JP2012117437A - 真空ポンプ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】電動モータ10に取り付けられるケーシング31と、このケーシング31に形成されて当該ケーシング31の両端に開口を有する中空形状のシリンダ室Sと、電動モータ10の出力軸12に、軸方向に移動自在に設けられ、当該出力軸12とともにシリンダ室S内を回転駆動されるロータ27と、シリンダ室Sの開口を塞ぐ一対のサイドプレート25,26とを備え、ロータ27が出力軸12の先端部12A側へ移動することを規制するプッシュナット70を当該出力軸12に設けた。
【選択図】図2
Description
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、簡単な構成でロータ及びサイドプレートの損傷を抑制して真空ポンプの耐久性の低下を防止することを目的とする。
図1は、本発明の実施の形態に係る真空ポンプ1を負圧源として使用したブレーキ装置100の概要図である。ブレーキ装置100は、例えば、自動車等の車両の左右の前輪に取り付けられたフロントブレーキ2a,2b、及び左右の後輪に取り付けられたリアブレーキ3a,3bを備えている。これらの各ブレーキは、マスターシリンダ4とブレーキ配管9によりそれぞれ接続されており、マスターシリンダ4からブレーキ配管9を介して送られる油圧によって各ブレーキが作動する。
また、ブレーキ装置100は、ブレーキペダル5と連結されたブレーキブースター(ブレーキ倍力装置)6を備え、このブレーキブースター6には、空気配管8を介して、真空タンク7及び真空ポンプ1が直列に接続されている。ブレーキブースター6は、真空タンク7内の負圧を利用してブレーキペダル5の踏力を倍力するものであり、小さな踏力でマスターシリンダ4のピストン(図示せず)を移動させることにより、十分なブレーキングパワーを引き出せるようになっている。
真空ポンプ1は、車両のエンジンルーム内に配置され、真空タンク7内の空気を車両外部へ排出し、当該真空タンク7内を真空状態とする。なお、自動車等に用いる真空ポンプ1の使用範囲は、例えば、−60kPa〜−80kPaである。
電動モータ10は、電源(図示略)の投入により、出力軸12が、図3中の矢印R方向(反時計回り)に回転し、これによりロータ27を、回転中心X1を中心として同方向(矢印R方向)に回転させるようになっている。
また、円板部61Aの略中央には、出力軸12が貫通する貫通孔61Dと、この貫通孔61Dの周囲にケース本体60の内側に延びる円環状のベアリング保持部61Eとが形成され、このベアリング保持部61Eの内周面61Fに、上記出力軸12を軸支するベアリング62の外輪が保持される。
また、ケーシング本体22に形成された孔部22Bにシリンダ部23を圧入することにより、ケーシング本体22の前後方向の長さ範囲内でシリンダ部23を収容することができるため、このシリンダ部23がケーシング本体22から突出することが防止され、ケーシング本体22の小型化を図ることができる。
更に、ケーシング本体22はロータ27よりも熱伝導性の高い材料で形成されている。これによれば、ロータ27及びベーン28が回転駆動した際に発生した熱がケーシング本体22に速やかに伝達できることにより、ケーシング本体22から十分に放熱することができる。
また、ロータ27の外径は、図3に示すように、ロータ27の外周面27Bが、シリンダ部23の内周面23Aのうちの右斜め下方に位置する部分と微小なクリアランスを保つように設定されている。これにより、図3に示すように、ロータ27の外周面27Bと、シリンダ部23の内周面23Aとの間には、三日月形状の空間が構成される。
膨張室33は、シリンダ部23の下方から出力軸12の上方に至るまで、当該シリンダ部23の周縁部に沿った大きな閉空間として形成され、ポンプカバー24に形成された排気口24Aに連通している。この膨張室33に流入した圧縮空気は、当該膨張室33内で膨張、分散して当該膨張室33の隔壁にぶつかって乱反射する。これにより、圧縮空気の音エネルギが減衰されるため、排気する際の騒音及び振動の低減を図ることができる。本実施形態では、ケーシング本体22及びシリンダ部23にそれぞれ形成された吐出口22C,23C、膨張室33及び排気口24Aを備えて排気経路37を構成する。
