JP2012001783A - 圧延銅箔 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物に、添加元素として、硼素(B)と、面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属と、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属とを含んでいる。
【選択図】なし
Description
本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物に、添加元素として、硼素(B)と、面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属と、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固容する金属とを含む。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えばフレキシブルプリント配線板等の可撓性配線部材に用いられる圧延銅箔である。具体的に、本実施の形態に係る圧延銅箔は、銅(Cu)及び不可避的不純物に、添加元素として、硼素(B)と、面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属と、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属とを含んで構成される。そして、一例として、本実施の形態に係る圧延銅箔は、後述する圧延銅箔の製造工程の最終冷間圧延工程を経た後であって再結晶焼鈍を経る前に得られる圧延銅箔であり、例えばFPC用の圧延銅箔に用いることを目的として、50μm以下、好ましくは20μm以下の厚さを有して形成される。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えば無酸素銅又は無酸素銅に準ずる銅材を母材にして形成される。ここで、本実施の形態に係る「無酸素銅」とは、例えばJIS C1020で規定される無酸素銅、酸化銅(I)[Cu2O]、及び/又は残留脱酸剤を含まない銅99.96%以上の純度の銅である。なお、酸素含有量は完全にゼロであるわけではなく、数ppm(0.000数%)程度の酸素が、本実施の形態に係る無酸素銅に含まれることは排除されない。従って、本実施の形態に係る圧延銅箔は、一例として0.002重量%以下(すなわち、20ppm以下)の酸素を含んで形成される。なお、圧延銅箔中において酸化物が生成することを抑制すべく、酸素含有量を更に低減させることが好ましい。なお、無酸素銅に不可避的不純物、例えば硫黄(S)、リン(P)等が固溶することにより無酸素銅の軟化温度は上昇する傾向がある。一方、不可避的不純物(例えばS、P等)が所定の添加元素と反応して生成した化合物が無酸素銅中に存在すると、当該無酸素銅の軟化温度は低下する傾向がある。
ホウ素は、製造される圧延銅箔の軟化温度を低下、すなわち、再結晶を低い温度から開始させる役割をする。ここで、ホウ素の添加量の上限を0.09重量%に設定した理由は、本発明者らが用いた圧延銅箔の製造設備において、母材としての銅へのホウ素の固溶量の最大が0.09重量%程度であることによる。また、ホウ素の添加量の加減を0.001重量%に設定した理由は、実用上の観点から製造される圧延銅箔の軟化温度を適切な温度まで低下させることと、量産での制御可能な最低量のためである。
本実施の形態に係る面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属は、銅に固溶することで銅の結晶格子を歪ませて、製造される圧延銅箔の軟化温度を固溶前の銅の軟化温度より上昇させることが目的である。
本実施の形態に係る上記結晶構造が、面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属は、銅と異なる結晶構造の金属を銅に固溶させて銅の結晶格子を効果的に歪ませて、製造される圧延銅箔の軟化温度を固溶前の銅の軟化温度より上昇させることが目的であったが、本実施の形態に係る面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属は、銅の結晶格子の歪ませ方を補正する非常に重要な役割を持つ。具体的には、銅の結晶構造(面心立方構造)と異なる結晶構造の金属(前記面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属)を固溶させることは、格子を大きく歪ませるためには効果的であるが、大きく歪むだけでその歪み方は適正ではない。そこで、銅と同じ結晶構造を持ち銅と異なる金属、面心立方構造で原子半径が銅と異なる金属(前記面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属)を添加することで、結晶格子をバランス良く、かつ大きく歪ませることができる(これは、本件発明者らが得た知見である)。
図1は、本発明の実施の形態に係る圧延銅箔の製造の流れの一例を示す。まず、原材料として、銅合金材の鋳塊を準備する(鋳塊準備工程:ステップ10、以下、ステップを「S」とする)。例えば、酸素含有量が2ppm以下の無酸素銅(例えば、JIS H3100、JIS C1020等)を母材として、所定量の硼素(B)と、所定量の面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属(例えば、スズ(Sn))と、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属(例えば、銀(Ag))とを含む銅合金材のインゴット(すなわち、鋳塊)を準備する。
本実施の形態に係る圧延銅箔は、無酸素銅への硼素(B)と、所定量の面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属(例えば、スズ(Sn))と、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属(例えば銀(Ag))との添加で最終的には軟化温度は、元の無酸素銅に近い程度になるが、低温の条件(例えば200℃×120分)から高温の条件(例えば400℃×60分)までの広範囲において優れた屈曲疲労寿命特性を発揮することができる。これにより、本実施の形態に係る圧延銅箔は、例えばCCL工程における様々な条件の熱処理に対応することができる。
