JP2012126103A - 微細構造積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】低反射率を実現すると共に、防汚性を備え、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体を提供すること。
【解決手段】無機基材11と、無機基材11の一主面上に設けられ、無機基材11とは反対側の表面に微細凹凸構造13を有し、機能性微粒子が分散されたゾルゲル材料の硬化物層12と、を備え、硬化物層12において、無機基材11側から微細凹凸構造13側にかけて機能性無機微粒子の濃度が増大するように機能性無機微粒子が分散されたことを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、微細パターンの形成に用いられる微細構造積層体に関する。
従来、LSI製造における微細パターン加工技術として、フォトリソグラフィ技術が多く用いられてきた。しかし、フォトリソグラフィ技術では、露光に用いられる光の波長以下のパターンへの加工が困難という問題がある。他の微細パターン加工技術としては、電子線描画装置によるマスクパターン描画技術(EB法)がある。しかし、EB法では、電子線により直接マスクパターンを描画するため、描画パターンが多いほど描画時間が増加し、パターン形成までのスループットが大幅に低下するという問題がある。また、フォトリソグラフィ用露光装置におけるマスク位置の高精度制御や、EB法用露光装置における電子線描画装置の大型化などにより、これらの方法では、装置コストが高くなるという問題もあった。
これらの問題点を解消し得る微細パターン加工技術として、ナノインプリント技術が知られている。ナノインプリント技術は、微細パターンが形成されたモールドを被転写基板表面に形成されたレジスト膜に押圧することで、モールドに形成された微細パターンを被転写基板表面に形成する技術である(特許文献1)。ナノインプリント技術において用いられるモールドは、電子線描画法などの方法で石英基板を加工することによって得られる。ナノインプリント技術においては、モールドを一度作製すれば、ナノレベルの微細構造を簡単に繰り返し成型できるため、高いスループットを実現することができる。さらに、フォトリソグラフィ用露光装置や、EB露光装置のような、高価な装置が不要であるため、経済的である。このような理由から、ナノインプリント技術は、様々な分野への応用が考えられている。
ナノインプリント技術を応用して製造される光学素子の一例として、モスアイ構造を有する光学素子(以下、モスアイ型光学素子)が挙げられる。モスアイ型光学素子は、ナノオーダーの表面微細凹凸構造により表面反射率を低減させることができる。このようなモスアイ型光学素子の機能から、当該素子は、LCDやレンズなどの広い用途への適用が見込まれている。
ところで、モスアイ型光学素子など、表面の微細凹凸構造を有する素子にゴミやほこりなどの汚染物が付着すると、その微細凹凸構造に起因して、ふき取りによる汚染物の除去が困難である。このため、経年の汚染によって、微細凹凸構造を有する光学素子の反射低減の性能などが著しく低下するという問題がある。
上述のような汚染による問題を解消するために、光触媒能を有する材料を用いて微細凹凸構造を形成する方法が提案されている。例えば、均一なナノサイズの細孔が規則的に配列する陽極酸化ポーラスアルミナのモールド(型)に、TiO微粒子を含有する溶液が塗布されたガラス基板を押し付けてモールドのパターンを転写する方法が提案されている(特許文献2)。また、表面に微細凹凸構造を有する樹脂によって形成した後に、酸化チタンゾルからなる光触媒コーティング剤を微細凹凸構造の表面に塗布して、光触媒能を有する塗装膜を設ける技術が提案されている(特許文献3)。
特表2006−504609号公報 特開2008−37995号公報 特開2010−125357号公報
しかしながら、特許文献2の方法において得られる光学素子において、ガラス基板とガラス基板上の機能膜との間には、屈折率差が存在する。このため、ガラス基板と機能膜との界面において光の反射が発生してしまう。その結果、微細凹凸構造により表面反射率を低下させても、ガラス基板と機能膜との界面反射率が低下しないため、光学素子全体の反射率を低減することができないという問題があった。
また、特許文献3の方法において得られる光学素子において、塗装膜は微細凹凸構造表面に形成されるため、せっかく形成した微細凹凸構造が、塗装膜によって埋められて表面反射率抑制の効果が低減してしまうという問題がある。また、微細凹凸構造は樹脂を用いて形成されるため、樹脂が塗装膜の光触媒能によって侵されて、安定性、耐久性などが低下してしまうという問題もある。さらに、樹脂層と塗装膜との間には屈折率差が存在するため、表面反射を十分に抑制できないという問題もある。
