しかしながら、ユーザサイドでは、光源部のみの置き換えによるLED化が望ましくシステム全体の見直しは避けたい希望がある。
また、LEDと電球とは同じ調光信号による調光度に対する光出力特性が異なることから、電球に対する調光信号により電源を位相制御した場合の光出力と、LEDを同じ調光信号により位相制御した場合の光出力とは異なってしまうこともある。
本発明の目的は、位相制御された電圧にて発光ダイオードを電球のように調光点灯することができるLED照明装置を提供することである。
請求項1記載の発明は、LED光源部と;商用交流電圧を連続的に位相制御可能な位相制御回路から位相制御電圧を供給され、位相制御電圧を整流平滑した直流電圧に変換するDC電源部と;DC電源部の出力を供給され、LED光源部への供給電力を制御可能なスイッチング回路と;位相制御電圧から点弧位相を検出する点弧位相検出回路と;点弧位相検出回路の検出信号に応じてスイッチング回路の出力を変化させるとともに、電力変化量に対するLED光源部の光出力変化量が低レベル点灯領域においては他の領域に比して小さくなるようにスイッチング回路の出力を制御する制御演算部と;を具備していることを特徴とする。
請求項2記載の発明は、LED光源部と;商用交流電圧を連続的に位相制御可能な位相制御回路から位相制御電圧を供給され、位相制御電圧を整流平滑した直流電圧に変換するDC電源部と;DC電源部の出力を供給され、LED光源部への供給電力を制御可能なスイッチング回路と;DC電源部の電圧値を検出する電圧検出回路と;電圧検出回路の検出信号に応じてスイッチング回路の出力を変化させるとともに、電力変化量に対するLED光源部の光出力変化量が低レベル点灯領域においては他の領域に比して小さくなるようにスイッチング回路の出力を制御する制御演算部と;を具備していることを特徴とする。
本発明の実施形態においては、LED光源部の発光ダイオードは、白色LED及び有色LEDの何れであってもよい。
また、本発明における実施形態において、位相制御電圧に応じて、発光ダイオードの光出力変化が電球の光出力変化に近似するように調光制御する調光制御回路を設けることができる。例えば、発光ダイオードの光出力特性曲線及び電球の光出力特性曲線を予め記憶しており、電球に対する位相制御電圧に対して、発光ダイオードを電球の光出力特性で調光制御する。
また、本発明の実施形態において前記調光制御回路は、位相制御されて供給される電力が所定値以上となったとき、その所定値に対応する階調を始点として前記電球の光出力特性曲線に従って前記発光ダイオードを調光点灯するように構成することができる。調光制御回路は、電源から供給される電力が所定値以上となったときに動作を開始する。これは、調光制御回路の誤動作を防止するためであり、電源から供給される電力が所定値未満のときは調光制御回路が正常に動作しないことがあるから、これを防止するためである。
その所定値に対応する階調を始点として電球の光出力特性曲線に従って発光ダイオードを調光点灯するとは、調光制御回路が動作を開始したときの電力値における電球の階調を始点として発光ダイオードを調光点灯し、その後は既存の電球の光出力特性曲線になぞって発光ダイオードを調光点灯することである。これにより、調光制御回路が動作を開始する以前の低階調時には発光ダイオードは点灯しないが、発光ダイオードが点灯した後は電球の光出力特性で発光ダイオードを調光点灯できる。
また、本発明の実施形態において、前記調光制御回路は、位相制御されて供給される電力が所定値以上となったとき、その所定値を0階調としその0階調を始点として前記電球の光出力特性曲線で定まる調光比率で前記発光ダイオードを調光点灯するように構成することができる。
その所定値を0階調としその0階調を始点として電球の光出力特性曲線で定まる調光比率で発光ダイオードを調光点灯とは、調光制御回路が動作を開始したときの階調を0階調として、その0階調を始点として電球の光出力特性曲線で定まる調光比率で発光ダイオードを調光点灯することである。これにより、電球の光出力特性に近似した特性で発光ダイオードを0階調から256階調まで連続的に調光制御できる。
