JP2012129448A - 多層配線基板 - Google Patents
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Abstract
【課題】 内部への水分浸入を抑制された信頼性の高い多層配線基板を提供する。
【解決手段】 本発明の多層配線基板は、少なくとも表面配線導体2に接続された貫通導体4が絶縁層11、12の厚さの中央となる位置に大径部41を有し、大径部41から表面配線導体2または内部配線導体3との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、表面配線導体2は、積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で、大径部41の外周より外側となる領域A2の気孔率よりも小さく、絶縁層12は、積層方向から見て貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%で、大径部41の外周より外側となる領域B2の気孔率よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の多層配線基板は、少なくとも表面配線導体2に接続された貫通導体4が絶縁層11、12の厚さの中央となる位置に大径部41を有し、大径部41から表面配線導体2または内部配線導体3との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、表面配線導体2は、積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で、大径部41の外周より外側となる領域A2の気孔率よりも小さく、絶縁層12は、積層方向から見て貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%で、大径部41の外周より外側となる領域B2の気孔率よりも小さいことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ICやLSI等の半導体素子を収容する半導体素子収納用パッケージや各種電子部品を搭載した混成集積回路装置等として好適な多層配線基板に関するものである。
従来、多層配線基板を構成する絶縁基体の形成材料としては、電気絶縁性や化学的安定性等の特性に優れていることからアルミナセラミックスが用いられていた。また、配線導体の形成材料としては、アルミナの焼成温度(約1600℃)よりも高い融点を有するタングステンやモリブデンが用いられていた。
ところが、近年になって、タングステンやモリブデンよりも低い配線抵抗が要求され、配線導体の形成材料として金、銀、銅などの低抵抗金属が注目されるようになり、これに対応する絶縁基体としてこれらの低抵抗金属の融点よりも低い900℃程度で焼成可能なガラスセラミックスが使用されてきている。
かかるガラスセラミックスを絶縁基体とする多層配線基板は、一般にガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とからなる原料粉末に、有機バインダ、溶媒などを加えて調製した泥漿をドクターブレード法等のシート成形方法で成形してガラスセラミックグリーンシートを作製した後、得られたガラスセラミックグリーンシートにスルーホール等を打ち抜き加工し、このスルーホールに導体粉末を含む貫通導体用ペーストを充填した後、ガラスセラミックグリーンシート上に配線導体用ペーストを用いて所定の配線パターンをスクリーン印刷法等の厚膜手法により印刷形成し、得られた配線パターン付きガラスグリーンシートを複数枚重ね合わせ、加圧して積層し、次いでこの積層体を加熱して有機バインダを除去した後、焼成することにより作製されていた。
ここで、低抵抗金属である金、銀および銅は、一般にガラスセラミックスよりも低温から収縮を開始するため、収縮挙動のミスマッチにより、貫通導体と絶縁層との界面に間隙が形成されてしまい、この間隙を伝って多層配線基板の表面から内部にめっき液などの水分が浸入してしまうという問題がある。
これに対し、貫通導体を形成する貫通導体用ペースト(銅メタライズ組成物)中に、例えば鉛ホウケイ酸ガラスやホウケイ酸ガラス、亜鉛ホウケイ酸ガラス、リチウムケイ酸ガラス、シリカガラス等のガラス粉末を添加して収縮挙動をガラスセラミックスの収縮挙動に近づけることにより、貫通導体と絶縁層との界面に間隙を形成されにくくし、水分浸入を抑制させることが提案されている(特許文献1を参照)。
しかしながら、貫通導体用ペースト中に特許文献1に記載のようなガラス粉末が含まれていると、焼成後の貫通導体中における導体成分とガラスとの界面にも間隙が形成され、貫通導体と絶縁層との界面の間隙形成が抑制されたとしても、貫通導体中における導体成分とガラスとの界面に形成された間隙を伝って多層配線基板の内部にめっき液などの水分が浸入してしまうおそれがある。
