JP2012112791A - 光学素子の保存方法、分析チップの保存方法、及び光学素子を保存するための保存液 - Google Patents

光学素子の保存方法、分析チップの保存方法、及び光学素子を保存するための保存液 Download PDF

Info

Publication number
JP2012112791A
JP2012112791A JP2010261889A JP2010261889A JP2012112791A JP 2012112791 A JP2012112791 A JP 2012112791A JP 2010261889 A JP2010261889 A JP 2010261889A JP 2010261889 A JP2010261889 A JP 2010261889A JP 2012112791 A JP2012112791 A JP 2012112791A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
metal film
analysis chip
active substance
solution
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2010261889A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5614260B2 (ja
Inventor
Kenichi Miyata
謙一 宮田
Takeshi Yanagihara
豪 柳原
Tomoko Miyaura
智子 宮浦
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Inc
Original Assignee
Konica Minolta Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Inc filed Critical Konica Minolta Inc
Priority to JP2010261889A priority Critical patent/JP5614260B2/ja
Publication of JP2012112791A publication Critical patent/JP2012112791A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5614260B2 publication Critical patent/JP5614260B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Investigating, Analyzing Materials By Fluorescence Or Luminescence (AREA)

Abstract

【課題】金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つその表面に固定された生理活性物質の活性を維持することができる光学素子の保存方法、分析チップの保存方法、及び光学素子の保存液を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられる分析チップ20に含まれ、光学素子本体11と、光学素子本体11の所定の面13の面上に設けられる表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜15と、金属膜15の表面15aに固定される生理活性物質16と、を備える光学素子10を、金属膜15及び生理活性物質16を保存液50に接触させることで保存する保存方法であって、保存液50は、生理活性物質16の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質より成ることを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、表面プラズモン共鳴(Surface Plasmon Resonance:SPR)の共鳴角の変化に基づいて検体を分析する表面プラズモン共鳴分析装置、又は表面プラズモン共鳴によって生じたエバネッセント波を用いて検体又は検体に標識された蛍光物質を発光させ、この蛍光を測定することにより検体の分析を行う表面プラズモン共鳴蛍光分析装置に用いられる分析チップの保存方法、この分析チップに含まれる光学素子の保存方法、及び光学素子を保存するための保存液に関する。
従来から、タンパク質やDNA等を検出するバイオ測定等のような試料溶液に含まれる極微量の検体等を定量分析する方法として、表面プラズモン共鳴を利用した様々な分析方法が開発されている。これらの分析方法では、その殆どがプリズム上に金属膜を成膜したいわゆるクレッチマン配置の分析チップが用いられ、この分析チップにおける表面プラズモン共鳴の共鳴角の変化や表面プラズモン共鳴に基づく金属膜近傍の増強電場を利用することにより、試料溶液中の極微量の検体等の分析が高感度且つ高精度に行われる(特許文献1参照)。
具体的に、分析チップは、図11に示されるように、光学素子111と、この光学素子111と共同して試料溶液が流れる流路116を形成する流路部材117とを備える。光学素子111は、ガラスや樹脂で形成されるプリズム112と、このプリズム112の所定の面112bの面上に成膜される金属膜113と、を有する。
