JP2012114048A - リチウム二次電池及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高出力かつ大容量なリチウム二次電池を提供する。
【解決手段】本発明のリチウム二次電池の製造方法は、正極活物質610及び導電材620を含む正極合剤224を用意する合剤用意工程と、合剤用意工程で用意された正極合剤を集電体221に塗布する塗布工程と、塗布工程で集電体221に塗布された正極合剤224を乾燥させる乾燥工程と、乾燥工程で得られた正極合剤層225を圧延する圧延工程とを包含する。ここで、正極活物質610のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aであり、塗布工程での正極合剤224の目付け量Bが、20(mg/cm)≦Bであり、かつ、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である。
【選択図】図6

Description

本発明はリチウム二次電池及びその製造方法に関する。詳しくは、集電体上に正極合剤層が形成された正極を含むリチウム二次電池及び該リチウム二次電池を製造する方法に関する。
近年、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池その他の二次電池は、車両搭載用電源、或いはパソコンおよび携帯端末の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウム二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。リチウム二次電池は、リチウムイオン(Liイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料(活物質)を正負の極板に備えており、正負の極板の間をリチウムイオンが行き来することによって充電又は放電される。かかるリチウム二次電池の極板(典型的には正極板)に用いられる活物質の代表例として、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物が挙げられる。例えば、上記遷移金属元素として少なくともニッケル(Ni)を含むリチウム複合酸化物(ニッケル含有リチウム複合酸化物)であって層状構造を有するものが好ましく用いられる。リチウム二次電池の活物質に関する技術文献として特許文献1が挙げられる。
特許文献1には、リチウム含有複合酸化物を正極活物質として用いた非水電解液二次電池において、前記リチウム含有複合酸化物のDBP吸液量が、リチウム含有複合酸化物重量100g当たり20ml未満である正極活物質が開示されている。ここで、リチウム含有複合酸化物のDBP吸液量は、JIS K6217−4に規定されているDBP吸収量A法に準拠したアブソープトメータを用い、試薬液体を定速度ビュレットで適定し、その際の粘度特性の変化をトルク検出器によって測定、記録し、発生した最大トルクの70%時点のトルクに対応する試薬液体の添加量によって規定される。
特開2007−095534号公報
ところで、車両の動力源として用いられるリチウム二次電池(例えば、動力源としてリチウム二次電池と内燃機関等のように作動原理の異なる他の動力源とを併用するハイブリッド車両や電気自動車に搭載されるリチウム二次電池)は、駆動用電源として高出力かつ大容量であることが必要とされる。しかしながら、大容量化を図るには、例えば、正負の極板の活物質の量を多くするとよい。しかし、リチウムと遷移金属元素とを含む複合酸化物が正極活物質として用いられている場合においては、活物質の量を多くすると内部抵抗が上がり、かえってリチウム二次電池の出力が低下する要因となることがある。このため、リチウム二次電池の大容量と高出力とを両立させることは難しい。
リチウム二次電池の製造方法は、合剤用意工程と、塗布工程と、乾燥工程と、圧延工程とを包含する。ここで、合剤用意工程には、正極活物質及び導電材を含む正極合剤を用意する工程が含まれている。塗布工程には、合剤用意工程で用意された正極合剤を集電体に塗布する工程が含まれている。乾燥工程には、塗布工程で集電体に塗布された正極合剤を乾燥させる工程が含まれている。圧延工程には、乾燥工程で得られた正極合剤層を圧延する工程が含まれている。このリチウム二次電池の製造方法では、さらに正極活物質のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aであり、塗布工程での正極合剤の目付け量Bが、20(mg/cm)≦Bであり、かつ、乾燥工程後前記圧延工程前の前記正極合剤層の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)であるとよい。
この製造方法によれば、正極合剤層における正極活物質のDBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aであり、塗布工程での正極合剤の目付け量B(固形分換算)が20(mg/cm)≦Bであり、かつ、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)であるので、より大容量かつ高出力なリチウム二次電池が得られるようになる。
本発明者は、かかる製造方法によって、大容量かつ高出力なリチウム二次電池が得られる理由を以下のように推考している。すなわち、正極合剤層における正極活物質のDBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aである。このため、正極合剤層に含浸した電解液が、正極活物質に吸収され易く、この正極合剤層では電解液が不足する液枯れが生じ難い。さらに、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)と比較的低く、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層がかさ高い。このため、所定の厚みに圧延した場合に、圧延前と圧延後の厚みの変化率が大きくなる。厚みの変化率が大きいほど、正極活物質と導電材が、正極合剤層中の空隙を埋めていく作用が強く働くので、正極活物質と導電材を密に集合させることができると考えられる。これにより、正極活物質と導電材との導電パスがより確実に形成され、正極合剤層の導電性がより高く、かつ、正極合剤層の内部抵抗がより低くなる。このため、高出力なリチウム二次電池を得ることができる。
さらに、かかる構成によれば、特に、塗布工程での正極合剤の目付け量Bが20(mg/cm)を超えるような高目付けとした場合でも、正極合剤層の導電性がより高く、かつ、正極合剤層の内部抵抗がより低くなる。したがって、本発明によれば、塗布工程での正極合剤の目付け量Bを20(mg/cm)≦Bとした高目付けとし、大容量と高出力の双方を高いレベルで満足させた最適なリチウム二次電池を製造することができる。
この場合、前記正極活物質のDBP吸収量Aは、40(mL/100g)≦Aでもよい。これにより、より高出力なリチウム二次電池が得られる。DBP吸収量Aの上限値は特に制限されないが、概ねA≦54(mL/100g)である。この値よりも高すぎると、所要の出力特性が得られないことがある。また、前記塗布工程での前記正極合剤の目付け量Bが、30(mg/cm)≦Bでもよい。正極合剤の目付け量Bが高ければ高いほど、より大容量なリチウム二次電池が得られる。正極合剤の目付け量Bの上限値は特に制限されないが、概ねB≦(50mg/cm)である。この値よりも高すぎると、所要の出力特性が得られないことがある。
ここに開示されるリチウム二次電池製造方法の好ましい一態様では、前記乾燥工程後前記圧延工程前の前記正極合剤層の厚みDと、前記圧延工程後の前記正極合剤層の厚みdとから求められる厚みの変化率E=[(D−d)/D]×100が、20(%)≦Eである。これにより、正極活物質と導電材の粒子間が密に集合し、正極活物質と導電材との導電パスがより確実に形成される。この場合、前記圧延工程後の前記正極合剤層の密度Fが、1.9(g/cm)≦F≦3.5(g/cm)でもよく、好ましくは1.9(g/cm)≦F≦2.5(g/cm)である。
また、本発明のリチウム二次電池は、集電体と、前記集電体上に形成された正極合剤層とを備え、前記正極合剤層は、正極活物質及び導電材を含む正極合剤を集電体に塗布し乾燥させた後で、圧延して形成されている。そして、前記正極合剤層における前記正極活物質のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦A≦54(mL/100g)であり、前記集電体の単位面積当りの前記正極合剤層の重さBが、20(mg/cm)≦Bであり、前記圧延前における前記正極合剤層の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である。
このように正極合剤層における正極活物質が所定のDBP吸収量Aを有することにより、正極合剤層での電解液の液枯れが生じ難く、出力特性が向上する。また、圧延前における正極合剤層が所定の密度Cを有することにより、正極活物質間での導電材が密となり、導電材によって正極合剤層に所要の導電性が確保される。そのため、集電体の単位面積当りの正極合剤層の重さBを所定値以上とした場合でも、導電材によって正極合剤層に所要の導電性が確保される。したがって、本発明によれば、大容量かつ高出力な最適なリチウム二次電池を提供することができる。
この場合、正極活物質のDBP吸収量Aが、40(mL/100g)≦Aでもよい。また、集電体の単位面積当りの正極合剤層の重さBが、B≦50(mg/cm)でもよい。さらに、圧延後において正極合剤層の密度Fが、1.9(g/cm)≦F≦3.5(g/cm)でもよく、好ましくは1.9(g/cm)≦F≦2.5(g/cm)である。