また、多層配線基板の表面に形成され、貫通導体と電気的に接続された配線導体についても同様なことが言える。表面配線導体を形成する表面配線導体用ペースト中にも、ガラスセラミックスの収縮挙動に近づけるためにガラス粉末が添加されるが、焼成後の表面配線導体中における導体成分とガラスとの界面にも間隙が形成され、この間隙を伝って多層配線基板の内部にめっき液などの水分が浸入してしまうおそれがある。
さらに、絶縁層についてもセラミック成分とガラスとの界面に間隙が存在すると、水分浸入の経路となり得る。
水分が浸入すると、隣接する貫通導体間にマイグレーションが発生してショートするおそれがあり、多層配線基板における配線導体間の狭ピッチ化が要求される中で、水分浸入経路を無くしていくことが必要である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、内部への水分浸入を抑制された信頼性の高い多層配線基板を提供することを目的とする。
本発明は、複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、該絶縁基体の表面に形成された表面配線導体と、前記絶縁基体の内部に形成された内部配線導体と、前記絶縁層を貫通して前記内部配線導体同士または前記表面配線導体と前記内部配線導体とを電気的に接続する貫通導体とを含む多層配線基板であって、少なくとも前記表面配線導体に接続された前記貫通導体は、前記絶縁層の厚さの中央となる位置に大径部を有し、該大径部から前記表面配線導体または前記内部配線導体との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、前記表面配線導体は、積層方向から見て該表面配線導体に接続された前記貫通導体の前記大径部の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で、前記大径部の外周より外側となる領域A2の気孔率よりも小さく、前記絶縁層は、積層方向から見て前記表面配線導体に接続された前記貫通導体の前記大径部の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%で、前記大径部の外周より外側となる領域B2の気孔率よりも小さいことを特徴とするものである。
本発明によれば、少なくとも表面配線導体に接続された貫通導体は、絶縁層の厚さの中央となる位置に大径部を有し、この大径部から表面配線導体または内部配線導体との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、表面配線導体は積層方向から見て積層方向から見て当該表面配線導体に接続された貫通導体の大径部の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で大径部の外周より外側となる領域A2の気孔率よりも小さいため、表面配線導体のうち、貫通導体に近い領域A1を経由しての多層配線基板内部への水分浸入を抑制することができる。また、絶縁層は積層方向から見て大径部の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%で大径部の外周より外側となる領域B2の気孔率よりも小さいため、絶縁層のうち、貫通導体に近い領域B1を経由しての多層配線基板内部への水分浸入を抑制することができる。したがって、貫通導体近傍から多層配線基板の内部に水分が侵入するのを抑制することができる。
本発明の多層配線基板の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の多層配線基板の一実施形態を示す概略断面図であり、図2は図1に示す多層配線基板の概略底面図である。
図1および図2に示す多層配線基板は、複数の絶縁層11、12が積層されてなる絶縁基体1と、絶縁基体1の表面に形成された表面配線導体2と、絶縁基体1の内部に形成された内部配線導体3と、絶縁層11、12を貫通して内部配線導体3同士または表面配線導体2と内部配線導体3とを電気的に接続する貫通導体4とを含み、少なくとも表面配線導体2に接続された貫通導体4は、絶縁層11、12の厚さの中央となる位置に大径部41を有し、大径部41から表面配線導体2または内部配線導体3との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、表面配線導体2は積層方向から見て表面配線導体2に接続された大径部41の外周より内側となる領域A1の気孔率が大径部の外周より外側となる領域A2の気孔率より小さく、絶縁層は積層方向から見て表面配線導体2に接続された大径部41の外周より内側となる領域B1の気孔率が大径部41の外周より外側となる領域B2の気孔率より小さくなっている。
