JP2012119078A - 蓄電デバイス用電極合剤の製造方法 - Google Patents

蓄電デバイス用電極合剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】適切な粘度を有し、塗工性、分散性が良好な電極合剤であって、塗工性、分散性が良好であり、電極活物質と集電体との密着性が高く、蓄電デバイス用電極として用いたときに優れた充放電特性が得られる電極合剤を提供する。
【解決手段】下記工程(1)〜(4)を有することを特徴とする蓄電デバイス用電極合剤の製造方法。
工程(1):電極活物質と導電材とを固体状態で混練し、電極活物質の平均粒径(rc)と導電材の平均粒径(ra)の比率がrc/ra=0.1〜5.0である混練物Aを得る工程。
工程(2):前記混練物Aと水溶性ポリマーの水溶液とを混練して混練物Bを得る工程。
工程(3):前記混練物Bに、一定以上のせん断速度で混練して混練物Cを得る工程。
工程(4):前記混練物Cに、結着剤の水分散液を添加し、混練して電極合剤を得る工程。
【選択図】なし

Description

本発明は蓄電デバイス用電極合剤の製造方法に関する。
近年、無停電電源、移動体通信機器、携帯機器などに代表される電子機器や、ガソリンおよび電気の両方のエネルギーで駆動可能なハイブリッド自動車や、電気自動車の開発、普及に伴い、その電源として用いられる、二次電池等の蓄電デバイスの高性能化への要求が非常に高まっている。具体的には、高出力、高容量、および優れたサイクル特性を有する高性能な電池が要求されている。
これらの蓄電デバイスは、主に電極、非水電解液および通常セパレーター等の部材から構成される。このうち蓄電デバイス用電極は、例えば電池活物質と導電材を、結着剤となるポリマーとともに有機溶媒または水に分散させた蓄電デバイス用電極合剤を、集電体表面である金属箔上に塗布し、乾燥させることにより形成される。結着剤が充分量の電池活物質を電極に固定できないと初期容量の大きな電池が得られず、また充放電を繰り返すことなどにより、電極から電池活物質が脱落するなどして、電位の容量は低下する。
蓄電デバイス用電極合剤は、主に、ポリマーを有機溶剤に溶解させた有機溶媒系結着剤と、ポリマーを水に溶解または分散させた水系の結着剤とに分けられる。特に最近は、有機溶媒の使用による電極製造コストの低減や、環境負荷、作業環境を改善できることから、水系の結着剤を用いた、水系蓄電デバイス用電極合剤が注目されている。
しかし、電池活物質や導電材は通常疎水性が高いため、水系媒体に均一に分散させるのが困難である。分散が不十分な電極合剤を用いると、集電体への塗工性が悪化し電極が不均一になったり、電極表面に凝集塊が残存し電池にした場合に短絡が生じたりする恐れがある。
これらの問題を解決するために、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素樹脂の水分散体を結着剤として使用する場合に、結着剤添加前の混合工程で強いせん断力で混合し、固形分の一次粒子化を促進した後、結着剤の添加後の混合工程で弱いせん断力で混合し、フッ素樹脂の凝集を発生させないよう電極合剤を製造する方法が提案されている(特許文献1参照。)。
また、水分散系の結着剤としてアクリレート系ポリマーを用いた系では、結着剤添加前の混合工程で一定の周速度で分散させた後、結着剤添加後の混合過程でそれより低い周速度で混合する方法が提案されている(特許文献2参照。)。
しかしながら、特許文献1、特許文献2に提案されている方法においても、電極活物質の一次粒子化は促進されるが、アセチレンブラックなどの導電性カーボンブラックを適切に分散させることは難しい。特にフッ素系重合体の水分散体を結着剤として用いた場合は、導電性カーボンブラックの分散性が適切でないと、結着剤を添加した際に著しく増粘する場合があり、電極合剤の粘度を最適にすることが困難となる場合があった。
電極合剤の粘度が適切でないと、塗工性が悪くて塗膜の厚さが不均一になる、電極活物質の分散性が悪くなり電極における電極活物質と集電体との密着性が低くなる、電極活物質と集電体との密着性が悪いと電池の充放電特性が低くなる、などの不都合を生じる。
特開平11−213990号公報 特開2005−85557号公報
本発明は、水分散型結着剤を用いた蓄電デバイス用電極合剤であって、適切な粘度が容易に得られ、塗工性、分散性が良好で、電池特性に優れる蓄電デバイス用電極合剤の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者等は前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、電極活物質と導電材とを固体状態で、導電材凝集体の平均粒子径rcと電極活物質raの平均粒子径を特定の範囲になるよう混練した後、水溶性ポリマー水溶液を添加して混練し、さらに特定の遠心力を与えて混練し、次いで結着剤の水分散液を添加し混練することで電極活物質、導電材が高度に分散した蓄電デバイス用電極合剤が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明の蓄電デバイス用電極合剤の製造方法は下記(1)〜(4)の工程を有することを特徴とする。