このため、本実施形態では、電動モータ10は、ケース11の一端側に出力軸12の回転中心X1を中心とした嵌合穴部63が形成されている。一方、ケーシング本体22の背面には、図2に示すように、シリンダ室Sの周囲に後方へ突出した円筒状の嵌合部22Fが一体に形成されている。この嵌合部22Fは、電動モータ10の出力軸12の回転中心X1と同心に形成されており、電動モータ10の嵌合穴部63にインロー嵌合する外径に形成されている。
このため、本構成では、電動モータ10の嵌合穴部63にケーシング本体22の嵌合部22Fを嵌め込むだけで、簡単に中心位置を合わせることができ、電動モータ10とポンプ本体20との組み付け作業を容易に行うことができる。また、ケーシング本体22の背面には、嵌合部22Fの周囲にシール溝22Eが形成され、このシール溝22Eには環状のシール材35が配置されている。
ロータ27は、上述のように、出力軸12とスプライン連結されるとともに、この出力軸12に係止されるプッシュナット70により、当該出力軸12の先端側への移動が規制されている。
具体的には、ロータ27の軸孔27Aの一部には、図4に示すように、スプライン孔部27Dが形成され、このスプライン孔部27Dには出力軸12の先端部12Aに形成されたスプライン部12Bが係合して、ロータ27と出力軸12とがスプライン連結される。このように、ロータ27と出力軸12とがスプライン連結された状態では、ロータ27はスプライン部12B上を軸方向に移動自在となっている。
また、ロータ27の前端面27Eには、軸孔27Aの周囲に当該軸孔27Aよりも拡径した円柱状の凹部27Fが形成される。この凹部27F内には、軸孔27Aに挿し込まれた出力軸12の係止部12Cと縮径部12Dとが延出し、当該凹部27F内にて出力軸12の係止部12Cにプッシュナット70が係止される。
これにより、プッシュナット70は、係止部12Cに嵌め込まれる際に、各爪部72が変形し、これら爪部72の復元力により当該爪部72と係止部12Cの外周面とが係止する。また、プッシュナット70のフランジ部71が凹部27Fの底面(端面)27F1(図4)に当接することで、ロータ27の出力軸12の先端部側への移動が規制される。
従って、プッシュナット70を出力軸12に取り付けるといった簡単な構成で、ロータ27と前側のサイドプレート26とが接触することを防止できることにより、当該ロータ27及びサイドプレート26の摩耗が抑制され、真空ポンプ1の耐久性を向上させることができる。さらに、プッシュナット70は、ボルト等の締結手段と比べて簡単に出力軸12の係止部12Cに取付けられるため、出力軸12の先端部12A側へロータ27が移動することを簡単、かつ、短時間の作業で防止することができる。
次に、図6を参照して、ロータ27の組み付け手順を説明する。
この図6では、電動モータ10のケース11及びケーシング本体22などの記載を省略している。
まず、図6Aに示すように、出力軸12にロータ27を挿し込み、出力軸12のスプライン部12Bとロータ27のスプライン孔部27Dとをスプライン連結させる。この場合、ロータ27の長さ寸法は、シリンダ室S(図2)の長さと略同一に設定されているため、ロータ27の後端面27Gが後ろ側のサイドプレート25に当接するまで挿し込むことにより、このロータ27の前端面27Eとシリンダ室Sの開口とが略面一となる。
続いて、出力軸12の係止部12Cにプッシュナット70を係止させる。ロータ27をサイドプレート25に当接するまで、ロータ27を出力軸12に挿し込むと、図6Bに示すように、出力軸12の係止部12Cがロータ27に形成された凹部27F内に延出される。
