JP2012122086A - 化成処理性に優れた高強度冷延鋼板 - Google Patents

化成処理性に優れた高強度冷延鋼板 Download PDF

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Abstract

【課題】化成処理性に優れた高強度冷延鋼板を提供する。
【解決手段】質量%で、Si:1.5%以上、Mn:2.0%以上を含有する高強度冷延鋼板であって、鋼板表面から深さ0.5μmまでの領域におけるSi量の平均値が3.0%以下(0%を含まない)で、且つ鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量が、前記鋼板のMn量の70%以下(0%を含まない)である高強度冷延鋼板。
【選択図】図1

Description

本発明は、Siを1.5%以上、Mnを2.0%以上含有し、980MPa以上の高強度を有している冷延鋼板に関するものである。
自動車の燃費向上のため車体の軽量化が強く求められており、車体の素材に用いられる冷延鋼板の高強度化は、近年、益々進んでいる。また、冷延鋼板には、強度のほか、部品形状に加工するために加工性が良好であることも要求される。鋼板の強度と加工性の両方を付与するために、SiとMnを多量に添加し、残留オーステナイトの変態誘起塑性(TRIP)を発現させることが有効である。SiとMnは、加工性を劣化させることなく強度を高める作用を有しているからである。
しかし、SiとMnは易酸化性元素であるため、鋼板の強度と加工性を向上させるために多量のSiとMnを含有させると、冷間圧延後の焼鈍工程において、鋼板表面に酸化物が多く生成し、化成処理性が劣化することが知られている。
そこで、多量のSiとMnを含む冷延鋼板の化成処理性を改善する技術が特許文献1、2に提案されている。これらのうち特許文献1には、Siを0.8〜3.0質量%、Mnを1.5〜3.0質量%含有し、且つ、鋼板表面および表面から深さ1μmの範囲の鋼板内部におけるSi濃度の最大値P2が、板厚1/4におけるSi濃度P1の1.3倍以下とした高強度冷延鋼板が開示されている。この冷延鋼板では、化成処理性および化成電着塗装後の耐食性を向上させるために、鋼板表面および表面から深さ1μmの範囲の鋼板内部に、Si含有酸化物を存在させないように制御している。
これに対し、特許文献2には、直火バーナを用いた鋼板表面でのFeの酸化と、その後の還元を利用してSiを鋼板内部に酸化させることによって、Siを0.6%以上含有する高Si冷延鋼板の化成処理性を改善し、且つ590MPa以上の引張強度とTS×Elが18000MPa・%以上の加工性を有する冷延鋼板を製造する方法が開示されている。この製造方法では、加熱炉で生成したFe酸化物を還元するために、均熱炉内の露点を−25℃以下に抑えている。
一方、本出願人も高Si、高Mn含有冷延鋼板の化成処理性を改善する技術を特許文献3に提案している。この文献には、鋼板表面に存在する凹凸の最大深さ(Ry)、凹凸の平均間隔(Sm)、表面凹凸の負荷長さ率(tp40)、および負荷長さ率(tp40)と同(tp60)の差を調整することによって、冷延鋼板の化成処理性を改善した高強度冷延鋼板を開示している。この文献には、このような表面性状の冷延鋼板を得るための方法として、焼鈍後に強酸洗を行なうことを開示している。
特開2009−221586号公報 特開2010−53446号公報 特開2007−291500号公報
上記特許文献1では、鋼板表面および表面から深さ1μmの範囲の鋼板内部におけるSi含有酸化物の存在量について着目されているが、Mn量については全く着目されていなかった。一方、上記特許文献2では、露点が高いとFe酸化物の生成が顕著に促進されて化成処理性を低下させるとの観点から、均熱炉内の露点を通常よりも低いレベル(具体的には、−25℃以下)に抑えているが、露点の厳密な管理が必要である。
これに対し、本出願人が先に提案した上記特許文献3に開示した技術によれば、連続焼鈍後の酸洗を強酸洗下で行うことにより、強度と化成処理性を兼ね備えた冷延鋼板を提供できるようになったが、冷延鋼板の更なる高強度化が求められている。
本発明は上記の様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、化成処理性に優れた高強度冷延鋼板を提供することにある。
上記課題を達成し得た本発明に係る高強度冷延鋼板とは、Si:1.5%(質量%の意味。以下、化学成分について同じ)以上、Mn:2.0%以上を含有する高強度冷延鋼板であり、鋼板表面から深さ0.5μmまでの領域におけるSi量の平均値が3.0%以下(0%を含まない)で、且つ鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量が、前記鋼板のMn量の70%以下(0%を含まない)である点に要旨を有している。
前記鋼板は、基本成分として、C:0.10〜0.20%およびAl:0.5%以下(0%を含まない)を含有していることが好ましい。また、前記鋼板は、更に他の元素として、Cu:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:1.0%以下(0%を含まない)、Cr:1.0%以下(0%を含まない)、Ti:1.0%以下(0%を含まない)、Nb:0.1%以下(0%を含まない)、V:0.1%以下(0%を含まない)、B:0.002%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含有していてもよい。
本発明によれば、Siを1.5%以上、Mnを2.0%以上含有する高強度冷延鋼板において、鋼板表面近傍のSi量以外に、Mn量を適切に制御することによって、980MPa以上の高強度域においても化成処理性を一段と改善できるようになった。
図1は、酸洗前における鋼板表面近傍の深さ方向のMn量プロファイルの一例を示すグラフである。 図2は、鋼板表面から深さ1.0μm位置までの領域におけるSi量プロファイルをGD−OESにより測定した結果を示すグラフである。 図3は、鋼板表面から深さ1.0μm位置までの領域におけるMn量プロファイルをGD−OESにより測定した結果を示すグラフである。
本発明者らは、Siを1.5%以上、Mnを2.0%以上含有し、引張強度が980MPa以上の高強度冷延鋼板について、化成処理性を改善するために鋭意検討を重ねてきた。その結果、鋼板の化成処理性を改善するには、上記特許文献1に開示されているように、鋼板表面近傍におけるSi量を適切に制御するだけでは不充分であり、Si量以外に、Mn量についても適切に制御する必要があることが判明し、本発明を完成した。即ち、本発明は、980MPa以上の高強度冷延鋼板において、化成処理性に適したSiおよびMnの表面状態を突き止めたこと、そのために焼鈍後の酸洗条件のみならず、熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗条件を適切に定めたところに特徴がある。