この分析チップ110のプリズム112に励起光を入射させて所定の面112bの面上の金属膜113でこの励起光を全反射させると、ある入射角において金属膜113の表面近傍の電場が大きく増強される。これは、励起光がある入射角(共鳴角)で金属膜113に入射することにより、金属膜113において表面プラズモン共鳴が生じ、これにより金属膜113の表面近傍の電場が大きく増強されるからである。この現象が金属膜113の表面における屈折率の変化に対して高感度に応答するため、これを利用することにより金属膜113上を流れる試料溶液中に存在する極微量の物質の検出が可能となる。
特許第4370383号公報
上記の表面プラズモン共鳴を利用した分析方法は、極微量の特定の物質を高感度且つ高精度に検出できることから、例えば、早期ガンの診断などの医療分野等への応用が考えられている。このような分野では、免疫反応等を利用して試料溶液中の特定の物質(例えば、腫瘍マーカー等の検体)の検出を行うため、この特定の物質を捕捉することができる生理活性物質(抗体等)112aが光学素子111の金属膜113の表面に固定される。このような分析チップ110、又はこの分析チップ110を構成する光学素子111を保存する場合には、生理活性物質112aの活性を維持するために当該生理活性物質112aが多湿環境下におかれた状態又は液体に接した状態でなければならない。即ち、生理活性物質112aが固定された金属膜113が多湿環境下又は液体と接触した状態で分析チップ110又は光学素子111を保存しなければならない。
光学素子111の金属膜113は、表面プラズモン共鳴を生じさせる必要からその膜厚が数十nmレベルの薄膜であり、一般に金属薄膜は、水分の付着により膜浮きが発生して劣化することが知られている。そのため、金属膜113が多湿環境下におかれた状態又は液体と接触した状態で当該光学素子111が数ヶ月間保存されると、水分が金属膜113とプリズム114との間に浸入して膜浮き(図10(B)参照)が生じる場合がある。分析チップ110において金属膜113にこのような欠陥が生じると、極微量の物質を高感度且つ高精度に検出できない。
そこで、本発明は、金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つその表面に固定された生理活性物質の活性を維持することができる光学素子の保存方法、光学素子を含む分析チップの保存方法、及び光学素子を保存するための保存液を提供することを課題とする。
そこで、上記課題を解消すべく、本発明は、表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられる分析チップに含まれ、光学素子本体と、前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と、前記金属膜の表面に固定される生理活性物質と、を備える光学素子を、前記金属膜及び前記生理活性物質を保存液に接触させることで保存する保存方法であって、前記保存液は、前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質より成ることを特徴とする。
本発明によれば、金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つ生理活性物質の活性を維持した状態で光学素子を長期間保存することが可能となる。即ち、光学素子の金属膜及びこれに固定される生理活性物質を保存液に接触させることにより、生理活性物質の活性が維持され、しかも、保存液の分子サイズが水の分子サイズよりも大きいため金属膜と光学素子本体との間に保存液が浸入しない。
例えば具体的に、前記保存液が、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであれば、生理活性物質の活性を好適に維持し且つ金属膜に膜浮きが生じることを効果的に防ぎつつ光学素子を長期間保存することができる。
特に、前記光学素子の金属膜が、金、銀、及びアルミニウムのいずれかで構成される場合や、前記光学素子の金属膜が30〜70nmの厚さを有する場合に、金属膜が水に接した状態で当該光学素子が長期間保存されると金属膜の膜浮きが顕著に現れるが、水の分子サイズよりも大きな分子サイズを有する当該保存液によって当該光学素子を保存することによって、金属膜に膜浮きの発生を抑えつつ長期間保存することができる。
尚、前記光学素子は、前記保存液に浸漬された状態で保存されることが好ましい。このように光学素子を保存液に浸漬することで、容易且つ確実に光学素子の金属膜及び生理活性物質を保存液に接触させることができる。
また、上記課題を解消すべく、本発明は、表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられ、光学素子本体と前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と前記金属膜の表面に固定される生理活性物質とを有する光学素子と、この光学素子と共同して前記検体を含む試料溶液が流れる流路を形成する流路部材と、を備える分析チップを、前記金属膜及び前記生理活性物質を保存液に接触させることで保存する保存方法であって、前記保存液は、前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質より成ることを特徴とする。
本発明によれば、金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つ生理活性物質の活性を維持した状態で光学素子を長期間保存することが可能となる。即ち、分析チップの金属膜及びこれに固定された生理活性物質を保存液に接触させることにより、生理活性物質の活性が維持され、しかも、保存液の分子サイズが水の分子サイズよりも大きいため金属膜と光学素子本体との間に保存液が浸入しない。
