JP2012117441A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動モータ10のケース11の円板部61Aに取り付けられるケーシング31と、このケーシング31内を電動モータ10の出力軸12により回転駆動されるロータ27と、このロータ27に出没自在に収容される複数のベーン28とを備えた真空ポンプ1において、ケーシング31は、ロータ27が回転駆動し、端部に開口を有する中空形状のシリンダ室Sと、このシリンダ室Sの開口を塞ぐサイドプレート25,26とを備え、このサイドプレート25と電動モータ10の円板部61Aとの間に形成される空間70を、シリンダ室Sと排気口24Aとを繋ぐ排気経路37に形成される膨張室33に連通させる連通孔を備えた.
【選択図】図1
Description
この構成では、ケーシングを駆動機の壁面に取り付けた際に、この壁面とサイドプレートとの間に微小な空間が形成される。この空間は、ロータと回転軸との隙間及びロータとサイドプレートとの隙間を通じて、真空ポンプの運転中に発生する負圧の空間と連通することにより、この負圧により上記空間の空気が引き込まれ、当該空間内が大気圧以下(すなわち負圧)となることがある。
駆動機の壁面とサイドプレートとの間の空間内が負圧になると、駆動機内の空気が上記回転軸のベアリング近傍の孔部を通って当該空間内に流入する流れが生じることがある。駆動機内には、摺動により摩耗粉が存在することがあり、この摩耗粉がベアリングに付着することで駆動機の耐久性が低下するという問題が想定される。この場合、ベアリングをシールを有するものに変更することもできるが、シールベアリングを用いた構成では、機械ロスが増加するといった問題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、機械ロスが増加することなく、駆動機の耐久性の低下を防止できる真空ポンプを提供することを目的とする。
この構成によれば、サイドプレートと駆動機の壁面との間に形成される空間が大気圧以下となった際には、連通孔を通じて大気圧以上の圧力の空気が空間に流入することにより、当該空間が速やかに大気圧(もしくは大気圧以上)に回復する。このため、駆動機内の空気が上記空間に流入する事態が抑制されることにより、この空気に含まれる摩耗粉による駆動機の耐久性の低下を防止できる。
図1は、本発明の実施の形態に係る真空ポンプ1の側部部分断面図である。図2は、図1の真空ポンプ1をその前側(同図中の右側)から見た図である。ただし、図2は、シリンダ室Sの構成を示すべく、ポンプカバー24,サイドプレート26等の部材を取り外した状態を図示している。なお、以下では、説明の便宜上、図1および図2の上部にそれぞれ矢印で示す方向が、真空ポンプ1の上下前後左右を示すものとして説明する。また、前後方向については軸方向、左右方向については幅方向ともいう。
電動モータ10は、電源(図示略)の投入により、出力軸12が、図2中の矢印R方向(反時計回り)に回転し、これによりロータ27を、回転中心X1を中心として同方向(矢印R方向)に回転させるようになっている。
また、円板部61Aの略中央には、出力軸12が貫通する貫通孔61Dと、この貫通孔61Dの周囲にケース本体60の内側に延びる円環状のベアリング保持部61Eとが形成され、このベアリング保持部61Eの内周面61Fに、上記出力軸12を軸支するベアリング62の外輪が保持される。本実施形態では、ベアリング62として開放型のボールベアリングが採用されている。開放型のボールベアリングは、シールド型のものに比べて回転時の抵抗及び機械ロスが小さいため、電動モータの消費電力の低減を図ることができる。
また、ケーシング本体22に形成された孔部22Bにシリンダ部23を圧入することにより、ケーシング本体22の前後方向の長さ範囲内でシリンダ部23を収容することができるため、このシリンダ部23がケーシング本体22から突出することが防止され、ケーシング本体22の小型化を図ることができる。
更に、ケーシング本体22はロータ27よりも熱伝導性の高い材料で形成されている。これによれば、ロータ27及びベーン28が回転駆動した際に発生した熱がケーシング本体22に速やかに伝達できることにより、ケーシング本体22から十分に放熱することができる。
膨張室33は、シリンダ部23の下方から出力軸12の上方に至るまで、当該シリンダ部23の周縁部に沿った大きな閉空間として形成され、ポンプカバー24に形成された排気口24Aに連通している。この膨張室33に流入した圧縮空気は、当該膨張室33内で膨張、分散して当該膨張室33の隔壁にぶつかって乱反射する。これにより、圧縮空気の音エネルギが減衰されるため、排気する際の騒音及び振動の低減を図ることができる。本実施形態では、ケーシング本体22及びシリンダ部23にそれぞれ形成された吐出口22C,23C、膨張室33及び排気口24Aを備えて排気経路37を構成する。
上記したように、真空ポンプ1は、電動モータ10とポンプ本体20とを連結して構成されており、電動モータ10の出力軸12に連結されたロータ27及びベーン28がポンプ本体20のシリンダ部23内で摺動する。このため、ポンプ本体20を電動モータ10の出力軸12の回転中心X1に合わせて組み付けることが重要である。
このため、本実施形態では、上記したように、電動モータ10は、ケース11の一端側に出力軸12の回転中心X1を中心とした嵌合穴部63が形成されている。一方、ケーシング本体22の背面には、図3に示すように、シリンダ室Sの周囲に後方へ突出した円筒状の嵌合部22Fが一体に形成されている。この嵌合部22Fは、電動モータ10の出力軸12の回転中心X1と同心に形成されており、電動モータ10の嵌合穴部63にインロー嵌合する外径に形成されている。さらに、嵌合部22Fの角部22Gには、ケーシング本体22を電動モータ10の嵌合穴部63に容易に嵌め込むことができるように面取り加工が施されている。
