JP2012117124A - 圧延銅箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明に係る圧延銅箔は、主成分としての銅(Cu)及び不可避的不純物と、チタン(Ti)と、銀(Ag)と、銅(Cu)及び銀(Ag)以外で結晶構造が面心立方で、かつ積層欠陥エネルギーの値が銅(Cu)より大きい値を有する元素群の中から選択される1種以上の添加元素と、を含むことを特徴とする圧延銅箔である。
【選択図】図1
Description
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えばフレキシブルプリント配線板等の可撓性配線部材に用いられる圧延銅箔である。具体的に、本実施の形態に係る圧延銅箔は、主成分としての銅(Cu)及び不可避的不純物と、チタン(Ti)と、銀(Ag)と、銅(Cu)及び銀(Ag)以外で結晶構造が面心立方で、かつ積層欠陥エネルギーの値が銅(Cu)より大きい値を有する元素群の中から選択される1種以上の添加元素、とを含んで構成される。そして、一例として、本実施の形態に係る圧延銅箔は、後述する圧延銅箔の製造工程の最終冷間圧延工程を経た後であって再結晶焼鈍を経る前に得られる圧延銅箔であり、例えばFPC用の圧延銅箔に用いることを目的として、50μm以下、好ましくは20μm以下の厚さを有して形成される。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅材を母材にして形成される。ここで、本実施の形態に係る「無酸素銅」とは、例えばJIS C1020で規定される無酸素銅で99.96%以上の純度であるが、酸素含有量は完全にゼロであるわけではなく、数ppm(0.000数%)程度の酸素が、無酸素銅に含まれることは排除されない。従って、本実施の形態に係る圧延銅箔は、一例として0.002重量%以下(すなわち、20ppm以下)の酸素を含んで形成される。なお、圧延銅箔中において酸化物が生成することを抑制すべく、酸素含有量を更に低減させることが好ましい。
チタン(Ti)は、製造される圧延銅箔の軟化温度を低下、すなわち、再結晶を低い温度から開始させる役割をする。ここで、チタン(Ti)の添加量の上限を0.003重量%(30ppm)に設定した理由は、チタンが0.003重量%を超えると、過剰のチタンは母材としての銅へ固溶し始めることが実験で確認できたからである。すなわち、チタンは0.003重量%まで銅中の不可避的不純物と反応して化合物を生成するので銅中へは固溶しない。また、チタンの添加量の下限を0.0005重量%(5ppm)に設定した理由は、実用上の観点から製造される圧延銅箔の軟化温度を適切な温度まで低下させることと、量産での制御可能な最低量のためである。
銀(Ag)は、製造される圧延銅箔の再結晶における結晶粒の成長速度を抑制する効果がある。
銅(Cu)及び銀(Ag)以外で結晶構造が面心立方で、かつ積層欠陥エネルギーの値がCuより大きい値を有する元素として、ニッケル(Ni)及び/又はアルミニウム(Al)が考えられる。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔の製造の流れを示すフローチャートである。以下、図1に示すフローチャートを参照しつつ、圧延銅箔の製造方法を説明する。
以下、FPC製造工程についてその概略を説明する。FPC製造工程は、例えば、FPC用の銅箔と、ポリイミド等の樹脂からなるベースフィルム(基材)とを貼り合わせてCopper Claded Laminate(CCL)を形成する工程(CCL工程)と、CCLにエッチング等の手法により回路配線を形成する工程(配線形成工程)と、回路配線上に配線を保護することを目的として、表面処理を施す工程(表面処理工程)とを含む。CCL工程としては、接着剤を介して銅箔と基材とを積層した後、熱処理により接着剤を硬化・密着させて積層構造体(銅箔/接着剤/ベースフィルム: 3層CCL)を形成する方法と、接着剤を介さずに表面処理が施された銅箔を基材に直接張り合わせた後、加熱・加圧することにより一体化して積層構造体(銅箔/ベースフィルム:2層CCL)を形成する方法との2種類の方法を挙げることができ、そのいずれも用いることができる。
本発明の実施の形態に係る圧延銅箔は、母材としての無酸素銅に、所定量のチタン(Ti)と、所定量の銀(Ag)と、所定量のニッケル(Ni)及び/又はアルミニウム(Al)とを含有させることで、軟化温度(再結晶温度)を低下させることができるとともに、再結晶後の結晶粒の成長速度を緩やかにすることができる。従って、この銅箔は、低温の条件(例えば、150℃×120分)のCCL製造工程から高温の条件(例えば、400℃×5分)のCCL製造工程までの広い温度条件範囲で、適正な再結晶を得ることができ、かつ優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することができる。これにより、本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば、CCL製造工程(FPC製造工程)における様々な条件の熱処理に対応することができる。
まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、この溶解物中に、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銀(Ag)を添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊(インゴット)を製造した(鋳塊準備工程)。ここで、Niは30〜300ppmの間で濃度を6条件振り、Ti、Ag、酸素は濃度を固定した。
まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、この溶解物中に、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銀(Ag)を添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊(インゴット)を製造した(鋳塊準備工程)。ここで、Tiは5〜30ppmの間で濃度を6条件振り、Ni、Ag、酸素は濃度を固定した。
まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、この溶解物中に、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銀(Ag)を添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊(インゴット)を製造した(鋳塊準備工程)。ここで、Agは20〜250ppmの間で濃度を6条件振り、Ni、Ti、酸素は濃度を固定した。
まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、この溶解物中に、ニッケル(Ni)、チタン(Ti)、銀(Ag)を添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊(インゴット)を製造した(鋳塊準備工程)。ここでは、前記のように鋳造途中で溶解炉の蓋を開けることで大気を混入させて酸素濃度を高くした。従って、製造した鋳塊の酸素濃度は溶解炉の蓋を開けところから濃度勾配が生じた。この濃度勾配の中で、本発明の酸素濃度範囲である20ppm以下の部分を採取して実施例19〜21とした。同様に比較例7〜8を20ppm以上の部分から採取した。比較例7と比較例8の酸素濃度は、本発明の酸素濃度範囲の上限である20ppmよりかなり高く、それぞれ41ppm、73ppmであるが、これは上記のような方法で製造したので、20ppmを超えた部分の濃度勾配が急になっており、比較的安定した材料長さが取れる部分から採取したためである。
比較例1と比較例2では、Ni濃度を30ppm未満、300ppm超として、Ti,Ag,酸素濃度を固定した。また、比較例3と比較例4では、Ti濃度を5ppm未満、30ppm超として、Ni,Ag,酸素濃度を固定した。比較例5と比較例6では、Ag濃度を20ppm未満、250ppm超として、Ni,Ti,酸素濃度を固定した。
実施例22〜42および比較例9〜16では、実施例1〜21および比較例1〜8におけるNi部分をAlにして同様な条件で製造した。NiをAlにした以外、製造方法、製造条件は全て同様である。
実施例43〜63および比較例17〜24では、実施例1〜21および比較例1〜8におけるNi部分をNi+Alにして同様な条件で製造した。NiをNi+Alにした以外、製造方法、製造条件は全て同様である。
屈曲疲労寿命試験は、信越エンジニアリング株式会社製の摺動屈曲試験装置(型式:SEK−31B2S)を用い、IPC規格に準拠して実施した。
酸素については、その量が少ないほど酸化物生成が少なくなる(屈曲疲労寿命回数を短くする要因が少なくなる)。本発明では、実施例の結果より20ppmm未満であれば問題がないという結果が得られているが、10ppm以下であることが好ましく、さらには5ppm以下であることが好ましい。ただし、前記のように、本発明における実施例・比較例の製造方法では、酸素濃度が20ppmよりかなり高くなっている(41〜87ppm)ので、酸素濃度が21ppm〜40ppmについては不明である。
を安定して得るためには、下限値は35ppm以上が好ましく、さらには50ppm以上である方が好ましい。また、上限値は225ppm以下の方が好ましく、さらには200ppm以下である方が好ましい。
Claims (6)
- 主成分としての銅(Cu)及び不可避的不純物と、チタン(Ti)と、銀(Ag)と、銅(Cu)及び銀(Ag)以外で結晶構造が面心立方で、かつ積層欠陥エネルギーの値が銅(Cu)より大きい値を有する元素群の中から選択される1種以上の添加元素と、を含むこと
を特徴とする圧延銅箔。 - 請求項1に記載の圧延銅箔において、酸素が0.002重量%以下(20ppm以下)含まれること
を特徴とする圧延銅箔。 - 請求項1または請求項2に記載の圧延銅箔において、厚さが20μm以下であること
を特徴とする圧延銅箔。 - 前記チタン(Ti)を0.0005重量%以上0.003重量%以下(5ppm以上30ppm以下)、並びに前記銀(Ag)を0.002重量%以上0.025重量%以下(20ppm以上250ppm以下)含有すること
を特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の圧延銅箔。 - 前記添加元素が、ニッケル(Ni)及び/又はアルミニウム(Al)であること
を特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の圧延銅箔。 - 前記ニッケル(Ni)及び/又はアルミニウム(Al)が少なくとも一方の総量で0.003重量%以上0.03重量%以下(30ppm以上300ppm以下)含有すること を特徴とする請求項5に記載の圧延銅箔。
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