このように、これまでの技術では、反射率を十分に低減すると共に、防汚性を有し、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた構造体を製造することは困難であった。本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、低反射率を実現すると共に、防汚性を備え、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体を提供することを目的とする。
本発明の微細構造積層体は、無機基材と、前記無機基材の一主面上に設けられ、前記無機基材とは反対側の表面に微細凹凸構造を有し、機能性微粒子が分散されたゾルゲル材料の硬化物層と、を備え、前記硬化物層において、前記無機基材側から前記微細凹凸構造側にかけて前記機能性無機微粒子の濃度が増大するように前記機能性無機微粒子が分散されたことを特徴とする。
この構成によれば、ゾルゲル材料を用いて微細凹凸構造を形成することにより、微細構造体が無機材料を主体として構成される。このため、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体が得られる。また、ゾルゲル材料の硬化物層には、無機基材側から微細凹凸構造側にかけて機能性無機微粒子の濃度が増大するように機能性無機微粒子が分散されている。これにより無機基材と硬化物層との屈折率差が小さくなるため、無機基材と硬化物層との界面における反射を低減し、低反射率性を実現した微細構造積層体が得られる。さらに、微細凹凸構造側(つまり、微細構造積層体の表面側)において機能性無機微粒子の濃度が高められている。このため、機能性微粒子による防汚性を備えた微細構造積層体が得られる。
本発明の微細構造積層体において、前記硬化物層の微細凹凸構造側領域における機能性無機微粒子の濃度(Gs)と、前記硬化物層中の機能性微粒子の平均濃度(Gb)との比が、下記式を満たしても良い。
0<|log10(Gs/Gb)|≦2
本発明の微細構造積層体において、前記硬化物層の屈折率は連続的かつ単調に変化しており、前記無機基材と前記硬化物層との界面における、前記無機基材の屈折率と前記硬化物層の屈折率とは、実質的に等しくても良い。
本発明の微細構造積層体において、前記微細凹凸構造が、モスアイ構造であっても良い。
本発明の微細構造積層体において、前記機能性微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化鉄、酸化スズ、酸化銀から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物を成分として含んでも良い。
本発明により、低反射率を実現すると共に、防汚性を備え、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体を提供することができる。
本実施の形態に係る微細構造積層体の模式図である。 硬化物層と無機基材との界面に屈折率差が存在する様子を示す模式図である。 硬化物層において屈折率がなだらかに変化している様子を示す模式図である。 微細構造積層体の作製工程を示す断面模式図である。
本発明者らは、ゾルゲル材料を用いて微細凹凸構造を形成することにより、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた無機材料を主体とする微細構造積層体が得られることを見出した。また、ゾルゲル材料の硬化物層に、無機基材側から微細凹凸構造側にかけて機能性無機微粒子の濃度が増大するように機能性無機微粒子を分散させることで、界面における反射を低減し、また、防汚性を得ることができることを見出した。以下に本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係る微細構造積層体1の構造を示す模式図である。図1(a)は、本実施の形態に係る微細構造積層体1の断面図である。図1(b)は、本実施の形態に係る微細構造積層体1の斜視図である。
図1(a)に示されるように、本実施の形態に係る微細構造積層体1は、無機材料を主体とする無機基材11と、この無機基材11の一主面上に設けられた微細凹凸構造を有するゾルゲル材料の硬化物層12と、を備える。また、硬化物層12の上側表面(無機基材11とは反対側の表面)には微細凹凸構造13が形成されている。図1(b)に示されるように、微細凹凸構造13は、凸部に相当する領域と凹部に相当する領域が複数存在する。なお、微細構造積層体1の構造はこれに限定されない。例えば、一方向に延在する複数の凸状体が、互いに平行に配置されていても良い。
無機基材11としては、ソーダ板ガラス、石英ガラス基板、サファイア基板、シリコン基板などの無機材料を主体とする基材を用いることができる。光学特性は特に限られないが、例えば、400nm〜780nmの可視光領域で光学的に透明な基材は、さまざまな光学用途に用いることができるため好ましい。紫外光領域において用いる場合には、紫外線の透過率が高い石英ガラスやサファイアガラスを含む基材を用いることが好ましい。
また、無機基材11は、後の加熱工程に耐えうる耐熱性を有することが好ましい。また、無機基材11は、ゾルゲル材料に良好に密着するものであることが好ましい。この点、ゾルゲル材料との密着性向上を目的として、無機基材11に表面処理を施しても良い。表面処理としては、表面処理剤やシランカップリング剤を用いた表面処理、UVオゾン洗浄、プラズマ洗浄などを挙げることができる。また、これらの表面処理は、各々組み合わせて使用することもできる。