ここに開示されるリチウム二次電池の好ましい一態様では、正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が複数集合した二次粒子と、二次粒子に形成された中空部と、中空部と外部とを繋げるように、二次粒子を貫通した貫通孔とを有している。この場合、DBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aを満たす正極活物質をより容易に実現できる。また、中空構造によって正極活物質がかさ高くなる(かさ密度が低くなる)ので、圧延前における正極合剤層の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)を満たす正極合剤層をより容易に実現できる。この場合、貫通孔の開口幅が平均0.01μm以上でもよい。また、貫通孔の開口幅が平均2.0μm以下でもよい。さらに、貫通孔の数は、正極活物質の一粒子当たり平均1〜20個でもよい。
ここに開示されるリチウム二次電池の好ましい一態様では、前記正極活物質は、ニッケルを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物である。好ましくは、前記正極活物質は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物である。この場合、大容量かつ高出力なリチウム二次電池を安定して得ることができる。
ここに開示される何れかのリチウム二次電池は、上記のとおり、大容量かつ高出力が得られることから、例えば自動車等の車両に搭載される電池(典型的には駆動電源用途の電池)として好適である。したがって本発明によると、ここに開示される何れかのリチウム二次電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)を備える車両が提供される。特に、該リチウム二次電池を動力源として備える車両(例えば家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等)が提供される。
なお、ここに開示される技術の好ましい適用対象として、0.8A以上(例えば0.8A〜320A)、さらには4A以上(例えば4A〜200A)のハイレート充放電を含む充放電サイクルで使用され得ることが想定されるリチウム二次電池;理論容量が2Ah以上(さらには4Ah以上)の大容量タイプであって0.2C以上(例えば0.2C〜80C)、さらには1C以上(例えば1C〜50C)のハイレート充放電を含む充放電サイクルで使用されることが想定されるリチウム二次電池;等が例示される。
本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の構造の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池の捲回電極体を示す模式図である。 図2中のIII−III断面を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る捲回電極体の未塗工部と電極端子との溶接箇所を示す側面図である。 本発明の一実施形態に係る正極合剤層の構造を示す断面図である。 (a)圧延前における正極合剤層、及び(b)圧延後における正極合剤層の構造を示す断面図である。 評価試験で用いられた18650型セルの模式図である。 正極合剤の目付け量と出力特性の関係を示すグラフである。 正極活物質粒子の一例を示す図である。 正極活物質粒子の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を搭載した車両を示す側面図である。
以下、本発明の一実施形態に係るリチウム二次電池を図面に基づいて説明する。なお、同じ作用を奏する部材、部位には適宜に同じ符号を付している。また、各図面は、模式的に描いており、必ずしも実物を反映しない。ここではまず、本発明のリチウム二次電池の構造の一例を説明し、その後、リチウム二次電池の正極合剤層を説明し、さらにリチウム二次電池の評価試験を説明する。
図1は、リチウム二次電池100を示している。このリチウム二次電池100は、図1に示すように、捲回電極体200と電池ケース300とを備えている。また、図2は、捲回電極体200を示す図である。図3は、図2中のIII−III断面を示している。
捲回電極体200は、図2に示すように、正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264を有している。正極シート220、負極シート240およびセパレータ262、264は、それぞれ帯状のシート材である。
≪正極シート220≫
正極シート220は、図2に示すように、帯状の正極集電体221(正極芯材)を有している。正極集電体221には、正極に適する金属箔が好適に使用され得る。この正極集電体221には、所定の幅を有する帯状のアルミニウム箔が用いられている。また、正極シート220は、未塗工部222と正極合剤層223とを有している。未塗工部222は正極集電体221の幅方向片側の縁部に沿って設定されている。正極合剤層223は、正極活物質を含む正極合剤224が塗工された層である。正極合剤224は、正極集電体221に設定された未塗工部222を除いて、正極集電体221の両面に塗工されている。
≪正極合剤224、正極活物質≫
ここで、正極合剤224は、正極活物質や導電材やバインダや増粘剤などを溶媒に混ぜ合わせた合剤である。正極活物質には、リチウム二次電池の正極活物質として用いられる物質を使用することができる。正極活物質の例を挙げると、LiNiCoMnO(リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物)、LiNiO(ニッケル酸リチウム)、LiCoO(コバルト酸リチウム)、LiMn(マンガン酸リチウム)、LiFePO(リン酸鉄リチウム)などのリチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここで、LiMnは、例えば、スピネル構造を有している。また、LiNiOやLiCoOは層状の岩塩構造を有している。また、LiFePOは、例えば、オリビン構造を有している。オリビン構造のLiFePOには、例えば、ナノメートルオーダーの粒子がある。また、オリビン構造のLiFePOは、さらにカーボン膜で被覆することができる。
≪導電材≫
導電材としては、例えば、カーボン粉末やカーボンファイバーなどのカーボン材料が例示される。このような導電材から選択される一種を単独で用いてもよく二種以上を併用してもよい。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、などのカーボン粉末を用いることができる。
≪バインダ、増粘剤、溶媒≫
また、バインダとしては、使用する溶媒に溶解又は分散可溶なポリマーを用いることができる。例えば、水性溶媒を用いた正極合剤組成物においては、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)などのセルロース系ポリマー(例えば、ポリビニルアルコール(PVA)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)など)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)などのフッ素系樹脂(例えば、酢酸ビニル共重合体やスチレンブタジエンゴム(SBR)など)、アクリル酸変性SBR樹脂(SBR系ラテックス)などのゴム類;などの水溶性又は水分散性ポリマーを好ましく採用することができる。また、非水溶媒を用いた正極合剤組成物においては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのポリマーを好ましく採用することができる。なお、上記で例示したポリマー材料は、バインダとしての機能の他に、上記組成物の増粘剤その他の添加剤としての機能を発揮する目的で使用されることもあり得る。溶媒としては、水性溶媒および非水溶媒の何れも使用可能である。非水溶媒の好適例として、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)が挙げられる。
正極合剤全体に占める正極活物質の質量割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)であることが好ましく、通常は凡そ70〜95質量%(例えば75〜90質量%)であることがより好ましい。また、正極合剤全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する組成では、正極合剤全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが好ましい。
≪負極シート240≫
負極シート240は、図2に示すように、帯状の負極集電体241(負極芯材)を有している。負極集電体241には、負極に適する金属箔が好適に使用され得る。この実施形態では、負極集電体241には、所定の幅を有する帯状の銅箔が用いられている。また、負極シート240は、未塗工部242と、負極合剤層243とを有している。未塗工部242は負極集電体241の幅方向片側の縁部に沿って設定されている。負極合剤層243は、負極活物質を含む負極合剤244が塗工された層である。負極合剤244は、負極集電体241に設定された未塗工部242を除いて、負極集電体241の両面に塗工されている。
≪負極合剤244≫
ここで、負極合剤244は、負極活物質や導電材やバインダなどを混ぜ合わせた合剤である。負極活物質には、リチウム二次電池の負極活物質として用いられる物質を使用することができる。負極活物質の例を挙げると、天然黒鉛、人造黒鉛、天然黒鉛や人造黒鉛のアモルファスカーボンなどの炭素系材料、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属窒化物などが挙げられる。なお、負極活物質は、それ自体に導電性を有している。このため、導電材は必要に応じて負極合剤244に加えられる。また、この例では、図3に示すように、負極合剤層243の表面には、さらに耐熱層245(HRL:heat-resistant layer)が形成されている。耐熱層245には、主として金属酸化物(例えば、アルミナ)で形成されている。なお、このリチウム二次電池100では、負極合剤層243の表面に耐熱層245が形成されている。図示は省略するが、例えば、セパレータ262、264の表面に耐熱層を形成してもよい。
≪負極活物質≫
