JP2012132047A - 電気錫の製造方法 - Google Patents

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雅史 山下
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Abstract

【課題】錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法において、次第に電解液が変色し、それに伴い錫メタルの電着状態が悪化するという問題を解決する。
【解決手段】錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法であって、電解液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を−800mV以上に制御しながら電解精製を実施することを含む電気錫の製造方法。
【選択図】図1

Description

本技術は、電気錫の製造方法に関し、特に錫アノードを用いた電解精製による電気錫(金属錫)の製造方法おいて、電着状態の良い電気錫を製造するための方法に関する。
錫は、鉛や銅などの非鉄金属の製錬副産物として、また錫を含むスクラップや滓類の処理により産出されている。乾式処理や湿式処理で不純物を取り除いた後、最終的に電解採取法や電解精製法を行って錫を回収する。本発明においては、電解採取法及び電解精製法によって得られた錫を「電気錫」という。
例えば、鉛製錬工程において、電気炉等の乾式処理により、錫はスカム中に濃縮される。この錫スカムを水、アルカリ溶液で浸出し、得られたSn塩を溶融還元して錫アノードとする。このアノードを電解精製することにより、電気錫が得られる。
また、錫を含むスクラップや滓類は、例えば溶剤とともに電気炉等に装入され、乾式処理により錫アノードとなる。このアノードを電解精製することにより、電気錫が得られる。
錫は、鉛や銅、あるいはヒ素、アンチモン、ビスマスと挙動をともにすることが多く、製品錫への混入を防ぐためにも、これらの成分との分離が必要不可欠である。
これについては、例えば、特許第2642230号公報(特許文献1)に示されるように、硫化処理により鉛、銅を、錫置換によりビスマスを除去する方法がある。
また、特開2001−279344(特許文献2)に示されるように、錫より卑な金属を還元剤として、ヒ素やアンチモン等の不純物と錫とを分離し、錫を還元回収して、それを錫電解精製アノードして使用する方法もある。これらの手法により、不純物と分離した錫含有溶液や錫アノードを用いて、純度の高い電気錫を得ることができる。
特許第2642230号公報 特開2001−279344号公報
しかしながら、錫電解を継続していくと、次第に電解液の色が変化し、それに伴い錫メタルの電着状態が悪化する現象が起きる。電着状態が悪化し、電着物がスポンジ状に析出してしまうと、カソードを引き上げる際に電着物が剥がれ落ちるという問題が生じる。さらに、電着の際にスライムや電解液を巻き込んでしまい、製品錫の純度が下がるという問題も発生する。
なお、こうした問題は錫溶液から電解採取によって電気錫を製造する場合においては見られないため、錫アノードを用いた電解精製特有の問題であると考えられる。
上記事情に鑑みて、本発明は、錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法において、次第に電解液が変色し、それに伴い錫メタルの電着状態が悪化するという問題を解決することを課題とする。
この問題を解決するため、本発明者らは種々の検討を行った結果、電解精製時の電解液の酸化還元電位を制御することによってこの問題を解決できるとの知見を得た。
本発明は、以下の(1)〜(5)によって特定することができる。
(1)錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法であって、電解液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を−800mV以上に制御しながら電解精製を実施することを含む電気錫の製造方法。
(2)電解液に酸化剤を添加することにより電解液の酸化還元電位を制御することを含む(1)に記載の電気錫の製造方法。
(3)電解精製の最中に、酸化剤を継続的に添加することを含む(2)に記載の電気錫の製造方法。
(4)酸化剤が過酸化水素である(2)又は(3)に記載の電気錫の製造方法。
(5)電解液中の錫イオンの価数を2価から4価へと酸化させることを含む(1)〜(4)の何れかに記載の電気錫の製造方法。
上記発明により、電着状態の良い電気錫を製造することができる。
錫含有スカム(Snスカム)から電気錫を得るまでの一連の工程の一例を示すフロー図である。 良い電着状態の例を示す。 悪い電着状態の例を示す。 実施例及び比較例における酸化還元電位の変化を示す。