無機基材11の形状は、特に限定されない。板状の他、使用用途に合わせた曲面形状を有する無機基材11を用いることもできる。
硬化物層12は、上側表面(無機基材11とは反対側の表面)に、微細凹凸構造13を有する。当該微細凹凸構造13により、微細凹凸構造13に応じた光学特性が発現するため、微細構造積層体1を光学素子として用いることができる。
硬化物層12は、ゾルゲル材料の硬化体である。硬化物層12をゾルゲル材料の硬化体とすることにより、無機材料を主体として硬化物層12を構成することができる。このため、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体1を得ることができる。ここで、ゾルゲル材料とは、熱や光、触媒などの作用により、加水分解重縮合が進行し、硬化する化合物群である。例えば、金属アルコキシド(金属アルコラート)、金属キレート化合物、ハロゲン化金属、液状ガラス、スピンオングラス、またはこれらの反応物であり、または、これらに硬化を促進させる触媒を含ませたものである。また、光照射により反応を進行させることができるように、例えば、金属アルコキシド官能基の一部にアクリル基などの光反応性の官能基を有するものである。または、光により触媒性能が発現する光酸発生剤を組み合わせたものである。これらは、要求される物性に応じて、単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。なお、上述のゾルゲル材料の硬化体とは、ゾルゲル材料の重合反応が十分に進行した状態を指す。ゾルゲル材料は、重合反応の過程において無機基板11の表面と化学的に結合して、強く接着する。そのため、硬化物層12としてゾルゲル材料の硬化体を用いることで、安定した硬化物層12および微細凹凸構造13を無機基板11の表面に形成することができる。
金属アルコキシドとは、任意の金属種が、加水分解触媒などにより、水、有機溶剤と反応して得られる化合物群であり、任意の金属種と、ヒドロキシ基、メトキシ基、エトキシ基、プロピル基、イソプロピル基などの官能基とが結合した化合物群である。金属アルコキシドの金属種としては、シリコン、チタン、アルミニウム、ゲルマニウム、ボロン、ジルコニウム、タングステン、ナトリウム、カリウム、リチウム、マグネシウム、スズなどが挙げられる。
例えば、金属種がシリコンの金属アルコキシドとしては、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、p−スチリルトリエトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリエトキシシラン、ジフェニルシランジオール、ジメチルシランジオールなどや、これら化合物群のエトキシ基が、メトキシ基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシ基などに置き換わった化合物群などが挙げられる。これらは、要求される物性に応じて、単独で用いても良いし、複数種類を組み合わせて用いても良い。
また、金属アルコキシドとしては、シルセスキオキサン化合物を用いることもできる。シルセスキオキサンとは、SiO1.5で表される化合物群の総称で、ケイ素原子一個に対し、一つの有機基と三つの酸素原子が結合した化合物である。
ハロゲン化金属とは、上記金属アルコキシドにおいて、加水分解重縮合する官能基がハロゲン原子に置き換わった化合物群である。なお、金属種は適宜変更可能である。
金属キレート化合物としては、チタンジイソプロポキシビスアセチルアセトネート、チタンテトラキスアセチルアセトネート、チタンジブトキシビスオクチレングリコレート、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート、アルミニウムジブトキシモノアセチルアセトネート、亜鉛ビスアセチルアセトネート、インジウムトリスアセチルアセトネート、ポリチタンアセチルアセトネートなどが挙げられる。
液状ガラスとしては、例えば、アポロリング社製のTGAシリーズなどを挙げることができ、要求される物性に応じて、その他ゾルゲル化合物を添加することができる。スピンオングラスとしては、例えば、東京応化社製OCDシリーズ、Honeywell社製のACCUGLASSシリーズなどを用いることができる。
硬化を進行させる触媒としては、種々の酸、塩基を用いることができる。種々の酸には、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸だけでなく、各種カルボン酸、不飽和カルボン酸、酸無水物などの有機酸が含まれる。また、硬化が光硬化の場合には、樹脂層において用いられるような光重合開始剤、光酸発生剤、光増感剤などを用いることができる。