また、負極活物質としては、従来からリチウム二次電池に用いられる材料の一種又は二種以上を特に限定なく使用することができる。例えば、少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を含む粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が挙げられる。より具体的には、いわゆる黒鉛質(グラファイト)、難黒鉛化炭素質(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた炭素材料を用いることができる。例えば、天然黒鉛のような黒鉛粒子を使用することができる。また、負極合剤には、負極活物質の分散を維持するべく、負極合剤には適量の増粘剤が混ぜられている。負極合剤には、正極合剤に使われるのと同様の増粘剤やバインダや導電材を使用することができる。
特に限定するものではないが、負極合剤全体に占める負極活物質の割合は凡そ80質量%以上(例えば80〜99質量%)とすることができる。また、負極合剤全体に占める負極活物質の割合は、凡そ90質量%以上(例えば90〜99質量%、より好ましくは95〜99質量%)であることが好ましい。バインダを使用する組成では、負極合剤全体に占めるバインダの割合を、例えば、凡そ0.5〜10質量%とすることができ、通常は凡そ1〜5質量%とすることが好ましい。正極合剤層223や負極合剤層243は、それぞれ正極集電体221又は負極集電体241に塗布し、乾燥させ、さらに圧延することによって形成されている。
リチウム二次電池の製造方法は、合剤用意工程と、塗布工程と、乾燥工程と、圧延工程とを包含している。合剤用意工程は、活物質を含む合剤を用意する工程である。また、塗布工程は、合剤用意工程で用意された合剤を集電体に塗布する工程である。また、乾燥工程は、塗布工程で集電体に塗布された正極合剤を乾燥させる工程である。圧延工程は、乾燥工程で得られた正極合剤層を圧延する工程である。
≪合剤用意工程≫
合剤用意工程では、例えば、上述した電極活物質(正極活物質、負極活物質)や導電材やバインダや増粘剤などを溶媒中で混ぜ合わせ、正極合剤224や負極合剤244が用意される。電極活物質や導電材やバインダや増粘剤などを溶媒中で混ぜ合わせる(混練)操作は、例えば、適当な混練機(プラネタリーミキサー、ホモディスパー、クレアミックス、フィルミックス等)を用いて行うことができる。正極合剤224を形成するにあたっては、先ず、正極活物質や導電材やバインダや増粘剤などを少量の溶媒中で混ぜ合わせ(固練り)、その後、得られた混練物を適量の溶媒で希釈してもよい。あるいは、最初に増粘剤を溶媒中に混ぜ合わせた増粘剤溶液を調製し、この増粘剤溶液に正極活物質や導電材やバインダを混ぜ合わせるようにしてもよい。
≪合剤の塗布≫
塗布工程では、正極合剤224や負極合剤244がシート状集電体(221、241)に塗布される。塗布工程には、従来公知の適当な塗布装置、例えば、スリットコーター、ダイコーター、コンマコーター、グラビアコーターなどを用いることができる。この場合、長尺帯状のシート状集電体を用いることによって、正極合剤224や負極合剤244を集電体に連続して塗布することができる。
≪乾燥工程≫
乾燥工程では、シート状集電体に塗布された正極合剤224や負極合剤244を乾燥させる。この際、マイグレーションを防止するべく、適当な乾燥条件を設定するとよい。この場合、長尺帯状のシート状集電体を用い、乾燥炉内に設けた走行路に沿って集電体を通すことによって、集電体に塗布された正極合剤224や負極合剤244を連続して乾燥させることができる。
≪圧延工程≫
また、圧延工程では、乾燥工程で乾燥した正極合剤層223や負極合剤層243が、厚み方向にプレスされる。これにより、目的とする性状のシート状正極(正極シート)が得られる。上記プレスを行う方法としては、従来公知のロールプレス法、平板プレス法などを適宜採用することができる。
≪セパレータ262、264≫
セパレータ262、264は、正極シート220と負極シート240とを隔てる部材である。この例では、セパレータ262、264は、微小な孔を複数有する所定幅の帯状のシート材で構成されている。セパレータ262、264には、例えば、多孔質ポリオレフィン系樹脂で構成された単層構造のセパレータや積層構造のセパレータがある。この例では、図2および図3に示すように、負極合剤層243の幅b1は、正極合剤層223の幅a1よりも少し広い。さらにセパレータ262、264の幅c1、c2は、負極合剤層243の幅b1よりも少し広い(c1、c2>b1>a1)。
≪捲回電極体200≫
捲回電極体200の正極シート220および負極シート240は、セパレータ262、264を介在させた状態で重ねられ、かつ、捲回されている。
この例では、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264は、図2に示すように、長さ方向を揃えて、正極シート220、セパレータ262、負極シート240、セパレータ264の順で重ねられている。この際、正極合剤層223と負極合剤層243には、セパレータ262、264が重ねられる。また、負極合剤層243の幅は正極合剤層223よりも少し広く、負極合剤層243は正極合剤層223を覆うように重ねられている。これにより、充放電時に、正極合剤層223と負極合剤層243との間で、リチウムイオン(Li)がより確実に行き来する。
さらに、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とは、セパレータ262、264の幅方向において互いに反対側にはみ出るように重ねられている。重ねられたシート材(例えば、正極シート220)は、幅方向に設定された捲回軸周りに捲回されている。
なお、かかる捲回電極体200は、正極シート220と負極シート240とセパレータ262、264を所定の順に重ねつつ捲回する。この工程において、各シートの位置をEPC(edge position control)のような位置調整機構で制御しつつ各シートを重ねる。この際、セパレータ262、264が介在した状態ではあるが、負極合剤層243は正極合剤層223を覆うように重ねられる。
≪電池ケース300≫
また、この例では、電池ケース300は、図1に示すように、いわゆる角型の電池ケースであり、容器本体320と、蓋体340とを備えている。容器本体320は、有底四角筒状を有しており、一側面(上面)が開口した扁平な箱型の容器である。蓋体340は、当該容器本体320の開口(上面の開口)に取り付けられて当該開口を塞ぐ部材である。
車載用の二次電池では、燃費向上のため、重量エネルギー効率(単位重量当りの電池の容量)を向上させることが望まれる。このため、電池ケース300を構成する容器本体320と蓋体340は、アルミニウムやアルミニウム合金などの軽量金属(この例では、アルミニウム)を採用することが望まれる。これにより重量エネルギー効率を向上させることができる。
この電池ケース300は、捲回電極体200を収容する空間として、扁平な矩形の内部空間を有している。また、図1に示すように、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、捲回電極体200よりも横幅が少し広い。この実施形態では、電池ケース300の内部空間には、捲回電極体200が収容されている。捲回電極体200は、図1に示すように、捲回軸に直交する一の方向において扁平に変形させられた状態で電池ケース300に収容されている。
この実施形態では、電池ケース300は、有底四角筒状の容器本体320と、容器本体320の開口を塞ぐ蓋体340とを備えている。ここで、容器本体320は、例えば、深絞り成形やインパクト成形によって成形することができる。なお、インパクト成形は、冷間での鍛造の一種であり、衝撃押出加工やインパクトプレスとも称される。
また、電池ケース300の蓋体340には、電極端子420、440が取り付けられている。電極端子420、440は、電池ケース300(蓋体340)を貫通して電池ケース300の外部に出ている。また、蓋体340には安全弁360が設けられている。
この例では、捲回電極体200は、電池ケース300(この例では、蓋体340)に取り付けられた電極端子420、440に取り付けられている。捲回電極体200は、捲回軸に直交する一の方向において扁平に押し曲げられた状態で電池ケース300に収納されている。また、捲回電極体200は、セパレータ262、264の幅方向において、正極シート220の未塗工部222と負極シート240の未塗工部242とが互いに反対側にはみ出ている。このうち、一方の電極端子420は、正極集電体221の未塗工部222に固定されており、他方の電極端子440は、負極集電体241の未塗工部242に固定されている。
また、この例では、図1に示すように、蓋体340の電極端子420、440は、捲回電極体200の未塗工部222、未塗工部242の中間部分222a、242aに延びている。当該電極端子420、440の先端部は、未塗工部222、242のそれぞれの中間部分に溶接されている。図4は、捲回電極体200の未塗工部222、242と電極端子420、440との溶接箇所を示す側面図である。
図4に示すように、セパレータ262、264の両側において、正極集電体221の未塗工部222、負極集電体241の未塗工部242はらせん状に露出している。この実施形態では、これらの未塗工部222、242をその中間部分において、それぞれ寄せ集め、電極端子420、440の先端部に溶接している。この際、それぞれの材質の違いから、電極端子420と正極集電体221の溶接には、例えば、超音波溶接が用いられる。また、電極端子440と負極集電体241の溶接には、例えば、抵抗溶接が用いられる。
このように、捲回電極体200は、扁平に押し曲げられた状態で、蓋体340に固定された電極端子420、440に取り付けられている。かかる捲回電極体200は、容器本体320の扁平な内部空間に収容される。容器本体320は、捲回電極体200が収容された後、蓋体340によって塞がれる。蓋体340と容器本体320の合わせ目322(図1参照)は、例えば、レーザ溶接によって溶接されて封止されている。このように、この例では、捲回電極体200は、蓋体340(電池ケース300)に固定された電極端子420、440によって、電池ケース300内に位置決めされている。
