以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としてのインクジェットプリンタの外観を示す斜視図、図2は、インクジェットプリンタの内部の構成を示す、側方から見た概略図である。
図1及び図2に示すように、このインクジェットプリンタAは、写真プリントシステムに用いられるものであって、例えば、画像データを取得して必要な補正処理等を行う受付ブロック(図5参照)から通信ケーブルを介して伝送される画像データに基づいて記録紙Pに印刷を行うものである。
前記インクジェットプリンタAは、下面にキャスター3が設けられた筐体2を有するプリンタ本体部1を備えている。このプリンタ本体部1の筐体2内の下部には、ロール状に巻かれた長尺の記録紙Pを収容可能な2つのマガジンMが、上下方向に並んで収容されている。この記録紙Pは、マガジンM内部の収容室Sに収容されて、ロール状に巻かれた状態にあるときに径方向外側を向く面が印刷面とされている。
なお、本実施形態では、前記プリンタ本体部1において手差トレイ7が取り付けられる側(図2の左側)をプリンタ前側といい、その反対側(図2の右側)をプリンタ後側という。また、図2の紙面と垂直な方向は、プリンタ左右方向であって、プリンタ本体部1において搬送される記録紙Pの幅方向と一致している。
前記マガジンMは、持ち運び可能に構成された略密閉状の箱型容器である。マガジンM内部の収容室Sには、巻芯5を中心にロール状に巻かれた記録紙Pがそれぞれ収容されている。マガジンMの上面における前側の端部には、マガジンM内に収容された記録紙PをマガジンM外へと引き出すための開口部11が形成されている。開口部11は、巻芯5と同方向に延びる略矩形状をなしている。
前記マガジンMには、記録紙Pを開口部11を介して収容室Sから送り出すマガジンローラ12が設けられている。マガジンローラ12により送り出された記録紙Pは、後述する供給ローラ24に受け渡しされる。
また、前記マガジンMには、開口部11とマガジンローラ12との間に、巻芯5から引き出された記録紙PをマガジンM内で保持する保持ローラ対13が設けられている。この保持ローラ対13は、マガジンM内で記録紙Pの先端部を挟持するものである。これにより、記録紙Pの先端部がマガジンM内で自由に動いてしまうことを規制して、記録紙Pの巻きが緩くなったり印刷面がマガジンM内の底面と擦れてしまうことを防止している。
前記マガジンMは、筐体2の前後方向にスライド自在なスライド台10に載置されている。このスライド台10は、筐体2内の左右両側に設けられて装置前後方向に延びる図示しないリニアガイド等により、装置前後方向にスライド自在に構成されており、スライド台10をスライド移動させることで、マガジンMを筐体2内から出し入れできるようになっている。このスライド台10の前面は、筐体2の一部を構成するとともに開閉可能な扉部材10aによって覆われており、この扉部材10aを開放状態にすることで、記録紙Pの取り替え作業を行うことができるようになっている。
前記筐体2内の上部(上側のマガジンMよりも上方)には、マガジンMの収容室Sから引き出された記録紙Pの印刷面、又は手差トレイ7から供給された単票状の記録紙(図示省略)の印刷面に対して、画像データに基づいて印刷を行う印刷部21が設けられている。
ここで、前記マガジンMと印刷部21との間には、記録紙Pを印刷部21まで導くガイド部材28が配設されている。このガイド部材28は、記録紙Pの先端部が、搬送経路を通って印刷部21の供給ローラ24へ向かう際に搬送経路からずれないようにするためのものである。ガイド部材28の上流側には、2つに分岐した第1分岐通路28a及び第2分岐通路28bが設けられている。第1分岐通路28aには下側のマガジンMから引き出された記録紙Pが挿通され、第2分岐通路28bには上側のマガジンMから引き出された記録紙Pが挿通される。これにより、上下に並ぶように収容されたマガジンMの記録紙Pがそれぞれ別々の搬送経路を通りつつ、最終的に合流して供給ローラ24に導かれるようになっている。
また、前記ガイド部材28とマガジンMとの間には、記録紙Pの先端がマガジンMから引き出されたことを検出する反射型の第1センサ40及び第2センサ41がそれぞれ配設されている。