例えば具体的に、前記保存液が、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであれば、生理活性物質の活性を好適に維持し且つ金属膜に膜浮きが生じることを効果的に防ぎつつ分析チップを長期間保存することができる。
この場合、前記分析チップは、前記保存液に浸漬させた状態で保存されてもよく、また、前記分析チップは、前記流路内に前記保存液を封入することにより保存されてもよい。
いずれの場合でも流路内に保存液が入った状態で分析チップが保存されるため、生理活性物質の活性を維持することができる。
また、上記課題を解消すべく、本発明は、表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられる分析チップに含まれ、光学素子本体と、前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる前記表面プラズモン共鳴を生じさせるための金属膜と、前記金属膜の表面に固定される生理活性物質とを備える光学素子を保存するための保存液であって、前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質から成ることを特徴とする。
この保存液を用いることで、金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つ生理活性物質の活性を維持した状態で分析チップの光学素子を長期間保存することが可能となる。
例えば具体的に、前記保存液が、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであれば、生理活性物質の活性を好適に維持し且つ金属膜に膜浮きが生じることを効果的に防ぎつつ光学素子を長期間保存することができる。
以上より、本発明によれば、金属膜に膜浮きが生じることを抑制し且つその表面に固定された生理活性物質の活性を維持することができる光学素子の保存方法、光学素子を含む分析チップの保存方法、及び光学素子を保存するための保存液を提供することができる。
本実施形態に係る光学素子の概略構成を示す拡大縦断面図である。 前記光学素子の分解斜視図である。 前記光学素子を含む分析チップの斜視図である。 図3のIV−IV拡大端面図である。 前記分析チップの分解斜視図である。 前記光学素子の保存方法を説明するための図である。 (A)は他実施形態に係る光学素子の斜視図であり、(B)は図7(A)のVIIB−VIIB拡大端面図である。 前記光学素子を用いた分析チップの概略構成を示す拡大縦断面図である。 本実施形態の光学素子を保存液に浸漬した前後の金属膜表面の拡大図であって、(A)は保存液に浸漬する前の拡大図であり、(B)は保存液に100時間浸漬した後の同じ位置の拡大図である。 本実施形態の光学素子を水に浸漬した前後の金属膜表面の拡大図であって、(A)は水に浸漬する前の拡大図であり、(B)は水に100時間浸漬した後の同じ位置の拡大図である。 従来の分析素子チップの概略構成を示す拡大縦断面図である。
以下、本発明の一実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
先ず、本実施形態において保存液によって保存される光学素子とこの光学素子を含む分析チップについて、図1乃至図5を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る分析チップ20、及びこの分析チップ20に含まれる光学素子10は、表面プラズモン共鳴の共鳴角の変化に基づいて検体を分析する分析装置や、検体若しくは検体に標識された蛍光物質が表面プラズモン共鳴に基づく増強電場により励起されて発した蛍光を測定する分析装置等に用いられる、いわゆるクレッチマン配置のセンサーチップである。
以下、具体的に説明する。
<光学素子>
光学素子10は、内部に入射した励起光を所定の面13で反射する光学素子本体11と、この光学素子本体11の所定の面13の面上に設けられる金属膜15と、金属膜15の表面(光学素子本体11と反対側の面)15aに固定される生理活性物質16と、を備える(図1及び図2参照)。尚、図中の生理活性物質16は、模式的に描いたもので、生理活性物質の構造を表すものではない。
光学素子本体11は、当該分析チップ20が表面プラズモン共鳴蛍光分析装置等に設置されて検体の分析を行うときに、当該装置の光源(図示省略)からの励起光を内部に入射させる入射面12と、この内部に入射した励起光を当該面上に形成された金属膜15で反射する反射面(所定の面)13と、反射面13(詳しくは、反射面13上の金属膜15)で反射された励起光を光学素子本体11の外部に出射する出射面14とをその表面に含む。この光学素子本体11は、透明なガラス又は樹脂により形成されており、本実施形態では、プリズムが用いられる。
尚、プリズム(光学素子本体)11は、本実施形態のように断面形状が台形(図1参照)でなくてもよい。プリズム11は、入射面12と反射面13と出射面14とをその表面に含み、入射面12から内部に入射した励起光が反射面13(詳しくは、反射面13上の金属膜15)で全反射し、この全反射した励起光が内部で乱反射せずに出射面14から外部に出射されるような形状であればよい。
金属膜15は、プリズム11の反射面13の面上に成膜(形成)された金属製の薄膜である。具体的に、金属膜15は、金(Au)、銀(Ag)、及びアルミニウム(Al)のいずれかで構成される。この金属膜15は、光学素子10において金属膜15で励起光が全反射されることにより生じるエバネッセント波を増幅するための部材である。即ち、反射面13上に金属膜15を設けて表面プラズモン共鳴を生じさせることにより、金属膜15の設けられていない反射面において励起光を全反射させてエバネッセント波を生じさせた場合に比べ、反射面13の表面近傍に形成される電場を増強させることができる。