このため、この構成では、電動モータ10の嵌合穴部63にケーシング本体22の嵌合部22Fを嵌め込むだけで、簡単に中心位置を合わせることができるため、電動モータ10とポンプ本体20との組み付け作業を容易に行うことができる。また、ケーシング本体22の背面には、嵌合部22Fの周囲にシール溝22Eが形成され、このシール溝22Eには環状のシール材35が配置されている。
一方、真空ポンプ1を作動させた場合、各サイドプレート25,26とロータ27とが常時密着しているわけではないため、各圧縮室Pにて発生した負圧により、サイドプレート25,26とロータ27との隙間、ロータ27の軸穴27Aと出力軸12との隙間を通じて、上記した空間70から空気が引き込まれ、この空間70内が大気圧以下(すなわち負圧)となることがある。
すると、電動モータ10のケース11内の空気が開放型のベアリング(軸受)62近傍の孔部である貫通孔61Dを通って上記空間70に流入する流れが生じる可能性がある。この流れが生じた場合、電動モータ10のブラシ等の摺動により生じた摩耗粉が、ベアリング62に付着してしまう可能性があり、この摩耗粉の付着を回避することが望まれる。
この場合、ポンプ本体20内には連通孔71を通じて空気が流入するため、外部機器内の真空度の低下が懸念される。しかしながら、連通孔71を形成することで、最大負圧値は若干低下する(−95kPaが−93kPa)ものの、自動車のブレーキ倍力装置における通常の使用範囲(例えば、−60kPa〜−80kPa)では、まったく支障がないことが実験により判明している。
シリンダ室S内では、ベーンがシリンダ室Sの内周面23Aを摺動する際に徐々に摩耗するため、排気口24Aの近傍では、摩耗粉を含んだ空気が排出されやすい。このため、排気口24Aの近傍に連通孔を設けた場合には、摩耗粉を含んだ空気が連通孔を通じて空間70に流入することにより、この摩耗粉がベアリング62に付着する問題が生じうる。また、排気口24Aを通じて雨水が侵入する膨張室33内に侵入することも想定され、排気口24Aの近傍に連通孔を設けた場合には、雨水が連通孔を通じて、上記空間70に流入することが想定される。この場合、空間70には電動モータ10が隣接しているため、この電動モータ10内への水の流入は確実に防止する必要がある。
これらの問題の発生を抑制するために、本実施形態では、連通孔71は、膨張室33の上部における出力軸12よりも上方に形成されている。このため、万一、膨張室33内に摩耗粉や水が侵入したとしても、これら摩耗粉及び水は、出力軸12よりも上方まで移動する可能性が低いため、連通孔71を通じて空間70に流入されることを防止できる。
この電動モータ10は防水タイプに形成されているため、ケース本体60には、排気口となる開口が設けられていない。このため、何も対策を施さなければ、温度上昇による膨張した空気は、開放型のベアリング(軸受)62近傍の孔部である貫通孔61Dを通って排出されることとなり、電動モータ10のブラシ等の摺動により生じた摩耗粉が、ベアリング62に付着してしまうという問題が生じうる。
さらに、本実施形態では、排気口72から排出された空気は、シールリング25Aとの隙間を通じて上記空間70に流入することにより、当該排気口72は、シールリング25Aを介して当該空間70と連通することとなる。このため、排気口72は、真空ポンプ1の運転中には、当該空間70を電動モータ10のケース(大気圧以上の空間)11内と連通する連通孔としても機能する。
排気口72は、ケース11の円板部61Aにおけるベアリング62よりも高い位置に形成されているため、この排気口72を通じて、ケース11内の摩耗粉が排出されることを抑制できるとともに、当該排気口72を通じて水がケース11内に侵入することを抑制できる。
10 電動モータ(駆動機)
11 ケース
12 出力軸(回転軸)
20 ポンプ本体
22 ケーシング本体
23 シリンダ部
24 ポンプカバー
24A 排気口
27 ロータ
28 ベーン
30 真空吸込ニップル
33 膨張室(大気圧以上の他の空間)
37 排気経路
38 吸気側膨張室
60 ケース本体
61 カバー体
61A 円板部(壁面)
70 空間
71 連通孔
72 排気口(連通孔)
S シリンダ室
X1 回転中心
X2 軸心
Claims (4)
- 駆動機の壁面に取り付けられるケーシングと、このケーシング内を前記駆動機の回転軸により回転駆動されるロータと、このロータに出没自在に収容される複数のベーンとを備えた真空ポンプにおいて、
前記ケーシングは、前記ロータが回転駆動し、端部に開口を有する中空形状のシリンダ室と、このシリンダ室の開口を塞ぐサイドプレートとを備え、このサイドプレートと前記駆動機の壁面との間に形成される空間を、大気圧以上となる他の空間に連通させる連通孔を備えたことを特徴とする真空ポンプ。 - 前記ケーシングは、前記シリンダ室と排気口とを繋ぐ排気経路に形成される膨張室を当該シリンダ室の周縁部に備え、この膨張室に前記連通孔を形成したことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
- 前記連通孔は、前記膨張室における前記回転軸よりも高い位置に形成されたことを特徴とする請求項2に記載の真空ポンプ。
- 前記駆動機は、前記回転軸を軸支する軸受を備え、この軸受よりも高い位置となる前記壁面に前記連通孔を形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空ポンプ。
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