JP2012129039A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池の大型化に伴う放電特性のばらつきを小さくする。
【解決手段】正極集電体に充放電によりリチウムイオンを放出・収容可能な正極活物質を塗布した正極と、負極集電体に充放電によりリチウムイオンを収容・放出可能な負極活物質を塗布した負極とが、リチウムイオンが通過可能な帯状のセパレータ3を介して積層された電極積層群を備え、電極積層群は角形電池容器に収納され、電池容器内で支持または固定された構造の非水電解液二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方に粉末樹脂と結着剤とが含有され、粉末樹脂はセパレータと同じ材質の樹脂からなり、正負極およびセパレータ3が固定されている構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】正極集電体に充放電によりリチウムイオンを放出・収容可能な正極活物質を塗布した正極と、負極集電体に充放電によりリチウムイオンを収容・放出可能な負極活物質を塗布した負極とが、リチウムイオンが通過可能な帯状のセパレータ3を介して積層された電極積層群を備え、電極積層群は角形電池容器に収納され、電池容器内で支持または固定された構造の非水電解液二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方に粉末樹脂と結着剤とが含有され、粉末樹脂はセパレータと同じ材質の樹脂からなり、正負極およびセパレータ3が固定されている構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解液二次電池に係り、特に積層型リチウムイオン二次電池に関する。
近年、環境問題を背景にして、ハイブリッド電気自動車(HEV)、電気自動車(EV)、フォークリフト、ショベルカー等の移動体のみならず、UPS(無停電電源装置)、太陽光発電の電力貯蔵などの産業用用途にも、リチウムイオン電池を代表とする二次電池の適用が図られている。
リチウムイオン二次電池はエネルギー密度が高いため、電源の小型化と軽量化が可能である。そのため、1990年代から携帯用の電源として実用化され始めた。また、大容量の電池として、電気自動車用の電源が開発されている。さらに、太陽光や風力などの自然エネルギーの有効活用、電力使用の平準化、無停電電源装置および建設機械に用いる産業用の電源についても開発が展開されている。
実装した場合の体積効率が高い角形電池の内部は、主に二種の方式が採用されている。一つには、電極は正極、負極共に活物質が金属箔に塗着された帯状であり、正極、負極が直接接触しないようにセパレータを挟んで扁平状に捲回された捲回式構造が採られている。一方、電極が正極、負極共に活物質が金属箔に塗着された帯状のものを、一定の寸法に切断し、正極、負極が直接接触しないようにセパレータを挟んで積層された積層式構造も採用されている。電極群は電池容器となる角形の缶又は容器に収納され、電解液を注入後、封口し、初充電することで電池としての機能が付与される。
このリチウムイオン二次電池の主要な構成は、表面に負極活物質層を形成した金属集電体であって、充放電によりリチウムイオンを収容・放出可能な負極活物質を塗着した帯状の負極と、電解質を保持し、リチウムイオンが通過可能なセパレータと、表面に正極活物質層を形成した他の金属集電体であって、充放電によりリチウムイオンを放出・収容可能な正極活物質を塗着した帯状の正極とから成っている。また、リチウムイオン二次電池は、正極にリチウム金属酸化物、負極に黒鉛などのカーボン材料から成っている。
電池構造としては、帯状の負極、セパレータ、正極を渦巻き状に巻いた捲回型構造と、短冊状の負極、セパレータ、正極を交互に配置した積層型構造とに大別される。帯状の負極、セパレータ、正極を巻き取るための軸芯等の発電に関与しない体積部分が多くある捲回型構造よりも、短冊状の負極、セパレータ、正極を交互に配置した積層型構造の方が、一般的に高体積エネルギー密度化に適している。これは、積層型は、巻取りのための軸芯が不要であることや、外部出力用の正極及び負極端子を同一面に形成し易いことから、発電に寄与する部分以外の体積を少なくできるからである。