ゾルゲル材料には、溶媒を含有させて用いても良い。好適な溶媒としては、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルホスホルアミド、ピリジン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3−ジメチル−2−イミダゾリノン、N−シクロヘキシル−2−ピロリドン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アニソール、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、モルホリン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、2−ブタノールなどが挙げられ、これらは単独または2種以上の組合せで用いることができる。これらの中でも、ケトン系およびアルコール系の溶媒が好ましい。これらの溶媒は、半硬化ゾルゲル材層の接着性、保存性、硬化性調整に応じて、適宜添加することができる。例えば、ゾルゲル材料1質量部に対して溶媒を0.01〜1000質量部含有させることができる。なお、本発明はこれに限定されない。
なお、無機基材11と硬化物層12とは、通常、異なる材料で構成される。このため、無機基材11と硬化物層12との界面が問題となる。例えば、図2に示されるように、硬化物層12と無機基材11との界面に屈折率差が存在すると、その界面での光の反射が増大してしまう。そこで、図3に示されるように、硬化物層12内部の屈折率をなめらかに変化させることによって界面反射を抑制する。具体的には、硬化物層12に機能性微粒子を含ませる。
機能性微粒子は、屈折率制御の他、強度向上、防汚性向上(光触媒能)などの諸機能を備える。また、機能性微粒子は、微細凹凸構造13側領域において高濃度となるように硬化物層12(微細凹凸構造13を含む)中に分散させる。ここで、硬化物層12の微細凹凸構造13側領域とは、例えば、硬化物層12(微細凹凸構造13を含む)の表面側(微細凹凸構造13側)から、裏面側(無機基材11側)に向かって、略1〜10%厚み方向に侵入した部分、または厚み方向に2nm〜20nm侵入した部分を意味する。なお、機能性微粒子の濃度は、機能性微粒子を構成する元素の濃度を測定することで、間接的に算出することが可能である。例えば、硬化物層12の微細凹凸構造13側領域の機能性微粒子の濃度(Es)は、XPS法により、機能性微粒子を構成する元素の濃度を測定することで算出することができる。XPS法のX線の浸入長は数nmと浅いため、Es値を定量する上で適している。他の解析手法として、透過型電子顕微鏡を使ったエネルギー分散型X線分光法(TEM―EDX)を用い、Es/Ebを算出することもできる。また、硬化物層12中の微粒子の平均濃度(Eb)は、仕込み量から計算することができる。または、ガスクロマトグラフ質量分析計(GC/MS)で測定することができる。例えば、硬化物層12を物理的に剥離してガスクロマトグラフ質量分析にかけることで、機能性微粒子を構成する元素の濃度を測定し、微粒子の平均濃度を算出することができる。
このように、機能性微粒子の濃度勾配を形成することにより、無機基材11と硬化物層12との屈折率差を低減し、界面における反射を低減することができる。また、光触媒能を有する機能性微粒子の濃度を微細凹凸構造13表面において高めることで、微細凹凸構造13表面に高い防汚性を与えることができる。この場合、低反射界面に光触媒能を有する機能性微粒子が存在するため、表面における光利用効率が上がり、光触媒効果が増強される。また、このような低反射界面に光触媒能を有する機能性微粒子が存在するため、少ない機能性微粒子濃度で高い防汚性を発現できる。これらの効果は、工業利用上において非常に有用である。なお、このような効果が得られるのは、光の浸透距離が表面の屈折率の逆数に比例し、微細凹凸構造表面においては、有効媒質理論により見かけの屈折率が低くなるためである。
なお、所望の屈折率制御、強度向上、防汚性向上(光触媒能)などの機能を得られるのであれば、機能性微粒子は、無機基材11側において高濃度となるように硬化物層12中に分散させても良い。すなわち、機能性微粒子は、無機基材11側から微細凹凸構造13側に向けて、少なくとも単調に減少または単調に増加する濃度勾配を有していればよい。
硬化物層12中に機能性微粒子の濃度勾配を形成する方法としては、例えば、シランカップリング剤などで表面のフッ素濃度を高めた機能性微粒子を硬化物層の材料であるゾルゲル材料中に分散させ、表面のフッ素濃度を増加させたモールドでゾルゲル材料層表面を押圧し、モールド表面の低エネルギー界面に、低エネルギー界面を有する機能性微粒子を偏析させる方法が挙げられる。この場合、機能性微粒子による濃度勾配は無機基材11側から微細凹凸構造13の表面側に向けて増加する。また、例えば、硬化物層の材料であるゾルゲル材料の組成において、フェニル基などの疎水性の官能基を多く有するアルコキシドの割合を増加させ、表面にOH基を多数有する機能性微粒子を当該ゾルゲル材料に分散、混合する方法が挙げられる。この場合、機能性微粒子は、疎水‐親水相互作用により親水性である無機基材11側に偏析するため、機能性微粒子による濃度勾配は、微細凹凸構造13の表面側から無機基材11側に向けて増加する。