工程(1):電極活物質と導電材とを固体状態で混練し、電極活物質の平均粒径(rc)と導電材の平均粒径(ra)の比率がrc/ra=0.1〜5.0である混練物Aを得る工程。
工程(2):前記混練物Aと水溶性ポリマーの水溶液とを混練して混練物Bを得る工程。
工程(3):前記混練物Bに、5000〜25000s−1のせん断速度で混練して混練物Cを得る工程。
工程(4):前記混練物Cに、結着剤の水分散液を添加し、混練して電極合剤を得る工程。
また、前記結着剤の含有量は、電極活物質、導電材、水溶性ポリマーの合計量の100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましい。
また、前記結着剤が、含フッ素共重合体からなる結着剤であることが好ましい。
また、前記蓄電デバイス用電極合剤は、工程(1)、工程(2)および工程(4)の少なくとも1工程において、自転方向および公転方向の双方に回転するミキサーを用いて、混練物に遠心力をかけて混練することが好ましい。
また、前記蓄電デバイス用電極合剤は、工程(1)、工程(2)および工程(4)の少なくとも1工程において、混練時に100〜1000Gの遠心力をかけて混練することが好ましい。
また、前記蓄電デバイス用電極合剤は、工程(3)において、薄膜旋回型高速攪拌機を用いて混練することが好ましい。
また、工程(3)により得られる混練物Cの粘度が、工程(2)により得られる混練物Bの粘度よりも小さいことが好ましい。
本発明の製造方法によって得られる蓄電デバイス用電極合剤は、適切な粘度を有し、塗工性、分散性が良好な電極合剤であり、またこの電極合剤を用いて作成した蓄電デバイス用電極は、該塗膜中における電極活物質の分散性が良好で電極活物質と集電体との密着性が高く、蓄電デバイス用電極として用いたときに優れた充放電特性が得られる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられる電極活物質は特に限定されず、公知のものを適宜使用できる。
正極活物質としてはMnO、V、V13等の金属酸化物;TiS、MoS、FeS等の金属硫化物;LiCoO、LiNiO、LiMn等の、Co、Ni、Mn、Fe、Ti等の遷移金属を含むリチウム複合金属酸化物等;これらの化合物中の遷移金属の一部を他の金属で置換した化合物等が例示される。また、これらの表面の一部または全面に、炭素材料や無機化合物を被覆させたものも用いられる。
負極活物質としては例えばコークス、グラファイト等の高分子の炭化物;気相生成カーボンファイバー、炭素繊維等の炭素質材料;が挙げられる。また、リチウムと合金化可能なSi、Sn、Sb、Al、ZnおよびWなどの金属も挙げられる。電極活物質は、機械的改質法により表面に導電材を付着させたものも使用できる。
リチウムイオン二次電池用の電極合剤の場合、高い容量を得やすく、高温で安定であり、リチウムイオンを挿入放出する際に伴う体積変化が小さく、電極厚み変化率を小さくしやすいという点から、正極活物質としてはリチウム化合物、すなわちリチウム含有複合金属酸化物が好ましい。また、負極活物質としては人造黒鉛、天然黒鉛、表面を炭素質で改質した天然黒鉛などのグラファイト構造を有する炭素材料が好ましい。
電極活物質の粒子形状は電極活物質層中の空隙率を小さくできるため、球形に整粒されたものが好ましい。また、粒子径については体積平均粒子径が0.8〜2μmである細かな粒子と体積平均粒子径が3〜8μmである比較的大きな粒子の混合物、または0.5〜20μmのブロードな粒径分布を持つ粒子が好ましい。粒子径が50μm以上の粒子が含まれる場合は、篩い掛けなどによりこれを除去して用いるのが好ましい。電極活物質層の密度を上げ、高容量の電極を作ることができるため、電極活物質のタップ密度は、正極で2g/cm以上、負極で0.8g/cm以上が好ましい。タップ密度はJIS Z2512:2006に準じて測定することができる。
本発明の電極合剤中の電極活物質の量は、電極合剤100質量部に対して30〜90質量%であることが好ましく、40〜80質量%であることがより好ましい。電極活物質量がこの範囲であると、集電体への塗工に適した電極合剤が得られる。
本発明で用いられる導電材は特に限定されず、公知のものを適宜使用できる。
導電材としては、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンブラック、グラファイト、気相成長カーボン繊維、およびカーボンナノチューブ等の導電性カーボンを使用することができる。導電材は、20〜70nm程度の一次粒子が数個から数十個で不規則で複雑な鎖状に融着結合して凝集体(アグリゲート)を形成し、更にこれらのアグリゲートが相互に絡み合ったり、付着して再凝集した集合体(アグロメレート)から構成されていることが好ましい。
導電材の添加量は、電極活物質100質量部に対し、1〜30質量部、好ましくは3〜15質量部とするすることが好ましい。