絶縁基体1は、ガラスセラミックスからなる複数の絶縁層11、12が積層された積層体である。例えば、ガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とを混合して成形されたガラスセラミックグリーンシートを積層し、金、銀、銅などの低抵抗金属の融点以下の温度にて焼成して得られ、各種結晶およびガラスを含有するガラスセラミック焼結体である。なお、図では絶縁基体1は2層の絶縁層11、12からなる構成を示しているが、通常はこれよりも多くの層で構成されている。
結晶としては、アルミナ、ジルコニア、クォーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライト、スピネル、ガーナイト、エンスタタイト、フォルステライト、アノーサイト、スラウソナイト、セルジアン、ディオプサイド、モンティセライト、アケルマナイト、ウイレマイトやその固溶体、置換誘導体などを例示でき、複数の結晶が共存していてもよい。抗折強度を向上させるという点で、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、エンスタタイト、スピネル、アノーサイト、スラウソナイト、セルジアンを採用するのが好ましく、特に、アルミナ、ジルコニア、フォルステライト、セルジアンが望ましい。また、誘電率を下げて高周波信号の伝送損失を低減させるという点で、フォルステライト、エンスタタイト、クォーツ、クリストバライト、コーディエライト、ムライトが好ましく、特に、フォルステライト、クォーツ、コーディエライトが望ましい。
これらの結晶は、セラミック粉末(原料粉末)としてもともと添加したものであってもガラス粉末から焼成中に析出したものであってもよく、ガラス粉末とセラミック粉末との反応生成物であってもよい。ガラス粉末としては、珪酸系ガラス、硼珪酸系ガラス、硼酸系ガラス、燐酸系ガラス等が挙げられ、SiO2、B2O3、P2O5といった網目形成酸化物に対して、アルカリ金属酸化物、アルカリ土類金属酸化物、ZnO、希土類酸化物等の修飾酸化物、Al2O3、ZrO2、TiO2等の中間酸化物または遷移金属酸化物を適宜選択して添加されたものである。
絶縁基体1の表面には表面配線導体2が設けられているとともに、絶縁基体1の内部には内部配線導体3が設けられている。
表面配線導体2および内部配線導体3は、金、銀、銅などの低抵抗金属を主成分とする配線またはランドである。この表面配線導体2および内部配線導体3は、金、銀、銅などを主成分とする導体粉末とガラス粉末とを含む導体ペーストにより形成された導体パター
ンを焼成して得られるものである。絶縁基体1が1000℃以下の温度での焼成により製造することができることから、表面配線導体2、内部配線導体3および後述の貫通導体4を形成する導体材料として上記の低抵抗金属を用いることが可能となり、高速伝送を実現できる。ガラス粉末は、ガラスセラミックスからなる絶縁基体1との接着強度の向上、熱膨張差の低減させる効果があり、ホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス等を例示できる。特に、800〜1100℃での導体粉末との同時焼成性に優れ、ガラスセラミックスからなる絶縁基体との接着強度を向上させることができるという点で、SiO2−Al2O3−BaO−CaO−B2O3系ガラスが好ましい。なお、導体ペーストには、導体粉末とガラス粉末の他、電気抵抗、熱伝導性を劣化させない範囲で、他の金属、酸化物、ガラス、セラミックス等の無機分を含んでいてもよい。
ンを焼成して得られるものである。絶縁基体1が1000℃以下の温度での焼成により製造することができることから、表面配線導体2、内部配線導体3および後述の貫通導体4を形成する導体材料として上記の低抵抗金属を用いることが可能となり、高速伝送を実現できる。ガラス粉末は、ガラスセラミックスからなる絶縁基体1との接着強度の向上、熱膨張差の低減させる効果があり、ホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス等を例示できる。特に、800〜1100℃での導体粉末との同時焼成性に優れ、ガラスセラミックスからなる絶縁基体との接着強度を向上させることができるという点で、SiO2−Al2O3−BaO−CaO−B2O3系ガラスが好ましい。なお、導体ペーストには、導体粉末とガラス粉末の他、電気抵抗、熱伝導性を劣化させない範囲で、他の金属、酸化物、ガラス、セラミックス等の無機分を含んでいてもよい。