なお、硬化物層12の微細凹凸構造13側領域の機能性微粒子の濃度(Gs)と、硬化物層12中の機能性微粒子の平均濃度(Gb)との比は、下記式(1)の範囲とすることが好ましい。このような範囲とすることにより、微細凹凸構造13側から無機基材11側への特性傾斜が緩やかとなるためである。
0<|log10(Gs/Gb)|≦2 (1)
なお、|log10(Gs/Gb)|の値が2を超えると、界面に機能性微粒子が偏析して膜強度が低下する傾向にある。このため、|log10(Gs/Gb)|の値は2以下が好適である。
また、硬化物層12と無機基材11との界面において、これらの屈折率が実質的に等しくなるように機能性微粒子を分散させるとより好ましい。ここで、屈折率が実質的に等しいとは、界面における反射が光学的な用途として問題にならない程度の屈折率差を有する場合を含む。例えば、無機基材25の屈折率が1.45であるときに、光学的な用途として問題にならない0.1%以下の界面反射率を実現するためには、界面における硬化ゾルゲル材層12の屈折率は、1.37〜1.54である必要がある。このため、実質的に等しい屈折率としては、上述の範囲が含まれる。なお、これらの値は、必要とされる界面反射率により適宜調整される。例えば、無機基材25の屈折率が1.45であり、0.05%以下の界面反射率が必要とされる場合は、界面における硬化ゾルゲル材層12の屈折率は、1.39〜1.51であれば良い。
なお、同様に、誘電率、導電率、磁化率などが硬化物層12内で徐々に変化するように、機能性微粒子に濃度勾配を持たせても良い。
機能性微粒子としては、金属酸化物、金属微粒子、炭素系微粒子などが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化鉄、酸化スズ、酸化銀、チタン酸ストロンチウムなどが挙げられる。炭素系微粒子としては、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、フラーレンなどが挙げられる。中でも、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウムは、優れた光触媒能を有しているため、防汚性を高める観点から特に好ましい。
微粒子の形状としては、球状、粒状、棒状、針状、中空状、ランダム形状などが挙げられる。これらの形状は、要求される特性や分散性などに応じて適宜選択することができる。ここで、微粒子の粒子径が小さいほど、泳動による濃度勾配を得やすくなるため好ましい。例えば、一次粒子の粒子径は、100nm以下であると好ましい。また、一次粒子の粒子径が50nm以下になると、微細凹凸構造の凸部内に存在しやすくなるため、より好ましい。また、一次粒子の粒子径が30nm以下になると、表面積の増加により光触媒能などの機能発現が顕著になるため、さらに好ましい。なお、微粒子表面は、シランカップリング剤などによって表面修飾されていてもよい。表面修飾されることにより機能性微粒子の濃度勾配を得やすくなるというメリットがある。
上述のシランカップリング剤としては、硬化物層中において機能性微粒子の濃度勾配を形成するために、分子中にフッ素原子を有するシランカップリング剤を用いることが好ましい。分子中にフッ素原子を有するシランカップリング剤としては、例えば、パーフルオロオクチルエチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリクロルシラン、パーフルオロオクチルメチルノナエトキシシラン、パーフルオロヘキシルエチルトリクロルシラン、パーフルオロオクチルメチルトリクロルシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルメチルジクロルシラン、トリフルオロエチルトリメトキシシラン、トリフルオロエチルメチルジメトキシシランなどが挙げられる。特に、トリフルオロプロピルトリメトキシシランは、機能性微粒子の濃度勾配を得やすいため好ましい。なお、これらシランカップリング剤を1種類、または複数種類混合して用いても良い。
また、上述のフッ素原子を有するシランカップリング剤に、50%を超えない量のフッ素原子を有しないシランカップリング剤を混合して用いても良い。フッ素原子を有しないシランカップリング剤としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシメチルトリエキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシエチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−(β-グリシドキシエトキシ)プロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシメチルトリエキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシエチルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリロオキシプロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラオクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、3-ウレイドイソプロピルプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、トリメチルシラノールなどが挙げられる。