また、本発明の実施形態は、LED照明装置と、光源として電球を備えた電球照明装置と、前記LED照明装置と前記電球照明装置とを同じ位相制御電圧で調光点灯するための調光操作卓と、を具備することができる。光源として発光ダイオードを備えたLED照明装置と、光源として電球を備えた電球照明装置とが混在した照明システムであっても、LED照明装置は、発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように発光ダイオードを調光点灯する調光制御回路を備えていることにより、LED照明装置と前記電球照明装置とを同じ位相制御電圧で互いに近似した光出力特性で調光点灯できる。
請求項1および請求項2の発明によれば、発光ダイオードを位相制御された電圧によって、電球のように連続的に調光点灯できる。
図1は、LED照明装置の参考例を示すブロック構成図である。LED光源部11は複数の発光ダイオードから構成されている。このLED光源部11には、LED光源部11の発光ダイオードを点灯させるための電力が電源10から供給される。電源10は、例えば商用の交流電源である。
調光制御回路14は、発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように発光ダイオードを調光点灯するものであり、調光制御回路14に入力される調光信号に基づいてLED光源部11の発光ダイオードを調光制御する。調光制御回路14には、発光ダイオードの光出力特性曲線及び電球の光出力特性曲線が予め記憶されており、電球に対する調光信号に対して、発光ダイオードを電球の光出力特性で調光制御する。電球に対する調光信号とは、光源としての電球の光出力特性に応じた調光信号である。
図2は、本発明の一実施形態の使用例を説明するためのLED照明装置のブロック構成図である。図1に示した一例に対し、電源10からの交流を位相制御して位相制御された電力を供給する位相制御回路12と、位相制御回路12からの電力を入力する場合と直接的に電源10から電力を入力する場合とを切り替える切替手段23とが追加して設けられている。
位相制御回路12は、電源10からの交流を位相制御して位相制御された電力を供給するものである。例えば、調光操作卓13のフェーダからの電球に対する調光信号に基づいて電源10からの交流電圧を位相制御する。従って、位相制御回路12の出力は電球に対する調光信号に基づいて位相制御された電力となる。ここで、電球に対する調光信号とは、光源としての電球の光出力特性に応じた調光信号であり、例えば、調光操作卓のフェーダから入力される。電球には白熱灯やハロゲンランプ等の各種の電球が含まれる。
切替手段23は、位相制御回路12により位相制御された電力を調光制御回路14に入力して位相制御された電力により調光制御する場合と、電源10から直接的に調光制御回路14に電力を入力し別の調光信号により調光制御する場合とを切り替える。
調光制御回路14は発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように発光ダイオードを調光点灯するものであり、位相制御回路12で調光信号に基づいて位相制御された電力または位相制御されていない電源10からの電力を入力し、LED光源部11の発光ダイオードを電球の光出力特性で調光制御する。
以下、位相制御回路12で位相制御された電力が調光制御回路14に入力される場合(本発明の一実施形態)と、位相制御されていない電源10からの電力が直接的に調光制御回路14に入力される場合とに場合分けして説明する。
まず、本発明の一実施形態である、位相制御回路12で位相制御された電力が調光制御回路14に入力される場合について図3を参照して説明する。図3は本発明の一実施形態を示すブロック構成図である。位相制御回路12の出力電圧は、調光制御回路14の例えば定電圧化されたDC電圧を出力するDC電源部15及び点弧位相検出回路16に入力される。本実施形態においてDC電源部15は、位相制御回路12で位相制御された電圧を平滑して定電圧の直流電源を得るものであり、その出力はスイッチング回路17に入力される。
一方、点弧位相検出回路16は位相制御回路12で位相制御された電圧の点弧位相を検出し制御演算部18に出力する。制御演算部18は点弧位相検出回路16で検出された点弧位相に基づいて、スイッチング回路17の出力を点弧位相に応じて変化させるとともに、図4に示すように低レベル点灯領域(光出力が小さい領域)では電力変化量に対する光出力の変化量が他の領域に比して小さくなるようにスイッチング回路17の出力を変化させる。また、本実施形態においては位相制御回路12からの電力が所定値以上となったか否かを判定する。すなわち、位相制御回路12からの電力が所定値以上となったときに制御演算を開始し、スイッチング回路17に指令を出力しPWM制御によりLED光源部11の発光ダイオードを調光制御する。ここで、位相制御回路12から供給される電力が所定値以上となったときに動作を開始するのは、調光制御回路14の誤動作を防止するためである。