絶縁層11、12を貫通して貫通導体4が設けられている。この貫通導体4は、上下の内部配線導体3同士または表面配線導体2と内部配線導体3とを電気的に接続するもので、円柱状のものである。この貫通導体4は、表面配線導体2および内部配線導体3と同様に、金、銀、銅などを主成分とする導体粉末とガラス粉末とを含む導体ペーストにより形成されたものである。
そして、表面配線導体2に接続された貫通導体4は、絶縁層11、12の厚さの中央となる位置に大径部41を有し、大径部41から表面配線導体2または内部配線導体3との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっている。ここで、貫通導体4がこのような形状になっているのは、後述するように貫通導体用ペーストおよびその近傍を盛り上がらせた状態でセラミックグリーンシートを形成し、プレス機でプレスする工程を経て貫通導体4が製造されるためである。
例えば、貫通導体4の積層方向の長さが80〜100μm程度の場合であって、表面配線導体2または内部配線導体3との接続端の直径が80〜100μm程度のとき、大径部41の直径が表面配線導体2または内部配線導体3との接続端の直径よりも大きく90〜150μm程度になる。
また、表面配線導体2は積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域A1の気孔率が大径部41の外周より外側となる領域A2の気孔率より小さく、絶縁層11、12は積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域B1の気孔率が大径部41の外周より外側となる領域B2の気孔率より小さい。具体的には、表面配線導体2は、積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で、絶縁層11、12は、積層方向から見て表面配線導体2に接続された貫通導体4の大径部41の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%である。
このような気孔率の関係となるのも、貫通導体用ペーストおよびその近傍を盛り上がらせた状態でセラミックグリーンシートを形成し、プレス機でプレスする工程を経て表面配線導体2および絶縁層11、12が製造されるためである。
領域A1の気孔率が5.3%未満であり、領域B1の気孔率が5.0%未満であると、隣り合う貫通導体間の絶縁性を損なうおそれがある。一方、領域A1の気孔率が6.7%を超え、領域B1の気孔率が5.5%を超えると、水分浸入の抑制効果が十分でなくなるおそれがある。
なお、領域B2の気孔率が領域B1の気孔率より大きいことで、誘電率が小さくなるので、高周波特性が低下するのを抑制することができる。また、領域A2の気孔率が領域A
1の気孔率より大きいことで、電子部品から発生した熱によって絶縁基体1と表面配線導体2との間に熱膨張差が生じても、加わる熱応力が大きくなる領域A2における気孔による熱応力の緩和効果が高いことから、クラックの発生を抑制することができる。このような効果を発現するものとして、好ましくは領域A2の気孔率が8.8〜10%、領域B2の気孔率が7.3〜7.5%であるのがよい。
1の気孔率より大きいことで、電子部品から発生した熱によって絶縁基体1と表面配線導体2との間に熱膨張差が生じても、加わる熱応力が大きくなる領域A2における気孔による熱応力の緩和効果が高いことから、クラックの発生を抑制することができる。このような効果を発現するものとして、好ましくは領域A2の気孔率が8.8〜10%、領域B2の気孔率が7.3〜7.5%であるのがよい。
以下、本発明の多層配線基板を製造するための工程フローを、図3を用いて説明する。
まず、図3(a)に示すように、キャリアとなる支持体21上に下部配線導体用ペースト22を塗布する。
支持体21としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)のような有機系材料、若しくは、ステンレス(SUS)などの金属系材料が用いられる。
下部配線導体用ペースト22としては、金、銀、銅などの低抵抗金属を主成分とする導体粉末とホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス等のガラス粉末とを適宜組み合わせ、具体的には導体粉末85〜90質量%、ガラス粉末10〜15質量%に有機バインダおよび溶剤を加えてよく攪拌させてペースト状にしたものである。なお、分散性を向上させるために、適宜分散剤を添加してもよく、分散剤の添加量としては、導体粉末とガラス粉末との合計100質量部に対し、外添で1〜2質量部程度が好ましい。
支持体21上への下部配線導体用ペースト22の塗布方法は、スクリーン印刷などの印刷法が用いられる。
次に、図3(b)に示すように、焼成後に貫通導体となる貫通導体用ペースト23を下部配線導体22上に形成する。