尚、金属膜15は、表面プラズモン共鳴を生じさせることができるように膜厚が100nm以下の薄膜であり、好ましくは膜厚が30〜70nmとなるように反射面13上に成膜される。
生理活性物質16は、試料溶液に含まれる検体(特定の抗原等)を捕捉するためのものであり、金属膜15の表面15aに固定されている。本実施形態では、生理活性物質16として抗体が用いられる。この生理活性物質16は、表面処理によって金属膜15の表面15aに固定される。具体的に、生理活性物質16は、金属膜15の表面15aにおいて、プリズム11が流路部材21と共同して流路22を形成したときにこの流路22を流れる試料溶液と接する領域に固定される。この金属膜15に固定された生理活性物質16は、乾燥すると活性を示さなくなるが、多湿環境下又は液体と接した状態で保存すれば、活性が維持される。
<分析チップ>
分析チップ20は、上記の光学素子10と、この光学素子10と共同して検体を含む試料溶液が流れる流路22を形成する流路部材21を備える(図3乃至図5参照)。
流路部材21は、プリズム11の反射面13上(詳しくは、金属膜15上)に設けられ、プリズム11と共同して流路22を形成する。この流路部材21は、透明な樹脂により形成される。本実施形態の流路部材21は、水平方向に拡がる板状の部材である。流路22は、抗原抗体反応が行われる検出部22aと、分析チップ20の外部から検出部22aへ試料溶液を案内し、又は検出部22aから外部へ試料溶液を案内する案内部22bとから成る。検出部22aは、流路部材21の裏面(図4において下側の面)21bに設けられた溝とプリズム11上の金属膜15とにより囲まれている。即ち、この検出部22aでは、試料溶液が金属膜15の表面(生理活性物質16が固定されている面)15aと接しつつ流れる。各案内部22bは、一方の端部が流路部材21の表面(図4において上側の面)21aで開口し、他方の端部(前記一方の端部と反対側の端部)が検出部22aと接続されている。このように案内部22bと検出部22aと案内部22bとが順に繋がることで、一本の流路22が形成される。
また、流路部材21は、流路22を構成する裏面21bの溝内にシール部材25を有する。このシール部材25は、流路部材21を金膜15側から光学素子10に接合させたときに、検出部22aを水平方向から囲み且つ流路部材21の裏面21bの溝内面と光学素子10の金属膜15とに密着し、これにより、流路部材21と光学素子10との接合部位からの試料溶液の漏れを防止する。本実施形態のシール部材25は、Oリングであが、これに限定されない。
流路部材21は、その裏面21bがプリズム11の反射面13(詳しくは、金属膜15)に圧着された状態で光学素子10と接合されている。
以上のような光学素子10やこの光学素子10を含む分析チップ20において、金属膜15に固定された生理活性物質16が乾燥して活性を示さなくなると検体を補足できなくなる。そのため、これら光学素子10や分析チップ20を保存する際には、生理活性物質16の活性を維持するために当該生理活性物質16が多湿環境下におかれ状態、又は生理活性物質16が液体と接するような状態で保存しなければならない。
例えば、図6に示されるように、保存液50に光学素子10や分析チップ20を浸漬させた状態で保存する。また、分析チップ20の場合には、流路22内に保存液を封入することによって流路22内を多湿環境下若しくは保存液で満たされた状態にし、これにより、保存時の生理活性物質16の活性を維持するようにしてもよい。
この保存液50は、生理活性物質16の活性を維持し且つ水分子よりも大きな分子サイズを有する物質から成る。具体的に、保存液50として、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかが用いられる。尚、この保存液50には、水や水分子よりも分子サイズの小さな物質は含まれていない。
具体的に、極性の溶液としては、例えば、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、アセトン、アセトニトリル等が用いられる。また、2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール等が用いられる。また、3価のアルコールとしては、例えば、グリセリン、プロパンジオール等が用いられる。
このような保存液50を用いて光学素子10又は分析チップ20を保存することにより、金属膜15に膜浮きが生じることを抑制し且つ生理活性物質16の活性を維持した状態で光学素子10又は分析チップ20を長期間保存することが可能となる。即ち、光学素子10又は分析チップ20を保存液50に浸漬等することによって生理活性物質16の固定された金属膜15が保存液50と接するため、生理活性物質16の活性が維持され、しかも、保存液50の分子サイズが水の分子サイズよりも大きいことで金属膜15とプリズム(光学素子本体)11との間に保存液50が浸入することが防がれる。これにより、光学素子10又は分析チップ20における金属膜15の膜浮き(図10(B)参照)が抑制され、当該光学素子10を用いた分析チップ20を用いた検体の分析において、この膜浮きに起因する検体の検出精度の低下を防止することができる。
尚、本実施形態における膜浮きとは、金属膜15に穴等が生じていなくても、金属膜15とプリズム(光学素子本体)11との間に液体が浸入し、これにより、部分的に金属膜15が反射面13から離間して隆起した状態のことをいう。