なお、硬化物層12において、硬化物層12中における機能性微粒子の平均濃度は、濃度勾配に起因する膜性能を発現できれば特に制限されるものではなく、例えば、1重量%〜50重量%の範囲で適宜調整することができる。
なお、硬化物層12において、微細凹凸構造13の凸部同士の隣接距離(凸部の頂点同士の間隔)は小さく、凸部の高さ(凹部の底から凸部の頂点までの高さ)は大きいことが好ましい。ここで、凸部とは、微細凹凸構造の平均高さより高い部位をいい、凹部とは、微細凹凸構造の平均高さより低い部位をいうものとする。ただし、微細凹凸構造の形状、間隔、高さなどは、適用する波長に合わせて適宜設計することができる。
例えば、ディスプレイ用途など、可視光領域(400nm〜780nm)において反射率を抑え透過率を上げたい場合、好ましい凸部同士の隣接距離は1nm以上300nm以下であり、より好ましくは1nm以上150nm以下である。このように、凸部同士の隣接距離が150nm以下であれば、可視光領域で回折光を生じることなく、反射率の角度依存性も抑制することができる。同様に、好ましい凸部の高さは1nm以上1000nm以下であり、より好ましくは100nm以上500nm以下である。凸部の高さは大きいことが好ましいが、隣接距離と高さの比であるアスペクト比が3以上になると、硬化物層12を離型しにくくなる。このため、微細凹凸構造13は、上記設計思想に基づき、アスペクト比が3未満となるように適宜設計することが好ましい。
また、例えば、結晶系シリコン太陽電池の分光感度は近赤外領域(700nm〜1000nm)にピークを持つため、該太陽電池用最表面部材においては、この波長領域で優れた透過率を有することが求められる。このように、近赤外領域において反射率を抑え透過率を上げたい場合、好ましい凸部同士の隣接距離は300nm以上2000nm以下であり、より好ましくは500nm以上1000nm以下である。また、好ましい凸部の高さは1nm以上5000nm以下であり、より好ましくは1000nm以上5000nm以下である。なお、この場合にも、微細凹凸構造は、アスペクト比が3未満となるように適宜設計することが好ましい。
また、硬化物層12の微細凹凸構造13は、円錐形状、角錐形状、または楕円錘形状の凸部を複数含むピラー形状であることが好ましい。または、円錐形状、角錐形状、または楕円錘形状の凹部を複数含むホール形状であることが好ましい。ここで、「ピラー形状」とは、「柱状体(錐状態)が複数配置された形状」であり、「ホール形状」とは、「柱状(錐状)の穴が複数形成された形状」である。また、凹凸構造において、凸部同士の距離が1nm以上2000nm以下であり、凸部の高さが1nm以上5000nm以下であることが好ましい。このような形状では、可視光領域(400nm〜780nm)、または近赤外領域(700nm〜1000nm)において、反射率を抑え透過率を上げることができるため好ましい。
図4は、本実施の形態に係る微細構造積層体1の製造工程の例を示す断面模式図である。なお、本発明の微細構造積層体1の製造工程は、これに限られない。
まず、図4(a)に示されるように、微細凹凸構造表面に高濃度のフッ素成分が偏析した樹脂製のモールド(型)21を作製する。
次に、機能性微粒子を含有するゾルゲル溶液を調整し、図4(b)に示されるように、当該ゾルゲル溶液を樹脂製のモールド21の微細凹凸構造表面に塗工して、ゾルゲル材層22を形成する。機能性微粒子としては、例えば、分子中にフッ素原子を有するシランカップリング剤を用いて表面処理した酸化物微粒子を用いることができる。
その後、図4(c)に示されるように、ゾルゲル材層22の表面(微細凹凸構造側とは反対側の表面)に無機基材11を貼り合わせ、ゾルゲル材層22を硬化させて硬化物層12を得る。
そして、無機基材11、硬化物層12、樹脂製のモールド21の積層体から、樹脂製のモールド21を離型して、微細凹凸構造13が形成された微細構造積層体1を得る。
上記工程によって形成された硬化物層12では、モールド21に接する側の界面(すなわち、微細凹凸構造13側の界面)における酸化物微粒子(機能性微粒子)の濃度が高い。これは、モールド21表面に高濃度のフッ素成分が偏析し、表面エネルギーが低い状態となっていることに起因するものと考察される。通常、ゾルゲル溶液中には、ヒドロキシル基が多く存在するため、その表面エネルギーが高い状態となっている。一方で、フッ素原子を有するシランカップリング剤で表面処理された酸化物微粒子の表面は、表面に多くのフッ素原子が存在するため、表面エネルギーが低い状態になっている。このような構成のゾルゲル溶液をモールド21表面に塗工すると、その表面エネルギー差を解消するために酸化物微粒子が泳動し、結果として、モールド21との界面付近の酸化物微粒子の濃度が高くなると考えられる。