≪電解液≫
その後、蓋体340に設けられた注液孔から電池ケース300内に電解液が注入される。電解液は、この例では、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとの混合溶媒(例えば、体積比1:1程度の混合溶媒)にLiPFを約1mol/リットルの濃度で含有させた電解液が用いられている。その後、注液孔に金属製の封止キャップを取り付けて(例えば溶接して)電池ケース300を封止する。なお、電解液としては、従来からリチウム二次電池に用いられる非水電解液を使用することができる。
≪ガス抜け経路≫
また、この例では、当該電池ケース300の扁平な内部空間は、扁平に変形した捲回電極体200よりも少し広い。捲回電極体200の両側には、捲回電極体200と電池ケース300との間に隙間310、312が設けられている。当該隙間310、312は、ガス抜け経路になる。
かかる構成のリチウム二次電池100は、過充電が生じた場合に温度が高くなる。リチウム二次電池100の温度が高くなると、電解液が分解されてガスが発生する。発生したガスは、捲回電極体200の両側における捲回電極体200と電池ケース300との隙間310、312、および、安全弁360を通して、スムーズに外部に排気される。かかるリチウム二次電池100では、正極集電体221と負極集電体241は、電池ケース300を貫通した電極端子420、440を通じて外部の装置に電気的に接続される。
≪他の電池形態≫
なお、上記はリチウム二次電池の一例を示すものである。リチウム二次電池は上記形態に限定されない。また、同様に金属箔に電極合剤が塗工された電極シートは、他にも種々の電池形態に用いられる。例えば、他の電池形態として、円筒型電池やラミネート型電池などが知られている。円筒型電池は、円筒型の電池ケースに捲回電極体を収容した電池である。また、ラミネート型電池は、正極シートと負極シートとをセパレータを介在させて積層した電池である。なお、上記はリチウム二次電池100を例示しているが、リチウム二次電池以外の二次電池でも、同様の構造を採用し得る。
以下、この実施形態における正極合剤層223を説明する。
≪正極合剤層223≫
図5は、リチウム二次電池100の正極シート220の断面図である。なお、図5において、正極合剤層223の構造が明確になるように、正極合剤層223中の正極活物質610と導電材620を大きく模式的に表している。この実施形態では、正極シート220は、図5に示すように、正極集電体221の両面にそれぞれ正極合剤224が塗工されている。かかる正極合剤224の層(正極合剤層223)には、正極活物質610と導電材620とバインダ630が含まれている。
≪正極活物質610≫
ここでは、正極活物質610はリチウム遷移金属酸化物の一次粒子(図示省略)が複数集合した二次粒子で構成されている。かかる二次粒子の粒径は、約3μm〜12μmであり、より好ましくは約3μm〜8μmである。なお、ここで、粒径には、光散乱法に基づく粒度分布測定器によって測定される粒度分布から求められるメジアン径(d50)が採用されている。以下、特に言及しない場合、「正極活物質610」は二次粒子を意味する。また、正極活物質610には、このように一次粒子(図示省略)が複数集合して二次粒子を構成し得る粒子を用いるのが好ましい。かかるリチウム遷移金属酸化物を主たる成分とする正極活物質610自体には導電性がない。この実施形態では、正極集電体221と正極活物質610との間の電子の行き来を確保することができる程度に、正極合剤層223に適当な量の導電材620が含まれている。
≪導電材620≫
導電材620は、アセチレンブラック、オイルファーネスブラック、黒鉛化カーボンブラック、カーボンブラック、黒鉛、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末などのカーボン粉末を用いることができる。この場合、導電材620は、一種、或いは、複数種のカーボン粉末を所定割合で混ぜてもよい。ここでは、導電材620は、正極活物質610よりも粒径が小さい。導電材620の粒径は、例えば、約10μm〜100μmである。
≪正極合剤層223の空孔≫
正極合剤層223では、図5に示すように、バインダ630の作用によって各粒子が結合している。かかる正極合剤層223は、正極活物質610や導電材620がバインダ630によって接合された状態なので、各粒子間に微小な空洞が多く存在している。また、導電材620は、正極活物質610(二次粒子)に比べて小さく、正極活物質610の複数の隙間に入り込んでいる。正極活物質610と正極集電体221とは、かかる導電材620によって電気的に接続されている。また、正極合剤層223には、空洞とも称すべき微小な隙間を有している。正極合剤層223の微小な隙間には電解液(図示省略)が浸み込む。
この実施形態では、正極合剤層223の多孔度(空孔率)は、概ね20%〜60%が適当であり、好ましくは30%〜50%であり、特に好ましくは40%〜50%である。単純に、正極合剤層223の多孔度を大きくするだけでは、正極活物質610と導電材620の粒子間の接触が少なくなり出力特性が低下することがあり、また、正極合剤層223の強度が不足することがある。一方、正極合剤層223の多孔度が小さすぎると、正極合剤層223の内部に浸み込む電解液の量が少なくなり、正極活物質610と電解液との間でリチウムイオン(Li)の行き来が難しくなる。このため、電池抵抗が上がる要因となる。
また、正極合剤層223は、上述したように正極合剤224を集電体(金属箔)221に塗布し、乾燥させ、圧延したものである。図6(a)は圧延前における正極合剤層225の断面を模式的に示す図であり、図6(b)は圧延後における正極合剤層223の断面を模式的に示す図である。この実施形態では、図6(a)に示すように、圧延前における正極合剤層225の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である。また、正極合剤層223における正極活物質610のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aである。さらに、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さBが、20(mg/cm)≦Bである。
以下、DBP吸収量A、正極合剤層223の重さB、圧延前における正極合剤層225の密度Cを順に説明する。
≪正極活物質のDBP吸収量A≫
DBP吸収量A(mL/100g)は、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して求める。ここでは、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を用い、検査対象粉末に定速度ビュレットで滴定し、粘度特性の変化をトルク検出器によって測定する。そして、発生した最大トルクの70%のトルクに対応する、検査対象粉末の単位重量当りの試薬液体の添加量をDBP吸収量(mL/100g)とする。DBP吸収量Aの測定器としては、例えば、株式会社あさひ総研の吸収量測定装置S410を使用するとよい。かかるDBP吸収量Aは、正極合剤層223に含浸した電解液がどの程度、正極活物質610に吸収され得るかを示している。すなわち、DBP吸収量Aが高ければ高いほど、正極合剤層223に含浸した電解液が、正極活物質610に吸収され易いことを示している。
≪正極合剤層の重さ(目付け量)B≫
集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さBは、塗布工程での正極合剤224の目付け量(塗工重量)Bに相当する。ここでいう正極合剤224の目付け量B(mg/cm)とは、溶媒を除いた乾燥時の正極合剤224の目付け量(固形分換算)である。正極合剤224の目付け量Bは、正極合剤224を集電体221に塗布する際の塗布条件を変えることにより任意に制御するとよい。例えば、正極合剤224の集電体221に対する塗布流量や集電体221の搬送速度を調整して任意に制御することができる。
≪圧延前における正極合剤層の密度C≫
次に、圧延前における正極合剤層225の密度Cとは、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の密度Cであり、次の手順1〜4に沿って測定することができる。
手順1:乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225が塗工された正極シート220から試験片(この例では直径4cmの円形片)を切り出し、その厚み及び質量を測定する。
手順2:試験片から正極合剤層225を除去し、正極集電体221の厚み及び質量を測定する。
手順3:手順1で得られた試験片の厚み及び質量から、手順2で得られた正極集電体221の厚み及び質量を差し引いて、正極合剤層225のみの厚みd及び質量wを求める。
手順4:手順3で得られた正極合剤層225の厚みdと、試験片の平面視での面積s(この例では2cm×2cm×π)との積から、正極合剤層225の見かけの体積(空孔を含む見かけの体積)v=d×sを求め、圧延前における正極合剤層225の密度Cを下記式により算出する。
圧延前における正極合剤層225の密度C(g/cm)=正極合剤層225の質量w(g)/正極合剤層225の見かけの体積v(cm
試験片や正極集電体221の厚みは、例えばMitsutoyo社製のABSデジマティックインジケーターを用いて簡易に測定することができる。
このリチウム二次電池100では、正極シート220の正極合剤層223において、圧延前における正極合剤層225の密度Cが、1.3g/cm≦B≦1.7g/cmである。また、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さBが、20(mg/cm)≦Cである。さらに、正極合剤層223における正極活物質610のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aである。