貫通導体用ペースト23としては、下部配線導体用ペースト22と同様に、金、銀、銅などの低抵抗金属を主成分とする導体粉末とホウケイ酸系ガラス、ホウケイ酸亜鉛系ガラス、ホウケイ酸鉛系ガラス等のガラス粉末とを適宜組み合わせたものに有機バインダおよび溶剤を加えてよく攪拌させてペースト状にしたものである。
この貫通導体用ペースト23を、直径が50μm〜200μm程度となるように、またその高さが50μm〜200μm程度となるように形成する。貫通導体用ペースト23の形成方法として印刷法が用いられ、高く形成するために繰り返し印刷することが好ましい。ここで、貫通導体用ペースト23の形状は特に限定は無いが、上面が半球状であることが後述するセラミックスラリーを貫通導体用ペースト23の上面から周囲に逃がしやすい点で好ましい。なお、上面を半球状にするために、貫通導体用ペースト23は、せん断速度10[1/s]時の粘度が20〜50[Pa・s]のものが好ましく、使用する製版はメタル製版で、製版厚み/開口径のアスペクト比率が0.7〜1.0のものが好ましい。
次に、図3(c)に示すように、セラミックスラリーを塗布し乾燥して、セラミックグリーンシート24を作製する。
セラミックスラリーは、前述したガラス粉末単独、またはガラス粉末とセラミック粉末とを適宜組み合わせ、具体的にはガラス粉末30〜100質量%、セラミック粉末0〜70質量%に有機バインダおよび溶剤を加えてよく攪拌させてペースト状にしたものである。これをドクターブレード法、リップコーター法、ダイコーター法等のシート形成技術を
用いて支持体21上に塗布する。
用いて支持体21上に塗布する。
ここで、セラミックスラリーの乾燥後のセラミックグリーンシート24の膜厚が、貫通導体用ペースト23の高さよりも低くなるように、好ましくは貫通導体用ペースト23の高さに対して7〜8割程度の厚みになるように形成するのがよい。後のプレス工程において、貫通導体用ペースト23の高さ方向の中央部(セラミックグリーンシート24の厚さの中央となる位置)が広がって大径部となる際の隣り合う貫通導体用ペースト23同士の間隔が極端に狭くなって絶縁性が悪化することなく、また領域A1および領域B1における十分な緻密性が得られるからである。なお、セラミックスラリーの塗布厚み(乾燥前の膜厚)に対して、乾燥後のセラミックグリーンシート24の膜厚が5〜6割程度の厚みに収縮するため、その点を考慮してセラミックスラリーの塗布厚みが設定される。
このとき、セラミックスラリーの乾燥後には、導通不良の発生を防止する点から貫通導体用ペースト23の上面は部分的に露出している必要があり、貫通導体用ペースト23の露出面積は貫通導体用ペースト23の端面の面積の3割以上であることが好ましい。
次に、図3(d)に示すように、多層配線基板の最表層となるセラミックグリーンシート24のみに、当該セラミックグリーンシート24の上面に上部配線導体用ペースト25を塗布する。なお、上部配線導体用ペースト25は下部配線導体用ペースト22と同じ材料からなる。
次に、図3(e)に示すように、プレス機を用いて、突出している貫通導体用ペースト23およびその近傍領域のセラミックグリーンシート24を平坦化する。このとき、貫通導体用ペースト23の断面形状は、プレスの影響を受けて変形し、セラミックグリーンシート24の厚さの中央となる位置に大径部を有し、この大径部から上部配線導体用ペースト25および下部配線導体用ペースト22との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となる。すなわち、断面形状は中央が広がった形状となる。
次に、図3(f)のように、各々形成したセラミックグリーンシート24を多数積層することで生の積層成形体26を得る。
最後に、積層成形体26を焼成する。
具体的には、積層成形体26中から成形のために配合した有機樹脂バインダ成分を除去するため、大気中で500℃前後まで昇温し、必要に応じて500℃前後にて保持し、続いて大気中若しくは窒素雰囲気中で900℃前後まで再度昇温し、焼成の最高温度にて0.2〜10時間保持することにより本発明の多層配線基板を得る。
まず支持体として、表面にシリコーンの離型処理を施した厚み50μmのPETフィルムを準備した。
次に、導体粉末として銅粉末を使用し、アクリル系バインダと溶剤とを添加して、攪拌機にて攪拌することで、導体ペーストを作製した。導体ペーストは、具体的には、銅粉末91質量%と、SiをSiO2換算で48質量%、CaをCaO換算で27質量%、MgをMgO換算で18質量%、AlをAl2O3換算で7質量%含むガラス粉末6質量%と、アルミナ粉末3質量%とからなる原料粉末100質量部に、アクリル系バインダ12質量部を外添するとともに、粘度を調節する為にテルピネオールを2〜3質量部を外添したものである。