前記プリンタ本体部1の前側上部には、オペレータが単票状の記録紙を手差し供給するための手差トレイ7が設けられている。この手差トレイ7は、非使用時には、図1に示すように、筐体2内に折り畳んだ状態で収容できるようになっている。
前記手差トレイ7よりもプリンタ後側には、手差ローラ対9が配設されている。この手差ローラ対9は、記録紙における印刷部21による印刷面に接触する駆動ローラ9aと、印刷面とは反対側の面に接触する従動ローラ9bとで構成されている。駆動ローラ9aはモータ(図示省略)により駆動される。そして、手差トレイ7に供給された記録紙は、手差ローラ対9の回転により供給ローラ24に向かって送り出される。
本実施形態に係るインクジェットプリンタAでは、マガジンMの収容室Sに収容された記録紙P、及びオペレータが手差トレイ7に手差し供給した単票状の記録紙を用いてそれぞれ印刷を行うことができる構成となっているが、印刷部21に供給された後のそれぞれの記録紙に対する処理については同様である。そのため、以下では、マガジンMに収容された記録紙Pを搬送して印刷を行う場合について主に説明する。
図2に示すように、前記マガジンローラ12によりマガジン外部に送り出された記録紙Pは、供給ローラ24によって印刷部21へ供給される。具体的に、記録紙Pは、供給ローラ24と、供給ローラ24に対向配置された2つの圧着ローラ24aとの間に挟持されて、駆動モータ(図示省略)によって供給ローラ24が時計回り方向に回転駆動されることで印刷部21まで搬送される。
前記供給ローラ24は、駆動モータによって、記録紙PをマガジンMの収容室Sから引き出して印刷部21側へ搬送する正方向の回転と、記録紙Pを収容室S内へ戻す逆方向の回転とが可能なように構成されている。これにより、例えば、記録紙Pへの印刷を中断して、手差トレイ7に差し込んだ単票状の記録紙や、他方のマガジンM内の記録紙Pを印刷部21に供給して印刷を行う際に、搬送経路上に存在する記録紙PをマガジンM内に戻すことができる。また、記録紙Pを新たなものに交換する際にも、プリンタ本体部1内に引き出されている記録紙PをマガジンM内に戻すことができる。
前記供給ローラ24の下流側には、画像データに基づいて印刷を行う印刷部21が設けられている。この印刷部21は、記録紙Pの印刷面に印刷するプリントヘッドHと、供給ローラ24より搬送される記録紙Pを支持するプラテン23とを備えている。
前記プリントヘッドHの下流側には、搬送経路よりも下側に配置された駆動ローラ25aと、その上側に位置する従動ローラ25bとからなる圧着型の下流側ローラ対25が配設されている。駆動ローラ25aは、モータ(図示省略)で駆動されるようになっている。
前記供給ローラ24の下流側には、供給ローラ24より送り出された記録紙Pの先端を検出する第3センサ42(投光部と受光部とからなる)が配設されている。この第3センサ42による記録紙P先端の検出から、記録紙Pの印刷開始部分がプリントヘッドHの下側位置に達するような量だけ供給ローラ24により記録紙Pを搬送したときに、当該記録紙Pへの印刷を開始する。また、第3センサ42による記録紙Pの先端の検出から、記録紙Pの先端が下流側ローラ対25のところに達するような量だけ供給ローラ24により記録紙Pを搬送したときに、供給ローラ24を圧着状態から圧着解除状態にし且つ下流側ローラ対25を圧着解除状態から圧着状態にして、今度は下流側ローラ対25で記録紙Pを搬送する。
図3は、印刷部のプラテンの構成を示す平面図である。図3に示すように、プリントヘッドHは、記録紙Pの上側位置において記録紙Pの幅方向(プリンタ左右方向)と一致する主走査方向Xに延びる2本のガイドレール(図示省略)に沿って移動可能に構成されている。また、プリントヘッドHは、主走査方向Xと垂直であって記録紙Pの移動方向(プリンタ前後方向)と一致する副走査方向Yに並ぶ2つのヘッドユニット32,32を有しており、これら2つのヘッドユニット32,32の下面に設けられている多数のインク吐出ノズル(図示省略)から複数色のインクを下側へ向けて吐出することで、記録紙Pの印刷面に対して所定の画像を印刷できるようになっている。なお、本実施形態では、ヘッドユニット32が副走査方向Yに2段に並んで配設されているが、ヘッドユニット32は2段である必要はなく、1段や3段以上であってもよい。
