JP2012122031A - インク組成物、及び記録物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】少なくとも、式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物、それを用いたインクジェット記録方法及び該記録方法によって記録された記録物。
【選択図】なし
Description
(適用例1)
下記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、下記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物。
破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
Eが直鎖C2−C4アルキレンであり、
Xが、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
Rが水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
基Fがフェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基;であり、
aが1又は2の整数である、適用例1に記載のインク組成物。
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が、それぞれ独立に2位及び3位で縮環したピリジン環であり、
Eが、エチレンであり、
Xが、置換基としてスルホ基を0又は1つ有しても良いスルホアニリノ基;若しくは、置換基としてスルホ基を2つ有する、スルホナフチルアミノ基であり、
Rが水素原子、スルホ基、又はカルボキシ基であり、
基Fがフェニル基、又は、Rが水素原子であるピリジル基であり、
aが1の整数であり、
bが平均値で0.00以上3.90未満であり、
cが平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である適用例1又は2に記載のインク組成物。
前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩が、スルホ基を2つ以上有する、適用例1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩が、1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、及びナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、適用例1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩をインク組成物全量に対して
0.1〜10質量%含んでなる、適用例1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。
更に、下記式(2)で表される化合物を含んでなる、適用例1〜6のいずれか一項に記載のインク組成物。
Mは、水素原子、金属元素、金属酸化物、金属水酸化物、または金属ハロゲン化物を表し、
Z1〜Z4は、それぞれ独立に、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、特にアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、各々はさらに置換基を有してもよい。)
更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、適用例1〜7のいずれか一項に記載のインク組成物。
更に、浸透促進剤を含んでなる、適用例1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として適用例1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
適用例1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は適用例10に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
すなわち、テトラベンゾポルフィラジン(通常、フタロシアニンと呼ばれているもの)の4つのベンゾ(ベンゼン)環0個を超えて3個以下を含窒素複素芳香環に置き換えたものである。なお、本明細書においては、便宜上、「本発明のポルフィラジン系化合物又はその塩」の両者を含めて、以下「本発明のポルフィラジン系化合物」と簡略して記載する。
含窒素複素芳香環の個数は複素環の種類にもよるので一概には言えないが、通常平均値で、0.00を超えて3.00以下、好ましくは0.20以上2.00以下、より好ましくは0.50以上1.75以下,更に好ましくは0.75以上1.50以下の範囲である。
残りの環A乃至Dはベンゼン環であり、環A乃至Pにおけるベンゼン環は、同様に、通常平均値で、1.00以上4.00未満、好ましくは2.00以上3.80以下、より好ましくは2.25以上3.50以下、更に好ましくは2.50以上3.25以下である。なお、本発明のポルフィラジン系化合物は、環A乃至Dの含窒素複素芳香環の個数を平均値で表していることから明らかなように,複数の化合物の混合物である。
このような場合には、便宜上、含窒素複素芳香韓側の小数点以下3桁目は切り捨て、ベンゼン環側のみ四捨五入することにより、前者を1.37、後者を2.63として記載する。また、式(1)におけるb及び,Cについても、後述する通り、原則として小数点以下3桁目を四捨五入して2桁目までを記載するが、同様の場合においては、b側の小数点以下3桁目を切り捨て、C側のみ四捨五入して記載する。