以上のように、ゾルゲル材料を用いて微細凹凸構造を形成することにより、微細構造体が無機材料を主体として構成される。このため、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体1が得られる。また、ゾルゲル材料の硬化物層12には、無機基材11側から微細凹凸構造13側にかけて機能性無機微粒子の濃度が増大するように機能性無機微粒子が分散されている。これにより無機基材11と硬化物層12との屈折率差が小さくなるため、無機基材11と硬化物層12との界面における反射を低減し、低反射率性を実現した微細構造積層体1が得られる。さらに、微細凹凸構造13側(つまり、微細構造積層体1の表面側)において機能性無機微粒子の濃度が高められている。このため、機能性微粒子による防汚性を備えた微細構造積層体1が得られる。
以下の実施例によって、本発明の効果を確認した。なお、実施例における材料、組成、処理工程などは例示的なものであり、適宜変更して実施することが可能である。
[実施例]
はじめに、微細凹凸構造を有する樹脂モールドを作製した。当該樹脂モールドは、表面に微細凹凸構造を有する円筒形状の金型に、基材上に塗布された光硬化性樹脂を押圧した後、光硬化性樹脂を光硬化させる方法で作製した。
円筒状金型の基材には石英ガラスを用いた。表面の微細凹凸構造は、半導体レーザーを用いた直接描画リソグラフィー法により、石英ガラスの表面に形成した。そして、微細凹凸構造を形成した石英ガラス表面に対し、デュラサーフHD−1101Z(ダイキン化学工業社製)を塗布し、60℃で1時間加熱の後に、室温で24時間静置し、固定化した。その後、デュラサーフHD−ZV(ダイキン化学工業社製)を用いて3回洗浄し、石英ガラス表面に離型処理を実施した。
光硬化性樹脂としては、OPTOOL DAC HP(ダイキン工業社製)、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亞合成社製 M350)、Irgacure 184(Ciba社製)を重量部で10:100:5の割合で混合したものを用いた。当該光硬化性樹脂を、基材であるPETフィルム:A4100(東洋紡社製:幅300mm、厚さ100μm)の易接着面に、マイクログラビアコーティング(廉井精機社製)によって、膜厚が6μmになるように塗布した。
上記円筒状金型に対し、上記光硬化性樹脂が塗布されたPETフィルムをニップロール(0.1MPa)で押し付け、紫外線を照射して光硬化させ、基材と樹脂層でなるリール状の樹脂モールド(長さ200m、幅300mm)を得た。光硬化の条件は、雰囲気および圧力が大気下、温度が25℃、湿度が60%、ランプ中心下での積算露光量が600mJ/cmであった。また、紫外線の光源としては、フュージョンUVシステムズ・ジャパン株式会社製UV露光装置(Hバルブ)を用いた。
このようにして得られたリール状樹脂モールドの微細凹凸構造の形状を、走査型電子顕微鏡観察で確認した。リール状樹脂モールドにおいて、凸部同士の隣接距離は250nmであり、凸部高さは250nmであった。使用した走査型電子顕微鏡や測定条件などは、下記の通りである。
装置;HITACHI s−5500
加速電圧;10kV
MODE;Normal
また、リール状樹脂モールドの表面フッ素元素濃度をX線光電子分光法(以下、XPS)にて測定したところ、表面領域(後に半硬化ゾルゲル材層側領域となる領域)のフッ素元素濃度Esと樹脂層中の平均フッ素元素濃度Ebとの比Es/Ebは69であった。なお、ここでは、リール状樹脂モールドを約2mm四方の小片として切り出し、1mm×2mmのスロット型のマスクを被せて測定を行った。使用した機器や測定条件などは、下記の通りである。
使用機器 ;サーモフィッシャーESCALAB250
励起源 ;mono.AlKα 15kV×10mA
分析サイズ;約1mm(形状は楕円)
取込領域
Survey scan;0〜1, 100eV
Narrow scan;F 1s,C 1s,O 1s,N 1s
Pass energy
Survey scan; 100eV
Narrow scan; 20eV
次に、上記リール状樹脂モールドを用いて、微細構造積層体を作製した。
まず、微細凹凸構造が形成されたリール状樹脂モールドを巻き出して平坦面に設置し、その微細凹凸構造表面に、ゾルゲル溶液を膜厚が3μmになるように塗布し、80℃で10分の乾燥、半硬化処理を施した。当該塗布は、マイクログラビアコーティング(廉井精機社製)により行った。また、ゾルゲル溶液としては、Honeywell社製のACCUGLASS311に、フッ素原子を含有するシランカップリング剤によって処理した酸化チタン微粒子JMT−150FI(テイカ社製、平均粒径15nm)を超音波分散させたものを用いた。ACCUGLASS311とJMT−150FIとの混合比率は、固形分に対する重量部で100:7.5であった。その後、上述の積層体を、リール状に巻き取った。