前記両ヘッドユニット32は同一構成であり、各々、主走査方向Xに配設された、各色のインクを吐出するための複数のノズルアレイを有している。この各ノズルアレイにおいて、インク吐出ノズルが副走査方向Yに列状に配設されている。これにより、各ヘッドユニット32は、単体でカラー画像を形成可能な構成とされている。そして、記録紙Pは、供給ローラ24又は下流側ローラ対25により一定の単位搬送量で間欠的に(ステップ状に)副走査方向Yに搬送され、この間欠搬送時における記録紙Pの各停止時に、プリントヘッドHが主走査方向Xに一走査(一往動作又は一復動作)されて、この走査時に、主走査方向Xの各位置で、各ヘッドユニット32の各色のインク吐出ノズルからインクが記録紙Pの印刷面に対して同時に吐出される。つまり、プリントヘッドHの一走査後に、記録紙Pが単位搬送量だけ搬送され、その後、再びプリントヘッドHが一走査され、この動作が繰り返し行われて、所望の画像が印刷されることになる。
ここで、本実施形態におけるプリントヘッドHのインク吐出のための構成としては、インクが充填された圧力室内の容積がピエゾ素子によって変化することで、圧力室に連通するインク吐出ノズルからインクを吐出する一般的なピエゾ方式のものを採用している。
前記プラテン23は、板状の部材からなり、その上面が記録紙Pを支持する支持面23aとされている。このプラテン23には、厚み方向(上下方向)に貫通して支持面23aに開口する多数の吸引用孔23bが設けられている。プラテン23の下側には、プラテン23とともに空間を形成するケース体35(図2参照)が配設され、このケース体35の下側に、ファン等を含む吸引装置36(図2参照)が配設されている。そして、吸引用孔23bは、ケース体35内の空間と連通し、この空間は、吸引装置36の吸込み口と連通しており、吸引装置36の作動により吸引用孔23bを介してプラテン23の支持面23a側に負圧が生じ、このことで、記録紙Pがプラテン23の支持面23a上に吸着保持されることになる。これにより、印刷時の記録紙Pの平面性を確保して印刷品質を向上させることが可能になる。
前記プラテン23の支持面23aには、副走査方向Yに延びる凹部23cが形成されている。この凹部23cには、インク吸収材38が収容されている。このインク吸収材38は、記録紙P全体に画像を印刷する縁なし印刷を行う際に、プリントヘッドH(ヘッドユニット32)より吐出したインクの一部が支持面23a上の記録紙Pの幅方向の端縁から外側に外れてはみ出したとしても、その外側に外れたインクによりプラテン23の支持面23aが汚れるのを防止するために設けられたものである。このため、凹部23cは、支持面23aにおいて支持面23a上の記録紙Pの幅方向の端縁に対応する位置で且つ副走査方向YにおけるプリントヘッドHに対応する位置において、該端縁に沿って延びる(つまり副走査方向Yに延びる)ように形成されている。図3の例では、合計14個の凹部23cが設けられている。
前記プラテン23の左側端部には、ヘッドユニット32,32に対応する位置にフラッシング孔23dが形成されている。このフラッシング孔23dは、インクの増粘を防止するために印刷開始時にプリントヘッドHのノズルから吐出される少量のインクを受け止めるためのものである。
前記インクジェットプリンタAの右側下部には、互いに色相の異なるインクが封入された4つのインクカートリッジ(図示省略)が着脱可能に収容されている。従って、これらのインクカートリッジを着脱することにより、使用中又は使用済みのものを新しいものに交換できるようになっている。なお、これらのインクカートリッジにはそれぞれ、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各インクが封入されている。
図2に示すように、前記下流側ローラ対25よりもプリンタ後側には、印刷後の記録紙Pを所定のサイズに切断したり、縁なし印刷を行う場合において記録紙Pの先端及び後端における余白を切断するカッター50が配設されている。
前記カッター50は、記録紙Pの搬送経路の下側に配置された固定刃50aと、記録紙Pの搬送経路の上側に配置され、モータ(図示省略)により固定刃50aに対して上下方向に移動する可動刃50bとで構成され、可動刃50bが記録紙Pの上側から下側に移動することで記録紙Pを切断する。この切断による切り屑は、筐体2の下部に配設された屑箱(図示省略)に落下して収容される。
前記カッター50よりもプリンタ後側には、カッター50で切断された記録紙Pを挟持してさらにプリンタ後側へ搬送する圧着型の搬送ローラ対46が3つ配設されている。