従来では、鋼板表面に形成されたFe酸化物とSi酸化物を焼鈍後の酸洗工程において溶解除去すれば、鋼板の化成処理性が改善すると考えられていた。そのため、例えば、特許文献3には、連続焼鈍後に行う酸洗条件を強化して、鋼板表面に形成されたFe酸化物とSi酸化物を溶解除去する方法が提案されている。
ところが980MPa以上の高強度域における高Si、高Mn含有冷延鋼板について本発明者らが詳細に検討したところ、酸洗不足の場合には、確かに、上述したように鋼板の化成処理性が劣化するが、過剰酸洗した場合であっても鋼板の化成処理性が劣化することが明らかとなった。化成処理性が劣化した原因について調べたところ、過剰酸洗すると、鋼板表面近傍に存在するMn欠乏層(鋼板表面からの深さ方向のMn濃度プロファイルを測定したときに母材のMn量よりもMnが少なくなっている領域)まで溶解され、鋼板表面近傍におけるMn量が鋼板(母材)のMn量に近づくと、鋼板の化成処理性が却って悪くなることが分かった。
図1に、焼鈍後に酸洗したときにおける鋼板表面からの深さ方向にSi濃度プロファイルとMn濃度プロファイル(いずれも実線)を測定した結果の模式図を示す。横軸は鋼板の深さであり、深さ位置Aとは、焼鈍後に酸洗した後の最表面位置、深さ位置0.5μmとは、深さ位置A(焼鈍後に酸洗した後の最表面位置)からの深さが0.5μmとなる位置を意味している。参考のため、焼鈍後、酸洗前における各元素の濃度プロファイルを点線で示し、焼鈍後に酸洗した後の各元素の濃度プロファイル(実線)と区別して示している。焼鈍後の酸洗によって、深さ位置Aまでの領域(点線部分)が溶解除去されることになる。
SiもMnも共に酸化し易い元素であるが、図1に示すように深さ方向の濃度プロファイルの挙動は相違している。Siは、焼鈍時における鋼板の最表面に濃化して、深さ方向に向って徐々にSi量が減少する傾向にある。これに対し、MnもSiと同様に焼鈍時における鋼板の最表面に濃化するが、Mnの鋼中での拡散の仕方はSiとは異なっており、Mn濃化層とMn欠乏層の領域が鋼板の表面近傍に形成される(図1の点線部分を参照)。
焼鈍後の酸洗により、Mn濃化層が除去され、更にMn欠乏層の一部が除去されると化成処理性は良好になるが、過剰に酸洗して、Mn欠乏層が完全に除去されて鋼板表面のMn量が鋼中Mn量に近づくと、化成処理液の反応性が低下して結晶が粗大化し、逆に化成処理性が低下することが判明した。このような観点から、本発明では、Siの表面状態のみならずMnの表面状態(換言すれば、化成処理性に適したMn欠乏層の状態)を定めた次第である。
以下、本発明に係る高強度冷延鋼板について詳しく説明する。本発明の高強度冷延鋼板(母材)の成分組成は次の通りである。
本発明の鋼板は、Si:1.5%以上、Mn:2.0%以上を含有するものである。SiとMnは、いずれも加工性と強度の向上に寄与する元素である。
Siは、鋼板の材質を大きく硬質化させる置換型固溶体強化元素であり、鋼板の強度を高めるために有効である。また、Siは、加工性向上に有用な残留オーステナイトが分解して炭化物が生成するのを抑えるのに作用する元素である。このような作用を有効に発揮させるために、Siは1.5%以上含有させる必要がある。好ましくは1.8%以上、より好ましくは2.0%以上である。Siの上限は特に限定されないが、Si量が多過ぎると固溶強化作用が顕著になって圧延負荷が増大する。また、表面欠陥が生じやすくなり、更には酸洗性に悪影響を与える。従ってSiは2.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは2.4%以下とするのがよい。
Mnは、鋼板の強度を向上させる作用を有しているほか、オーステナイトを安定化し、残留オーステナイトを生成させて加工性を改善するために必要な元素である。従ってMn量は2.0%以上含有する必要がある。好ましくは2.1%以上、より好ましくは2.2%以上である。Mnの上限は特に限定されないが、Mn量が多過ぎると鋼板の延性を低下させて加工性に悪影響を及ぼす。また、Mnを過剰に含有すると、鋼板の溶接性も低下する。従ってMnは3.0%以下であることが好ましく、より好ましくは2.8%以下である。
本発明に係る高強度冷延鋼板は、SiとMnを含有する他、基本成分として、好ましくはC:0.10〜0.20%およびAl:0.5%以下(0%を含まない)を含有している。
Cは、鋼板の強度を高めるために必要な元素であり、また残留オーステナイトを確保して加工性を改善するためにも必要な元素である。980MPa以上の強度を得るには、Cは0.10%以上含有することが好ましい。より好ましくは0.11%以上、更に好ましくは0.12%以上である。C量は、強度確保の観点から多い方が良いが、C量が過剰になると耐食性やスポット溶接性、加工性が劣化することがある。従ってC量は0.20%以下であることが好ましく、より好ましくは0.19%以下、更に好ましくは0.18%以下である。
Alは、脱酸作用を有する元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、Alは0.005%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.02%以上である。しかし過剰にAlを含有すると、アルミナ等の介在物が増加し、鋼板の加工性が劣化する傾向がある。従ってAl量は0.5%以下であることが好ましい。より好ましくは0.45%以下、更に好ましくは0.4%以下である。
本発明の高強度冷延鋼板は、上記元素を含み、残部は、鉄および不可避不純物である。不可避不純物のうち、Pは0.2%以下(0%を含まない)、Sは0.02%以下(0%を含まない)、Nは0.01%以下(0%を含まない)であることが推奨される。
少量のPは、孔食が発生する際に孔食内部に濃縮してインヒビターとして作用し、耐孔あき腐食性の向上に寄与する。また、Pは、Cuと共存することによって、錆を非晶質化して緻密な保護膜を形成する作用も有している。こうした効果を有効に発揮させるには、Pは0.001%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.003%以上である。しかしPは、過剰に含有すると鋼板の溶接性を劣化させる元素である。また、Pは、粒界に偏析して粒界破壊を助長し、鋼板の加工性を劣化させる元素である。従って、P量は0.2%以下であることが好ましい。より好ましくは0.1%以下、更に好ましくは0.05%以下である。
Sは、不可避的に含有する元素であり、過剰に含有すると腐食環境下で水素吸収を助長し、鋼板の耐遅れ破壊性を劣化させる。従ってS量は0.02%以下であることが好ましい。より好ましくは0.015%以下、更に好ましくは0.01%以下である。なお、Sは、通常、不可避的に0.0005%程度含有している。