本発明で用いられる水溶性ポリマーとしては、水に溶解するポリマーであればよく、フッ素原子を有さない水溶性ポリマーが好ましい。具体的には、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース系ポリマー;ポリ(メタ)アクリル酸およびこれらのアンモニウム塩ならびにアルカリ金属塩;ポリビニルアルコール、アクリル酸またはアクリル酸塩とビニルアルコールの共重合体、無水マレイン酸またはマレイン酸もしくはフマル酸とビニルアルコールの共重合体などのポリビニルアルコール類;ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシドなどのポリエーテル類;ポリビニルピロリドン、変性ポリアクリル酸、酸化スターチ、リン酸スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。
これらの中でも、セルロース系ポリマーおよびその塩、ならびにポリ(メタ)アクリル酸が好ましく、カルボキシメチルセルロースがより好ましい。
水溶性ポリマーは単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
一般に、カルボキシメチルセルロースはナトリウム塩のものを指すが、アンモニウム塩やカルシウム塩、さらに、グリコール酸のような特殊なものも挙げられる。本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースとしてはいずれのものでもよいが、中でもアンモニウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、グルコール酸のものが好ましい。
本発明で用いるカルボキシメチルセルロースのエーテル化度は0.8〜1.0であり、0.85〜0.95が好ましい。
本発明でカルボキシメチルセルロースを用いる場合には、該カルボキシメチルセルロースは、1質量%水溶液とした際の粘度が下限は1000mPa・s以上であり、1500mPa・s以上であることがより好ましい。上限は5000mPa・sであり、4000mPa・sであることが好ましく、3000mPa・sであることが特に好ましい。
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度が上記の範囲であり、かつ1質量%水溶液とした際の粘度が上記の範囲であると、良好な塗工性および良好な分散性を得るのに適切な粘度が得られる。これにより電極において電極活物質と集電体の結着性が良好となり、良好な電池サイクル特性が得られる。
本発明で用いられる結着剤は、水に溶解せず、水に分散する性質のあるものが好ましい。例えば、フッ素系重合体、ジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン等の高分子化合物が挙げられ、より好ましくはフッ素系重合体、ジエン系重合体、およびアクリレート系重合体が挙げられ、さらに好ましくはフッ素系重合体である。
これらの結着剤は単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。また、これらの重合体は、架橋構造を有したものであってもよく、また、変性により官能基を導入したものであってもよい。
ジエン系重合体は、ブタジエン、イソプレンなどの共役ジエン由来の単量体単位を含む重合体およびその水素添加物である。具体的には、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン単独重合体;カルボキシ変性されていてもよいスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)などの芳香族ビニル・共役ジエン共重合体;アクリロニトリル・ブタジエン共重合体(NBR)などのシアン化ビニル・共役ジエン共重合体;水素化SBR、水素化NBRなどが挙げられる。
アクリレート系重合体は、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステル由来の単量体単位を含む重合体である。アクリレート系重合体の具体例としては、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・アクリロニトリル・エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・メタクリル酸・メタクリロニトリル・ジエチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸2−エチルヘキシル・スチレン・メタクリル酸・エチレングリコールジメタクリレート共重合体、アクリル酸ブチル・アクリロニトリル・ジエチレングリコールジメタクリレート共重合体、およびアクリル酸ブチル・アクリル酸・トリメチロールプロパントリメタクリレート共重合体などの架橋型アクリレート系重合体;エチレン・アクリル酸メチル共重合体、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体、エチレン・アクリル酸エチル共重合体、およびエチレン・メタクリル酸エチル共重合体などのエチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;上記エチレンと(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体にラジカル重合性単量体をグラフトさせたグラフト重合体;などが挙げられる。