前記搬送ローラ対46において、下側に位置する駆動ローラ46aは、モータ(図示省略)により駆動され、その回転速度、つまり搬送ローラ対46による記録紙Pの搬送速度は可変に構成されている。また、上側に位置する従動ローラ46bは、下側の駆動ローラ46aに対してそれぞれ圧着された状態と圧着が解除された状態とを切り換えることが可能になっている。
具体的に、前記搬送ローラ対46は、カッター50で切断された記録紙Pの先端部がローラ間に挟持される前に、その圧着が解除されるようになっている。このようにすれば、搬送ローラ対46が圧着された状態で記録紙Pの先端部が搬送ローラ対46に引っ掛かってしまい折れ曲がる等の不具合を解消することができる。なお、これら3つの搬送ローラ対46の従動ローラ46bの圧着解除は同時に行われる。
前記搬送ローラ対46により搬送されてきた記録紙Pは、スイッチバック部72に搬送される。スイッチバック部72は、記録紙Pをスイッチバックさせて、コンベア装置100の搬送ベルト101上で記録紙Pの印刷面が上面を向くように、記録紙Pの後端側から搬送ベルト101に排出させるものである。
前記スイッチバック部72には、下側の駆動ローラ73aと上側の従動ローラ73bとからなる圧着型のスイッチバックローラ対73と、このスイッチバックローラ対73の上流側において搬送路を挟むように設けられ、搬送ローラ対46より搬送されてきた記録紙Pをスイッチバックローラ対73へ導く一対の第1ガイド部材74と、スイッチバックした記録紙Pを後述する裏面印字装置60(ドットインパクト式記録装置)へ供給する圧着型の供給ローラ対75と、スイッチバックローラ対73と供給ローラ対75との間において搬送路を挟むように設けられ、スイッチバックした記録紙Pを供給ローラ対75へ導く一対の第2ガイド部材76とが設けられている。
前記スイッチバックローラ対73の駆動ローラ73aは、モータ(図示省略)により、記録紙Pを挟持してプリンタ前側へ搬送する正回転と、記録紙Pを挟持してプリンタ後側へ搬送する逆回転とが可能に構成されている。
前記スイッチバックローラ対73及び第1ガイド部材74は、モータ(図示省略)により、スイッチバックローラ対73の駆動ローラ73aの回転軸周りに一体的に移動可能になっており、これにより、スイッチバックローラ対73の駆動ローラ73aに対する従動ローラ73bの相対位置が、駆動ローラ73aに対してほぼ真上に位置して、記録紙Pをプリンタ後側へ搬送する第1の位置(図2の実線で示す位置)と、駆動ローラ73aに対してプリンタ後側に位置して、スイッチバックされた記録紙Pを後端側から裏面印字装置60へ供給する第2の位置(図2の仮想線で示す位置)とに切り換えられるようになっている。
ここで、前記搬送ローラ対46より搬送されてきた記録紙Pをスイッチバックさせるスイッチバック動作について説明する。スイッチバックローラ対73が、搬送ローラ対46より搬送されてきた記録紙Pを受け取る際には、駆動ローラ73aは正回転しており、従動ローラ73bは第1の位置にある。そして、記録紙Pの後端が第1ガイド部材74に位置するような量だけスイッチバックローラ対73により記録紙Pをプリンタ後側へ搬送したところで、駆動ローラ73aの正回転を停止する。
続いて、前記スイッチバックローラ対73及び第1ガイド部材74を、図2で時計回り方向に回動させて従動ローラ73bを第1の位置から第2の位置へ切り換える。これにより、記録紙Pの後端側(プリンタ前側)が持ち上げられる。
その後、前記駆動ローラ73aを逆回転させて、記録紙Pをその後端側からプリンタ上側に配置された供給ローラ対75の側へ向けて搬送する。スイッチバックローラ対73によりスイッチバックする記録紙Pは、第1ガイド部材74及び第2ガイド部材76を通って、供給ローラ対75のところに達する。
図2に示すように、前記供給ローラ対75の上流側には、スイッチバックローラ対73より送り出された記録紙Pの先端を検出する第4センサ43(投光部と受光部とからなる)が配設されている。
前記供給ローラ対75は、モータ(図示省略)により駆動される駆動ローラ75aと、この駆動ローラ75aに対して圧着される従動ローラ75bとからなる。この従動ローラ75bの駆動ローラ75aに対する圧着状態は、解除することが可能になっている。