具体例としてはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、へキシレン、へプチレン、オクチレン、ノニレン、デシレン、ウンデシレン、ドデシレン等の直鎖のもの;2−メチルエチレン等の分岐鎖のもの;シクロプロピレンジイル、1,2−又は1,3−シクロペンチレンジイル、1,2−、1,3−又は1,4−等の各シクロヘキシレンジイル等の環状のもの;等が挙げられる。好ましくはエチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレン、又はヘキシレンであり、より好ましくはエチレン、プロピレン、又はブチレンであり、さらに好ましくはエチレン又はプロピレンであり、特に好ましくはエチレンである。
具体例としては、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノといったスルホアニリノ基;2−カルボキシアニリノ、3−カルボキシアニリノ、4−カルボキシアニリノといったカルボキシアニリノ基;2−ホスホノアニリノ、3−ホスホノアニリノ、4−ホスホノアニリノといったホスホノアニリノ基;3−スルホ1−ナフチルアミノ、6−スルホ−1−ナフチルアミノ、8−スルホ−1−ナフチルアミノ、1−スルホ−2−ナフチルアミノ、3−スルホ−2−ナフチルアミノ、4−スルホ−2−ナフチルアミノ、5−スルホ−2−ナフチルアミノ、6−スルホ−2−ナフチルアミノ、7−スルホ−2−ナフチルアミノ、8−スルホ−2−ナフチルアミノ等の、スルホナフチルアミノ基;等が挙げられる。
なお「ホスホノ」はリン酸基[−P(0)(OH)2]を章味する。
前記Xとしては、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基,ホスホノアニリノ基、又はスルホナフチルアミノ基が好ましく、スルホアニリノ基が特に好ましい。
炭素数の範囲としては通常C1−C6、好ましくはC1−C4、より好ましくはC1−C3のものが挙げられる。
具体例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、n−ブトキシ、n−ペントキシ、n−へキシロキシといった直鎖のもの;イソプロポキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、イソペンチロキシ、イソへキシロキシ等の分岐鎖のもの;シクロプロポキシ、シクロペントキシ、シクロへキシロキシ等の環状のもの;等が挙げられる。このうちではメトキシ又はエトキシが好ましく、メトキシが特に好ましい。
これらのうち、2−スルホアニリノ、3−スルホアニリノ、4−スルホアニリノ、2,4−ジスルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、3,6−ジスルホ−1−ナフチルアミノ、5,7−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、6,8−ジスルホ−2−ナフチルアミノ、3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノが好ましく、4−スルホアニリノ、2,5−ジスルホアニリノ、又は3,6,8−トリスルホ−1−ナフチルアミノがより好ましく、2,5−ジスルホアニリノがさらに好ましい。
該6員含窒素複素芳香環における、「a」でその数を表されるアルキレンとの結合位置は特に制限されないが、窒素原子に隣接する炭素原子で結合するのが好ましい。すなわち、基Fがピリジルのとき、窒素原子の置換位置を1位として、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジルが挙げられ、窒素原子に隣接する炭素原子で結合するもの、すなわち2−ピリジルが好ましい。
基Fがフェニル基のとき、「(CH2)a」との結合位置を1位として、Rの置換位置は2位、3位、又は4位が挙げられ、4位が好ましい。
また、基Fが6員含窒素複素芳香環基、好ましくはピリジルのとき、「(CH2)a」及びRの結合位置は、ピリジン環の窒素原子を1位として、前者が2位、後者が3位、4位、5位、又は6位の組み合わせが挙げられ、前者が2位、後者が4位の組み合わせが好ましい。
好ましくはA乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.20以上2.00以下、ベンゼン環が2.00以上3.80以下のとき、bが0.00以上3.40以下であり、cが0.40以上2.00以下、b及びcの和は、2.00以上3.80以下である。
より好ましくは、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.50以上1.75以下、ベンゼン環が2.25以上3.50以下のとき、bが0.35以上3.05以下であり、cが0.45以上1.90以下、b及びcの和は、2.25以上3.50以下である。
更に好ましくは、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が0.75以上1.50以下、ベンゼン環が2.50以上3.25以下のとき、bが0.70以上2.75以下であり、cが0.50以上1.80以下、b及びcの和は、2.50以上3.25以下であるcbが大きくなるにつれて、耐オゾン性は向上する傾向にあるが、ブロンズが生じやすくなる傾向にあり、耐オゾン性とブロンズ性を考慮しながら、b、cの数を適宜調節し、バランスの良い比率を選択すれば良い。
なお、b及びcでそれぞれの置換数を表される非置換スルファモイル基及び置換スルファモイル基はいずれも、環A乃至Dがベンゼン環である場合に、該ベンゼン環上に置換する基であり、環A乃至Dが6員環の含窒素複素芳香環である場合には置換しない。
なお、本明細書においては、b、c及び、b及びcの和は、いずれも小数点以下3桁日を四捨五入して、2桁目までを記載する。