なお、上記グラフト重合体に用いられるラジカル重合性単量体としては、例えば、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリル酸などが挙げられる。その他に、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体などのエチレンと(メタ)アクリル酸との共重合体等が使用できる。
フッ素系重合体はフッ素原子を含む単量体単位を含有する重合体であれば特に限定されないが、フッ素系重合体中のフッ素を含有する単量体単位の割合は通常50質量%以上であることが好ましい。フッ素系重合体の具体例としては、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン共重合体、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレン−クロロフルオロエチレン共重合体、クロロフルオロエチレン−アルキルビニルエーテル共重合体等のフッ素樹脂系、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素ゴム系が挙げられ、特に集電体との高い密着性が得られることから、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体、フッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体などのフッ素ゴム系がより好ましく、テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体が特に好ましい。
テトラフルオロエチレン−プロピレン共重合体におけるテトラフルオロエチレンに基づく繰り返し単位/プロピレンに基づく繰り返し単位のモル比は30〜85/15〜70の範囲内が好ましく、より好ましくは40〜80/20〜60であり、さらに好ましくは50〜70/30〜50であり。特に好ましくは50〜60/40〜50である。この範囲内であると、高温において電解液の溶媒に対する膨潤が小さく、集電体と電極とを一体化させる場合に電極合剤と集電体との密着性がよい。
本発明で用いられる結着剤の水分散液は、重合体が水系分散媒に分散した状態の液である。この結着剤の水分散液は、重合体を製造し精製した後の固体を分散媒に再度分散させたものであってもよいが、重合体の微粒子が分散または乳化した状態の液であることが好ましく、該微粒子が乳化したラテックスの状態の液が特に好ましい。
本発明における結着剤の水分散液は公知の重合方法により製造することができるが、乳化重合法により製造すると重合体をラテックス状の水分散体として得ることができ、該水分散体をそのまま使用できるので好ましい。
水分散液における結着剤の濃度は5〜60質量%が好ましく、より好ましくは10〜50質量%、さらに好ましくは15〜35質量%である。重合体の濃度が低いと電極合剤の粘度が低くなり、集電体への塗工性が悪化しやすく、重合体の濃度が高いと、電極合剤の分散安定性が低下する。
本発明における工程(1)においては、電極活物質と導電材とを固体状態で混練し、電極活物質の平均粒径(rc)と導電材の平均粒径(ra)の比率がrc/ra=0.1〜5.0である混練物Aを得る。
導電材は適度にブドウの房状に分散した凝集体を有することで、活物質間、および活物質と集電体金属との導電ネットワークを構築する働きがある。rc/raが0.1より小さくなると、導電材の凝集体が小さくなり過ぎ、また5.0を超えると必要な導電材の分散性が得られないため、上記導電ネットワークが構築できなくなるため、電池の出力特性が低下する。
工程(1)において電極活物質の平均粒径(rc)と導電材の平均粒径(ra)の比率をrc/ra=0.1〜5.0とするには、前記の導電助剤を使用し、混練時のせん断速度や混練時間を調整することが好ましく、後述する混練装置、混練条件等により、所望の比率に調製することができる。
本発明における工程(2)においては、工程(1)で得られた前記混練物Aと水溶性ポリマーの水溶液とを混練して混練物Bを得る。
水溶性ポリマーは電極合剤の増粘剤として作用するとともに、水に対して親和性の低い電極活物質や導電材の分散性を高める効果がある。
工程(2)において用いる水溶性ポリマーの水溶液の濃度は、0.5〜2.0質量%が好ましく、0.5〜1.5質量%がより好ましい。
工程(2)における各成分の混合割合は、混練物B全質量において、電極活物質が20〜70質量%、導電材が1〜20質量%、水溶性ポリマーの水溶液が20〜70質量%であることが好ましい。水溶性ポリマーの含有量としては、0.1〜1質量%が好ましい。
上記の範囲を外れると、電極活物質、導電材の分散性が損なわれる場合がある。