産業用途に適した概ね容量30Ah以上の高容量かつ高出力の積層型リチウムイオン二次電池においては、電極面積が大きくなることによる電極の平坦性の乱れから、セパレータを介して積層された正極、負極の極間距離にばらつきを生じ易くなる。そのため、電池の放電特性にばらつきが生じ易いという課題がある。
このような課題を回避するために、電池の缶又は容器に溝あるいは癖付けにより、電池の缶又は容器に内蔵する電極積層群を押え付け、正極、負極の極間距離のばらつきを小さくしている。さらに、電池の缶又は容器と電極積層群の隙間にスペーサを具備し、電池の缶又は容器に内蔵する電極積層群の押え付ける力を大きくするなど、正極、負極の極間距離のばらつきを小さくしている。しかしながら、これらの方法では、電極面積の大きな大型電池において、十分な効果を得るためには電池の缶又は容器の溝や癖付けを大きくしなければならない。そのため、それらのスペースを確保するために電池のエネルギー密度が低下してしまう。一方、ゲル電解質を用いた電池であれば、正極、負極とセパレータとが接着されるため、ここに述べた課題を回避できる。
しかしながら、ゲル電解質を用いた電池は、電解液を用いた電池に比べ出力特性が低下してしまう。このような二次電池は、この電池構造体の外装缶と外部出力用の正極及び負極端子とを有する蓋板で密閉されている。従来、一般的にこのような二次電池の組立は、外装缶に蓋板で封止する前に、外部出力用の正極及び負極端子と、負極、セパレータ、正極からなる電極群との電気的接続を行う。外部出力用の正極及び負極端子は、端子本体と端子本体の基部に形成された端子基体部とを備えている。電池缶外部に露出している部分を端子本体と呼び、電池缶内部に納まっている部分を端子基体部と呼ぶ。通常、この端子基体部において、電極群との電気接続を行う。その後、外部出力用の正極及び負極端子と電極群とが組みつけられ一体となった構造体を蓋板の開口部に絶縁性部材を介して取り付けられる。この蓋板付きの構造体を外装缶の開口部に挿入後、蓋板と外装缶を封止する。外装缶の中では、電池構造体の構成要素であるセパレータ、正極、負極が電解液で含浸されている。
前記課題を解決することと目的を異としているが、短絡で発生するジュール熱により電池の温度が急激に上昇をするのを抑制するために、正極中に熱吸収材を混合する発明が、特許文献1に提案されている。
この発明は、正極中に熱吸収材としてポリエチレンなどの粉末を混合し、短絡で発生するジュール熱により電池の温度が急激に上昇をするのを抑制しているため、熱溶着することなく、正極、負極、セパレータが固定化されたものではない。
産業用リチウムイオン電池においては、高容量化の開発が進められている。その結果、電極面積が増大する。電極面積が大きくなることによる電極の平坦性の乱れから、セパレータを介して積層された正極、負極の極間距離にばらつきが生じ易くなる。そのため、電池の放電特性にばらつきが生じ易いという課題がある。本発明の目的の一つは、電池の大型化に伴う放電特性のばらつき小さくすることである。
上記課題を解決するために、本発明は、正極集電体に充放電によりリチウムイオンを放出・収容可能な正極活物質を塗布した正極と、負極集電体に充放電によりリチウムイオンを収容・放出可能な負極活物質を塗布した負極とが、リチウムイオンが通過可能な帯状のセパレータを介して積層された電極積層群を備え、電極積層群は角形電池容器に収納され、電池容器内で支持または固定された構造の非水電解液二次電池であって、正極および負極の少なくとも一方に粉末樹脂と結着剤とが含有され、粉末樹脂はセパレータと同じ材質の樹脂からなり、正極、負極およびセパレータが固定されている構成とする。
また正極、負極およびセパレータが熱溶着により固定されていれば望ましい。
粉末樹脂については、ポリオレフィン系粉末樹脂であることが好ましい。
あるいはポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンまたはポリエチレンであればさらに好ましい。
一方、粉末樹脂は、正極合剤部体積および負極合剤部体積の合計の0.4〜25wt%であることで顕著な効果が見られた。
さらに正極合剤部体積および負極合剤部体積の合計の1.0〜10wt%であることで、より顕著な効果が見られた。
本発明の構成を採用することにより、電極間距離のばらつきはなくなり、放電特性が安定化する。また、電極積層群に圧力を加えるために、電池の缶又は容器の溝や癖付けをする必要がないため、電池のエネルギー密度の低下はない。また、ゲル電解質を用いないため、出力特性も低下しない。