LED光源部11は複数個発光ダイオードを有し、例えばA群のLEDは主白色LEDであり、B群のLEDは補正用LEDであり色温度や演色性の補正を行う。
制御演算部18の記憶部19には、図4に示すような電球の光出力特性曲線C1及び発光ダイオードの光出力特性曲線C2が予め記憶されている。そして、電球の光出力特性曲線C1及び発光ダイオードの光出力特性曲線C2に基づいて、電球に対する位相制御電力に対して発光ダイオードを電球の光出力特性で調光制御する。すなわち、前述のように、光出力が小さい領域では大きい領域より、電力変化量に対する光出力が小さくなるように調光制御する。例えば、位相制御回路12からの電力がP1であるとき、そのまま発光ダイオードを点灯すると光出力がL12となり、操作員が意図した階調ではなくなるので、電球の光出力特性曲線C1で定まる光出力L11とする。同様に、位相制御回路12からの電力がP2であるときは、電球の光出力特性曲線C1で定まる光出力L21とする。これにより、電球に対する調光信号(位相制御電力)により発光ダイオードを調光制御できるので、光源部をLED光源部11に置き換えても既存の照明装置を従前の操作感覚で使用できる。
ここで、調光制御回路14は、位相制御回路から供給される電力が所定値以上となったときに調光制御回路の動作を開始するようにしていることから、位相制御回路12から供給される電力が所定値未満の低階調時では、光源である発光ダイオードは消灯している。そこで、電球に対する調光信号に応じて、発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように調光制御するにあたり、発光ダイオードが消灯している期間を考慮に入れて発光ダイオードを調光制御する。
図5は、調光制御回路14の動作説明図である。図5において、調光制御回路14が安定して動作できる電力がP0以上の領域であるとする。この場合、位相制御回路12から調光制御回路14に入力される電力が0〜P0の範囲Tでは、調光制御回路14は動作しないのでLED光源部11の発光ダイオードは消灯したままである。特性曲線C11は、調光制御回路が動作を開始したときの電力値P0における電球の階調(光出力L01)を始点として発光ダイオードを調光点灯し、その後は既存の電球の光出力特性曲線になぞって発光ダイオードを調光点灯する場合を示している。すなわち、特性曲線C11は既存の電球の光出力特性曲線である。この場合は、入力電力がP0以上では既存の電球の光出力特性曲線に従って調光制御できるが、入力電力がP0未満の低階調時には調光制御を行うことができない。
そこで、特性曲線C12に示すように、調光制御回路14が動作を開始したときの階調を0階調として、その0階調を始点として電球の光出力特性曲線で定まる調光比率で発光ダイオードを調光点灯する。この場合は、電球の光出力特性曲線そのものではなく、電球の光出力特性に近似した特性曲線となるが、発光ダイオードを0階調から256階調まで連続的に調光制御できる。特性曲線C11または特性曲線C12のいずれか選択して発光ダイオードの調光制御を行うことになる。いずれの特性曲線C11、C12も低レベルの点灯領域では、他の領域に比して電力変化量に対する光出力の変化量が小さくなっている。
図6は、本発明の第2の実施形態を示すブロック構成図である。本実施形態は、図3に示した実施形態に対し、点弧位相検出回路16に代えて電圧検出回路20が設けられている点が異なる。図3と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略するが、電圧検出回路の検出値に応じて、制御演算部18を介してスイッチング回路17の出力を変化させ、発光ダイオードを調光制御するのは図3と同様である。なお、図3の調光制御回路14では、点弧位相検出回路16で検出された電圧の点弧位相に基づいて、位相制御回路12からの電力が所定値以上となったか否かを判定するようにしたが、図6の調光制御回路14では、電圧検出回路20により定電圧DC電源部15の電圧が所定値以上となったか否かで位相制御回路12からの電力が所定値以上となったか否かを判定する。