工程(3)においては、前記混練物Bを、5000〜25000s−1のせん断速度で混練し、混練物Cを得る。工程(1)および工程(2)において、電極活物質、導電材を適度に分散させ、水溶性ポリマーにより表面の親和性を向上させた後に、さらに高いせん断力を加えることで、導電材の分散粒径がさらに均一化、電池特性を向上させることができる。せん断速度が5000s−1より低いと、分散安定性を向上させる効果が低い。また25000s−1を超えると粒子間でのせん断発熱による発熱が大きく、水溶性ポリマーなどが熱劣化を起こす場合があり、好ましくない。
上記工程(3)においては、高いせん断力を加えるため、薄膜旋回型高速攪拌機を用いて混練することが好ましい。薄膜旋回型高速攪拌機とは、側面に貫通して設けた孔を有する円筒型攪拌翼と、円筒型攪拌槽を有し、該円筒型攪拌翼と攪拌槽内壁との隙間が2〜5mmである攪拌機であり、混合液が攪拌翼の孔を通して、攪拌機内壁から外壁に出る時に内壁と外壁の薄層間で強いせん断力が与えられることにより攪拌される。薄膜旋回型高速攪拌機は、市販の装置(例えば、プライミクス株式会社のT.K.フィルミックス(商品名))を使用することができる。
上記の遠心力を得るためには、使用する混合機のサイズにもよるが、攪拌数5000〜25000rpm、および/または攪拌翼周速度10〜50m/秒となる条件下で攪拌することが好ましい。
上記、工程(3)で得られる混練物Cの粘度は、工程(2)で得られる混練物Bの粘度よりも低いことが好ましい。混練物Cの粘度が混練物Bの粘度より大きいと、工程(4)で結着剤の水分散液を添加したのちに、粘度が著しく増大する場合があり好ましくない。
工程(4)では、前記混練物Cに結着剤の水分散液を添加し、混練して電極合剤を得る。
上記、工程(1)、工程(2)、および工程(4)の少なくとも1工程において用いる混合機としては、プラネタリーミキサー、ニーダーなどのブレード型攪拌機、単軸または二軸の押出機、ボールミル、ビーズミル、ロールミル、ヘンシェルミキサー、自転・公転式ミキサーなどが使用できる。これらの中でも、ビーズミル、自転方向および公転方向の双方に回転するミキサー(以下、自転・公転式ミキサーと記す。)などの遠心力をベースとする攪拌と摩滅、圧潰を伴う混練を行う混合機がより好ましく、特に好ましくは自転・公転式ミキサーである。
自転・公転式ミキサーとしては、材料の入った容器を自転させながらある半径をもって公転させることができる装置であればよく、市販の装置(例えば、株式会社シンキー社のあわとり練太郎(商品名))を使用することができる。なお、自転・公転式ミキサーにおいては、自転させながら公転させることにより大きな遠心力を発生させることができるため、電極合剤の中に発生または存在する気泡を押し出すと同時に攪拌を行うことができる。
また、自転と公転を別々に制御することができることが好ましい。
また、工程(1)、工程(2)においては、材料にかかる遠心力としては、100〜1000G、より好ましくは200〜700G、特に好ましくは300〜500Gの遠心力にて混練することが好ましい。遠心力がこの範囲であれば、導電材を適度に分散させることができ、粒子間でのせん断発熱による発熱によって水溶性ポリマーなどの熱劣化を起こすことがない。
これらの遠心力を得るためには、使用する混合機の形態にもよるが、公転速度1000〜3000rpm 、自転速度500〜1500rpmの条件下で攪拌を行うことが好ましい。また、攪拌効果が向上させるため、混合する容器内にジルコニア製ボールやガラスビーズなどを混入させてもよい。
工程(4)においては、混練の際に混練物Cにかかる遠心力は、100〜1000Gが好ましく、より好ましくは200〜700G、特に好ましくは300〜500Gである。遠心力がこの範囲であれば、結着剤の水分散液を凝集させることなく、電極合剤内に分散させることができ、得られる電極の密着性が向上する。これらの遠心力を得るためには、使用する混合機の形態にもよるが、公転速度1000〜3000rpm、自転速度500〜1500rpmの条件下で攪拌を行うことが好ましい。
工程(1)、工程(2)および工程(4)における混練時の遠心力は、同等であってもよいし、適宜変更することもできる。
工程(4)において使用する結着剤の水分散液の濃度は、5〜60質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましく、15〜35質量%が特に好ましい。また使用する結着剤の水分散液の量は、前記混練物Cの100質量部に対して、結着剤の含有量が1〜10質量部、好ましくは1〜5質量部となるように添加することが好ましく、具体的には前記混練物Cの100質量部に対して、結着剤の水分散液の量は0.1〜20質量部が好ましく、0.5〜15質量部がより好ましく、1〜10質量部がさらに好ましい。
混練物Cと含フッ素共重合体の水分散液の割合がこの範囲であれば、結着剤の水分散液の分散安定性や、電極合剤の安定性を維持しつつ、混練することができる。