以下、図面を参照して、本発明の積層型リチウムイオン電池の実施の形態について説明する。
充放電によりリチウムを放出・収容可能な活物質であるマンガン酸リチウム(LiMn2O4)粉末と、導電剤として鱗片状黒鉛と、結着剤としてポリフッ化ビニリデン(PVdF)と、粉末樹脂としてポリエチレン樹脂粉末とを、後述する割合になるように混合し、これに分散溶媒のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)を添加、混練してスラリを作製した。そして厚さ20μmのアルミニウム箔(正極集電体)の両面に塗布した。このとき、正極板長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後乾燥、プレス、裁断して幅230mm、後述する所定長さ及び正極活物質合剤塗布部所定厚さの帯状の正極板を得た。正極板のスラリ未塗布部に切り欠きを入れ、切り欠き残部をリード片とした。次に、長さが300mmとなるように裁断し、正極板とした。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
充放電によりリチウムを収容・放出可能な非晶質炭素に結着剤としてポリフッ化ビニリデンと粉末樹脂としてポリエチレン樹脂粉末を後述する割合になるように混合し、これに分散溶媒のN−メチル−2−ピロリドンを添加、混練したスラリを、厚さ10μmの圧延銅箔(負極集電体)の両面に塗布した。このとき、負極板長寸方向の一方の側縁に幅30mmの未塗布部を残した。その後乾燥、プレス、裁断して幅235mm、後述する所定長さ及び負極活物質塗布部所定厚さの帯状の負極板を得た。負極板のスラリ未塗布部に正極板と同様に切り欠きを入れ、切り欠き残部をリード片とした。次に、長さが305mmとなるように裁断し、負極板とした。
上述したように作製した正極板1を1枚と負極板2を2枚とをこれら両極板が直接接触しないように厚さ40μm、幅215mm、長さ305のポリエチレン製セパレータ3を2枚使用し、図1に示すように積層した。その後、電極積層群を熱プレス機で、200℃の温度で1秒間プレスし、正極、負極、セパレータを溶着した。
次に、図2に示すように、正極板から導出されているリード片4とポリプロピレン付き正極外部端子6とを超音波溶接し固定した。また、負極板から導出されているリード片5とポリプロピレン付き負極外部端子7との接続操作も同様に行った。
その後、予め筒状に熱溶着したアルミラミネートフィルムに挿入し、図3に示すように、ポリエチレン付き正極外部端6およびポリエチレン付き負極外部端子7がアルミラミネートフィルム8で袋状になるように熱溶着した。
そして、アルミラミネートフィルムの開口部9から電解液を所定量注入し、開口部を熱溶着することにより積層型リチウムイオン電池を完成させた。
電解液には、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートの混合溶液中へ電解質として6フッ化リン酸リチウム(LiPF6 )を溶解したものを用いた。
なお、本発明に用いた正極材料、負極材料、電解液は、前記の材料を特に限定するものではない。
本実施形態に従って作製した積層型リチウムイオン電池6の実施例について説明する。まず、本実施例の正極板及び負極板を次のように作製した。正極活物質をマンガン酸リチウムとし、正極集電体を含んだ電極厚さ243μmの正極板を作製した。非晶質炭素として、呉羽化学製カーボトロンPを用い、負極集電体を含んだ電極厚さ140μmの負極板を作製した。正極板と負極板とを組み合わせ、表1に示した仕様の電池をそれぞれ5セルずつ作製した。比較例として正極、負極にポリエチレン粉末を混合していない仕様の電池および正極、負極にポリエチレン粉末を混合しているが、熱溶着しなかった仕様の電池を同様にそれぞれ5セルずつ作製した。
次に、以上のように作製した実施例および比較例の各電池について、25°Cの温度下にて、4.2V定電圧、電流制限(上限)1.5A、5時間の充電、3A定電流、終止電圧2.5Vまでの放電を2回繰り返した後、同条件で充電し、0.6Aおよび6A定電流の放電を行い、放電容量を計測した。充電と放電、放電と充電の切り替え時に、15分間の休止期間を設けた。
各種電池仕様に応じて、放電容量測定結果(平均容量と偏差の結果)を実施例および比較例として表1に示す。