次に、図2のLED照明装置において、位相制御されていない電源10からの電力が直接的に調光制御回路14に入力される場合について説明する。図7は、その場合の調光制御回路14の一例を示すブロック構成図である。図3に示した調光制御回路14に対し、点弧位相検出回路16を削除し、電球に対する調光信号に基づいた発光ダイオードへの調光信号を入力するための調光ボリューム21を設けたものである。図3と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図3に示す調光制御回路14には、位相制御回路12で調光信号が加味された電力が入力されるが、図7の調光制御回路14には、調光信号が加味されていない電源からの電力が定電圧DC電源部15に入力される。そこで、調光ボリューム21により手動で電球に対する調光信号に基づいた発光ダイオードへの調光信号を入力する。演算制御部18は、記憶部19に記憶された電球の光出力特性曲線C1及び発光ダイオードの光出力特性曲線C2に基づいて、スイッチング回路17に指令を出力しPWM制御により、LED光源部11の発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように調光制御する。これにより、位相制御回路からの電力の供給ができない箇所であっても光源である発光ダイオードを点灯させるための電力を得ることができ、LED光源部11の近傍で手動により調光ができる。
以上の説明では、調光信号が加味されていない電源からの電力が定電圧DC電源部15に入力される場合について説明したが、定電圧DC電源部15に位相制御回路12で調光信号が加味された電力が入力される場合についても適用可能である。この場合には点弧位相検出回路16を付加したままとなる。定電圧DC電源部15に位相制御回路12で調光信号が加味された電力が入力される場合には、位相制御回路12で調光制御が行われていることになるが、その調光制御をLED光源部11の近傍で変更する際に、調光ボリューム21により手動で変更できるので操作性が向上する。
図8は位相制御されていない電源からの電力が調光制御回路に入力される場合の調光制御回路14の他の一例を示すブロック構成図である。図7に示した調光制御回路14に対し、調光ボリューム21に代えて、外部から電球に対する調光信号に基づいた発光ダイオードへの調光信号を入力する調光信号入力端子22を設けたものである。図7と同一要素には、同一符号を付し重複する説明は省略する。
図8の調光制御回路14には、調光信号が加味されていない電源からの電力が定電圧DC電源部15に入力される。そこで、調光信号入力端子22に外部より入力される調光信号により調光制御する。
演算制御部18は、調光信号入力端子22に調光信号が入力されると、記憶部19に記憶された電球の光出力特性曲線C1及び発光ダイオードの光出力特性曲線C2に基づいて、スイッチング回路17に指令を出力しPWM制御により、LED光源部11の発光ダイオードの光出力が電球の光出力に近似するように調光制御する。これにより、位相制御回路からの電力の供給ができない箇所であっても光源である発光ダイオードを点灯させるための電力を得ることができ、LED光源部11の近傍で調光ができる。
以上の図7及び図8の説明では、調光信号が加味されていない電源10からの電力が定電圧DC電源部15に入力される場合について説明したが、定電圧DC電源部15に位相制御回路12で調光信号が加味された電力が入力される場合についても同様に適用可能である。この場合には点弧位相検出回路16または電圧検出回路20は付加したままとなる。定電圧DC電源部15に位相制御回路12で調光信号が加味された電力が入力される場合には、位相制御回路12で調光制御が行われていることになるが、調光ボリューム21や調光信号入力端子22への調光信号によっても調光制御できるので、位相制御回路12による調光制御を容易に変更でき操作性が向上する。
また、例えば可搬型調光卓を使用してLED照明装置を調光するような場合には、可搬型調光卓において、位相制御された電力により調光制御する場合と、別の調光信号により調光制御する場合とを切り替える切替手段を備えることによって、手元操作性が向上するようにしてもよい。
さらに、スタジオ等の全体の照明システムにおいて、LED照明装置と光源として電球を備えた電球照明装置とを備えた場合には、LED照明装置と電球照明装置とを同じ調光信号で調光点灯する調光操作卓により、電球を使用した既存の照明装置とLED照明装置とを同一の照明システムの中で使用できる。