JP2012124200A - GaN系半導体レーザ素子 - Google Patents

GaN系半導体レーザ素子 Download PDF

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Abstract

【課題】効果的にノイズを低減することが可能なGaN系半導体レーザ素子を提供する。
【解決手段】このGaN系半導体レーザ素子は、n型GaN基板10上に形成され、活性層14を含む窒化物半導体層と、窒化物半導体層に形成されたストライプ状導波路構造と、窒化物半導体層上に形成され、ワイヤボンド領域22aを有するp側電極22とを備えている。窒化物半導体層は、ワイヤボンド領域22aの外側の領域に、上面から少なくとも活性層14を含む位置まで設けられた光の吸収部分50を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、GaN系半導体レーザ素子に関する。
半導体レーザ素子や発光ダイオード素子(LED)等の短波長の発光素子を構成する発光素子材料として、GaNなどの窒化物半導体材料の研究、開発が行われている。窒化物半導体材料を用いたGaN系半導体レーザ素子は、一般的に、InGaN層を活性層に含む構造を有しており、光ディスク装置の読み取り用光源(光ピックアップ用光源)として既に実用化されている。また、近年では、GaN基板の採用により、素子の長寿命化および高出力化を図ることが可能となってきている。
ここで、GaN系半導体レーザ素子に用いられるGaN基板は、赤色半導体レーザ素子や、赤外半導体レーザ素子に用いられるGaAs基板とは異なり、基板が透明であるため、チップ内部での光の減衰が少ない。そのため、発生した光の一部は、チップ内部で側面等の端面に到達し、界面で反射して再び発光部に戻り、発光部の光と干渉する場合がある。
GaN系半導体レーザ素子を光ピックアップの光源として用いた場合、通常の駆動状態では、GaN系半導体レーザ素子は、光出力が一定となるように制御されるが、上記した干渉が起こると、光出力が乱れてノイズが発生する。
そのため、このようなノイズ対策として、従来、共振面に対して傾斜した面を有する凹部を設ける構成が提案されている(たとえば、特許文献1参照)。このような構成を有するGaN系半導体レーザ素子では、凹部に達した光はその傾斜した面で発光部とは異なる方向に反射される。
特開2006−165407号公報
しかしながら、上記した従来の構成では、レーザチップ内で反射を繰り返すことで、光が発光部に戻る場合がある。このため、従来の構成では、発光部に光が戻るのを抑制することが困難となるため、ノイズを低減することが困難となる。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、効果的にノイズを低減することが可能なGaN系半導体レーザ素子を提供することである。
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子は、基板上に形成され、活性層を含む窒化物半導体層と、窒化物半導体層に形成されたストライプ状導波路構造と、窒化物半導体層上に形成され、ワイヤボンド領域を有する電極層とを備えている。そして、上記窒化物半導体層は、ワイヤボンド領域の外側の領域に、上面から少なくとも活性層を含む位置まで設けられた光の吸収部分を有している。
この第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子では、上記のように、窒化物半導体層に、その上面から少なくとも活性層を含む位置まで光の吸収部分を設けることによって、発生した光の一部(たとえば、漏れ光)を上記吸収部分で吸収することができるので、ストライプ状導波路(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。これにより、光の干渉を抑制することができるので、ノイズを効果的に低減することができる。
また、第1の局面では、上記吸収部分をワイヤボンド領域の外側の領域に設けることによって、ワイヤボンド用の電極層を容易に形成することができる。また、このように構成すれば、吸収部分をストライプ状導波路構造から離すことができるので、吸収部分を設けることに起因して、ストライプ状導波路(発光部)に応力がかかるという不都合が生じるのを抑制することができる。
上記第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、好ましくは、窒化物半導体層は、ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有し、吸収部分は、ストライプ状導波路構造に対して側面側の両領域に、それぞれ設けられている。このように構成すれば、発生した光の一部(たとえば、漏れ光)を効果的に吸収することができるので、より効果的に、ノイズを低減することができる。なお、上記吸収部分は、側面に設けられていてもよいし、側面とストライプ状導波路構造との間の領域に設けられていてもよい。
上記第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、好ましくは、吸収部分は、窒化物半導体層の一部がレーザスクライバによって溶融された溶融物を含む。このように構成すれば、上記溶融物は、光を反射せずに吸収するため、容易に、ノイズを低減することができる。
上記第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、好ましくは、吸収部分は、窒化物半導体層の上面から少なくとも活性層を含む位置までを覆う金属層を含む。このように構成した場合でも、発生した光の一部を金属層で吸収することができるので、ストライプ状導波路(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。
この場合において、金属層は、電極層から構成されているのが好ましい。このように構成すれば、別途金属層を形成する場合に比べて、容易に、金属層(吸収部分)を形成することができる。加えて、製造工程を削減することもできる。
また、上記金属層を備えた構成において、金属層は、390nm〜420nmの波長の光を吸収する金属材料から構成されているのが好ましい。
この場合において、上記金属材料は、TiまたはSiから構成されているのが好ましい。
上記金属層を備えた構成において、好ましくは、窒化物半導体層は、ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有するとともに、ストライプ状導波路構造と側面との間の領域に、上面から少なくとも活性層まで掘り込まれた複数の凹部を有し、複数の凹部は、ストライプ状導波路と交差する方向に、互いに平行に延びるように形成されており、凹部内に金属層が形成されることによって、吸収部分が構成されている。このように構成すれば、光が吸収部分で吸収されずに反射された場合でも、反射された光は、ストライプ状導波路の方向とは異なる方向に進むため、ストライプ状導波路(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。また、反射された光は、吸収部分に接しながら進むため、吸収部分に接するたびに減衰する。このため、ストライプ状導波路(発光部)に光が戻るのが効果的に抑制される。したがって、光の干渉を効果的に抑制することができるので、ノイズをさらに効果的に低減することができる。
上記第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、窒化物半導体層は、ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有し、吸収部分は、一対の側面の少なくとも一方に設けられているのが好ましい。
また、上記第1の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、窒化物半導体層は、基板側から、n型窒化物半導体層、活性層、p型窒化物半導体層が順に積層された構成とすることができる。この場合、吸収部分は、上面からn型窒化物半導体層までを含む位置まで設けられているのが好ましい。
この発明の第2の局面によるGaN系半導体レーザ素子は、基板上に形成され、活性層を含む窒化物半導体層と、窒化物半導体層に形成されたストライプ状導波路構造と、ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面と、ストライプ状導波路構造と側面との間の領域に形成され、上面から少なくとも活性層まで掘り込まれた複数の凹部とを備えている。また、複数の凹部は、ストライプ状導波路と交差する方向に、互いに平行に延びるように形成されている。そして、凹部内に金属層が形成されることによって、活性層からの光を吸収する光の吸収部分が構成されている。
この第2の局面によるGaN系半導体レーザ素子では、上記のような光吸収部分を備えることによって、発生した光の一部(たとえば、漏れ光)を上記吸収部分で吸収することができるので、ストライプ状導波路(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。これにより、光の干渉を抑制することができるので、ノイズを効果的に低減することができる。
上記第2の局面によるGaN系半導体レーザ素子において、好ましくは、窒化物半導体層上に形成され、ワイヤボンド領域を有する電極層をさらに備え、金属層は、電極層から構成されているとともに、吸収部分が、ワイヤボンド領域の外側の領域に形成されている。このように構成すれば、ワイヤボンド用の電極層を容易に形成することができるとともに、ストライプ状導波路(発光部)に応力がかかるのを抑制することができる。このため、設計自由度を向上させることができるので、容易に、ノイズを低減することができる。
以上のように、本発明によれば、効果的にノイズを低減することが可能なGaN系半導体レーザ素子を容易に得ることができる。
本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図(図2のA−A線に沿った断面に対応する図)である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための平面図である。 本発明の第1実施形態によるキャンパッケージ型の半導体レーザ装置を示した斜視図(キャップを取り外した状態を示した図)である。 本発明の第1実施形態によるキャンパッケージ型の半導体レーザ装置を示した斜視図である。 実施例のRINノイズ測定結果を示した図である。 比較例のRINノイズ測定結果を示した図である。 本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図(図14のB−B線に沿った断面に対応する図)である。 本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図(p側電極を省略した状態を示した図)である。 本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。 本発明の第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図(p側電極を省略した状態を示した図)である。 本発明の第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図(図16のC−C線に沿った断面に対応する図)である。 図16の一部を拡大して示した平面図である。 第3実施形態の変形例によるGaN系半導体レーザ素子の平面図(p側電極を省略した状態を示した図)である。
以下、本発明を具体化した実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図である。図2は、本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図である。なお、図1は、図2のA−A線に沿った断面に対応する図を示している。まず、図1および図2を参照して、本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の構造について説明する。
第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子は、図1に示すように、n型GaN基板10上に、n型GaN下地層11、n型AlGaNからなるn型クラッド層12、n型GaNからなるn型ガイド層13、活性層14が順に形成されている。活性層14は、GaN層とInGaN層とが交互に積層された量子井戸(MQW)構造を有している。
また、活性層14上には、p型AlGaNからなる蒸発防止層15が形成されており、この蒸発防止層15上には、p型AlGaNからなるp型ガイド層16が形成されている。p型ガイド層16上には、凸部と、凸部以外の平坦部とを有するp型AlGaNからなるp型クラッド層17が形成されている。p型クラッド層17の凸部上には、p型GaNコンタクト層18が形成されている。そして、p型GaNコンタクト層18とp型クラッド層17の凸部とによって、約3μmのリッジ幅を有するストライプ状(細長状)のリッジ部19が構成されている。このリッジ部19は、図2に示すように、共振器方向(Y方向)に延びるように形成されている。なお、リッジ部19の下方に位置するストライプ状(細長状)の活性層14の部分を含む領域(光を閉じ込めて導波するための帯状領域)がストライプ状導波路25(発光部)となっている。また、窒化物半導体各層11〜18によって、半導体積層構造(窒化物半導体層)が構成されている。
p型GaNコンタクト層18上(リッジ部19上)には、Ni、Pdなどを主成分とするコンタクト電極20が形成されている。また、リッジ部19の両脇には、図1に示すように、たとえば、約2000Åの厚みを有する埋め込み層21が形成されている。この埋め込み層21は、たとえば、SiO2などの絶縁性材料から構成されている。
埋め込み層21およびコンタクト電極20の上面上には、リッジ部19の上面からキャリアを注入するためのp側電極22が形成されている。このp側電極22は、コンタクト電極20の一部を覆うように形成されており、このコンタクト電極20を介して、p型GaNコンタクト層18に対してオーム性接触されている。p側電極22は、たとえば、コンタクト電極20側から、Ti/Auからなる第1層(図示せず)およびAuからなる第2層(図示せず)が順に積層された多層構造からなる。また、図1および図2に示すように、p側電極22は、ボンディングワイヤ70が接続されるワイヤボンド領域22aを有するようにパターニングされている。なお、p側電極22は、本発明の「電極層」の一例である。
基板10の裏面上には、図1に示すように、基板下からキャリアを注入するためのn側電極23が形成されている。このn側電極23は、n型GaN基板10の裏面側から順に、Ti層(図示せず)、Pt層(図示せず)およびAu層(図示せず)が順に積層された多層構造(Ti/Pt/Au)からなり、n型GaN基板10に対してオーム性接触されている。
また、第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子は、図2に示すように、リッジ部19と直交する一対の共振器端面30を有している。この一対の共振器端面30は、レーザ光が出射される光出射面30aと、光出射面30aと反対側の光反射面30bとを含んで構成されている。また、リッジ部19の両側には、リッジ部19に沿った一対の側面40が形成されている。この側面40は、平面的に見て、リッジ部19を幅方向に挟むように構成されている。
さらに、共振器端面30におけるリッジ部19を避けた部分には、エッチングによって段差(トレンチ)35が形成されている。この段差35は、後述するバー分割工程において、平滑な劈開面(共振器端面)を得るために設けられている。
ここで、第1実施形態では、図1および図2に示すように、GaN系半導体レーザ素子の両側面40の角部に、切欠部51が形成されている。この切欠部51は、レーザスクライバによって形成されている。また、この切欠部51は、GaN系半導体レーザ素子の上面から少なくとも活性層14を含む位置(深さ)まで形成されている。また、この切欠部51は、図2に示すように、リッジ部19と略平行な方向(Y方向)に、GaN系半導体レーザ素子(共振器長)のほぼ全長に渡って形成されている。なお、切欠部51は、p側電極22とは干渉しないように形成されている。また、上記切欠部51は、埋め込み層21の上面から、たとえば、n型クラッド層12に達する深さまで形成されているのが好ましい。
また、第1実施形態では、上記切欠部51がレーザスクライバで形成されているため、切欠部51の表面は、レーザスクライブによる溶融物52に覆われた状態となっている。この溶融物52は、共振器から漏れた光を反射せず吸収する機能を有する。そのため、溶融物52が形成された切欠部51によって、GaN系半導体レーザ素子の両側面40に、漏れ光を吸収する吸収部分50が設けられた構成となっている。この吸収部分50は、リッジ部19と略平行な方向(Y方向)に、直線状に延びるように形成されている。また、吸収部分50は、切欠部51によって形成されているため、切欠部51と同様、GaN系半導体レーザ素子(共振器長)のほぼ全長に渡って形成されている。
なお、吸収部分50は、上記のように、GaN系半導体レーザ素子の側面40に形成されているため、ワイヤボンド領域22aよりも外側の領域に位置している。また、この切欠部51(吸収部分50)は、p側電極22とは干渉しない位置に形成されているため、溶融物52を介して電流がリークすることが抑制される。
また、GaN系半導体レーザ素子の光出射面30aには、たとえば、反射率5%〜80%の出射側コーティング膜(図示せず)が形成されている。一方、光反射面30bには、たとえば、反射率95%の反射側コーティング膜(図示せず)が形成されている。
上記のように構成された第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子では、活性層14で発した光の一部(漏れ光)(図1の白矢印参照)は吸収部分50で吸収されるため、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのが抑制される。
図3〜図8は、本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための図である。次に、図1〜図8を参照して、本発明の第1実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法について説明する。
まず、図3に示すように、MOCVD(Metal Organic Chemical Vapor Deposition)法を用いて、n型GaN基板10上に、窒化物半導体各層11〜18を成長させる。具体的には、n型GaN基板10上に、n型GaN下地層11、n型クラッド層12、n型ガイド層13、活性層14、蒸発防止層15、p型ガイド層16、p型クラッド層17およびp型GaNコンタクト層18を順に成長させる。次に、p型GaNコンタクト層18上に、真空蒸着法などを用いて、Ni、Pdなどを主成分とするコンタクト電極20を形成する。そして、p型GaNコンタクト層18とコンタクト電極20とのオーミック接触が得られるように、高温で電極の合金化を行う。
次に、図4に示すように、フォトリソグラフィ技術および反応性イオンエッチングなどのドライエッチング技術などを用いて、コンタクト電極20の上面からp型クラッド層17の途中の深さまで選択的にエッチングを行う。これにより、p型クラッド層17の凸部とp型GaNコンタクト層18とによって構成されるとともに、約3μmのリッジ幅を有し、共振器方向(Y方向;図2参照)に互いに平行に延びるストライプ状のリッジ部19が形成される。
続いて、図5に示すように、スパッタ法または電子ビーム蒸着法を用いて、リッジ部19の上面(コンタクト電極20上)、リッジ部19の側面およびリッジ部19の外側の領域(p型クラッド層17の平坦部上)を覆うように、埋め込み層21を形成する。この埋め込み層21は、たとえば、SiO2などの絶縁性膜から構成し、その厚みは、たとえば、約2000Åとする。そして、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、リッジ部19上部の埋め込み層21を除去する。
次に、図6に示すように、電子ビーム蒸着法、スパッタ法またはメッキ法などを用いて、埋め込み層21上に、Ti/Auからなる第1層(図示せず)、および、Auからなる第2層(図示せず)を順に形成する。そして、フォトリソグラフィ技術などを用いて、積層された第1層および第2層を選択的に除去することで、パターン化されたp側電極22を形成する。
その後、n型GaN基板10(半導体ウェハ)を分割し易くするために、基板10(半導体ウェハ)の裏面を研削または研磨することによって、基板10を100μm程度の厚みまで薄くする。そして、図1に示したように、n型GaN基板10の裏面上に、真空蒸着法などを用いて、n型GaN基板10のTi/Pt/Auなどのn側電極23を形成する。
続いて、図6および図7に示すように、p側電極22側からレーザスクライバを用いて、リッジ部19と平行な方向(Y方向)に沿って、たとえば、n型クラッド層12に達する深さまでスクライブ用の溝51aを作製する。なお、レーザスクライブを行う部分は、隣り合うp側電極22の間の領域(フォトリソグラフィ技術を用いて、予めp側電極22が形成されていない領域、または、p側電極22が予め除去されている領域)とする。具体的には、レーザスクライブによって、隣り合うp側電極22の間(X方向に隣り合うp側電極22の間)に設定された分割予定線P2と重なる位置に、スクライブ用の溝51aを形成する。また、溝51aの深さは、n型クラッド層12(図6参照)に達する深さとされるのが好ましい。
ここで、上記レーザスクライブによって、窒化物半導体材料は熱分解され、主に、Gaもしくは少量のAlやInが溶融物として溝51aに残る。Gaは共振器から漏れた光を反射せず吸収する効果があり、戻り光の抑制に効果がある。また、Gaは融点の低い金属であるため、後の洗浄工程などで溝51aから脱離する場合もあるが、レーザスクライブによって熱分解された近傍の窒化物半導体は完全に分解されずストイキオメトリーからGaがリッチなGaNおよび窒化物半導体となる。このため、漏れ光を吸収する効果は保持される。
次に、図7および図8に示すように、リッジ部19と直交する方向(Y方向)に沿って劈開することにより半導体ウェハ(n型GaN基板10)をバー状に分割する。具体的には、Y方向に隣り合うp側電極22の間に設定された分割予定線P1(図7参照)で劈開することにより、半導体ウェハ(基板10)をバー状に分割する。これにより、バー状に分割された素子の劈開端面に、ミラー面(共振器端面30)が形成される。この際、劈開用の溝は、p側電極22側に形成する。基板の裏面側に劈開用の溝を形成した場合、発光部のあるエピタキシャル成長面の端面が綺麗に分割できない場合があるためである。
次に、劈開されたバーの両端面(共振器端面30)に、AlON膜やAl23膜などの光学コーティング膜(図示せず)を形成する。
最後に、分割予定線P2(図8参照)でバーを分割することにより、個々のチップに個片化(チップ分割)する。この際、上記レーザスクライブによって形成した溝51aと分割位置とを一致させることで、上記溝51aが分割されて、GaN系半導体レーザ素子の側面40に、溶融物52に覆われた切欠部51(図1参照)が形成される。なお、上記のように、溝51aをスクライブラインとして利用してもよいが、n型GaN基板10の裏面側からレーザスクライブ法などにより、新たなスクライブラインを形成してもよい。この場合、溝51aとチップの分割位置とを一致させることにより、分割したチップの両側に溶融物52が残るため、半導体ウェハに複数のチップ(GaN系半導体レーザ素子)を形成する際に溝の本数を減らすことができる。
このように製造されたGaN系半導体レーザ素子(EL)は、図9および図10に示すように、AlNやSiCなどのサブマウント80上にジャンクションアップで実装された状態で、ステム81上にマウントされ、ワイヤ70によってリードピン82と電気的に接続される。そして、キャップ83がステム81上に溶接されることにより、キャンパッケージ型の半導体レーザ装置に組み立てられる。
第1実施形態では、上記のように、GaN系半導体レーザ素子に、その上面から少なくとも活性層14を含む位置まで光の吸収部分50を設けることによって、活性層14で発した光の一部(漏れ光)を上記吸収部分50で吸収することができる。このため、その光が側面40で反射されるのを抑制することができるので、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。これにより、光の干渉を抑制することができるので、ノイズを効果的に低減することができる。したがって、上記のように構成すれば、低雑音GaN系半導体レーザ素子を容易に得ることができる。
また、第1実施形態では、上記吸収部分50をワイヤボンド領域22aの外側の領域に設けることによって、ワイヤボンド領域22aを容易に確保することができるので、p側電極22を容易に形成することができる。また、このように構成すれば、吸収部分50をストライプ状導波路25から離すことができるので、吸収部分50を設けることに起因して、ストライプ状導波路25(発光部)に応力がかかるという不都合が生じるのを抑制することができる。
また、第1実施形態では、レーザスクライブにより切欠部51(溝51a)を形成することにより、切欠部51の表面に溶融物52を形成することができる。この溶融物52は、活性層14で発した光を吸収するため、このように構成することで、漏れ光を吸収する吸収部分50を容易に形成することができる。
また、第1実施形態では、GaN系半導体レーザ素子の両側面40に、吸収部分50をそれぞれ形成することによって、発生した光の一部(たとえば、漏れ光)を効果的に吸収することができるので、より効果的に、ノイズを低減することができる。
続いて、上記した実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。この実験では、上記第1実施形態と同様のGaN系半導体レーザ素子を作製し、このGaN系半導体レーザ素子を用いてRIN(Relative Intensity Noise:相対雑音強度)特性を測定した。
なお、上記第1実施形態と同様のGaN系半導体レーザ素子を実施例とし、吸収部分を有さない点以外は実施例と同じGaN系半導体レーザ素子を比較例とした。RINノイズの測定は、実施例および比較例のいずれも同一条件で3回測定し、バラツキを確認した。
その結果を図11および図12に示す。図11は、実施例のRINノイズ測定結果を示しており、図12は、比較例のRINノイズ測定結果を示している。また、図11および図12の縦軸は、RIN(dB)を示しており、横軸は、光出力(mW)を示している。
RIN特性は、光出力が低いときは、自然放出光の影響によりノイズは大きくなり、光出力が大きくなるほど相対的に自然放出光の影響は小さくなるのでノイズは小さくなるのが理想である。しかしながら、吸収部分が設けられていない比較例では、図12に示すように、一部でノイズが増大したり、また、同じ素子でも数回の測定でノイズのパターンが変化したりする結果となっている。つまりバラツキが大きくなっている。これに対し、吸収部分が設けられた実施例では、図11に示すように、バラツキが低減された理想に近い特性を示す結果が得られた。
以上より、第1実施形態で示した構成とすることによって、効果的にノイズが低減されることが確認された。
(第2実施形態)
図13は、本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図である。図14は、本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図である。また、図13は、図14のB−B線に沿った断面に対応する図を示しており、図14は、p側電極を省略した状態を示している。次に、図13および図14を参照して、本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の構造について説明する。なお、各図において、対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明は適宜省略する。
この第2実施形態では、図13および図14に示すように、GaN系半導体レーザ素子の側面40近傍に、光を吸収する吸収部分150が形成されている。具体的には、図13に示すように、両側面40の近傍に、それぞれ、上面から少なくとも活性層14を含む位置(深さ)(たとえば、n型クラッド層12に達する深さ)まで掘り込まれた溝部55が形成されている。この溝部55内には、埋め込み層21を介して、p側電極22(金属層)が埋め込まれている。なお、溝部55は、本発明の「凹部」の一例である。
ここで、溝部55内に形成された埋め込み層21を構成するSiO2、および、p側電極22を構成するTi/Au(第1層)のTiは光を吸収して漏れ光を低減する機能を持つ。また、SiO2は、溝部55の絶縁性を確保する。一方、Ti/AuのTiは、p側電極22の一部であり、密着強度を高めるとともに、光を吸収して漏れ光を低減する機能を持つ。このため、溝部55内に金属層(p側電極22)が埋め込まれることによって、光を吸収する上記吸収部分150が形成されている。
また、図14に示すように、上記吸収部分150は、ワイヤボンド領域22aよりも外側の領域に位置している。さらに、側面40の近傍に形成された吸収部分150は、平面的に見て、それぞれ、リッジ部19に沿ってY方向に直線状に延びるように形成されている。また、吸収部分150は、GaN系半導体レーザ素子(共振器長)のほぼ全長に渡って形成されている。なお、吸収部分150は、上記のように、リッジ部19と略平行に延びるように形成されているのが好ましい。また、側面40の近傍に形成された吸収部分150は、リッジ部19からの距離が略等しくなるように形成されているのが好ましい。
なお、上記のように、金属層(p側電極22)は埋め込み層21を介して溝部55内に形成されているため、電流のリークが抑制される。また、上記溝部55は、第1実施形態とは異なり、たとえば、エッチングによって形成されている。さらに、溝部55の大きさ(幅等)は、金属層(p側電極22)が埋め込まれる大きさ(埋め込み層21で溝部55内が埋まってしまわない大きさ)とされている。
第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
上記のように構成された第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子では、活性層14で発した光の一部(漏れ光)(図14の白矢印参照)は吸収部分150で吸収されるため、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのが抑制される。
図15は、本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法を説明するための断面図である。次に、図13および図15を参照して、本発明の第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法について説明する。
この第2実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の製造方法では、図15に示すように、上記第1実施形態と同様の方法によってリッジ部19を形成した後、フォトリソグラフィ技術およびエッチング技術を用いて、たとえば、n型クラッド層12に達する深さを有する上記溝部55を形成する。
続いて、上記第1実施形態と同様の方法により、図13に示した、埋め込み層21、p側電極22、n側電極23を形成する。
その後、上記第1実施形態と同様の方法により、半導体ウェハ(n型GaN基板10)をバー状に分割する。そして、劈開されたバーの両端面に、AlON膜やAl23膜などの光学コーティング膜(図示せず)を形成する。最後に、バーを、吸収部分150(溝部55)が半導体チップ(GaN系半導体レーザ素子)に含まれるように分割する(吸収部分150(溝部55)とは異なる位置でチップ分割を行う)ことにより、個々のチップに個片化(チップ分割)する。この際、半導体ウェハ(n型GaN基板10)の裏面側からレーザスクライブ法などにより、スクライブラインを形成し、そのスクライブラインを起点としてチップ分割を行うのが好ましい。
そして、このようにして製造されたGaN系半導体レーザ素子を用いて、RINノイズ測定を行ったところ、上記第1実施形態(実施例)と同様、バラツキ低減を確認することができた。
第2実施形態では、上記のように、GaN系半導体レーザ素子(窒化物半導体層)の上面から少なくとも活性層14を含む位置までを覆う金属層22を含むように吸収部分150を構成することによって、活性層14で発した光の一部(漏れ光)を上記吸収部分150で吸収することができる。このため、その光が側面40で反射されるのを抑制することができるので、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのを抑制することができる。これにより、光の干渉を抑制することができるので、ノイズを効果的に低減することができる。
また、第2実施形態では、溝部55内に形成される金属層22をp側電極22とすることによって、別途金属層を形成する必要がないため、容易に、吸収部分150を形成することができる。加えて、製造工程を削減することもできる。
また、第2実施形態では、チップ分割の際に、溝部55と分割位置とが一致しないように構成することによって、溝部分に割れや欠けなどが生じないため、より安定して漏れ光を吸収することができる。
第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
(第3実施形態)
図16は、本発明の第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の平面図である。図17は、本発明の第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の断面図である。図18は、図16の一部を拡大して示した平面図である。また、図16は、p側電極を省略した状態を示しており、図17は、図16のC−C線に沿った断面に対応する図を示している。次に、図16〜図18を参照して、本発明の第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子の構造について説明する。なお、各図において、対応する構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明は適宜省略する。
この第3実施形態では、図16および図17に示すように、リッジ部19と交差する方向に延びる複数の溝部55が形成されており、この溝部55内に、埋め込み層21を介して、p側電極22(金属層)が埋め込まれている。そして、上記第2実施形態と同様、溝部55内に金属層(p側電極22)が埋め込まれることによって、光を吸収する吸収部分150が形成されている。
上記吸収部分150は、GaN系半導体レーザ素子の側面40近傍に、それぞれ、形成されている。また、吸収部分150を構成する溝部55は、上記第2実施形態と同様、GaN系半導体レーザ素子の上面(p型クラッド層17)から少なくとも活性層14を含む位置(深さ)(たとえば、n型クラッド層12に達する深さ)まで形成されている。なお、溝部55の大きさ(幅等)は、金属層(p側電極22)が埋め込まれる大きさ(埋め込み層21で溝部55内が埋まってしまわない大きさ)とされている。
また、図16に示すように、上記吸収部分150は、ワイヤボンド領域22aよりも外側の領域に位置している。
ここで、第3実施形態では、上記第2実施形態とは異なり、吸収部分150は、互いに分離された(独立した)複数の吸収部分150を含んで構成されている。各吸収部分150は、平面的に見て、リッジ部19の延び方向(Y方向)に対して所定の角度傾いた方向に、互いに平行に延びるように形成されている。また、複数の吸収部分150は、GaN系半導体レーザ素子の側面40近傍の領域において、リッジ部19の延び方向(Y方向)に沿って、所定の間隔(たとえば、等間隔)で配列されている。
また、リッジ部19の延び方向(Y方向)に沿って配列された複数の吸収部分150は、GaN系半導体レーザ素子(共振器長)のほぼ全長に渡って形成されている。なお、吸収部分150の配列方向は、リッジ部19と略平行であるのが好ましい。また、吸収部分150の間隔(配列間隔)は、GaN系半導体レーザ素子の側面40側から見たときに、隣り合う吸収部分150の一部が重なるように設定されているのが好ましい。さらに、側面40の近傍に形成された吸収部分150は、リッジ部19からの距離が略等しくなるように形成されているのが好ましい。
なお、図18に示すように、各吸収部分150は、リッジ部19の延び方向(Y方向)に対して、45度程度の角度θで傾斜しているのが好ましい。
また、第3実施形態では、図16に示すように、上記吸収部分150は、リッジ部19の両側で同一形状(左右同一形状)となるように形成されている。
なお、図17に示したように、金属層(p側電極22)は埋め込み層21を介して溝部55内に形成されているため、電流のリークが抑制される。また、上記溝部55は、第1実施形態とは異なり、たとえば、エッチングによって形成されている。
第3実施形態のその他の構成は、上記第2実施形態と同様である。
上記のように構成された第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子では、図18に示すように、活性層14(図17参照)で発した光の一部(漏れ光)(図18の白矢印参照)は吸収部分150で吸収されるため、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのが抑制される。また、吸収部分150がリッジ部19に対して傾斜しているため、漏れ光が吸収部分150でわずかに反射された場合でも、反射された光(白矢印参照)は、ストライプ状導波路25(図16参照)に光り戻るのが抑制される。そして、反射された光(白矢印参照)は、吸収部分150に接しながら進むため、吸収部分150に接するたびに減衰する。このため、ストライプ状導波路25(発光部)に光が戻るのが効果的に抑制される。したがって、光の干渉が効果的に抑制されるので、ノイズがさらに効果的に低減される。
また、第3実施形態では、上記のように、複数の吸収部分150が設けられていることにより、チップ分割時の衝撃に強くなる効果も得られる。
第3実施形態のその他の効果は、上記第2実施形態と同様である。
なお、第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子は、上記第2実施形態の製造方法において、溝部55のパターニングを変更することで容易に形成することができる。
また、上記第3実施形態によるGaN系半導体レーザ素子を用いて、RINノイズ測定を行ったところ、上記第1実施形態(実施例)および第2実施形態と同様、バラツキ低減を確認することができた。
(第3実施形態の変形例)
図19は、第3実施形態の変形例によるGaN系半導体レーザ素子の平面図である。なお、図19では、p側電極を省略した状態を示している。図19を参照して、第3実施形態の変形例では、上記第3実施形態の構成において、記吸収部分150が、リッジ部19に対して左右対称形状となるように形成されている。このように構成した場合でも、上記第3実施形態と同様の効果を得ることができる。
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
たとえば、上記第1〜第3実施形態では、吸収部分を側面または側面に近い位置に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、吸収部分は、たとえば、リッジ部(ストライプ状光導波路)の近傍(発光部に近い位置)に形成されていてもよい。リッジ部の近傍であれば、共振器から漏れた光を効率よく吸収することができる。なお、リッジ部の近傍に吸収部分を形成した場合、発光部(ストライプ状光導波路)に応力もしくはレーザスクライブによるダメージがかかることが懸念される。また、発光部に近い位置(電流狭窄部分に近い位置)に溝を形成した場合、Gaなどの溶融物から電流がリークする可能性もある。その点、リッジ部の遠方、つまり、半導体チップ(GaN系半導体レーザ素子)の側面に近い位置(側面または側面近傍)に吸収部分を形成することにより、発光部に応力もしくはレーザスクライブによるダメージがかかるのを抑制することができる。加えて、溝とリッジ部との間にワイヤーボンディング用の電極(p側電極)を形成することもできる。さらに、側面に近い位置は、電流狭窄部分から離れた位置であるため、電流のリークは問題視されない。したがって、吸収部分の形成位置は、リッジ部の近傍でもよいが、上記実施形態で示したように、側面に近い位置であるのが好ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、吸収部分を、共振器長のほぼ全長にわたって設けた例を示したが、本発明はこれに限らず、上記吸収部分は、共振器長の一部に設けられていてもよい。ただし、漏れ光は、リッジ部(ストライプ状導波路)の全領域から発生するため、全領域をカバーできるように、吸収部分は、共振器長のほぼ全長にわたって設けられているのが好ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、埋め込み層をSiO2から構成した例を示したが、本発明はこれに限らず、SiO2以外の絶縁材料から埋め込み層を構成してもよい。この際、埋め込み層は、発光部(ストライプ状導波路)からの漏れ光を吸収する絶縁材料から構成するのが好ましい。
また、上記第1〜第3実施形態では、パッケージの組立時に、半導体チップ(GaN系半導体レーザ素子)をジャンクションアップで実装した例を示したが、本発明はこれに限らず、半導体チップ(GaN系半導体レーザ素子)をジャンクションダウンで実装してもよい。
また、上記第1〜第3実施形態では、基板にn型GaN基板を用いた例を示したが、本発明はこれに限らず、InGaN、AlGaN、および、AlGaInNなどからなる導電性基板を用いてもよい。また、導電性基板以外に、たとえば、サファイア基板などの絶縁性基板を用いることもできる。さらに、基板上に結晶成長される窒化物半導体層の各層については、その厚みや組成等は、所望の特性に合うものに適宜組み合わせたり、変更したりすることが可能である。たとえば、半導体層を追加または削除したり、半導体層の順序を一部入れ替えたりしてもよい。また、導電型を一部の半導体層について変更してもよい。すなわち、窒化物半導体レーザ素子としての基本特性が得られる限り自由に変更可能である。
また、上記第1〜第3実施形態では、MOCVD法を用いて、窒化物半導体各層を基板上に結晶成長させた例を示したが、本発明はこれに限らず、MOCVD法以外の他の気相成長法を用いて、窒化物半導体各層を基板上に結晶成長させてもよい。たとえば、MBE法(Molecular Beam Epitaxy;分子線エピタキシ法)や、HDVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy;ハイドライドVPE法)などを用いて、窒化物半導体各層を結晶成長させてもよい。
なお、上記第1〜第3実施形態において、吸収部分の寸法、形状、数等は、チップ寸法等に応じて適宜設定することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、吸収部分を、リッジ部に対して略平行となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、吸収部分は、リッジ部と交差する方向に延びるように形成されていてもよい。なお、吸収部分とリッジ部との交差角度は、リッジ部から側面までの距離やワイヤボンド領域などを考慮して適宜設定することができる。
また、上記第1および第2実施形態では、吸収部分を直線状に形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、吸収部分は直線状以外の形状であってもよい。たとえば、上記吸収部分は、波状であってもよいし、曲線状であってもよい。
また、上記第2および第3実施形態では、溝部内に金属層としてのp側電極を形成することによって吸収部分を形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、p側電極以外の金属層を溝部内に形成することによって吸収部分を形成してもよい。すなわち、p側電極とは別体の金属層を溝部内に形成することで吸収部分を形成してもよい。なお、溝部内に形成される金属層は、390nm〜420nmの波長の光を吸収する金属材料から構成されているのが好ましい。また、このような金属材料として、TiやSiなどを用いるのが好ましい。
また、上記第1実施形態では、チップ分割の際に、レーザスクライブによって形成した溝と分割位置とを一致させた例を示したが、本発明はこれに限らず、チップ分割の際に、レーザスクライブによって形成した溝と分割位置とを一致させないように構成としてもよい。すなわち、半導体チップ(GaN系半導体レーザ素子)にレーザスクライブによって形成した溝が残るように、チップ分割を行ってもよい。このように、溝と分割位置とが一致しないように構成することで、溝に残されたGaの溶融物が飛散せず、また、チップ分割時に溝部分に割れや欠けなどが生じないため、より安定して漏れ光を吸収することができる。