Nは、不可避的に含有する元素であり、過剰に含有すると窒化物を形成して加工性を劣化させる元素である。特に、鋼板中にB(ホウ素)を含有させる場合にはBと結合してBN析出物を形成し、Bの焼入れ性向上作用を阻害する元素である。従ってNは0.01%以下とすることが好ましい。より好ましくは0.008%以下、更に好ましくは0.005%以下である。
本発明に係る高強度冷延鋼板は、上記元素のみによって引張強さを980MPa以上に制御できるが、他の周知の強度向上元素を添加して所望の引張強さとすることもできる。本発明に用いられる強度向上元素としては、例えば、Cu、Ni、Cr、Ti、Nb、V、B等の元素が挙げられる。これらの元素は、1種のみを含有させてもよいし、任意に選ばれる2種以上を含有させてもよい。
[(a)Cu:0.5%以下(0%を含まない)、Ni:1.0%以下(0%を含まない)、Cr:1.0%以下(0%を含まない)、およびTi:1.0%以下(0%を含まない)よりなる群から選ばれる少なくとも1種]
Cu、Ni、CrおよびTiは、鋼板の強度を向上させる他、鋼板の耐食性も向上させる元素であり、鋼板が腐食して水素が発生するのを抑制するのに有効に作用する。また、これらの元素は、大気中で生成する錆のなかでも熱力学的に安定で、保護性があるといわれている酸化鉄(α−FeOOH)の生成を促進させる作用も有している。この錆の生成促進を図ることによって、発生した水素が鋼板へ侵入するのを抑制でき、過酷な腐食環境下(例えば、塩化物の存在下)で使用しても水素による助長割れを充分に抑制できる。
こうした作用を有効に発揮させるには、Cuは0.003%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.05%以上である。Niは0.003%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.01%以上、更に好ましくは0.05%以上である。Crは0.003%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.005%以上、更に好ましくは0.01%以上である。Tiは0.003%以上含有することが好ましく、より好ましくは0.005%以上、更に好ましくは0.01%以上である。しかし上記元素を過剰に含有すると、加工性が劣化する。従ってCuは0.5%以下であることが好ましく、より好ましくは0.4%以下、更に好ましくは0.3%以下である。Niは1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下である。Crは1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.8%以下、更に好ましくは0.5%以下である。Tiは1.0%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5%以下、更に好ましくは0.1%以下である。Cu、Ni、CrおよびTiは、いずれか1種を含有させてもよいし、2種以上を含有させてもよい。
[(b)Nb:0.1%以下(0%を含まない)および/またはV:0.1%以下(0%を含まない)]
NbおよびVは、いずれも鋼板の強度向上に有用である他、焼入れ後のオーステナイト粒を微細化して靭性の改善に作用する元素である。こうした作用を有効に発揮させるには、Nbは、0.003%以上含有するのがよく、好ましくは0.005%以上である。Vは、0.003%以上含有するのがよく、好ましくは0.005%以上である。しかし過剰に含有すると、炭化物や窒化物、或いは炭窒化物を多量に生成して加工性や耐遅れ破壊性が劣化する傾向がある。従ってNbは0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下である。Vは0.1%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.08%以下、更に好ましくは0.05%以下である。
[(c)B:0.002%以下(0%を含まない)]
Bは、焼入れ性および溶接性の向上に有用な元素である。こうした効果を有効に発揮させるには、0.0002%以上含有させることが好ましい。より好ましくは0.0003%以上、更に好ましくは0.0004%以上である。しかし過剰に含有させても添加効果は飽和し、しかも延性が低下して加工性が悪くなる傾向がある。従ってBは0.002%以下であることが好ましい。より好ましくは0.0019%以下、更に好ましくは0.0018%以下である。
本発明に係る高強度冷延鋼板は、上述した元素以外に、強度および化成処理性を劣化しない範囲であれば、更に他の元素を含有してもよい。
本発明に係る高強度冷延鋼板は、上記成分組成を満足する他、
(a)鋼板表面から深さ0.5μmまでの領域におけるSi量の平均値(以下、SiAVということがある)が3.0%以下(0%を含まない)で、且つ
(b)鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量(Mn0.5μmということがある)が、鋼板(母材)のMn量の70%以下(0%を含まない)
であることが重要である。このように鋼板表面近傍(具体的には、鋼板表面から深さ0.5μm位置までの領域)のSi量およびMn量を適切に制御することによって、980MPa以上の高強度冷延鋼板の化成処理性が向上する。
[(a)鋼板表面近傍におけるSi量について]
上述したように、鋼板表面にSi酸化物が多量に生成すると化成処理性が低下するが、本発明では、化成処理性に適した鋼板表面近傍におけるSi量をSiAVとして定めている。
上記SiAVが3.0%を超えると、鋼板表面近傍にSiが濃化し過ぎて、化成処理被膜が形成されない微細な領域(スケ)が発生し易くなり、鋼板の化成処理性が低下する。従って上記SiAVは3.0%以下とする必要がある。上記SiAVは、好ましくは2.9%以下、より好ましくは2.8%以下である。上記SiAVは、できるだけ少ない方が好ましいが、本発明のようにSi量が1.5%以上と高Siを含む鋼板の場合、SiAVの下限は通常1.6%程度となる。
上記SiAVは、例えば、グロー放電発光分光分析(GD−OES)により算出できる。SiAVの算出手順を図2を用いて説明する。図2に示したグラフは、後述する実施例における試験片No.124について、鋼板表面から深さ1.0μm位置までの領域におけるSi量プロファイルをGD−OESにより測定した結果を示している。横軸は深さ(μm)、縦軸はSi量(質量%)を示している。得られたグラフについて、鋼板表面から深さ0.5μm位置までの領域に存在するSiの合計量(積分値Sa)を算出し、この積分値Saと面積が等しくなるように、鋼板表面から深さ0.5μm位置までの長さを一辺とする長方形(Sb)を図2中に描いたときのもう一辺の長さ(図2中、B)をSiAV値とする。