尚、本発明の光学素子の保存方法、光学素子を含む分析チップの保存方法、及び光学素子を保存するための保存液は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
例えば、上記実施形態では、保存液50として、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかを用いているが、これに限定されない。即ち、保存液50は、生理活性物質16の活性を維持し且つ水分子より大きな分子サイズを有する物質から成る溶液であれば、他の溶液が用いられてもよい。
また、上記実施形態では、光学素子10全体が保存液50中に沈んだ状態で当該光学素子10が保存されているが、少なくとも、生理活性物質16及び金属膜15の生理活性物質16が固定された部位が保存液50に接するように光学素子10が保存されていればよい。
また、上記実施形態では、上記の保存液50を用いてプリズム11上に金属膜15が設けられた光学素子10を保存しているが、当該保存液50での保存対象である光学素子10の具体的構成は限定されない。例えば、基板状の光学素子でもよい。具体的に、この光学素子は、図7(A)及び図7(B)示されるように、透明な板状の基板11Aと、この基板11Aの一方の面13Aの面上に設けられる金属膜15とを有する。この基板11Aは、図8に示されるように、プリズム11の所定の面13の面上に当該基板11Aの一方の面13Aが当該プリズム11と反対側を向くように配置される。この状態で、基板11Aの一方の面13A側から流路部材21を当接させることにより当該流路部材21と共同して試料溶液の流れる流路22を形成する。これにより、分析チップ20Aが構築される。このとき、この光学素子10Aは、金属膜15がプリズム11と反対側を向くように当該プリズム11の所定の面13の面上にマッチングオイルmを介して配置される。
また、光学素子を構成するプリズム11や基板11Aの材料は限定されないが、光学ガラスや光学樹脂であることが好ましい。
また、プリズム11や基板11A上への金属膜15の具体的な形成方法は限定されない。上記実施形態では、真空成膜法によって金属膜15がプリズム11上に形成されているが、厚さが30〜70nm程度の薄膜をプリズム11や基板11A上の所定位置に形成できれば、他の成膜法であってもよい。
ここで、上記実施形態の保存液50を用いた光学素子10又は分析チップ20の保存方法を評価するために、同じ光学素子10(即ち、反射面13上に金属膜15が設けられたプリズム11)を上記実施形態の保存液50と、水とにそれぞれ所定時間浸漬し、その前後で金属膜15の表面15aを光学顕微鏡によって観察した。以下、具体的に説明する。
先ず、BK7(白板ガラス)製のプリズム11の反射面13の面上にプラズマ支援型スパッタ法によって50nmの金膜(金属膜)15を成膜して光学素子10を2個作成した。一方の光学素子10を極性の溶液であるアセトン(保存液)に室温(23度)下で100時間浸漬すると共に、他方の光学素子10を水に室温(23度)下で100時間浸漬した。各光学素子10の金属膜15の表面15aを、保存液50又は水への浸漬前と浸漬後とで光学顕微鏡によりそれぞれ観察した。
その結果、アセトンに浸漬した光学素子10では、浸漬の前後共に金膜15に膜浮きを発見することができなかった(図9(A)及び図9(B)参照)。一方、水に浸漬した光学素子10では、浸漬前には金膜15に膜浮きを発見することができなかったが(図10(A)参照)、浸漬後には金膜15に複数の島状の膜浮きが認められた(図10(B)参照)。
この結果から、極性の溶液であるアセトンを用いて光学素子10又は分析チップ20を保存することによって、金属膜15の膜浮きを抑えることができることが確認できた。
実施例1と同じ光学素子10を2個用い、一方の光学素子10を2価のアルコールであるエチレングリコール(保存液)に室温(23度)下で100時間浸漬すると共に、他方の光学素子10を水に室温(23度)下で100時間浸漬した。各光学素子10の金膜15の表面15aを、保存液50又は水への浸漬前と浸漬後とで光学顕微鏡によりそれぞれ観察した。
その結果、エチレングリコールに浸漬した光学素子10では、浸漬の前後共に金膜15に膜浮きを発見することができなかった。一方、水に浸漬した光学素子10では、第1実施例同様に、浸漬前には金膜15に膜浮きを発見することができなかったが、浸漬後には金膜15に複数の島状の膜浮きが認められた。
この結果から、2価のアルコールを用いて光学素子10又は分析チップ20を保存することによって、金属膜15の膜浮きを抑えることができることが確認できた。
実施例1と同じ光学素子10を2個用い、一方の光学素子10を3価のアルコールであるグリセリン(保存液)に室温(23度)下で100時間浸漬すると共に、他方の光学素子10を水に室温(23度)下で100時間浸漬した。各光学素子10の金膜15の表面15aを、保存液50又は水への浸漬前と浸漬後とで光学顕微鏡によりそれぞれ観察した。
その結果、グリセリンに浸漬した光学素子10では、浸漬の前後共に金膜15に膜浮きを発見することができなかった。一方、水に浸漬した光学素子10では、第1及び第2実施例同様に、浸漬前には金膜15に膜浮きを発見することができなかったが、浸漬後には金膜15に複数の島状の膜浮きが認められた。
この結果から、3価のアルコールを用いて光学素子10又は分析チップ20を保存することによって、金属膜15の膜浮きを抑えることができることが確認できた。
10,10A 光学素子
11 プリズム(光学素子本体)
11A 基板
13,13A 反射面(所定の面)
15 金属膜
15a 金属膜の表面
16 生理活性物質
20,20A 分析チップ
21 流路部材
22 流路
50 保存液