以下、本発明を詳細に説明する。
電気錫の製造では、例えば図1に示すように、鉛製錬工程等から発生する錫含有スカム(Na2SnO3、SnO2、SnO等)を水やアルカリ溶液に浸出して錫含有アルカリ性溶液(浸出後液)を得る。錫の溶解度の観点から、浸出液の液温は60℃〜80℃であることが好ましい。さらに、浸出後液のpHは10以上とするのが好ましく、13以上とするのがより好ましい。その後、硫化処理を行い、浸出後液中の鉛、ヒ素、アンチモン等を除去する。次いで、硫酸で中和することでSn塩(SnO2)を得る。得られたSn塩はコークスを用いて溶融還元され、錫アノードとなり電解精製に用いられる。
錫の電解精製に使用する電解液は例えば、濃度100g/L〜200g/L程度の苛性ソーダ溶液であり、Snを30〜90g/L程度含有している。Snは電解液中において、例えば2価の亜錫酸イオン(SnO2 2-)、4価の錫酸イオン(SnO3 2-)、又はそれらの混合で存在することができ、従って、電解液としては典型的にはアルカリ性錫酸液を使用することができる。電解開始時の液色は黄色を呈しており、電着状態も良好である。しかし、次第に茶色く変色し、最終的には灰色もしくは黒へと変化する。それに伴い、錫の電着状態が悪くなり、引き上げ時にカソードから電着物が剥がれたり、製品錫の純度が下がったりするといった問題が生じる。電着状態が悪いと、さらにその後の鋳造工程においても酸化錫となってロスする量が増える。酸化錫になると、溶融還元を行って再びアノードにしなければならず、非常に効率が悪い。
アルカリ性錫酸浴で粗錫をアノードに用いた場合、溶解は2価の亜錫酸塩、または4価の錫酸塩の形で起こる。4価の錫酸塩の形で溶解していれば、液色は黄色を呈しており、図2に示すような平滑な電着が得られる。
しかし、2価の亜錫酸塩の形で溶解した場合、電解液中の亜錫酸イオン濃度が高くなるにつれて、液色は茶色くなり、さらには灰色や黒へと変化する。液色が茶色くなる程度の亜錫酸イオン濃度であれば電着には影響がないが、それより高くなって液色が灰色もしくは黒になってしまうと、図3に示すような粗くて多孔質なスポンジ状の電着となる。
電解を続けていくうちに、次第に液の色が変色していくことから、アノードからの溶解は4価の錫酸塩よりも2価の亜錫酸塩の形での溶解の方が多いと考えられる。この亜錫酸塩を酸化剤によって、2価から4価へと酸化することにより、平滑な電着が得られる。この方法は、既に2価の亜錫酸イオン濃度が高くなり劣化してしまった電解液にも適用できる。つまり、劣化した電解液を再生し、電解液の繰り返し利用に寄与できることを意味する。
用いる酸化剤としては特に制限はないが、酸素、過マンガン酸カリウム、次亜塩素酸塩、過酸化水素などが挙げられ、十分な酸化力と電解液中において不純物となる物質を含まない等の理由により過酸化水素が好ましい。例えば、次亜塩素酸ナトリウムを使用したければ、電解液を繰り返し利用することを考慮すると、液中の塩化物イオンの増加が、設備の腐食等の悪影響をもたらす可能性があることに留意して使用すべきである。
酸化剤は、電解精製時の電解液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)が−800mV以上となるように添加する必要がある。表1に酸化還元電位と液の色、Snイオンの価数との関係を示す。
電解液中のSnイオンの存在状態は酸化還元電位に応じて、大きく3つに分けることができる。−800mV未満、つまり液色が灰色もしくは黒の時、電解液中にSnイオンは主に2価の状態で存在する。この場合、電着状態は悪く、図3のようなスポンジ状の電着となる。しかし、−800mV以上−300mV未満、つまり液色が茶色であれば、電解液中のSnイオンは2価と4価が共存した状態となり、−300mV以上、つまり液色が黄色であればほとんど4価の状態となる。
この条件の場合、多少2価のSnイオンが存在していても、図2のような平滑な電着が得られる。したがって、酸化還元電位が−800mV以上となるように、酸化剤の添加量を調整する必要がある。電解液の酸化還元電位は好ましくは−500mV以上であり、より好ましくは−300mV以上である。但し、酸化剤の消費量が多くなり、また、効果も飽和することから、必要以上に酸化還元電位を高くする必要はない。従って、電解液の酸化還元電位は通常は−800mV〜0mVの範囲である。
また、酸化剤は継続して添加することが重要である。一度に多量の酸化剤を用いて液が黄色になるまで酸化還元電位を上げたとしても、電解を続けるうちに酸化還元電位はまた減少し、結局、液は灰色もしくは黒へと変化する。
酸化還元電位が−800mV未満になる前に電解精製を終了することができれば、一度に多量の酸化剤を添加する態様であっても構わないが、長時間の電解精製には向かない。したがって、一度に多量の酸化剤を添加するのではなく、少量ずつ継続的に添加することが好ましい。これによって、所望の酸化還元電位を保持し、電着状態を良くすることができる。