以下、実施例1に係る圧延銅箔の製造方法を代表例として説明する。まず、無酸素銅を母材にした主原料を溶解炉にて溶解した後、所定量の硼素(すなわち、実施例1において40ppmの量のB)と、スズ[面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属](すなわち、実施例1において110ppmの量のSn)と、銀[面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属](すなわち、実施例1において950ppmの量のAg)とをそれぞれ添加して、厚さ150mm、幅500mmの鋳塊を製造した(鋳塊準備工程)。次に、本実施の形態に係る圧延銅箔の製造方法にしたがって、鋳塊に熱間圧延を施して10mmの板材を製造した(熱間圧延工程)。続いて、板材に冷間圧延(冷間圧延工程)、及び焼鈍処理(中間焼鈍工程)を繰り返して「生地」を製造した。そして、「生地」に焼鈍処理を施した(生地焼鈍工程)。なお、生地焼鈍工程における焼鈍処理は、実施例1〜6、及び比較例1〜6のいずれも、約750℃の温度で約1分間保持することにより実施した。
図2は、屈曲疲労寿命試験(摺動屈曲試験)の試験方法の概要を示す図である。屈曲疲労寿命試験は、信越エンジニアリング株式会社製の摺動屈曲試験装置(型式:SEK−31B2S)を用い、IPC規格に準拠して実施した。摺動屈曲試験装置2は、圧延銅箔10を保持する試料固定板20と、圧延銅箔10を試料固定板20に固定するネジ20aと、圧延銅箔10に接触して圧延銅箔10に振動を伝達する振動伝達部30と、振動伝達部30を上下方向に振動させる発振駆動体40とを備える。
酸素については、少ないほど酸化物生成が少なくなる(屈曲疲労寿命回数を短くする要因が少なくなる)。本発明では20ppm以下であれば問題ない結果が得られているが、10ppm以下の方が好ましく、5ppm以下であればさらに好ましい。
実施例1〜6の変形例1に係る圧延銅箔は、それぞれ面心立方構造以外の結晶構造を有し、銅に固溶する金属として、スズ(Sn)の代わりに、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)をそれぞれ添加して製造した。添加量は、0.1重量%以上0.25重量%以下である。例えば、変形例1に係る圧延銅箔は、スズ(Sn)の代わりにZrを0.02重量%添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
実施例1〜6の変形例2に係る圧延銅箔はそれぞれ、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)からなる群から選択される複数の元素をスズ(Sn)の代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.1重量%以上0.25重量%以下である。例えば、変形例2に係る圧延銅箔は、スズ(Sn)の代わりに0.15重量%のNiと、0.02重量%のTiとを添加した。また、変形例2に係る他の圧延銅箔は、スズ(Sn)単体の代わりに0.1重量%のSnと、0.05重量%のMnを添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
実施例1〜6の変形例3に係る圧延銅箔はそれぞれ、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属として、銀(Ag)の代わりに金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)を添加して製造した。添加量は、0.03重量%以上0.1重量%以下である。例えば、変形例3に係る圧延銅箔は、銀(Ag)の代わりにニッケル(Ni)を0.05重量%添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
実施例1〜6の変形例4に係る圧延銅箔はそれぞれ、面心立方構造の結晶構造を有し、銅に固溶する金属として、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)からなる群から選択される複数の元素を銀(Ag)の代わりに無酸素銅に添加して製造した。添加量は、0.03重量%以上0.1重量%以下である。例えば、変形例4に係る圧延銅箔は、銀(Ag)の代わりに0.03重量%のNiと、0.02重量%の白金(Pt)とを添加した。また、変形例4に係る他の圧延銅箔は、銀(Ag)単体の代わりに0.05重量%の銀(Ag)と、0.02重量%の金(Au)を添加した。その結果、実施例1〜6に係る圧延銅箔と同様に、優れた屈曲疲労寿命特性が得られた。
10 圧延銅箔
20 試料固定板
20a ねじ
30 振動伝達部
40 発振駆動体
Claims (6)
- 銅(Cu)及び不可避的不純物に、添加元素として、硼素(B)と、面心立方構造以外の結晶構造を有し、前記銅に固溶する金属と、面心立方構造の結晶構造を有し、前記銅に固溶する金属とを含むことを特徴とする圧延銅箔。
- 酸素が0.002重量%以下であることを特徴とする請求項1記載の圧延銅箔。
- 前記硼素(B)が0.001重量%以上0.09重量%以下であることを特徴とする請求項1または2記載の圧延銅箔。
圧延銅箔。 - 面心立方構造以外の結晶構造を有し、前記銅に固溶する金属が、スズ(Sn)、ジルコニウム(Zr)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)から選択される1種又は複数の元素であり、総量が0.003重量%以上0.25重量%以下で含まれることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の圧延銅箔。
- 面心立方構造の結晶構造を有し、前記銅に固溶する金属が、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pb)、ニッケル(Ni)、及びアルミニウム(Al)から選択される1種又は複数の元素であり、総量が0.003重量%以上0.1重量%以下で含まれることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の圧延銅箔。
- 20μm以下の厚さを有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の圧延銅箔。
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CN111690838A (zh) * | 2020-06-22 | 2020-09-22 | 宁波金田铜业(集团)股份有限公司 | 一种易绕制变压器用紫铜带材及其制备方法 |
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JP2001152267A (ja) * | 1999-11-18 | 2001-06-05 | Kobe Steel Ltd | 銅合金圧延箔 |
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