電池仕様1(従来例1)は、0.6A放電容量の平均値は2.80Ahで、それらの偏差が0.094Ahとばらつきが大きく、6A放電時の偏差は0.232Ahで、さらにばらつきは大きな結果となった。正極、負極にポリエチレン粉末を混合し、熱溶着した電池仕様2〜10で、正極および負極に混合した総ポリエチレン粉末量と6A放電時の平均容量の関係について図4に示す。正極および負極にポリエチレン粉末の量を増加させると、放電容量のばらつきが小さくなり、ポリエチレン粉末の量が5wt%まで、6Aで放電時の平均容量は増加した。その後、ポリエチレン粉末の量を増加させると、平均容量は低下した。これは、電池容量に関係のないポリエチレン粉末が増加したためである。
この結果より、正極および負極のポリエチレン粉末の合計量を0.4wt%から25wt%混合することで、混合しない電池(従来例1)よりも平均容量が大きくなった。また、電池容量のばらつきも小さくすることが可能であった。さらに、ポリエチレン粉末の合計量を1.0wt%から10wt%混合することで、その効果はさらに顕著であった。一方、電池仕様10(比較例3)は、正極および負極にポリエチレン粉末を混合しているが、熱溶着していないため、電池容量のばらつきを改善する効果は得られなかった。
次に、正極あるいは負極にポリエチレン粉末を混合し、熱溶着した電池仕様12〜17の電池の放電容量計測にて得られた平均容量と偏差の結果を表2に示す。また、総ポリエチレン粉末量と6A放電時の平均容量の関係について図4に示す。電池仕様12〜17の電池は、両極にポリエチレン粉末を混合した場合よりも放電特性のばらつきを改善する効果は低下するが、両極にポリエチレン粉末を混合していない電池仕様1(比較例1)および熱溶着をしていない電池仕様11(比較例2)に比べ、放電特性のばらつきを改善する効果が得られた。
さらに、上記の実施例で用いたセパレータの材質および粉末樹脂をポリプロピレンとし、熱溶着の条件を200℃の温度で2秒間プレスし、正極、負極、セパレータを溶着した以外は、同様に電池を作製し、放電容量計測を行った。そのときに作製した電池の仕様および放電容量計測の結果を表3に示す。上記の実施例と同様に、6Aで放電したときの平均容量は、電池仕様1(従来例1)および電池仕様11(比較例2)に比べ大きくなり、放電特性のばらつきを改善する効果が得られた。
1…正極板、2…負極板、3…セパレータ、4…正極リード片、5…負極リード片、6…ポリプロピレン付き正極外部端子、7…ポリプロピレン付き負極外部端子、8…アルミラミネートフィルム、9…アルミラミネートフィルム開口部、10…アルミラミネートフィルム熱溶着部。
Claims (6)
- 正極集電体に充放電によりリチウムイオンを放出・収容可能な正極活物質を塗布した正極と、負極集電体に充放電によりリチウムイオンを収容・放出可能な負極活物質を塗布した負極とが、リチウムイオンが通過可能な帯状のセパレータを介して積層された電極積層群を備え、前記電極積層群は角形電池容器に収容され、前記電池容器内で支持または固定された構造の非水電解液二次電池であって、
前記正極および負極の少なくとも一方に粉末樹脂と結着剤とが含有され、前記粉末樹脂は前記セパレータと同じ材質の樹脂からなり、前記正極、負極およびセパレータが固定されていることを特徴とする非水電解液二次電池。 - 前記正極、負極およびセパレータが熱溶着により固定されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記粉末樹脂が、ポリオレフィン系粉末樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の非水電解液二次電池。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレンまたはポリエチレンであることを特徴とする請求項3に記載の非水電解液二次電池。
- 前記粉末樹脂は、正極合剤部体積および負極合剤部体積の合計体積の0.4〜25wt%であることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
- 前記粉末樹脂は、正極合剤部体積および負極合剤部体積の合計体積の1.0〜10wt%であることを特徴とする請求項5記載の非水電解液二次電池。
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