Claims (11)

  1. 表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられる分析チップに含まれ、光学素子本体と、前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と、前記金属膜の表面に固定される生理活性物質と、を備える光学素子を、前記金属膜及び前記生理活性物質を保存液に接触させることで保存する保存方法であって、
    前記保存液は、前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質より成ることを特徴とする光学素子の保存方法。
  2. 前記保存液は、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の保存方法。
  3. 前記光学素子の金属膜は、金、銀、及びアルミニウムのいずれかで構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学素子の保存方法。
  4. 前記光学素子の金属膜は、30〜70nmの厚さを有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光学素子の保存方法。
  5. 前記光学素子は、前記保存液に浸漬された状態で保存されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の光学素子の保存方法。
  6. 表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられ、光学素子本体と前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる表面プラズモン共鳴を生じさせる金属膜と前記金属膜の表面に固定される生理活性物質とを有する光学素子と、この光学素子と共同して前記検体を含む試料溶液が流れる流路を形成する流路部材と、を備える分析チップを、前記金属膜及び前記生理活性物質を保存液に接触させることで保存する保存方法であって、
    前記保存液は、前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質より成ることを特徴とする分析チップの保存方法。
  7. 前記保存液は、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の分析チップの保存方法。
  8. 前記分析チップは、前記保存液に浸漬させた状態で保存されることを特徴とする請求項6又は7に記載の分析チップの保存方法。
  9. 前記分析チップは、前記流路内に前記保存液を封入することにより保存されることを特徴とする請求項6又は7に記載の分析チップの保存方法。
  10. 表面プラズモン共鳴を利用して検体を分析する分析装置に用いられる分析チップに含まれ、光学素子本体と、前記光学素子本体の所定の面の面上に設けられる前記表面プラズモン共鳴を生じさせるための金属膜と、前記金属膜の表面に固定される生理活性物質とを備える光学素子を保存するための保存液であって、
    前記生理活性物質の活性を維持すると共に、水分子よりも大きな分子サイズを有する物質から成ることを特徴とする光学素子を保存するための保存液。
  11. 前記保存液は、極性の溶液、2価のアルコール、及び3価のアルコールのいずれかであることを特徴とする請求項10に記載の光学素子を保存するための保存液。
JP2010261889A 2010-11-25 2010-11-25 光学素子の保存方法、及び分析チップの保存方法 Expired - Fee Related JP5614260B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010261889A JP5614260B2 (ja) 2010-11-25 2010-11-25 光学素子の保存方法、及び分析チップの保存方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010261889A JP5614260B2 (ja) 2010-11-25 2010-11-25 光学素子の保存方法、及び分析チップの保存方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2012112791A true JP2012112791A (ja) 2012-06-14
JP5614260B2 JP5614260B2 (ja) 2014-10-29