そして、上記の積層体から、無機材料を主体とする微細凹凸構造を有する微細構造積層体を形成した。まず、上述の積層体のゾルゲル材層を100mm角の石英ガラス基板(屈折率1.43)に接着し、窒素雰囲気下のオーブンにおいて、100℃で1時間の部分硬化処理を施した。次いで、室温でトルエンに5分浸漬させ、樹脂モールドをゾルゲル材層から剥離した。そして、ゾルゲル材層に対し、窒素雰囲気下のオーブンにおいて、300℃で1時間の完全硬化処理を施して硬化物層を得た。これにより得られた微細凹凸構造の形状を走査型電子顕微鏡で確認した結果、凸部同士の隣接距離は250nm、凸部高さは250nmであった。
また、得られた微細構造積層体の表面Ti濃度をXPSにて測定したところ、表面のTi濃度(Gs)と硬化物層中の平均Ti濃度(Gb)との比Gs/Gbは10であった。ここで、表面Ti濃度は、上記リール状樹脂モールドの表面フッ素元素濃度測定と同様の方法で測定した。
測定されたTi濃度から屈折率の体積分率を計算すると、硬化物層の石英ガラス基板界面付近の屈折率は1.46であり、表面(微細凹凸構造を有する側の表面)の屈折率は1.87であった。
次に、上述の微細構造積層体を任意に30mm四方に裁断し、評価試料として用いて、入射角5°の正反射率を測定した。測定は、株式会社島津製作所UV−2450大型試料室(MPC−2200設置モデル)を使用して行った。測定結果は、500nmで1.2%、600nmで1.0%、700nmで1.1%であった。
[比較例]
実施例と同様のゾルゲル溶液(ACCUGLASS311とJMT−150FIとの混合比率が、固形分に対する重量部で100:7.5)を膜厚が3μmになるように石英ガラスに塗布し、80℃で10分の乾燥後、窒素雰囲気下のオーブンにおいて、300℃で1時間の完全硬化処理を施して硬化物層を得た。このようにして得られた硬化物層は、微細凹凸構造を有さなかった。また、硬化物層中には、機能性微粒子である酸化チタン微粒子の濃度勾配は見られなかった。得られた硬化物層につき、実施例と同様に、株式会社島津製作所UV−2450大型試料室(MPC−2200設置モデル)を使用して入射角5°の正反射率を測定したところ、500nmで4.1%、600nmで4.0%、700nmで4.1%であった。
このように、上記の実施例において、樹脂モールドの微細凹凸形状を精密に反映した無機材料を主体とする微細凹凸構造が得られた。また、得られた微細構造積層体において、石英ガラス基板側から微細凹凸構造側にかけて硬化物層中の機能性無機微粒子の濃度が増大するように機能性無機微粒子が分散されていることが確認された。また、機能性微粒子の濃度勾配により、硬化物層と石英ガラス基板との界面付近の屈折率差が十分に小さくなっており、反射率が十分に低減されていることが確認された。また、微細凹凸構造は無機材料を主体としているため、樹脂材料を主体とする微細凹凸構造と比較して耐環境性、耐候性、長期安定性に優れている。以上、本発明により、低反射率を実現すると共に、防汚性を備え、耐環境性、耐候性、長期安定性に優れた微細構造積層体を提供できることが確認された。
11 基材
12 硬化物層
13 微細凹凸構造
21 モールド
22 ゾルゲル材層

Claims (5)

  1. 無機基材と、
    前記無機基材の一主面上に設けられ、前記無機基材とは反対側の表面に微細凹凸構造を有し、機能性微粒子が分散されたゾルゲル材料の硬化物層と、を備え、
    前記硬化物層において、前記無機基材側から前記微細凹凸構造側にかけて前記機能性無機微粒子の濃度が増大するように前記機能性無機微粒子が分散されたことを特徴とする微細構造積層体。
  2. 前記硬化物層の微細凹凸構造側領域における機能性無機微粒子の濃度(Gs)と、前記硬化物層中の機能性微粒子の平均濃度(Gb)との比が、下記式を満たすことを特徴とする請求項1に記載の微細構造積層体。
    0<|log10(Gs/Gb)|≦2
  3. 前記硬化物層の屈折率は連続的かつ単調に変化しており、
    前記無機基材と前記硬化物層との界面における、前記無機基材の屈折率と前記硬化物層の屈折率とは、実質的に等しいことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の微細構造積層体。
  4. 前記微細凹凸構造が、モスアイ構造であることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の微細構造積層体。
  5. 前記機能性微粒子が、酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム、酸化タングステン、酸化カドミウム、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化マンガン、酸化鉄、酸化スズ、酸化銀から選ばれた少なくとも一つの金属酸化物を成分として含むことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の微細構造積層体。
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