次に、SiをSiO2換算で48質量%、CaをCaO換算で27質量%、MgをMgO換算で18質量%、AlをAl2O3換算で7質量%含むガラス粉末58質量%と、アルミナ粉末36質量%と、チタン酸カルシウム6質量%とからなる原料粉末100質量部に、アクリル系バインダおよび溶剤を混合し、可塑剤であるジオクチルテレフタレートを添加してボールミルで回転させることでセラミックスラリーを作製した。
次に、上記PETフィルムの離型処理した面の側に、導体ペースト(下部配線導体用ペースト22)をメッシュ製版を介して印刷し、下部配線導体用ペースト22による導体パターン(円板状のランド)を形成した。下部配線導体用ペースト22による導体パターンのパターン形状は、直径250μmとし、パターン中心間距離を500μmとした。また、パターン形成エリアは50mm角とした。
次に、導体ペースト(貫通導体用ペースト23)をメタル製版を介して印刷し、下部配線導体用ペースト22による導体パターン上に貫通導体用ペースト23を形成した。メタル製版は電鋳加工で作製した製版を用い、開口径100μmで厚み100μmの製版を使用した。印刷の途中で乾燥工程を含み、3回繰返し印刷を行うことで、直径100μm、高さ(図4に示す厚みD2)100μmの貫通導体用ペースト23を形成した。
次に、下部配線導体用ペースト22による導体パターンおよび貫通導体用ペースト23が形成された支持体21上に、セラミックスラリーをダイコーターを用いて塗布した。ダイコーターのセラミックスラリー吐出部と支持体21との間隔を振ることで、セラミックスラリーの乾燥後のセラミックグリーンシート24の厚み(図4に示す厚みD1)を10μm毎に振った。また、このとき図4における貫通導体用ペースト23の上面の露出面積S1及びS2の面積をマイクロスコープにて観察して求めた。
次に、上部配線導体用ペースト25を貫通導体用ペースト23およびセラミックグリーンシート24の上に印刷して上部配線導体用ペースト25による導体パターン(円板状のランド)を形成した。上部配線導体用ペースト25のパターン形状は下部配線導体用ペースト22と同一とした。
次に、プレス工程にて貫通導体用ペースト23上の突出した部分を、突出した部分がなくなる程度に平坦化した。このときのプレス条件は、常温にて圧力30kg/cm2にて実施した。なお、乾燥後の貫通導体用ペーストの大径部の直径は、突出した部分の押し込み量によって異なっている。このようにして作製した貫通導体ペースト付きのセラミックグリーンシートを5枚準備した。
次に、上記にて準備した5枚の貫通導体付きセラミックグリーンシートを、密着液を塗付して積層し、生の積層成形体26を得た。さらに窒素雰囲気化にてトップ温度900℃にて焼成し、多層配線基板(試料No.1〜7)を得た。表1には、焼結後の大径部の直径および後述する測定箇所の気孔率を示している。また、貫通導体における表面配線導体との接続端の直径は90μmであり、表面配線導体(下部配線導体用ペーストによる導体パターンの焼結後)の直径は225μmであった。なお、各試料においてA2およびB2の気孔率が試料No.8よりも小さくなっているのは、隣接する貫通導体用ペーストの近傍のセラミックスラリーが流れて互いに圧縮しあうためである。
なお、比較のため、他の方法(従来の製造方法)で作製した多層配線基板も準備した。他の方法(従来の製造方法)における工程を以下に示す。
まず支持体として、表面にシリコーンの離型処理を施した厚み50μmのPETフィルムを準備した。
次に、前述したセラミックスラリーをリップコーターにより乾燥後のセラミックグリーンシートの膜厚が100μmとなるように塗布し乾燥した。
次に、作製したセラミックグリーンシートに金型を用いて貫通孔を形成した。貫通孔のサイズは直径100μmとした。
次に、前述した導体ペーストを、貫通孔に充填した。充填はメタル製版を介して、印刷法により実施した。このようにして作製した貫通導体ペースト付きのセラミックグリーンシートを5枚準備した。
次に、上記にて準備した5枚の貫通導体付きセラミックグリーンシートを、密着液を塗付し積層し、生の積層成形体を得た。さらに、窒素雰囲気化にてトップ温度900度にて焼成し、多層配線基板(試料No.8)を得た。なお、試料No.8における焼結後の貫通導体の直径は90μmで大径部はないため、大径部の直径の表記はしていない。また、A1とA2、B1とB2という領域はないが、便宜上同じ気孔率であることを示す数値を記載した。
そして、上記で得た多層配線基板の解析を実施した。解析方法は貫通導体周囲の絶縁層と、下面の配線導体の気孔率、隣り合う貫通導体同士の絶縁性、積層方向の導通性、蛍光浸透探傷液浸入の確率を評価した。