Family

ID=46497158

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010261889A Expired - Fee Related JP5614260B2 (ja) 2010-11-25 2010-11-25 光学素子の保存方法、及び分析チップの保存方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5614260B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014070929A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Fujifilm Corp 光センシングデバイスユニットおよび光センシング装置

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP3730786B1 (en) 2019-04-19 2022-12-28 White Knight Fluid Handling Inc. Reciprocating fluid pumps including magnets, and related assemblies, systems, and methods

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6357054A (ja) * 1986-08-29 1988-03-11 エヌオーケー株式会社 消臭材料
JPS6412251B2 (ja) * 1980-05-27 1989-02-28 Bp Chem Int Ltd
JPH05115274A (ja) * 1990-07-09 1993-05-14 Kimberly Clark Corp タバコの風味がするタバコ用フイルターの製造方法
JP2001258597A (ja) * 2000-03-16 2001-09-25 Eikomu:Kk 生体試料中のdna酸化損傷指標の簡易高感度測定システム
JP2004143101A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Akio Tomota 抗ウィルス剤
WO2005035736A1 (ja) * 2003-10-07 2005-04-21 Sysmex Corporation 粘液除去方法並びにこれに用いる細胞処理液及び保存液
JP2007159520A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Takenaka Komuten Co Ltd 浮遊細菌類捕集容器とこの容器を用いた空中浮遊細菌類捕集及び計数方法
JP2008209278A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Aisin Seiki Co Ltd センサチップ
JP2010249633A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Hirosaki Univ 発がんプロモーション活性の評価方法
WO2011155179A1 (ja) * 2010-06-10 2011-12-15 コニカミノルタホールディングス株式会社 分析素子チップ