[(b)鋼板表面近傍におけるMn量について]
Siと同様、Mnも表面に濃化すると化成処理性が低下する。そのため本発明では鋼板(母材)のMn量に対する、鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量(Mn0.5μm)の割合(以下、Mn率ということがある)を70%以下と定めた。Mn率が70%を超えると、鋼板表面近傍におけるMn量が多くなり、化成処理液に対する反応性が悪くなる結果、鋼板の化成処理性が劣化する。上記Mn率は、好ましくは65%以下、より好ましくは60%以下である。上記Mn率は、できるだけ少ない方が好ましいが、本発明のようにMn量が2.0%以上と高Mnを含む鋼板の場合、下限は通常20%程度となる。
上記Mn0.5μmは、例えば、グロー放電発光分光分析(GD−OES)により測定できる。Mn0.5μmの測定手順を図3を用いて説明する。図3に示したグラフは、後述する実施例における試験片No.124について、鋼板表面から深さ1.0μm位置までの領域におけるMn量プロファイルをGD−OESにより測定した結果を示している。横軸は深さ(μm)、縦軸はMn量(質量%)を示している。得られたグラフについて、鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量(図3中、C)を読み取り、これをMn0.5μm値とする。
一方、鋼板(母材)のMn量は、50mm角の鋼板を塩酸にて溶解させた後、誘導結合プラズマ発光分光分析法で測定すればよい。
以上の測定により、鋼板(母材)のMn量に対するMn0.5μmの割合(Mn率=Mn0.5μm/鋼板(母材)のMn量×100)を求めることができる。
本発明に係る高強度冷延鋼板の厚みは特に限定されるものではないが、0.4〜3.0mm程度であればよい。
本発明に係る高強度冷延鋼板は、自動車用構造部品の素材として好適に用いることができる。自動車用構造部品としては、例えば、フロントやリア部のサイドメンバやクラッシュボックスなどの衝突部品をはじめ、センターピラーレインフォースなどのピラー類、ルーフレールレインフォース、サイドシル、フロアメンバー、キック部などの車体構成部品に使用できる。
次に、本発明に係る高強度冷延鋼板の製造方法について説明する。本発明の高強度冷延鋼板は、鋼片を、熱間圧延、酸洗、冷間圧延、焼鈍(熱処理)、酸洗をこの順で行なうことによって製造でき、特に、熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗条件と、焼鈍後の酸洗条件を適切に制御することが重要である。
即ち、従来においても熱間圧延後、冷間圧延前と、焼鈍後の夫々において酸洗を行っていたが、焼鈍後の酸洗条件については例えば特許文献3に開示されているものの、熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗条件は、殆ど留意されていなかった。ところが本発明者らが検討したところ、特許文献3のように、焼鈍後の酸洗を適切に制御するだけでは不充分であり、その前の熱間圧延で生成したSi−Mn酸化物を酸洗によって適切に除去しないと本発明で対象とする980MPa以上の高強度域における化成処理性は適切に制御できないことが判明した。即ち、熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗条件を適切に制御することが高Si、高Mn含有高強度冷延鋼板の化成処理性を改善するうえで非常に重要であることが判明した。また、熱間圧延後、冷間圧延前と、焼鈍後の夫々において、適切な酸洗を行ってやれば、特許文献2のように焼鈍時の露点を低く制御しなくても通常の露点管理レベルの範囲内に設定しても、化成処理性を改善できることも明らかとなった。以下、順を追って説明する。
まず、転炉や電気炉等の公知の溶製方法で溶製した溶鋼を、連続鋳造や鋳造および分塊圧延を行なってスラブ等の鋼片を製造する。生産性を向上させる観点からは、連続鋳造することが好ましい。
《熱間圧延工程》
次に、得られた鋼片を熱間圧延する。鋳造して得られた鋼片は、直接熱間圧延してもよいし、一旦適当な温度に冷却し、加熱炉で再加熱してから熱間圧延してもよい。
鋼片の温度(加熱温度)は、1000〜1300℃としてから圧延し、仕上温度を800〜950℃、巻取温度を500〜700℃として熱間圧延を行なうことが好ましい。
加熱温度を1000℃以上とすることによって、容易に熱間圧延でき、しかも鋼中のMnの一部を鋼板表面側に濃化させることができるため、鋼板表面近傍におけるMnの存在状態を最適化でき、最終的に得られる冷延鋼板の化成処理性を改善できる。しかし加熱温度が高過ぎると、鋼板表面にスケールが多く生成し、スケールロスが発生することがある。従って加熱温度は1300℃以下とすることが好ましい。
仕上温度は800〜950℃とすることによって、フェライトの生成を抑制することができ、強度を高めることができる。即ち、この温度域は、過冷却オーステナイトが生成する温度域のうち低温側の領域であり、仕上温度をこの温度域に制御することによって、フェライトの生成を抑制でき、冷延鋼板の強度を高めることができる。また、仕上温度が800℃を下回ると、仕上圧延時の変形抵抗が大きくなるため金属組織が不均一となり、冷延鋼板の加工性が劣化する原因となる。一方、仕上温度が950℃を超えると、その後の冷却過程で結晶粒の成長が起こり、均一な金属組織が得られず、冷延鋼板の加工性が劣化する原因となる。
巻取温度は500〜700℃とすることが好ましい。巻取温度が500℃を下回ると、硬質なベイナイトやマルテンサイトが生成し、冷間圧延が困難になることがある。一方、巻取温度が700℃を超えると、金属組織が不均一となり、冷延鋼板の加工性が劣化することがある。
《酸洗工程》
本発明では、熱間圧延後の酸洗条件を適切に制御することが重要である。即ち、従来においても、熱間圧延後に酸洗は行なわれていたが、熱間圧延後の酸洗は、通常、熱間圧延時に鋼板表面に生成したスケール(Fe酸化物)を除去するために行われるものであった。そのため熱間圧延後の酸洗条件は、厳密に規定されておらず、規定されているにしても比較的緩やかなものであった。
一方、本発明のように、SiとMnを多量に含有する鋼片を熱間圧延すると、熱間圧延時に形成されるスケールと素地鋼板の間にSi酸化物およびMn酸化物よりなる内部酸化層が形成される。この内部酸化層は、上記スケール(Fe酸化物)を除去する程度の酸洗では溶解除去できず、素地鋼板に付着したまま冷間圧延され、冷延鋼板の表面に難溶解性酸化物として残留していた。そして本発明者らが検討したところ、鋼板表面に難溶解性酸化物が形成されている鋼板は、その後に、例えば、焼鈍後の酸洗条件を適切に制御したとしても化成処理性が劣化することが分かった。
そこで本発明では、熱間圧延後、冷間圧延前に、上記内部酸化層を溶解除去するための酸洗を行う。具体的には、酸洗液として濃度が5〜30質量%の塩酸または濃度が5〜30質量%の硫酸を用い、酸洗液の液温は50〜100℃、酸洗時間は60〜300秒とする。
上記酸洗条件によって鋼板表面に形成されているSiを主成分とするSi基酸化物、およびMnを主成分とするMn基酸化物を除去できる理由は明らかではないが、次のように推測される。通常、SiO2のようなSi基酸化物や、MnOのようなMn基酸化物は、塩酸や硫酸の酸濃度をいくら高くしても溶解しない。しかし、上記のように、酸濃度のみならず、酸洗液の液温を高く、しかも酸洗時間を長くすることによって、Si基酸化物やMn基酸化物で被覆されている地鉄部分が速やかに溶解され、Si基酸化物およびMn基酸化物を地鉄から浮き上がらせることができる結果、スケール(Fe酸化物)以外に、Si基酸化物およびMn基酸化物を除去できると考えられる。
上記酸洗液としては、塩酸または硫酸を用いる必要がある。汎用されている硝酸や、硝酸を含む混酸の酸洗液は、硝酸イオンを含むため、酸洗性が劣化して上記内部酸化層を充分に除去できないことが、本発明者らの実験によって明らかになったからである。
上記塩酸または硫酸の濃度は、5〜30質量%とする。濃度が5質量%を下回ると、地鉄の溶解速度が遅く、酸洗が不十分となり、Si基酸化物やMn基酸化物を除去できない。酸の濃度は、好ましくは8質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。酸濃度は高い方が良いが、高過ぎると過剰酸洗となり、化成処理性向上に有用なMn欠乏層が除去され、鋼板の化成処理性が劣化する。従って酸濃度は30質量%以下とする必要がある。好ましくは25質量%以下である。
上記酸洗液の温度が50℃を下回ると、地鉄との反応が緩慢になり、Si基酸化物やMn基酸化物を除去できない。従って酸洗液の温度は50℃以上とする。好ましくは60℃以上である。酸洗液の温度の上限は特に限定されないが、100℃を超えると酸洗液が沸騰するため危険であるし、均一な酸洗ができなくなる。従って酸洗液は100℃以下、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下とする。
上記酸洗時間は60〜300秒とする。上記酸洗液に比較的長時間浸漬することによって、Si基酸化物およびMn基酸化物を確実に溶解除去できる。従って酸洗時間は60秒以上、好ましくは70秒以上とする。しかし酸洗時間を長くしても鋼板の反応性が悪くなり、化成処理被膜の結晶粒が粗大化して化成処理性が劣化する。従って酸洗時間は300秒以下、好ましくは200秒以下とする。
上記酸洗液には、過剰酸洗や酸洗不足を防ぐために、インヒビター(鋼板表面に吸着し、過剰酸洗を抑制する物質)や酸洗促進剤を添加しても良い。
《冷間圧延工程》
次に、酸洗して得られた熱延鋼板は、公知の条件で冷間圧延すればよい。
《焼鈍工程》
冷間圧延後は、次の条件で焼鈍することが推奨される。
即ち、冷間圧延して得られた鋼板は、A3点(フェライト−オーステナイト変態温度)〜「A3点+70℃」の温度域で30〜1200秒間保持した後(以下、加熱保持温度をT1、加熱保持時間をt1という)、平均冷却速度5℃/秒以上で「Ms点(マルテンサイト変態開始温度)−200℃」〜Bs点(ベイナイト変態開始温度)の温度域(以下、到達温度をToという)まで冷却し、この温度域(To)で90〜3600秒間加熱保持(以下、加熱保持時間をt2という)することが堆奨される。
上記温度T1が「A3点+70℃」を超えるか、時間t1が1200秒を超えると、オーステナイト粒が成長し、冷延鋼板に通常要求される加工性(例えば、伸びフランジ性)が劣化する傾向がある。また、温度T1を高温にすることや、時間t1を長時間化することは、生産性を低下させる原因となる。上記時間t1は、好ましくは600秒以下、より好ましくは360秒以下である。
上記温度T1がA3点の温度を下回ると、ベイニティックフェライト組織が得られ難いため、高強度と良好な加工性を両立することが難しくなる。
上記時間t1が30秒を下回ると、鋼板組織のオーステナイト化が充分行われず、セメンタイトやその他の合金炭化物が残存してしまい、高強度と加工性を両立することが難しくなる。上記時間t1は、好ましくは60秒以上、より好ましくは90秒以上である。
上記温度T1で時間t1保持した後は、上記温度Toまでを平均冷却速度は5℃/秒以上で冷却することが好ましい。冷却時にパーライト変態領域を避けてパーライトの生成を防止するためである。この平均冷却速度は大きいほどよく、より好ましくは7℃/秒以上、更に好ましくは10℃/秒以上である。
上記平均冷却速度で冷却するときの到達温度域(To)は、「Ms点(マルテンサイト変態開始温度)−200℃」〜Bs点(ベイナイト変態開始温度)とすることが好ましい。上記温度ToがBs点の温度を超えると、パーライトが多量に生成し、ベイニティックフェライト組織を充分に確保できないため、強度が低下することがある。一方、上記温度Toが「Ms点−200℃」を下回ると、残留オーステナイトの生成量が減少するため、加工性が劣化することがある。
上記温度Toでの加熱保持時間(t2)は90〜3600秒間とすることが好ましい。
上記時間t2が3600秒を超えると、ベイニティックフェライトの転位密度が小さくなり、更には残留オーステナイトが得られ難くなり、加工性を改善できないことがある。その上、時間を長くすることは、生産性の観点からも不利になる。上記時間t2は、より好ましくは2400秒以下、更に好ましくは1200秒以下である。
しかし上記時間t2が90秒を下回ると、鋼板組織の変態が充分に行われず、ベイニティックフェライト組織が得られ難いため、強度が低下することがある。上記時間t2は、より好ましくは120秒以上、更に好ましくは150秒以上である。
上記温度Toで上記時間t2保持した後は、常法に従って冷却すればよく、例えば、空冷、水冷、気水冷却等を行なって冷却すればよい。
上記焼鈍では、露点を−20℃以上の通常の条件下で行うことができる。露点が−20℃を下回ると(−20℃よりも更に低温になると)、鋼板表面にSi酸化物およびMn酸化物が生成し易くなり、化成処理性が劣化する。上記露点は、より好ましくは−15℃以上とすればよい。
《酸洗工程》
上記焼鈍を行なった後は、適切な条件で酸洗することが重要である。即ち、本発明では、上述したように、熱間圧延後、冷間圧延前に所定の酸洗を行なって表面状態を適切に制御しているが、それでも更なる焼鈍によって鋼板表面が酸化し、Si基酸化物やMn基酸化物が生成する。従って焼鈍後においても適切な条件で酸洗することが重要となる。
上記酸洗は、焼入れ後に行なえばよいが、焼入れ後、酸洗を行なうことなく焼戻しを行い、その後に酸洗を行ってもよい。また、焼入れ後に酸洗を行い、更に焼戻しした後にも酸洗してもよい。
具体的には、酸洗液として濃度が10〜30質量%(好ましくは10〜20質量%)の塩酸または濃度が10〜30質量%(好ましくは10〜20質量%)の硫酸を用い、酸洗液の液温が50〜100℃(好ましくは60〜90℃)、酸洗時間が5〜60秒(5〜30秒)の範囲内において、鋼板に含まれるSi量およびMn量を考慮して酸洗条件を適宜設定すればよい。この酸洗条件は、熱間圧延後、冷間圧延前に行なった酸洗条件とおおむね重複しているが、酸洗時間は熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗時間(60〜300秒)に比べて著しく短縮している。これは、熱間圧延後、冷間圧延前の酸洗によって鋼板の表面状態が適切に制御されているため、2回目となる焼鈍後の酸洗では、1回目の酸洗ほど過酷なものとする必要があまりないからである。一方、酸洗液として用いられる酸の濃度の下限値は10質量%に引き上げている。
以下、熱間圧延後、冷間圧延前に行なった酸洗条件と異なっている点のみを説明する。
上記酸洗時間は、熱間圧延後、冷間圧延前に行なう酸洗時間よりも短縮し、5〜60秒としている。酸洗時間が長過ぎると、Mn欠乏層まで除去されてしまい、化成処理性が劣化するからである。酸洗時間は、好ましくは30秒以下とする。しかし酸洗時間が短過ぎるとSi基酸化物およびMn基酸化物を除去できない。従って酸洗時間は5秒以上、好ましくは10秒以上とする。
上記塩酸または硫酸の濃度は、10質量%以上とする。濃度が10質量%を下回ると、地鉄の溶解速度が遅く、酸洗が不十分となり、Si基酸化物やMn基酸化物を除去できない。即ち、濃度の下限値を熱間圧延後の酸洗時に用いる酸濃度より高くした理由は、焼鈍時には鋼板表面に特にSi系酸化物がフィルム状に生成するため、このフィルム状のSi系酸化物を確実に除去するためである。酸の濃度は、好ましくは12質量%以上である。
以上、製造方法について説明したが、具体的には、鋼板に含まれるSi量およびMn量に応じて、熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗条件、および焼鈍後における酸洗条件を微調整することが好ましい。Si量とMn量のバランスによって鋼板表面の状態も変化し得、それによって適用される好適な酸洗条件も変化するためである。詳細には、例えば、以下のように制御することが推奨される。
[(a)Siがおおむね1.5%以上2.0%未満、Mnがおおむね2.0%以上2.5%未満の場合]
鋼種Aまたは鋼種Bを用いて行なった下記表2〜表5、表14に示した条件を参考にして熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗条件、および焼鈍後における酸洗条件を微調整すればよい。
即ち、下記表1に示した鋼種Aと鋼種Bは、Si量が1.6%程度、Mnが2.1%程度であり、Si量とMn量が比較的少ない鋼種である。そのため下記表2〜表5から明らかなように、比較的緩やかな酸洗条件(即ち、酸洗液の濃度が低く、酸洗液の液温が低く、酸洗時間が短い場合)であってもSi基酸化物を除去できるため、上記SiAVを3.0%以下に抑えることができる。逆に、こうした鋼種の場合は、酸洗条件を厳しくし過ぎると(即ち、酸洗液の濃度を高く、酸洗液の液温を高く、酸洗時間を長くすると)、過剰酸洗となり、鋼中のMn量に対してMn量が減少したMn欠乏層が除去される。その結果、Mn率が70%を超えてしまい、P比が小さくなり、化成処理性が劣化する。
[(b)Siがおおむね2.0%以上、Mnがおおむね2.5%以上の場合]
鋼種C〜鋼種Eを用いて行なった下記表6〜表11、表14、表15に示した条件を参考にして熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗条件、および焼鈍後における酸洗条件を微調整すればよい。
即ち、下記表1に示した鋼種C〜鋼種Eは、Si量が2.2%前後、Mnが2.7%前後であり、Si量とMn量が比較的多い鋼種である。そのため下記表6〜表11から明らかなように、酸洗条件は比較的厳しく(即ち、酸洗液の濃度を高く、酸洗液の液温を高く、酸洗時間を長く)しなければ、鋼板表面におけるSiとMnの存在状態を最適化できないことが分かる。しかし、こうした鋼種であっても、酸洗条件を厳しくし過ぎると、過剰酸洗となり、鋼中のMn量に対してMn量が減少しているMn欠乏層が除去される。その結果、Mn率が70%を超えてしまい、P比が小さくなり、化成処理性が劣化する。
[(c)Siがおおむね2.0%以上、Mnがおおむね2.0%以上2.5%未満の場合]
鋼種Fを用いて行なった下記表12、表13に示した条件を参考にして熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗条件、および焼鈍後における酸洗条件を微調整すればよい。
ところで、本発明の高強度冷延鋼板は、SiとMn以外にAl等を含有している。Si、Mn以外の元素のうち、鋼中に酸化物を形成する可能性がある元素としては、Al、Ti、Ni、Cr、Cuが挙げられる。これらの元素のうち、Ni、Cr、CuはSiやMnに比べ、酸化物生成自由エネルギーが低く、しかも鋼中に含まれる量は、SiやMnに比べて1/100程度より少ないため、酸洗性に影響を及ぼすとは考えていない。一方、AlやTiの酸化物生成自由エネルギーは、SiやMnの酸化物生成自由エネルギーと同定度であるが、AlとTiは、鋼中に含まれる量が少ないため、酸洗性に悪影響を及ぼさないと考えている。
[(d)Siがおおむね1.5%以上2.0%未満、Mnがおおむね2.5%以上の場合]
Siを比較的少なく、Mnを比較的多く含有する場合は、上記(b)に示したように、Siを比較的多く、且つMnを比較的多く含有する鋼種と同様の条件を採用できると考えられる。従って、低Si、高Mnの場合は、鋼種C〜鋼種Eを用いて行った条件を参考にして熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗条件、および焼鈍後における酸洗条件を微調整すればよい。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
下記表1に示す鋼(残部は、鉄および不可避不純物。鋼種A〜F)を転炉で溶製し、連続鋳造してスラブを製造した。得られたスラブを1000〜1300℃に加熱し、厚さが2.5mmとなるように熱間圧延した。熱間圧延における仕上温度は800〜950℃、巻取温度は500〜700℃とした。
熱間圧延後、酸洗してから、厚さが1.2mmとなるように冷間圧延した。冷間圧延前の酸洗には濃度10質量%の塩酸(液温は80℃)を用いた。酸洗時間を下記表2〜表15に示す。
冷間圧延後、連続焼鈍ラインにて850℃で約80秒間保持して焼鈍を行い、水焼入れした後、焼き戻しを行なった。
焼鈍および焼き戻し時の雰囲気は、水素−窒素の混合ガス(水素濃度は3体積%)雰囲気とし、焼鈍時の露点を下記表2〜表15に示す。