無機金属としてはアルカリ金属やアルカリ土類金属が挙げられる。アルカリ金属の例としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、例えばカルシウム、マグネシウム等が挙げられる。
有機塩基としては、特に有機アミンが挙げられ、例えばメチルアミン、エチルアミン等のC1−C3アルキルアミン類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミン類が挙げられる。
上記のもののカウンターカチオンを利用した塩のうち、好ましいものとしては、ナトリウム、カリウム、リチウム等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノイソプロパノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン等のモノ−、ジ−又はトリ−C1−C4アルカノールアミンとの塩、及びアンモニウム塩が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、本発明のポルフィラジン系化合物の塩は、その塩の種類により溶解性等の物理的な性質、あるいはインクとして用いた場合のインクの性能、特に堅牢性に関する性能等が変化する場合もある。このため目的とするインクの性能等に応じて、塩の種類を選択することも好ましく行われる。
(イ)環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環としては、それぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環が好ましい。
(ロ)Eとしては、直鎖C2−C4アルキレンが好ましい。
(ハ)Xとしては、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;が好ましい。
(ニ)Rとしては、水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;がこのましい。
(ホ)基Fとしては、フェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基が好ましい。
(ヘ)aとしては、1又は2が好ましい。
下記の例は、本発明のポルフィラジン系化合物を具体的に説明するために代表例を示すものであり、本発明は下記の例に限定されるものではない。
また、環A乃至Dの含窒素複素芳香環がピリジン環のとき、後記するように窒素原子の位置異性体等が存在し、ポルフィラジン系化合物合成の際には異性体の混合物として得られる。これら異性体は単難が困難であり、また分析による異性体の特定も困難である。このため通常混合物のまま使用する。本発明のポルフィラジン系化合物は、このような混合物をも含むものである。本明細書においては、これらの異性体等を区別することなく、構造式で表示する場合は、便宜的に代表的な一つの構造式を記載する。なお、表中のb及びcの数については、煩雑さを避けるため、小数点以下2桁目を四捨五入して1桁日までを記載した。なお、表1中、「2,3−ピリド」は2位及び3位でポルフィラジン環に縮環したピリジン環を、「ベンゾ」はポルフィラジン環に縮環したベンゼン環を、「2−ピリジル」は、ピリジン環の窒素原子を1位として、「(CH2)a」との結合位置が2位であることを、それぞれ意味する。また、Rにおける「4−クロロ」等については、基Fがフェニル基のときは「(CH2)a」との結合位置を1位とした場合;基Fがピリジルのときはピリジン環の窒素原子を1位とした場合;におけるRの置換位置をそれぞれ表す。
公知のシアン系色素と配合して使用する場合、配合する色素としてはC.I.ナンバーが付与されているトリフェニルメタン系色素やフタロシアニン系色素などを用いることができるが、フタロシアニン系色素が好ましい。
前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物は、下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物と、下記式(4)で表される有機アミンとを、アンモニア存在下で反応させることたより繰ることができる。
下記式(3)で表されるポルフィラジン化合物は、いずれも公知の方法又はそれに準じて、下記式(5)で表される化合物を合成した後、これをクロロスルホニル化することにより得ることができる。
なお、得られる式(5)で表される化合物は、環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環の置換位置、及び含窒素複素芳香環中の窒素原子の置換位置に関する位置異性体の混合物となることも、前記公知文献に記載の通りである。
式(3)で表されるポルフィラジン化合物の別の合成方法としては、予めスルホ基を有するスルホフタル酸とキノリン酸等の含窒素複素芳香環ジカルボン酸誘導体とを縮合閉環させることにより、スルホ基を有するポルフィラジン化合物を合成し、その後、該スルホ基を、塩化チオニル等の適当な塩素化剤でクロロスルホニル基へと変換する方法が挙げられる。この場合、合成原料であるスルホフタル酸のスルホ基の置換位置が3位のものと4位のものとを選択することにより、式(3)で表されるポルフィラジン化合物上に導入されるスルホ基の置換位置を制御することができる。即ち、3−スルホフタル酸を用いれば下記式(4)における「α」位に、又、4−スルホフタル酸を用いれば同様に「β」位に、それぞれ選択的にスルホ基を導入することができる。なお本明細書においては特に断りの無い限り、「ポルフィラジン環のα位」又は「ポルフィラジン環のβ位」との用語は、下記式(6)における相当する位置を意味する。
例えば、Xに対応する置換アニリン又は置換ナフチルアミン類0.9〜1.2モルと、2,4,6−トリクロロ−S−トリアジン(シアヌルクロライド)1モルを、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物により、反応液をおおよそpHl〜5に調整し、0〜40℃、2〜12時間の条件下に反応させて、1次縮合物を得る。次いで、「H2N−(CH2)a−F−R」なるアミン0.9〜1.5モルを加え、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属の水酸化物により、反応液をおおよそpH5〜10に調整し、5〜80℃、0.5〜12時間反応させることにより2次縮合物を得る。得られた2次縮合物1モルと、Eに対応するアルキレンジアミン類(「H2N−E−NH2」なるアミン)1〜50モルとを、おおよそpH9〜12、5〜90℃、0.5〜8時間反応させることにより、前記式(4)で表される有機アミンが得られる。各線合反応のpH調整には、通常水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;炭酸ナトリウムや炭酸カリウム等のアルカリ金属の炭酸塩;等が用いられる。なお、縮合の順序はシアヌルクロライドと縮合する各種化合物の反応性に応じて適宜決めるのが良く、前記の順序に限定されない。
通常は前記理論値の1〜3モル、好ましくは1〜2モル程度である。
しかしながら質量分析において無置換スルファモイル基とスルホ基とを識別することは困難であり、本発明においては式(4)で表される有機アミンと反応させたもの以外の式(3)におけるクロロスルホニル基については、全て無置換スルファモイル基へと変換されたものとして記載する。
前記Lで表される2価の連結基としては−SO2−、−SO2−NH−SO2−等があり、3量体の場合にはこれら2つのLが組み合わされた副生成物が形成される場合も有る。
(イ)X1〜X4に関しては、それぞれ独立に、−SO2−Zが好ましい。
(ロ)Zに関しては、それぞれ独立に、置換アルキル基、置換アリール基、置換ヘテロ環基が好ましく、置換アルキル基が最も好ましい。
(ハ)Y1〜Y8に関しては、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、およびスルホン基が好ましく、水素原子が最も好ましい。
(ニ)a1〜a4は、それぞれ独立に、1または2であることが好ましく、特にa1=a2=a3=a4=1であることが好ましい。
(ホ)Mは、Cu、Ni、Zn、またはAlであることが好ましく、中でもCuであることが最も好ましい。
(ヘ)フタロシアニン化合物の分子量は、750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
また、製造例で得た本発明にかかるポルフィラジン系化合物について最大吸収波長(λmax)を測定したものは、いずれもpH7〜9の水溶液中での測定値を記載した。この際のpHの調整は、水酸化ナトリウム水溶液を用いた。
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環で表される化合物の合成。
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環であり、nが2.80である化合物の合成。
下記式(10)で表される有機アミンの合成。
氷120部にエチレンジアミン60.1部を加えた水溶液に上記のようにして得た2次縮合物を含む反応液を徐々に加え、室温で1時間攪拌した。この溶液に氷150部、濃塩酸200部を加え、pH1.0に調整した。このとき液量は700部であった。この反応液に塩化ナトリウム140部を加え、一晩攪拌し固体を析出させた。析出固体を濾過分離しウェットケーキ70.0部を得た。得られたウェットケーキを水280部に加え、10%水酸化ナトリウム水溶液でpH9.0として溶解させた。このとき液量は360部であった。この溶液を濃塩酸でpHl.0に調整し、塩化ナトリウム70部を加え、1晩撹拌し固体を析出させた。析出固体を濾過分離しウェットケーキ60.3部を得た。得られたウェットケーキをメタノール255部、水45部の混合溶媒中に加え、50℃で1時間撹拌した後、析出固体を濾過分離しウェットケーキ50.3部を得た。得られたウェットケーキを乾燥させ、目的とする式(10)で表される有機アミン15.3部の白色粉末を得た。
下記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[下記式(11)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である色材A]の合成。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55.0部を加え10分撹拝した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ27.1部を得た。得られたウェットケーキを水191部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は270部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム54部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpH4.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ21.4部を得た。得られたウェットケーキにイソプロピルアルコール160部及び水40部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ15.7部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸11.2部を青色粉末として得た。
λmax:605nm。
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環で表される化合物の合成。
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環であり、nが2.63である化合物の合成。
上記式(10)で表される有機アミンの合成。
上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[上記式(11)における環A乃至Dのうち1.37が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.63がベンゼン環である色材B]の合成。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55.0部を加え10分撹拝した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ31.2部を得た。得られたウェットケーキを水240部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は280部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム55部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpHl.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ25.1部を得た。得られたウェットケーキを水40部及びイソプロピルアルコール160部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ30.0部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸10.4部を青色粉末として得た。
λmax:604nm。
(工程1)
上記式(5)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環で表される化合物の合成。
上記式(3)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環であり、nが2.80である化合物の合成。
上記式(10)で表される有機アミンの合成。
上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物[上記式(11)における環A乃至Dのうち1.20が2位及び3位で縮環したピリジン環、残り2.80がベンゼン環である色材C]の合成。
この時の液量は300部であった。反応液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム60部を加え30分撹拝した後、濃塩酸にてpH5.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ24.2部を得た。得られたウェットケーキを水200部に加え、25%水酸化ナトリウム水溶硬でpH9.0に調整することにより溶液とした。このときの液量は250部であった。この溶液を50℃に昇温し、塩化ナトリウム50部を加え30分攪拌した後、濃塩酸にてpH4.0に調整し、析出固体を濾過分離し、20%塩化ナトリウム水溶液100部で洗浄し、ウェットケーキ22.3部を得た。得られたウェットケーキにイソプロピルアルコール160部及び水40部の混合液に加えて50℃で1時間攪拌した後、析出固体を濾過分離し、ウェットケーキ14.4部を得た。得られたウェットケーキを乾燥し、上記式(11)で表される本発明のポルフィラジン系化合物の遊離酸10.8部を青色粉末として得た。
λmax:602nm。
実施例1〜8及び比較例1〜3のインク組成物を表6に示す配合割合で各成分を混合して溶解させ、孔径1μmのメンブランフィルターにて加圧濾過を行なって、各インク組成物を調製した。
上記のカートリッジを用い、OD(Optical Density)が、1.0になるようにDutyを調整して写真用紙クリスピア(商品名、セイコーエプソン株式会社製、型番:KA450SCKR)に印刷を行って得られた印刷物を、オゾンウエザーメーターOMS−H型(商品名、(株)スガ試験機製)を用い、24℃、相対湿度60%RH、オゾン濃度5ppmの条件下にて、印刷物を所定時間(40,60,80時間)曝露した。ここで、「duty」とは、下記式で算出される値である。
duty(%)=実記録ドット数/(縦解像度×横解像度)×100
(式中、「実記録ドット数」は単位面積当たりの実記録ドット数であり、「縦解像度」及び「横解像度」はそれぞれ単位面積当たりの解像度である。)
曝露後、それぞれの印刷物のODを、反射濃度計Spectrolino(商品名、GRETAG MACBETH社製)を用いて測定し、次式により光学濃度残存率(ROD)を求め、下記判定基準により、評価した。
D:曝露試験後のOD
D0:曝露試験前のOD
(但し、測定条件は、Filter:Red,光源:D50,視野角:2度)
[判定基準]
評価A:RODが90%以上
評価B:RODが80%以上90%未満
評価C:RODが70%以上80%未満
評価D:RODが70%未満
Claims (11)
- 下記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩と、下記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩の少なくとも1種と、を含んでなることを特徴とするインク組成物。
破線で表される環A乃至Dは、それぞれ独立にポルフィラジン環に縮環したベンゼン環又は6員環の含窒素複素芳香環を表し、含窒素複素芳香環の個数は平均値で0.00を超えて3.00以下であり、残りはベンゼン環であり、
EはC2−C12アルキレンを表し、