前記供給ローラ対75の下流側には、記録紙Pの裏面に整理番号を印字するための裏面印字装置60が設けられている。裏面印字装置60の下流側には、搬送経路よりも左側に配置された駆動ローラ78aと、その右側に位置する従動ローラ78bとからなる圧着型の下流側ローラ対78が4つ配設されている。駆動ローラ78aは、モータ(図示省略)で駆動されるようになっている。
図4は、裏面印字装置の構成を示す断面図である。図4に示すように、裏面印字装置60は、ドットインパクト式の記録装置で構成されており、インクリボン65を内蔵するインクリボンカセット61と、そのインクリボン65を押圧する記録ヘッド62とを備えている。
前記インクリボンカセット61は、インクが貯留されたインクタンク61aと、記録ヘッド62を収容するヘッド収容室61bと、ヘッド収容室61bの両側外周に沿って形成されたリボン通路61cとを有する。
前記インクリボンカセット61は、インクが担持されたインクリボン65を内蔵している。このインクリボン65は、インクタンク61a内に折り畳まれて収容されており、インクタンク61a内に設けられたリボン搬送ローラ対63により挟持されている。インクリボンカセット61の先端部には、インクリボン65が通行可能な開口部61dが形成されている。
インクリボン65は、ループ状に形成されており、リボン搬送ローラ対63に挟持されながらリボン通路61cに沿って図4で反時計回り方向に搬送されることで、その一部が開口部61dから露出するようになっている。すなわち、図4で上側のリボン通路61cに配置されているインクリボン65は、リボン搬送ローラ対63に挟持されて搬送され、インクタンク61a内に引き込まれて収容される。このとき、下側のリボン通路61cに配置されているインクリボン65は、リボン搬送ローラ対63により引っ張り出されて開口部61dから露出する。
前記記録ヘッド62は、記録紙Pの幅方向に沿って1列に配列された複数のニードルピン64を備え、ニードルピン64はその軸方向に往復動可能に構成されている。記録ヘッド62は、後述する印字装置制御部207(図5参照)から供給される所定波形の電圧に基づいて、開口部61dから露出しているインクリボン65の一部をニードルピン64で押圧する押圧動作を行う。ニードルピン64で押圧されたインクリボン65は、記録紙Pの裏面に圧接され、その担持するインクが転写することで印字が行われる。なお、ニードルピン64の配列は一例であり、この形態に限定するものではない。
前記インクリボンカセット61の開口部61dに対向する位置には、湿度センサ68(検出手段)が配置されている。湿度センサ68は、開口部61dに露出するインクの水分含有量を検出するものである。湿度センサ68で検出されたインクの乾燥状態を示す湿度情報は、印字装置制御部207に送信される。なお、湿度センサ68は、開口部61dよりも搬送上流側に配置して、開口部61dに対して次に搬送されるインクリボン65のインクの乾燥状態を検出するようにしてもよい。
なお、本実施形態では、湿度センサ68によってインクの乾燥状態を検出するようにした構成について説明したが、湿度センサ68を設けない構成であってもよい。この場合には、インクリボン65がインクタンク61aから露出した状態で放置されていた露出時間に基づいてインクの乾燥状態を判断すればよい。また、湿度センサ68の検出結果と露出時間との両方に基づいて、より正確にインクの乾燥状態を判断するようにしてもよい。
図2に示すように、前記下流側ローラ対78の搬送経路よりも右側には、印刷部21において記録紙Pの印刷面に付着したインクを乾燥させるための乾燥風を記録紙Pの印刷面に吹き付ける乾燥装置56が配設されている。この乾燥装置56は、乾燥装置56内に空気を取り込むための吸入ファン57と、この吸入ファン57で取り込んだ空気を加熱する加熱ヒータ58と、乾燥装置56の前側に開口して、加熱ヒータ58で加熱された空気を乾燥風として記録紙Pの印刷面に吹き付ける排気ノズル部59とがそれぞれ上下2列に設けられている。
ここで、前記乾燥装置56によるインクの乾燥具合は、インクジェットプリンタAが設置された環境条件(温度や湿度等)に応じて変化するため、下流側ローラ対78の回転速度が変更されて、記録紙Pの搬送速度が変更されるようになっている。乾燥装置56によって乾燥された記録紙Pは、排出ローラ対80に搬送される。なお、乾燥装置56の下流側には、下流側ローラ対78より送り出された記録紙Pの先端を検出する第5センサ44(投光部と受光部とからなる)が配設されている。
