〜10質量%であることが好ましく、さらには、2質量%〜10質量%であることがより好ましい。
前記負極活物質層には、負極導電助剤として、ケッチェンブラックが含まれる。ケッチェンブラックの含有量は、負極活物質層100質量%に対して、4質量%〜20質量%であり、好ましくは5.5質量%〜20質量%であり、より好ましくは7質量%〜20質量%である。
前記活物質層は、ケッチェンブラックの他にその他の負極導電助剤を含んでもよい。その他の負極導電助剤としては、アセチレンブラック、グラファイト、金属粉末などが挙げられる。その他の負極導電助剤の含有量は、例えば、負極活物質層100質量%に対して、好ましくは1質量%〜20質量%であり、より好ましくは2質量%〜18質量%である。
前記正極を製造する際に用いられ得る分散媒としては、正極活物質、結着剤および必要に応じて増粘剤等を分散することができれば特に制限されないが、水等が挙げられる。
リチウム極30は、図1に示すように、リチウム極集電体32と、リチウム箔34とを含むことが好ましい。
セパレータ40としては、電解液、正極活物質、および負極活物質に対して耐久性がある多孔性材料を用いることができる。セパレータ40としてより具体的には、セルロース、レーヨン、ポリエチレン、ポリプロピレン、アラミド樹脂、アミドイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリイソシアヌレート、セルロース/レーヨンなどからなる不織布や多孔質のフィルムなどを用いることができる。セパレータ40の厚みは、特に限定されないが、例えば、20μm〜50μmである。セパレータ40は、正極10、負極20、およびリチウム極30を互いに隔離することができる。また、セパレータ40は、電解液が浸潤することが好ましい。
電解液としては、リチウム塩等の支持電解質を電解質とし、非プロトン性有機溶媒を溶媒とする電解液が好ましい。電解液には、さらに、必要に応じて任意の添加剤を混入させてもよい。非プロトン性有機溶媒としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルケトン、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、ジオキソラン、塩化メチレン、スルホランなどが挙げられる。これらの溶媒は、単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
支持電解質としては、リチウム塩からなる化合物であることが好ましい。リチウム塩としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiN(C2F5SO2)2などが挙げられる。電解液中のリチウム塩の濃度は、例えば、0.5モル/l〜1.5モル/lである。
任意の添加剤としては、特に制限されないが、下記式(1)で表される化合物などを挙げることができる。
下記式(1)で表される化合物は、Mが遷移金属または第13〜第15属元素である化合物が好ましく、MがPまたはBであるリン酸誘導体またはホウ酸誘導体であることがより好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
含フッ素重合体の合成を、次のとおり行った。電磁式撹拌機を備えた内容積約6リットルのオートクレーブの内部を十分に窒素置換した後、該オートクレーブ内に脱酸素した純水2.5リットル、および乳化剤としてパーフルオロデカン酸アンモニウム25gを仕込み、350rpmで撹拌しながら60℃まで昇温させた。次いで、フッ化ビニリデン(VDF)70%、および六フッ化プロピレン(HFP)30%からなる混合ガスを、内圧が20kg/cm2Gに達するまで仕込んだ。その後、重合開始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネートを20%含有するフロン113溶液25gを、窒素ガスを使用して圧入し、重合を開始させた。重合中は、内圧が20kg/cm2Gに維持されるようVDF60.2%およびHFP39.8%からなる混合ガスを逐次圧入した。また、重合が進行するに従って重合速度が低下するため、3時間経過後に、先と同量の重合開始剤を、窒素ガスを使用して圧入し、さらに3時間反応を継続させた。その後、反応液を冷却すると共に撹拌を停止し、未反応の単量体を放出して反応を停止させ、含フッ素重合体よりなる微粒子を含有するラテックスを得た。
<正極>
[正極スラリーの調製方法]
正極活物質として比表面積2100m2/gの市販の活性炭粉体85質量%、導電助剤としてアセチレンブラック粉体5.5質量%、結着剤としてフッ素アクリル樹脂(1)5.5質量%、増粘剤としてCMC4質量%をイオン交換水に分散させ、混合攪拌機にて充分混合することにより正極スラリーを得た。
正極集電体として厚さ35μm(気孔率50%)のアルミニウム製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)の両面に、非水系のカーボン系導電塗料(日本アチソン株式会社製:EB−815)をスプレー方式にてコーティングし、乾燥させた。正極集電体の貫通孔は、ほぼ導電塗料により閉塞された。正極集電体と導電塗料との合計の厚みは、52μmであった。
[負極スラリーの調製方法]
粒度分布測定装置LA920(HORIBA製作所)を用いて測定した50%体積累積径(D50)が5μmの黒鉛87.5質量%、面積が1270m2/gで中空率が78%のケッチェンブラック粉体(ケッチェン・ブラック・インターナショナル社製(商品名:ECP600JD))5.5質量%、CMC3質量%、およびフッ素アクリル樹脂(1)4質量%を加えて分散させ、混合攪拌機にて充分混合することで負極スラリー(1)を得た。尚、ケッチェンブラックの含有量は負極活物質層の全質量に対して、5.5質量%となる。
負極集電体として厚さ32μm(気孔率50%)の銅製エキスパンドメタル(日本金属工業株式会社製)両面に、上記の負極スラリー(1)をダイコーターにて塗布し、乾燥させることで負極(1)を製造した。負極の厚みは、80μmであった。なお、乾燥後の負極をφ13mmの大きさに打ち抜き、負極重量を測定した。集電体の重量を差し引き、負極活物質層の密度を算出した。