具体的には、気孔率の評価は、パターンエリア50mm角の中央付近10箇所について、A1は下側の表面配線導体の中心部、A2は下側の表面配線導体の中心から90μmの点、B1は下側の表面配線導体の近傍領域であって貫通導体における表面配線導体との接続端の側壁から3μmの点、B2は隣接する貫通導体の中間点について、断面観察にて実施し平均値を求めた。断面観察の実施方法は、クロスセクションポリッシャーにて断面加工したものを電子顕微鏡にて観察し、ボイド部分の面積を割り出すことで気孔率を求めた。
また、隣り合う貫通導体同士の絶縁性は、絶縁抵抗器(東亜電波工業製 DIGITAL SUPER MEGOHMMETER DSM-8103)を用いて、5Vの電圧を10秒間付加した後に、隣接する貫通導体に接続される導体パターン(円板状のランド)にプローブをあて、絶縁抵抗を測定した。絶縁耐圧を測定することで実施した。可否の判断基準は、上記10箇所について測定し、1個でも109Ω以下の値のものがあれば×とした。
また、蛍光浸透探傷液浸入確率は蛍光浸透探傷液にて加圧浸漬した後に上記10箇所の貫通導体の断面を観察し、発光が確認できたものをNGとして発生確率を算出した。
なお、表1は、図4のD2を100μm固定とし、D1をふった場合の各々の評価項目の結果を示したものである。
表1によれば、本発明の多層配線基板(試料No.3、4)は、隣り合う貫通導体間の絶縁性が良好で、蛍光浸透探傷液浸入確率が0%と良好な値を示すことがわかる。
これに対し、本発明範囲外である試料No.1〜3は、隣り合う貫通導体間の絶縁性が悪くなる傾向があり、本発明範囲外である試料No.6〜8は、蛍光浸透探傷液浸入確率が高くなる傾向がある。
1・・絶縁基体
2・・表層配線導体
3・・内層配線導体
4・・貫通導体
21・・支持体
22・・下部配線導体用ペースト
23・・貫通導体用ペースト
24・・セラミックグリーンシート
25・・上部配線導体用ペースト
26・・積層成形体
2・・表層配線導体
3・・内層配線導体
4・・貫通導体
21・・支持体
22・・下部配線導体用ペースト
23・・貫通導体用ペースト
24・・セラミックグリーンシート
25・・上部配線導体用ペースト
26・・積層成形体
Claims (1)
- 複数の絶縁層が積層されてなる絶縁基体と、該絶縁基体の表面に形成された表面配線導体と、前記絶縁基体の内部に形成された内部配線導体と、前記絶縁層を貫通して前記内部配線導体同士または前記表面配線導体と前記内部配線導体とを電気的に接続する貫通導体とを含む多層配線基板であって、
少なくとも前記表面配線導体に接続された前記貫通導体は、前記絶縁層の厚さの中央となる位置に大径部を有し、該大径部から前記表面配線導体または前記内部配線導体との接続端に向かって径が徐々に細くなるような形状となっており、
前記表面配線導体は、積層方向から見て該表面配線導体に接続された前記貫通導体の前記大径部の外周より内側となる領域A1の気孔率が5.3〜6.7%で、前記大径部の外周より外側となる領域A2の気孔率よりも小さく、前記絶縁層は、積層方向から見て前記表面配線導体に接続された前記貫通導体の前記大径部の外周より内側となる領域B1の気孔率が5.0〜5.5%で、前記大径部の外周より外側となる領域B2の気孔率よりも小さいことを特徴とする多層配線基板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2010281569A JP2012129448A (ja) | 2010-12-17 | 2010-12-17 | 多層配線基板 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2010281569A JP2012129448A (ja) | 2010-12-17 | 2010-12-17 | 多層配線基板 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2012129448A true JP2012129448A (ja) | 2012-07-05 |
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ID=46646160
Family Applications (1)
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JP2010281569A Pending JP2012129448A (ja) | 2010-12-17 | 2010-12-17 | 多層配線基板 |
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-
2010
- 2010-12-17 JP JP2010281569A patent/JP2012129448A/ja active Pending
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