前記排出ローラ対80は、印刷後の記録紙Pを排出口85を介してコンベア装置100の搬送ベルト101上に排出するものである。ここで、マガジンM内でロール状に巻かれていた記録紙Pは、巻き癖が付いてカールしているためにデカール処理を行う必要がある。そこで、排出ローラ対80は、記録紙Pのカールを矯正するデカール処理を行うことができるようになっている。具体的に、排出ローラ対80は、記録紙Pをコンベア装置100に搬送する搬送ローラ81と、搬送ローラ81とともに記録紙Pを挟持するデカールローラ82とを備えている。また、搬送ローラ81の上流側には、搬送される記録紙Pの動きに連動して回転するフリーローラ83が配設されている。
ここで、前記搬送ローラ81に対するデカールローラ82の相対位置を変更することで、記録紙Pをデカールしないで搬送する搬送位置と、記録紙Pをデカールしながら搬送するデカール位置とを切り換えることができる。このように、デカールローラ82によってデカールされた記録紙Pは、排出口85を介してコンベア装置100の搬送ベルト101上に排出される。
図1に示すように、前記コンベア装置100は、筐体2の排出口85から排出された記録紙Pを載置させるものであり、載置された記録紙Pをベルトコンベア式に搬送する搬送ベルト101と、搬送ベルト101を駆動する駆動ローラ102と、駆動ローラ102を回転可能に支持する搬送本体部103と、搬送本体部103に取り付けられ搬送ベルト101の搬送方向の上流側(図1において左側)に配設された大判トレイ104とを備えている。
前記搬送ベルト101における筐体2の排出口85に対応する位置は、排出口85を介して排出された直後の記録紙Pを受け止める載置領域とされている。そして、このコンベア装置100は、筐体2の排出口85を介して次に排出される記録紙Pが載置領域に載置される前に、既に載置されている記録紙Pを載置領域から退避させるように搬送ベルト101を駆動制御するようになっている。
これにより、前記搬送ベルト101上で記録紙Pが重なり合うことがないため、記録紙P上のインクが均一に乾燥しないことで生じるプリント画像の色ムラ等を抑制することができる。
なお、次の記録紙Pが搬送される際に既に載置されている記録紙Pを一気に載置領域外に搬送する間欠送りをするのではなく、搬送ベルト101を一定速度で駆動し続けるようにしてもよい。
ここで、前記コンベア装置100は、搬送ベルト101上にL版等の写真サイズの記録紙Pが載置された場合には、搬送方向の下流側(図1において右側)に配置された集積装置110に搬送するように駆動制御される一方、B5サイズやA4サイズ等の大判の記録紙Pが載置された場合には、搬送方向の上流側の大判トレイ104に搬送するように駆動制御される。このように、記録紙Pのサイズに応じて搬送方向を切り替えるようにすれば、記録紙サイズ毎に適切な収容位置に記録紙Pを搬送することができる。
前記集積装置110は、コンベア装置100の搬送方向の下流側に配置され、コンベア装置100から搬送された記録紙Pを集積するためのものであり、前側が開口した箱型の集積本体部111と、集積本体部111内の上下両端に配設されたローラ対(図示省略)に適当なテンションを有した状態で巻き掛けられた無端状の集積ベルト113と、集積ベルト113の外周面に略等間隔に設けられた集積プレート112とを備えている。前記ローラ対は、集積ベルト113を回転させて集積プレート112を搬送方向に移動させるための駆動モータ(図示省略)に接続されている。
前記複数枚の集積プレート112のうち、集積本体部111外部に露出している集積プレート112は、集積ベルト113の回転動作に追従して下方に移動する一方、集積本体部111内部に収容されている集積プレート112は、集積ベルト113の回転動作に追従して上方に移動するように構成されている。すなわち、集積プレート112は、集積ベルト113とともに、ローラ対の周囲を連続して回転可能に構成されている。
前記集積プレート112は、搬送ベルト101の下流側の記録紙Pの受け渡し位置において、プレート表面が水平で且つ搬送ベルト101のベルト面と略面一になるように待機しており、所定の印刷オーダーに対応した枚数が集積された後、次のオーダーの記録紙Pが搬送される前に、集積ベルト113により下方に搬送される。