以上の手順で作成した負極(1)を縦×横が2.6×4.0cm2の大きさに1枚カットし、対極として同じ大きさで厚さ150μmの金属リチウムを厚さ80μmの銅網(リチウム極集電体)に圧着したリチウム極を2枚準備した。該負極1枚と該リチウム極2枚とを、セパレータとしてセルロース/レーヨン混合不織布を介して交互に積層し、第1積層シートを得た。
該負極単極セルに対して、10mA定電流で0Vまで充電し、0Vに到達後、定電圧にて24hr充電し続けた。その後、1mA定電流にて1.5Vまで放電することで、該負極の充電容量、放電容量、クーロン効率を求めた。結果を表1に示す。
次に、前記負極(1)を縦×横が2.6×4.0cm2の大きさに6枚カットし、前記正極(1)を縦×横が2.4×3.8cm2の大きさに5枚カットした。そして、積層した際の積層体の最外部が負極となるように、セパレータ(厚さ35μmのセルロース/レーヨン混合不織布)を介して、負極および正極を交互に積層し積層体を得た。次いで、セパレータとして、厚さ35μmのセルロース/レーヨン混合不織布を、得られた積層体の最外部(最上面と最下面)に各1枚配置してポリイミドテープで固定し蓄電デバイス要素を得た。次に、正極リードを介して、正極集電体とアルミニウム製正極端子とを電気的に接続させ、負極リードを介して、負極集電体とニッケル製負極端子とを電気的に接続させた。正極リードの接続、および負極リードの接続は、超音波溶接によって行った。正極端子および負極端子の大きさは、幅5mm、長さ20mm、厚さ100μmとした。
得られたリチウムイオンキャパシタ3極式セルにおいて、最初にプレドープを実施した。プレドープ量は、上記負極単極セル評価における充電容量の75%相当とし、リチウム極から負極へ10mA定電流にて0Vまで充電し、0Vに到達後、定電圧にて充電し続け、所定量のリチウムイオンがドープされた時点を終了とした。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛89質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック4質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛86質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック7質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛73質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック20質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛81質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック12質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
電解液に上記式(2)で示される化合物を0.2質量%添加した以外は実施例4と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例4と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛90質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック3質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
負極スラリーの調製方法において、黒鉛68質量%、CMC3質量%、フッ素アクリル樹脂(1)4質量%およびケッチェンブラック25質量%を加えて分散させ、負極スラリーを調製した以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
上記負極スラリー(1)に代えて、D50が5μmの黒鉛87.5質量%、アセチレンブラック5.5質量%、CMC3質量%、およびフッ素アクリル樹脂4質量%を加えて分散させ、混合攪拌機にて充分混合することで得られたスラリーを用いた以外は実施例1と同様に負極単極セルおよびリチウムイオンキャパシタ3極式セルを製造し、実施例1と同様の測定を実施した。結果を表1に示す。
総合判断結果は、クーロン効率が40.0%以上、且つ、直流抵抗値が150(mΩ)以下の条件を満たす場合を「○」とし、それ以外は「×」とした。
比較例2は、負極活物質層中にケッチェンブラックの含有量が多いため、負極のクーロン効率が40%を下回り、副反応が多くなることからガスの発生が起こり、セルが膨張した。
以上のことから、リチウムイオンキャパシタの高出力化等を図る場合は、負極の導電助剤として、ケッチェンブラックを特定量で用いることが好ましいことが分かる。
10:正極、12:正極集電体、14:正極活物質層、16:正極端子、18:正極リード、
20:負極、22:負極集電体、24:負極活物質層、26:負極端子、28:負極リード、
30:リチウム極、32:リチウム極集電体、34:リチウム箔、
40:セパレータ、
50:積層体、
100:リチウムイオンキャパシタ
Claims (3)
- 正極、負極活物質層を有する負極および電解液を備え、
前記負極が、負極活物質層100質量%に対して、ケッチェンブラックを4質量%〜20質量%含有するリチウムイオンキャパシタ。 - 前記負極が、50%体積累積径(D50)が1.0〜10μmの範囲にある黒鉛を含むことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオンキャパシタ。
- 前記正極と負極とを短絡させた後の正極電位が2.0V以下である請求項1または2に記載のリチウムイオンキャパシタ。
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