ここで、リチウム二次電池においては、大容量と高出力とを両立させることが困難であった。即ち、図6(b)に示すように、正極合剤層223の多孔度を一定にした場合、正極合剤層223の厚みdを厚くすると、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さ(正極合剤224の目付け量)Bが増える。このため、大きな容量を実現できるが、その分、内部抵抗が上がるので出力特性が低下してしまう。反対に、正極合剤層223の厚みdを薄くすると、内部抵抗が下がるので高い出力を実現できる。しかし、その分、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さ(正極合剤224の目付け量)Bが減るので容量が低下してしまう。
これに対し、本実施形態によれば、正極合剤層223における正極活物質610のDBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aであるので、正極合剤層223に含浸した電解液が、正極活物質610に吸収され易く、この正極合剤層223では電解液が不足する液枯れが生じ難い。そのため、出力特性が向上する。さらに、図6(a)に示すように、圧延前における正極合剤層225の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)と比較的低く、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層がかさ高い。そのため、圧延前における正極合剤層225の厚みDが大きくなる。この場合、図6(b)に示すように、所定の厚みdに圧延した場合に、圧延前と圧延後の厚みの変化率が大きくなる。厚みの変化率が大きいほど、正極活物質610と導電材620が、正極合剤層223中の空隙を埋めていく作用が強く働くので、正極活物質610と導電材620を密に集合させることができると考えられる。これにより、正極活物質610と導電材620との導電パスがより確実に形成され、正極合剤層223の導電性がより高く、かつ、正極合剤層223の内部抵抗がより低くなる。このため、高出力なリチウム二次電池を得ることができる。
さらに、かかる構成によれば、特に、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さ(塗布工程での正極合剤224の目付け量)Bが20(mg/cm)を超えるような高目付けとした場合でも、正極合剤層223の導電性がより高く、かつ、正極合剤層223の内部抵抗がより低くなる。したがって、本構成によれば、集電体221の単位面積当りの正極合剤層223の重さ(塗布工程での正極合剤224の目付け量)Bを20(mg/cm)≦Bとした高目付けとし、大容量と高出力の双方を高いレベルで満足させた最適なリチウム二次電池を得ることができる。
本発明者は、以下のような評価試験を行った。そして、図1及び図5に示すように、正極活物質610のDBP吸収量A、正極合剤224の目付け量B、及び圧延前における正極合剤層225の密度Cが、リチウム二次電池100の出力特性にどのような影響を与えるかを調べた。
かかる評価試験では、正極活物質610について、DBP吸収量(ml/100g)がそれぞれ異なる正極活物質610を用意した。そして、正極合剤224の目付け量(mg/cm)、及び、圧延前の正極合剤層225の密度(g/cm)を変えて、正極シート220を作製した。ここでは、圧延後の正極合剤層223の密度及び多孔度は一定とした。さらに、当該正極シート220を用いて評価試験用の電池を製作した。そして、当該評価試験用の電池を用いて出力特性試験を行い、上述した正極活物質610のDBP吸収量A、正極合剤224の目付け量B、及び圧延前における正極合剤層225の密度Cが、電池性能に与える影響を評価した。
≪評価試験における正極シートの作製≫
この評価試験では、正極活物質610として、Li1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332で表わされる組成の活物質粒子を用いた。ただし、活物質粒子の生成処理を工夫し、活物質粒子の二次粒子において、多孔質にしたり、中空形状にしたり、球形に近い粒子にしたり、異形形状の粒子にしたりして、互いに構造が異なる正極活物質610を用意した。
サンプル1では、正極活物質610としてのLi1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332粉末と、導電材620としてのアセチレンブラック(AB)と、バインダ630としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを、これらの材料の質量比が87:10:3となるようにN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で混合して、正極合剤224を調製した。この正極合剤224を、長尺シート状の厚み15μmのアルミニウム箔の両面に帯状に塗布して乾燥することにより、正極集電体221の両面に正極合剤層223が設けられた正極シート220を作製した。正極合剤224の目付け量(塗布量)は、両面合わせて約10mg/cm(固形分基準)となるように調節した。乾燥後、正極合剤層223の密度が約2.0g/cm(多孔度が約43%)となるように圧延(プレス)した。なお、圧延前における正極合剤層225の密度は約1.45g/cmであった。
また、サンプル2〜15では、サンプル1と同様にして、ただし、正極活物質のDBP吸収量(mL/100g)、正極合剤の目付け量(mg/cm)、及び、圧延前における正極合剤層の密度(g/cm)を表1のように変更して、正極シート220を作製した。なお、各サンプル1〜15においては、圧延後における正極合剤層223の密度及び多孔度をそれぞれ一定とした(圧延後における正極合剤層の密度:約2.0g/cm、多孔度:約43%)。
Figure 2012114048
次に、このようにして作製したサンプル1〜15に係る正極シートを用いて評価試験用のリチウム二次電池を作製した。評価試験用のリチウム二次電池は、以下のようにして作製した。
≪評価試験における負極シートの作製≫
負極活物質としては、グラファイト粉末を用いた。まず、グラファイト粉末と、バインダとしてのスチレンブタジエンゴム(SBR)と増粘剤としてのカルボキシメチルセルロース(CMC)とを、これらの材料の質量比が98:1:1となるように水に分散させて負極合剤244を調製した。この負極合剤244を長尺シート状の銅箔(負極集電体241)の両面に塗布し、負極集電体241の両面に負極合剤層243が設けられた負極シート240を作製した。
≪評価試験用の電池800の作製≫
ここで作成した評価試験用の電池800は、図7に示すように、いわゆる18650型セルと呼ばれる円筒型のリチウムイオン二次電池である。
この評価試験用の電池800は、図7に示すように、正極シート810と負極シート820との間にセパレータ830、840が介在した捲回電極体850を備えている。捲回電極体850は、正極シート810と、負極シート820と、二枚のセパレータ830、840とを積層し、その積層シートを捲回することによって作製されている。ここで、評価試験用の電池800の正極シート810と負極シート820は、上述したリチウムイオン二次電池100の正極シート220又は負極シート240(図1参照)と概ね同様の断面構造とした。また、セパレータ830、840は、厚さ20μmの多孔質ポリエチレンシートを用いた。かかる捲回電極体850を非水電解液(図示省略)とともに外装ケース860に収容して、評価試験用の電池800(評価試験用の18650型リチウムイオン電池)を構築した。外装ケース860には、図7に示すように、略円筒形状であり、円筒形状の両側端部に、正極シート810と負極シート820に内部で接続された電極端子870、880が設けられている。また、この評価試験用の電池800では、非水電解液として、ECとDMCとEMCとを3:3:4の体積比で含む混合溶媒に1mol/Lの濃度でLiPFを溶解した組成の非水電解液を使用した。
≪定格容量の測定≫
次に、上記のように構築した評価試験用のリチウム二次電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって定格容量を測定した。
手順1:1Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電を2時間行い、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電を2.5時間行い、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって、3.0Vに到達後、定電圧放電を2時間行い、10秒間停止する。
定格容量:手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。
上記評価試験用のリチウム二次電池の定格容量は、正極合剤の目付け量を10mg/cm、20mg/cm、30mg/cm、40mg/cm、50mg/cm、60mg/cmとした順に、約200mAh、約400mAh、約600mAh、約800mAh、約1000mAh、約1200mAhであった。
≪出力特性の測定≫
次に、上記のように構築した評価試験用のリチウム二次電池について、出力特性の測定を行い、その性能を評価した。出力特性は、以下の手順によって求めた。なお、測定の温度環境は25℃とした。
手順1:1Cの定電流充電によって60%の充電状態(SOC60%)とし、当該SOC60%にて定電圧充電を2.5時間行い、10秒間休止させる。
手順2:定ワット放電として、上記手順1によるSOC60%の状態から、定ワットにて放電する。そして、2.5Vまでの秒数を測定する。
手順3:手順2における定ワットの条件を5〜60Wの範囲で変えて、手順1と、手順2を繰り返す。
手順4:各W条件にて測定された2.5Vまでの秒数を横軸にとり、そのときのWを縦軸にとり、近似曲線から10秒時のWを算出する。
ここでは、手順4で求められたWを出力特性とした。
その結果を表1及び図8に示す。図8は、正極合剤の目付け量B(mg/cm)と出力特性(W)との関係を示すグラフである。