本発明の製造方法で得られる電極合剤は、媒体として必要に応じて水以外に水に均一に混合可能な水性媒体を使用してもよい。水以外の水性媒体としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノールなどのアルコール類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸−n−ブチル等のエステル類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル等のグリコール誘導体、さらには、1−メトキシ−2−プロパノール、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジアセトンアルコール、グリセリン等が挙げられる。これらの有機溶剤は2種以上を混合して使用してもよい。
これらの水性媒体は、工程(2)〜(4)の少なくとも1つの工程で添加してもよいし、水溶性ポリマー溶液や結着剤の水分散液に含有されるかたちで混練物に添加してもよい。
水以外の水性媒体を添加することにより、分散性が良好となる等の効果が期待できる。また、結着剤の水分散液に水以外の水性媒体が含有されることにより、結着剤の媒体への分散安定性が良好となる。
電極合剤から電極製造時の乾燥工程で揮発する水、水性媒体等の媒体を除いた部分,すなわち電極を構成する材料の構成は、該材料の合計質量において、電極活物質の含有量は70〜99質量%が好ましく、80〜96質量%がより好ましい。導電助剤の含有量は1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましい。水溶性ポリマーの含有量は0.01〜10質量%が好ましく、0.1〜3質量%がより好ましい。結着剤の含有量は0.1〜10質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
蓄電デバイス用電極は、本発明の蓄電デバイス用電極合剤および集電体を用いて製造されるものである。具体的には、本発明の蓄電デバイス用電極合剤を集電体の少なくとも片面、好ましくは両面に塗布し、乾燥し、必要に応じてプレスにより所望の厚みに成形することにより得ることができる。
本発明における集電体としては、導電性材料からなるものであれば特に限定されないが、一般的には、アルミニウム、ニッケル、ステンレススチール、銅等の金属箔、金属網状物、金属多孔体等が挙げられる。正極集電体としては、アルミニウムが好適に、負極集電体としては銅が好適に用いられる。
本発明の電極合剤を集電体に塗布する方法としては、種々の塗布方法が挙げられ、例えば、例えば、ドクターブレード法、ディップ法、リバースロール法、ダイレクトロール法、グラビア法、エクストルージョン法、およびハケ塗り法などの方法が挙げられる。塗布温度は、特に制限ないが、通常は常温付近の温度が好ましい。乾燥は、種々の乾燥法を用いて行うことができ、例えば、温風、熱風、低湿風による乾燥、真空乾燥、(遠)赤外線や電子線などの照射による乾燥法が挙げられる。乾燥温度は、特に制限ないが、加熱式真空乾燥機などでは通常室温から200℃が好ましい。プレス方法としては金型プレスやロールプレスなどを用いて行うことができる。
以下に本発明の実施例を説明する。但し、以下に示す実施例は、本発明の例示であって本発明は、これらに限定されるものではない。
以下の実施例および比較例における測定および評価は以下の方法で行った。
[平均粒子径]
走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて、混練物のSEM像より、500個以上の粒子の粒子径を測定し、下記式により、平均粒子径を求めた。
平均粒子径=ΣniDi/ΣniDi (I)
ここで、niは粒子径Diの粒子の個数を表す。
[せん断速度]
せん断速度は、せん断速度(1/s)=周速(m/s)/せん断部クリアランス(m)で表わされる式で算出した。ここで周速は、周速(m/s)=2π×回転半径(m)×回転数(1/s)で、回転数は1秒あたりの回転数である。せん断部クリアランスは、せん断がかかる部分の回転体と容器との隙間の距離をいう。
[遠心力]
遠心力は、
遠心力(G)={(2π×回転数(1/s))×回転半径(m)}/重力加速度
で表わされる式で算出した。
[粘度]
粘度はBM型回転粘度計を用いて、No.3ローター、回転数30rpm、25℃の条件で測定を行った。
[電極の作製]
60℃に加熱したプレート上で、集電体であるアルミ箔(厚さ20μm)上に、ドクターブレードにて、電極合剤を約20cm×約20cmの面積で乾燥後の厚さが50μmとなるように塗布し、30分乾燥した後に、さらに120℃の真空乾燥機に入れて乾燥させて電極を作製した。
[電極合剤の分散性の評価]
上記で得た電極の約半分(10cm×20cm)の部分について等間隔で2cm×2cmの正方形状に切り出して50個のサンプルを作製した。
各サンプルの表面を光学顕微鏡で観察し、直径20μm以上の表面ブツの数を測定した。50個のサンプルにおける表面ブツの平均個数を求めて下記の基準により4段階(A〜D、Aが最も良い。)で評価し、電極合剤の分散性の指標とした。
A:50個のサンプルにおける表面ブツの平均個数が0.5個未満である。