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6412251B2 (ja) * 1980-05-27 1989-02-28 Bp Chem Int Ltd
JPS6357054A (ja) * 1986-08-29 1988-03-11 エヌオーケー株式会社 消臭材料
JPH05115274A (ja) * 1990-07-09 1993-05-14 Kimberly Clark Corp タバコの風味がするタバコ用フイルターの製造方法
JP2001258597A (ja) * 2000-03-16 2001-09-25 Eikomu:Kk 生体試料中のdna酸化損傷指標の簡易高感度測定システム
JP2004143101A (ja) * 2002-10-25 2004-05-20 Akio Tomota 抗ウィルス剤
WO2005035736A1 (ja) * 2003-10-07 2005-04-21 Sysmex Corporation 粘液除去方法並びにこれに用いる細胞処理液及び保存液
JP2007159520A (ja) * 2005-12-16 2007-06-28 Takenaka Komuten Co Ltd 浮遊細菌類捕集容器とこの容器を用いた空中浮遊細菌類捕集及び計数方法
JP2008209278A (ja) * 2007-02-27 2008-09-11 Aisin Seiki Co Ltd センサチップ
JP2010249633A (ja) * 2009-04-15 2010-11-04 Hirosaki Univ 発がんプロモーション活性の評価方法
WO2011155179A1 (ja) * 2010-06-10 2011-12-15 コニカミノルタホールディングス株式会社 分析素子チップ

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014070929A (ja) * 2012-09-28 2014-04-21 Fujifilm Corp 光センシングデバイスユニットおよび光センシング装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP5614260B2 (ja) 2014-10-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI384214B (zh) Biological sensing device and its system
JP5095552B2 (ja) 検出方法および検出システム
US8102533B2 (en) Total reflection illuminated sensor chip
JP2007538256A (ja) イメージング方法及び装置
WO2015129361A1 (ja) 表面プラズモン励起増強蛍光分光測定用センサーチップ
US9500584B2 (en) Multiple examinations of a sample
JP2009204486A (ja) センシング装置及び物質検出方法
JP2009204509A (ja) 検査チップ、これを用いるセンシング装置および物質検出方法
JP5920692B2 (ja) 目的物質検出チップ、目的物質検出装置及び目的物質検出方法
JP5614260B2 (ja) 光学素子の保存方法、及び分析チップの保存方法
JP5344828B2 (ja) センシング装置
JP6097302B2 (ja) サンプルの平行な光学検査
WO2011155179A1 (ja) 分析素子チップ
JP5315381B2 (ja) 蛍光検出装置、蛍光検出用の試料セルおよび蛍光検出方法
JP6766820B2 (ja) 光学式検体検出システム
EP2799843A1 (en) Spfs measurement sensor chip, spfs measurement method employing spfs measurement sensor chip, and spfs measurement device comprising spfs measurement sensor chip
WO2015146036A1 (ja) 増強ラマン分光装置
JP2010071682A (ja) センシング装置、物質検出方法、検査チップ、及び検査キット
JP2002372490A (ja) 全反射減衰を利用したセンサーおよび測定チップアセンブリ
JP5524698B2 (ja) 自動分析装置
JP2015111063A (ja) 表面プラズモン増強蛍光測定方法および表面プラズモン増強蛍光測定装置
WO2014007134A1 (ja) センサーチップ
JP6627778B2 (ja) 検出装置および検出方法
JP2004077411A (ja) 表面プラズモン・センサー及びspr装置
JP5733151B2 (ja) 計測を行う方法及び計測装置

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130624

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140212

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140411

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140610

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140812

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140825

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5614260

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees