JP2012123192A - 画像形成装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 二本の抵抗発熱体の接続状態を直列と並列に切り替えることにより抵抗値を切り替え可能な定着装置において、簡易な構成で定着装置の片側通電状態を検知し、信頼性の高い装置を提供すること。
【解決手段】 第1の抵抗発熱体に電力を供給するための第1の導電経路と、第2の抵抗発熱体に電力を供給するための第2の導電経路、のいずれか一方のみに電流を検知する電流検知部を有し、電流検知部が閾電流よりも大きな電流を検知しているにも拘らずヒータの温度を検知する温度検知部の温度上昇速度が閾速度よりも遅い場合、故障を報知する、または装置の駆動を停止する。
【選択図】 図9

Description

本発明は、複写機、レーザービームプリンタ等の画像形成装置に関し、特に、エンドレスベルトと、その内面に接触するヒータと、エンドレスベルトを介してヒータと共に定着ニップ部を形成するニップ部形成部材と、を有する定着部を有する画像形成装置に関するものである。
商用電源の電圧が100V系(例えば、100V〜127V)の地域用の画像形成装置を、200V系(例えば、200V〜240V)の地域で使用する場合、定着部のヒータに供給可能な最大電力は4倍になる。ヒータに供給可能な最大電力が大きくなると、位相制御や波数制御などのヒータの電力制御で生じる高調波電流やフリッカ等が顕著となる。また、定着部が熱暴走した際に生じる電力が4倍に増加するため、より応答性の早い回路が必要になる。そのため、一つの装置を商用電源電圧が100Vの地域と200V地域で使用する場合、地域毎に別々の抵抗値のヒータを取り付ける場合が多い。
一方、100Vの商用電源電圧が供給される地域と、200Vの商用電源電圧が供給される地域で共用できるユニバーサルな装置を実現する手段として、リレーなどスイッチ手段を用いて、ヒータの抵抗値を切り替える方法が提案されている。特許文献1には、ヒータの基板上に第1及び第2の抵抗発熱体を有し、第1及び第2の抵抗発熱体を直列に接続する第1の動作状態と並列に接続する第2の動作状態に切り替え可能とすることで商用電源電圧に応じてヒータの抵抗値を切り替え、商用電源電圧が100Vの地域と200Vの地域で共用できる装置とすることが提案されている。
特開7−199702号公報
商用電源電圧に応じて第1及び第2の抵抗発熱体を直列接続状態と並列接続状態に切り替える方法では、ヒータの発熱領域を変えずに、ヒータの抵抗値を切り替えることができる。換言すると、100Vの地域と200Vの地域どちらで使っても二本の抵抗発熱体が発熱するので、定着ニップ部の記録材搬送方向の温度分布が使用地域に拘らず同じになる。このため、トナー画像の定着性が装置を使用する地域に左右されないというメリットがある。
しかしながら、この方法では、抵抗値切り替えリレーが故障した場合などに、2つの抵抗発熱体のうち、どちらか一方のみに電力が供給される状態(以降はこの状態を片側通電状態と記載)になる場合が考えられる。片側通電状態では、正常な状態に比べて定着部の耐久寿命の低下や、定着性の悪化などの問題が生じる場合があるため、片側通電状態を検出する手段が必要であった。
本発明の目的は、抵抗値を切り替え可能な装置において、簡易な構成で片側通電状態を検知し、信頼性の高い装置を提供することである。
上述の課題を解決するための本発明は、記録材に画像を形成する画像形成部と、エンドレスベルトと、基板上に第1の抵抗発熱体と第2の抵抗発熱体を有し前記エンドレスベルトの内面に接触するヒータと、前記エンドレスベルトを介して前記ヒータと共に画像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ヒータの温度を検知する温度検知部と、を有し、前記第1の抵抗発熱体と前記第2の抵抗発熱体を直列に接続する第1の動作状態と、前記第1の抵抗発熱体と前記第2の抵抗発熱体を並列に接続する第2の動作状態と、に切り替え可能である定着部と、を有する画像形成装置において、前記第1の抵抗発熱体に電力を供給するための第1の導電経路と、前記第2の抵抗発熱体に電力を供給するための第2の導電経路、のいずれか一方のみに電流を検知する電流検知部を有し、前記電流検知部が閾電流よりも大きな電流を検知しているにも拘らず前記温度検知部の温度上昇速度が閾速度よりも遅い場合、故障を報知する、または装置の駆動を停止することを特徴とする。
抵抗値を切り替え可能な装置において、簡易な構成で片側通電状態を検知し、信頼性の高い装置を提供できる。
定着装置(定着部)の断面図。 実施例1のヒータ制御回路構成図。 実施例1のヒータ構成図。 実施例1のヒータ故障状態の説明図。 実施例1の制御フローチャート図。 実施例1の片側通電状態の説明図。 実施例1の片側通電状態の発熱分布図。 実施例1の片側通電状態の検出方法説明図。 実施例1の片側通電状態の検出フローチャート図。 実施例2のヒータ制御回路構成図。 実施例2のヒータ構成図。 画像形成装置の概略図。
図12は電子写真記録技術を用いた画像形成装置(本例ではフルカラープリンタ)の断面図である。記録材Pにトナー画像を形成する画像形成部は4つの画像形成ステーション(1Y、1M、1C、1Bk)を有する。各画像形成ステーションは、感光体2(2a、2b、2c、2d)、帯電部材3(3a、3b、3c、3d)、現像器4(4a、4b、4c、4d)、転写部材5(5a、5b、5c、5d)、感光体をクリーニングするクリーナ6(6a、6b、6c、6d)を有する。更に画像形成部は、トナー画像を担持しつつ搬送するベルト7、ベルト7から記録材Pへトナー画像を転写する二次転写ローラ8を有する。以上の画像形成部の動作は周知であるので説明は割愛する。画像形成部で未定着トナー画像が転写された記録材Pは定着部100に送られ、トナー画像が記録材Pに加熱定着される。
図1は定着装置(定着部)100の断面図である。定着装置100は、筒状のフィルム(エンドレスベルト)102と、フィルム102の内面に接触するヒータ300と、フィルム102を介してヒータ300と共に定着ニップ部Nを形成する加圧ローラ(ニップ部形成部材)108とを有する。フィルムのベース層の材質は、ポリイミド等の耐熱樹脂、またはステンレス等の金属である。加圧ローラ108は、鉄やアルミニウム等の材質の芯金109と、シリコーンゴム等の材質の弾性層110を有する。ヒータ300は耐熱樹脂製の保持部材101に保持されている。保持部材101はフィルム102の回転を案内するガイド機能も有している。加圧ローラ108は不図示のモータから動力を受けて矢印方向に回転する。加圧ローラ108が回転することによってフィルム102が従動して回転する。
ヒータ300は、セラミック製のヒータ基板105と、ヒータ基板上に抵抗発熱体H1(第1の抵抗発熱体)及び抵抗発熱体H2(第2の抵抗発熱体)と、抵抗発熱体H1及びH2を覆う絶縁性(本実施例ではガラス)の表面保護層107を有する。ヒータ基板105の裏面側であって、プリンタで設定されている利用可能な最小サイズ紙(本例では封筒DL:110mm幅)の通紙領域にはサーミスタ等の温度検知素子(温度検知部)111が当接している。温度検知素子111の検知温度に応じて商用交流電源からヒータへ供給する電力が制御される。未定着トナー画像を担持する記録材(用紙)Pは、定着ニップ部Nで挟持搬送されつつ加熱されて定着処理される。ヒータ基板105の裏面側には、ヒータが異常昇温した時に作動してヒータへの給電ラインを遮断するサーモスイッチ等の温度調整素子112も当接している。温度調整素子112も温度検知素子111と同様に最小サイズ紙の通紙領域に当接している。104は保持部材101に不図示のバネの圧力を加えるための金属製のステーである。
(実施例1)
図2は本実施例1のヒータ300の制御回路200を説明するための回路ブロック図である。C1、C2、C3、C5、C6は制御回路200と定着装置100を接続するためのコネクタである。201は商用の交流電源で、ヒータ300への電力制御は、トライアックTR1の通電/遮断により行われる。トライアックTR1はCPU203からのヒータ駆動する信号STR1に従って動作する。温度検知素子111によって検知される温度は、プルアップ抵抗の分圧として検知され、CPU203にTH信号として入力される。CPU203の内部処理では、温度検知素子111の検知温度とヒータ300の設定温度に基づき、例えばPI制御により、供給するべき電力を算出し、位相角(位相制御)、波数(波数制御)の制御レベルに換算して、トライアックTR1の制御を行っている。
次に電圧検知部とリレー制御部の説明を行う。図2に示すRL1、RL2、RL3は、電源OFF状態における接点の接続状態を示してある。RL1及びRL2は直並列状態切替部として機能する。なお、RL1はメーク接点リレー(第1のスイッチ手段)であり、RL2は図面上のcを共通接点として動作するブレーク・ビフォア・メーク接点リレー(第2のスイッチ手段)である。
電圧検知部500は交流電源201の二つの出力端子間、AC1〜AC2(AC3)間に印加される電圧を検知する。電圧検知部500は電源電圧の範囲(商用電圧範囲)が100V系(例えば、100V〜127V)か、200V系(例えば、200V〜240V)のどちらかを判別し、CPU203及び、リレー制御部204に電圧検知結果をVOLT信号として出力している。電源の電圧範囲が200V系の場合、VOLT信号はLow状態となる。電圧検知部500の詳細は後述する図5で説明する。
電圧検知部500が200Vを検知した場合、リレー制御部204はRL1ラッチ部を動作させ、SRL1信号をLow状態とし、RL1をOFF状態のまま保持する。RL1のラッチ部が動作すると、CPU203から出力される信号RL1onがHigh状態になった場合にも、RL1はOFF状態を保持する。リレー制御部204の動作は、上記で説明したラッチ回路の代わりに、VOLT信号がLow状態を検出している間、RL1をOFF状態で保持するHWの回路を用いても良い。CPU203は電圧検知結果に従い、RL2on信号2をLow状態とし、RL2をOFF状態のまま保持する。
更にCPU203はRL3on信号をHigh状態にすると、リレー制御部204はSRL3信号をHigh状態にし、RL3をON状態にする。この状態では、第1の抵抗発熱体H1と、第2の抵抗発熱体H2が直列接続されるため、ヒータ300は抵抗値の高い状態になる。
電圧検知部500が100Vを検知した場合、CPU203はRL1on信号をHigh状態にすると、リレー制御部204はSRL1信号をHigh状態にし、RL1をON状態にする。CPU203はVOLT信号に従い、RL2on信号をHigh状態にすると、SRL2信号はHigh状態となり、RL2をON状態(右の接点と接続)にする。更にCPU203はRL3on信号をHigh状態にし、リレー制御部204はSRL3信号をHigh状態にし、RL3をON状態にすると、定着装置100に給電可能な状態となり、この状態では、第1の抵抗発熱体H1と、第2の抵抗発熱体H2が並列接続されるため、ヒータ300は抵抗値の低い状態になる。このように、画像形成装置は商用電源の電圧を検知する電圧検知部を有し、電圧検知部の検知電圧に応じて二本の抵抗発熱体の直列接続状態または並列接続状態を自動的に切り替えることができる。
次に電流検知部205の説明を行う。電流検知部205は、カレントトランス206を介して一次側に流れる電流実効値を検知している。特に、第1の抵抗発熱体H1に電力を供給するための第1の導電経路と第2の抵抗発熱体に電力を供給するための第2の導電経路のいずれか一方のみに設けられており、本実施例では第1の抵抗発熱体H1に電力を供給するための第1の導電経路に設けられている。
電流検知部205は、商用電源周波数の周期ごとに電流実効値の二乗値を出力するIrms1と、Irms1の移動平均値Irms2を出力している。CPU203はIrms1により、商用周波数周期ごとに電流実効値を検知している。電流検知部205の一例として、特開2007−212503号公報で提案されている方法を用いることができる。Irms2はリレー制御部204に出力されている。カレントトランス206に過電流が流れ、Irms2が所定の閾電流値を超えると、リレー制御部204はRL1、RL3のラッチ部を動作させ、RL1、RL3をOFF状態に保持し、定着装置100への給電を遮断する。
図3の(a)〜(c)は本実施例1に用いるヒータ300、ヒータ300の第1の動作状態(200V地域用の直列接続状態)、及び第2の動作状態(100V地域用の並列接続状態)を説明するための概略図である。
図3(a)はヒータ基板105上に形成された発熱パターン(抵抗発熱体)、導電パターン、及び電極を示している。また図2の制御回路200との接続を説明するため、図2のコネクタとの接続部を示してある。ヒータ300は抵抗発熱体H1、H2を有している。303は導電パターンである。用紙搬送方向の上流側に配置された第1の抵抗発熱体H1には、電極E1(第1の電極)、電極E3(第三の電極)を介して電力を供給されており、用紙搬送方向の下流側に配置された第2の抵抗発熱体H2には、電極E2(第2の電極、共通接点)、電極E3を介して電力を供給されている。電極E1はコネクタC1と、電極E2はコネクタC2と、電極E3はコネクタC3と接続されている。
図3(b)は電源電圧が200Vの場合に用いられる、第1の抵抗発熱体と第2の抵抗発熱体を直列接続する第1の動作状態図である。ここでは、抵抗発熱体H1及び抵抗発熱体H2の抵抗値を20Ωとして説明する。第1の動作状態では20Ωの抵抗発熱体が直列接続されているため、ヒータ300の合成抵抗値は40Ωとなる。電源電圧は200Vなので、ヒータ300に供給される電流は5Aで、電力は1000Wとなる。第1の抵抗発熱体に流れる電流I1及び、第2の抵抗発熱体に流れる電流I2は、それぞれ5Aである。この時、電流検知部205は電流I1=5Aを検出している。
図3(c)は電源電圧が100Vの場合に用いられる、第1の抵抗発熱体と第2の抵抗発熱体を並列接続する第2の動作状態図である。第2の動作状態では20Ωの抵抗発熱体が並列に接続されているため、ヒータ300の合成抵抗値は10Ωとなる。電源電圧は100Vなので、ヒータ300に供給される電流は10Aで、電力は1000Wとなる。第1の抵抗発熱体に流れる電流I1、及び第2の抵抗発熱体に流れる電流I2はそれぞれ5Aである。この時、電流検知部205は電流I1=5Aを検出している。
図3(b)及び図3(c)の状態でヒータに供給される電流、電力を比較する。電流I1を検知する場合、図3(b)の状態では5Aでヒータに供給される電力は1000Wになり、図3(c)の状態では5Aでヒータに供給される電力は1000Wになる。このように、電流I1を検知する場合、ヒータ300の動作状態が第1の動作状態と第2の動作状態どちらであっても、ヒータ300に供給される電力に比例する電流値を検知できる。
次に、ヒータに供給される電力を1000W以下するために、電流リミットを設ける場合について説明する。例えば、電流I1を検知する場合、ヒータ300の動作状態によらずに、5Aに電流リミットを設ければ、ヒータに供給される電力を1000W以下に制限することができる。電流検知結果を用いて、所定の電力以下に制御する方法の一例として、特許第3919670号公報で説明されている方法を用いることができる。例えば通常時にはI1が5A以下になる制御を行い、6Aを異常電流と設定した場合について説明する。通常制御時にはIrms1信号に基づき、I1は5A以下に制御されている。トライアックTR1の故障等による電力制御が不能となり、6A以上の異常電流を検出した場合、Irms2信号がHigh状態となり、リレー制御部204は、RL1、RL3をOFF状態にし、定着装置100への給電を遮断する。
図4は定着装置に電力を供給する電源部の構成を示している。電源部400は3.3V用のAC/DCコンバータ401と、24V用のAC/DCコンバータ402から構成されている。24V用のAC/DCコンバータ402の説明を行う。BD1は交流電源201を整流するために用いるブリッジダイオードであり、EC1及びEC2は平滑用の電解コンデンサである。全波整流状態ではトライアックTR2はOFF状態であり、EC1とEC2を直列接続した合成容量値に対して、BD1で整流された電圧が印加されている。倍電圧整流状態では、トライアックTR2はON状態であり、正の位相の半波はEC1に充電され、負の位相の半波はEC2に充電され、それぞれピークホールドされるため、全波整流状態に比べて実質2倍の電圧が24V用のAC/DCコンバータ402に印加される。電圧検知部500の検知結果(VOLT信号)に基づき、CPU203が200Vの状態を判断すると、STR2信号をLow状態にしてトライアックTR2をOFF状態とし、24Vコンバータ211を全波整流状態にする。
CPU203が100Vの状態を判断すると、STR2信号をHigh状態にしてトライアックTR2をON状態とし、24Vコンバータ211を倍電圧整流状態にする。3.3V用のAC/DCコンバータ401は、電源電圧の範囲が100V系(ex.100V〜127V)か、200V系(ex. 200V〜240V)のどちらであってもフルレンジで動作可能なコンバータである。BD2は交流電源201を整流するために用いるブリッジダイオードであり、EC3は平滑用の電解コンデンサである。3.3V用のAC/DCコンバータ401はCPUやセンサなどの比較的負荷の小さい電源に用いられるため、倍電圧整流と全波整流の切り替えを行わない場合にも、比較的簡単にフルレンジで動作可能なコンバータを設計できる。本実施例の24V用のAC/DCコンバータ402は、モータなどの負荷の大きい素子を駆動するため、大電力を出力する必要がある。大電力出力可能で、特にPFC回路(力率改善回路)を持たないAC/DCコンバータでは、倍電圧整流と全波整流の切り替えを行わずに、フルレンジで動作可能にすることが難しい場合がある。そのため、本実施例の24Vコンバータ402では、倍電圧整流と全波整流の切り替えを行っている。
電圧検知部500は、BD2によって半波整流された交流電源201のAC1〜AC3間の電圧を検知している。電圧検知部500は、3.3V用のAC/DCコンバータ401の補助巻き線電圧の出力電圧(AC3を基準に出力されるDC電圧)が電源VPCとして供給されている。
図5は電圧検知部500を説明するための回路図を示している。AC1〜AC3に印加される電圧の範囲が100V系か、200V系のどちらかを判別するための回路動作を説明する。AC1の電圧がAC2の電圧よりも大きい場合、BD2で半波整流されたAC1〜AC3間の電圧が電圧検知部500に印加される。AC1〜AC3に印加される電圧が閾電圧値以上になると、抵抗501と抵抗502で分圧された電圧がツェナーダイオード503のツェナー電圧より高い値になり、抵抗504に電圧が印加されnpn型バイポーラトランジスタ505がON状態になる。フォトカプラ507の一次側発光ダイオードには、電源VPCから抵抗506を介して、電流が流れ発光状態になっている。npn型バイポーラトランジスタ505がON状態になると、フォトカプラ507の一次側発光ダイオードをショートするため、フォトカプラ507の発光ダイオードは非発光状態となる。508はノイズ対策用コンデンサである。フォトカプラ507の発光ダイオードが非発光状態になると、2次側のトランジスタがOFF状態となり、抵抗508を介して電源Vccから抵抗509及び抵抗510に電圧が印加され、npn型バイポーラトランジスタ511がON状態になる。トランジスタ511がON状態になると、抵抗513及び、抵抗512を介して、電源Vccからベース電流が流れ、pnpトランジスタ514がON状態となる。
つまり、AC1〜AC3に印加される電圧が閾電圧値以上になると、Vccから抵抗515を介してコンデンサ516に充電電流が流れる状態になる。517は放電用抵抗である。AC1〜AC3に印加される電圧が高くなり、フォトカプラ507の一次側発光ダイオードがOFFする時間の比率が大きくなると、コンデンサ516に充電電流が流れる時間が増えるため、コンデンサ516の電圧は高い値となる。コンデンサ516の電圧が、抵抗519と抵抗520で分圧されたコンパレータ518の比較電圧よりも大きくなると、コンパレータ518の出力VOLT1の電圧がLow状態となる。抵抗521はプルアップ抵抗である。
図6の(a)〜(b)は本実施例1に用いるヒータ300の片側通電状態を説明するための概略図である。
図6(a)は電源電圧が100Vで、第1の抵抗発熱体のみに電力が供給される片側通電状態を示している。この場合はRL2が何らかの故障によってONできずに、OFF状態となっているため、電流がヒータ300の上流側の発熱パターンH1のみに流れる、第1の故障状態を示している。第1の故障状態では、20Ωの抵抗のみが接続されており、電源電圧は100Vなので、ヒータ300に供給される電流は5Aで、電力は500Wとなる。この時電流検知部205は電流I1=5Aを検出している。電流検知部205が検知している導電経路(本例では抵抗発熱体H1の導電経路)のみに電流が流れる片側通電状態を、第1の故障状態と定義する。図3(c)の第2の動作状態と比較すると、第1の故障状態では、電流検知部205が同じ電流I1=5Aを検出している場合に、第2の接続状態でヒータ300に供給される電力1000Wに対して、第1の故障状態では500Wと低い電力が供給されることが分かる。
図6(b)は電源電圧が100Vで、第2の抵抗発熱体のみに電力が供給される、片側通電状態を示している。この場合はコネクタC1が非接続状態となっているため、電流がヒータ300の下流側の発熱パターンH2のみに流れる、第2の故障状態を示している。第2の故障状態では、20Ωの抵抗のみが接続されており、電源電圧は100Vなので、ヒータ300に供給される電流は5Aで、電力は500Wとなる。この時電流検知部205は電流I1=0Aを検出している。電流検知部205が検知していない導電経路(本例では抵抗発熱体H2の導電経路)のみに電流が流れる片側通電状態を、第2の故障状態と定義する。第2の故障状態では、電流検知部205が同じ電流I1=0Aを検出している場合において、ヒータ300に500Wの電力が供給されることが分かる。
図7は第2の動作状態、第1の故障状態、第2の故障状態におけるヒータ300の裏面の温度分布(ヒータ300の短手方向の温度分布)を示している。それぞれ、温度検知素子111が200℃になるまでヒータ温度制御をおこなった場合の温度分布を示しており、加圧ローラ108を回転させた状態において熱シミュレーションを行った結果である。温度検知素子111はヒータ裏面の短手方向の中央部(図7のグラフ上に点線で示す)に設置されているものとする。
上流側の発熱パターンH1と、下流側の発熱パターンH2が均等に発熱している第2の動作状態では、ヒータ裏面の温度が均一であり、第1の故障状態と、第2の故障状態の発熱分布は、第2の動作状態と比べて発熱分布に、偏りが生じることが分かる。
また、加圧ローラ108の回転方向の上流側のみに電力が供給される、第1の故障状態では、下流側のみに電力が供給される第2の故障状態に比べて、同じ故障状態でも発熱分布の、偏りが少ないことが分かる。これは加圧ローラ108の回転方向(上流側から下流側に向かって)熱が移動するためであり、第1の故障状態と、第2の故障状態を比較すると、第2の故障状態では定着装置の性能がより低下する場合が多い。そのため、第2の故障状態を優先して故障状態を検出する必要がある。
図6の(b)に示した第2の故障状態では、電流検知部205が電流I1=0Aを検出している状態で、ヒータ300に電力が500W供給され、温度検知素子111の温度が上昇するため、片側通電状態の検出を容易にすることができる。このように、下流側の抵抗発熱体H2のみに電力が供給される第2の故障状態の検出を一つの電流検知部で行う場合、電流検知部205が上流側の抵抗発熱体H1に流れる電流I1を検知するほうが好ましい。
図8は図6の(a)に示した第1の故障状態を検知する方法を説明するために用いる、ヒータの初期温度T0(ここでは室温25℃)から、目標温度T2に到達するまでにかかる時間と、電流I1の電流値の関係を示している。電流の二乗に比例する電力がヒータ300に供給されるため、電流値I1が大きい程ヒータが目標温度に到達するまでにかかる時間が短くなることが分かる。
図6の(a)で説明したように、同じ電流値I1を検知した場合、第1の故障状態では、第2の動作状態に比べて、ヒータ300に供給される電力が半減する。つまり第1の故障状態では、電流検知部205が大きな電流値I1を検知しているにも拘らず、ヒータが目標温度に到達するまでにかかる時間が長くなる(温度検知部の温度上昇速度が遅い)ことが分かる。電流I1と、温度検知素子111の検知温度に基づき、下記に示すD1〜D3の判定基準に基づき、第1の故障状態の片側通電状態を検知することができる。
本実施例で用いる故障状態の故障判定基準(閾時間)D1〜D3を図8に二重線で示す。なお、下記に示す5A、4.5A、4.1Aがそれぞれ閾電流である。また5.8秒、8秒、14秒が閾時間である。
D1;I1≧5Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 5.8秒
D2;I1≧4.5Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 8秒
D3;I1≧4.1Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 14秒
図8のグラフにおいて、D1〜D3の判定基準より上側にあれば第1の故障状態、下側にあれば第2の動作状態であると判断できる。
本実施例でI1<4.1Aにおいて、故障判断を行っていない理由は、I1が4.1Aより小さく、更に第1の故障状態となった場合には、ヒータ300に供給される電力が極端に低くなるため、通常のプリント中に温度検知素子111の温度が異常に低下するため、本実施例で説明した故障検知方法を用いなくても、故障状態を検出できるためである。
また下記のような計算式を用いて判定しても良い。図8に判定式を点線で示す。
判定式;温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 1100×exp(−I1)
本実施例ではヒータを室温(T0=25℃)から目標温度(T2)に温度上昇させる、図9に示すプリント前温度制御のシーケンスにおいて、故障状態を検出する方法について説明しているため、T0を一定(室温)として、上述した判定式を用いている。温度T0から温度T2への温度上昇に要する時間は、T2とT0の差分(T2−T0)の値が大きい程長くなるため。T2とT0の差分値ごとに、異なる判定基準及び判定式を用いても良い。また上述した判定基準及び判定式は、定着装置の構成によって異なるため、本提案の故障検知方法は上述した判定基準及び判定式に限定するものではない。なお、本例では、温度検知部の検知温度が温度T0から温度T2に到達する時間を閾時間と比較しているが、所定時間内に上昇する温度で比較してもよい。要するに、温度検知部の温度上昇速度を閾速度(閾時間や閾温度)と比較すればよい。
このように、電流検知部が閾電流よりも大きな電流を検知しているにも拘らず温度検知部の温度上昇速度が閾速度よりも遅い場合、画像形成装置は故障を報知する、または装置の駆動を停止する。
図9は実施例1のCPU203による、定着装置100の故障検知シーケンスを説明するためのフローチャート図である。
S901では、制御回路200の制御が開始されると、S902に進む。S902では、電圧検知部500の出力であるVOLT信号に基づき、電源電圧の範囲を判断し、電源電圧が100V系の場合はS903に進み、200V系の場合はS904に進む。S903では、リレーRL1及びRL2をON状態にし、S905に進む。S904では、リレーRL1及びリレーRL2をOFF状態にし、S905に進む。S905でプリント前温度制御の開始の判断がされるまで、S902〜S904の処理を繰り返し行い、プリント前温度制御が開始されるとS906に進む。
S906では、RL3をON状態にする。
S907では、CPU203は、温度検知素子111が出力するTH信号、電流検知部が出力するIrms1信号に基づき、PI制御を用いてトライアックTR1を制御することでヒータ300に供給する電力制御(位相制御、若しくは波数制御)を行っている。
S908では、10%以上の電力でヒータに電力を供給している状態で、電流検知部205の出力Irms1に基づく電流検知結果が1秒間連続で所定値以下になった場合を判断しており、CPU203は、図6の(b)で説明した第2の故障状態の故障状態を検知し、S912に進む。S912では故障状態を報知して、温度制御を停止し、S913に進み制御を終了する。
S909では、S907でヒータ温調制御を開始してから3.8秒以上が経過したことを判断する。
S910では、温度検知素子111の出力するTH信号が、温度T1以上になった場合を判断しており、
TH≧T1の条件を満たした場合には、CPU203は定着装置に十分な電力が供給されている状態を判断し、S916に進みプリント制御を開始する。第1の故障状態では電力が正常状態(第1及び第2の動作状態)に比べて電力が半減しているため、ヒータ温調制御を開始してから3.8秒で、温度T1以上にならないように設定してある。TH≧T1の条件を満たさない場合には、CPU203は定着装置に十分な電力が供給されていない状態を判断し、S911に進み、プリント前のヒータ温度制御を継続する。
S914では、D1〜D3の判定値に基づき、図6記載の第1の故障状態を検知する。
D1;I1≧5Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 5.8秒
D2;I1≧4.5Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 8秒
D3;I1≧4.1Aで、温度T0から温度T2に到達する時間 ≧ 14秒
S914では、D1〜D3の何れかの条件を満たした場合に、図6の(a)で説明した第1の故障状態を検知し、S912に進む。S912では故障状態を報知して、温度制御を停止し、S913に進み制御を終了する。
S915では、温度検知素子111の出力するTH信号が、温度T2(T2≧T1)以上になった場合を判断しており、TH≧T2の条件を満たした場合には、CPU203はプリント開始に十分な電力がヒータに供給されている状態を判断し、S916に進みプリント制御を開始する。
このように、制御部200及び図9に示した片側通電状態の検知シーケンスを用いることで、抵抗値を切り替え可能な定着装置において、簡易な構成で定着装置の片側通電状態を検知し、定着装置の信頼性を高めることができる。
(実施例2)
実施例1と同様の構成については説明を省略する。図10は本実施例2のヒータ1100の制御回路1000を示している。図10に示すリレーRL1、RL2、RL3は、電源OFF状態における接点の接続状態を示してある。RL1及びRL2はMBM接点(ブレーク・ビフォア・メーク接点)のリレーを用いている。電圧検知部500が200Vを検知した場合、リレー制御部1004はRL1ラッチ部を動作させ、RL1をOFF状態に保持する。RL2はRL1と連動することを特徴としており、RL2はRL1と同時にOFF状態になる。更にRL3をON状態にすることで、定着装置100に給電可能となり、この状態では、第1の抵抗発熱体H1と、第2の抵抗発熱体H2が直列接続されるため、ヒータ1100は抵抗値の高い状態になる。電圧検知部500が100Vを検知した場合、RL1をON状態にする。RL2はRL1と連動することを特徴としており、RL2はRL1と同時にON状態になる。更にRL3をON状態にすることで、定着装置100に給電可能となり、この状態では、第1の抵抗発熱体H1と、第2の抵抗発熱体H2が並列接続されるため、ヒータ1100は抵抗値の低い状態になる。
図11に示すヒータ1100は、第1の抵抗発熱体H1(上流側)と第2の抵抗発熱体H2(下流側)を有している。ヒータ1100の第1の抵抗発熱体には、電極E1、E2を介して電力が供給されており、第2の抵抗発熱体は、電極E3、E4を介して電力が供給されている。電極E1はコネクタC1と、電極E2はコネクタC2と、電極E3はコネクタC3と、電極E4はコネクタC4と接続されている。実施例2では、抵抗発熱体H1のみに電流が供給される上流側の片側通電状態を、図9のS908のシーケンスで検出し、抵抗発熱体H2のみに電流が供給される下流側の片側通電状態を、図9のS914のシーケンスで検出している。実施例1で説明した、S914の片側通電検知方法は、上流側の片側通電故障だけではなく、下流側の片側通電故障の検出にも適用することができる。また、制御回路1000に示した、二つのMBM接点リレーを用いた、抵抗値切り替え可能な定着装置においても、本発明を適用することができる。
100 定着装置
RL1 第1のスイッチ手段
RL2 第2のスイッチ手段
300 ヒータ
H1 第1の抵抗発熱体
H2 第2の抵抗発熱体
E1 第1の電極
E2 第2の電極
E3 第3の電極
E4 第4の電極
205 電流検知部

Claims (2)

  1. 記録材に画像を形成する画像形成部と、
    エンドレスベルトと、基板上に第1の抵抗発熱体と第2の抵抗発熱体を有し前記エンドレスベルトの内面に接触するヒータと、前記エンドレスベルトを介して前記ヒータと共に画像を担持する記録材を挟持搬送する定着ニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ヒータの温度を検知する温度検知部と、を有し、前記第1の抵抗発熱体と前記第2の抵抗発熱体を直列に接続する第1の動作状態と、前記第1の抵抗発熱体と前記第2の抵抗発熱体を並列に接続する第2の動作状態と、に切り替え可能である定着部と、
    を有する画像形成装置において、
    前記第1の抵抗発熱体に電力を供給するための第1の導電経路と、前記第2の抵抗発熱体に電力を供給するための第2の導電経路、のいずれか一方のみに電流を検知する電流検知部を有し、
    前記電流検知部が閾電流よりも大きな電流を検知しているにも拘らず前記温度検知部の温度上昇速度が閾速度よりも遅い場合、故障を報知する、または装置の駆動を停止することを特徴とする画像形成装置。
  2. 商用電源の電圧を検知する電圧検知部を有し、前記電圧検知部の検知電圧に応じて前記第1の動作状態と前記第2の動作状態を自動的に切り替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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