B:50個のサンプルにおける表面ブツの平均個数が0.5個以上1個未満である。
C:50個のサンプルにおける表面ブツの平均個数が1個以上3個未満である。
D:50個のサンプルにおける表面ブツの平均個数が3個以上である。
[電極活物質を含む塗膜の密着性の評価]
上記で得た電極の残りの約半分(10cm×20cm)の部分から幅2cm×長さ10cmの短冊状のサンプル5個を切り出し、電極合剤の塗膜面が上面となるように平面上に固定した。電極合剤の塗膜面にセロハンテープ(ニチバン社製、セロテープ(登録商標))を貼り付け、該テープを50mm/minの速度で180℃方向に剥離したときの強度(単位:N)をオリエンテック社製、定速伸張型引張試験機「テンシロン」RTC−1210Aを使用して測定した。5個のサンプルの平均値を剥離強度とした。この値が大きいほど塗膜の結着性が良好であり、電極活物質と集電体との密着性に優れていることを示す。
[電池評価(容量維持率)]
本発明の電極を用いた二次電池のサイクル特性の評価は、以下に示す方法により行った。
各例で製造したLiCoO正極、これと同面積のリチウム金属箔、およびポリエチレン製のセパレーターを、リチウム金属箔、セパレーター、LiCoO正極の順に2016型コインセル内に積層して電池要素を作製し、1M−LiPF6のエチルメチルカーボネート−エチレンカーボネート(体積比1:1)の非水電解液を添加し、これを密封することによりコイン型非水電解液二次電池を製造した。
25℃において、0.2Cに相当する定電流で4.3V(電圧はリチウムに対する電圧を表す)まで充電し、さらに充電上限電圧において電流値が0.02Cになるまで充電を行い、しかる後に0.2Cに相当する定電流で3Vまで放電するサイクルを行った。1サイクル目放電時の放電容量に対する、20サイクル目の放電容量の容量維持率(単位:%)を求め、電池の充放電測定の指標とした。容量維持率の値が高いほど優れる。
なお、1Cとは電池の基準容量を1時間で放電する電流値を表し、0.5Cとはその1/2の電流値を表す。
[製造例1:含フッ素共重合体を含むラテックスの製造]
撹拌用アンカー翼を備えた内容積3200mLのステンレス鋼製の耐圧反応器の内部を脱気した後、該反応器に、1700gのイオン交換水、13.3gのラウリル硫酸ナトリウム、4.4gの過硫酸アンモニウムを加えた。ついで、75℃で、四フッ化エチレン(以下、TFEと記す。)/プロピレン(以下、Pと記す。)=88/12(モル比)の単量体混合ガスを、反応器の内圧が2.50MPaGになるように圧入した。アンカー翼を300rpmで回転させ、重合反応を開始させた。
重合の進行に伴い、反応器内の圧力が低下するので、反応器の内圧が2.49MPaGに降下した時点で、TFE/P=56/44(モル比)の単量体混合ガスを自圧で圧入し、反応器の内圧を2.51MPaGまで昇圧させた。これを繰り返し、反応器の内圧を2.49〜2.51MPaGに保持し、重合反応を続けた。TFE/Pの単量体混合ガスの圧入量の総量が700gとなった時点で、反応器の内温を10℃まで冷却し、重合反応を停止し、含フッ素共重合体を含むラテックスを得た。
含フッ素共重合体の重量平均分子量は13万であり、共重合組成は、TFEに基づく繰り返し単位/Pに基づく繰り返し単位=56/44(モル比)であった。得られた含フッ素共重合体ラテックス中の固形分は30質量%であり、含フッ素共重合体からなる微粒子の平均粒子径は80nmであった。
[実施例1]
工程(1)
LiCoO(AGCセイミケミカル社製、商品名「セリオンC」、タップ密度2.4g/cm3、平均粒子径:12μm)の100質量部、アセチレンブラックの7質量部を混合し、自転・公転式ミキサー(商品名:あわとり練太郎ARE−310、シンキー社製)にて400Gの遠心力がかかるよう、2000rpmにて、2分混練し混練物Aを得た。混練物A中のアセチレンブラックの凝集体の粒子径を測定したところ、平均粒子径は15μmであった。
工程(2)
続いて、混練物Aの100質量部に対し、濃度1質量%のカルボキシメチルセルロース水溶液(1%水溶液の粘度:2000mPa・s、エーテル化度:0.9)を25質量部加えて、前記自転・公転式ミキサーにより、2000rpmにて、20分混練したのち、さらに上記カルボキシメチルセルロース水溶液を25質量部加えて、20分混練し、混練物Bを得た。
工程(3)
続いて、混練物Bを薄膜旋回型高速攪拌機(商品名:T.K.フィルミックス40−40(プライミクス社製))にて、回転数:15000rpm(せん断速度15000s−1)にて、2分間混練し、混練物Cを得た。
工程(4)
続いて、混練物Cの100質量部に対し、製造例1で得られた含フッ素共重合体ラテックス(濃度33質量%)を10質量部加えて、前記自転・公転式ミキサーにて2000rpmにて、5分混練し、電極合剤を得た。
得られた電極合剤中におけるコバルト酸リチウム(LiCoO2)、アセチレンブラック、カルボキシメチルセルロース、および含フッ素共重合体(f1)のそれぞれの含有割合(単位:質量%)を表1に示す(以下、同様。)。残部は水である。