また、上記第2実施形態では、溝部(吸収部分)とは異なる位置でチップ分割を行った例を示したが、本発明はこれに限らず、溝部(吸収部分)と分割位置とを一致させてチップ分割を行ってもよい。その際、形成した溝部をスクライブラインとして利用してもよいし、基板の裏面側からレーザスクライブ法などにより、新たなスクライブラインを形成してもよい。このように、溝部と分割位置とを一致させることにより、分割したチップの両側に溝部の側面が残るため、半導体ウェハに複数のチップ(GaN系半導体レーザ素子)を形成する際に、溝部の本数を減らすことができる。
また、上記第3実施形態では、複数の吸収部分を、互いに平行となるように形成した例を示したが、本発明はこれに限らず、複数の吸収部分は、互いに交差する方向に延びるように形成されていてもよい。
また、上記第3実施形態において、各吸収部分の傾斜角度(リッジ部の延び方向(Y方向)に対する交差角度)は、適宜設定することができる。
なお、上記で開示された技術を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
10 基板
11 n型GaN下地層
12 n型クラッド層
13 n型ガイド層
14 活性層
15 蒸発防止層
16 p型ガイド層
17 p型クラッド層
18 p型GaNコンタクト層
19 リッジ部
20 コンタクト電極
21 埋め込み層
22 p側電極、金属層(電極層、金属層)
22a ワイヤボンド領域
23 n側電極
25 ストライプ状導波路(発光部)
30 共振器端面
30a 光出射面
30b 光反射面
35 段差
40 側面
50、150 吸収部分
51 切欠部
55 溝部(凹部)
52 溶融物
70 ボンディングワイヤ
80 サブマウント
81 ステム
82 リードピン
83 キャップ

Claims (12)

  1. 基板上に形成され、活性層を含む窒化物半導体層と、
    前記窒化物半導体層に形成されたストライプ状導波路構造と、
    前記窒化物半導体層上に形成され、ワイヤボンド領域を有する電極層とを備え、
    前記窒化物半導体層は、前記ワイヤボンド領域の外側の領域に、上面から少なくとも前記活性層を含む位置まで設けられた光の吸収部分を有することを特徴とする、GaN系半導体レーザ素子。
  2. 前記窒化物半導体層は、前記ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有し、
    前記吸収部分は、前記ストライプ状導波路構造に対して前記側面側の両領域に、それぞれ設けられていることを特徴とする、請求項1に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  3. 前記吸収部分は、前記窒化物半導体層の一部がレーザスクライバによって溶融された溶融物を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  4. 前記吸収部分は、前記窒化物半導体層の上面から少なくとも前記活性層を含む位置までを覆う金属層を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  5. 前記金属層は、前記電極層からなることを特徴とする、請求項4に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  6. 前記金属層は、390nm〜420nmの波長の光を吸収する金属材料からなることを特徴とする、請求項4または5に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  7. 前記金属材料は、TiまたはSiからなることを特徴とする、請求項6に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  8. 前記窒化物半導体層は、前記ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有するとともに、前記ストライプ状導波路構造と前記側面との間の領域に、上面から少なくとも前記活性層まで掘り込まれた複数の凹部を有し、
    前記複数の凹部は、前記ストライプ状導波路と交差する方向に、互いに平行に延びるように形成されており、
    前記凹部内に前記金属層が形成されることによって、前記吸収部分が構成されていることを特徴とする、請求項4〜7のいずれか1項に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  9. 前記窒化物半導体層は、前記ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面を有し、
    前記吸収部分は、前記一対の側面の少なくとも一方に設けられていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  10. 前記窒化物半導体層は、前記基板側から、n型窒化物半導体層、前記活性層、p型窒化物半導体層が順に積層された構成を有しており、
    前記吸収部分は、上面から前記n型窒化物半導体層までを含む位置まで設けられていることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか1項に記載のGaN系半導体レーザ素子。
  11. 基板上に形成され、活性層を含む窒化物半導体層と、
    前記窒化物半導体層に形成されたストライプ状導波路構造と、
    前記ストライプ状導波路構造を幅方向に挟む一対の側面と、
    前記ストライプ状導波路構造と前記側面との間の領域に形成され、上面から少なくとも前記活性層まで掘り込まれた複数の凹部とを備え、
    前記複数の凹部は、前記ストライプ状導波路と交差する方向に、互いに平行に延びるように形成されており、
    前記凹部内に金属層が形成されることによって、前記活性層からの光を吸収する光の吸収部分が構成されていることを特徴とする、GaN系半導体レーザ素子。
  12. 前記窒化物半導体層上に形成され、ワイヤボンド領域を有する電極層をさらに備え、
    前記金属層は、前記電極層から構成されているとともに、前記吸収部分が、前記ワイヤボンド領域の外側の領域に形成されていることを特徴とする、請求項11に記載のGaN系半導体レーザ素子。
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