具体的に、まず、記録紙Pが、集積待機位置(記録紙Pを集積するために集積プレート112が水平に待機している位置)に位置する集積プレート112に集積される。例えば、1オーダー分の記録紙Pが集積プレート112上に集積される。
次に、前記集積ベルト113を駆動させることで、集積プレート112を1つ分だけ下方に移動させる。すなわち、1オーダー分の記録紙Pが集積された集積プレート112が下方に移動することによって、新たな集積プレート112が集積待機位置に位置することになる。
そして、このようなオーダー毎の集積及び搬送を繰り返すことで、隣り合う集積プレート112間にオーダー毎の記録紙Pを集積して搬送することが可能となる。そして、各集積プレート112が記録紙Pで満杯になる前に、各集積プレート112に集積されている記録紙Pをオペレータが取り出して回収するようにしている。
また、前記集積本体部111の記録紙Pの受け渡し位置には、垂直方向に立設する案内板115が設けられている。この案内板115は、コンベア装置100から集積装置110側に受け渡された記録紙Pが集積プレート112上に右端縁を揃えて積載されるように案内するためのものである。
−制御系の構成−
本インクジェットプリンタAは、制御系として、図5に示すように、マイクロプロセッサ201(以下、CPUという)と、このCPU201とデータバスを介して接続された搬送制御部202、ヘッド制御部203、プリント制御部204、半導体メモリRAM/ROM205、通信インタフェース206、印字装置制御部207(制御手段)とを備えている。
前記搬送制御部202は、記録紙搬送機構の動作制御を行う。ヘッド制御部203は、プリントヘッドHを主走査方向に往復移動させるとともに、各圧電素子に所定波形の電圧を供給することによってプリントヘッドHの制御を行うものである。
前記プリント制御部204は、受付ブロック200から通信インタフェース206を介して受信した画像データに基づき、記録紙Pに対して画像データの印刷を実現するための制御を行う。ここで、オーダー情報には印刷を行う記録紙Pの大きさ等を特定するためのプリントチャンネル情報と、印刷枚数等を特定するためのプリントフォーム情報とが含まれている。
前記通信インタフェース206は、受付ブロック200との間で情報の送受信を行うためのものである。
前記印字装置制御部207は、裏面印字装置60の記録ヘッド62に所定波形の電圧を供給することによって、記録ヘッド62の押圧動作を制御するものである。具体的に、印字装置制御部207では、湿度センサ68で検出された湿度情報に基づいてインクの乾燥状態を判断し、記録紙Pに対する記録ヘッド62の押圧力を変更するようにしている。なお、半導体メモリRAM/ROM205に記録されている時刻情報(例えば、前回電源を遮断した時刻や、裏面印字装置60を最後に作動させたときの時刻等)を、検出手段としてのCPU201で読み取って、インクリボン65がインクタンク61aから露出していた露出時間(例えば、電源を遮断してから電源を投入するまでの経過時間や、裏面印字装置60を最後に作動させてから現在の時刻までの経過時間等)を検出し、この露出時間に基づいて、インクの乾燥状態を判断してもよい。
ここで、インクリボン65の露出時間が長いためにインクの乾燥具合が大きいと判断した場合には、記録ヘッド62に印加する電圧のパルス幅を短くし、記録ヘッド62のコイル(図示省略)に印加される電圧の立ち上がり時間を短くすることで、記録紙Pに対する記録ヘッド62の押圧速度をアップさせる。これにより、記録ヘッド62の押圧力を大きくする。
なお、記録ヘッド62の押圧力を変更する他にも、記録紙Pに対する記録ヘッド62の押圧回数を変更するようにしてもよい。つまり、インクの乾燥具合が大きいと判断した場合には、記録ヘッド62を記録紙Pに対して複数回押圧させるようにすればよい。
このような構成とすれば、インクリボン65の露出位置に付着しているインクの乾燥状態を検出し、その検出結果に基づいて記録ヘッド62の押圧力又は押圧回数を変更するようにしたから、記録紙Pに対して常に一定のインク濃度でインクを転写することができる。これにより、転写されたインク濃度が薄すぎて文字が判読できなかったり、逆に、インク濃度が濃すぎて搬送ローラや他の記録紙Pにインクが付着して汚れてしまう等の不具合を防止できる。