Xは、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基、スルファモイル基、カルバモイル基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、モノC6−C10アリールアミノ基、ジC6−C10アリールアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ウレイド基、C1−C6アルキル基、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基、及びC1−C6アルキルチオ基よりなる群から選択される1種類又は2種類以上の置換基を有しても良い、スルホアニリノ基、カルボキシアニリノ基、ホスホノアニリノ基、スルホナフチルアミノ基、カルボキシナフチルアミノ基又はホスホノナフチルアミノ基であり、
Rは水素原子;スルホ基;カルボキシ基;リン酸基;スルファモイル基;カルバモイル基;ヒドロキシ基;C1−C6アルコキシ基;アミノ基;モノC1−C6アルキルアミノ基;ジC1−C6アルキルアミノ基;モノアリールアミノ基;ジアリールアミノ基;C1−C3アルキルカルボニルアミノ基;ウレイド基;C1−C6アルキル基;ニトロ基;シアノ基;ハロゲン原子;C1−C6アルキルスルホニル基;又はアルキルチオ基;を表し、
基Fはフェニル基;又は、6員含窒素複素芳香環基;を表し、
aは1以上6以下の整数を表し、
bは平均値で0.00以上3.90未満であり、
cは平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である。)
- 前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環がそれぞれ独立に、2位及び3位で、又は3位及び4位で縮環したピリジン環;若しくは、2位及び3位で縮環したピラジン環であり、
Eが直鎖C2−C4アルキレンであり、
Xが、置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、C1−C6アルコキシ基、アミノ基、モノC1−C4アルキルアミノ基、ジC1−C4アルキルアミノ基、C1−C3アルキルカルボニルアミノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、C1−C6アルキルスルホニル基及びアルキルチオ基より成る群から選択される1種類又は2種類の置換基を、0乃至2つ有しても良い、スルホアニリノ基;置換基として、スルホ基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、及びスルファモイル基よりなる群から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いカルボキシアニリノ基;ホスホノアニリノ基;若しくは、置換基として、スルホ基及びヒドロキシ基から選択される1種類又は2種類の置換基を0乃至2つ有しても良いスルホナフチルアミノ基;であり、
Rが水素原子;スルホ基;カルボキシ基;C1−C6アルコキシ基;C1−C6アルキル基;又はハロゲン原子;であり、
基Fがフェニル基;又は、Rが水素原子であるピリジル基;であり、
aが1又は2の整数である、請求項1に記載のインク組成物。 - 前記式(1)で表されるポルフィラジン系化合物又はその塩において、
環A乃至Dにおける含窒素複素芳香環が、それぞれ独立に2位及び3位で縮環したピリジン環であり、
Eが、エチレンであり、
Xが、置換基としてスルホ基を0又は1つ有しても良いスルホアニリノ基;若しくは、置換基としてスルホ基を2つ有する、スルホナフチルアミノ基であり、
Rが水素原子、スルホ基、又はカルボキシ基であり、
基Fがフェニル基、又は、Rが水素原子であるピリジル基であり、
aが1の整数であり、
bが平均値で0.00以上3.90未満であり、
cが平均値で0.10以上4.00未満であり、
且つb及びcの和は、平均値で1.00以上4.00未満である請求項1又は2に記載のインク組成物。 - 前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩が、スルホ基を2つ以上有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩が、1,3−ベンゼンジスルホン酸、ナフタレン−1,5−ジスルホン酸、ナフタレン−1,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,6−ジスルホン酸、ナフタレン−2,7−ジスルホン酸、及びナフタレン−1,3,6−トリスルホン酸、並びにそれらの塩からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のインク組成物。
- 前記式(12)若しくは(13)で表されるスルホ基を有する芳香族化合物又はその塩をインク組成物全量に対して
0.1〜10質量%含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載のインク組成物。 - 更に、ノニオン系界面活性剤を含んでなる、請求項1〜7のいずれか一項に記載のイン
ク組成物。 - 更に、浸透促進剤を含んでなる、請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
- インク組成物の液滴を吐出し、該液滴を記録媒体に付着させて記録を行うインクジェット記録方法であって、インク組成物として請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を使用することを特徴とするインクジェット記録方法。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載のインク組成物を用いて記録された、又は請求項10に記載の記録方法により記録されたことを特徴とする記録物。
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