表1及び図8に示すように、正極合剤の目付け量Bが同じ場合、正極活物質のDBP吸収量A(mL/100g)を30≦A≦54とし、かつ、圧延前における正極合剤層の密度C(g/cm)を1.3≦B≦1.7としたサンプル1〜3、13、14は、他のサンプル7〜12、14に比べて、出力特性が大幅に向上した。
例えば、正極合剤の目付け量Bが30mg/cmの場合、サンプル9、12、15は、正極活物質のDBP吸収量A(mL/100g)が、それぞれ23、23、60であり、かつ圧延前における正極合剤層の密度C(g/cm)が、それぞれ1.63、1.79、1.24である。そして、出力特性(W)は、それぞれ27.4、26.5、26.3であり、他のサンプル3、14、15に比べて、出力が格段に低下した。
これに対し、他のサンプル3、14、15は、正極活物質のDBP吸収量A(mL/100g)が、それぞれ40、30、54であり、かつ圧延前における正極合剤層の密度C(g/cm)が、それぞれ1.45、1.7、1.37である。そして、出力特性(W)は、それぞれ36.7、32.3、38.9であり、サンプル9、12、15に比べて、出力特性が大幅に向上した。
このように、正極合剤の目付け量Bが同じ場合、正極活物質のDBP吸収量A(mL/100g)を30≦A≦54とし、かつ、圧延前における正極合剤層の密度C(g/cm)を1.3≦B≦1.7とすることにより、リチウム二次電池の性能、特に出力特性が概ね向上するとの傾向がみられた。
なお、ここで供試した電池の場合、正極活物質のDBP吸収量Aが増大するに従い出力特性が増大傾向となった。例えば正極合剤の目付け量Bが30mg/cmの場合、正極活物質のDBP吸収量Aを30(mL/100g)以上とすることによって、30W以上という高い出力特性を達成できた(サンプル3、13、14)。この結果から、DBP吸収量Aの下限は、概ね30(mL/100g)≦Aであることが適当であり、好ましくは35(mL/100g)≦Aであり、特に好ましくは40(mL/100g)≦Aである。また、DBP吸収量Aが60(mL/100g)を超えると、かえって出力特性が低下する事象も見られた(サンプル15)。このため、DBP吸収量Aの上限は、概ねA≦54(mL/100g)であることが適当であり、より好ましくはA≦50(mL/100g)である。DBP吸収量Aが60(mL/100g)を超えると、出力特性が低下する理由としては、圧延後の極板状態が著しく悪化するためであると考えられる。
また、ここで供試した電池の場合、圧延前における正極合剤層の密度Cが低下するに従い出力特性が増大傾向となった。例えば正極合剤の目付け量Bが30mg/cmの場合、圧延前の合剤密度Cを1.7(g/cm)以下とすることによって、30W以上という高い出力特性を達成できた(サンプル3、13、14)。この結果から、圧延前の合剤密度Cの上限は、概ねB≦1.7(g/cm)であることが適当であり、好ましくはB≦1.63(g/cm)であり、特に好ましくはB≦1.45(g/cm)である。また、圧延前の合剤密度Cが1.24(g/cm)以下になると、かえって出力特性が低下する事象も見られた。このため、圧延前の合剤密度Cの下限は、1.3(g/cm)≦Bであることが適当である。圧延前の合剤密度Cが1.24(g/cm)以下になると、出力特性が低下する理由としては、圧延後の極板状態が著しく悪化するためであると考えられる。
さらに、サンプル1〜15を比較すると、DBP吸収量A及び圧延前の合剤密度Cが同じ場合、正極合剤の目付け量Bが増大するに従い出力特性が低下傾向となった。例えば、サンプル10〜12は、DBP吸収量Aが23(mL/100g)であり、かつ圧延前の合剤密度Cが1.79(g/cm)である。そして、目付け量B(mg/cm)が10、20、30と増えるにつれて、出力特性(W)が38.2、33.9、26.5と各段に落ち込んだ。
これに対し、DBP吸収量Aを40(mL/100g)とし、かつ圧延前の合剤密度Cを1.45(g/cm)としたサンプル1〜3は、目付け量B(mg/cm)を10、20、30と増やした場合でも、サンプル10〜12に比べて、出力特性の落ち込みが少なく、36.7W以上という極めて高い出力特性を維持していた。
これらの結果から、DBP吸収量A(mL/100g)を30≦A≦54とし、かつ、圧延前の密度C(g/cm)を1.3≦B≦1.7とすることにより、目付け量Bを大きくした場合でも、良好な出力特性を維持し得ることが確認できた。大容量化の観点からは、正極合剤の目付け量Bの下限は、概ね20(mg/cm)≦Cが適当であり、好ましくは30(mg/cm)≦Cであり、特に好ましくは40(mg/cm)≦Cである。一方、高出力化の観点からは、正極合剤の目付け量Bの上限は、概ねC≦60(mg/cm)が適当であり、好ましくはC≦50(mg/cm)であり、特に好ましくはC≦40(mg/cm)である。大容量と高出力の双方の兼ね合いからは、概ね20(mg/cm)≦C≦60(mg/cm)が適当であり、好ましくは30(mg/cm)≦C≦50(mg/cm)であり、特に好ましくは35(mg/cm)≦C≦45(mg/cm)である。
なお、上述した効果は、正極合剤層223の構造的な特徴に起因し、上記の条件を満たす限りにおいて、正極活物質や導電材の種類(材質)によらず、概ね同様な効果が得られる。例えば、リチウム二次電池100(図1参照)は、所要の目付け量Bが得られるように、正極合剤層223の形成工程における、正極合剤224の塗布条件(正極合剤224の供給流量や集電体の搬送速度)を適切に選択するとよい。また、所要の圧延前の合剤密度Cが得られるように、正極合剤層223の構成材料やその組成比を適切に選択するとよい。また、かかる正極合剤層223には、所要のDBP吸収量(mL/100g)を有する正極活物質610(図5参照)を用いると良い。かかる正極活物質610には、異型形状や、多孔質の活物質などを選択するとよい。
≪好適な正極活物質610の例示≫
以下、上述した正極合剤層223を実現するのに好適な正極活物質610を例示する。
上述したように、圧延前の正極合剤層225の密度Cが小さくなるほど、二次電池の出力特性を向上させる傾向がある。しかし、中実の粒子からなる正極活物質610では、圧延前における正極合剤層225の密度Cを小さくするのに限界がある。さらに、正極活物質610のDBP吸収量Aを大きくするのにも限界がある。このため、圧延前の正極合剤層225の密度Cを小さくし、なおかつ、正極活物質610のDBP吸収量Aを大きくするには、それに適した正極活物質610の選定が重要になる。
そこで、本発明者は、正極活物質610自体に空孔があり、圧延前の正極合剤層225の密度Cを低下させる正極活物質610を選択することを検討した。かかる正極活物質610としては、図示は省略するが、例えば、正極活物質610の粒子をスプレードライ法によって造粒し、内部に微小な空孔を有する粒子構造としてもよい。このような正極活物質610を用いることによっても、圧延前の正極合剤層225の密度Cを低下させることができる。
例えば、正極活物質610は、リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が複数集合した二次粒子で形成されていてもよい。この場合、例えば、図9に示すように、二次粒子910に中空部920が形成された正極活物質610aを用いてもよい。かかる正極活物質610aによれば、二次粒子910に中空部920が形成されているため、当該中空部920によって正極合剤層223内の空孔が増えるので、圧延前の正極合剤層223の密度を低下させることができる。また、図9に示す形態においては、望ましくは二次粒子910において一次粒子900間に図示されない程度の微細の細孔が多数形成されており、中空部920に電解液が浸み込みうるように構成するとよい。これにより、中空部920内部でも一次粒子900が活用されるので、二次電池の出力性能を向上させることができる。以下、かかる中空部920を有する正極活物質610aの構造を適宜に「中空構造」という。
また、他の形態として、例えば、図10に示すように、正極活物質610bは、さらに、中空部920と外部とを繋げるように、二次粒子910を貫通した貫通孔930を有していてもよい。以下、かかる貫通孔930を有する正極活物質610bの構造を、適宜に「孔開き中空構造」という。
かかる正極活物質610bによれば、貫通孔930を通して中空部920と外部とで電解液が行き来し易くなり、中空部920の電解液が適当に入れ替わる。このため、中空部920内で電解液が不足する液枯れが生じ難い。このため、中空部920内部で、正極活物質610bの一次粒子900がより活発に活用され得る。このため、二次電池の出力特性をさらに向上させることができる。
この場合、貫通孔930の開口幅kが平均0.01μm以上であるとよい。これにより、中空部920の内部に、より確実に電解液が入り込み、上記の効果が得られ易くなる。また、貫通孔930の開口幅kが平均2.0μm以下であるとよい。ここで、貫通孔930の開口幅kとは、活物質粒子の外部から二次粒子を貫通して中空部920に至る経路の中で、最も貫通孔930が狭い部分における差渡し長さ(貫通孔930の内径)をいう。なお、中空部920に複数の貫通孔930がある場合には、複数の貫通孔930のうち、最も大きい開口幅kを有する貫通孔930で評価するとよい。また、貫通孔930の開口幅kは平均2.0μm以下、より好ましくは平均1.0μm以下、さらに好ましくは平均0.5μm以下であってもよい。
また、貫通孔930の数は、正極活物質610bの一粒子当たり平均1〜20個程度でもよく、より好ましくは、平均1〜5個程度でもよい。かかる構造の正極活物質610bによると、良好な電池性能をより安定して発揮することができる。なお、孔開き中空構造の正極活物質610bの貫通孔930の数は、例えば、任意に選択した少なくとも10個以上の活物質粒子について一粒子当たりの貫通孔数を把握し、それらの算術平均値を求めるとよい。かかる孔開き中空構造の正極活物質610bを製造する方法は、例えば、原料水酸化物生成工程、混合工程、焼成工程を含んでいるとよい。
ここで、原料水酸化物生成工程は、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオンを供給して、遷移金属水酸化物の粒子を水性溶液から析出させる工程である。水性溶液は、リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素の少なくとも一つを含んでいるとよい。さらに、原料水酸化物生成工程は、pH12以上かつアンモニウムイオン濃度25g/L以下で水性溶液から遷移金属水酸化物を析出させる核生成段階と、その析出した遷移金属水酸化物をpH12未満かつアンモニウムイオン濃度3g/L以上で成長させる粒子成長段階とを含んでいるとよい。
また、混合工程は、原料水酸化物生成工程で得られた遷移金属水酸化物の粒子とリチウム化合物とを混合して未焼成の混合物を調製する工程である。また、焼成工程は、混合工程で得られた混合物を焼成して活物質粒子を得る工程である。かかる製造方法によると、孔空き中空構造の正極活物質610bを適切に製造することができる。
また、この場合、焼成工程は、最高焼成温度が800℃〜1100℃となるように行うとよい。このことによって、上記一次粒子を十分に焼結させることができるので、所望の平均硬度を有する活物質粒子が好適に製造され得る。この焼成工程は、例えば、中空部920および貫通孔930以外の部分では一次粒子の粒界に実質的に隙間が存在しない二次粒子が形成されるように行うことが好ましい。
また、焼成工程は、混合物を700℃以上900℃以下の温度T1で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下であって且つ第一焼成段階における焼成温度T1よりも高い温度T2で焼成する第二焼成段階とを含んでもよい。
ここに開示される活物質粒子製造方法の好ましい一態様では、焼成工程が、混合物を700℃以上900℃以下の温度T1で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下であって且つ第一焼成段階における焼成温度T1よりも高い温度T2で焼成する第二焼成段階とを含む。これら第一および第二の焼成段階を含む態様で上記混合物を焼成することにより、ここに開示される好ましい孔開き中空構造を有する活物質粒子が適切に製造され得る。また、例えば、焼成工程を適当に工夫することによって、同様の方法により、図9に示すような「中空構造」の正極活物質610aを得ることもできる。
また、正極活物質610のBET比表面積は、0.5〜1.9m/gであることが好ましい。このようなBET比表面積を満たす正極活物質610は、リチウム二次電池100の正極に用いられて、より高い性能を安定して発揮する電池を与えるものであり得る。例えば、内部抵抗が低く(換言すれば、出力特性が良く)、且つ充放電サイクル(特に、ハイレートでの放電を含む充放電サイクル)によっても抵抗の上昇の少ないリチウム二次電池が構築され得る。
正極活物質610a、610bのBET比表面積が小さすぎると、電池性能を向上させる効果(例えば、内部抵抗を低減する効果)が少なくなりがちである。一方、BET比表面積が大きすぎると、充放電サイクルによる劣化を抑える効果が低下傾向となることがあり得る。ここに開示される好ましいBET比表面積を満たす中空構造の正極活物質610a、610bによると、ハイレート特性の向上(例えば、ハイレートサイクル試験のようなハイレートサイクルによる抵抗上昇の抑制、ハイレート放電性能の向上、などのうちの少なくとも一つ)と磨耗劣化の防止(例えば、耐久性試験のような耐久サイクルに対する抵抗上昇の抑制、容量維持率の向上、などのうち少なくとも一つ)とが同時に実現され得る。
上述した「中空構造」の正極活物質610aや「孔開き中空構造」の正極活物質610bは、BET比表面積が0.5〜1.9m/gである正極活物質610の好適な一形態となり得る。
また、「中空構造」の正極活物質610aや「孔開き中空構造」の正極活物質610bは、例えば、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック硬度測定において、平均硬度が0.5MPa以上であってもよい。
ここに開示される活物質粒子の他の好ましい一態様では、中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bの平均硬度は、概ね0.5MPa以上である。ここで、平均硬度とは、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック硬度測定により得られる値をいう。このように、図9や図10に示すような中空構造であって且つ平均硬度の高い(換言すれば、形状維持性の高い)活物質粒子は、より高い性能を安定して発揮する電池を与えるものであり得る。このため、例えば、内部抵抗が低く(換言すれば、出力特性が良く)、且つ充放電サイクル(特に、ハイレートでの放電を含む充放電サイクル)によっても抵抗の上昇の少ないリチウム二次電池を構築するのに寄与し得る。
また、かかる中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bは、ニッケルを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物であってもよい。また、中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bは、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物であってもよい。
また、かかる中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bは、例えば、平均粒径が凡そ3μm〜10μm程度の範囲が好ましい。また、孔開き中空構造の正極活物質610bの貫通孔930の平均開口サイズは、正極活物質610bの平均粒径の1/2以下であることが好ましい。かかる正極活物質610bは、上記平均開口サイズが適切な範囲にあるので、孔開き中空構造を有することによる電池性能向上効果(例えば、内部抵抗を低減する効果)を適切に発揮しつつ、所望の平均硬度を容易に確保することができる。したがって、良好な電池性能をより安定して発揮することができる。
また、かかる中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bを用いることによって、中空部920の中までDBP(ジブチルフタレート)が入り込むため、DBP吸収量Aを大きくすることが容易になる。また、かかる中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bは、中実の正極活物質を用いる場合に比べて嵩高い。このため、同じ重量の正極活物質を用いる場合には、中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bは、中実の正極活物質よりも圧延前の正極合剤層223の密度Cを小さくすることが容易になる。さらに、孔開き中空構造では、正極活物質610の二次粒子910の中空部920に電解液が導入され易く、リチウムイオン(Liイオン)の放出や吸収に寄与する正極活物質610の量が多くなる。このため、正極活物質610は、好ましくは中空構造の正極活物質610aを用いると良く、より好ましくは孔開き中空構造の正極活物質610bを用いるとよい。
以上、リチウム二次電池100の正極合剤層223に含まれる正極活物質として、適当な正極活物質の一例を挙げたが、本発明に係るリチウム二次電池100の正極活物質としては、上記に特に限定されない。また、正極活物質は、上記に限らず、一次粒子をスプレードライ法によって造粒し、内部に微小な空孔を有する多孔質の二次粒子を採用してもよい。
≪リチウム二次電池の製造方法≫
また、ここで開示されるリチウム二次電池の製造方法は、合剤用意工程と、塗布工程と、乾燥工程と、圧延工程とを包含する。ここで、合剤用意工程には、正極活物質610及び導電材620を含む正極合剤224を用意する工程が含まれている。塗布工程には、合剤用意工程で用意された正極合剤224を集電体221に塗布する工程が含まれている。乾燥工程には、塗布工程で集電体221に塗布された正極合剤224を乾燥させる工程が含まれている。圧延工程には、乾燥工程で得られた正極合剤層225を圧延する工程が含まれている。このリチウム二次電池の製造方法では、さらに正極活物質610のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦A≦54(mL/100g)であり、塗布工程での正極合剤224の目付け量Bが、20(mg/cm)≦Bであり、かつ、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である。
かかるリチウム二次電池の製造方法によれば、正極合剤層223における正極活物質610のDBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aである。このため、正極合剤層223に含浸した電解液が、正極活物質610に吸収され易く、この正極合剤層223では電解液が不足する液枯れが生じ難い。さらに、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)と比較的低く、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225がかさ高い。このため、所定の厚みに圧延した場合に、圧延前と圧延後の厚みの変化率が大きくなる。厚みの変化率が大きいほど、正極活物質610と導電材620が、正極合剤層223中の空隙を埋めていく作用が強く働くので、正極活物質610と導電材620を密に集合させることができると考えられる。これにより、正極活物質610と導電材620との導電パスがより確実に形成され、正極合剤層223の導電性がより高く、かつ、正極合剤層の内部抵抗がより低くなる。このため、高出力なリチウム二次電池を得ることができる。
さらに、かかる構成によれば、特に、塗布工程での正極合剤224の目付け量Bが20(mg/cm)を超えるような高目付けとした場合でも、正極合剤層223の導電性がより高く、かつ、正極合剤層223の内部抵抗がより低くなる。したがって、本構成によれば、塗布工程での正極合剤224の目付け量Bを20(mg/cm)≦Bとした高目付けとし、大容量と高出力の双方を高いレベルで満足させた最適なリチウム二次電池を製造することができる。
ここで、上記DBP吸収量Aを満たす正極活物質610は、例えば、活物質粒子の生成処理を工夫し、活物質粒子の二次粒子において、多孔質にしたり、中空形状にしたり、異形形状の粒子にしたりして実現され得る。好ましくは、例えば、図9に示した中空構造の正極活物質610aや、図10に示した孔開き中空構造の正極活物質610bを正極活物質に選択的に用いるとよい。この場合、中空部920の中までDBP(ジブチルフタレート)が入り込むため、DBP吸収量Aが30(mL/100g)≦Aを満たす正極活物質をより容易に実現することができる。
また、上記乾燥工程後圧延工程前の密度Cを満たす正極合剤層225は、例えば、該正極活物質610のタップ密度を適切に選択することにより実現され得る。ここでタップ密度とは、タッピング式の粉体減少度測定装置によって、タッピングさせ、その衝撃で固めた後、測定される密度である。正極活物質のタップ密度は、概ね1.45g/cm〜1.9g/cm程度であればよい。このようなタップ密度を有する正極活物質610を用いることによって、乾燥工程後圧延工程前の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)を満たす正極合剤層225をより簡易に実現することができる。なお、正極活物質610のタップ密度は、例えば、該正極活物質610の形状や粒径サイズ(平均粒子径や粒子径分布(広いか狭いか))を変えることによって調整するとよい。例えば、図9に示した中空構造の正極活物質610aや、図10に示した孔開き中空構造の正極活物質610bを正極活物質に選択的に用いるとよい。例えば、中空構造の正極活物質610aや孔開き中空構造の正極活物質610bによれば、タッピング後に嵩が高くなる(タップ密度が小さくなる)。正極活物質のタップ密度が小さいほど、正極活物質610bが嵩高くなり、それゆえに、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の密度Cも小さくなる。このことによって、乾燥工程後圧延工程前の密度Cが1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)を満たす正極合剤層をより容易に実現することができる。
なお、図6(a)及び(b)に示すように、乾燥工程後圧延工程前の正極合剤層225の厚みDと、圧延工程後の正極合剤層223の厚みdとから求められる厚みの変化率E=[(D−d)/D]×100は特に限定されないが、厚みの変化率Eが大きくなるほど、正極活物質610と導電材620が密に集合すると考えられる。厚みの変化率Eとしては、概ね20%≦Eが適当であり、好ましくは27.5%≦Eであり、より好ましくは30%≦Eであり、さらに好ましくは31.5%≦Eであり、特に好ましくは35%≦Eである。
また、圧延工程後の正極合剤層223の密度Fとしては、概ね1.9(g/cm)≦F≦3.5(g/cm)にすることが適当であり、特に好ましくは1.9(g/cm)≦F≦2.5(g/cm)である(例えば2.0g/cm程度)。圧延後において正極合剤層223の密度Fが小さすぎると、正極活物質610と導電材620の粒子間の接触が少なくなり出力特性が低下することがあり、また、正極合剤層の強度が不足することがある。一方、圧延後の正極合剤層223の密度Fが大きすぎると、正極合剤層の内部に浸み込む電解液の量が少なくなり、正極活物質と電解液との間でリチウムイオン(Li)の行き来が難しくなる。このため、電池抵抗が上がる要因となる。
ここに開示されるリチウム二次電池の製造方法によれば、上記のとおり正極合剤224の目付け量Bを大きくした場合でも、内部抵抗が低く抑えられた、より良好な電池性能を示すリチウム二次電池を得ることができる。かかるリチウム二次電池は、正極合剤224の目付け量Bを大きくした場合でも、内部抵抗が低く抑えられることから、リチウム二次電池の大容量と高出力とを両立させることができる。かかる大容量と高出力とが両立したリチウム二次電池は、例えば自動車等の車両に搭載される電池(典型的には車両駆動用リチウム二次電池)として好適である。したがって、図11に示すように、リチウム二次電池(複数の電池が接続された組電池の形態であり得る。)100を備える車両1が提供される。特に、大容量でかつ良好な出力特性が得られることから、リチウム二次電池100を動力源として備える車両(例えば自動車、特に家庭用電源で充電できるプラグインハイブリッド車(PHV)や電気自動車(EV)等)が提供される。
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、本発明は上述した実施形態に限定されない。
1 車両
100 リチウム二次電池
200 捲回電極体
220 正極シート
221 正極集電体
222 未塗工部
222a 中間部分
223 正極合剤層(圧延後)
224 正極合剤
225 正極合剤層(圧延前)
240 負極シート
241 負極集電体
242 未塗工部
243 負極合剤層
244 負極合剤
245 耐熱層
262、264 セパレータ
300 電池ケース
310 隙間
320 容器本体
340 蓋体
360 安全弁
420 電極端子
440 電極端子
610 正極活物質
620 導電材
630 バインダ
800 リチウム二次電池
810 正極シート
820 負極シート
830 セパレータ
850 捲回電極体
860 外装ケース
870 電極端子
900 正極活物質
910 二次粒子
920 中空部
930 貫通孔






Claims (18)

  1. 正極活物質及び導電材を含む正極合剤を用意する合剤用意工程と、
    前記合剤用意工程で用意された正極合剤を集電体に塗布する塗布工程と、
    前記塗布工程で前記集電体に塗布された正極合剤を乾燥させる乾燥工程と、
    前記乾燥工程で得られた正極合剤層を圧延する圧延工程と
    を包含し、
    ここで、前記正極活物質のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aであり、
    前記塗布工程での正極合剤の目付け量Bが、20(mg/cm)≦Bであり、かつ、
    前記乾燥工程後前記圧延工程前の前記正極合剤層の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である、リチウム二次電池の製造方法。
  2. 前記正極活物質のDBP吸収量Aが、A≦54(mL/100g)である、請求項1に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  3. 前記正極活物質のDBP吸収量Aが、40(mL/100g)≦Aである、請求項1または2に記載のリチウム二次電池の製造方法。
  4. 前記塗布工程での前記正極合剤の目付け量Bが、B≦50(mg/cm)である、請求項1〜3の何れか一つに記載のリチウム二次電池の製造方法。
  5. 前記乾燥工程後前記圧延工程前の前記正極合剤層の厚みDと、前記圧延工程後の前記正極合剤層の厚みdとから求められる厚みの変化率E=[(D−d)/D]×100が、20(%)≦Eである、請求項1〜4の何れか一つに記載のリチウム二次電池の製造方法。
  6. 前記圧延工程後の前記正極合剤層の密度Fが、1.9(g/cm)≦F≦2.5(g/cm)である、請求項1〜5の何れか一つに記載のリチウム二次電池の製造方法。
  7. 集電体と、
    前記集電体上に形成された正極合剤層と
    を備え、
    前記正極合剤層は、正極活物質及び導電材を含む正極合剤を集電体に塗布し乾燥させた後で、圧延して形成されており、
    前記正極合剤層における前記正極活物質のDBP吸収量Aが、30(mL/100g)≦Aであり、
    前記集電体の単位面積当りの前記正極合剤層の重さBが、20(mg/cm)≦Bであり、
    前記圧延前における前記正極合剤層の密度Cが、1.3(g/cm)≦C≦1.7(g/cm)である、リチウム二次電池。
  8. 前記正極活物質のDBP吸収量Aが、A≦54(mL/100g)である、請求項7に記載のリチウム二次電池。
  9. 前記正極活物質のDBP吸収量Aが、40(mL/100g)≦Aである、請求項7または8に記載のリチウム二次電池。
  10. 前記集電体の単位面積当りの前記正極合剤層の重さBが、B≦50(mg/cm)である、請求項7〜9の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  11. 前記圧延後において前記正極合剤層の密度Fが、1.9(g/cm)≦F≦2.5(g/cm)である、請求項7〜10の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  12. 前記正極活物質は、
    リチウム遷移金属酸化物の一次粒子が複数集合した二次粒子と、前記二次粒子に形成された中空部と、前記中空部と外部とを繋げるように、前記二次粒子を貫通した貫通孔とを有する、請求項7〜11の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  13. 前記貫通孔の開口幅が平均0.01μm以上である、請求項12に記載されたリチウム二次電池。
  14. 前記貫通孔の開口幅が平均2.0μm以下である、請求項12または13に記載のリチウム二次電池。
  15. 前記貫通孔の数は、前記正極活物質の一粒子当たり平均1〜20個である、請求項12〜14の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  16. 前記正極活物質は、ニッケルを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物である、請求項7〜15の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  17. 前記正極活物質は、ニッケル、コバルトおよびマンガンを構成元素として含む層状構造のリチウム遷移金属酸化物である、請求項7〜16の何れか一つに記載のリチウム二次電池。
  18. 請求項7〜17の何れか一つに記載のリチウム二次電池により構成された、車両駆動用リチウム二次電池。








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