電解精製の他の条件としては特に制限はなく、適宜条件を採用すればよい。例えば、電解液の温度は60〜80℃程度、典型的には70℃程度とすることができ、電流密度は60〜100A/m2程度、典型的には70A/m2程度とすることができる。
以上のように、錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法において、電解液の変色に伴い錫メタルの電着状態が悪くなる現象に対して、電解液中に酸化剤を添加することで、電解液の酸化還元電位を−800mV以上に保持し、この問題を解決することが可能になる。
(実施例1)
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
電解液として、Snを含有した苛性ソーダ溶液を用いた。この電解液は薄茶色を呈しており、2価の亜錫酸イオンと4価の錫酸イオンが共存している。液の組成と試験条件を表2に示す。アノードには図1のフロー中の溶融還元工程を経て得られた粗錫を使用し、カソードにはSUS304板を使用した。アノード品位を表3に示す。添加する過酸化水素は純水で25倍に希釈したものを使用した。槽内に装入した電位計(銀/塩化銀電極基準)により、電解液の酸化還元電位が常に−800mV以上となるように、過酸化水素水の添加量を調節した。
通電開始時の槽内の酸化還元電位は−570mVであった。前記条件で0.3mL/分の流量で過酸化水素水を継続的に添加していったところ、1時間経過した時点で、酸化還元電位が−300mV以上に上昇し、液色は黄色となった。その後も継続的に過酸化水素水の添加を続け、21時間経過した時点で通電を止め、電着した金属錫を引き上げた。
引き上げ時の酸化還元電位は−670mV、液色は薄茶色であった。図2に示すような、平滑な電着錫が得られた。図4は、酸化還元電位の変化を示すグラフである。後半部分では過酸化水素水の添加量が足りず酸化還元電位が減少しているが、最終的に−800mV以上を保持したことにより、良好な電着状態となったと言える。電着した金属錫の品位を表3に示す。もちろん、後半部分において過酸化水素水の添加量を多くすればより高い酸化還元電位を保持することは可能である。
(比較例1) 酸化剤として次亜塩素酸ナトリウムを用いた場合
以下に本発明の比較例を説明する。酸化剤を次亜塩素酸ナトリウムに変更し、予め酸化還元電位を−200mVに調整したこと以外は、全て実施例1と同条件で試験を行った。しかしながら、添加量が不足しており、通電開始後、次亜塩素酸ナトリウムの添加を続けても酸化還元電位は下がり続け、約1時間で−800mVを下回った。液色も黄色から薄茶色、さらには黒へと変化した。得られた電着メタルは、図3に示すようなスポンジ状のものであった。
(比較例2) 過酸化水素の量が足りず酸化還元電位が−800mVを下回る場合
予め過酸化水素水を用いて酸化還元電位を−200mVに調整し、添加する過酸化水素水を実施例1の半分の流量に変更したこと以外は、全て実施例1と同条件で試験を行った。通電開始後、過酸化水素水の添加を続けても酸化還元電位は下がり続け、約30分で−800mVを下回った。液色も黄色から薄茶色、さらには黒へと変化した。得られた電着メタルは、図3に示すようなスポンジ状のものであった。
(比較例3) 過酸化水素を最初のみ添加した場合
予め過酸化水素水を用いて酸化還元電位を−200mVに調整し、その後過酸化水素水を追加しなかったこと以外は、全て実施例1と同条件で試験を行った。通電開始後、酸化還元電位は下がり続け、約30分で−800mVを下回った。液色も黄色から薄茶色、さらには黒へと変化した。得られた電着メタルは、図3に示すようなスポンジ状のものであった。

Claims (5)

  1. 錫アノードを用いた電解精製による電気錫の製造方法であって、電解液の酸化還元電位(銀/塩化銀電極基準)を−800mV以上に制御しながら電解精製を実施することを含む電気錫の製造方法。
  2. 電解液に酸化剤を添加することにより電解液の酸化還元電位を制御することを含む請求項1に記載の電気錫の製造方法。
  3. 電解精製の最中に、酸化剤を継続的に添加することを含む請求項2に記載の電気錫の製造方法。
  4. 酸化剤が過酸化水素である請求項2又は3に記載の電気錫の製造方法。
  5. 電解液中の錫イオンの価数を2価から4価へと酸化させることを含む請求項1〜4の何れか一項に記載の電気錫の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN105821444A (zh) * 2016-05-23 2016-08-03 深圳市瑞世兴科技有限公司 一种线路板废料回收锡的方法

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