この場合、プッシュナット70は、押付荷重を計測できる専用の治具(図示略)を用いて出力軸12に取り付けられる。この押付荷重Fが所定の閾値(例えば100N)を超えるまで押付けることにより、ロータ27は後ろ側のサイドプレート25とプッシュナット70とで挟まれることで位置決めされる。このため、ロータ27をサイドプレート25に当接するまで出力軸12に挿し込むといった簡単な作業で、出力軸12に対するロータ27の位置決めを容易に行うことができ、さらに、プッシュナット70を所定の基準値を超えるまでロータ27の凹部27Fの底面27F1に押し付けることにより、この基準値を超えたか否かでロータ27の位置決めが完了したことを容易に判断することができ、熟練者でなくてもポンプの組み付け作業を短時間で行うことができる。
この状態では、ロータ27を後側のサイドプレート25に接触させて位置決めしているため、真空ポンプ1の初動時には、ロータ27とサイドプレート25とが摺動することにより、ロータ27及びサイドプレート25には初期摩耗が生じる。しかしながら、真空ポンプ1の運転時には、ロータ27をプッシュナット70側へ押し付けようとする力が生じるため、ロータ27とサイドプレート25との接触が防止され、その後のロータ27及びサイドプレート25の摩耗が防止される。
この場合、ロータ27は、後側のサイドプレート25に接触した状態で位置決めされるため、真空ポンプ1の初動時には、ロータ27とサイドプレート25とが摺動することにより、ロータ27及びサイドプレート25には初期摩耗が生じる。しかしながら、真空ポンプ1の運転時には、ロータ27をプッシュナット70側へ押し付けようとする力が生じるため、ロータ27とサイドプレート25との接触が防止され、その後のロータ27及びサイドプレート25の摩耗が防止される。
6 ブレーキブースター(ブレーキ倍力装置)
7 真空タンク
9 ブレーキ配管
10 電動モータ(駆動機)
11 ケース
12 出力軸(回転軸)
12A 先端部
12B スプライン部
12C 係止部
12D 縮径部
20 ポンプ本体
22 ケーシング本体
23 シリンダ部
25 サイドプレート
26 サイドプレート
27 ロータ
27A 軸孔
27D スプライン孔部
27E 前端面
27F 凹部
27F1 底面(端面)
27G 後端面
28 ベーン
70 プッシュナット
71 フランジ部
72 爪部
72A 先端
73 開口
100 ブレーキ装置
F 押付荷重
P 圧縮室
R 矢印
S シリンダ室
X1 回転中心
X2 軸心
Claims (4)
- 駆動機に取り付けられるケーシングと、このケーシングに形成されて当該ケーシングの両端に開口を有する中空形状のシリンダ室と、前記駆動機の回転軸に、軸方向に移動自在に設けられ、当該回転軸とともに前記シリンダ室内を回転駆動されるロータと、前記シリンダ室の前記開口を塞ぐ一対のサイドプレートとを備える真空ポンプにおいて、
前記ロータが前記回転軸の先端側へ移動することを規制するプッシュナットを当該回転軸に設けたことを特徴とする真空ポンプ。 - 前記駆動機側に位置する前記サイドプレートに当接するまで前記ロータを前記回転軸に挿し込み、この状態で、前記プッシュナットを所定の基準値を超えるまで前記ロータの端面に押し付けて当該プッシュナットを前記回転軸に係止させたことを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
- 前記回転軸は、先端部に前記プッシュナットの複数の爪部が係止される係止部と、この係止部よりも縮径した縮径部とを備え、この縮径部の直径は前記プッシュナットの複数の爪部で囲まれた開口の内径と略同径に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の真空ポンプ。
- 前記ロータの前端面には、前記回転軸が挿し込まれる軸孔の周囲に凹部が形成され、この凹部内で前記プッシュナットを前記回転軸に係止したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の真空ポンプ。
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