焼き戻しは、次の条件で行なった。
鋼種A:200℃で約140秒間保持
鋼種B:300℃で約140秒間保持
鋼種C:300℃で約200秒間保持
鋼種D:200℃で約150秒間保持
鋼種E:300℃で約180秒間保持
鋼種F:200℃で約200秒間保持
次に、得られた鋼板の引張強さを測定した。その結果、いずれの鋼板も980〜1470MPaの範囲であった。
次に、得られた鋼板から50mm×50mmのサンプルを切り出し、濃度10〜20質量%の塩酸(60〜90℃)を用いて酸洗し、試験片を作成した。各試験片について、酸洗に用いた塩酸の濃度、塩酸の温度、および酸洗時間を下記表2〜表15に示す。
次に、上記試験片について、表面から深さ0.5μmまでの領域におけるSi量の平均値(SiAV)、および表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量(Mn0.5μm)を次の手順で測定し、測定結果を下記表2〜表15に示す。また、鋼板(母材)のMn量に対する鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量(Mn0.5μm)の割合(Mn率)を算出し、下記表2〜表15に併せて示す。
《Si量およびMn量の測定》
鋼板表面から深さ方向のSi量およびMn量は、GD−OES(リガク社製GDA750)を用いて分析、定量した。即ち、上記試験片の表面を、Arグロー放電領域内で高周波スパッタリングし、スパッタされるSi元素およびMn元素のArプラズマ内における発光線を連続的に分光することによって鋼板の深さ方向におけるSi量プロファイルおよびMn量プロファイルを測定した。スパッタの具体的な条件は次の通りである。測定領域は、表面から深さ約1.0μm位置までとした。
《スパッタ条件》
パルススパッタ周波数 :50Hz
アノード径(分析面積):直径6mm
放電電力 :30W
Arガス圧 :2.5hPa
次に、上記試験片に化成処理を施し、試験片の化成処理性を評価した。
《化成処理》
化成処理液としては、日本パーカライジング社製の化成処理液「パルボンドL3020」を用い、化成処理は、次の手順で行った。
脱脂(日本パーカライジング社製の脱脂液「ファインクリーナー」を用い、45℃で120秒)→水洗(30秒)→表面調整(日本パーカライジング社製の表面調整液「プレパレンZ」に15秒浸漬)→化成処理(上記化成処理液に43℃で120秒浸漬)
試験片の化成処理性は、試験片表面を走査型電子顕微鏡で1500倍で観察し、無作為に選択した10視野についてリン酸塩結晶の付着状況を調べ、スケおよび粒径を評価すると共に、X線回折によりP比を評価し、これらの結果を総合して評価した。
《スケ》
スケとは、リン酸塩結晶が付着していない領域を意味し、下記の基準で評価した。
《スケの評価基準》
評価○:観察視野内の全面に、均一にリン酸塩結晶が生成(スケ無し)
評価△:10視野中、5面積%以下のスケが認められた視野数が3以下
評価×:上記評価○、評価△以外
《粒径》
上記10視野について、リン酸塩結晶の粒径(円相当直径)を測定した。観察視野内に認められるリン酸塩結晶のうち、大きなものから順に10個選択し、その平均粒径に基づいて下記基準で評価した。
《粒径の評価基準》
評価○:平均粒径が4μm以下
評価△:平均粒径が4μm超、10μm未満
評価×:平均粒径が10μm以上
《P比》
上記試験片表面において、X線回折によりフォスフォフィライト(P:Phosphophylite)とホパイト(H:Hopeite)に相当するピークを測定し、その比[P/(P+H)比。以下、P比という。]を算出した。P比の評価基準は次の通りである。なお、観察視野数は、上記10視野のうち無作為に選択した5視野とし、平均値を算出した。
《P比の評価基準》
評価○:P比が0.96以上
評価△:P比が0.85以上、0.96未満
評価×:P比が0.85未満
《化成処理性》
鋼板の化成処理性は、上記スケ、粒径、およびP比の評価結果を総合し、次の基準で4段階評価した。総合評価が◎(最良)または○(良好)を本発明例とする。
《化成処理性の評価基準》
評価◎(最良):スケ、粒径、およびP比の全てにおいて評価○
評価○(良好):スケ、粒径、およびP比について、評価○と評価△が混在する
評価△(不良):スケ、粒径、およびP比の全てにおいて評価△であるか、評価×を一つでも含んでいる
評価×(最悪):スケ、粒径、およびP比の全てにおいて評価×
下記表6のNo.124について、鋼板表面から深さ1.0μmまでの領域のSi量のプロファイルをGD−OESにより測定した結果を図2に示す。また、下記表6のNo.124について、鋼板表面から深さ1.0μmまでの領域のMn量のプロファイルをGD−OESにより測定した結果を図3に示す。
下記表2〜表15から次のように考察できる。
《鋼種Aについて》
表2、表3に基づいて考察する。No.1は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。No.2、6に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Aの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.12、13、16、17、25、29、32、33、37、40、41、44、45、46〜49に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Aの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表2、表3に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
《鋼種Bについて》
表4、表5に基づいて考察する。No.50は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。
No.51、52、55、56、59に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Bの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.62、65、66、74、78、81、82、86、89、90、93〜98に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Bの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、Mn率が70%を超えて鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表4、表5に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
《鋼種Cについて》