得られた電極合剤を厚さ20μmのアルミニウム箔(集電体)に、ドクターブレードで乾燥後の厚さが120μmとなるように塗布し、120℃の真空乾燥機に入れて乾燥したのち、厚みが40μmとなるようにプレスしてLiCoO正極を製造した。これを用いて上記の方法で電池を作製し、容量維持率を測定した。結果を表1に示す。
[実施例2]
工程(1)において、自転・公転式ミキサーにて400Gの遠心力がかかるよう、2000rpmにて、10分混練し混練物Aを得た。混練物A中のアセチレンブラックの凝集体の粒子径を測定したところ、平均粒子径は3μmであった。
以降は実施例1と同様にして、電極合剤および正極を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例3]
工程(1)において、自転・公転式ミキサーにて100Gの遠心力がかかるよう、1000rpmにて、10分混練し混練物Aを得た。混練物A中のアセチレンブラックの凝集体の粒子径を測定したところ、平均粒子径は50μmであった。
以降は実施例1と同様にして、電極合剤および正極を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例4]
工程(3)において、薄膜旋回型高速攪拌機にて、回転数:6000rpm(せん断速度6000s−1)にて、2分間混練し、混練物Cを得た以外は、実施例1と同様にして、電極合剤および正極を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例1]
工程(1)において、自転・公転式ミキサーにて50Gの遠心力がかかるよう、700rpmにて、10分混練し混練物Aを得た。混練物A中のアセチレンブラックの凝集体の粒子径を測定したところ、平均粒子径は100μmであった。
以降は実施例1と同様にして、電極合剤および正極を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。
[比較例2]
工程(3)において、薄膜旋回型高速攪拌機にて、回転数:3000rpm(せん断速度3000s−1)にて、2分間混練し、混練物Cを得た以外は、実施例1と同様にして、電極合剤および正極を製造し、同様に評価を行った。結果を表1に示す。表1において、装置Aは自転・公転ミキサーで、装置Bは薄膜旋回型高速攪拌機である。
Figure 2012119078
表1の結果より、工程(1)において一定の遠心力以上をかけて混練させ、導電材の分散粒子径を小さくした、実施例1、実施例2は、分散性が良好で、電池における容量維持率も高く、良好な充放電特性が得られている。一方、工程(1)において、混練状態が悪く、導電材の分散粒子径が大きい比較例1は、分散性、密着性が悪く、電池における容量維持率が低い。また、工程(3)において、薄膜旋回型高速攪拌機を用いない、比較例2は分散性が悪く、電池における容量維持率が低い。
また、工程(4)において結着剤の水分散液を添加後、工程(3)に続いて、薄膜旋回型高速攪拌機を用いて、高いせん断速度で攪拌させた、比較例3は、結着剤の凝集に相当するブツが多数電極表面に認められ、密着性が低いとともに、電池における容量維持率が低い。

Claims (7)

  1. 下記工程(1)〜(4)を有することを特徴とする蓄電デバイス用電極合剤の製造方法。
    工程(1):電極活物質と導電材とを固体状態で混練し、電極活物質の平均粒径(rc)と導電材の平均粒径(ra)の比率がrc/ra=0.1〜5.0である混練物Aを得る工程。
    工程(2):前記混練物Aと水溶性ポリマーの水溶液とを混練して混練物Bを得る工程。
    工程(3):前記混練物Bに、5000〜25000s−1のせん断速度で混練して混練物Cを得る工程。
    工程(4):前記混練物Cに、結着剤の水分散液を添加し、混練して電極合剤を得る工程。
  2. 前記結着剤の含有量が、電極活物質、導電材、水溶性ポリマーの合計量の100質量部に対して0.1〜10質量部である請求項1に記載の蓄電デバイス用電極合剤の製造方法。
  3. 前記結着剤が、含フッ素共重合体からなる結着剤である請求項1または2に記載の蓄電デバイス用電極合剤の製造方法。
  4. 工程(1)、工程(2)、および工程(4)の少なくとも1工程において、自転方向および公転方向の双方に回転するミキサーを用いて、混練物に遠心力をかけて混練する請求項1〜3のいずれかに記載の電極デバイス用電極合剤の製造方法。
  5. 工程(1)、工程(2)、および工程(4)の少なくとも1工程において、混練時に100〜1000Gの遠心力をかけて混練する請求項1〜4のいずれかに記載の電極デバイス用電極合剤の製造方法。
  6. 工程(3)において、薄膜旋回型高速攪拌機を用いて混練する請求項1〜5のいずれかに記載の電極デバイス用電極合剤の製造方法。
  7. 工程(3)により得られる混練物混練物Cの粘度が、工程(2)により得られる混練物Bの粘度よりも小さい請求項1〜6のいずれかに記載の蓄電デバイス用電極合剤の製造方法。
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