表6、表7に基づいて考察する。No.99は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。
No.100〜102、104、105、108、116、120、132に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Cの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.114、115、129〜131、134、135、138、139、141、143、145〜147に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Cの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、Mn率が70%を超えて鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表6、表7に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
《鋼種Dについて》
表8、表9に基づいて考察する。No.148は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。
No.149〜158、161、165、166、169、170、177、181、182、185、186、189、193に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Dの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.163、164、179、180、188、192、195、196に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Dの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、Mn率が70%を超えて鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表8、表9に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
《鋼種Eについて》
表10、表11に基づいて考察する。No.197は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。
No.198〜200、202、203、206、214、218、230に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Eの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.212、213、227〜229、232、233、236、237、239〜241、243〜245に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Eの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、Mn率が70%を超えて鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表10、表11に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
《鋼種Fについて》
表12、表13に基づいて考察する。No.246は、焼鈍後の酸洗を行なっていない例であり、SiAVが3.0%超えており、Mn率が70%を超えているため、化成処理性が劣化している。
No.247〜256、256、263、264、267、268、275、279、280、283、284、287、291に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Fの成分組成においては酸洗不足となる条件であった。そのため、SiAVの値が3.0%を超えており、化成処理性が劣化している。
No.261、262、277、278、286、290、293、294に示した焼鈍後の酸洗条件は、鋼種Fの成分組成においては、酸洗液の濃度が高過ぎるか、酸洗液の温度が高過ぎるか、酸洗時間が長過ぎるため、過剰酸洗となる条件であった。従って酸洗によってMn欠乏層が除去されているため、Mn0.5μmが鋼板(母材)のMn量に近づいている。その結果、Mn率が70%を超えて鋼板の反応性が乏しくなり、化成処理性が劣化している。
表12、表13に示した結果のうち、上記以外はいずれも本発明で規定する要件を満足している例であり、化成処理性が良好である。
次に、下記表14および下記表15に基づいて考察する。No.295〜306は表1に示した鋼種B、No.307〜318は表1に示した鋼種C、No.319〜330は表1に示した鋼種Dを夫々用い、熱間圧延後、冷間圧延前における酸洗時間を10〜300秒の範囲で変化させたときの結果を示している。なお、鋼種Bを用いたときの焼鈍時の露点は−10℃、鋼種C、鋼種Dを用いたときの焼鈍時の露点は−12℃に設定している。
下記表14および下記表15から明らかなように、酸洗時間が短い場合には、酸洗不足となり、SiAV値が3.0%を超えることが分かる。従って、鋼板の化成処理性を改善できていない。
Figure 2012122086
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Claims (3)

  1. 質量%で、
    Si:1.5%以上、
    Mn:2.0%以上を含有する高強度冷延鋼板であって、
    鋼板表面から深さ0.5μmまでの領域におけるSi量の平均値が3.0%以下(0%を含まない)で、且つ
    鋼板表面からの深さが0.5μm位置におけるMn量が、前記鋼板のMn量の70%以下(0%を含まない)であることを特徴とする化成処理性に優れた高強度冷延鋼板。
  2. 前記鋼板が、更に他の元素として、
    C :0.10〜0.20%および
    Al:0.5%以下(0%を含まない)を含有する請求項1に記載の高強度冷延鋼板。
  3. 前記鋼板が、更に他の元素として、
    Cu:0.5%以下(0%を含まない)、
    Ni:1.0%以下(0%を含まない)、
    Cr:1.0%以下(0%を含まない)、
    Ti:1.0%以下(0%を含まない)、
    Nb:0.1%以下(0%を含まない)、
    V :0.1%以下(0%を含まない)、
    B :0.002%以下(0%を含まない)よりなる群から選択される少なくとも1種の元素を含むものである請求項1または2に記載の高強度冷延鋼板。
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